1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:17:48.03 :BjJIMEdS0
※たえちゃんとは何の関係もありません、ごめんなさい
※たえちゃんとは何の関係もありません、ごめんなさい
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:18:32.44 :BjJIMEdS0
伊織「言っておくけど、私の家族じゃないわよ」
シャルル「え? じゃあ、誰の?」
伊織「にひひ、まだ内緒よ」
シャルル「えー! 教えてよぉ、伊織ちゃん」
伊織「どうしようかしらねぇ」
シャルル「お願い! スーパーアイドル伊織ちゃん! 今日も可愛いお洋服だね!」
伊織「ん~、そこまで言われちゃしようがな――」ハッ
気配を感じて振り向くと、双子が呆れたように私を見ていた。
み、見られた?
亜美真美「「……」」
亜美「いおりんって」
真美「けっこう腹話術上手いよねぇ」
伊織「あ、あんた達! いつの間に!?」カァァ
亜美「家族がどうのこうのところからかな?」
真美「で、誰の家族が増えるの?」
伊織「だ、誰だっていいでしょ! じゃあね!」
伊織「言っておくけど、私の家族じゃないわよ」
シャルル「え? じゃあ、誰の?」
伊織「にひひ、まだ内緒よ」
シャルル「えー! 教えてよぉ、伊織ちゃん」
伊織「どうしようかしらねぇ」
シャルル「お願い! スーパーアイドル伊織ちゃん! 今日も可愛いお洋服だね!」
伊織「ん~、そこまで言われちゃしようがな――」ハッ
気配を感じて振り向くと、双子が呆れたように私を見ていた。
み、見られた?
亜美真美「「……」」
亜美「いおりんって」
真美「けっこう腹話術上手いよねぇ」
伊織「あ、あんた達! いつの間に!?」カァァ
亜美「家族がどうのこうのところからかな?」
真美「で、誰の家族が増えるの?」
伊織「だ、誰だっていいでしょ! じゃあね!」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:22:02.49 :BjJIMEdS0
亜美「あれ? どっか行くの? 今日はもうお仕事ないっしょ?」
伊織「あんた達には関係ないわ! ……絶対に付いてくるんじゃないわよ?」
ガチャ、バタン
真美「怪しい……」
亜美「ですなぁ」
………
……
…
伊織「ふぅ。尾行は……ないわね」
外はうだるような暑さで、待ち合わせの時間まで、まだ三十分近くあることに目眩を起こしそうだ。
早く到着しすぎたわね。全くあいつらのせいで。
いえ、それもこれも、もとはといえば全部……
?「あ、おーい、伊織ー」
伊織「ようやく来たわね」
何度目だかわからないくらいに汗を拭った所で、バカみたいに威勢の良い声が近づいてきた。
苛立ちをぶつけるように私はそいつの名前を呼んだ。
伊織「遅いわよ、真!」
亜美「あれ? どっか行くの? 今日はもうお仕事ないっしょ?」
伊織「あんた達には関係ないわ! ……絶対に付いてくるんじゃないわよ?」
ガチャ、バタン
真美「怪しい……」
亜美「ですなぁ」
………
……
…
伊織「ふぅ。尾行は……ないわね」
外はうだるような暑さで、待ち合わせの時間まで、まだ三十分近くあることに目眩を起こしそうだ。
早く到着しすぎたわね。全くあいつらのせいで。
いえ、それもこれも、もとはといえば全部……
?「あ、おーい、伊織ー」
伊織「ようやく来たわね」
何度目だかわからないくらいに汗を拭った所で、バカみたいに威勢の良い声が近づいてきた。
苛立ちをぶつけるように私はそいつの名前を呼んだ。
伊織「遅いわよ、真!」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:26:47.89 :BjJIMEdS0
私が声を上げると、真は驚いたように携帯電話で時刻を確認し、すぐに怪訝な顔を見せた。
真「まだ待ち合わせの時間まで二十分もあるよ?」
伊織「そんな事関係ないのよ。大体、この伊織ちゃんを待たせるなんていい度胸してるじゃない」
伊織「せめて一時間前からジュース用意して待ってるくらい出来ないの?」
真「何だよ、そこまで言わなくてもいいだろ!」
伊織「あら、そんな事言っていいわけ? あんたが買い物付き合って欲しいって言うから来てあげたのに」
真「ぐぬぬ……た、確かにそうだけどぉ~」
伊織「超売れっ子アイドル伊織ちゃんがわざわざ時間を割いてあげたんだからもっと感謝なさい」
真「今日はもう仕事がなかった癖に……」ボソッ
伊織「何か言った?」ギロ
真「ななな何でもない! さっ、早く行こう」
真夏の太陽の下を真と二人で歩き出す。
そう言えば、二人っきりで外出するなんて初めてかもしれない。
伊織「ところで、なんで私を付き合わせたのよ? 雪歩辺りでも良かったでしょ?」
真「雪歩も誘おうとしたけど、今日は舞台の練習で一日中スタジオに缶詰なんだって」
伊織「ふ~ん。まっ、いつもイチャイチャしてるんだから、たまにはいいんじゃない?」
私が声を上げると、真は驚いたように携帯電話で時刻を確認し、すぐに怪訝な顔を見せた。
真「まだ待ち合わせの時間まで二十分もあるよ?」
伊織「そんな事関係ないのよ。大体、この伊織ちゃんを待たせるなんていい度胸してるじゃない」
伊織「せめて一時間前からジュース用意して待ってるくらい出来ないの?」
真「何だよ、そこまで言わなくてもいいだろ!」
伊織「あら、そんな事言っていいわけ? あんたが買い物付き合って欲しいって言うから来てあげたのに」
