える「」ｿﾜｿﾜ

折木「どうした？何か用事でもあるのか？」

える「え？あぁ、はい。そんなところです。」ｱｾｱｾ

える「それではわたしはこれで」

里志「おつかれ～！」

摩耶花「ちーちゃん……立ち漕ぎ」

折木「千反田もいろいろ大変だな」

数日後

部室

える「」ｿﾜｿﾜ

里志「ちょっとホータロー」ﾋｿﾋｿ

折木「なに？」

里志「最近の千反田さん、ちょっと変じゃない？」

折木「なにが？」

里志「日が暮れるに連れて落ち着きがなくなってるというか」

折木「用事だろ？この間、千反田本人がそうだと言ってたじゃないか」

里志「だったら、すぐに帰ったらいいんじゃないかな？」

里志「今のところ、古典部はこうして各々が好きなことしてるだけなんだし」

里志「別にこれといって部としてやるべきこともないでしょ？」

折木「千反田なりに気を遣っているんだろう。一応、部長だから」

折木「毎回部を休むわけにもいかないと思ってるんだろう」

里志「そうだね～」

里志「だったら、ホータローから用事を優先してもいいよって」

里志「千反田さんに言ってあげたらどう？」

折木「なんで俺が」

里志「ホータローだからこそだよ。えっへへ」

折木「でも、ああやってずっと時間を気にする千反田を放って置くのも気の毒だな」

える「そ、そんな……いけません」

える「部長ですし……」

摩耶花「ちょっと！なによ二人共！そんなにちーちゃんに部活来てほしくないわけ？」

里志「そういうわけじゃないよ」

摩耶花「ちーちゃんが大丈夫って言ってるんだからそれでいいでしょ？」

折木「まぁそうなんだがな」

折木（そうなんだが……千反田のやつは見るからに落ち着きが無い）

折木（急ぎの用事があるというのなら話は別なのだが）

折木（部活終わりでも間に合うと本人は言っているし）

折木（なんだ？この矛盾は）

摩耶花「ちーちゃんさぁ、シャンプー変えた？」

える「え？あぁ、はい」ﾆｯｺﾘ

摩耶花「やっぱり！とってもいい匂いがする！」

里志「どう思う？ホータロー」ﾋｿﾋｿ

折木「どうって？」

里志「ホータローもおかしいと思ってるんでしょ？」

里志「急ぎの用事でもないのに何で千反田さんは時間を気にするような素振りを見せるのか」

帰り道

折木「なぁ、千反田」

える「はい？」

折木「用事って何なんだ？」

える「気になりますか？」

折木「ま、まぁ」

える「すみません。言えないんです」

折木「そうか」

里志「明日も部室には来るんだよね？」

える「はい！もちろんです」

える「それでは！また明日に！」

摩耶花「は、早……」

里志「やっぱり無理してるだけなのかな？」

折木「それが一番千反田らしいと思うし納得するな、俺は」

摩耶花「ていうか、なんの話？」

摩耶花「そうねぇ……確かに矛盾してる」

里志「ホータロー」

折木「なに？」

里志「千反田さんが部長という役職に囚われている、以外でこの矛盾を解決できないかな？」

折木「帰らないんじゃなくて帰れないんじゃないか？」

里志「帰れない？」

折木「理由はわからんがな」

摩耶花「じゃぁ古典部とちーちゃんの用事が関係してるのかも」

里志「その可能性も少なくはないね」

折木「とりあえず、今日は帰ろう」

里志「そうだね。明日、じっくりと千反田さんを観察すれば何かわかるかもしれないし」

摩耶花「ふくちゃん。最低……」

次の日

帰り道

える「また明日～！」

摩耶花「今日も全力疾走……」

里志「で、何かわかった？ホータロー」

折木「なんとなくだがな」

摩耶花「嘘！？そわそわしていたこと以外は普通にいつものちーちゃんだった気がするけど」

里志「聞かせてよ、ホータロー」

折木「まず、千反田は急いでいるので間違い無いと思う」

摩耶花「自転車に乗ったらすぐ帰っちゃうもんね」

折木「自転車に乗るまで千反田は急がない」

摩耶花「それがどうかしたの？」

折木「普通に部活が終わってすぐに帰らないとするならば」

折木「部室を出てすぐに急ぐだろ？小走りなり何なりして」

里志「でも、それは友達付き合いだとか部長だからとか、色々解釈できるよね」

折木「一応、先に帰ってもいいと念を押したし」

折木「部活終了後なら部長であるかどうか何てあまり気にしなくてもいいだろう？」

折木「それにあいつは明らかに急いでいるわけだし」

折木「千反田にとってその用事もかなり大事なことだと認識しているはずだ」

訂正：すぐに帰らないとするならば→すぐに帰らないといけないとするならば

摩耶花「じゃぁ何でちーちゃんは自転車に乗るまでは急がないの？」

折木「あくまで俺の仮設だが……」

折木「俺達が学校を出るのを確認するため」

摩耶花「えぇ！！なにそれ！」

