2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 20:54:10.19 :rgTuZ4JDO
二十六日目。
「起きろ。朝だぞ」
そう言って、彼女は優しく僕の肩を揺すった。
目を覚まし、彼女と一緒に食堂に行く。後何回こう出来るのだろう。僕はそんなことをぼんやりと考えた。
朝食を食べ、昨日と同じ様に彼女を実験室へ入れる。
彼女に何か言葉をかけようとしたが、何故かこれまでのように上手く言葉が出てこなかった。
僕は、実験室の扉の前でしばらく立ち尽くした後、玄関へと向かった。
二十六日目。
「起きろ。朝だぞ」
そう言って、彼女は優しく僕の肩を揺すった。
目を覚まし、彼女と一緒に食堂に行く。後何回こう出来るのだろう。僕はそんなことをぼんやりと考えた。
朝食を食べ、昨日と同じ様に彼女を実験室へ入れる。
彼女に何か言葉をかけようとしたが、何故かこれまでのように上手く言葉が出てこなかった。
僕は、実験室の扉の前でしばらく立ち尽くした後、玄関へと向かった。
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 20:57:06.64 :rgTuZ4JDO
昼過ぎに、昨日の男達がやってきて、玄関をノックした。
僕がすぐに玄関を開けると、初老の男は少し驚いた顔をしていた。
いい加減にしてもらいたいものだ。今日何もなかったら、今後一切関わらないで頂きたい。僕はそう言う。
いいだろう。ただ、こちらも条件がある。初老の男性は、口の端を吊り上げ、次のように言った。
お前の実験室を見せてもらおう。
昼過ぎに、昨日の男達がやってきて、玄関をノックした。
僕がすぐに玄関を開けると、初老の男は少し驚いた顔をしていた。
いい加減にしてもらいたいものだ。今日何もなかったら、今後一切関わらないで頂きたい。僕はそう言う。
いいだろう。ただ、こちらも条件がある。初老の男性は、口の端を吊り上げ、次のように言った。
お前の実験室を見せてもらおう。
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:00:04.45 :rgTuZ4JDO
何故だ?僕はそう答える。
昨日ここを調査した者達によると、貴族に絶対必要な、実験室が見当たらなかったそうだ。
確かに、実験室は貴族にとっての生命線だ。隠しておくのも頷ける。
だが、何か見られたく無い物を隠すには、持って来いの場所でもある。冤罪だと証明したいなら、見せてもらおう。勝ち誇った顔で、男はそう言った。
わかった。付いて来い。僕はそう言って、実験室へと歩き出した。
歩みを進める毎に、心が冷えていくのを感じた。
何故だ?僕はそう答える。
昨日ここを調査した者達によると、貴族に絶対必要な、実験室が見当たらなかったそうだ。
確かに、実験室は貴族にとっての生命線だ。隠しておくのも頷ける。
だが、何か見られたく無い物を隠すには、持って来いの場所でもある。冤罪だと証明したいなら、見せてもらおう。勝ち誇った顔で、男はそう言った。
わかった。付いて来い。僕はそう言って、実験室へと歩き出した。
歩みを進める毎に、心が冷えていくのを感じた。
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:03:03.63 :rgTuZ4JDO
実験室の前の扉に到着する。
では、扉を開ける。そう言って、鍵穴に鍵を差し込む。
その瞬間、これまでの彼女との日々が、僕の頭の中を駆け巡った。
僕の人生で、これほどまでに輝いた瞬間は無かった。
彼女の存在は、いつの間にか、僕の中でどうしようもなく大きくなっていたらしい。
僕は、彼女を守るためなら、何だってするに違いない。
鍵穴を回すのと同時に、初老の男を思い浮かべ、物質消滅の呪文を呟く。
その瞬間、彼の脳の一部が掻き消え、彼の体は床へと崩れ落ちる。
実にあっけなく、そいつは死んだ。振り返ってそいつの亡骸を見て、あまりの呆気なさに笑ってしまった。
実験室の前の扉に到着する。
では、扉を開ける。そう言って、鍵穴に鍵を差し込む。
その瞬間、これまでの彼女との日々が、僕の頭の中を駆け巡った。
僕の人生で、これほどまでに輝いた瞬間は無かった。
彼女の存在は、いつの間にか、僕の中でどうしようもなく大きくなっていたらしい。
僕は、彼女を守るためなら、何だってするに違いない。
鍵穴を回すのと同時に、初老の男を思い浮かべ、物質消滅の呪文を呟く。
その瞬間、彼の脳の一部が掻き消え、彼の体は床へと崩れ落ちる。
実にあっけなく、そいつは死んだ。振り返ってそいつの亡骸を見て、あまりの呆気なさに笑ってしまった。
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:05:58.76 :rgTuZ4JDO
残りの九人は、あまりのことに呆然としていた。
あぁ、そいつはもう死んでいるよ。そして、次は君達の番だ。僕はおかしそうにそう言って、そのうちの三人を見てから、呪文を呟く。
三つ、死体が増えた。
残りの六人のうち、一人が何か叫びながら僕へと向かってきた。また呪文を呟く。彼は崩れ落ちる。
これで五つ目の死体。
他の五人は、失禁しながら、土下座して僕に謝っていた。
僕は、そいつらを見ながら、ゆっくりと五回、呪文を呟いていった。
一人死ぬごとに、声を張り上げ、僕に必死に許しを乞う彼らが滑稽だった。
僕は、全員死んだのを確認して、実験室へと振り向くと、扉の前に立つ彼女と目があった。
残りの九人は、あまりのことに呆然としていた。
あぁ、そいつはもう死んでいるよ。そして、次は君達の番だ。僕はおかしそうにそう言って、そのうちの三人を見てから、呪文を呟く。
三つ、死体が増えた。
残りの六人のうち、一人が何か叫びながら僕へと向かってきた。また呪文を呟く。彼は崩れ落ちる。
これで五つ目の死体。
他の五人は、失禁しながら、土下座して僕に謝っていた。
僕は、そいつらを見ながら、ゆっくりと五回、呪文を呟いていった。
一人死ぬごとに、声を張り上げ、僕に必死に許しを乞う彼らが滑稽だった。
僕は、全員死んだのを確認して、実験室へと振り向くと、扉の前に立つ彼女と目があった。
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:09:02.70 :rgTuZ4JDO
「……何故そんな簡単に殺せる」
僕は何も言わない。あぁ、遂にこの時が来てしまった、そんなことを思いながら、彼女を見る。
「貴族だからか?そいつらが貴族だから、さっきのように楽しんで殺せるのか」
当然の報いだ。あんな醜悪な見せ物で楽しんでいた、ゴミ共に対する罰だ。こう思うが、言葉にはならず、ただ沈黙する。
「だがそれでは貴族と一緒ではないか!そんなのはだめだ!妾はお前をそんな奴とは思いたくない!」
「……何故そんな簡単に殺せる」
僕は何も言わない。あぁ、遂にこの時が来てしまった、そんなことを思いながら、彼女を見る。
「貴族だからか?そいつらが貴族だから、さっきのように楽しんで殺せるのか」
当然の報いだ。あんな醜悪な見せ物で楽しんでいた、ゴミ共に対する罰だ。こう思うが、言葉にはならず、ただ沈黙する。
「だがそれでは貴族と一緒ではないか!そんなのはだめだ!妾はお前をそんな奴とは思いたくない!」
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:12:02.08 :rgTuZ4JDO
僕も貴族なんだ。醜悪で残酷な人間なんだ。当たり前じゃないか。そう言おうと思い、口を開く。
だが、出て来たのは、お前を傷付けようとしたからだ。そんな言葉だった。
どちらが、僕の本心なのだろう。僕は、自分のことだというのに、わからなかった。
彼女は、怒った顔をしながら、
「ならば、妾を守る必要など無い!お前が、お前がそんな悲しい表情をする位なら、妾は死んだ方がマシだ!」
僕は、そんな表情をしていたのだろうか。この僕が人間を殺す位で?有り得ない。
そう思い、動揺して呆然とする僕に、彼女は歩いて近付いてきた。
そうして、僕を優しく抱きしめた。僕も、ゆっくりと彼女を抱きしめ返す。
僕らは何も言わずに、互いの体温を感じていた。
僕も貴族なんだ。醜悪で残酷な人間なんだ。当たり前じゃないか。そう言おうと思い、口を開く。
だが、出て来たのは、お前を傷付けようとしたからだ。そんな言葉だった。