真「ぐぬぬ……た、確かにそうだけどぉ~」
伊織「超売れっ子アイドル伊織ちゃんがわざわざ時間を割いてあげたんだからもっと感謝なさい」
真「今日はもう仕事がなかった癖に……」ボソッ
伊織「何か言った?」ギロ
真「ななな何でもない! さっ、早く行こう」
真夏の太陽の下を真と二人で歩き出す。
そう言えば、二人っきりで外出するなんて初めてかもしれない。
伊織「ところで、なんで私を付き合わせたのよ? 雪歩辺りでも良かったでしょ?」
真「雪歩も誘おうとしたけど、今日は舞台の練習で一日中スタジオに缶詰なんだって」
伊織「ふ~ん。まっ、いつもイチャイチャしてるんだから、たまにはいいんじゃない?」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:29:52.09 :BjJIMEdS0
真「い、イチャイチャなんてしてないだろ! 変なこと言わないでよ!」
真「言っておくけど、ボクと雪歩は女の子同士なんだかr」
伊織「あーはいはい。散々聞き飽きたわ」
真「ぐぐぐ……」
伊織「そもそも雪歩は女の子同士“だから”だと思うけどね」
真「? どういうこと?」
キョトンとする真にため息を返す。
わかるはずないと思っていたけど、やっぱりわからなかったようだ。
伊織「で、なんで私を誘ったの?」
真「伊織はシャルルの小物とかたくさん持ってそうだからね」
伊織「……ああ、そういう事」
とは言ったものの、大方予想通りの回答だった。
やっぱり単純だ、と思いながら真に目をやる。
いま、真は両手でクマのぬいぐるみを抱きかかえている。
前にプロデューサーと一緒に行った遊園地で取った景品だとか言ってたわね。
伊織「つまり、その子に似合う可愛いアクセサリーを見繕って欲しいってことね」
真「うんうん、そういう事」
真「い、イチャイチャなんてしてないだろ! 変なこと言わないでよ!」
真「言っておくけど、ボクと雪歩は女の子同士なんだかr」
伊織「あーはいはい。散々聞き飽きたわ」
真「ぐぐぐ……」
伊織「そもそも雪歩は女の子同士“だから”だと思うけどね」
真「? どういうこと?」
キョトンとする真にため息を返す。
わかるはずないと思っていたけど、やっぱりわからなかったようだ。
伊織「で、なんで私を誘ったの?」
真「伊織はシャルルの小物とかたくさん持ってそうだからね」
伊織「……ああ、そういう事」
とは言ったものの、大方予想通りの回答だった。
やっぱり単純だ、と思いながら真に目をやる。
いま、真は両手でクマのぬいぐるみを抱きかかえている。
前にプロデューサーと一緒に行った遊園地で取った景品だとか言ってたわね。
伊織「つまり、その子に似合う可愛いアクセサリーを見繕って欲しいってことね」
真「うんうん、そういう事」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:33:56.54 :BjJIMEdS0
伊織「真にしては良い判断じゃない。まあ、あんたのセンスじゃロクな事にならないものね」
真「なんだと! そんなのやってみないとわからないじゃないか!」
伊織「なによ! じゃあ、どっちがその子を可愛く出来るか勝負してみる?」
真「へへーん、望むところだよ。ボクが負けるわけないけどね」
伊織「ふん、吠え面かかせてやるわよ」
クマの着こなしについてあーじゃないこーじゃないと意見を戦わせながら、歩を進める。
思えば、真とはいつも口論している気がする。
自分でも理由はよくわからないけど、こいつの顔を見るとなぜだか言い過ぎてしまう。ホント、なんでなのかしら?
そんな時、ふと気になったことがあった。
伊織「あんた、そのクマに名前ないの?」
真「え? あー……あるにはあるけど……」
伊織「はっきりしないわね。いつもみたいにハキハキ言いなさいよ」
真「……まこっくま」ボソッ
伊織「……は?」
真「だーかーらー、『まこっくま』だよ!」
伊織「あははっ! なにそれ、どういうネーミングセンスしてるのよ」
伊織「真にしては良い判断じゃない。まあ、あんたのセンスじゃロクな事にならないものね」
真「なんだと! そんなのやってみないとわからないじゃないか!」
伊織「なによ! じゃあ、どっちがその子を可愛く出来るか勝負してみる?」
真「へへーん、望むところだよ。ボクが負けるわけないけどね」
伊織「ふん、吠え面かかせてやるわよ」
クマの着こなしについてあーじゃないこーじゃないと意見を戦わせながら、歩を進める。
思えば、真とはいつも口論している気がする。
自分でも理由はよくわからないけど、こいつの顔を見るとなぜだか言い過ぎてしまう。ホント、なんでなのかしら?
そんな時、ふと気になったことがあった。
伊織「あんた、そのクマに名前ないの?」
真「え? あー……あるにはあるけど……」
伊織「はっきりしないわね。いつもみたいにハキハキ言いなさいよ」
真「……まこっくま」ボソッ
伊織「……は?」
真「だーかーらー、『まこっくま』だよ!」
伊織「あははっ! なにそれ、どういうネーミングセンスしてるのよ」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:36:00.37 :bZg1S7x20
後ろから読んでも
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:36:47.01 :w0uc/vIt0
>>15
まくっこま!
まくっこま!
