1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:20:22.19 :Mk1ia1iS0
父「いやあ、嬉しいなぁ」
娘「今年で何歳ですか?」
父「御陰様で30歳です」
父「いやあ、嬉しいなぁ」
娘「今年で何歳ですか?」
父「御陰様で30歳です」
2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:22:36.39 :Mk1ia1iS0
娘「30歳ぴったりなのでロウソクは代表して三本です」
父「お、『お父さん誕生日おめでとう』かぁ……」
娘「ケーキ屋さんでお願いしたの」
父「嬉しいなぁ……」
娘「30歳ぴったりなのでロウソクは代表して三本です」
父「お、『お父さん誕生日おめでとう』かぁ……」
娘「ケーキ屋さんでお願いしたの」
父「嬉しいなぁ……」
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:25:01.66 :Mk1ia1iS0
パチン
娘「さ、電気消したから火を……って、お父さん?」
『ちょっと待っててくれ』
父「せっかくだから写真を撮ろうと思ってさ」
娘「お父さん、去年も写真撮ってたよね」
父「ああ。毎年の楽しみだ」
パチン
娘「さ、電気消したから火を……って、お父さん?」
『ちょっと待っててくれ』
父「せっかくだから写真を撮ろうと思ってさ」
娘「お父さん、去年も写真撮ってたよね」
父「ああ。毎年の楽しみだ」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:27:38.90 :Mk1ia1iS0
父「赤い電気が二回点滅したらシャッター切れるからな」
娘「うん」
父「笑って」
チカチカ
娘「にーっ」
パシャ
父「赤い電気が二回点滅したらシャッター切れるからな」
娘「うん」
父「笑って」
チカチカ
娘「にーっ」
パシャ
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:30:06.06 :Mk1ia1iS0
『ハッピーバースデートゥーユー』
『ハッピーバースデートゥーユー』
娘「バースデーディアお父さーん」
『ハッピーバースデートゥーユー』
父「ふーっ」
娘「おめでとう!」パチパチ
父「ありがとう。嬉しいよ」
『ハッピーバースデートゥーユー』
『ハッピーバースデートゥーユー』
娘「バースデーディアお父さーん」
『ハッピーバースデートゥーユー』
父「ふーっ」
娘「おめでとう!」パチパチ
父「ありがとう。嬉しいよ」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:32:36.73 :Mk1ia1iS0
娘「はい、お父さん。誕生日のプレゼント」
父「え、本当に?」
娘「うん! 開けてみて」
父「じゃあ、お言葉に甘えて……」ソロソロ
娘「……お父さん、もうちょっとビリビリやっていいんだよ」
父「いや、なんだか勿体無くて」
娘「はい、お父さん。誕生日のプレゼント」
父「え、本当に?」
娘「うん! 開けてみて」
父「じゃあ、お言葉に甘えて……」ソロソロ
娘「……お父さん、もうちょっとビリビリやっていいんだよ」
父「いや、なんだか勿体無くて」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:36:35.63 :Mk1ia1iS0
父「お! 綺麗な栞だな」
娘「学芸会とかで余った折り紙とかで作ったんだ」
ギュッ
娘「ふぁっ」
父「ありがとう。とっても、とっても嬉しいよ」ギュッ
娘「ん……よかった」ギュ
父「お! 綺麗な栞だな」
娘「学芸会とかで余った折り紙とかで作ったんだ」
ギュッ
娘「ふぁっ」
父「ありがとう。とっても、とっても嬉しいよ」ギュッ
娘「ん……よかった」ギュ
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:40:57.86 :Mk1ia1iS0
娘「今日は頑張って手巻き寿司にしてみたんだ」
父「おお! ご馳走だな!」
娘「それに、ほら」チラッ
父「! ……いいんですか?」
娘「いいんです。ささ、どうぞ」トクトク
父「いやー、すいませんね……っとっと」