どちらが、僕の本心なのだろう。僕は、自分のことだというのに、わからなかった。
彼女は、怒った顔をしながら、
「ならば、妾を守る必要など無い!お前が、お前がそんな悲しい表情をする位なら、妾は死んだ方がマシだ!」
僕は、そんな表情をしていたのだろうか。この僕が人間を殺す位で?有り得ない。
そう思い、動揺して呆然とする僕に、彼女は歩いて近付いてきた。
そうして、僕を優しく抱きしめた。僕も、ゆっくりと彼女を抱きしめ返す。
僕らは何も言わずに、互いの体温を感じていた。
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:15:04.40 :rgTuZ4JDO
死体は、実験室にあった触媒をかけ、炭に変換した。
処理が終わると、僕らは自室に戻った。ベッドに並んで腰掛ける。しばらく、無言の時間が続いた。
多分、この屋敷には、もういれなくなる。明日には、国の兵士共がやってきて、ここは取り押さえられるだろう。僕がそう切り出す。
彼女は、目を輝かせながら、
「ならば、妾の国に逃げれば良いのではないか?お母様とお父様は、妾が説明すればきっとわかって下さる」
僕は、酷い罪悪感を感じながら、エルフの国は、既に貴族の手が回っている。行っても捕まるだけだ。そう言った。
彼女は、貿易によってのみ、貴族の手が回っていると思っているだろう。
クーデターが起きて、彼女の帰るところはもう無いということを、彼女はまだ知らないのだから。
そして、両親のことも。
彼女は悲しげな表情をして、
「そうか、駄目か…」
そう言って、目を伏せた。
死体は、実験室にあった触媒をかけ、炭に変換した。
処理が終わると、僕らは自室に戻った。ベッドに並んで腰掛ける。しばらく、無言の時間が続いた。
多分、この屋敷には、もういれなくなる。明日には、国の兵士共がやってきて、ここは取り押さえられるだろう。僕がそう切り出す。
彼女は、目を輝かせながら、
「ならば、妾の国に逃げれば良いのではないか?お母様とお父様は、妾が説明すればきっとわかって下さる」
僕は、酷い罪悪感を感じながら、エルフの国は、既に貴族の手が回っている。行っても捕まるだけだ。そう言った。
彼女は、貿易によってのみ、貴族の手が回っていると思っているだろう。
クーデターが起きて、彼女の帰るところはもう無いということを、彼女はまだ知らないのだから。
そして、両親のことも。
彼女は悲しげな表情をして、
「そうか、駄目か…」
そう言って、目を伏せた。
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:18:08.72 :rgTuZ4JDO
……僕を置いて、国に帰りたいとは思わないのか。僕は、そう尋ねた。
もしここで彼女がこれを肯定したなら、僕は真実を洗いざらい話そうと一瞬思っていた。
そうして、なんて幼稚な思考なんだろう、と内心苦笑した。
彼女は、拗ねたように頬を膨らませて、こう言った。
「お前と一緒でなければ、嫌に決まっている。そんな下らないことを聞くな」
僕は、頭を殴られたような衝撃を感じた。
何故だ?僕は君を買って、物として扱っているのに。僕は自分を責めるように言った。
彼女は、少し恥ずかしそうに僕を見ながら、
「……そんなの言うまでも無いだろう。妾だけに恥ずかしい事を言わせるな」
そう言って、僕の肩に頭を預けてきた。僕が頭を撫でると、気持ちよさそうに目を細める彼女が、愛おしかった。
……僕を置いて、国に帰りたいとは思わないのか。僕は、そう尋ねた。
もしここで彼女がこれを肯定したなら、僕は真実を洗いざらい話そうと一瞬思っていた。
そうして、なんて幼稚な思考なんだろう、と内心苦笑した。
彼女は、拗ねたように頬を膨らませて、こう言った。
「お前と一緒でなければ、嫌に決まっている。そんな下らないことを聞くな」
僕は、頭を殴られたような衝撃を感じた。
何故だ?僕は君を買って、物として扱っているのに。僕は自分を責めるように言った。
彼女は、少し恥ずかしそうに僕を見ながら、
「……そんなの言うまでも無いだろう。妾だけに恥ずかしい事を言わせるな」
そう言って、僕の肩に頭を預けてきた。僕が頭を撫でると、気持ちよさそうに目を細める彼女が、愛おしかった。
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:21:03.53 :rgTuZ4JDO
その日の夕方。夕飯を食べ終えた僕らは、使用人室へと向かった。
明日、この屋敷は、国の兵士達によって取り押さえられる。
先代から尽くしてくれたお前達を、巻き込む訳にはいかない。今をもって、お前達を解雇する。自由に生きてくれ。
僕がそう言うと、使用人達は顔を見合わせた後、お嬢さんと当主様はどうされるんですか?そう聞いてきた。
この屋敷を焼いた後、逃げ続けるつもりだ。と僕が答える。それで逃げ切れるのですか。そう尋ねられる。
その日の夕方。夕飯を食べ終えた僕らは、使用人室へと向かった。
明日、この屋敷は、国の兵士達によって取り押さえられる。
先代から尽くしてくれたお前達を、巻き込む訳にはいかない。今をもって、お前達を解雇する。自由に生きてくれ。
僕がそう言うと、使用人達は顔を見合わせた後、お嬢さんと当主様はどうされるんですか?そう聞いてきた。
この屋敷を焼いた後、逃げ続けるつもりだ。と僕が答える。それで逃げ切れるのですか。そう尋ねられる。
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:24:11.82 :rgTuZ4JDO
わからないが、やるしかない。そう答えると、使用人室は沈黙に包まれた。
すると、僕の隣に立っていた彼女が、重い沈黙を破るようにして、
「妾は、皆のお陰で、楽しい日々を過ごせた。いくら感謝しても足りない位だ。ありがとう」
そう言うと、使用人達は、涙を流し始めた。そうして、こちらこそ楽しかった、ありがとう。使用人達からそう言われると、彼女も涙を流した。
使用人達が出て行った後の屋敷は、がらんとしていて、どこか寂しかった。
わからないが、やるしかない。そう答えると、使用人室は沈黙に包まれた。
すると、僕の隣に立っていた彼女が、重い沈黙を破るようにして、
「妾は、皆のお陰で、楽しい日々を過ごせた。いくら感謝しても足りない位だ。ありがとう」
そう言うと、使用人達は、涙を流し始めた。そうして、こちらこそ楽しかった、ありがとう。使用人達からそう言われると、彼女も涙を流した。
使用人達が出て行った後の屋敷は、がらんとしていて、どこか寂しかった。
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:27:04.07 :rgTuZ4JDO
夜。
これが、この屋敷で過ごす、最後の夜なのだと考えると、不思議な気持ちになった。
ベッドに彼女と向き合って横たわる。
最初に来たときのこと、覚えてるか?僕がそう言うと、
「何故今そんな恥ずかしい話をするのだ」
彼女は顔を赤くしながら言った。
最後の夜なんだ。思い出話に花を咲かせるのも悪くないだろう。
「あ、あんな思い出いらない!」
僕にとっては、忘れられない強烈な思い出だけどな。僕がそう笑いながら言うと、
「忘れろぉ!」
と言って、僕の胸をぽかぽかと殴りつけてきた。
夜。
これが、この屋敷で過ごす、最後の夜なのだと考えると、不思議な気持ちになった。
ベッドに彼女と向き合って横たわる。
最初に来たときのこと、覚えてるか?僕がそう言うと、
「何故今そんな恥ずかしい話をするのだ」
彼女は顔を赤くしながら言った。
最後の夜なんだ。思い出話に花を咲かせるのも悪くないだろう。
「あ、あんな思い出いらない!」
僕にとっては、忘れられない強烈な思い出だけどな。僕がそう笑いながら言うと、
「忘れろぉ!」
と言って、僕の胸をぽかぽかと殴りつけてきた。
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:30:03.58 :rgTuZ4JDO
そんな彼女の背に手を回し、優しく抱きしめる。
僕のすぐ前にある彼女の顔は真っ赤だ。
僕が、彼女の目を見つめると、彼女は少し目を逸らした後、また僕を見つめて、恥ずかしそうに目を閉じた。
僕も顔を近付けながら、目を閉じる。
僕の唇と、彼女の唇が、一瞬触れて、すぐに離され、また短く触れる。