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:37:27.55 :BjJIMEdS0
真「うぅぅ……春香が勝手に名付けたら、亜美と真美がそれを採用しちゃったんだよぉ~」
とんでもない名前をつけるものね。春香恐るべし。
思う存分に笑わせてもらったところで、目的のファンシーショップに到着した。
よくもまあ、これだけピンク色の物とフリフリした物を集めたものだと感心するような店で
見ているだけで胸焼けがしそうだった。
いかにも、まっこまっこりーんって感じである。
真「それじゃあ、早速」
伊織「勝負開始ね」
私と真は店の中へと散っていった。
………
……
…
伊織「予想通りに私の勝ちね」
真「そ、そんな馬鹿な……」
たっぷり時間をかけて選び抜いたコーデを見せ合った私たち。
ジャッジは店員さんにしてもらった。
結果は私の勝利。まっ、当然よね。
真「て、店員さ~ん……」
店員「いえ、あの、流石にこんな甘々でゴテゴテなコーデはちょっと……」
真「うぅぅ……春香が勝手に名付けたら、亜美と真美がそれを採用しちゃったんだよぉ~」
とんでもない名前をつけるものね。春香恐るべし。
思う存分に笑わせてもらったところで、目的のファンシーショップに到着した。
よくもまあ、これだけピンク色の物とフリフリした物を集めたものだと感心するような店で
見ているだけで胸焼けがしそうだった。
いかにも、まっこまっこりーんって感じである。
真「それじゃあ、早速」
伊織「勝負開始ね」
私と真は店の中へと散っていった。
………
……
…
伊織「予想通りに私の勝ちね」
真「そ、そんな馬鹿な……」
たっぷり時間をかけて選び抜いたコーデを見せ合った私たち。
ジャッジは店員さんにしてもらった。
結果は私の勝利。まっ、当然よね。
真「て、店員さ~ん……」
店員「いえ、あの、流石にこんな甘々でゴテゴテなコーデはちょっと……」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:41:39.90 :BjJIMEdS0
真「そ、そんなぁ~」
店員「ま、まぁ、こういうのは男性には向いてないですからねぇ」
真「」
あ、心が折れた。
真は男に間違えられたことがよほどショックだったのか、気味の悪い薄ら笑いを浮かべている。
あーもう、しようがないわね。
伊織「じゃあ、私が選んだのと……あとコレください」
私は花の髪飾りを一緒にレジに置いた。夏らしく涼し気な小物だ。
店員「かしこまりました。よくお似合いですよ」
伊織「え? あ、いや、これは――」
真「あー! 自分だけずるいよ、伊織!」
伊織「……」
伊織「ふん、負け犬は黙ってなさい。勝者には当然のご褒美よ」
ぎゃあぎゃあと喚く真をあしらっていると、店員さんがクスクスと笑っていた。
店員「仲がよろしいですね。そんなお二人にはお姉さんからこれをあげちゃいます」
伊織「これは……ペアチケット?」
真「そ、そんなぁ~」
店員「ま、まぁ、こういうのは男性には向いてないですからねぇ」
真「」
あ、心が折れた。
真は男に間違えられたことがよほどショックだったのか、気味の悪い薄ら笑いを浮かべている。
あーもう、しようがないわね。
伊織「じゃあ、私が選んだのと……あとコレください」
私は花の髪飾りを一緒にレジに置いた。夏らしく涼し気な小物だ。
店員「かしこまりました。よくお似合いですよ」
伊織「え? あ、いや、これは――」
真「あー! 自分だけずるいよ、伊織!」
伊織「……」
伊織「ふん、負け犬は黙ってなさい。勝者には当然のご褒美よ」
ぎゃあぎゃあと喚く真をあしらっていると、店員さんがクスクスと笑っていた。
店員「仲がよろしいですね。そんなお二人にはお姉さんからこれをあげちゃいます」
伊織「これは……ペアチケット?」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:45:00.26 :BjJIMEdS0
店員「本当は五千円以上お買い上げたお客様にしか差し上げないのですが、特別ですよ。どうせ期限も今日までですしね」
真「え、そんな、悪いですよ」
店員「いいから、いいから。いってらっしゃ~い」
どこぞの事務員みたいなノリの店員さんに背中を押されて、私と真は炎天下の屋外に出された。
困り顔の真がチケットを見ると、あっと声を上げた。
真「これ、まこっくまの故郷だ」
伊織「はぁ?」
………
……
…
伊織「はぁはぁ……あんた、なんでそんなに元気なのよ……」
真「伊織が運動不足なだけじゃない?」
伊織「んな訳ないでしょ。こっちはいつも律子に鍛えられてんのよ。この体力バカ……」
真「だらしないなぁ。じゃあ、ちょっと休憩しようか」
チケットはまこっくまを取った遊園地の物だった。
店員「本当は五千円以上お買い上げたお客様にしか差し上げないのですが、特別ですよ。どうせ期限も今日までですしね」
真「え、そんな、悪いですよ」
店員「いいから、いいから。いってらっしゃ~い」
どこぞの事務員みたいなノリの店員さんに背中を押されて、私と真は炎天下の屋外に出された。
困り顔の真がチケットを見ると、あっと声を上げた。
真「これ、まこっくまの故郷だ」
伊織「はぁ?」
………
……
…
伊織「はぁはぁ……あんた、なんでそんなに元気なのよ……」
真「伊織が運動不足なだけじゃない?」
伊織「んな訳ないでしょ。こっちはいつも律子に鍛えられてんのよ。この体力バカ……」
真「だらしないなぁ。じゃあ、ちょっと休憩しようか」
チケットはまこっくまを取った遊園地の物だった。
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:49:42.68 :BjJIMEdS0
せっかくだからと私と真は遊ぶことにしたのだけれど、あっちに乗りこっちに乗りと
片っ端からアトラクションを制覇していく真に付き合わされて、私はクタクタになっていた。
ホント、こいつの体力どうなってるのよ。
向かい合わせに座って、テーブルに頬を乗せる。あまり冷たくなくて期待はずれだ。