娘「あはは」
娘「今日は頑張って手巻き寿司にしてみたんだ」
父「おお! ご馳走だな!」
娘「それに、ほら」チラッ
父「! ……いいんですか?」
娘「いいんです。ささ、どうぞ」トクトク
父「いやー、すいませんね……っとっと」
娘「あはは」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:44:49.19 :Mk1ia1iS0
父「プハーッ! 染みるぅ!」
娘「お寿司も食べてみて」
父「そうだな! いただきまぁむ……モグ」
父「んむ! んまい! んまいよコレ!」
娘「お父さん飲み込んでからでいいから」
父「ンマイ、ンマイ」モグモグ
父「プハーッ! 染みるぅ!」
娘「お寿司も食べてみて」
父「そうだな! いただきまぁむ……モグ」
父「んむ! んまい! んまいよコレ!」
娘「お父さん飲み込んでからでいいから」
父「ンマイ、ンマイ」モグモグ
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:49:37.27 :Mk1ia1iS0
父「美味いよこの手巻き寿司!」
娘「よかったぁ」
父「これなら将来、立派なお嫁さんになるだろうな」
娘「お嫁さん……」
娘「ね、お父さん。お父さんの昔ってどんなだったの?」
父「美味いよこの手巻き寿司!」
娘「よかったぁ」
父「これなら将来、立派なお嫁さんになるだろうな」
娘「お嫁さん……」
娘「ね、お父さん。お父さんの昔ってどんなだったの?」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 01:55:56.98 :Mk1ia1iS0
父「俺の若い頃?」
娘「そうそう。私が生まれる前とか」
父「……」
娘「一度、ちゃんと聞いておきたいの」
父「……そうだよな。来年は中学校に行くんだもんな」
父「この間まで赤ん坊だったかと思えば、もうこんなに大きくなってたんだな……」
父「俺の若い頃?」
娘「そうそう。私が生まれる前とか」
父「……」
娘「一度、ちゃんと聞いておきたいの」
父「……そうだよな。来年は中学校に行くんだもんな」
父「この間まで赤ん坊だったかと思えば、もうこんなに大きくなってたんだな……」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:03:01.16 :Mk1ia1iS0
父「ビール、もう一杯いいか?」
娘「はい、お父さん」
トクトク…
父「ング、ング…………っはー」
父「……単刀直入に言うと、あかり、お前は俺の実の子じゃない」
娘「……っ」
父「引き受けたんだ。お前の本当の両親から」
父「ビール、もう一杯いいか?」
娘「はい、お父さん」
トクトク…
父「ング、ング…………っはー」
父「……単刀直入に言うと、あかり、お前は俺の実の子じゃない」
娘「……っ」
父「引き受けたんだ。お前の本当の両親から」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:10:09.81 :Mk1ia1iS0
父「俺が進学の為に一人暮らしを始めた時に隣に住んでた夫婦が、お前の両親でな。俺は大層よくしてもらったもんだ」
父「だが、半年ぐらい経った頃から二人とも、急に元気がなくなっていった」
娘「……何があったの?」
父「なんでも、旦那さんが身体を壊したらしかった。旦那さんは仕事も続けられなくなり、すっかり気落ちしてしまった」
父「奥さんは一生懸命旦那さんを支えていたけど、とうとう心が折れて部屋から出てこなくなった」
父「俺が進学の為に一人暮らしを始めた時に隣に住んでた夫婦が、お前の両親でな。俺は大層よくしてもらったもんだ」
父「だが、半年ぐらい経った頃から二人とも、急に元気がなくなっていった」
娘「……何があったの?」
父「なんでも、旦那さんが身体を壊したらしかった。旦那さんは仕事も続けられなくなり、すっかり気落ちしてしまった」
父「奥さんは一生懸命旦那さんを支えていたけど、とうとう心が折れて部屋から出てこなくなった」
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:13:56.83 :Mk1ia1iS0
父「そしてある日……」
娘「……」