「んっ、んんぅっ」
啄むようにキスをする度に、小さく喘ぐ彼女が愛おしい。
何回かそうした後、長いキスをする。僕が舌を伸ばすと、彼女も舌を伸ばしてきた。お互いの舌を絡め合い、唾液を交換する。
「んん……んくっ、んぅっ」
彼女も、僕の胸の前にあった腕を僕の首に回してきて、一層深く、貪るようにキスをした。
そんな彼女の背に手を回し、優しく抱きしめる。
僕のすぐ前にある彼女の顔は真っ赤だ。
僕が、彼女の目を見つめると、彼女は少し目を逸らした後、また僕を見つめて、恥ずかしそうに目を閉じた。
僕も顔を近付けながら、目を閉じる。
僕の唇と、彼女の唇が、一瞬触れて、すぐに離され、また短く触れる。
「んっ、んんぅっ」
啄むようにキスをする度に、小さく喘ぐ彼女が愛おしい。
何回かそうした後、長いキスをする。僕が舌を伸ばすと、彼女も舌を伸ばしてきた。お互いの舌を絡め合い、唾液を交換する。
「んん……んくっ、んぅっ」
彼女も、僕の胸の前にあった腕を僕の首に回してきて、一層深く、貪るようにキスをした。
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:33:09.91 :rgTuZ4JDO
僕が唇を離すと、彼女も唇を離した。
「はぁ……はぁ……」
息を荒くしながら、彼女はとろんとした瞳で僕を見つめる。
「キスとは、気持ちの良い物なのだな」
彼女はそう言うと、次は自分からキスをしてきた。
次は、最初から、長く、深いキス。お互いを優しく抱きしめながら、舌で相手の舌を愛撫しあう。
「んぅっ……ぁっ……ふふっ……」
僕は、理性の枷が外れていくのを感じながら、彼女とのキスに溺れた。
僕が唇を離すと、彼女も唇を離した。
「はぁ……はぁ……」
息を荒くしながら、彼女はとろんとした瞳で僕を見つめる。
「キスとは、気持ちの良い物なのだな」
彼女はそう言うと、次は自分からキスをしてきた。
次は、最初から、長く、深いキス。お互いを優しく抱きしめながら、舌で相手の舌を愛撫しあう。
「んぅっ……ぁっ……ふふっ……」
僕は、理性の枷が外れていくのを感じながら、彼女とのキスに溺れた。
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:35:59.76 :rgTuZ4JDO
唇を離し、彼女を仰向けにする。僕は、彼女を膝立ちで跨いで、首もとにキスをしてから、徐々に下へと下りていく。
「んぅっ……ひぅっ!」
僕が彼女の胸にキスをすると、彼女は一際大きく喘いだ。
左手で彼女の膨らみかけの胸を、優しく揉みながら、右の胸を舐める。
「妾の小さい胸など、んっ、舐めて、楽しい、のか?」
楽しいよ。だって、君のこんな反応が見れるから。
そう言って、右胸の桃色の乳首を吸い、左胸の乳首を指で軽くつまむ。
「ああぁっ!」
彼女は、ビクビクと背筋を震わせながら、あまりの快感に声を出して喘いだ。
唇を離し、彼女を仰向けにする。僕は、彼女を膝立ちで跨いで、首もとにキスをしてから、徐々に下へと下りていく。
「んぅっ……ひぅっ!」
僕が彼女の胸にキスをすると、彼女は一際大きく喘いだ。
左手で彼女の膨らみかけの胸を、優しく揉みながら、右の胸を舐める。
「妾の小さい胸など、んっ、舐めて、楽しい、のか?」
楽しいよ。だって、君のこんな反応が見れるから。
そう言って、右胸の桃色の乳首を吸い、左胸の乳首を指で軽くつまむ。
「ああぁっ!」
彼女は、ビクビクと背筋を震わせながら、あまりの快感に声を出して喘いだ。
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:39:05.02 :rgTuZ4JDO
「はぁ、はぁ…馬鹿者、何が、楽しいだ…」
そうして、更に下に下りていき、彼女の彼女の秘裂を眺めると、彼女は顔を押さえながら、
「恥ずかしい……」
と呟いた。
もうかなり濡れていて、垂れた愛液が、ベッドをぐっしょりと濡らしている。
そんなに気持ちよかったのか?そう聞くと、こくり、とひとつだけ頷いた。
僕が筋に沿って舐めると、一際甲高い声で彼女は喘いだ。
「はぁ、はぁ…馬鹿者、何が、楽しいだ…」
そうして、更に下に下りていき、彼女の彼女の秘裂を眺めると、彼女は顔を押さえながら、
「恥ずかしい……」
と呟いた。
もうかなり濡れていて、垂れた愛液が、ベッドをぐっしょりと濡らしている。
そんなに気持ちよかったのか?そう聞くと、こくり、とひとつだけ頷いた。
僕が筋に沿って舐めると、一際甲高い声で彼女は喘いだ。
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:42:03.32 :rgTuZ4JDO
両手で彼女の秘部を広げる。美しいピンク色で、未成熟ながらも女らしさを主張するそれは、ヌラヌラと光っていて、僕の性欲を煽った。
舌で奥から溢れてくる愛液を拭うように舐める。
「んんっ、気持ちいいっ、あぁっ」
徐々に速く、強く舐めると、彼女は、喘ぎながら、うわごとのように、呟く。
「奥から、あぁっ、何か、来るっ、あぁっ」
秘部を舐めながら、右手の指で彼女の硬くなった陰核を擦る。
「~~!!」
彼女は声にならない叫びをあげ、絶頂に達した。飛び出した愛液が僕の顔を汚した。
両手で彼女の秘部を広げる。美しいピンク色で、未成熟ながらも女らしさを主張するそれは、ヌラヌラと光っていて、僕の性欲を煽った。
舌で奥から溢れてくる愛液を拭うように舐める。
「んんっ、気持ちいいっ、あぁっ」
徐々に速く、強く舐めると、彼女は、喘ぎながら、うわごとのように、呟く。
「奥から、あぁっ、何か、来るっ、あぁっ」
秘部を舐めながら、右手の指で彼女の硬くなった陰核を擦る。
「~~!!」
彼女は声にならない叫びをあげ、絶頂に達した。飛び出した愛液が僕の顔を汚した。
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:45:11.10 :rgTuZ4JDO
僕は、顔について愛液を拭って、彼女を見た。
真っ白だった身体は桜色に染まり、快感のせいか息を荒くしている。
彼女は、僕の顔を見ると、微笑んだ。
僕は、彼女を守るのだ。だから、彼女を汚すことは絶対にしない。そう必死に言い聞かせた。
すると、彼女は、そんな僕の葛藤を知ってか知らずか、顔を赤らめ、恥ずかしそうにこう言った。
「妾は、お前と一緒になりたい。一人の女として、お前を愛している。妾を抱いて欲しい」
僕は、最後の理性が音を立てて崩れるのを感じた。
僕は、顔について愛液を拭って、彼女を見た。
真っ白だった身体は桜色に染まり、快感のせいか息を荒くしている。
彼女は、僕の顔を見ると、微笑んだ。
僕は、彼女を守るのだ。だから、彼女を汚すことは絶対にしない。そう必死に言い聞かせた。
すると、彼女は、そんな僕の葛藤を知ってか知らずか、顔を赤らめ、恥ずかしそうにこう言った。
「妾は、お前と一緒になりたい。一人の女として、お前を愛している。妾を抱いて欲しい」
僕は、最後の理性が音を立てて崩れるのを感じた。
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:48:08.43 :rgTuZ4JDO
僕が服を脱ぐと、彼女は僕の勃起したものを見て、驚いた顔をした。
「そんなものが妾の中に入るのか…?」
優しくするから、大丈夫。身体の力を脱いて。僕はそう言って、彼女の秘裂に股間をあてがう。
「き、キスしてくれたら、少しは楽になるかもしれない」
彼女がそう言うので、僕は彼女に覆い被さって、キスをした。
僕が唇を離すと、彼女は潤んだ瞳で僕をみた。
「……出来るだけ、優しく、だぞ?」
その言葉を聞いて、一つ頷くと、僕はゆっくりと彼女の中へ入っていった。
僕が服を脱ぐと、彼女は僕の勃起したものを見て、驚いた顔をした。
「そんなものが妾の中に入るのか…?」
優しくするから、大丈夫。身体の力を脱いて。僕はそう言って、彼女の秘裂に股間をあてがう。
「き、キスしてくれたら、少しは楽になるかもしれない」
彼女がそう言うので、僕は彼女に覆い被さって、キスをした。
僕が唇を離すと、彼女は潤んだ瞳で僕をみた。
「……出来るだけ、優しく、だぞ?」
その言葉を聞いて、一つ頷くと、僕はゆっくりと彼女の中へ入っていった。
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:51:05.46 :rgTuZ4JDO
