あかり「……」

あかり（あかりもそろそろそういう年齢だって事はわかってたけど……）

あかり「……」

あかり「……」ﾁﾗｯ

あかり「でも、いざ本当に自分の身に起こると戸惑うよぉ～……」ｵﾛｵﾛｵﾛｵﾛ

あかり「……」

あかり「ど、どうしよう……」

あかり「……」

あかり「……」ﾁﾗｯ

あかり（やっぱり何回見ても生えてるよぉ……）ｼｭﾝ

あかり「……」

あかり（お姉ちゃんに相談しようかなぁ……）

コンコン

あかり「お、お姉ちゃん」

ガチャッ

あかね「あら、あかり。どうしたの？」

あかり「あっ……」

あかね（顔が赤い……？　どうしたのかしら……）

あかり（どうしよう……いざ目の前にすると……）ｵﾛｵﾛ

あかね（なんか戸惑ってる……かかかかか可愛い……）

あかり（言えないよぉ……）

あかね（抱きしめたい抱きしめたい抱きしめたい）

あかり「（こういう事は、家族だと尚更恥ずかしいね……）ご、ごめんね。やっぱりなんでもないよぉ」

あかね「……？」

あかり「ごめんね」ｽｯ

あかね（どうしたのかしら……？）

――公園入り口――

あかり「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ　ﾄﾞｷﾄﾞｷ

タッタッタッタッタ

あかり「！」

ちなつ「あかりちゃーん」ﾀｯﾀｯﾀｯﾀ

あかり「ちなつちゃん！」

ちなつ「ごめん、ごめん。遅くなっちゃって」ﾊｧﾊｧ

あかり「ううん。あかりがいきなり呼び出したのが悪いんだよぉ。ごめんね」

ちなつ「ううん。私も暇してたから大丈夫だよ」

あかり「良かったよぉ」

ちなつ「でも本当にどうしたの？　休日にいきなり…」

あかり「！　と、とりあえず、公園入ろっか」ｱｾｱｾ

ちなつ「？　う、うん」

――ベンチ――

あかり「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ　ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ちなつ「……」

あかり「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ　ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ちなつ「……」

あかり「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ　ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ちなつ「あかりちゃん？」

あかり「！」

ちなつ「どうしたの？」

あかり「あ、いや……」ｱｾｱｾ

ちなつ「なにか用事があるんじゃないの？」

あかり「その……（そ、そうだよね、せっかく来てもらったんだから……）」

ちなつ（一体どうしたんだろ……）

あかり「ちょっとちなつちゃんに聞きたい事があってねぇ……」

ちなつ「聞きたい事？」

ちなつ「なに？」

あかり「あ……その……」ｵﾛｵﾛ

ちなつ「……？」

あかり「その……（わざわざ来てもらったんだからしっかり言わなきゃ……）」ｱｾｱｾ

ちなつ「なに？」

あかり「えぇっと……（でもはっきりは言えないよぉ……）」ｵﾛｵﾛ

ちなつ「……？」

あかり（でも言わなきゃ……）

あかり「……」ｸﾙｯ

ちなつ「？」


あかり「ち、ちなつちゃんはさ……は、生えてる？」

あかり（言ったよぉ……）目ｷﾞｭｯ

ちなつ「！？　（歯、生えてる！？）」

あかり「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ちなつ（どういう事だろ……？　歯なんて生えてるに決まってるよね……？）

