1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:14:33.03 :Qa8V8fiY0
男「なあ、いい加減諦めたらどうだ?」
女「え? 何の話だい」
男「普通に考えて、今日はもうエンジン切れだろ」
女「まさか、ボクはまだいけるよ」
男「あのなあ……」
女「ひょっとして、君はもうダメなのかな?」
男「そんなわけないだろ」
女「なら、まだできるよね。ヤれるところまでヤろう」
男「言い方おかしいぞ」
男「なあ、いい加減諦めたらどうだ?」
女「え? 何の話だい」
男「普通に考えて、今日はもうエンジン切れだろ」
女「まさか、ボクはまだいけるよ」
男「あのなあ……」
女「ひょっとして、君はもうダメなのかな?」
男「そんなわけないだろ」
女「なら、まだできるよね。ヤれるところまでヤろう」
男「言い方おかしいぞ」
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:16:04.26 :Qa8V8fiY0
女「ほら、勃って」
男「おいおい」
女「君はまだ本気を出してないだろう?」
男「……」
女「ふふっ」
男「わーったよ、もう少しだけな」
女「うん」
女「ほら、勃って」
男「おいおい」
女「君はまだ本気を出してないだろう?」
男「……」
女「ふふっ」
男「わーったよ、もう少しだけな」
女「うん」
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:20:59.60 :Qa8V8fiY0
男「ふう……」
女「おつかれさま、付き合わせてすまなかったね」
男「まあ、みっともないところ見せるよりはいいからな」
女「そうか」
男「んじゃ、教室に戻るか」
女「ああ」
男「ふー、汗びっちょりだ」
女「ふふっ、イカ臭いね」
男「なんでだ」
男「ふう……」
女「おつかれさま、付き合わせてすまなかったね」
男「まあ、みっともないところ見せるよりはいいからな」
女「そうか」
男「んじゃ、教室に戻るか」
女「ああ」
男「ふー、汗びっちょりだ」
女「ふふっ、イカ臭いね」
男「なんでだ」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:22:46.38 :Qa8V8fiY0
男「その下ネタは本気で引くからやめろ」
女「本気で惹かれたら嬉しいけれど」
男「漢字を変えるな。感じが変わるだろう」
女「君も、言うようになったね」
男「けっ」
女「教室はきっと、誰もいない」
男「そりゃあな」
女「どういう意味か、わかるかい?」
男「さっぱり」
男「その下ネタは本気で引くからやめろ」
女「本気で惹かれたら嬉しいけれど」
男「漢字を変えるな。感じが変わるだろう」
女「君も、言うようになったね」
男「けっ」
女「教室はきっと、誰もいない」
男「そりゃあな」
女「どういう意味か、わかるかい?」
男「さっぱり」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:26:55.07 :Qa8V8fiY0
女「教室という空間は、二人にとっては大きすぎる」
男「まあ、数十人いるのが普通だからな」
女「そこに二人しかいないということは、何か運命的なものを感じる」
男「感じんでいい」
女「そして、何かよからぬことが起きる気がする」
男「お前が気狂いしたら何かが起こりそうだな」
女「いやあ、それほどでも」
男「褒めてないぞ……」
女「教室という空間は、二人にとっては大きすぎる」
男「まあ、数十人いるのが普通だからな」
女「そこに二人しかいないということは、何か運命的なものを感じる」
男「感じんでいい」
女「そして、何かよからぬことが起きる気がする」
男「お前が気狂いしたら何かが起こりそうだな」
女「いやあ、それほどでも」
男「褒めてないぞ……」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:32:16.51 :Qa8V8fiY0
女「それじゃあ、ここで」
男「ん、更衣室行くのか?」
女「ああ。君が困るだろう?」
男「別に」
女「ふふっ、いつもサービス精神旺盛なボクだが、今日はやめておくよ」
男「いつもやめてくれ」
女「alwaysは無理かな。seldomならいいけれど」
男「めったにやめないのかよ」
女「それじゃあ、ここで」
男「ん、更衣室行くのか?」
女「ああ。君が困るだろう?」
男「別に」
女「ふふっ、いつもサービス精神旺盛なボクだが、今日はやめておくよ」
男「いつもやめてくれ」
女「alwaysは無理かな。seldomならいいけれど」
男「めったにやめないのかよ」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:36:22.01 :Qa8V8fiY0
女「なんだったらrarelyでも」
男「変わんないだろ」
女「ああ……ちゃんとボクと一心同体で勉強しただけはあるね」
男「なんか変な言い方だが、それくらい覚えてるぞ」
女「ふふっ、少し前だったら、首を横にねじ切れんばかりにしていたと思うけど」
男「怖いたとえだな」
女「ふふっ、じゃああとで」
男「おう」
女「なんだったらrarelyでも」
男「変わんないだろ」
女「ああ……ちゃんとボクと一心同体で勉強しただけはあるね」
男「なんか変な言い方だが、それくらい覚えてるぞ」
女「ふふっ、少し前だったら、首を横にねじ切れんばかりにしていたと思うけど」
男「怖いたとえだな」
女「ふふっ、じゃああとで」
男「おう」
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:39:06.54 :Qa8V8fiY0
男「着替え終了」
女「終わったかい?」
男「ああ、もう入って……って、もう開けてんじゃねえか」
女「あわよくば覗こうかと」
男「あわよくばの精神でドアを開けるな」
女「まあ、ちょうど終わっていたみたいだし、いいじゃないか」
男「ああ、あとは荷物片せば終わりだ」
女「うん、そうみたいだね」
男「着替え終了」
女「終わったかい?」
男「ああ、もう入って……って、もう開けてんじゃねえか」
女「あわよくば覗こうかと」
男「あわよくばの精神でドアを開けるな」
女「まあ、ちょうど終わっていたみたいだし、いいじゃないか」
男「ああ、あとは荷物片せば終わりだ」
女「うん、そうみたいだね」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:44:30.44 :Qa8V8fiY0
男「お前はもう大丈夫なのか?」
女「うん、練習する前に終わらせておいたよ」
男「要領いいな」
女「ふふっ、それは褒め言葉ととっていいのかな?」
男「これは素直に受け取っとけ……よいしょっと……んじゃ、帰るか」
女「……」
男「? おい」
女「……」
男「……」
ああ、またか。
男「お前はもう大丈夫なのか?」
女「うん、練習する前に終わらせておいたよ」
男「要領いいな」
女「ふふっ、それは褒め言葉ととっていいのかな?」
男「これは素直に受け取っとけ……よいしょっと……んじゃ、帰るか」
女「……」
男「? おい」
女「……」
男「……」
ああ、またか。
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:46:36.50 :Qa8V8fiY0
ふと、笑顔が消えて。
まったく違った、冷たい表情をする彼女。
たまに、こうなることがある。
男「おいっ」
女「っ……いきなり顔を近づけるなんて、君にしては珍しいね」
男「こうでもしないと反応しないだろ」
女「おや、君はいつからかまってちゃんになったんだい?」
なったつもりはないんだが。
男「ほら、俺もう準備できたから、帰るぞ」
女「うん、そうしよう」
ふと、笑顔が消えて。
まったく違った、冷たい表情をする彼女。
たまに、こうなることがある。
男「おいっ」
女「っ……いきなり顔を近づけるなんて、君にしては珍しいね」
男「こうでもしないと反応しないだろ」
女「おや、君はいつからかまってちゃんになったんだい?」
なったつもりはないんだが。
男「ほら、俺もう準備できたから、帰るぞ」
女「うん、そうしよう」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:51:57.43 :Qa8V8fiY0
男「あー、また暗くなってる」
女「最近、日が落ちるのが早いね」
男「元はといえば、お前がまだやるっていったからだぞ」
女「みっともないところ見せるよりいいって言ったのは君だよ?」
男「……まあ、そうだけども」
二人三脚をあんなに遅くまで練習するのは、珍しいと思うんだが。
体育祭の練習してるやつらより、部活動の生徒の方がいたような気がする。
男「あー、また暗くなってる」
女「最近、日が落ちるのが早いね」
男「元はといえば、お前がまだやるっていったからだぞ」
女「みっともないところ見せるよりいいって言ったのは君だよ?」
男「……まあ、そうだけども」
二人三脚をあんなに遅くまで練習するのは、珍しいと思うんだが。
体育祭の練習してるやつらより、部活動の生徒の方がいたような気がする。
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 10:56:52.15 :Qa8V8fiY0
女「それに、ボクにとっては嬉しいこと尽くしだったよ」
男「なんだよ?」
女「良い汗が流せたし」
まあ、帰宅部の俺たちには縁遠いかもしれないな。
女「君の汗の匂いを嗅いだし」
なんだそりゃ。
普通臭いだろ。
男「においフェチかよ」
女「違うね、君フェチだ」
個人単体フェチって。
女「それに、ボクにとっては嬉しいこと尽くしだったよ」
男「なんだよ?」
女「良い汗が流せたし」
まあ、帰宅部の俺たちには縁遠いかもしれないな。
女「君の汗の匂いを嗅いだし」
なんだそりゃ。
普通臭いだろ。
男「においフェチかよ」
女「違うね、君フェチだ」
個人単体フェチって。
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:03:46.51 :Qa8V8fiY0
男「いきなり断言するなよ」
女「照れてる、照れてるのかい?」
うざいな。
男「そういえば、お前気づいてたか?」
女「ん? なにがだい」
男「今日、また入ってたぞ」
女「悦に?」
男「違う」
男「いきなり断言するなよ」
女「照れてる、照れてるのかい?」
うざいな。
男「そういえば、お前気づいてたか?」
女「ん? なにがだい」
男「今日、また入ってたぞ」
女「悦に?」
男「違う」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:07:00.11 :Qa8V8fiY0
女「君の……モノが?」
男「大惨事じゃねえか」
入れてたらそんなことわざわざ報告しなくてもわかってるだろう。
女「じゃあ、ナニをボクに入れたんだい?」
男「なんで俺が入れたことが前提になってるんだ!」
勝手に俺を加害者にするな!
女「じゃあ、もしかして……アレ?」
男「ああ、そうだ」
女「……はは、困ったな」
頭を掻いて、照れくさそうに笑った。
女「君の……モノが?」
男「大惨事じゃねえか」
入れてたらそんなことわざわざ報告しなくてもわかってるだろう。
女「じゃあ、ナニをボクに入れたんだい?」
男「なんで俺が入れたことが前提になってるんだ!」
勝手に俺を加害者にするな!
女「じゃあ、もしかして……アレ?」
男「ああ、そうだ」
女「……はは、困ったな」
頭を掻いて、照れくさそうに笑った。
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:12:18.88 :Qa8V8fiY0
女「また、君に変なところをみせてしまったね」
男「別に、もう慣れた」
女「慣れられるのも、嫌だな」
男「……」
急に、話を聞かなくなって、静かになる。
いつものニヤケ顔が、急に豹変する。
生気が無いような、そんな顔を。
女「その時のボクは、まるで精気が無いような顔をしているだろう? 恥ずかしいなあ」
漢字が違うが、まあいいだろう。
女「また、君に変なところをみせてしまったね」
男「別に、もう慣れた」
女「慣れられるのも、嫌だな」
男「……」
急に、話を聞かなくなって、静かになる。
いつものニヤケ顔が、急に豹変する。
生気が無いような、そんな顔を。
女「その時のボクは、まるで精気が無いような顔をしているだろう? 恥ずかしいなあ」
漢字が違うが、まあいいだろう。
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:17:50.45 :Qa8V8fiY0
男「そろそろ、教えてくれてもいいんじゃないか?」
女「ふふっ、何を?」
男「ああなる、理由」
女「ああなる理由」
男「は?」
女「あ、あなる理由」
最低だ。
女「仕方ないなあ、恥ずかしいけど見せよう」
後ろを向くな、尻をこちらに突き向けるな。
女「自分では恥ずかしいから、思う存分堪能するといい」
男「アホか」
男「そろそろ、教えてくれてもいいんじゃないか?」
女「ふふっ、何を?」
男「ああなる、理由」
女「ああなる理由」
男「は?」
女「あ、あなる理由」
最低だ。
女「仕方ないなあ、恥ずかしいけど見せよう」
後ろを向くな、尻をこちらに突き向けるな。
女「自分では恥ずかしいから、思う存分堪能するといい」
男「アホか」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:22:35.99 :Qa8V8fiY0
腰の当たりを押して、体ごと前に飛ばした。
女「あうっ」
よろめいて、こちらをみる彼女。いつもの笑顔だった。
女「お尻を触らないあたり、君らしいね」
そりゃあ、そうだ。
誰だってそうするだろう。
あと、尻突き出しただけで見えそうになるくらいミニスカにするのはやめろ。
女「パンツ、見えたかい?」
男「変なこと聞くなよ」
まるで見て欲しかったみたいな感じだな。
女「見せたかったのに」
見せたかったのかよ!?