さっきの前戯で十分に濡れた彼女の中は、思っていたよりも抵抗は無かった。
「んっ、本当に入ってきてる……」
徐々に徐々に腰を押し込んでいくと、こちらを押し返そうとするような、わずかな力を感じた。
痛かったら、叫んでいいからな。僕はそう言って、無理やりねじこんだ。
「っ!い、痛っ……!うぅっ、本当に痛いぞっ!もっと優しくっ」
これでもかなり優しくしている方なんだが。僕はそう言って、ゆっくりと彼女の中を進んでいく。
さっきの前戯で十分に濡れた彼女の中は、思っていたよりも抵抗は無かった。
「んっ、本当に入ってきてる……」
徐々に徐々に腰を押し込んでいくと、こちらを押し返そうとするような、わずかな力を感じた。
痛かったら、叫んでいいからな。僕はそう言って、無理やりねじこんだ。
「っ!い、痛っ……!うぅっ、本当に痛いぞっ!もっと優しくっ」
これでもかなり優しくしている方なんだが。僕はそう言って、ゆっくりと彼女の中を進んでいく。
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:54:07.12 :rgTuZ4JDO
「まだなのか……っ!」
多分あと少しだ。僕がそう答えて腰を進めると、コツンと奥に当たる感覚がした。
「!今っ、奥に…っ」
よく頑張ったな。そう言って頭を撫でて、キスをする。
「んっ……うぅ、痛い……だが……嬉しい」
僕はしばらく、彼女の中を満たしたまま、動かないでいると、
「慣れてきたから、動いても大丈夫だと思う……」
じゃあ、動くぞ。僕はそう言ってゆっくりと腰を動かし始めた。
「まだなのか……っ!」
多分あと少しだ。僕がそう答えて腰を進めると、コツンと奥に当たる感覚がした。
「!今っ、奥に…っ」
よく頑張ったな。そう言って頭を撫でて、キスをする。
「んっ……うぅ、痛い……だが……嬉しい」
僕はしばらく、彼女の中を満たしたまま、動かないでいると、
「慣れてきたから、動いても大丈夫だと思う……」
じゃあ、動くぞ。僕はそう言ってゆっくりと腰を動かし始めた。
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 21:57:00.99 :rgTuZ4JDO
彼女の奥で、緩やかに腰を振る。
彼女の中は、熱く、そしてきつく僕を締め付けていた。
「くっ……はぁ、はぁっ……」
僕が動く度に、彼女は苦しそうな声をあげる。
僕は、左手で彼女の手を握りながら、キスをする。
「んんっ……大好き……」
僕もだ。そう言って、キスを繰り返す。
僕は腰を徐々に大きく動かし始めた。
彼女の中を掻き分け、貫き、何度も何度も往復する。
彼女の奥で、緩やかに腰を振る。
彼女の中は、熱く、そしてきつく僕を締め付けていた。
「くっ……はぁ、はぁっ……」
僕が動く度に、彼女は苦しそうな声をあげる。
僕は、左手で彼女の手を握りながら、キスをする。
「んんっ……大好き……」
僕もだ。そう言って、キスを繰り返す。
僕は腰を徐々に大きく動かし始めた。
彼女の中を掻き分け、貫き、何度も何度も往復する。
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:00:08.52 :rgTuZ4JDO
「良いぞ……妾も、あんっ、段々気持ちよくなってきた……んっ」
僕は、徐々に腰を強く振っていく。
その度に、彼女の愛液で淫靡な音がしている。
聞こえるのは、彼女の喘ぎと、水音だけだ。
僕は、快感が高まってくるのを感じた。
彼女も、最初の痛みは無くなったようで、喘ぎ声をあげている。
「んんっ!はぁっ、気持ちいいっ、んぅっ!また、さっきのがぁ!」
「良いぞ……妾も、あんっ、段々気持ちよくなってきた……んっ」
僕は、徐々に腰を強く振っていく。
その度に、彼女の愛液で淫靡な音がしている。
聞こえるのは、彼女の喘ぎと、水音だけだ。
僕は、快感が高まってくるのを感じた。
彼女も、最初の痛みは無くなったようで、喘ぎ声をあげている。
「んんっ!はぁっ、気持ちいいっ、んぅっ!また、さっきのがぁ!」
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:02:54.83 :rgTuZ4JDO
僕が、更に強く腰を打ち付けると、一層甲高い声を上げた。僕も、熱いものが込み上げて来るのを感じた。
「んんっ、だめっ、もう、もうっ」
彼女は、足を曲げて僕の足に絡めてきた。僕は彼女に覆い被さり、彼女の口を貪る。彼女は僕を抱きしめ、それに応える。
彼女の一番深いところで、小刻みに腰を振る。
「~~!!」
これまでとは比べものにならないきつい締め付けに、快感が限界を超え、僕は彼女の中に欲望を吐き出した。
僕が、更に強く腰を打ち付けると、一層甲高い声を上げた。僕も、熱いものが込み上げて来るのを感じた。
「んんっ、だめっ、もう、もうっ」
彼女は、足を曲げて僕の足に絡めてきた。僕は彼女に覆い被さり、彼女の口を貪る。彼女は僕を抱きしめ、それに応える。
彼女の一番深いところで、小刻みに腰を振る。
「~~!!」
これまでとは比べものにならないきつい締め付けに、快感が限界を超え、僕は彼女の中に欲望を吐き出した。
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:06:01.50 :rgTuZ4JDO
二人で快感の余韻に浸りながら、息を整える。
ベッドに横たわり、お互いに見つめ合う。
「妾は、本当にお前の物になってしまったな」
彼女は、微笑みながら、こう言った。
「だが、妾は幸せだ。お前と出会えてよかった」
僕もだ。僕はそう言って、彼女の手を握った。
お互いの体温を感じながら、僕らは眠りへと落ちていった。
二人で快感の余韻に浸りながら、息を整える。
ベッドに横たわり、お互いに見つめ合う。
「妾は、本当にお前の物になってしまったな」
彼女は、微笑みながら、こう言った。
「だが、妾は幸せだ。お前と出会えてよかった」
僕もだ。僕はそう言って、彼女の手を握った。
お互いの体温を感じながら、僕らは眠りへと落ちていった。
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:10:10.84 :rgTuZ4JDO
二七日目の朝。
僕は実験室へと行き、両親の片見である黒い石と、触媒をとった。
自室で着替えを持ち、少しの食料と金を持った。
僕らは、屋敷に火をつけ、馬に乗って屋敷を後にした。振り返ることは、しなかった。
目星をつけていた田舎町へと馬を走らせる。
僕は貴族の連中に顔をしられているので、誰も僕を知らない、田舎へと行かなければならなかった。
その日は一日中馬を走らせ、森の中で野宿をすることになった。
錬金術を使って火を起こし、屋敷から持ってきた食料を温める。
二人で火を囲んで暖を取りながら、食べ物を食べる。
「これからどうするんだ?」
街を転々としながら、旅をする。心配無い。金はあるしな。大丈夫だ。
「そうか……」
その後はお互い無言だった。火を消して寝袋にくるまる僕らを、闇が包み込んでいった。
二七日目の朝。
僕は実験室へと行き、両親の片見である黒い石と、触媒をとった。
自室で着替えを持ち、少しの食料と金を持った。
僕らは、屋敷に火をつけ、馬に乗って屋敷を後にした。振り返ることは、しなかった。
目星をつけていた田舎町へと馬を走らせる。
僕は貴族の連中に顔をしられているので、誰も僕を知らない、田舎へと行かなければならなかった。
その日は一日中馬を走らせ、森の中で野宿をすることになった。
錬金術を使って火を起こし、屋敷から持ってきた食料を温める。
二人で火を囲んで暖を取りながら、食べ物を食べる。
「これからどうするんだ?」
街を転々としながら、旅をする。心配無い。金はあるしな。大丈夫だ。
「そうか……」
その後はお互い無言だった。火を消して寝袋にくるまる僕らを、闇が包み込んでいった。
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:11:58.93 :rgTuZ4JDO
二十八日。
「起きろ。水浴びをしよう」
そう言われて僕は目を覚ました。朝は寒く、屋敷の中とは比べ物にならなかった。
こんな寒いのに水浴びをしたら、風邪を引くぞ。僕が鼻をすすりながら講義する。
「ならば、湯を沸かせば良い」
そんなに体を洗いたいのか?