おまけに汗で張り付いた髪の毛が鬱陶しい。
真「ボクも髪の毛伸ばそうかなぁ」
伊織「あんた、嫌味で言ってるの?」
真「まさか! ねぇねぇ、ボクのロングヘアーどうかなっ?」
伊織「似合わないから止めときなさい」
真「ちぇ~。そりゃあ、伊織みたいに女の子らしくないけどさ。ボクだってけっこう悪くないと思うんだけどなぁ」
真「あの店員さんだって酷いと思わない? どこからどう見ても立派なレディなのにさ。うん、やっぱり髪伸ばそう! そうすれば間違えられることないもんね」
伊織「はぁ、そうじゃなくて」
伊織「私たちはアイドルでしょうが。あんた王子様キャラが売りなのに髪なんか伸ばしちゃダメでしょ?」
真「ロン毛の王子様も良いと思わない?」
伊織「ただのチャラ男に見えるわね、きっと」
真「ちぇ~」
唇と尖らせて、ふくれっ面を見せる真。
せっかくだからと私と真は遊ぶことにしたのだけれど、あっちに乗りこっちに乗りと
片っ端からアトラクションを制覇していく真に付き合わされて、私はクタクタになっていた。
ホント、こいつの体力どうなってるのよ。
向かい合わせに座って、テーブルに頬を乗せる。あまり冷たくなくて期待はずれだ。
おまけに汗で張り付いた髪の毛が鬱陶しい。
真「ボクも髪の毛伸ばそうかなぁ」
伊織「あんた、嫌味で言ってるの?」
真「まさか! ねぇねぇ、ボクのロングヘアーどうかなっ?」
伊織「似合わないから止めときなさい」
真「ちぇ~。そりゃあ、伊織みたいに女の子らしくないけどさ。ボクだってけっこう悪くないと思うんだけどなぁ」
真「あの店員さんだって酷いと思わない? どこからどう見ても立派なレディなのにさ。うん、やっぱり髪伸ばそう! そうすれば間違えられることないもんね」
伊織「はぁ、そうじゃなくて」
伊織「私たちはアイドルでしょうが。あんた王子様キャラが売りなのに髪なんか伸ばしちゃダメでしょ?」
真「ロン毛の王子様も良いと思わない?」
伊織「ただのチャラ男に見えるわね、きっと」
真「ちぇ~」
唇と尖らせて、ふくれっ面を見せる真。
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:50:27.98 :BjJIMEdS0
真「はぁあ~。去年、ここに来た時もプロデューサーと似たような話したなぁ」
真「あの時は納得したけど、いつまで我慢しなくちゃいけないのかなぁ」
真はどうやら本気で言っているらしい。不機嫌そうな、寂しそうな顔になっていた。
伊織「……」
伊織「私は羨ましいけどね」
真「えっ?」
伊織「あんた、女性ファンすごく多いじゃない。私からするとちょっと羨ましいわ」
真「そう? 伊織だって女の子のファンはいると思うけど」
そりゃ、いるにはいるけど微々たるものだ。男性ファンの方が圧倒的に多い。
別にそれが嫌な訳じゃない。
じゃないけど
伊織「お父様達を見返すには、誰からも愛されるアイドルにならないといけないのよ」
アイドルなんてと見下しているからには、男性ファンが多い現状では私の実力を認めさせにくい。
デビューした時に比べて、人気アイドルになったと思うけど、鼻を明かしてやるのはまだ先になりそうだった。
真「そっか、伊織がアイドルになったのってそのためだっけ」
伊織「そうよ」
真「ふぅん……なんだか、ボクと伊織って似てるね」
真「はぁあ~。去年、ここに来た時もプロデューサーと似たような話したなぁ」
真「あの時は納得したけど、いつまで我慢しなくちゃいけないのかなぁ」
真はどうやら本気で言っているらしい。不機嫌そうな、寂しそうな顔になっていた。
伊織「……」
伊織「私は羨ましいけどね」
真「えっ?」
伊織「あんた、女性ファンすごく多いじゃない。私からするとちょっと羨ましいわ」
真「そう? 伊織だって女の子のファンはいると思うけど」
そりゃ、いるにはいるけど微々たるものだ。男性ファンの方が圧倒的に多い。
別にそれが嫌な訳じゃない。
じゃないけど
伊織「お父様達を見返すには、誰からも愛されるアイドルにならないといけないのよ」
アイドルなんてと見下しているからには、男性ファンが多い現状では私の実力を認めさせにくい。
デビューした時に比べて、人気アイドルになったと思うけど、鼻を明かしてやるのはまだ先になりそうだった。
真「そっか、伊織がアイドルになったのってそのためだっけ」
伊織「そうよ」
真「ふぅん……なんだか、ボクと伊織って似てるね」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:52:18.04 :BjJIMEdS0
伊織「似てる?」
真「うん。ボクも父さんに女の子の自分を認めさせるためにアイドルやってるところあるし」
真「伊織はボクみたいに女の子のファンが増えて欲しくて、ボクは伊織みたいに女の子っぽくなりたい」
真「ねっ、似てるでしょ?」
まぁ、そう言われてみれば、似てる気がする。
真「だから、心配しなくても伊織も女の子のファンが増えるよ!」
真「だってボクと伊織は似てるからね。きっと男装とか似合うんじゃないかな!」
真「ボクが保証するよ」
伊織「…………」
真「ん? どうしたの、伊織?」
伊織「……何でもない」プイ
不覚だわ……この伊織ちゃんが真の笑顔に見惚れちゃうなんて……!
流石は王子様なんて呼ばれてないわね、笑顔の破壊力が半端ないわ。
真「なんか顔が赤いけど……もしかして熱中症!?」
伊織「違うわよ」
真「でも……」
伊織「似てる?」
真「うん。ボクも父さんに女の子の自分を認めさせるためにアイドルやってるところあるし」
真「伊織はボクみたいに女の子のファンが増えて欲しくて、ボクは伊織みたいに女の子っぽくなりたい」
真「ねっ、似てるでしょ?」
まぁ、そう言われてみれば、似てる気がする。
真「だから、心配しなくても伊織も女の子のファンが増えるよ!」
真「だってボクと伊織は似てるからね。きっと男装とか似合うんじゃないかな!」
真「ボクが保証するよ」
伊織「…………」
真「ん? どうしたの、伊織?」
伊織「……何でもない」プイ
不覚だわ……この伊織ちゃんが真の笑顔に見惚れちゃうなんて……!