腰の当たりを押して、体ごと前に飛ばした。
女「あうっ」
よろめいて、こちらをみる彼女。いつもの笑顔だった。
女「お尻を触らないあたり、君らしいね」
そりゃあ、そうだ。
誰だってそうするだろう。
あと、尻突き出しただけで見えそうになるくらいミニスカにするのはやめろ。
女「パンツ、見えたかい?」
男「変なこと聞くなよ」
まるで見て欲しかったみたいな感じだな。
女「見せたかったのに」
見せたかったのかよ!?
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:28:58.79 :Qa8V8fiY0
男「話をそらそうとしてるだろ」
女「し、してないよ」
凄くあからさまにどもりやがった。
男「まあ、お前が言わないなら、強制しないけども」
女「おとこのこは突然獣になるけれど?」
性欲にまみれた思考をするな。
女「君はあれかい、いわゆる」
草食系とか、言うんじゃないだろうな。
女「植物由来系男子なのかな?」
どんなのかわからない。
男「話をそらそうとしてるだろ」
女「し、してないよ」
凄くあからさまにどもりやがった。
男「まあ、お前が言わないなら、強制しないけども」
女「おとこのこは突然獣になるけれど?」
性欲にまみれた思考をするな。
女「君はあれかい、いわゆる」
草食系とか、言うんじゃないだろうな。
女「植物由来系男子なのかな?」
どんなのかわからない。
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:34:31.04 :Qa8V8fiY0
男「油みたいに言うなよ」
なんかヌルっとした油ギッシュな感じがするじゃないか。
女「おや、間違えてしまったか?」
……ん。
本気で間違えたっぽいな。
女「んーっと、なんて言うんだっけ」
男「草食系、とかじゃねえのか?」
女「何を言ってるんだい、人間は雑食だろう」
え、なんで俺がツッコまれたんだ?
男「油みたいに言うなよ」
なんかヌルっとした油ギッシュな感じがするじゃないか。
女「おや、間違えてしまったか?」
……ん。
本気で間違えたっぽいな。
女「んーっと、なんて言うんだっけ」
男「草食系、とかじゃねえのか?」
女「何を言ってるんだい、人間は雑食だろう」
え、なんで俺がツッコまれたんだ?
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:38:08.43 :Qa8V8fiY0
女「んー、謎は解決できなかった」
お前は何を言おうとしていたのか、すっげーモヤモヤする。
女「……ムラムラするね」
男「何故だ」
女「だって、答えが出ないんだよ? ムラムラして、君を襲ってしまいそうだ」
男「その流れはおかしいだろ」
肉食系だな、お前!
女「んー、謎は解決できなかった」
お前は何を言おうとしていたのか、すっげーモヤモヤする。
女「……ムラムラするね」
男「何故だ」
女「だって、答えが出ないんだよ? ムラムラして、君を襲ってしまいそうだ」
男「その流れはおかしいだろ」
肉食系だな、お前!
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:49:52.94 :Qa8V8fiY0
女「ウガアアア!」
男「キャラ崩壊してるぞ!」
女「ボクは基本的に変なことをしても許容されるんだよ」
男「メタな話するな!」
許容されるって、誰にだよ。
女「今日は自分を律して、下ネタは極力避けようと思っていたんだが……難しいね」
既に何度も言ってるからな。
癖なのか?
女「ウガアアア!」
男「キャラ崩壊してるぞ!」
女「ボクは基本的に変なことをしても許容されるんだよ」
男「メタな話するな!」
許容されるって、誰にだよ。
女「今日は自分を律して、下ネタは極力避けようと思っていたんだが……難しいね」
既に何度も言ってるからな。
癖なのか?
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 11:55:49.45 :Qa8V8fiY0
男「律していた姿をまったく確認できなかったが?」
女「まさか、物理的な律し方なんてしないよ」
男「じゃあ、どうやって?」
女「君を見ていると、言う気が無くなるんだ」
嘘つけ。
いつも目を輝かせて、しかもこっちに目線を送りつつ下ネタを放出するじゃねえか。
男「嘘も休み休み言え」
女「休めばいっていいのかい?」
男「言葉通りに取るな」
男「律していた姿をまったく確認できなかったが?」
女「まさか、物理的な律し方なんてしないよ」
男「じゃあ、どうやって?」
女「君を見ていると、言う気が無くなるんだ」
嘘つけ。
いつも目を輝かせて、しかもこっちに目線を送りつつ下ネタを放出するじゃねえか。
男「嘘も休み休み言え」
女「休めばいっていいのかい?」
男「言葉通りに取るな」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 12:00:23.51 :Qa8V8fiY0
女「休めば、イっていいのかい?」
男「休まんでもいい、イクな」
女「ふふっ、君もスムーズにツッコんでくるよね」
男「慣れっこだ」
女「なめっこ?」
男「ツッコミづらい」
女「じゃあこっちに」
尻を突き出すな。てんどんだぞ。
女「休めば、イっていいのかい?」
男「休まんでもいい、イクな」
女「ふふっ、君もスムーズにツッコんでくるよね」
男「慣れっこだ」
女「なめっこ?」
男「ツッコミづらい」
女「じゃあこっちに」
尻を突き出すな。てんどんだぞ。
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 12:04:45.85 :Qa8V8fiY0
こんなバカな話してて、家に着いてるから不思議だ。
女「おや、もう君の家だったのかい?」
男「尻を戻せ。ここでおわかれだ」
女「うん。あ、そうだ」
男「なんだ?」
女「明日、朝早く大丈夫かな?」
男「また練習でもするのか」
女「うん、そんなところだ」
練習以外何もすることはないと思うけど。
女「あとで電話するよ、それじゃあ」
こんなバカな話してて、家に着いてるから不思議だ。
女「おや、もう君の家だったのかい?」
男「尻を戻せ。ここでおわかれだ」
女「うん。あ、そうだ」
男「なんだ?」
女「明日、朝早く大丈夫かな?」
男「また練習でもするのか」
女「うん、そんなところだ」
練習以外何もすることはないと思うけど。
女「あとで電話するよ、それじゃあ」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 12:07:00.01 :Qa8V8fiY0
男「別に、メールでいいだろう」
女「ボクが機械が苦手だとわかっているだろう?」
まあ、そうなんだけど。
それくらいのことはできると思うんだが。
女「それに、君の声が聞こえた方が安心するから」
そんなもんなのかねぇ。
女「それじゃあ、あとで」
男「おう」
男「別に、メールでいいだろう」
女「ボクが機械が苦手だとわかっているだろう?」
まあ、そうなんだけど。
それくらいのことはできると思うんだが。
女「それに、君の声が聞こえた方が安心するから」
そんなもんなのかねぇ。
女「それじゃあ、あとで」
男「おう」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 12:09:40.26 :Qa8V8fiY0
俺はすこし手を振って、家に帰る。
ふうっと、深呼吸。
また怒られるのは目に見えてるんだ。
男「きっと、カンカンだろう……」
ドアを開ける。
目の前には、仁王立ちする少女。
妹「お・そ・い」
一音一音に力が入っている、妹が、立っていた。
俺はすこし手を振って、家に帰る。
ふうっと、深呼吸。
また怒られるのは目に見えてるんだ。
男「きっと、カンカンだろう……」
ドアを開ける。
目の前には、仁王立ちする少女。
妹「お・そ・い」
一音一音に力が入っている、妹が、立っていた。
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 12:37:59.21 :Qa8V8fiY0
妹「こんな遅くまで……また何かあったの?」
男「お、おう、体育祭の……な?」
妹「ふーん、こんな長い間クラス練習してたの?」
男「いや、個人練習……」
まずいな、目が怖い。
妹「お兄ちゃん……嘘はつける人にしかつけないんだよ?」
男「おいおい、俺は嘘なんかついてないぞ!」
妹「問答無用! ごはんは食べてよね!」
男「もちろんだ、腹減ってるし!」
妹「……残したら怒るよ?」
男「ああ、大丈夫だ」
満漢全席とか、来なきゃ大丈夫。
妹「こんな遅くまで……また何かあったの?」
男「お、おう、体育祭の……な?」
妹「ふーん、こんな長い間クラス練習してたの?」
男「いや、個人練習……」
まずいな、目が怖い。
妹「お兄ちゃん……嘘はつける人にしかつけないんだよ?」
男「おいおい、俺は嘘なんかついてないぞ!」
妹「問答無用! ごはんは食べてよね!」
男「もちろんだ、腹減ってるし!」
妹「……残したら怒るよ?」
男「ああ、大丈夫だ」
満漢全席とか、来なきゃ大丈夫。
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 12:43:43.60 :Qa8V8fiY0
妹「今日はとっても美味しくできてます」
男「最近腕を上げたな」
妹「お世辞は結構! 食べてから決めてよね」
男「はいはい」
妹「はいは一回!」
男「ほい」
妹「ほいって何さ!」
いじりがいのある妹だ。
妹「今日はとっても美味しくできてます」
男「最近腕を上げたな」
妹「お世辞は結構! 食べてから決めてよね」
男「はいはい」
妹「はいは一回!」
男「ほい」
妹「ほいって何さ!」
いじりがいのある妹だ。
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 12:50:07.80 :Qa8V8fiY0
男「それじゃあ、いただきます」
妹「はいはい、どぞどぞー」
男「……う、まい」
妹「なんで一瞬止まったの?」
男「飯が変なとこに入りそうだったからだよ。美味しい」
妹「……でしょぉ~」
ニンマリと笑って、鼻歌を歌い始めた。
男「下手くそな鼻歌やめろよ、お前の新曲か?」
妹「『曖昧愛妹』といいます」
し、新曲だった。
しかもなんかダジャレだった。
男「それじゃあ、いただきます」
妹「はいはい、どぞどぞー」
男「……う、まい」
妹「なんで一瞬止まったの?」
男「飯が変なとこに入りそうだったからだよ。美味しい」
妹「……でしょぉ~」
ニンマリと笑って、鼻歌を歌い始めた。
男「下手くそな鼻歌やめろよ、お前の新曲か?」
妹「『曖昧愛妹』といいます」
し、新曲だった。
しかもなんかダジャレだった。
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 12:53:24.40 :Qa8V8fiY0
妹「サビ聞く?」
しかもちゃんと構成がある。
男「いや、もういい」
妹「えー、めちゃくちゃ良いのに」
男「お前下手だから聞きたくない」
妹「酷い!」
顔が一気に喜びから怒りに。コロコロ変わって面白い。
妹「サビ聞く?」
しかもちゃんと構成がある。
男「いや、もういい」
妹「えー、めちゃくちゃ良いのに」
男「お前下手だから聞きたくない」
妹「酷い!」
顔が一気に喜びから怒りに。コロコロ変わって面白い。
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 13:00:28.69 :Qa8V8fiY0
男「まあまあ」
妹「いいから黙ってご飯食べてよ!」
頬を膨らませて、怒りをあらわにしている。
そんな妹をなだめていると。
電話が鳴った。
男「ん?」
妹「あーはいはいー」
妹が素早く反応して、椅子から立ち上がった。
男「まあまあ」
妹「いいから黙ってご飯食べてよ!」
頬を膨らませて、怒りをあらわにしている。
そんな妹をなだめていると。
電話が鳴った。
男「ん?」
妹「あーはいはいー」
妹が素早く反応して、椅子から立ち上がった。
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 13:06:32.81 :Qa8V8fiY0
いつものことなので、とりあえずご飯を食う。
妹「え……は、はい」
どうやら、対応が難しい電話みたいだ。
妹「あの、お兄ちゃん……お、おんなの人から」
男「え?」
俺に?
誰が?
男「まさか」
まさか、家にかけてきたのか、あいつ?
いつものことなので、とりあえずご飯を食う。
妹「え……は、はい」
どうやら、対応が難しい電話みたいだ。
妹「あの、お兄ちゃん……お、おんなの人から」
男「え?」
俺に?
誰が?
男「まさか」
まさか、家にかけてきたのか、あいつ?
