1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:07:59.68 :TmyqelVqO
――765プロ事務所前
――21:00
P「もうこんな時間かよ…何だってテレビ局の会議ってヤツは長いんだ…。合い鍵持って行ってて良かった…」
「~♪」
P「…ん?事務所にまだ誰かいるのか?歌声が聞こえる」
P「…」
「夏は光いっぱ…」
「奇跡じゃなく…」
P「…これって…あぁ、そうか…」
P「…」
P「やっぱり、綺麗な歌声だなぁ…」
「だって巡ってまた春は来るから…」
P「…」
P「お疲れさまです。こんな時間まで、残業ですか?」
―――
――
―
――765プロ事務所前
――21:00
P「もうこんな時間かよ…何だってテレビ局の会議ってヤツは長いんだ…。合い鍵持って行ってて良かった…」
「~♪」
P「…ん?事務所にまだ誰かいるのか?歌声が聞こえる」
P「…」
「夏は光いっぱ…」
「奇跡じゃなく…」
P「…これって…あぁ、そうか…」
P「…」
P「やっぱり、綺麗な歌声だなぁ…」
「だって巡ってまた春は来るから…」
P「…」
P「お疲れさまです。こんな時間まで、残業ですか?」
―――
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2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:09:25.13 :TmyqelVqO
小鳥「ふふっ。いきなりプロデューサーさんが入ってくるんですもの。ビックリしちゃいましたよ」
小鳥「年甲斐もなくあんな風に誰かの歌を歌うとこを見られるなんて、ちょっぴり恥ずかしいですね」
P「ははっ。そんなことないです。いい歌声でした。それと小鳥さん?」
小鳥「はい?なんです?」」
P「すみません。実はいきなりじゃ、なかったりします」
小鳥「えっ?」
P「『久しぶり』に、ゆっくり聴きましたよ。貴女の歌声」
小鳥「『久しぶり』?」
小鳥「って事は、知ってたんですか」
小鳥「ふふっ。いきなりプロデューサーさんが入ってくるんですもの。ビックリしちゃいましたよ」
小鳥「年甲斐もなくあんな風に誰かの歌を歌うとこを見られるなんて、ちょっぴり恥ずかしいですね」
P「ははっ。そんなことないです。いい歌声でした。それと小鳥さん?」
小鳥「はい?なんです?」」
P「すみません。実はいきなりじゃ、なかったりします」
小鳥「えっ?」
P「『久しぶり』に、ゆっくり聴きましたよ。貴女の歌声」
小鳥「『久しぶり』?」
小鳥「って事は、知ってたんですか」
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:10:13.43 :TmyqelVqO
P「えぇ。さっきのは、小鳥さんがデビューした…最初のシングル」
P「小鳥さんは気付いてないと思いますが、実は俺」
小鳥「?」
P「貴女のファンだったんですよ?何度もライブに行ったりもしてました」
小鳥「くすっ。まさか」
P「『いつか咲こう きっと』」
P「『諦めないで 葉を広げて』」
小鳥「プロデューサーさん、それ…」
P「良かった。忘れてしまってはいないんですね」
小鳥「忘れるわけ…ないじゃないですか…だってそれは…」
小鳥「私の歌…なんですから」
P「最初」
小鳥「えっ?」
P「えぇ。さっきのは、小鳥さんがデビューした…最初のシングル」
P「小鳥さんは気付いてないと思いますが、実は俺」
小鳥「?」
P「貴女のファンだったんですよ?何度もライブに行ったりもしてました」
小鳥「くすっ。まさか」
P「『いつか咲こう きっと』」
P「『諦めないで 葉を広げて』」
小鳥「プロデューサーさん、それ…」
P「良かった。忘れてしまってはいないんですね」
小鳥「忘れるわけ…ないじゃないですか…だってそれは…」
小鳥「私の歌…なんですから」
P「最初」
小鳥「えっ?」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:11:09.34 :TmyqelVqO
P「社長にスカウトされ、初めて事務所に来たときはビックリしました。だって」
小鳥「…」
P「だって、俺が憧れていたアイドルが、そこにいたんですから」
小鳥「…プロデューサーさん?」
P「なんです?」
小鳥「私は、プロデューサーさんが憧れるようなアイドルでは無かったんです」