「妾は裸で寝れなかったら、そうしなければ気が済まないのだ!」
なるほど。と納得した。
「妾が露出狂だからではないからな!?そこを勘違いするな」
はいはいと適当に返事をして、僕は湯を沸かす手順を考え始めた。
二十八日。
「起きろ。水浴びをしよう」
そう言われて僕は目を覚ました。朝は寒く、屋敷の中とは比べ物にならなかった。
こんな寒いのに水浴びをしたら、風邪を引くぞ。僕が鼻をすすりながら講義する。
「ならば、湯を沸かせば良い」
そんなに体を洗いたいのか?
「妾は裸で寝れなかったら、そうしなければ気が済まないのだ!」
なるほど。と納得した。
「妾が露出狂だからではないからな!?そこを勘違いするな」
はいはいと適当に返事をして、僕は湯を沸かす手順を考え始めた。
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:14:56.44 :rgTuZ4JDO
森の中に流れている川へ行く。石を錬金術で連結させ、即席の浴槽を作る。川の水を中に入れ、錬金術によって水の温度をあげる。
正に錬金術は魔法だな、と僕は一人感心した。
彼女は僕の手際の良さを誉めた後、すぐに裸になって湯の中に入った。
「お前も来ると良い」
そう言われて、僕も服を脱いで湯に浸かる。二人して、ふぅ、と一つ息を吐く。
こういう旅というのも、案外良いかもしれない。そんなことを僕は思っていた。
森の中に流れている川へ行く。石を錬金術で連結させ、即席の浴槽を作る。川の水を中に入れ、錬金術によって水の温度をあげる。
正に錬金術は魔法だな、と僕は一人感心した。
彼女は僕の手際の良さを誉めた後、すぐに裸になって湯の中に入った。
「お前も来ると良い」
そう言われて、僕も服を脱いで湯に浸かる。二人して、ふぅ、と一つ息を吐く。
こういう旅というのも、案外良いかもしれない。そんなことを僕は思っていた。
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:17:52.51 :rgTuZ4JDO
馬を走らせ、夕方に目的の町へ着いた。
彼女には、耳と顔が隠れるようにフードを被せているので、少しは人に見られても大丈夫だろう。
町の料理屋へ入り、料理を注文する。人はあまり入っていないようだった。
出てきた料理を黙々と食べる。味は……可もなく不可もなく、といったところだ。
すると、男二人組が料理屋へ入ってきた。そいつらは、何やら噂話をしているようだった。
なんでも、上級貴族が一人指名手配されたらしい。十人の大の男を殺せるような奴なんだと。
間違い無く、僕のことだろう。僕は急いでこの場を去ろうと思い、彼女に目配せをすると、彼女はこくりと頷いた。
馬を走らせ、夕方に目的の町へ着いた。
彼女には、耳と顔が隠れるようにフードを被せているので、少しは人に見られても大丈夫だろう。
町の料理屋へ入り、料理を注文する。人はあまり入っていないようだった。
出てきた料理を黙々と食べる。味は……可もなく不可もなく、といったところだ。
すると、男二人組が料理屋へ入ってきた。そいつらは、何やら噂話をしているようだった。
なんでも、上級貴族が一人指名手配されたらしい。十人の大の男を殺せるような奴なんだと。
間違い無く、僕のことだろう。僕は急いでこの場を去ろうと思い、彼女に目配せをすると、彼女はこくりと頷いた。
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:20:55.41 :rgTuZ4JDO
またなんでそんなことに。
その貴族様は、エルフの娘を誘拐したそうだ。
僕は、料理代を机に起き、彼女の手を引いて、この店を出ようとした。
しかし、少し遅かった。店から出た瞬間、その男がこう言っているのが聞こえた。
そのエルフの両親を殺して。
彼女は、立ち止まって、僕を見た。
「嘘……だろう?」
僕の脳裏に、彼女の両親を殺した光景がよぎり、僕は一瞬言葉に詰まった。その一瞬の沈黙は、その噂話を肯定しているようなものだった。
またなんでそんなことに。
その貴族様は、エルフの娘を誘拐したそうだ。
僕は、料理代を机に起き、彼女の手を引いて、この店を出ようとした。
しかし、少し遅かった。店から出た瞬間、その男がこう言っているのが聞こえた。
そのエルフの両親を殺して。
彼女は、立ち止まって、僕を見た。
「嘘……だろう?」
僕の脳裏に、彼女の両親を殺した光景がよぎり、僕は一瞬言葉に詰まった。その一瞬の沈黙は、その噂話を肯定しているようなものだった。
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:24:05.04 :rgTuZ4JDO
彼女は、その場に崩れ落ちた。そうして、こう呟いた。
「妾を、裏切っていたのか」
違う。違うんだ。僕はそう言って、彼女の肩に手をおいた。
彼女は僕の手を振り払い、走り出した。
僕は彼女を追いかけながら、恐怖を感じていた。
彼女が僕から離れていってしまうことに、今まで感じたことの無い程強い恐怖を感じていた。
馬のところでようやく彼女に追いつき、肩を掴む。
「離せ!裏切り者!」
そう叫んで暴れる彼女を、僕は必死に押さえる。
「触るな!散々妾を弄んで、さぞ楽しかったろうな!」
彼女は泣いていた。そうして、恐ろしいほどの憎悪を僕にぶつけていた。
聞いてくれ!君が考えているようなことを、僕はしていない!僕は必死に叫んだ。
「ならば、どうやってそれを証明するんだ?お前の言うことを、どうやって信じろと言うんだ!?」
彼女は、その場に崩れ落ちた。そうして、こう呟いた。
「妾を、裏切っていたのか」
違う。違うんだ。僕はそう言って、彼女の肩に手をおいた。
彼女は僕の手を振り払い、走り出した。
僕は彼女を追いかけながら、恐怖を感じていた。
彼女が僕から離れていってしまうことに、今まで感じたことの無い程強い恐怖を感じていた。
馬のところでようやく彼女に追いつき、肩を掴む。
「離せ!裏切り者!」
そう叫んで暴れる彼女を、僕は必死に押さえる。
「触るな!散々妾を弄んで、さぞ楽しかったろうな!」
彼女は泣いていた。そうして、恐ろしいほどの憎悪を僕にぶつけていた。
聞いてくれ!君が考えているようなことを、僕はしていない!僕は必死に叫んだ。
「ならば、どうやってそれを証明するんだ?お前の言うことを、どうやって信じろと言うんだ!?」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:27:02.71 :rgTuZ4JDO
……わかった。証明しよう。だから、今だけで良いから、僕の言うことを聞いてくれ。僕がそう言うと、彼女は騒ぐのをやめた。
フードを深く被り直して表情を隠し、ひとつ頷いた。
僕は馬に乗って、付いて来て。そう一言言って、今日朝いた森へ向かった。
森へ向かっている間、彼女の表情を見ることは一度も出来なかった。
そうして、こうなってしまったのは、天罰だろうと僕は思った。
彼女に秘密にしていた報いを、僕は受けなければならない。
僕の命をもって、これまでの罪を償おう。
……わかった。証明しよう。だから、今だけで良いから、僕の言うことを聞いてくれ。僕がそう言うと、彼女は騒ぐのをやめた。
フードを深く被り直して表情を隠し、ひとつ頷いた。
僕は馬に乗って、付いて来て。そう一言言って、今日朝いた森へ向かった。
森へ向かっている間、彼女の表情を見ることは一度も出来なかった。
そうして、こうなってしまったのは、天罰だろうと僕は思った。
彼女に秘密にしていた報いを、僕は受けなければならない。
僕の命をもって、これまでの罪を償おう。