遠垣内「び、びっくりした……」

摩耶花「あれ？遠垣内先輩？」

遠垣内「なにしてるんだ？きみたち」

折木「ただの立ち話です」

遠垣内「そうか、あまりにでかい声だからびっくりしちゃったよ。あはは」

里志「すいません。気をつけます」

遠垣内「それじゃぁな。暗くなる前には帰れよ」


折木「壁新聞部でまだ活動してるのか？」

里志「一服じゃない？」

折木「だろうな」

摩耶花「で、話の続きだけど」

折木「そろそろだな」

里志「え？」

折木「伊原、里志！隠れるぞ！」

摩耶花「え？え？え？」

里志「ふふ、なるほどね！」

摩耶花「何で隠れて校門を見張らなくちゃいけないのよ」ﾋｿﾋｿ

里志「それはね、千反田さんが戻ってくるからだよ」

摩耶花「嘘！？どうして？」

里志「千反田さんの用事は学校にあるんだろうね」

里志「しかも、僕達には知られたくない用事」

摩耶花「肝心の用事って何よ？」

折木「それを知るためにこうして見張ってるわけだ」

摩耶花「あ、きた……」

える「」ｷｮﾛｷｮﾛ

える「」ﾀｯﾀｯﾀｯﾀ

摩耶花「校舎に入って行ったったわ！」

里志「よし！後をつけよう！」


三階

千反田「」ｷｮﾛｷｮﾛ

折木「……帰ろう」ﾋｿﾋｿ

摩耶花「どうしてよ！？」

折木「知られたくないからわざわざ俺達が帰るのを確認して帰ったふりをしたんだ」

折木「千反田の気持ちを尊重しよう」

摩耶花「うぅ……」

次の日

摩耶花「今日もちーちゃん急いでたね」

摩耶花「う～！やっぱり気になるなぁ！」

里志「気になるけど、千反田さんが知られたくないって思ってるんなら仕方がないよ」

折木「俺達も帰るか」

―――
――

折木（さて、摩耶花と里志は帰ったな）

校門前

遠垣内「」ｷｮﾛｷｮﾛ

折木「ちょっと、いいですか？遠垣内先輩」

遠垣内「げっ……な、なに？急いでるんだけど」

折木「何をしたんですか？千反田に」

遠垣内「……」

遠垣内「聞いてくれるか？どうせ、俺がタバコ吸ってるの知ってるだろ？」

折木「ま、まぁ」

数日前

ﾀｯﾀｯｯﾀｯﾀ

える「いけません！部室に忘れ物をしてしまいした！」

三階付近

える「？」ｸﾝｸﾝ

える（なんでしょう？香ばしい匂いがします）

える「はっ！？もしかして火事？」

える「急がなくては！」

ｯﾀｯﾀｯｯﾀﾀ

える「生物講義室！ここからですね！」

ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ

遠垣内「なっ！？」

遠垣内（来るのが早すぎてタバコを隠しきれなかった……）

遠垣内（足音にも気づいたのに！）

える「あ、あの……」

遠垣内「な、なに？」

える「それは……」

遠垣内「え？あぁこれは！チョコレート！知ってるでしょ？こういう」

える「煙が」

遠垣内「気のせい！気のせいだから！！」ｼｭｯｼｭｼﾞｭｰ

える「たばこですよね……」

遠垣内「」

える「未成年のタバコは法律で禁じられています……」

える「犯罪です……」（遠垣内さんがこんな人だったなんて……）

える「」ｳﾙｳﾙ

遠垣内（まずい……バレたら終わりだ……）

遠垣内（退学ですめばそれでいい！でも、親父にばれたら！）

える「だ、ダメですよ……そんなこと……」ｳﾙｳﾙ

遠垣内（いっそ脅すか？いやいや…この子は千反田家の娘だぞ……内とも縁があるし）

遠垣内「終わりか……見逃してくれないよね？」

える「だって……これは犯罪ですし」ｳﾙｳﾙ

遠垣内「そ、そう……」ｶﾞｯｸﾘ

える（先生にこの事を報告すれば遠垣内さんはきっと悲しい思いをします……）

える（なにより、どうしてこのようなことを……）

遠垣内「ていうか何で泣きそうなの？」ｱｾｱｾ

える「遠垣内さんはお優しい方です。幼い頃から知っています」

遠垣内「や、優しい？」

える「はい、わたしが小さい頃よく手を引いてお家の中を拝見させていただいたり」

遠垣内「なっ///恥ずかしい思い出はやめてくれ！」

える「どうして、そんな遠垣内さんがタバコをすわれるようになったのか……」ｳﾙｳﾙ

える「わたし！気になります！！！！」

遠垣内「……」

遠垣内「どうしてこんな非行に走ったかしりたい？」

える「はい！きっと事情があるに違いないです！！」

遠垣内「事情ねぇ」

遠垣内「お袋も親父も仕事柄教育にはかなり厳しくてね」

遠垣内「ガキの頃からずっと窮屈な思いをしたわけ」

遠垣内「お袋や親父に反抗はしたことなかった」

遠垣内「だから、タバコとか吸って静かに両親に反抗したかったてところかな」

遠垣内「て言っても格好つけたかったのが本音かも」ｴﾍﾍ

える「遠垣内さん……」

遠垣内「な、なに？」