P「どうして?」
小鳥「私は、諦めてしまったんですよ」
小鳥「歌うことを」
小鳥「夢とか希望とか、誰かにあげられる事が出来なかったんです」
P「…」
P「社長にスカウトされ、初めて事務所に来たときはビックリしました。だって」
小鳥「…」
P「だって、俺が憧れていたアイドルが、そこにいたんですから」
小鳥「…プロデューサーさん?」
P「なんです?」
小鳥「私は、プロデューサーさんが憧れるようなアイドルでは無かったんです」
P「どうして?」
小鳥「私は、諦めてしまったんですよ」
小鳥「歌うことを」
小鳥「夢とか希望とか、誰かにあげられる事が出来なかったんです」
P「…」
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:12:32.65 :TmyqelVqO
小鳥「な~んて、あんなに未練たらしく過去の持ち歌…誰からも忘れられた歌を歌ってる時点で、ただの言い訳にしかならないんですけどね?ふふっ」
P「…」
小鳥「プロデューサーさん?」
P「覚えていますか?」
小鳥「えっ?」
P「…貴女がデビューしてから、最初のライブ」
P「ちいさなちいさなライブハウスでした」
小鳥「…」
P「決して満員とは言えないライブハウス。ですが貴女は、とても楽しそうに歌っていました」
小鳥「プロデューサーさん?」
P「そして…ライブも終わりに近付き、小鳥さん…貴女はこう言ったんです」
小鳥「な~んて、あんなに未練たらしく過去の持ち歌…誰からも忘れられた歌を歌ってる時点で、ただの言い訳にしかならないんですけどね?ふふっ」
P「…」
小鳥「プロデューサーさん?」
P「覚えていますか?」
小鳥「えっ?」
P「…貴女がデビューしてから、最初のライブ」
P「ちいさなちいさなライブハウスでした」
小鳥「…」
P「決して満員とは言えないライブハウス。ですが貴女は、とても楽しそうに歌っていました」
小鳥「プロデューサーさん?」
P「そして…ライブも終わりに近付き、小鳥さん…貴女はこう言ったんです」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:13:54.11 :TmyqelVqO
『私はなんの取り柄も無いけれど。
私の歌で誰かが元気になってくれるなら。
誰かが笑ってくれるなら。
誰かが夢を抱いてくれるなら。
私は歌いたい。
だから、私に歌を歌わせてください。だから私に、夢を見させてください。
私と一緒に、夢を見てください』
『私はなんの取り柄も無いけれど。
私の歌で誰かが元気になってくれるなら。
誰かが笑ってくれるなら。
誰かが夢を抱いてくれるなら。
私は歌いたい。
だから、私に歌を歌わせてください。だから私に、夢を見させてください。
私と一緒に、夢を見てください』
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:15:02.96 :TmyqelVqO
小鳥「…」
小鳥「よく…そんな昔の事を覚えていますね…」
P「シングル4枚、活動期間2年…花の様に咲いて、散っていった」
P「ですけど俺は、忘れることが出来ませんでした。あの時の笑顔、歌声…。
それもあっての事なんだと思います。俺が、アイドルのプロデューサーになったのは」
小鳥「ふふっ。私に昔を思い出させて…どうするおつもりなんですか?」
P「どうもしませんよ?ただ…」
小鳥「ただ?」
P「ここに、貴女のファンがいるという事を忘れないでください」
小鳥「あっ…」
小鳥「…」
小鳥「よく…そんな昔の事を覚えていますね…」
P「シングル4枚、活動期間2年…花の様に咲いて、散っていった」
P「ですけど俺は、忘れることが出来ませんでした。あの時の笑顔、歌声…。
それもあっての事なんだと思います。俺が、アイドルのプロデューサーになったのは」
小鳥「ふふっ。私に昔を思い出させて…どうするおつもりなんですか?」
P「どうもしませんよ?ただ…」
小鳥「ただ?」
P「ここに、貴女のファンがいるという事を忘れないでください」
小鳥「あっ…」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:16:03.39 :TmyqelVqO
P「誰が何と言おうと、貴女はアイドルなんです。たとえ現役じゃなくったって…こうして今も、俺の中にアイドルとしての小鳥さんがいる」