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:30:09.43 :rgTuZ4JDO
森へ着いた頃には、すっかり真夜中だった。
ランプを灯して、昨日野宿した所へと向かう。
僕は火を付け、その周りに僕らは座った。
火を挟んだむこうに彼女は座り、フードを外した。馬に乗っている間中、ずっと泣いていたのだろうか、憔悴しきった顔をしていた。
僕らは、しばらく沈黙していた。これまでの彼女との思い出を、僕は思い出していた。
僕は、ポケットの中から黒い石を取り出し、彼女に近付いた。その時、怯えた目をして身を引く彼女の姿に、僕の手は震えた。
だが、ここで弱音を吐くわけにはいかない。僕は体に力を込めて、震えを止めた。
森へ着いた頃には、すっかり真夜中だった。
ランプを灯して、昨日野宿した所へと向かう。
僕は火を付け、その周りに僕らは座った。
火を挟んだむこうに彼女は座り、フードを外した。馬に乗っている間中、ずっと泣いていたのだろうか、憔悴しきった顔をしていた。
僕らは、しばらく沈黙していた。これまでの彼女との思い出を、僕は思い出していた。
僕は、ポケットの中から黒い石を取り出し、彼女に近付いた。その時、怯えた目をして身を引く彼女の姿に、僕の手は震えた。
だが、ここで弱音を吐くわけにはいかない。僕は体に力を込めて、震えを止めた。
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:33:09.50 :rgTuZ4JDO
これは、僕の両親の形見だ。これが、錬金術の終着点。万能の力の結晶。
僕はここで言葉を切る。彼女は、黙って聞いていた。
僕は彼女に、この石を握らせた。
その瞬間、彼女は目を見開いた。
「今のは……お前の両親の記憶か……?」
そう。これは、作った者の魂を焼き付ける。だから、君は今、僕の両親の人生を見た。
僕がそう言うと、彼女は、はっとした表情をした。
「だから……だから、どうしたのだ?」
これは、僕の両親の形見だ。これが、錬金術の終着点。万能の力の結晶。
僕はここで言葉を切る。彼女は、黙って聞いていた。
僕は彼女に、この石を握らせた。
その瞬間、彼女は目を見開いた。
「今のは……お前の両親の記憶か……?」
そう。これは、作った者の魂を焼き付ける。だから、君は今、僕の両親の人生を見た。
僕がそう言うと、彼女は、はっとした表情をした。
「だから……だから、どうしたのだ?」
50:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:36:22.25 :rgTuZ4JDO
……わざわざ言わなくても、わかるだろ?僕がそう言うと、彼女は怒りや、恐れ、悲しみが入り混じった表情をした。
そうして、僕の目を見てこう叫んだ。
「そんなのはだめだ!他に、何か他に方法があるだろう!?」
僕は首を振った。君が幸せになるには、これが一番だ。僕はそう言って立ち上がり、バッグの所へ行って、持ってきた触媒を出し始める。
「お前がいなくなったら、妾は、妾はどうすればいい!?」
僕は何も答えない。彼女は、走って僕の後ろに来て、背中を揺さぶる。
……わざわざ言わなくても、わかるだろ?僕がそう言うと、彼女は怒りや、恐れ、悲しみが入り混じった表情をした。
そうして、僕の目を見てこう叫んだ。
「そんなのはだめだ!他に、何か他に方法があるだろう!?」
僕は首を振った。君が幸せになるには、これが一番だ。僕はそう言って立ち上がり、バッグの所へ行って、持ってきた触媒を出し始める。
「お前がいなくなったら、妾は、妾はどうすればいい!?」
僕は何も答えない。彼女は、走って僕の後ろに来て、背中を揺さぶる。
51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:38:59.07 :rgTuZ4JDO
「妾は、そんなつもりで言ったのではない!もう良いから!お前を信じるから!」
彼女の声が段々と泣き声になる。僕の背中を揺さぶる力も段々弱くなって、最後には、彼女の震えが伝わてくるだけだった。
罰を受けないといけないんだ。僕はそう言った。
「やめてくれ……そんな物妾が許すから……」
僕は彼女を立たせて、近くの木に錬金術で繋いだ。身体に力が入っていない彼女を拘束するのは、あまりに簡単だった。
「やめろっ……やめてくれぇ……妾はお前を失いたくない……」
彼女は、ポロポロと大粒の涙をこぼしていた。まだ、必死に僕を説得しようとしていた。
「妾は、そんなつもりで言ったのではない!もう良いから!お前を信じるから!」
彼女の声が段々と泣き声になる。僕の背中を揺さぶる力も段々弱くなって、最後には、彼女の震えが伝わてくるだけだった。
罰を受けないといけないんだ。僕はそう言った。
「やめてくれ……そんな物妾が許すから……」
僕は彼女を立たせて、近くの木に錬金術で繋いだ。身体に力が入っていない彼女を拘束するのは、あまりに簡単だった。
「やめろっ……やめてくれぇ……妾はお前を失いたくない……」
彼女は、ポロポロと大粒の涙をこぼしていた。まだ、必死に僕を説得しようとしていた。
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:40:55.54 :rgTuZ4JDO
僕が石になったら、その木の拘束は解ける。君のために僕を使ってくれ。
僕はそう良いながら、身体に触媒をかけていく。何をすればいいのかは、両親の記憶が教えてくれた。
「やめてくれ……嫌だ……」
彼女は、泣きながら、そう言うだけになった。
僕は彼女に微笑んで、呪文を唱え始めた。
「やめろぉぉぉぉぉ!!!」
彼女の声を聞きながら、僕は呪文を唱え終わり、意識が途絶えていくのを感じた。
どうか、彼女が幸せでありますように。
僕が石になったら、その木の拘束は解ける。君のために僕を使ってくれ。
僕はそう良いながら、身体に触媒をかけていく。何をすればいいのかは、両親の記憶が教えてくれた。
「やめてくれ……嫌だ……」
彼女は、泣きながら、そう言うだけになった。
僕は彼女に微笑んで、呪文を唱え始めた。
「やめろぉぉぉぉぉ!!!」
彼女の声を聞きながら、僕は呪文を唱え終わり、意識が途絶えていくのを感じた。
どうか、彼女が幸せでありますように。
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:42:16.30 :rgTuZ4JDO
気がつくと、両の手を縛っていた木が消えていた。
妾は、しばらく呆然とし、そうして、ゆっくりと彼が先程までいた所へ近づいた。
妾は、まだ現実を受け入れることができなかった。
彼のいた所には、赤い石が落ちていた。妾は、恐る恐るそれに触れた。
次の瞬間、妾は彼となって、彼の一生を追体験した。
どんな一生を過ごし、どんなことを感じ、どんな思いを持っていたのか。その全てを理解した。
気がつくと、両の手を縛っていた木が消えていた。
妾は、しばらく呆然とし、そうして、ゆっくりと彼が先程までいた所へ近づいた。
妾は、まだ現実を受け入れることができなかった。
彼のいた所には、赤い石が落ちていた。妾は、恐る恐るそれに触れた。
次の瞬間、妾は彼となって、彼の一生を追体験した。
どんな一生を過ごし、どんなことを感じ、どんな思いを持っていたのか。その全てを理解した。
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:45:09.49 :rgTuZ4JDO
彼は、妾と会うまで、幸福というものを感じたことが、ほとんど無かった。
あるのは、貴族への憎しみ、それだけだった。
妾と出会って、凍ってしまった彼の心は、少しずつ溶け始めた。