流石は王子様なんて呼ばれてないわね、笑顔の破壊力が半端ないわ。
真「なんか顔が赤いけど……もしかして熱中症!?」
伊織「違うわよ」
真「でも……」
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:53:10.15 :BjJIMEdS0
伊織「そんなに心配ならジュースでも買って来なさい」
真「わ、わかった!」
慌てて駆けていく真をやっぱり単純ね、と思いながら見送る。
一人になったら、急に暑さが増した気がした。今日は本当に暑いわね。
……似ている、か。
よくよく考えたら、大きな違いがあった。私は真みたいに素直じゃない。
まあ、あんな風に単純にはなりたくないけど、時々羨ましく思うことがないこともない。
でも……
そんな事を考えていたら、私の上に影が落ちた。
チンピラ1「お嬢ちゃん、もしかして一人?」
目を向けるとバカ面を下げたバカが三人ほどいた。
暑いっていうのに、鬱陶しいことこの上ないわ。
チンピラ2「俺らが遊んでやろーか?」
伊織「……」
チンピラ3「ヒヒッ、てめぇの顔が怖くてビビらせてんだろ」
シャルル「伊織ちゃん、なんか言ってるよ?」
チンピラ1「あ?」
伊織「ダメよ、シャルル。バカが移るわ」
伊織「そんなに心配ならジュースでも買って来なさい」
真「わ、わかった!」
慌てて駆けていく真をやっぱり単純ね、と思いながら見送る。
一人になったら、急に暑さが増した気がした。今日は本当に暑いわね。
……似ている、か。
よくよく考えたら、大きな違いがあった。私は真みたいに素直じゃない。
まあ、あんな風に単純にはなりたくないけど、時々羨ましく思うことがないこともない。
でも……
そんな事を考えていたら、私の上に影が落ちた。
チンピラ1「お嬢ちゃん、もしかして一人?」
目を向けるとバカ面を下げたバカが三人ほどいた。
暑いっていうのに、鬱陶しいことこの上ないわ。
チンピラ2「俺らが遊んでやろーか?」
伊織「……」
チンピラ3「ヒヒッ、てめぇの顔が怖くてビビらせてんだろ」
シャルル「伊織ちゃん、なんか言ってるよ?」
チンピラ1「あ?」
伊織「ダメよ、シャルル。バカが移るわ」
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:56:25.31 :BjJIMEdS0
チンピラ2「お? お人形遊びか? 俺も混ぜてよぉ~伊織ちゃ~ん」
シャルル「うーん、確かにお馬鹿そうだね。見ていて可哀想になるよ」
伊織「あんな顔で生きていて恥ずかしくないのかしらね」
シャルル「あはは、伊織ちゃん言い過ぎだよ。せめてもう少しまともなお顔だったらいいのにね、位にしないと」
伊織「シャルルは優しいわね。でも、時にははっきり言ってあげる事も優しさよ、あんた達にはゴミ収集所がお似合いだって」
チンピラ達「「「……」」」
チンピラ3「こいつ、自分の立場わかってんの?」
あんたみたいな馬鹿じゃないんだから、当たり前でしょ。と心のなかで言っておく。
可憐な女の子一人と青筋立ててるチンピラ三人。けっこう危ない状況だ。
チンピラ1「あんま調子こいてんじぇねぇぞ、こら」
チンピラ2「お? お人形遊びか? 俺も混ぜてよぉ~伊織ちゃ~ん」
シャルル「うーん、確かにお馬鹿そうだね。見ていて可哀想になるよ」
伊織「あんな顔で生きていて恥ずかしくないのかしらね」
シャルル「あはは、伊織ちゃん言い過ぎだよ。せめてもう少しまともなお顔だったらいいのにね、位にしないと」
伊織「シャルルは優しいわね。でも、時にははっきり言ってあげる事も優しさよ、あんた達にはゴミ収集所がお似合いだって」
チンピラ達「「「……」」」
チンピラ3「こいつ、自分の立場わかってんの?」
あんたみたいな馬鹿じゃないんだから、当たり前でしょ。と心のなかで言っておく。
可憐な女の子一人と青筋立ててるチンピラ三人。けっこう危ない状況だ。
チンピラ1「あんま調子こいてんじぇねぇぞ、こら」
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 00:57:53.78 :BjJIMEdS0
汚らしい腕が私に伸びる寸前、
そいつは真横に吹っ飛んでいた。
飛んできた缶ジュースが側頭部にぶち当たったからだ。痛そうだわ……。
真「おい! 何やってるんだ!」
チンピラ2「んだよ、てめぇは!」
チンピラ3「お、おい! こいつ、真王子とか言う……ほら、去年もここでっ!」
チンピラ2「お、思い出した! あの時はよくも……ぐふっ」
言い終わる前に、真は顎に上段蹴りを食らわせて相手の意識を刈り取っていた。
真「去年ので懲りたかと思ったけど、まだこんな事してたんだな。もう容赦しないぞ」
チンピラ3「……ひ、ヒィィ」
残ったバカは気絶した二人を引きずって逃げていった。
残ったのは私と真だけ。
まっ、予想通りね。こいつは根っからの王子様体質なんだから、こういうベッタベタな展開になるに決まってるじゃない。
真「大丈夫、伊織?」
真が私の事を心配そうに覗きこんでくる。
伊織「……当たり前でしょ」
汚らしい腕が私に伸びる寸前、
そいつは真横に吹っ飛んでいた。
飛んできた缶ジュースが側頭部にぶち当たったからだ。痛そうだわ……。
真「おい! 何やってるんだ!」
チンピラ2「んだよ、てめぇは!」
チンピラ3「お、おい! こいつ、真王子とか言う……ほら、去年もここでっ!」
チンピラ2「お、思い出した! あの時はよくも……ぐふっ」
言い終わる前に、真は顎に上段蹴りを食らわせて相手の意識を刈り取っていた。