小鳥「んっ…」
小鳥「ふふっ」
小鳥「…ねぇ、プロデューサーさん?」
P「…なんです?」
小鳥「こうやって、女を抱き締めながらそんな事を言ってしまうと…女は勘違いしてしまうんですよ?」
P「…構いません」
小鳥「…えっ?」
P「勘違いしてくれても、構わないです」
小鳥「えっ?あの、プロデューサーさん?」
P「誰が何と言おうと、貴女はアイドルなんです。たとえ現役じゃなくったって…こうして今も、俺の中にアイドルとしての小鳥さんがいる」
小鳥「んっ…」
小鳥「ふふっ」
小鳥「…ねぇ、プロデューサーさん?」
P「…なんです?」
小鳥「こうやって、女を抱き締めながらそんな事を言ってしまうと…女は勘違いしてしまうんですよ?」
P「…構いません」
小鳥「…えっ?」
P「勘違いしてくれても、構わないです」
小鳥「えっ?あの、プロデューサーさん?」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:17:07.39 :TmyqelVqO
P「そうしたら、ずっと勘違いしたままでいてもらいますから」
小鳥「ばか」
P「ははっ。いまごろ気付いたんですか?実は、そうなんです」
小鳥「ばか」
P「小鳥さん、ひとついいですか?」
小鳥「なんです?」
P「覚えていますか?貴女が最後にリリースした、ラストシングル」
小鳥「忘れる訳、ありませんよ」
P「そうしたら、ずっと勘違いしたままでいてもらいますから」
小鳥「ばか」
P「ははっ。いまごろ気付いたんですか?実は、そうなんです」
小鳥「ばか」
P「小鳥さん、ひとついいですか?」
小鳥「なんです?」
P「覚えていますか?貴女が最後にリリースした、ラストシングル」
小鳥「忘れる訳、ありませんよ」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:18:08.26 :TmyqelVqO
P「『もしも道に迷った日は自由に歩いてごらん
そしていつだって素直でいて』」
小鳥「!」
小鳥「…くすっ」
小鳥「『もしも失敗が恐い日は思いっきり泣いてごらん
そしてどこだって未来はあると知って欲しい』」
P「いい曲ですよね」
小鳥「えぇ。とっても」
P「小鳥さんは…」
小鳥「はい?」
P「…」
P「小鳥さんは…迷っていますか?」
小鳥「どういう意味、ですか?」
P「…」
P「『もしも道に迷った日は自由に歩いてごらん
そしていつだって素直でいて』」
小鳥「!」
小鳥「…くすっ」
小鳥「『もしも失敗が恐い日は思いっきり泣いてごらん
そしてどこだって未来はあると知って欲しい』」
P「いい曲ですよね」
小鳥「えぇ。とっても」
P「小鳥さんは…」
小鳥「はい?」
P「…」
P「小鳥さんは…迷っていますか?」
小鳥「どういう意味、ですか?」
P「…」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:19:28.45 :TmyqelVqO
P「
『光り輝け
みんなひとりひとつの光を
光り輝け
あなたらしいあなたのその光を
愛してるから
どうか負けないで』」
小鳥「…」
P「小鳥さん」
小鳥「…」
P「もし、もう一人じゃ光り輝けないのなら…」
P「
『光り輝け
みんなひとりひとつの光を
光り輝け
あなたらしいあなたのその光を
愛してるから
どうか負けないで』」
小鳥「…」
P「小鳥さん」
小鳥「…」
P「もし、もう一人じゃ光り輝けないのなら…」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:21:46.99 :TmyqelVqO
小鳥「んっ…ちゅっ…」
小鳥「あっ…」
P「俺が一緒に輝きます。小鳥さんが朝日で生まれる光なら、俺は一緒に生まれる影になります」
P「だから」
小鳥「んっ…」
小鳥「もう…強引なんですから」
P「えぇ。こうでもしないと、貴女は逃げてしまいますから」
小鳥「ふふっ。酷い人」
小鳥「んっ…ちゅっ…」
小鳥「あっ…」
P「俺が一緒に輝きます。小鳥さんが朝日で生まれる光なら、俺は一緒に生まれる影になります」
P「だから」
小鳥「んっ…」
小鳥「もう…強引なんですから」
P「えぇ。こうでもしないと、貴女は逃げてしまいますから」
小鳥「ふふっ。酷い人」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:23:02.79 :TmyqelVqO