える「今からでも遅くはありません！やめましょう！喫煙！！」

遠垣内 「はぁぁ！？」

遠垣内 「無理無理！！」

える「大丈夫です！わたしも手伝います！！」

遠垣内「すぐにやめれるもんでもないし！ていうかやめたくないし！」

える「わたしが放課後毎日ここへ来ます！」

遠垣内「来てどうするの？」

える「喫煙しようとすれば阻止します！」

遠垣内「なっ！？」

える「このことは誰にも言いません！誰かにこのことが知られる前にたばこをやめましょう！」

遠垣内「そんなぁ……」

える（わたしががんばればきっと遠垣内さんはたばこをやめることができるはずです！）

折木「なるほど」

遠垣内「だから、こうしてあの子が来る前に逃げてるんだよ」

遠垣内「でも、よく千反田が俺のところへ来てるってわかったな」

折木「色々と断片的なヒントがありましたから」

遠垣内（相変わらずとんでもないやつだな……）

遠垣内「それより、助けてくれない？どうしたらあの子諦めてくれる？」

折木「あなたが諦めるしかないと思います」

遠垣内「はぁ……」

遠垣内「で、断片的なヒントって何？あの子が俺のことべらべら喋っちゃった？」

遠垣内「誰にも言わないって言ってたけど……」

折木「千反田は何も言ってないですよ」

折木「千反田が俺たちに何か隠し事をしているのはすぐわかりました。」

折木「だから俺達は千反田を尾行したんです。」

折木「するとあいつは三階の廊下で足を止め、あたりを見回しまし」

折木「そこで尾行はやめました」

遠垣内「ちょっと待て、俺たちって他にもこの事を知ってる奴が！？」ｱｾｱｾ

折木「千反田の用事が遠垣内先輩に会うことというの知っているのは俺だけです」

折木「安心してください」

遠垣内「そ、そうか……でも、三階で止まったくらいじゃわからんだろ」

折木「はい、そこで以前に摩耶花が言ってた事を思いだしたんです」

折木「千反田の匂いがいつもとちがうと」

折木「何か異臭が制服にでもついたから消臭スプレーでも吹きかけてたんでしょう」

折木「まぁこの場合はタバコの臭いを消すためでしょうが」

遠垣内「それでもやはり、臭いの変化で消臭していると気づいたのか？」

遠垣内「それで俺と結びつけた？まさか！」

折木「決め手はあなた自身ですよ」

折木「千反田を尾行する前に偶然あなたと会いましたよね？」

遠垣内「あぁ、あの時。俺が帰った後に尾行してたのか」

折木「あなたに会った後、俺は千反田が壁新聞部の部室のある三階に止まったのを見た」

折木「本当にたまたま、もしかしてと思ったらうまいこと筋が通ったってわけです」

遠垣内「たまたまねぇ……」

遠垣内「おっと…、あまり長居しているとあの子に！」

折木「最後にいいですか？」

遠垣内「な、なに？」

折木「できる限りでいいんで千反田に付き合って上げてください」

遠垣内「どうして……」

折木「あいつはあなたの事を思って頑張ってるんです」

折木「だから、あいつを避けるようなことだけはしてほしくないんです」

遠垣内「……わかった。教室に戻るよ」

遠垣内「あの子がとてもやさしい子って事くらい昔から知ってるし」

遠垣内「禁煙も努力しようかな……」

次の日

帰り道

里志「千反田さん今日も急いでたね」

摩耶花「心なしか最近、楽しそうにも見えるけど」

里志「で、いつまでこれは続くのかな」

折木「さぁ、当分はこの調子だろうな」

里氏「さては！千反田さんの用事がわかったんだね！ホータロー！」

摩耶花「教えなさいよ！折木！！」

折木「俺は何も知らん！！」


遠垣内「よ、よぉ」

える「放課後はわたしが監視します！今日は吸ってませんね？」

遠垣内「まぁ」

える「臭いでわかりますから！」

遠垣内「一本だけいい？」

える「だめです！」

遠垣内（この匂い……）

遠垣内（消臭剤……俺のせいで服に臭いついちゃってたんだな）

遠垣内「よし！頑張るか！」

える「はい！一緒に頑張りましょう」

遠垣内（俺のために隠し事をして……俺の喫煙がばれないためにこうして喫煙薦めてくれて）

遠垣内「どうして、ここまで俺のために頑張ってくれるんだ？」

える「遠垣内さんは優しい方ですから！」ﾆｺｯ



おわり

最後まで見てくれてありがとう！

ぬけてました(´；ω；｀)

える「どうしましたか？」?

折木「別に帰ってもいいぞ」?

える「え？」

折木「用事があるんだろ？」?

える「それは大丈夫です！部活後でも十分間に合いますから！」?

折木「でも、特に俺達もすることないし」?
える「いいえ！大丈夫です！」?

折木「そ、そうか」?

里志「明日もその、用事ってあるの？」?

える「はい、そうですねぇ」?

里志「だったら、明日から休んじゃえば？

>>70

>>7のまえです