お父様、お母様を殺す時、彼の中を激情が駆けめぐっていた。
彼はそれに気付かない振りをして、彼らが辱めを受けないよう、呪文をもって、最も痛みの無い方法で彼らを殺した。
その時、彼は心で泣いていた。彼は、悲しみから目を背け、妾を守るためだけに、気丈に振る舞った。
彼は、それをずっと悔い続けていた。
妾のことが大切になればなるほど、彼は自分を責めた。
だが、妾にそれを言って、妾を失うことを恐怖していた彼は、そのことを言い出すことが出来なかった。
今日、妾が彼を拒絶した時、彼は恐れていたことが現実になり、絶望した。そうして、そんな状況でも、彼は妾のことだけを考えていた。
顔の知られている自分よりも、妾が変装してひとりでいる方が安全で、しかも万能の力があれば、絶対安全だと。そう考えていた。
嘘だらけの自分が、妾と一緒にいることを願うことなど出来ないと、そう思っていた彼は、最後まで妾の幸せを願って、居なくなった。
彼は、妾と会うまで、幸福というものを感じたことが、ほとんど無かった。
あるのは、貴族への憎しみ、それだけだった。
妾と出会って、凍ってしまった彼の心は、少しずつ溶け始めた。
お父様、お母様を殺す時、彼の中を激情が駆けめぐっていた。
彼はそれに気付かない振りをして、彼らが辱めを受けないよう、呪文をもって、最も痛みの無い方法で彼らを殺した。
その時、彼は心で泣いていた。彼は、悲しみから目を背け、妾を守るためだけに、気丈に振る舞った。
彼は、それをずっと悔い続けていた。
妾のことが大切になればなるほど、彼は自分を責めた。
だが、妾にそれを言って、妾を失うことを恐怖していた彼は、そのことを言い出すことが出来なかった。
今日、妾が彼を拒絶した時、彼は恐れていたことが現実になり、絶望した。そうして、そんな状況でも、彼は妾のことだけを考えていた。
顔の知られている自分よりも、妾が変装してひとりでいる方が安全で、しかも万能の力があれば、絶対安全だと。そう考えていた。
嘘だらけの自分が、妾と一緒にいることを願うことなど出来ないと、そう思っていた彼は、最後まで妾の幸せを願って、居なくなった。
56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:46:18.02 :rgTuZ4JDO
妾は、彼の結晶を握りしめて泣いた。
もう涙など出ないと思っていたのに、止まることはなかった。
彼を疑った自分を責めて、戻らない時を嘆き続けた。
妾は、彼の結晶を握りしめて泣いた。
もう涙など出ないと思っていたのに、止まることはなかった。
彼を疑った自分を責めて、戻らない時を嘆き続けた。
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:49:01.02 :rgTuZ4JDO
二十九日目。
妾は、彼の両親の石と、彼の石を眺めていた。
彼の唯一愛していた人間は両親だけだった。
持っていればわかるが、これはその人自身なのだ。石に姿を変えた、その人自身。
だからこそ彼は、使うことが出来なかった。両親を使うことなど、出来なかった。
そして、石は別の何かにしか働きかける事が出来ない。
だから、両親を蘇らせることも、出来なかった。
妾は、彼の両親の石を見た。これを使えば、彼を蘇らせることが出来る。だが、それは、彼の決意を無駄にする行為だ。
妾は、どうしたいのだろう。どうすればいいのだろうか
二十九日目。
妾は、彼の両親の石と、彼の石を眺めていた。
彼の唯一愛していた人間は両親だけだった。
持っていればわかるが、これはその人自身なのだ。石に姿を変えた、その人自身。
だからこそ彼は、使うことが出来なかった。両親を使うことなど、出来なかった。
そして、石は別の何かにしか働きかける事が出来ない。
だから、両親を蘇らせることも、出来なかった。
妾は、彼の両親の石を見た。これを使えば、彼を蘇らせることが出来る。だが、それは、彼の決意を無駄にする行為だ。
妾は、どうしたいのだろう。どうすればいいのだろうか
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:51:05.90 :rgTuZ4JDO
地響きがする。それは、徐々に大きくなってきた。
昨日あれだけ街で騒いだのだ。そこから連絡がいき、ここを突き止められたのだろう。
すぐに大量の兵士達が、妾を囲んだ。
目を瞑って、彼との日々を思い出す。
それは、妾にとって、かけがえのない日々だった。
彼がいない毎日など、妾にとっては、何も意味が無いのだ。
彼がいるから、妾は生きていける。
答えなんて、彼の一生を見て、それでも彼への愛しさは変わらなかった時点で、決まっていたのだ。
地響きがする。それは、徐々に大きくなってきた。
昨日あれだけ街で騒いだのだ。そこから連絡がいき、ここを突き止められたのだろう。
すぐに大量の兵士達が、妾を囲んだ。
目を瞑って、彼との日々を思い出す。
それは、妾にとって、かけがえのない日々だった。
彼がいない毎日など、妾にとっては、何も意味が無いのだ。
彼がいるから、妾は生きていける。
答えなんて、彼の一生を見て、それでも彼への愛しさは変わらなかった時点で、決まっていたのだ。
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:54:08.84 :rgTuZ4JDO
妾は、お前を愛している。一生側にいて欲しい。
妾がそう呟くと、右手に持った黒い石が輝きだし、その輝きと同じ輝きが、左手の赤い石を包んだ。
周りの兵士達は、その光景に驚き、立ちすくんでいた。
目の前が真っ白になるほどの閃光の中、妾は彼の両親が微笑んでいるのを見た。そうして、その温かい光に、妾は包まれた。
「君は、僕の決意をなんだと思っているんだ」
聞き慣れた声が、妾のすぐそばで聞こえる。
「……ありがとう」
妾は、彼に抱きしめられていた。そうして、妾は笑って、嬉しさのあまり少しだけ泣きながら、彼を抱きしめ返した。
妾は、お前を愛している。一生側にいて欲しい。
妾がそう呟くと、右手に持った黒い石が輝きだし、その輝きと同じ輝きが、左手の赤い石を包んだ。
周りの兵士達は、その光景に驚き、立ちすくんでいた。
目の前が真っ白になるほどの閃光の中、妾は彼の両親が微笑んでいるのを見た。そうして、その温かい光に、妾は包まれた。
「君は、僕の決意をなんだと思っているんだ」
聞き慣れた声が、妾のすぐそばで聞こえる。
「……ありがとう」
妾は、彼に抱きしめられていた。そうして、妾は笑って、嬉しさのあまり少しだけ泣きながら、彼を抱きしめ返した。
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 22:57:12.44 :rgTuZ4JDO
妾はまだ右手に石の感覚が残っているのを感じた。
そう。彼の両親は、二人で石になったのだから。
「もう一つの願いは、決まったか?」
彼が聞いてくる。さっきの光の中で両親に会えたのだろう。妾は、何故かそう思った。
そんなもの、聞かなくてもわかっているだろう?笑いながら言うと、
「確かにな。……じゃあ、一緒に言おうか」
彼が少し照れながらそう言う。そんな彼が新鮮で、また笑ってしまった。
二人でずっと幸せに暮らしたい。
妾はまだ右手に石の感覚が残っているのを感じた。
そう。彼の両親は、二人で石になったのだから。
「もう一つの願いは、決まったか?」
彼が聞いてくる。さっきの光の中で両親に会えたのだろう。妾は、何故かそう思った。
そんなもの、聞かなくてもわかっているだろう?笑いながら言うと、
「確かにな。……じゃあ、一緒に言おうか」