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 13:13:28.03 :Qa8V8fiY0
男「もしもし?」
妹「うわ、いきなり取らないでよ、びっくりした」
女『やあ』
男「お前、なんで家に……」
女『大丈夫、ボクも家からだから』
家の方が安いからね、と。
いつもの声で言った。
男「と、とりあえず。ちょっと待ってろ」
女『ああ、わかった』
男「もしもし?」
妹「うわ、いきなり取らないでよ、びっくりした」
女『やあ』
男「お前、なんで家に……」
女『大丈夫、ボクも家からだから』
家の方が安いからね、と。
いつもの声で言った。
男「と、とりあえず。ちょっと待ってろ」
女『ああ、わかった』
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 13:29:18.33 :Qa8V8fiY0
妹「ねえ、だれだれ、だーれー!?」
男「すまんが、ごちそうさま。俺は部屋に行く」
妹「え、まだ残って……!」
妹の言葉を無視して、俺は子機を持って階段をのぼった。
男「……もしもし?」
女『もう、いいのかい?』
男「ああ」
女『さっきのは……』
男「俺の妹だ」
言ってなかったっけか。
妹「ねえ、だれだれ、だーれー!?」
男「すまんが、ごちそうさま。俺は部屋に行く」
妹「え、まだ残って……!」
妹の言葉を無視して、俺は子機を持って階段をのぼった。
男「……もしもし?」
女『もう、いいのかい?』
男「ああ」
女『さっきのは……』
男「俺の妹だ」
言ってなかったっけか。
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 13:37:50.02 :Qa8V8fiY0
女『そうか……君の家には若い女性が……』
男「変な言い方はよせ」
女『ユルサナイ……ユルサナイ……』
男「変なキャラ付けはよせ」
ヤンデレなんて今更過ぎる。
女『ふふっ、冗談だよ』
男「わかってるけど怖いからやめろ」
女『君にも怖いものがあるんだね』
お前は無さそうだけどな。
女『そうか……君の家には若い女性が……』
男「変な言い方はよせ」
女『ユルサナイ……ユルサナイ……』
男「変なキャラ付けはよせ」
ヤンデレなんて今更過ぎる。
女『ふふっ、冗談だよ』
男「わかってるけど怖いからやめろ」
女『君にも怖いものがあるんだね』
お前は無さそうだけどな。
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 13:58:01.40 :Qa8V8fiY0
静かに口から息を吐いた。
男「……で、なんだよ」
女『明日の、ことなんだけれど』
わかってたさ。
男「朝早く行く必要はあるのか?」
女『うん、早ければ早いほど得した気分になれる』
早起きは三文の得、みたいなのか。
静かに口から息を吐いた。
男「……で、なんだよ」
女『明日の、ことなんだけれど』
わかってたさ。
男「朝早く行く必要はあるのか?」
女『うん、早ければ早いほど得した気分になれる』
早起きは三文の得、みたいなのか。
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 14:06:21.98 :Qa8V8fiY0
男「でも練習そんなに長い間して、平気なのか?」
今日だって、長い間やったんだし。
女『うーん、練習以外に、したいことがあるんだ』
男「え?」
女『君に見せたいものがあって』
男「そのために朝早く行くのか?」
別に、それなら休日でもいいじゃないか。
女『うん、ダメかな?』
男「でも練習そんなに長い間して、平気なのか?」
今日だって、長い間やったんだし。
女『うーん、練習以外に、したいことがあるんだ』
男「え?」
女『君に見せたいものがあって』
男「そのために朝早く行くのか?」
別に、それなら休日でもいいじゃないか。
女『うん、ダメかな?』
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 14:12:48.15 :Qa8V8fiY0
男「別に、いいけど……ゆっくりいけた方がいいんじゃないか?」
女『そうだね』
すんなりと認めた。
女『じゃあ、ちょっと早めにしよう。見せるのはまた今度だ』
男「おう」
一体何なのか気になるが、とりあえずは気にしないでおこう。
女『それにしても……』
男「ん?」
女『声だけを聞いてると、妙にドキドキしてしまうものだね』
男「別に、いいけど……ゆっくりいけた方がいいんじゃないか?」
女『そうだね』
すんなりと認めた。
女『じゃあ、ちょっと早めにしよう。見せるのはまた今度だ』
男「おう」
一体何なのか気になるが、とりあえずは気にしないでおこう。
女『それにしても……』
男「ん?」
女『声だけを聞いてると、妙にドキドキしてしまうものだね』
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 14:19:07.52 :Qa8V8fiY0
男「緊張するってのはあるけどな」
女『君の声が耳にダイレクトに来るから、体の先までゾクゾクするよ』
男「気持ち悪いな」
女『罵声なんて……やめてくれよ』
男「これがめちゃくちゃ喜んでる感じなんだが」
女『ふふっ、どこかで監視してるのかい?』
変態だ……。
男「緊張するってのはあるけどな」
女『君の声が耳にダイレクトに来るから、体の先までゾクゾクするよ』
男「気持ち悪いな」
女『罵声なんて……やめてくれよ』
男「これがめちゃくちゃ喜んでる感じなんだが」
女『ふふっ、どこかで監視してるのかい?』
変態だ……。
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 14:21:59.62 :Qa8V8fiY0
>>55
訂正。
×男「これがめちゃくちゃ喜んでる感じなんだが」
○男「声がめちゃくちゃ喜んでるような感じなんだが」
>>55
訂正。
×男「これがめちゃくちゃ喜んでる感じなんだが」
○男「声がめちゃくちゃ喜んでるような感じなんだが」
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 14:32:50.53 :Qa8V8fiY0
女『今、君はボクがしていることがわからない。もちろん、逆もだ』
男「ああ」
女『もしも、ボクが家で変なことをしていたらどうする?』
男「どうもしない」
女『んっ……んんっ……』
男「……」
女『んあああっ』
男「悪かった、もうその演技はよしてくれ」
なんで似非喘ぎ声を聞かにゃならん。
女『今、君はボクがしていることがわからない。もちろん、逆もだ』
男「ああ」
女『もしも、ボクが家で変なことをしていたらどうする?』
男「どうもしない」
女『んっ……んんっ……』
男「……」
女『んあああっ』
男「悪かった、もうその演技はよしてくれ」
なんで似非喘ぎ声を聞かにゃならん。
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 14:37:30.08 :Qa8V8fiY0
女『本当かどうかわからないだろう? もしかしたら本当に行為をしているのなら』
男「邪魔しそうだから切るぞ」
女『ふふっ、避け方を心得ているね』
男「ったく……」
女『ちょっと、お話でもしないかい?』
男「別にいいけど、電話代大丈夫か?」
女『心配しなくても。どうせ電話する相手なんて君くらいしかいないから』
男「そうか」
喜ぶべきか、やつに同情すべきか……。
女『本当かどうかわからないだろう? もしかしたら本当に行為をしているのなら』
男「邪魔しそうだから切るぞ」
女『ふふっ、避け方を心得ているね』
男「ったく……」
女『ちょっと、お話でもしないかい?』
男「別にいいけど、電話代大丈夫か?」
女『心配しなくても。どうせ電話する相手なんて君くらいしかいないから』
男「そうか」
喜ぶべきか、やつに同情すべきか……。
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 14:49:24.99 :Qa8V8fiY0
そうして、俺とやつはすこしの間――と言っても一時間近くだが――話をした。
いつも通り、下ネタのオンパレードだったが。
電話でも、いつも通りのテンションだった。
男「んじゃ、そろそろ風呂に入るわ」
女『ふふっ、それは今すぐ君の家に行って、覗きに来いってことかい?』
曲解しすぎだろ。
女『安心してくれ。流石に今日は疲れてしまったから、もう寝るよ』
男「まあ、明日も朝にするんだからな」
女『朝にする……か、ふむふむ』
男「お前なあ……」
最後までそれか。
そうして、俺とやつはすこしの間――と言っても一時間近くだが――話をした。
いつも通り、下ネタのオンパレードだったが。
電話でも、いつも通りのテンションだった。
男「んじゃ、そろそろ風呂に入るわ」
女『ふふっ、それは今すぐ君の家に行って、覗きに来いってことかい?』
曲解しすぎだろ。
女『安心してくれ。流石に今日は疲れてしまったから、もう寝るよ』
男「まあ、明日も朝にするんだからな」
女『朝にする……か、ふむふむ』
男「お前なあ……」
最後までそれか。
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 15:07:47.87 :Qa8V8fiY0
男「んじゃあ、切るぞ」
俺がそう言ったが、声が返ってこない。
男「……どした?」
女『……』
男「……」
多分、さっきみたいな状態になっているようだ。
俺は黙って、電話を切った。
このままずっと、いつもの状態になおるまで待てる気がしなかったから。
男「んじゃあ、切るぞ」
俺がそう言ったが、声が返ってこない。
男「……どした?」
女『……』
男「……」
多分、さっきみたいな状態になっているようだ。
俺は黙って、電話を切った。
このままずっと、いつもの状態になおるまで待てる気がしなかったから。
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 15:16:01.98 :Qa8V8fiY0
男「……はぁ」
とりあえず、風呂に入ろう。
あの状態が自然になおったところを、俺は見たことがない。
声も無く、ただひたすらに。
ただ、そこにいるような、そんなたたずまい。
男「……んしょ」
ベッドから跳ね起きると同時に、妹がドアを開けて入ってきた。
男「うおっ」
妹「ねえ、さっきまで電話してた人、だれ!」
男「……はぁ」
とりあえず、風呂に入ろう。
あの状態が自然になおったところを、俺は見たことがない。
声も無く、ただひたすらに。
ただ、そこにいるような、そんなたたずまい。
男「……んしょ」
ベッドから跳ね起きると同時に、妹がドアを開けて入ってきた。
男「うおっ」
妹「ねえ、さっきまで電話してた人、だれ!」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 15:27:06.61 :Qa8V8fiY0
男「クラスメイトだ」
妹「いきなり子機持って部屋まで行くのに?」
男「あっちの都合もあるからな」
妹「内緒話ですか! ほほー」
ほほーとは、どういうことだ。
男「別に、大したことじゃねえよ。体育祭の練習について話をしただけだし」
妹「え、お兄ちゃんなにに出るの?」
ナニに出るって……。
ん? ああ。
相手は妹だったな。
いつものノリでツッコミかけた。
男「クラスメイトだ」
妹「いきなり子機持って部屋まで行くのに?」
男「あっちの都合もあるからな」
妹「内緒話ですか! ほほー」
ほほーとは、どういうことだ。
男「別に、大したことじゃねえよ。体育祭の練習について話をしただけだし」
妹「え、お兄ちゃんなにに出るの?」
ナニに出るって……。
ん? ああ。
相手は妹だったな。
いつものノリでツッコミかけた。
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 15:30:49.02 :Qa8V8fiY0
男「二人三脚。男女混合の方」
妹「で、今の人と練習するの!」
男「そーゆーこと」
妹「うわああ、怖いくらい青春だー!」
男「あおはる? そんな友達がいるのか」
妹「せいしゅんだよ! 間違え方が中学生みたい!」
中学生のお前に言われたくない。
妹「それでそれで、明日はどのようなご予定で?」
男「早めに登校して練習する」
妹「ふ、二人きりで?!」
男「まあ、そうなるな」
男「二人三脚。男女混合の方」
妹「で、今の人と練習するの!」
男「そーゆーこと」
妹「うわああ、怖いくらい青春だー!」
男「あおはる? そんな友達がいるのか」
妹「せいしゅんだよ! 間違え方が中学生みたい!」
中学生のお前に言われたくない。
妹「それでそれで、明日はどのようなご予定で?」
男「早めに登校して練習する」
妹「ふ、二人きりで?!」
男「まあ、そうなるな」
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 15:37:14.69 :Qa8V8fiY0
妹「……」
なんで顔を赤くする。
妹「高校生って凄いなぁ」
男「そうか?」
別に、体育祭の練習くらいでそんなことになるか?
妹「お兄ちゃんもそれでOKしちゃうんだね」
もしかして、彼女? と、訪ねてきた。
男「んなわけあるかっ」
俺は妹のおでこをペチっと叩いた。
妹「あたっ……うぅ、なんでムキになってるのさー」
妹「……」
なんで顔を赤くする。
妹「高校生って凄いなぁ」
男「そうか?」
別に、体育祭の練習くらいでそんなことになるか?