真「去年ので懲りたかと思ったけど、まだこんな事してたんだな。もう容赦しないぞ」
チンピラ3「……ひ、ヒィィ」
残ったバカは気絶した二人を引きずって逃げていった。
残ったのは私と真だけ。
まっ、予想通りね。こいつは根っからの王子様体質なんだから、こういうベッタベタな展開になるに決まってるじゃない。
真「大丈夫、伊織?」
真が私の事を心配そうに覗きこんでくる。
伊織「……当たり前でしょ」
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:00:24.51 :BjJIMEdS0
いくらベタで、予想してたと言え、このシチュエーションは反則だ。
さっきの笑顔と重なって、真の顔をまっすぐに見れない。
真「もう、心配させないでよね。ああいう時は叫んで助けを呼ばないとダメだよ」
だから、つい強がってしまった。
伊織「ふん、あんな連中、私一人でどうにかなったわよ」
真「そんなわけないだろ。全く、伊織はもうちょっと賢いと思ってたよ」
伊織「なんですって! 大体、助けてくれなんて言ってないでしょ! 余計なお世話なのよ!」
真「むっ! 嘘つけ、さっきは泣きそうな顔してた癖に。本当は怖かったんだろ~」
伊織「んな訳ないでしょ! どうすればそうなるのよ! ついに目玉まで筋肉になったんじゃないの!?」
真「い、言ったなぁ! せっかくジュースまで買ってきてやったのに!」
伊織「はっ! 何よこれ、ポカリじゃない、バカじゃないの。ジュースって言ったら100%のオレンジジュースに決まってるでしょ。そんな事もわからないわけ?」
真「くぅぅ! もう、頭に来た! 伊織の事なんて知らないよ! ボク、もう帰る!」
伊織「こっちだって付き合ってられないわよ! じゃあね!」
真はまこっくまと購入したアクセサリーを持って、背中を向けて歩いて行ってしまった。
一人になった途端、何ともいえない虚脱感に襲われた。太陽は相変わらず地面を熱している。
伊織「……」
いくらベタで、予想してたと言え、このシチュエーションは反則だ。
さっきの笑顔と重なって、真の顔をまっすぐに見れない。
真「もう、心配させないでよね。ああいう時は叫んで助けを呼ばないとダメだよ」
だから、つい強がってしまった。
伊織「ふん、あんな連中、私一人でどうにかなったわよ」
真「そんなわけないだろ。全く、伊織はもうちょっと賢いと思ってたよ」
伊織「なんですって! 大体、助けてくれなんて言ってないでしょ! 余計なお世話なのよ!」
真「むっ! 嘘つけ、さっきは泣きそうな顔してた癖に。本当は怖かったんだろ~」
伊織「んな訳ないでしょ! どうすればそうなるのよ! ついに目玉まで筋肉になったんじゃないの!?」
真「い、言ったなぁ! せっかくジュースまで買ってきてやったのに!」
伊織「はっ! 何よこれ、ポカリじゃない、バカじゃないの。ジュースって言ったら100%のオレンジジュースに決まってるでしょ。そんな事もわからないわけ?」
真「くぅぅ! もう、頭に来た! 伊織の事なんて知らないよ! ボク、もう帰る!」
伊織「こっちだって付き合ってられないわよ! じゃあね!」
真はまこっくまと購入したアクセサリーを持って、背中を向けて歩いて行ってしまった。
一人になった途端、何ともいえない虚脱感に襲われた。太陽は相変わらず地面を熱している。
伊織「……」
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:03:20.89 :BjJIMEdS0
伊織「……ばか」
半分は真に、半分は自分に向けて呟き、私も歩き出した。
が、日陰から出た瞬間に強い日差しを浴びて、立ちくらみを起こしてしまい、
それは一瞬だったけれど、踏み出した足がもつれ、私は体制を崩してしまった。
手を付けば何ともなかったけれど、今はシャルルを抱えている。
結果、私は顔から地面に突っ伏していた。
ホント、最悪。なんで素直にありがとうって言えないのよ、私は。
その時、再び私の上に影が落ちた。
真「……」
伊織「……」プイ
真「はぁ……ほら顔見せて」
真「全く、伊織はアイドルなん……じゃなくて、女の子なんだから、顔に怪我でもしたらどうするんだよ」
伊織「……うるさい」
真「顔は特に大したことないね。他に痛いとこある?」
伊織「ないわ――っ!」
言い終わる前に膝に痛みが走って、立ち上がるのを中断してしまった。
真「膝か。……うーん、ちょっとこれは」
伊織「……ばか」
半分は真に、半分は自分に向けて呟き、私も歩き出した。
が、日陰から出た瞬間に強い日差しを浴びて、立ちくらみを起こしてしまい、
それは一瞬だったけれど、踏み出した足がもつれ、私は体制を崩してしまった。
手を付けば何ともなかったけれど、今はシャルルを抱えている。
結果、私は顔から地面に突っ伏していた。
ホント、最悪。なんで素直にありがとうって言えないのよ、私は。
その時、再び私の上に影が落ちた。
真「……」
伊織「……」プイ
真「はぁ……ほら顔見せて」
真「全く、伊織はアイドルなん……じゃなくて、女の子なんだから、顔に怪我でもしたらどうするんだよ」
伊織「……うるさい」
真「顔は特に大したことないね。他に痛いとこある?」
伊織「ないわ――っ!」
言い終わる前に膝に痛みが走って、立ち上がるのを中断してしまった。
真「膝か。……うーん、ちょっとこれは」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:06:08.44 :BjJIMEdS0