彼が少し照れながらそう言う。そんな彼が新鮮で、また笑ってしまった。
二人でずっと幸せに暮らしたい。
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 23:01:25.08 :rgTuZ4JDO
彼女と出会って三十日目。
世界が光に包まれた後、僕達二人は、屋敷の自室にいた。
何がなにやらわからず、お互いの驚いた顔をしばらく見つめ合っていた。そうして、僕らはおかしくなって吹き出して、笑いあった。
部屋の外に出ると、当たり前のように使用人達がいた。僕らはそれを見て、本当に驚いた。そうして彼女が
「良かった…本当に良かった」
と、言いながら泣き出すと、使用人達はおろおろし始めた。その後ろで、僕も泣きそうになっていたのは、秘密だ。
ただ、何で部屋の前にいるんだ、と僕が質問したら、いえ、今日の朝もお熱いご様子が見れるかなぁ、と。こう言われた時に、あぁ泣かないで良かった……と思ったのだが。
全く、良い雰囲気が台無しだ。
しかし、お熱いご様子、という言葉に真っ赤になった彼女が見れたので、まぁ良しとしよう。かわいいというのは正義だ。
あの石は本当に万能の力があったようで、このように世界全体を変えてしまっていた。
ただ、死んでしまった人間は蘇らないようで、僕と彼女の両親はが生き返っている、というようなことは、無かった。
他に大きく変わっていたのが、種族間の交流が自由になっていたことだ。
この世界の貴族は、純粋に錬金術の研究者で、あのような残酷な見せ物をするような、腐った集団では無くなっていた。
彼女と出会って三十日目。
世界が光に包まれた後、僕達二人は、屋敷の自室にいた。
何がなにやらわからず、お互いの驚いた顔をしばらく見つめ合っていた。そうして、僕らはおかしくなって吹き出して、笑いあった。
部屋の外に出ると、当たり前のように使用人達がいた。僕らはそれを見て、本当に驚いた。そうして彼女が
「良かった…本当に良かった」
と、言いながら泣き出すと、使用人達はおろおろし始めた。その後ろで、僕も泣きそうになっていたのは、秘密だ。
ただ、何で部屋の前にいるんだ、と僕が質問したら、いえ、今日の朝もお熱いご様子が見れるかなぁ、と。こう言われた時に、あぁ泣かないで良かった……と思ったのだが。
全く、良い雰囲気が台無しだ。
しかし、お熱いご様子、という言葉に真っ赤になった彼女が見れたので、まぁ良しとしよう。かわいいというのは正義だ。
あの石は本当に万能の力があったようで、このように世界全体を変えてしまっていた。
ただ、死んでしまった人間は蘇らないようで、僕と彼女の両親はが生き返っている、というようなことは、無かった。
他に大きく変わっていたのが、種族間の交流が自由になっていたことだ。
この世界の貴族は、純粋に錬金術の研究者で、あのような残酷な見せ物をするような、腐った集団では無くなっていた。
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 23:03:16.22 :rgTuZ4JDO
屋敷の中で、もとの世界とは変わったのだなぁ、としみじみ思っていると、使用人が僕と彼女を呼んだ。
お迎えが来ています、と言われ、一体誰だろうか、と二人で首を傾げながら会いに行く。
すれと、その客というのはなんとエルフだった。
そうして、そのエルフに言われた一言で、僕らは本当に、言葉では言い表せないくらい驚いた。それは、
王様、女王様、お迎えにあがりました。
だったのだから。
屋敷の中で、もとの世界とは変わったのだなぁ、としみじみ思っていると、使用人が僕と彼女を呼んだ。
お迎えが来ています、と言われ、一体誰だろうか、と二人で首を傾げながら会いに行く。
すれと、その客というのはなんとエルフだった。
そうして、そのエルフに言われた一言で、僕らは本当に、言葉では言い表せないくらい驚いた。それは、
王様、女王様、お迎えにあがりました。
だったのだから。
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 23:09:13.38 :rgTuZ4JDO
僕と彼女が出会って、何年もの月日が経った。
この世界には驚かされてばかりだ。
僕は容姿は人間のままなのに、身体的特徴はエルフと一緒になっていた。
彼女より先に寿命で死んでしまう、ということも無いし、老いも来ない。本当に不思議だ。
一番びっくりしたのは、二人がエルフの国の王と女王になっていたことなのだが。
僕の両親は、少しサービスし過ぎだと思う。親バカ、という奴か。
だから、僕の親バカは、両親譲りなのだろう。
隣でベッドの上に座っている彼女の膝を枕にして、僕らの子供が寝ている。
あの頃より成長して、更に美しくなった妻は、僕を見て微笑んだ。
あぁ、僕は幸せだ。
おわり
僕と彼女が出会って、何年もの月日が経った。
この世界には驚かされてばかりだ。
僕は容姿は人間のままなのに、身体的特徴はエルフと一緒になっていた。
彼女より先に寿命で死んでしまう、ということも無いし、老いも来ない。本当に不思議だ。
一番びっくりしたのは、二人がエルフの国の王と女王になっていたことなのだが。
僕の両親は、少しサービスし過ぎだと思う。親バカ、という奴か。
だから、僕の親バカは、両親譲りなのだろう。
隣でベッドの上に座っている彼女の膝を枕にして、僕らの子供が寝ている。
あの頃より成長して、更に美しくなった妻は、僕を見て微笑んだ。
あぁ、僕は幸せだ。
おわり
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 23:12:06.00 :2BjxYpSc0
よかった
乙
乙
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 23:13:37.82 :rgTuZ4JDO
支援ありがとうございました。
三日に渡ったこのSSも、無事に完結を迎えることが出来ました。
最初からプロットを作っていたわけでは無かったので、違和感ばりばりな部分もあるでしょうが、大目に見ていただけると嬉しいです。
それと、誤字や脱字も多かったですね。本当にごめんなさい。
あと、一日で完結出来なかったことを、ここでお詫びします。
質問があれば答えますので、どうぞ。
支援ありがとうございました。
三日に渡ったこのSSも、無事に完結を迎えることが出来ました。
最初からプロットを作っていたわけでは無かったので、違和感ばりばりな部分もあるでしょうが、大目に見ていただけると嬉しいです。
それと、誤字や脱字も多かったですね。本当にごめんなさい。
あと、一日で完結出来なかったことを、ここでお詫びします。
質問があれば答えますので、どうぞ。
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 23:18:48.47 :6busJUSu0
過去に書いたSSとか教えてください
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 23:23:22.12 :rgTuZ4JDO
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/10/14(日) 23:28:07.99 :I7wANVJp0
>>75
あーこれだったのか・・・
シリアス系のSSは普段読まないんだけどすごく良かった
乙
あーこれだったのか・・・
シリアス系のSSは普段読まないんだけどすごく良かった
乙
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