妹「お兄ちゃんもそれでOKしちゃうんだね」
もしかして、彼女? と、訪ねてきた。
男「んなわけあるかっ」
俺は妹のおでこをペチっと叩いた。
妹「あたっ……うぅ、なんでムキになってるのさー」
71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 15:43:54.63 :Qa8V8fiY0
男「出過ぎた真似をしたからだ」
妹「き、貴様!」
男「私は先を急ぐ、風呂に入らせてもらう!」
妹「何を! 待てぃ!」
ノリがいい妹で、アホな妹だ。
男「ぐお、つかむなよ、なんだよ!」
妹「ふふふ、風呂に入るなら私も一緒に入ってやろう!」
男「……は?」
意味がわからなかった。
妹「……あれ、今私なんて言った?」
男「……」
妹「うわあああ、さっきのなし! なんでもないからねー!」
そう言って、手を離して、いきおいよく自分の部屋へ走り去っていった。
男「出過ぎた真似をしたからだ」
妹「き、貴様!」
男「私は先を急ぐ、風呂に入らせてもらう!」
妹「何を! 待てぃ!」
ノリがいい妹で、アホな妹だ。
男「ぐお、つかむなよ、なんだよ!」
妹「ふふふ、風呂に入るなら私も一緒に入ってやろう!」
男「……は?」
意味がわからなかった。
妹「……あれ、今私なんて言った?」
男「……」
妹「うわあああ、さっきのなし! なんでもないからねー!」
そう言って、手を離して、いきおいよく自分の部屋へ走り去っていった。
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 15:47:51.10 :Qa8V8fiY0
どうやら、相当混乱する出来事だったらしい。
男「まあいいか」
風呂に入ろう。
今日は汗をかいたし、きっちりと綺麗にしないと。
明日も早いし、入ってさっさと寝ましょうかね。
どうやら、相当混乱する出来事だったらしい。
男「まあいいか」
風呂に入ろう。
今日は汗をかいたし、きっちりと綺麗にしないと。
明日も早いし、入ってさっさと寝ましょうかね。
74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 16:02:38.50 :Qa8V8fiY0
そして、朝。
頑張ってアラームを鳴らして起きたのだが、眠い。
いつもより早い時間はこたえる。
男「ふわぁ……」
妹の姿はない。
……と、思ったらいた。
妹「おはよー」
男「早いな」
妹「もう、お兄ちゃんが早いって言ったんでしょ」
男「別に、弁当とか作らなくてもよかったのに」
妹「妹の優しさを蔑ろにするのはよくないと思いますー」
そして、朝。
頑張ってアラームを鳴らして起きたのだが、眠い。
いつもより早い時間はこたえる。
男「ふわぁ……」
妹の姿はない。
……と、思ったらいた。
妹「おはよー」
男「早いな」
妹「もう、お兄ちゃんが早いって言ったんでしょ」
男「別に、弁当とか作らなくてもよかったのに」
妹「妹の優しさを蔑ろにするのはよくないと思いますー」
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 16:16:39.84 :Qa8V8fiY0
男「よく出てくるな、お前は」
妹「ふえ?」
男「メインでもないのに」
妹「うわ、メタ発言! しかもめっちゃネガティブな!」
男「ありがとさん。とりあえず、最高に美味い飯を頼む」
妹「りょーかい。というか、お兄ちゃんもうジャージ?」
男「もう行くからな」
妹「え、じゃあ朝ごはんは?」
男「おにぎりでも食いながらいくさ」
妹「ちゃ、ちゃんと作ったのに!」
一秒でも長く寝たかったから、朝食の時間は考えてなかったんだ。
妹よ、すまん!
男「よく出てくるな、お前は」
妹「ふえ?」
男「メインでもないのに」
妹「うわ、メタ発言! しかもめっちゃネガティブな!」
男「ありがとさん。とりあえず、最高に美味い飯を頼む」
妹「りょーかい。というか、お兄ちゃんもうジャージ?」
男「もう行くからな」
妹「え、じゃあ朝ごはんは?」
男「おにぎりでも食いながらいくさ」
妹「ちゃ、ちゃんと作ったのに!」
一秒でも長く寝たかったから、朝食の時間は考えてなかったんだ。
妹よ、すまん!
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 16:26:44.67 :Qa8V8fiY0
妹「と、とりあえずおにぎり今すぐ作るから待ってね!」
男「おう」
妹「今日に限って色々作っちゃったじゃん……」
小言を言って、妹はおにぎりを作り始めた。
妹の握る、おむすびは、手がちっちゃいせいでコロコロとした可愛いものだ。
出来れば大きいのがいいのだが、急いで作ってもらってるから文句は言えない。
ありがとう、妹。
妹「と、とりあえずおにぎり今すぐ作るから待ってね!」
男「おう」
妹「今日に限って色々作っちゃったじゃん……」
小言を言って、妹はおにぎりを作り始めた。
妹の握る、おむすびは、手がちっちゃいせいでコロコロとした可愛いものだ。
出来れば大きいのがいいのだが、急いで作ってもらってるから文句は言えない。
ありがとう、妹。
85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 17:31:16.57 :Qa8V8fiY0
男「いってきます」
小さなおにぎりを持って家を出る。
女「やあ」
と、言う声が。
今日は珍しく、聞こえない。
男「……?」
まだ、来てないのか?
男「いってきます」
小さなおにぎりを持って家を出る。
女「やあ」
と、言う声が。
今日は珍しく、聞こえない。
男「……?」
まだ、来てないのか?
86:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 17:34:42.36 :Qa8V8fiY0
男「遅刻、か?」
いつもなら、既にいて、あのブレることのない笑顔を振りまいているのに。
男「……」
待ち合わせ、特に決めてなかったし、どうすればいいんだ。
直接学校なのか?
男「そんなことねえか」
まあ、すこし待ってみるか。
男「遅刻、か?」
いつもなら、既にいて、あのブレることのない笑顔を振りまいているのに。
男「……」
待ち合わせ、特に決めてなかったし、どうすればいいんだ。
直接学校なのか?
男「そんなことねえか」
まあ、すこし待ってみるか。
87:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 17:38:16.69 :Qa8V8fiY0
男「やれやれ、自分で言っておいて遅刻かよ」
早起きは苦手そうに見えないんだがな。
……遅い。
結構待っているが、これはいくらなんでも遅すぎだ。
男「……!」
ふと、昨日のことが蘇る。
電話の後、あいつはあの状態になっていた。
男「まさか……!」
男「やれやれ、自分で言っておいて遅刻かよ」
早起きは苦手そうに見えないんだがな。
……遅い。
結構待っているが、これはいくらなんでも遅すぎだ。
男「……!」
ふと、昨日のことが蘇る。
電話の後、あいつはあの状態になっていた。
男「まさか……!」
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 17:43:38.79 :Qa8V8fiY0
気づけば、学校と逆の方向に走っていた。
朝は少し冷える。
でも、これくらいがちょうどいい。
男「あの状態のままでいるはず、ねえよな」
親がいるはずだし、なおすことはできるはず。
男「……はぁはぁ」
そんなに遠くなくて良かった。走ればざっと五、六分。
疲れたので、息を整える。帰宅部にはキツイ……。
気づけば、学校と逆の方向に走っていた。
朝は少し冷える。
でも、これくらいがちょうどいい。
男「あの状態のままでいるはず、ねえよな」
親がいるはずだし、なおすことはできるはず。
男「……はぁはぁ」
そんなに遠くなくて良かった。走ればざっと五、六分。
疲れたので、息を整える。帰宅部にはキツイ……。
89:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 17:48:55.57 :Qa8V8fiY0
インターホンを押す。
あいつは、きっと家からまだ出ていない。
男「……?」
反応がない。
男「おいおい」
もう一度プッシュ。
……返ってこない。
インターホンを押す。
あいつは、きっと家からまだ出ていない。
男「……?」
反応がない。
男「おいおい」
もう一度プッシュ。
……返ってこない。
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:00:01.44 :Qa8V8fiY0
男「どうしたんだよ、あいつ……」
携帯で電話してみるか?
駄目だ、あいつは基本的に携帯の電源を切ってる。
まったく、なんのための携帯だよ。
男「……」
ドアに触れる。
鍵は、開いてない。
男「おい!」
インターホンが鳴らないということは、親もいないはずだ。
だから、声を大きく出した。
しかし、声が反響するのみ。
男「どうしたんだよ、あいつ……」
携帯で電話してみるか?
駄目だ、あいつは基本的に携帯の電源を切ってる。
まったく、なんのための携帯だよ。
男「……」
ドアに触れる。
鍵は、開いてない。
男「おい!」
インターホンが鳴らないということは、親もいないはずだ。
だから、声を大きく出した。
しかし、声が反響するのみ。
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:05:01.51 :Qa8V8fiY0
男「どうなってんだよ……」
家は、ごく普通の家。
だけど。
靴が、一つしかない。
あいつの、靴だ。
男「……部屋は、上か?」
人の家に勝手に入るのは、ゲームでしかやったことがないが。
仕方ない、入ろう。
男「どうなってんだよ……」
家は、ごく普通の家。
だけど。
靴が、一つしかない。
あいつの、靴だ。
男「……部屋は、上か?」
人の家に勝手に入るのは、ゲームでしかやったことがないが。
仕方ない、入ろう。
94:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:09:11.78 :Qa8V8fiY0
男「お邪魔します」
恐る恐る、中に入っていく。
電気がついてなくて、若干暗い。
男「……」
キョロキョロと見渡して、確認する。
階段は、あっちか。
階段をゆっくりとのぼって、
男「おーい、いないのか?」
声を出す。
しかし、反応はない。
鍵は開いてたんだ。いないってことは、ない。
男「お邪魔します」
恐る恐る、中に入っていく。
電気がついてなくて、若干暗い。
男「……」
キョロキョロと見渡して、確認する。
階段は、あっちか。
階段をゆっくりとのぼって、
男「おーい、いないのか?」
声を出す。
しかし、反応はない。
鍵は開いてたんだ。いないってことは、ない。
97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:17:44.23 :Qa8V8fiY0
男「!」
ドアに、小さく書いてある。
『ノックをして入ってください』
この字は、正しくあいつの字だ。
男「……」
あいつがどんな状況であれ。
ノックはしよう。
俺は二度、ドアを叩いた。
男「!」
ドアに、小さく書いてある。
『ノックをして入ってください』
この字は、正しくあいつの字だ。
男「……」
あいつがどんな状況であれ。
ノックはしよう。
俺は二度、ドアを叩いた。
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:18:57.85 :Qa8V8fiY0
>>91
訂正。
×鍵は、開いてない。
○鍵は、開いてる。
>>96
突拍子もない間違いをしました。ありがとうございます。
>>91
訂正。
×鍵は、開いてない。
○鍵は、開いてる。
>>96
突拍子もない間違いをしました。ありがとうございます。
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:37:04.94 :Qa8V8fiY0
返事は、やはりない。
男「入るからな……」
何を言われても、怒られる覚悟はある。
ドアを、静かに開けた。
ギイっと、鈍い音をしながら、ドアが開く。
そこには、
女「……」
彼女は、俺とは逆の方向を向いて、静止していた。
返事は、やはりない。
男「入るからな……」
何を言われても、怒られる覚悟はある。
ドアを、静かに開けた。
ギイっと、鈍い音をしながら、ドアが開く。
そこには、
女「……」
彼女は、俺とは逆の方向を向いて、静止していた。
104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:43:56.44 :Qa8V8fiY0
男「な、何やってんだよ」
ただ、ベッドに座って、静かに空を見つめていた。
男「お、おい」
女「!」
肩に触れると、彼女は我に帰った。
女「おや……? どうして君が……」
彼女の頭にハテナマークが、たくさん浮上している。
男「お前、どうしたんだよ」
女「君こそ、純粋なる乙女の園に侵入するとは……」
自分で言うな。
男「な、何やってんだよ」
ただ、ベッドに座って、静かに空を見つめていた。
男「お、おい」
女「!」
肩に触れると、彼女は我に帰った。
女「おや……? どうして君が……」
彼女の頭にハテナマークが、たくさん浮上している。
男「お前、どうしたんだよ」
女「君こそ、純粋なる乙女の園に侵入するとは……」
自分で言うな。
108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:49:53.37 :Qa8V8fiY0
女「ふふっ、ボクを襲おうとして、やってきたのかい?」
男「んなわけあるか。お前、もう何時だと思ってんだ」
女「……どうやら、相当な大遅刻をしてしまったようだね」
時計を見て、時刻を確認している。
女「ようやく、状況が飲み込めた」
彼女は目を伏せて、こう言った。
女「ごめんなさい」
男「なんで謝る必要がある」
それよりも、やはり気になるのは。
あの状態は、どうしてなるのかだ。
女「ふふっ、ボクを襲おうとして、やってきたのかい?」
男「んなわけあるか。お前、もう何時だと思ってんだ」
女「……どうやら、相当な大遅刻をしてしまったようだね」
時計を見て、時刻を確認している。
女「ようやく、状況が飲み込めた」
彼女は目を伏せて、こう言った。
女「ごめんなさい」
男「なんで謝る必要がある」
それよりも、やはり気になるのは。
あの状態は、どうしてなるのかだ。
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:52:40.57 :Qa8V8fiY0
男「なあ、どうして」
女「ごめん、今は言えない」
男「っ……」
女「悪いんだけど、朝の練習、無しにしてもいいかな?」
男「別に、構わないけど」
女「そうか。良かった」
どうしたんだろう。
いつもの、ヤツらしくない。
男「なあ、どうして」
女「ごめん、今は言えない」
男「っ……」
女「悪いんだけど、朝の練習、無しにしてもいいかな?」
男「別に、構わないけど」
女「そうか。良かった」
どうしたんだろう。
いつもの、ヤツらしくない。
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 18:55:55.33 :Qa8V8fiY0
女「……ふふっ、らしくないところを見せてしまったかな」
男「ああ、そうだな」
女「君になら、見せてもいいと思える」
なんだよ、いきなり。
男「嬉しくねーよ」
女「あはは、酷いなぁ」
声に、自信がない。
口ごもったような声だ。
女「……ふふっ、らしくないところを見せてしまったかな」
男「ああ、そうだな」
女「君になら、見せてもいいと思える」
なんだよ、いきなり。
男「嬉しくねーよ」
女「あはは、酷いなぁ」
声に、自信がない。
口ごもったような声だ。
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 19:00:03.79 :Qa8V8fiY0
男「とりあえず、飯でも作ってやろうか?」
女「いいよ、君の料理力はそんなに強くなさそうだし」
なんだそのパラメータ。そのまんまだな。
女「作れるから、大丈夫だよ。君は先に学校に行ってもいいよ」
男「行っても一人だ。お前と一緒に行く」
女「心配ご無用。あいにくボクはそんなに弱くないよ」
男「……」
なんだよ、それ。
男「とりあえず、飯でも作ってやろうか?」
女「いいよ、君の料理力はそんなに強くなさそうだし」
なんだそのパラメータ。そのまんまだな。
女「作れるから、大丈夫だよ。君は先に学校に行ってもいいよ」
男「行っても一人だ。お前と一緒に行く」
女「心配ご無用。あいにくボクはそんなに弱くないよ」
男「……」
なんだよ、それ。
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 19:05:34.57 :Qa8V8fiY0
男「わかった」
女「それじゃあ着替えるよ」
男「ああ」
女「?」
男「ん?」
女「平然といるということは、ボクの柔肌を拝みたいということかい?!」
男「んなわけねえだろ! 出る出る!」
女「な、なにがだい? 部屋で何を……」
男「そっちじゃねえ!」
女「おやおや、そっちとはどのようなものだい?」
誘導するな! 腹立つ!