真「仕方ない。ほら」
真は私にまこっくまを渡すと、背中を向けてきた。
もしかしなくても、おぶるつもりなんだろう。
伊織「……いらない」
真「こんな時まで強がらない! さっ、早く」
私はおずおずと手を伸ばしたり、引っ込めたりを繰り返す。は、恥ずかしい……。
真「早くしないとお姫様抱っこで連れて帰るよ?」
私はすぐさま真の背中に飛びついたのだった。
伊織「あっ……」
真「ん? どうかした?」
伊織「……何でもない」
真「そう。じゃあ行くよ。しっかり捕まって」
真の背中は思ってたよりずっと小さくて華奢だった。
普段の男みたいなイメージから結びつかない細い背中。
……何よ、ちゃんと、女の子じゃない。
真「仕方ない。ほら」
真は私にまこっくまを渡すと、背中を向けてきた。
もしかしなくても、おぶるつもりなんだろう。
伊織「……いらない」
真「こんな時まで強がらない! さっ、早く」
私はおずおずと手を伸ばしたり、引っ込めたりを繰り返す。は、恥ずかしい……。
真「早くしないとお姫様抱っこで連れて帰るよ?」
私はすぐさま真の背中に飛びついたのだった。
伊織「あっ……」
真「ん? どうかした?」
伊織「……何でもない」
真「そう。じゃあ行くよ。しっかり捕まって」
真の背中は思ってたよりずっと小さくて華奢だった。
普段の男みたいなイメージから結びつかない細い背中。
……何よ、ちゃんと、女の子じゃない。
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:09:39.39 :BjJIMEdS0
それからは二人共無言だった。そのせいか意識が膝の痛みにいってしまう。
何時だかの事務所対抗の運動会で、真が膝を痛めた事を思い出す。
まだちゃんと謝ってなかったなぁ。
今更謝るなんて……でも、こんな時だからこそ……
伊織「ま、真……」
真「何?」
伊織「こ、こ、この……」
真「この?」
伊織「……」
伊織「この伊織ちゃんを背負えるなんて光栄に思いなさいよね!」
……私のばか。
真「はいはい。身に余る思いですよ、お嬢様。あははっ」
真の朗らかな笑いに釣られて、私も頬が緩む。
いつの間にか辺りは夕暮れになっていて、不快な空気は心地いい夕風に変わっていた。
………
……
…
それからは二人共無言だった。そのせいか意識が膝の痛みにいってしまう。
何時だかの事務所対抗の運動会で、真が膝を痛めた事を思い出す。
まだちゃんと謝ってなかったなぁ。
今更謝るなんて……でも、こんな時だからこそ……
伊織「ま、真……」
真「何?」
伊織「こ、こ、この……」
真「この?」
伊織「……」
伊織「この伊織ちゃんを背負えるなんて光栄に思いなさいよね!」
……私のばか。
真「はいはい。身に余る思いですよ、お嬢様。あははっ」
真の朗らかな笑いに釣られて、私も頬が緩む。
いつの間にか辺りは夕暮れになっていて、不快な空気は心地いい夕風に変わっていた。
………
……
…
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:13:49.78 :BjJIMEdS0
事務所に帰ると誰もいなかった。小鳥はどうせサボっているのだろう。
真は私の膝に氷を当ててくれていた。
伊織「自分でやるから、あんたはまこっくまを飾ってあげなさいよ」
真「じゃあ、そうさせてもらおうかな」
真が嬉しそうにまこっくまを飾り付ける。顔が緩みすぎよ、ばか。
……チャンスは今しかないわね。
伊織「真、そのクマ持ってこっちに来なさい」
はてなマークを浮かべながらも、真は飾り付けを終えたまこっくまを持ってテーブルに近づいてくる。
真を対面のソファーに座らせて、私はシャルルをテーブルに置いた。
伊織「……おほん」
真「?」
シャルル「ま、まこっくまちゃん。とってもよく似合ってるよ」
真「」
事務所に帰ると誰もいなかった。小鳥はどうせサボっているのだろう。
真は私の膝に氷を当ててくれていた。
伊織「自分でやるから、あんたはまこっくまを飾ってあげなさいよ」
真「じゃあ、そうさせてもらおうかな」
真が嬉しそうにまこっくまを飾り付ける。顔が緩みすぎよ、ばか。
……チャンスは今しかないわね。
伊織「真、そのクマ持ってこっちに来なさい」
はてなマークを浮かべながらも、真は飾り付けを終えたまこっくまを持ってテーブルに近づいてくる。
真を対面のソファーに座らせて、私はシャルルをテーブルに置いた。
伊織「……おほん」
真「?」
シャルル「ま、まこっくまちゃん。とってもよく似合ってるよ」
真「」
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:15:23.75 :BjJIMEdS0
真が口をポカンと開けていた。
く、空気を読みなさいよ!
キッと睨みつけると、真はやれやれと言った様子でまこっくまをテーブルに乗せる。
まこっくま「ありがとう、シャルル君」
シャルル「流石はボクの親友の伊織ちゃんが選んだことはあるね」
まこっくま「うぅ、ボクのご主人様が選んだのも可愛かったんだけどなぁ」
シャルル「うん。ボクもそう思う」
真「えっ?」
伊織「……」
真が私を凝視するけど、構わずに続けることにする。
シャルル「ボクは真のこととっても女の子らしいって思う。まこっくまちゃんもそう思うでしょ?」
まこっくま「う、うん、もちろん。でも、どうして……?」
シャルル「だって……」
シャルル「だって、伊織ちゃんと真は似てるから」
真が口をポカンと開けていた。
く、空気を読みなさいよ!