あかり「ど、どう……？」ﾄﾞｷﾄﾞｷ ﾄﾞｷﾄﾞｷ


ちなつ「当たり前じゃない」ﾄﾞﾄﾞｰﾝ

あかり「！」


あかり「あ、当たり前！？」

ちなつ「うん。しっかり生えてるよ？」

あかり「！！」

あかり「そ、そっか……」

ちなつ「……？」

あかり「い、いつ頃から……？」

ちなつ「（いつ頃から……？）　物心ついた頃にはもう……」

あかり「えぇ！？　（どういう事！？）」

ちなつ「（？　永久歯の事言ってるのかな？）　大人のって事？」

あかり「そ、そうだよぉ」ｶｧｯ

ちなつ「（なんで赤くなったんだろ……？）　大人のが生え揃ったのは、小学校高学年くらいかな？」

あかり「早かったんだねぇ……」

ちなつ「そう？」

あかり「や、やっぱりさ……」

ちなつ「うん？」

あかり「京子ちゃんや結衣ちゃんも、もう生えてるのかな……？」

ちなつ「？　当たり前じゃない」

あかり「！」

ちなつ「？　なに驚いてるの？」

あかり「あ、いや……（二人はあかりより年上だもんね。当たり前だよね……）　そ、そっかぁ……」ｱｾｱｾ

ちなつ「二人共、もうしっかり生え揃ってるでしょ。結衣先輩はすっごく綺麗だよ～」

あかり「ち、ちなつちゃん、見た事あるのぉ？」

ちなつ「見た事？　そりゃあ……」

あかり「えぇ！？　どこで！？」

ちなつ「どこで？　普通に……部室で話してる時とかﾁﾗﾁﾗ見えるでしょ？」

あかり「！？」

あかり「は、話してる時に……？」

ちなつ「うん」

あかり「そ、そんな……見えるのぉ……？」

ちなつ「しっかり全部見えるわけじゃないけど……見えるでしょ？」

あかり「えぇ……？」

ちなつ「あかりちゃんも今、見えてるし……」

あかり「えぇ！？」ｱｾｱｾ　ﾊﾞｯ

ちなつ「？　（スカート抑えて……どうしたんだろ？）」

あかり（い、一体……どこから見えちゃってたんだろ……）ｱｾｱｾ　ｱｾｱｾ　ｷｮﾛｷｮﾛ　ｷｮﾛｷｮﾛ

ちなつ（なんか今日のあかりちゃん、変ね……）

あかり「ふぅ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

ちなつ（やっと、少し落ち着いたみたいね）

あかり「そっかぁ。みんなもう、生えてるんだねぇ」

ちなつ「そりゃあそうだよ～」

あかり「（ちなつちゃん、すごく平然と……）　大人なんだねぇ」

ちなつ「？　まさかあかりちゃん、最近初めて生えたの？」

あかり「！」

あかり「……」ｶｧｯ

ちなつ「（そういう事だったんだ……）　随分遅かったんだねぇ」

あかり「そ、そうなのかなぁ……（中一っていうのは遅いんだねぇ……）」

あかり「……」ｵﾛｵﾛ

ちなつ「なにそんなに戸惑ってるの？」

あかり「！」

ちなつ「大人になってる証拠なんだから、良い事じゃん。恥ずかしがる事でもなんでもないよ？」

あかり「そ、そうだよねぇ（ちなつちゃんは本当、大人だなぁ……）」

ちなつ「私なんか、生えてきたらすぐにお姉ちゃんに見せたよ？」

あかり「！　えぇ！？　見せたの？」

ちなつ「うん。成長の印だもん。育ててくれてる家族にさ」

あかり「そ、そうなんだぁ……」

ちなつ「あかりちゃんの場合、そんなに遅かったら家族の人も心配してるかも知れないから、両親は恥ずかしかったらお姉ちゃん辺りに見せてあげたら？　ちゃんと成長してるよってさ」

あかり「（し、心配させちゃってるのかな……）そ、そうだねぇ」

あかり「そ、相談に乗ってくれてありがとねぇ」

ちなつ「うん！」

あかり「ちなつちゃんのお陰で、色々と気持ちの整理がついたよぉ」

ちなつ「良かった（歯が生えかわっただけでこんなに戸惑っちゃうなんて、つくづく純な子ね）」

あかり「心配してたらいけないから、帰ったら早速お姉ちゃんに見せるよぉ」

ちなつ「うん。しっかり成長してるよってね」

あかり「うん！」

――家――

あかり「……」ｺﾞｸｯ

あかり「ふぅ」

コンコン

あかり「お姉ちゃん」

ガチャッ

あかね「あら、あかり。どうしたの？　（また顔が赤い……）」

あかり「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

あかね「どうしたの？　（かかかかか可愛い……）」

あかり（……しっかり言わなきゃね）

あかり「……あのね」ｷﾘｯ

あかね「うん？」

あかり「あかりね」

あかね「うん？」

あかり「しっかり……」ｽｶｰﾄ　ｻｯ

あかね「！？」


あかり「成長してるよぉ！」ﾊﾟﾝﾂ　ﾊﾞｯ

あかね「！！！！」


あかね「……」鼻血ﾌﾞｼｭｰｰｰｰｰｯ

あかね「……」ﾌﾗﾌﾗ

あかね「……」ﾊﾟﾀﾝｯ


あかり「お、お姉ちゃん！？」


終