男「わかった」
女「それじゃあ着替えるよ」
男「ああ」
女「?」
男「ん?」
女「平然といるということは、ボクの柔肌を拝みたいということかい?!」
男「んなわけねえだろ! 出る出る!」
女「な、なにがだい? 部屋で何を……」
男「そっちじゃねえ!」
女「おやおや、そっちとはどのようなものだい?」
誘導するな! 腹立つ!
116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 19:11:17.39 :Qa8V8fiY0
男「元気そうだから、俺はもう学校に行くからな! んじゃ!」
部屋を後にしようと、何故か座っていたベッドから立ち上がる
女「あっ……」
急に、小さな声を出した。
男「ん?」
女「……ううん、なんでもないよ。また、学校で」
男「? ああ……」
何か、言いたげな感じだったが、俺はヤツの家を後にした。
男「元気そうだから、俺はもう学校に行くからな! んじゃ!」
部屋を後にしようと、何故か座っていたベッドから立ち上がる
女「あっ……」
急に、小さな声を出した。
男「ん?」
女「……ううん、なんでもないよ。また、学校で」
男「? ああ……」
何か、言いたげな感じだったが、俺はヤツの家を後にした。
117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 19:13:39.23 :Qa8V8fiY0
正直、安心はできない。
もしも、またあの状態になったら?
考えると、学校には行けない。
でも、ここは。
信じないと、という気持ちが強かった。
これで、家の前で待ってたら、あいつは嫌がるだろうし。
男「俺がいたところで、あの状態を未然に防ぐことはできないしな……」
そんなことを考えながら、学校への道を歩んだ。
正直、安心はできない。
もしも、またあの状態になったら?
考えると、学校には行けない。
でも、ここは。
信じないと、という気持ちが強かった。
これで、家の前で待ってたら、あいつは嫌がるだろうし。
男「俺がいたところで、あの状態を未然に防ぐことはできないしな……」
そんなことを考えながら、学校への道を歩んだ。
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 19:59:07.69 :Qa8V8fiY0
男「……」
もちろん、誰もいるはずがない。
早すぎる。
体育祭の練習しているやつはいない。
野球部の眠そうな柔軟体操が聞こえる。
男「大丈夫かな、あいつ」
ん? 今俺はなんて言った?
男「……落ち着け落ち着け」
気にしすぎだ。バカ。
男「……」
もちろん、誰もいるはずがない。
早すぎる。
体育祭の練習しているやつはいない。
野球部の眠そうな柔軟体操が聞こえる。
男「大丈夫かな、あいつ」
ん? 今俺はなんて言った?
男「……落ち着け落ち着け」
気にしすぎだ。バカ。
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:05:45.36 :Qa8V8fiY0
眠気がどこかに行ってしまったので、とりあえず静かな教室を練り歩く。
本当に誰もいないな。
と、そんなことを思っていると。
「……あ」
男「!」
後輩「あっはー先輩じゃないですかぁ~♪」
まずい、やばいやつに見つかった。
文化祭の時に知り合った、厄介な女子だ。
後輩「うわ、逃げないでくださいよー」
がっと腰をガッシリとホールドされた。
男「お、お前なんで?」
後輩「先輩こそ、どうしてここに?」
眠気がどこかに行ってしまったので、とりあえず静かな教室を練り歩く。
本当に誰もいないな。
と、そんなことを思っていると。
「……あ」
男「!」
後輩「あっはー先輩じゃないですかぁ~♪」
まずい、やばいやつに見つかった。
文化祭の時に知り合った、厄介な女子だ。
後輩「うわ、逃げないでくださいよー」
がっと腰をガッシリとホールドされた。
男「お、お前なんで?」
後輩「先輩こそ、どうしてここに?」
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:06:20.63 :Qa8V8fiY0
>>130
たびたび訂正すいません。
×眠気がどこかに行ってしまったので、とりあえず静かな教室を練り歩く。
○眠気がどこかに行ってしまったので、とりあえず静かな学校を練り歩く。
>>130
たびたび訂正すいません。
×眠気がどこかに行ってしまったので、とりあえず静かな教室を練り歩く。
○眠気がどこかに行ってしまったので、とりあえず静かな学校を練り歩く。
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:12:14.39 :Qa8V8fiY0
男「あまりにも早く来たから、ちょっとな」
後輩「なるほどほど……」
男「お前は?」
後輩「私ですか? 私は体育祭実行委員なので」
文化祭の時も実行委員で、引き続きか。
後輩「先輩は体育祭は実行委員じゃないんですね、残念です」
男「ああ、まったくだな」
後輩「今から印刷室で体育祭のタイムテーブル、略してTT……え、てぃーてぃー」
説明するのが遅れた。
こいつもあいつに劣らず変態である。
後輩「先輩のTT見せてください!」
男「俺のタイムテーブルってなんだよ!」
男「あまりにも早く来たから、ちょっとな」
後輩「なるほどほど……」
男「お前は?」
後輩「私ですか? 私は体育祭実行委員なので」
文化祭の時も実行委員で、引き続きか。
後輩「先輩は体育祭は実行委員じゃないんですね、残念です」
男「ああ、まったくだな」
後輩「今から印刷室で体育祭のタイムテーブル、略してTT……え、てぃーてぃー」
説明するのが遅れた。
こいつもあいつに劣らず変態である。
後輩「先輩のTT見せてください!」
男「俺のタイムテーブルってなんだよ!」
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:18:34.52 :Qa8V8fiY0
後輩「え、いや、TTってタイムテーブルじゃないです、チン……」
朝から絶好調過ぎてツッコみたくない!!
男「それ以上言うな!」
口を塞ぐ。怖いくらいに廊下に響いている。うるさい。
後輩「んっー」
男「ああ、悪い悪い」
後輩「ぷはっ……ちょっと、強く塞ぎすぎですよー。産まれるところでした」
何がだ。
後輩「え、いや、TTってタイムテーブルじゃないです、チン……」
朝から絶好調過ぎてツッコみたくない!!
男「それ以上言うな!」
口を塞ぐ。怖いくらいに廊下に響いている。うるさい。
後輩「んっー」
男「ああ、悪い悪い」
後輩「ぷはっ……ちょっと、強く塞ぎすぎですよー。産まれるところでした」
何がだ。
135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:22:57.84 :Qa8V8fiY0
後輩「手で塞ぐより、もっと従順に塞ぐ方法がありますよ」
男「聞きたくないから言うな」
後輩「TTを……ありゃ?」
男「印刷室、行くんだろ。こんなとこで油売ってるの、実行委員としてどうなんだ?」
後輩「ふふっ、流石ですね、先輩」
男「は?」
後輩「私は仕事が遅いので、今日は早めに来たのです!」
男「……」
ドヤ顔で言われてもなぁ。
つまり、俺がいなくても仕事遅いのか?
後輩「手で塞ぐより、もっと従順に塞ぐ方法がありますよ」
男「聞きたくないから言うな」
後輩「TTを……ありゃ?」
男「印刷室、行くんだろ。こんなとこで油売ってるの、実行委員としてどうなんだ?」
後輩「ふふっ、流石ですね、先輩」
男「は?」
後輩「私は仕事が遅いので、今日は早めに来たのです!」
男「……」
ドヤ顔で言われてもなぁ。
つまり、俺がいなくても仕事遅いのか?