キッと睨みつけると、真はやれやれと言った様子でまこっくまをテーブルに乗せる。
まこっくま「ありがとう、シャルル君」
シャルル「流石はボクの親友の伊織ちゃんが選んだことはあるね」
まこっくま「うぅ、ボクのご主人様が選んだのも可愛かったんだけどなぁ」
シャルル「うん。ボクもそう思う」
真「えっ?」
伊織「……」
真が私を凝視するけど、構わずに続けることにする。
シャルル「ボクは真のこととっても女の子らしいって思う。まこっくまちゃんもそう思うでしょ?」
まこっくま「う、うん、もちろん。でも、どうして……?」
シャルル「だって……」
シャルル「だって、伊織ちゃんと真は似てるから」
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:16:35.91 :BjJIMEdS0
シャルル「とっても可愛い伊織ちゃんと似てるんだから、真も可愛いに決まってるよ」
シャルル「だから、きっといつかステキな女の子らしいアイドルになれると思うな」
真「……」
まこっくま「そっか。うん、ありがとう、シャルル君。ご主人様もきっと喜ぶよ」
シャルル「あ、後ね……」
まこっくま「うん?」
シャルル「運動会の事とか今日のこととか、ほ、他にも色々……」
シャルル「ごめんなさい」
シャルル「それと……ありがとう。とっても嬉しかったよ」
シャルル「とっても可愛い伊織ちゃんと似てるんだから、真も可愛いに決まってるよ」
シャルル「だから、きっといつかステキな女の子らしいアイドルになれると思うな」
真「……」
まこっくま「そっか。うん、ありがとう、シャルル君。ご主人様もきっと喜ぶよ」
シャルル「あ、後ね……」
まこっくま「うん?」
シャルル「運動会の事とか今日のこととか、ほ、他にも色々……」
シャルル「ごめんなさい」
シャルル「それと……ありがとう。とっても嬉しかったよ」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:17:49.40 :BjJIMEdS0
そう言った後、私は購入した花の髪飾りをテーブルに置いた。本当は真に贈ろうと思っていたから。
真「……」
シャルル「い、伊織ちゃんの代わりにボクが言ったから、後でまこっくまちゃんから真に伝えて置いてね!」
まこっくま「うん、そうするよ。それと」
伊織「?」
まこっくま「ボクも今日はとっても楽しかったよ。ありがとう」
伊織「……」
真「……」
伊織&真「「ふふっ」」
「「あはははは」」
そう言った後、私は購入した花の髪飾りをテーブルに置いた。本当は真に贈ろうと思っていたから。
真「……」
シャルル「い、伊織ちゃんの代わりにボクが言ったから、後でまこっくまちゃんから真に伝えて置いてね!」
まこっくま「うん、そうするよ。それと」
伊織「?」
まこっくま「ボクも今日はとっても楽しかったよ。ありがとう」
伊織「……」
真「……」
伊織&真「「ふふっ」」
「「あはははは」」
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:20:03.48 :BjJIMEdS0
なんだか、楽しくて、嬉しくて、こそばゆくて
私たちはそうしてしばらくの間、笑い合っていたのだった。
………
……
…
~~後日~~
シャルル「そう言えば、伊織ちゃん。家族が増えるのってどういうことなの?」
伊織「あー、その事ね。ほら、ここを見て」
私はシャルルを事務所に置いてあるまこっくまの前まで連れて行った。
シャルル「あ……この耳飾り、ボクとお揃いだ」
伊織「そうよ。というわけで、はい」
シャルルの唇をまこっくまのほっぺたにとっても優しく押し付ける。
伊織「家族のキスよ。これでシャルルとこの子は家族だからね」
シャルル「い、いきなり、ずるいよー。もう、伊織ちゃんったら!」
伊織「にひひっ」
~~END~~
なんだか、楽しくて、嬉しくて、こそばゆくて
私たちはそうしてしばらくの間、笑い合っていたのだった。
………
……
…
~~後日~~
シャルル「そう言えば、伊織ちゃん。家族が増えるのってどういうことなの?」
伊織「あー、その事ね。ほら、ここを見て」
私はシャルルを事務所に置いてあるまこっくまの前まで連れて行った。
シャルル「あ……この耳飾り、ボクとお揃いだ」
伊織「そうよ。というわけで、はい」
シャルルの唇をまこっくまのほっぺたにとっても優しく押し付ける。
伊織「家族のキスよ。これでシャルルとこの子は家族だからね」
シャルル「い、いきなり、ずるいよー。もう、伊織ちゃんったら!」
伊織「にひひっ」
~~END~~
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:21:17.80 :WLQXpPHX0
おつおつ
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:22:08.95 :BjJIMEdS0
蛇足の後日談
亜美真美「「んっふっふ~」
伊織「何よ、気持ち悪いわね」
亜美「亜美達見ちゃったんだよねぇ~」
真美「いおりんとまこちんのデートを!」
伊織「は、はぁ!?」
亜美「いやぁ、ラブラブ過ぎて、妬けちゃいますなぁ」
真美「太陽のジェラシーって感じだったねぇ~」
伊織「な、何を言っているんだか、かかか皆目検討がつかないわ!」
亜美「おっと、もうネタは上がってるんですぜぇ。じゃじゃーん!」
伊織「こ、これは! なんで一部始終、盗み撮りされてんのよ!」
小鳥「まさかあんなところで一眼レフが役に立つとは思わなかったわ~」
伊織「あ、あんたねぇ~! はっ! だから、あの時誰も事務所にいなかったのね!」
真美「デートに夢中だったから尾行にも気が付かなかったんだね。おまけに事務所に帰って来たと思ったら……ぷぷぷっ!」
伊織「きいいぃぃ~~!!! あ、あんた達! 覚えておきなさいよ!!」
~~今度こそおしまい~~
蛇足の後日談
亜美真美「「んっふっふ~」
伊織「何よ、気持ち悪いわね」
亜美「亜美達見ちゃったんだよねぇ~」
真美「いおりんとまこちんのデートを!」
伊織「は、はぁ!?」
亜美「いやぁ、ラブラブ過ぎて、妬けちゃいますなぁ」
真美「太陽のジェラシーって感じだったねぇ~」
伊織「な、何を言っているんだか、かかか皆目検討がつかないわ!」
亜美「おっと、もうネタは上がってるんですぜぇ。じゃじゃーん!」
伊織「こ、これは! なんで一部始終、盗み撮りされてんのよ!」
小鳥「まさかあんなところで一眼レフが役に立つとは思わなかったわ~」
伊織「あ、あんたねぇ~! はっ! だから、あの時誰も事務所にいなかったのね!」
真美「デートに夢中だったから尾行にも気が付かなかったんだね。おまけに事務所に帰って来たと思ったら……ぷぷぷっ!」
伊織「きいいぃぃ~~!!! あ、あんた達! 覚えておきなさいよ!!」
~~今度こそおしまい~~
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:23:21.81 :BjJIMEdS0
終了です。夜中なのに、呼んでくれた方、ありがとうございました。
終了です。夜中なのに、呼んでくれた方、ありがとうございました。
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:28:22.63 :581y6Nlw0
乙!
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/08/08(水) 01:28:54.12 :bZg1S7x20
まこと乙だった
コメント