P「小鳥さん程じゃありませんって」
小鳥「えー?どういう意味ですかー?それ」
P「小鳥さんが突然引退した時…本当に悲しかったんですから。もう会えない、もう歌声を聴けない、って」
小鳥「…ごめんなさい」
P「いいですよ、もう」
小鳥「プロデューサーさん、そんなに強く抱き締められたら…んぅ…」
P「形は違えど、こうして俺の前に貴女がいるんですから…」
小鳥「…」
P「どうしました?」
小鳥「…」
P「小鳥さん程じゃありませんって」
小鳥「えー?どういう意味ですかー?それ」
P「小鳥さんが突然引退した時…本当に悲しかったんですから。もう会えない、もう歌声を聴けない、って」
小鳥「…ごめんなさい」
P「いいですよ、もう」
小鳥「プロデューサーさん、そんなに強く抱き締められたら…んぅ…」
P「形は違えど、こうして俺の前に貴女がいるんですから…」
小鳥「…」
P「どうしました?」
小鳥「…」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:24:21.03 :TmyqelVqO
P「小鳥さん?」
小鳥「私…」
P「?」
小鳥「貴方からの言葉…聞いてません…」
P「言葉?」
小鳥「その…『好き』って…ちゃんと言って…」
小鳥「私を、安心させて…んっ…」
小鳥「ふぁっ…また…キス…」
P「好きです」
小鳥「!」
P「好きです、小鳥さん。何年も、何年も、」
P「ずっと片想いでした。遠く離れた、空の上のアイドルに恋をするだなんて、自分でも馬鹿だって思いました」
小鳥「プロデューサーさん…」
P「でも、好きなものは好きなんだからしょうがないんです。実際、今だって…」
P「恋、してるんですから」
P「小鳥さん?」
小鳥「私…」
P「?」
小鳥「貴方からの言葉…聞いてません…」
P「言葉?」
小鳥「その…『好き』って…ちゃんと言って…」
小鳥「私を、安心させて…んっ…」
小鳥「ふぁっ…また…キス…」
P「好きです」
小鳥「!」
P「好きです、小鳥さん。何年も、何年も、」
P「ずっと片想いでした。遠く離れた、空の上のアイドルに恋をするだなんて、自分でも馬鹿だって思いました」
小鳥「プロデューサーさん…」
P「でも、好きなものは好きなんだからしょうがないんです。実際、今だって…」
P「恋、してるんですから」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:25:35.84 :TmyqelVqO
小鳥「プロデューサーさん…」
P「…安心、してくれましたか?」
小鳥「…はい」
小鳥「…」
小鳥「そうだ、プロデューサーさん」
P「何ですか?」
小鳥「ひとつ、聴いてください」
P「…?」
小鳥「私の始まりは、アイドル。なら、私の終わりはどこにあるの?」
小鳥「それを教えてくれた貴方に、聴いてほしいんです」
小鳥「今はもう『アイドル』じゃない」
小鳥「だから、一人の『音無小鳥』としての…」
小鳥「始まりの、一曲」
小鳥「空」
おわり
小鳥「プロデューサーさん…」
P「…安心、してくれましたか?」
小鳥「…はい」
小鳥「…」
小鳥「そうだ、プロデューサーさん」
P「何ですか?」
小鳥「ひとつ、聴いてください」
P「…?」
小鳥「私の始まりは、アイドル。なら、私の終わりはどこにあるの?」
小鳥「それを教えてくれた貴方に、聴いてほしいんです」
小鳥「今はもう『アイドル』じゃない」
小鳥「だから、一人の『音無小鳥』としての…」
小鳥「始まりの、一曲」
小鳥「空」
おわり
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:26:27.83 :TmyqelVqO
はい。ここまでありがとうございました
はい。ここまでありがとうございました
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:26:56.07 :HCDAnuju0
あ、甘酸っぺぇ……
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/14(金) 21:41:24.79 :6tzE14OI0
ことりさんきゃわわ
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