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:31:26.99 :Qa8V8fiY0
後輩「先輩のせいでもう絶対に間に合いませーん」
男「人のせいかよ、とりあえず印刷室行くぞ」
後輩「ついてきてくれるんですか?」
男「そうまで言われたら、一緒にいくしかないだろう」
仕事が遅いというか、のんびりしてるんだろ、こいつ。
あいつとは真逆だな、そういうところ。
後輩「一生ついていきます」
男「こなくていい」
後輩「先輩のせいでもう絶対に間に合いませーん」
男「人のせいかよ、とりあえず印刷室行くぞ」
後輩「ついてきてくれるんですか?」
男「そうまで言われたら、一緒にいくしかないだろう」
仕事が遅いというか、のんびりしてるんだろ、こいつ。
あいつとは真逆だな、そういうところ。
後輩「一生ついていきます」
男「こなくていい」
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:40:04.77 :Qa8V8fiY0
印刷室に来たのだが、相当な量をやるらしい。
後輩「全生徒分なんで、とっても多いのです」
男「こりゃ時間あっても難しいぞ」
後輩「だいじょぶです、先輩がいればなんとか!」
男「俺は印刷機じゃないぞ」
ただの人間だ。
後輩「あ、先輩紙が無くなりました! お願いします」
男「お前給紙知らないのに任せられたのかよ」
後輩「てっへっへー」
てへへって言えよ。なんだその変な言い方。
印刷室に来たのだが、相当な量をやるらしい。
後輩「全生徒分なんで、とっても多いのです」
男「こりゃ時間あっても難しいぞ」
後輩「だいじょぶです、先輩がいればなんとか!」
男「俺は印刷機じゃないぞ」
ただの人間だ。
後輩「あ、先輩紙が無くなりました! お願いします」
男「お前給紙知らないのに任せられたのかよ」
後輩「てっへっへー」
てへへって言えよ。なんだその変な言い方。
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:46:09.63 :Qa8V8fiY0
印刷機は問題なくタイムテーブル表を吐き出し続けた。
男「うっし、これで大丈夫か?」
後輩「いやー助かりました! 本当に」
男「抱きつくな」
胸が当たってるぞ。
後輩「当ててるんですよ」
男「は!?」
俺何も言ってないんだけど。
くそ、心を読まれたか……。
印刷機は問題なくタイムテーブル表を吐き出し続けた。
男「うっし、これで大丈夫か?」
後輩「いやー助かりました! 本当に」
男「抱きつくな」
胸が当たってるぞ。
後輩「当ててるんですよ」
男「は!?」
俺何も言ってないんだけど。
くそ、心を読まれたか……。
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:52:05.44 :Qa8V8fiY0
後輩「あとはこれを持っていくだけです!」
男「そうか、じゃあよいしょ……」
後輩「ええ! 先輩ダメですよー!」
男「ここまでやったんだから最後まで付き合わせろよ」
後輩「先輩……突き合うだなんて」
男「残り持てよ」
後輩「ああっ、スルーするなんて酷いですよー!」
スルーには慣れていないところがあるな、こいつは。
後輩「あとはこれを持っていくだけです!」
男「そうか、じゃあよいしょ……」
後輩「ええ! 先輩ダメですよー!」
男「ここまでやったんだから最後まで付き合わせろよ」
後輩「先輩……突き合うだなんて」
男「残り持てよ」
後輩「ああっ、スルーするなんて酷いですよー!」
スルーには慣れていないところがあるな、こいつは。
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 20:59:48.89 :Qa8V8fiY0
時間をみると、もう生徒たちがやってくる時間だった。
男「ふぅ」
後輩「先輩……賢者ですか?」
男「言葉だけで見るな」
後輩「ふふ、慰めて欲しいときはいつでも言ってくださいね!」
積極的だなーこいつ。
そして体がずっと密着してるんだが……。
男「……ん?」
女「あ」
後輩「? どうしたんです、先輩?」
良かった、ちゃんと来れたみたいだ。
時間をみると、もう生徒たちがやってくる時間だった。
男「ふぅ」
後輩「先輩……賢者ですか?」
男「言葉だけで見るな」
後輩「ふふ、慰めて欲しいときはいつでも言ってくださいね!」
積極的だなーこいつ。
そして体がずっと密着してるんだが……。
男「……ん?」
女「あ」
後輩「? どうしたんです、先輩?」
良かった、ちゃんと来れたみたいだ。
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:03:41.53 :Qa8V8fiY0
男「よう」
女「……」
スッと、俺の横を通り過ぎていった。
後輩「あら、無視されちゃいましたね。同じクラスの人ですか?」
男「ああ……」
なんだか、凄く冷たい顔をしていた。
男「とりあえず、行くか」
後輩「はい♪」
男「よう」
女「……」
スッと、俺の横を通り過ぎていった。
後輩「あら、無視されちゃいましたね。同じクラスの人ですか?」
男「ああ……」
なんだか、凄く冷たい顔をしていた。
男「とりあえず、行くか」
後輩「はい♪」
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:11:05.61 :Qa8V8fiY0
後輩の仕事の手伝いを終え、既に人の多くなった教室に入った。
男「……」
女は、いつも通り本を読んでいた。
男「おう、どうやら来れたみたいだな」
女「ああ、うん」
男「?」
こっちを見ずに返事をしたヤツに、違和感を覚えた。
後輩の仕事の手伝いを終え、既に人の多くなった教室に入った。
男「……」
女は、いつも通り本を読んでいた。
男「おう、どうやら来れたみたいだな」
女「ああ、うん」
男「?」
こっちを見ずに返事をしたヤツに、違和感を覚えた。
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:16:04.60 :Qa8V8fiY0
男「どうしたんだ?」
女「何がだい」
男「いや……別に」
女「君の方こそ、ボクと話をしていて、いいのかな?」
男「どういうことだ?」
女「さっきの子と、随分仲良くしていたからね」
男「……?」
女「ボクと話をしていたら、彼女困るんじゃないかな?」
なんでこいつ、そんなこと気にしてるんだ。
男「どうしたんだ?」
女「何がだい」
男「いや……別に」
女「君の方こそ、ボクと話をしていて、いいのかな?」
男「どういうことだ?」
女「さっきの子と、随分仲良くしていたからね」
男「……?」
女「ボクと話をしていたら、彼女困るんじゃないかな?」
なんでこいつ、そんなこと気にしてるんだ。
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:20:26.56 :Qa8V8fiY0
男「あいつとはただ文化祭で一緒に仕事してて、ちょっと好かれちまっただけだ」
頼られるのは嫌いじゃない。
女「……鈍いね」
男「へ?」
女「鈍いと嫌われるよ。今、ボクは君を嫌いになりそうだ」
男「な、どういうことだよ?」
女「ボク、今本を読んでるから」
いつも本読むの中断するじゃねえか。
男「あいつとはただ文化祭で一緒に仕事してて、ちょっと好かれちまっただけだ」
頼られるのは嫌いじゃない。
女「……鈍いね」
男「へ?」
女「鈍いと嫌われるよ。今、ボクは君を嫌いになりそうだ」
男「な、どういうことだよ?」
女「ボク、今本を読んでるから」
いつも本読むの中断するじゃねえか。
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:34:53.39 :Qa8V8fiY0
男「おいっ」
女「今君がボクに嫌われないためにできることは一つ」
男「……?」
女「ボクに話しかけないことだ」
なんだよ、それ。
俺、嫌われるようなこと、してないだろ。
俺が、何したんだよ。
男「おいっ」
女「今君がボクに嫌われないためにできることは一つ」
男「……?」
女「ボクに話しかけないことだ」
なんだよ、それ。
俺、嫌われるようなこと、してないだろ。
俺が、何したんだよ。
163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:53:43.55 :Qa8V8fiY0
男「わかったよ。そういうなら話かけねえ」
女「案外ふつうに言うことを聞くんだね」
男「……」
俺はその言葉に返事せずに、自分の席についた。
そっちがそういうなら、俺はあくまで話しかけねえ。
何が『嫌いになりそう』だよ。
男「わかったよ。そういうなら話かけねえ」
女「案外ふつうに言うことを聞くんだね」
男「……」
俺はその言葉に返事せずに、自分の席についた。
そっちがそういうなら、俺はあくまで話しかけねえ。
何が『嫌いになりそう』だよ。
165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 21:56:28.16 :Qa8V8fiY0
そんな意地を張って、今日は一緒に飯も食わなかった。
帰りのホームルームが終わった後、ヤツはまだ、本を読んでいた。
男「……」
話しかけづらい。
今更、話しかける気にもなれなかったのだが。
あいつは、おそらく俺が帰るのを待っている。
男「……あ」
そういえば、話しかけられる話題があった。
男「おい」
女「……おや、なんだい?」
そんな意地を張って、今日は一緒に飯も食わなかった。
帰りのホームルームが終わった後、ヤツはまだ、本を読んでいた。
男「……」
話しかけづらい。
今更、話しかける気にもなれなかったのだが。
あいつは、おそらく俺が帰るのを待っている。
男「……あ」
そういえば、話しかけられる話題があった。
男「おい」
女「……おや、なんだい?」
167:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:00:06.00 :Qa8V8fiY0
男「二人三脚、やらないのかよ」
女「……」
男「……」
俺をジーっと見つめて。
女「うん、やろうか」
ニッコリと、満面の笑みを見せた。
いつも通りの、ヤツだ。
女「二人三脚と言わず、二人二脚をやろう」
男「どうやるんだよそれ」
男「二人三脚、やらないのかよ」
女「……」
男「……」
俺をジーっと見つめて。
女「うん、やろうか」
ニッコリと、満面の笑みを見せた。
いつも通りの、ヤツだ。
女「二人三脚と言わず、二人二脚をやろう」
男「どうやるんだよそれ」
168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:05:16.98 :Qa8V8fiY0
女「簡単だよ、君がボクにそうにゅ」
男「言わんでいい」
結局変態的な考え方じゃねえか。
女「それじゃあ、練習しよう」
男「おう」
ヤツは更衣室へ行き、俺は教室で着替えを始めた。
一人の教室で着替えるのにも、だいぶ慣れた。
女「簡単だよ、君がボクにそうにゅ」
男「言わんでいい」
結局変態的な考え方じゃねえか。
女「それじゃあ、練習しよう」
男「おう」
ヤツは更衣室へ行き、俺は教室で着替えを始めた。
一人の教室で着替えるのにも、だいぶ慣れた。
170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:12:22.33 :Qa8V8fiY0
女「おまたせ」
男「……と言いつつ入ってくるなよ」
女「おや、トランセル」
男「トランクスだ」
うっかり変なもの見せたみたいじゃねえか。
女「ふふっ、冗談だ。さあ、行こう」
男「おう」
女「おまたせ」
男「……と言いつつ入ってくるなよ」
女「おや、トランセル」
男「トランクスだ」
うっかり変なもの見せたみたいじゃねえか。
女「ふふっ、冗談だ。さあ、行こう」
男「おう」
173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:20:49.08 :Qa8V8fiY0
そして、数十分俺達は息を合わせて練習した。
練習中はのヤツは、真面目で、一切の妥協を許さなかった。
女「ねえ、一つ、聞いてもいいかな」
男「ん?」
女「今朝、君といた女の子だけど」
男「ああ、後輩か、どうした?」
女「あれくらいがいいのかい?」
そう言って、自分の胸周りをさすった。
そして、数十分俺達は息を合わせて練習した。
練習中はのヤツは、真面目で、一切の妥協を許さなかった。
女「ねえ、一つ、聞いてもいいかな」
男「ん?」
女「今朝、君といた女の子だけど」
男「ああ、後輩か、どうした?」
女「あれくらいがいいのかい?」
そう言って、自分の胸周りをさすった。
175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:25:20.86 :Qa8V8fiY0
男「……別に、そんなこと気にしないけど?」
女「むう、本当にかい?」
男「ああ、もちろんだ」
女「ならば、ボクのは、どうだと思う?」
体操服一枚と、おそらく下にブラジャー。
それなのに、まったく膨らみのないライン。
男「お、男の娘はきっと需要あるって」
女「凄く傷つくことを、サラッと言ったね」
すまん、俺もビックリなほどサラッと言っちまった。
男「……別に、そんなこと気にしないけど?」
女「むう、本当にかい?」
男「ああ、もちろんだ」
女「ならば、ボクのは、どうだと思う?」
体操服一枚と、おそらく下にブラジャー。
それなのに、まったく膨らみのないライン。
男「お、男の娘はきっと需要あるって」
女「凄く傷つくことを、サラッと言ったね」
すまん、俺もビックリなほどサラッと言っちまった。
177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:28:53.17 :Qa8V8fiY0
女「ボクは付いてないんだけどなぁ」
次は下半身をさすりながら、言った。
男「ついてたら困る」
女「ふふっ、そうだね」
「うはー、練習お疲れ様です~!」
男「ん?」
後輩「どーもでっす!」
男「よう、後輩」
この状況で話しかけられると、女は……。
……ニコニコしてる?
女「ボクは付いてないんだけどなぁ」
次は下半身をさすりながら、言った。
男「ついてたら困る」
女「ふふっ、そうだね」
「うはー、練習お疲れ様です~!」
男「ん?」
後輩「どーもでっす!」
男「よう、後輩」
この状況で話しかけられると、女は……。
……ニコニコしてる?
178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:32:40.98 :Qa8V8fiY0
後輩「二人三脚……いいなあ、私もしたいなぁ!」
女「よかったら、変わろうか?」
後輩「ええ!? でも私の場合ただの欲満たしというか、なんというかぁ」
男「おい、あんまり調子に乗らせるな」
女「いいじゃないか、やりたいって言ってるんだから」
男「……」
でも、後輩とやる意味なんて、まったくないのに。
後輩「二人三脚……いいなあ、私もしたいなぁ!」
女「よかったら、変わろうか?」
後輩「ええ!? でも私の場合ただの欲満たしというか、なんというかぁ」
男「おい、あんまり調子に乗らせるな」
女「いいじゃないか、やりたいって言ってるんだから」
男「……」
でも、後輩とやる意味なんて、まったくないのに。
179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 22:35:44.68 :Qa8V8fiY0
後輩「うわ、これ結構きつく縛るんですね」
男「ああ、だから失敗すると痛いぞ」
後輩「はうっ、ホントだ……」
なんで顔を赤らめたんだ。
女「それじゃあ、ボクはここで見てるから、一周するといい」
男「おい、ちょっと歩くぐらいで」
後輩「よーっし、行っきましょう!」
男「うおっ、バカ、ちゃんと合わせろよ!」
後輩「先輩なら合わせてくれると信じてますから!」
後輩「うわ、これ結構きつく縛るんですね」
男「ああ、だから失敗すると痛いぞ」
後輩「はうっ、ホントだ……」
なんで顔を赤らめたんだ。
女「それじゃあ、ボクはここで見てるから、一周するといい」
男「おい、ちょっと歩くぐらいで」
後輩「よーっし、行っきましょう!」
男「うおっ、バカ、ちゃんと合わせろよ!」
後輩「先輩なら合わせてくれると信じてますから!」
187:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:02:05.20 :Qa8V8fiY0
男「……」
それにしても、こいつ、イイ顔で走るな。
後輩「あはは!」
男「……!」
尋常じゃなく胸が揺れてやがる。
制服のせいでパンツ見えまくりじゃねえか!
男「……」
それにしても、こいつ、イイ顔で走るな。
後輩「あはは!」
男「……!」
尋常じゃなく胸が揺れてやがる。
制服のせいでパンツ見えまくりじゃねえか!
188:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:04:57.40 :Qa8V8fiY0
男「ストップ! ストップ!」
後輩「もうすぐでゴールですからー!」
男「ああ、もう」
思わず、スカートのはねを防ごうとする。
後輩「ひゃあ!?」
うっかり、尻に触れる。
それにしても、変な反応しすぎだろ。
後輩「せ、先輩……大胆ですね」
男「ストップ! ストップ!」
後輩「もうすぐでゴールですからー!」
男「ああ、もう」
思わず、スカートのはねを防ごうとする。
後輩「ひゃあ!?」
うっかり、尻に触れる。
それにしても、変な反応しすぎだろ。
後輩「せ、先輩……大胆ですね」
191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:10:17.24 :Qa8V8fiY0
男「違う、パンツがだな」
後輩「あ、そっか、私制服でしたね!」
失敗失敗と、頭を可愛く叩いてみせる。
男「もう、じゅうぶんだろ?」
後輩「はい、セクハラもされちゃいましたし」
男「お前なあ……」
まあ、言い訳がましくも聞こえるかもしれないな、俺。
男「違う、パンツがだな」
後輩「あ、そっか、私制服でしたね!」
失敗失敗と、頭を可愛く叩いてみせる。
男「もう、じゅうぶんだろ?」
後輩「はい、セクハラもされちゃいましたし」
男「お前なあ……」
まあ、言い訳がましくも聞こえるかもしれないな、俺。
193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:14:35.82 :Qa8V8fiY0
男「そういえば、どうしてお前が?」
後輩「はっ、そうでした! 作業中だったのに、先輩を見かけたから来ちゃったんです」
俺のせいにするなよ。
後輩「それじゃあ、私はこれでー♪」
男「おう、じゃあな」
よし、これでまた練習ができるな。
男「……ん?」
女「……」
男「そういえば、どうしてお前が?」
後輩「はっ、そうでした! 作業中だったのに、先輩を見かけたから来ちゃったんです」
俺のせいにするなよ。
後輩「それじゃあ、私はこれでー♪」
男「おう、じゃあな」
よし、これでまた練習ができるな。
男「……ん?」
女「……」
199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:32:00.60 :Qa8V8fiY0
男「お、おいまさか……」
女「……」
また、なってやがる。
男「お、おい、大丈夫か!」
女「んっ?」
男「ま、またなってたぞ」
女「……また、か」
悲哀の瞳で、彼女は下を向いた。
男「お、おいまさか……」
女「……」
また、なってやがる。
男「お、おい、大丈夫か!」
女「んっ?」
男「ま、またなってたぞ」
女「……また、か」
悲哀の瞳で、彼女は下を向いた。
204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:43:22.93 :Qa8V8fiY0
男「今日は、もうこれでやめよう」
女「えっ、でも」
男「いや、駄目だ」
また、こんなことになったら。
女「すまない。それじゃあ、今日はあがろう」
男「まあ、大分慣れてきて、上手く走れるようになってきたと思うぜ」
女「ふふっ、君がポジティブなことを言うなんてね」
俺、ネガティブ気質なのか?
男「今日は、もうこれでやめよう」
女「えっ、でも」
男「いや、駄目だ」
また、こんなことになったら。
女「すまない。それじゃあ、今日はあがろう」
男「まあ、大分慣れてきて、上手く走れるようになってきたと思うぜ」
女「ふふっ、君がポジティブなことを言うなんてね」
俺、ネガティブ気質なのか?
205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:47:21.08 :Qa8V8fiY0
女「それじゃあ、あがろう」
男「ああ」
女「……そうだ」
男「?」
女「見せたいもの、見せてもいいかな?」
男「ん、ああ」
別に朝じゃなくてもよかったのか。
女「ふふっ、きっと喜んでくれるはずさ」
そいつは楽しみだ。
女「それじゃあ、あがろう」
男「ああ」
女「……そうだ」
男「?」
女「見せたいもの、見せてもいいかな?」
男「ん、ああ」
別に朝じゃなくてもよかったのか。
女「ふふっ、きっと喜んでくれるはずさ」
そいつは楽しみだ。
208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:53:11.46 :Qa8V8fiY0
女「いいことを思いついた」
男「なんだ?」
女「紐をつけたまま教室まで行こう」
男「はあ?」
あぶねえだろ、それ。
女「今日は早めに終わるんだ。これくらい、いいだろう?」
まあ、別にいいけど……。
女「君とボクの、練習の成果を見せてやろう」
誰にだ。
女「いいことを思いついた」
男「なんだ?」
女「紐をつけたまま教室まで行こう」
男「はあ?」
あぶねえだろ、それ。
女「今日は早めに終わるんだ。これくらい、いいだろう?」
まあ、別にいいけど……。
女「君とボクの、練習の成果を見せてやろう」
誰にだ。
209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/09/30(日) 23:55:30.01 :Qa8V8fiY0
男「それじゃあ、行くぞ」
女「その前に」
男「なんだ?」
女「靴を履き替えないと」
男「ああ、そうだったな。」
そっからスタートだったらダルそうだし。
女「……ん、足をあげてくれないか」
男「お、おう」
……めんどくせえ!!
男「それじゃあ、行くぞ」
女「その前に」
男「なんだ?」
女「靴を履き替えないと」
男「ああ、そうだったな。」
そっからスタートだったらダルそうだし。
女「……ん、足をあげてくれないか」
男「お、おう」
……めんどくせえ!!
212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:02:20.40 :Qa8V8fiY0
女「よし、いこう」
気を取り直して
男「よーい……」
どんっ、といく前に。
男「あ、先生……」
先生に見られた。
男「はい、はい……すいません」
そして、わりと本気で怒られた。
……しかも謝ってるのは俺ばかりだった。
女「よし、いこう」
気を取り直して
男「よーい……」
どんっ、といく前に。
男「あ、先生……」
先生に見られた。
男「はい、はい……すいません」
そして、わりと本気で怒られた。
……しかも謝ってるのは俺ばかりだった。
213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:04:38.15 :n+kZp0Ny0
なんでヤツは謝らないのか。
男「おい、なんで俺が全部悪いみたいになってるんだ?」
女「ボクにもさっぱり」
男「お前なあ……」
女「怒られてしまったから、紐を解こう」
当たり前だ。
また怒られるのはこりごりだからな。
なんでヤツは謝らないのか。
男「おい、なんで俺が全部悪いみたいになってるんだ?」
女「ボクにもさっぱり」
男「お前なあ……」
女「怒られてしまったから、紐を解こう」
当たり前だ。
また怒られるのはこりごりだからな。
215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:12:08.49 :n+kZp0Ny0
女「ふふっ」
男「なんだよ」
いきなり不敵な笑みだ。
女「いやあ、楽しみだなって」
見せたいもののことか?
男「そんなにいいものなのか?」
女「わからない。君次第かな」
君の、感じ方次第。
と、ヤツは言った。
女「ふふっ」
男「なんだよ」
いきなり不敵な笑みだ。
女「いやあ、楽しみだなって」
見せたいもののことか?
男「そんなにいいものなのか?」
女「わからない。君次第かな」
君の、感じ方次第。
と、ヤツは言った。
218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:18:06.69 :n+kZp0Ny0
女「それに、言いたいこともあるから」
男「は?」
女「いや、なんでもないよ」
手を振って、おおげさに否定する彼女。
うーん、なんか企んでるのか?
女「それじゃあ、また後で」
男「おう」
また、更衣室と教室へ、それぞれ別れていく。
女「それに、言いたいこともあるから」
男「は?」
女「いや、なんでもないよ」
手を振って、おおげさに否定する彼女。
うーん、なんか企んでるのか?
女「それじゃあ、また後で」
男「おう」
また、更衣室と教室へ、それぞれ別れていく。
219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:23:29.13 :n+kZp0Ny0
明日は休みだ。
久し振りにゆっくりできるぞ。
まあ、一週間すれば休みがあるのは、いつものことなんだが。
女「終わったね」
男「お前、覗いて終わったところを確認して来てないか?」
女「おや、バレていたのか」
そ、そうだったのか。
冗談で言ったのに。まさかの図星だった。
明日は休みだ。
久し振りにゆっくりできるぞ。
まあ、一週間すれば休みがあるのは、いつものことなんだが。
女「終わったね」
男「お前、覗いて終わったところを確認して来てないか?」
女「おや、バレていたのか」
そ、そうだったのか。
冗談で言ったのに。まさかの図星だった。
226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:38:21.86 :n+kZp0Ny0
女「君の体はいいね。締まっているけど、筋肉なっていない、筋肉質な感じが」
男「……そうか」
見られてると気づくと、急に照れるな。
男「つか、見るなよ変態」
女「ふふっ、変態と言われると喜ぶボクは変態かな?」
ああ、変態だ。相当な。
女「それじゃあ、帰ろう」
男「ああ」
まだ、日が沈んでいない時間だった。
女「君の体はいいね。締まっているけど、筋肉なっていない、筋肉質な感じが」
男「……そうか」
見られてると気づくと、急に照れるな。
男「つか、見るなよ変態」
女「ふふっ、変態と言われると喜ぶボクは変態かな?」
ああ、変態だ。相当な。
女「それじゃあ、帰ろう」
男「ああ」
まだ、日が沈んでいない時間だった。
228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:41:59.96 :n+kZp0Ny0
女「よし、間に合いそう」
男「どこなんだ?」
女「ちょっと、かけあしで行こう」
男「ああ」
ワクワクと、体を躍動させながら、彼女は足を進めた。
見せたくて仕方がない、といった感じである。
あまり急ぐと、転ぶぞ。
ほら見ろ。転んだ。
女「ふふっ、さあ行こう」
女「よし、間に合いそう」
男「どこなんだ?」
女「ちょっと、かけあしで行こう」
男「ああ」
ワクワクと、体を躍動させながら、彼女は足を進めた。
見せたくて仕方がない、といった感じである。
あまり急ぐと、転ぶぞ。
ほら見ろ。転んだ。
女「ふふっ、さあ行こう」
231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:48:10.74 :n+kZp0Ny0
そんなことお構いなしに、彼女は先に先に進む。
どっからこの元気は出てくるんだ。
男「急がないといけないのか?」
女「うん、時間を逃すと、みれないから」
焦るような口ぶりで、彼女は言った。
男「……」
不思議だな。
こうやってるうちは、あいつはあの状態にならない。
なにか、法則性はあるのか?
そんなことお構いなしに、彼女は先に先に進む。
どっからこの元気は出てくるんだ。
男「急がないといけないのか?」
女「うん、時間を逃すと、みれないから」
焦るような口ぶりで、彼女は言った。
男「……」
不思議だな。
こうやってるうちは、あいつはあの状態にならない。
なにか、法則性はあるのか?
232:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:51:49.54 :n+kZp0Ny0
女「ここだ」
男「え?」
女「おっと、まだ見ちゃダメだ。目をつぶって」
言われるがまま、目を閉じる。
男「……?」
女「手、貸して」
手を掴まれて、ゆっくりと歩いて行く。
草の、においがする。
女「ここだ」
男「え?」
女「おっと、まだ見ちゃダメだ。目をつぶって」
言われるがまま、目を閉じる。
男「……?」
女「手、貸して」
手を掴まれて、ゆっくりと歩いて行く。
草の、においがする。
234:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 00:54:33.07 :n+kZp0Ny0
女「目を、開けて」
男「……うお」
目をあけると、そこには綺麗な夕焼けだった。
女「ここ、障害物がなくて、周りがよく見えるから綺麗なんだ」
男「本当だ……すっげえ綺麗」
女「ふふっ、喜んでもらえたかな?」
男「ああ、でも、なんで?」
女「?」
なんで、俺に?
女「目を、開けて」
男「……うお」
目をあけると、そこには綺麗な夕焼けだった。
女「ここ、障害物がなくて、周りがよく見えるから綺麗なんだ」
男「本当だ……すっげえ綺麗」
女「ふふっ、喜んでもらえたかな?」
男「ああ、でも、なんで?」
女「?」
なんで、俺に?
238:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:01:59.92 :n+kZp0Ny0
男「俺なんかに、こんな良いところ見せて、良かったのかよ?」
女「……ボクは、昔から一人でいることが多くてね」
いつも、一人でいた。
女「あまり、人と話すのは得意じゃないからさ」
できるだけ一人でいたいと思ってた。
だけど。
女「君は、ボクに話しかけてきてくれた」
男「俺なんかに、こんな良いところ見せて、良かったのかよ?」
女「……ボクは、昔から一人でいることが多くてね」
いつも、一人でいた。
女「あまり、人と話すのは得意じゃないからさ」
できるだけ一人でいたいと思ってた。
だけど。
女「君は、ボクに話しかけてきてくれた」
239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:05:36.26 :n+kZp0Ny0
嬉しかった。純粋に。
どんな話をすればいいか、わからなかった。
けど、君はボクがどんなことを言っても、素直に反応してくれた。
腫れ物に触るようなこともなく、純粋に、単純に。
女「ボクの、初めての友達だ」
けれど、君とボクには圧倒的に違う点があった。
たくさんの人と通じ合い、様々な人と仲良くしている君……。
嬉しかった。純粋に。
どんな話をすればいいか、わからなかった。
けど、君はボクがどんなことを言っても、素直に反応してくれた。
腫れ物に触るようなこともなく、純粋に、単純に。
女「ボクの、初めての友達だ」
けれど、君とボクには圧倒的に違う点があった。
たくさんの人と通じ合い、様々な人と仲良くしている君……。
240:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:08:15.22 :n+kZp0Ny0
女「それがとっても、辛かった」
ヤツは、さっきまで背中を向けていたが、急に振り返った。
女「どうやら、ボクにとって君の存在は、誰よりも強かったようだ」
男「……!」
彼女は、
静かに、涙を流してた。
女「それは、ボクの心を蝕んで、体の自由を奪ったんだ」
男「それって……!?」
女「それがとっても、辛かった」
ヤツは、さっきまで背中を向けていたが、急に振り返った。
女「どうやら、ボクにとって君の存在は、誰よりも強かったようだ」
男「……!」
彼女は、
静かに、涙を流してた。
女「それは、ボクの心を蝕んで、体の自由を奪ったんだ」
男「それって……!?」
246:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:13:48.82 :n+kZp0Ny0
女「それが、あの状態の真実なんだ」
男「ちょ、ちょっと待て」
女「理解できないのはわかってる」
まったく、意味がわからない。
女「君が他の誰かのところにいるのを考えるだけで、ダメみたいなんだ」
男「それって、どういう……」
女「このさい、言っておくよ。君が好きだから、こうなった」
女「それが、あの状態の真実なんだ」
男「ちょ、ちょっと待て」
女「理解できないのはわかってる」
まったく、意味がわからない。
女「君が他の誰かのところにいるのを考えるだけで、ダメみたいなんだ」
男「それって、どういう……」
女「このさい、言っておくよ。君が好きだから、こうなった」
248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:17:52.12 :n+kZp0Ny0
男「……は!?」
いきなりの告白だった。
女「君を誰にも奪われたくないんだ」
男「な、何言ってんだお前」
女「ボクは!」
俺の目の前までやってきて、
女「君がいないと、死んじゃうんだ」
と、大粒の涙を流して、泣いた。
男「……は!?」
いきなりの告白だった。
女「君を誰にも奪われたくないんだ」
男「な、何言ってんだお前」
女「ボクは!」
俺の目の前までやってきて、
女「君がいないと、死んじゃうんだ」
と、大粒の涙を流して、泣いた。
250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:22:43.45 :n+kZp0Ny0
女「ごめん、本当に自分勝手で、最低だ」
涙を拭っても拭っても、彼女の涙は止まらない。
さらに、激しく、勢い良く、流れ続ける。
男「……泣くな!」
ギュウッと、体を抱きしめた。
女「っ!」
男「お前は最低じゃねえよ、むしろ……最高だ」
女「ごめん、本当に自分勝手で、最低だ」
涙を拭っても拭っても、彼女の涙は止まらない。
さらに、激しく、勢い良く、流れ続ける。
男「……泣くな!」
ギュウッと、体を抱きしめた。
女「っ!」
男「お前は最低じゃねえよ、むしろ……最高だ」
251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:25:40.52 :n+kZp0Ny0
男「自分勝手だ? 残念ながら俺の方が自分勝手だ!」
俺はヤツを抱きしめて大声で叫んだ。
男「こんな可愛いヤツを、独り占めしてるんだからな!!」
そう言って、彼女の顔を見つめる。
男「俺は、お前以上に好きなやつはいない。だから、もう泣きやめよ」
彼女は、本心をさらけ出したんだ。
だから、俺も、だ。
男「自分勝手だ? 残念ながら俺の方が自分勝手だ!」
俺はヤツを抱きしめて大声で叫んだ。
男「こんな可愛いヤツを、独り占めしてるんだからな!!」
そう言って、彼女の顔を見つめる。
男「俺は、お前以上に好きなやつはいない。だから、もう泣きやめよ」
彼女は、本心をさらけ出したんだ。
だから、俺も、だ。
252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:28:17.48 :n+kZp0Ny0
女「……う、うわああ……」
男「お、おい!?」
何故泣き止まない?
男「ど、どうしたんだよ、なんで……」
女「嬉しくて……涙が止まらないじゃないかぁ!」
まるで彼女は子どものように。
一心不乱に、大声を出して泣いた。
女「だ、だ……」
大好きです、と。
泣きじゃくる声から、そう聞き取れた。
女「……う、うわああ……」
男「お、おい!?」
何故泣き止まない?
男「ど、どうしたんだよ、なんで……」
女「嬉しくて……涙が止まらないじゃないかぁ!」
まるで彼女は子どものように。
一心不乱に、大声を出して泣いた。
女「だ、だ……」
大好きです、と。
泣きじゃくる声から、そう聞き取れた。
255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:33:05.95 :n+kZp0Ny0
泣いた彼女の頭を撫でて、数時間。
やっと彼女は泣きつかれたようで。
女「ふぅ……」
男「やっとか」
もう、日は完全に沈んで、今はもう夜。
女「また、変なところを見せてしまったね」
男「いや、そんなことねえよ」
お前の最高なところが見れた気がする。
泣いた彼女の頭を撫でて、数時間。
やっと彼女は泣きつかれたようで。
女「ふぅ……」
男「やっとか」
もう、日は完全に沈んで、今はもう夜。
女「また、変なところを見せてしまったね」
男「いや、そんなことねえよ」
お前の最高なところが見れた気がする。
259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:39:31.52 :n+kZp0Ny0
女「君のことを考えてると、いつも思考がぐるぐる回転して」
星空が数多輝く空を見ながら、
女「どうしても、ここに来てしまうんだ」
ハニカンで、俺の方を見た。
女「ここに来れば、ちょっとだけ、気持ちが安心できるから」
男「ふーん、確かに、良い所だ」
女「君にもわかってもらえて、良かった」
女「君のことを考えてると、いつも思考がぐるぐる回転して」
星空が数多輝く空を見ながら、
女「どうしても、ここに来てしまうんだ」
ハニカンで、俺の方を見た。
女「ここに来れば、ちょっとだけ、気持ちが安心できるから」
男「ふーん、確かに、良い所だ」
女「君にもわかってもらえて、良かった」
260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:41:48.32 :n+kZp0Ny0
男「でも、本当に俺のせいであの状態になってたのか?」
女「うん、そうだよ」
何故断言できる。
女「あの状態をなおせるのは、君しかいなかったからね」
男「……そ、そうだったのか」
じゃあ、家でなってたらどうするんだよ。
今日は俺が家まで来たからよかったものの。
女「ふふっ、でも、もうならないと思うから」
男「でも、本当に俺のせいであの状態になってたのか?」
女「うん、そうだよ」
何故断言できる。
女「あの状態をなおせるのは、君しかいなかったからね」
男「……そ、そうだったのか」
じゃあ、家でなってたらどうするんだよ。
今日は俺が家まで来たからよかったものの。
女「ふふっ、でも、もうならないと思うから」
263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:45:29.73 :n+kZp0Ny0
男「なんでだ?」
女「だって」
短いスカートをヒラヒラと揺らしながら、彼女は走る。
女「君の一番が、ボクだってわかったから」
男「!」
女「そして、ボクの一番は、君だから」
両想いだね、と。
本当に、屈託のない笑顔で言った。
男「なんでだ?」
女「だって」
短いスカートをヒラヒラと揺らしながら、彼女は走る。
女「君の一番が、ボクだってわかったから」
男「!」
女「そして、ボクの一番は、君だから」
両想いだね、と。
本当に、屈託のない笑顔で言った。
266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:48:20.01 :n+kZp0Ny0
男「それじゃあ、帰るか。もう大分暗くなってる」
女「そうだね、明日は休みだしね」
男「補導なんてまっぴらだからな」
女「ふふっ、そうだね」
あとは妹の機嫌が気になるところだ。
女「あっ」
男「ん?」
女「腕、組んでもいい?」
男「っ……す、好きにしろ」
男「それじゃあ、帰るか。もう大分暗くなってる」
女「そうだね、明日は休みだしね」
男「補導なんてまっぴらだからな」
女「ふふっ、そうだね」
あとは妹の機嫌が気になるところだ。
女「あっ」
男「ん?」
女「腕、組んでもいい?」
男「っ……す、好きにしろ」
267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:50:55.45 :n+kZp0Ny0
女「ねえ、君」
男「君って呼ぶなよ」
女「えっ?」
男「男って、呼べよ」
女「……うんっ、男」
男「なんだ?」
女「君も、女って呼んで欲しいな?」
なんだよそれ。
男「わかってるさ、女」
女「ねえ、君」
男「君って呼ぶなよ」
女「えっ?」
男「男って、呼べよ」
女「……うんっ、男」
男「なんだ?」
女「君も、女って呼んで欲しいな?」
なんだよそれ。
男「わかってるさ、女」
269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 01:58:06.24 :n+kZp0Ny0
夜空は本当に星が綺麗で。
まるで、祝福しているかのような、そんな錯覚に陥った。
男「そういや、お前の両親は?」
女「ちょっと、長めの旅行に。……あのさ?」
男「ん?」
女「ボク、家で一人なの、寂しいなぁ」
男「……そ、それはまだ早いんじゃないか?」
女「ふふっ……早いなんてこと、ないよ」
夜空は本当に星が綺麗で。
まるで、祝福しているかのような、そんな錯覚に陥った。
男「そういや、お前の両親は?」
女「ちょっと、長めの旅行に。……あのさ?」
男「ん?」
女「ボク、家で一人なの、寂しいなぁ」
男「……そ、それはまだ早いんじゃないか?」
女「ふふっ……早いなんてこと、ないよ」
273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:02:09.88 :n+kZp0Ny0
腕を引っ張られて。
女「ほら、早く帰ろう?」
男「ちょ、マジか!?」
女「うんっ! ほらほら、早く早くー!」
と、困っているのだが、正直俺は。
彼女の笑顔が見れて、安心した。
男「女」
女「ん、なんだい?」
男「これから、よろしくな」
女「ふふっ、こちらの台詞だよ」
END
腕を引っ張られて。
女「ほら、早く帰ろう?」
男「ちょ、マジか!?」
女「うんっ! ほらほら、早く早くー!」
と、困っているのだが、正直俺は。
彼女の笑顔が見れて、安心した。
男「女」
女「ん、なんだい?」
男「これから、よろしくな」
女「ふふっ、こちらの台詞だよ」
END
274: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:15) 【東電 59.9 %】 【3.8m】 :2012/10/01(月) 02:02:31.14 :SjlOxsqD0
乙!
279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:04:32.39 :n+kZp0Ny0
妹「お兄ちゃん遅いなぁ……せっかく晩御飯は大好きなハンバーグにしたのにさ」
プルルルルルル
妹「あ、お兄ちゃんの携帯からだ、もしもし?」
男『妹、悪いんだが友人の家に泊まることにした』
妹「はあ!? なんでいきなり!」
男『こっちも色々あるんだ、朝食と弁当美味かった。じゃあな!』
妹「な、なんでこうなるのよぉ!!」
終
妹「お兄ちゃん遅いなぁ……せっかく晩御飯は大好きなハンバーグにしたのにさ」
プルルルルルル
妹「あ、お兄ちゃんの携帯からだ、もしもし?」
男『妹、悪いんだが友人の家に泊まることにした』
妹「はあ!? なんでいきなり!」
男『こっちも色々あるんだ、朝食と弁当美味かった。じゃあな!』
妹「な、なんでこうなるのよぉ!!」
終
281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:07:01.31 :LAXPY5ve0
乙!また書いてくれよ!
282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:08:41.24 :n+kZp0Ny0
終わりです。
ここまで見ていただきありがとうございました。
日をまたいでしまいましたが、無事終わることができて、一安心です。
ボクっ子、いかがだったでしょうか。
途中猿、水遁にみまわれてとんでもなく減速しましたが、なんとかなりました。
それでは、またいつか。
改めて見て下さった方々に最高の感謝を。
終わりです。
ここまで見ていただきありがとうございました。
日をまたいでしまいましたが、無事終わることができて、一安心です。
ボクっ子、いかがだったでしょうか。
途中猿、水遁にみまわれてとんでもなく減速しましたが、なんとかなりました。
それでは、またいつか。
改めて見て下さった方々に最高の感謝を。
287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 02:21:39.51 :3svXxGSi0
ボクっ子の人か
前も妹が不憫だったなww
乙
前も妹が不憫だったなww
乙
290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 03:01:07.28 :U3Xy1bFp0
おつ!久々にいいもん見れた!
291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/01(月) 03:10:42.38 :/OKuuBew0
乙
良かった
良かった
コメント