父「どうしても、生まれたばかりのお前に手を掛けられなかったんだろう。最後の手紙にはいっぱいごめんなさいって書いてあった」
娘「……」
娘「……そんなの、勝手だよ」
父「そしてある日……」
娘「……」
父「どうしても、生まれたばかりのお前に手を掛けられなかったんだろう。最後の手紙にはいっぱいごめんなさいって書いてあった」
娘「……」
娘「……そんなの、勝手だよ」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:24:54.80 :Mk1ia1iS0
父「そうだな、あかりの言う通りだ」
父「だが、憎まないで欲しい。人間は完璧じゃないから、時に世の中の不条理に負けて道を誤る事もある」
父「取り返しのつかない間違いを犯す事もある。でも、それも『生きている証拠』なんだ」
娘「生きている証拠……」
父「それに、あかりのお父さんお母さんがいなかったら、あかりに出会えなかった訳だしな」
娘「……うん」
父「そうだな、あかりの言う通りだ」
父「だが、憎まないで欲しい。人間は完璧じゃないから、時に世の中の不条理に負けて道を誤る事もある」
父「取り返しのつかない間違いを犯す事もある。でも、それも『生きている証拠』なんだ」
娘「生きている証拠……」
父「それに、あかりのお父さんお母さんがいなかったら、あかりに出会えなかった訳だしな」
娘「……うん」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:30:04.33 :Mk1ia1iS0
娘「……お父さん」
父「ん?」
ボフッ
父「うおっ!?」
娘「お父さんは、どうして私の事引き取ったの?」
父「んー……」
父「ただ、嫌だったんだ。あかりを一人にしたくなかったんだ」
娘「……お父さん」
父「ん?」
ボフッ
父「うおっ!?」
娘「お父さんは、どうして私の事引き取ったの?」
父「んー……」
父「ただ、嫌だったんだ。あかりを一人にしたくなかったんだ」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:33:05.33 :Mk1ia1iS0
娘「お父さんは、私の事見捨てられなかったんだ」
父「うん」
娘「ありがとう、お父さん」
娘「……ありがとう」ギュッ
父「……」ナデナデ
娘「お父さんは、私の事見捨てられなかったんだ」
父「うん」
娘「ありがとう、お父さん」
娘「……ありがとう」ギュッ
父「……」ナデナデ
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:36:47.24 :Mk1ia1iS0
……
父「ふー、おいしかった」
娘「食器片付けちゃうね」
父「悪いな、何から何まで」
娘「ううん、気にしないで」カチャカチャ
父「……見えますか。あなた達の娘はとっても良い子に育てます」
……
父「ふー、おいしかった」
娘「食器片付けちゃうね」
父「悪いな、何から何まで」
娘「ううん、気にしないで」カチャカチャ
父「……見えますか。あなた達の娘はとっても良い子に育てます」
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:39:04.18 :Mk1ia1iS0
娘「じゃ、電気消すよ」
父「ん」
パチン
娘「おやすみなさい」モゾ
父「おやすみ、あかり」
娘「……」
父「……」
娘「じゃ、電気消すよ」
父「ん」
パチン
娘「おやすみなさい」モゾ
父「おやすみ、あかり」
娘「……」
父「……」
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:43:12.01 :Mk1ia1iS0
娘「ね、お父さん」
父「ん?」
娘「私、夢があるんだ」
父「夢か。どんな夢だ?」
娘「お父さんのお嫁さん」
父「……」
父「ああ、昔はよく『お父さんのお嫁さんになるー』って言ってたな」
娘「うん言ってた」
娘「でもね、今日改めて思ったんだ。『ああ、私本当にお父さんの事が好きなんだ』って」
娘「ね、お父さん」
父「ん?」
娘「私、夢があるんだ」
父「夢か。どんな夢だ?」
娘「お父さんのお嫁さん」
父「……」
父「ああ、昔はよく『お父さんのお嫁さんになるー』って言ってたな」
娘「うん言ってた」
娘「でもね、今日改めて思ったんだ。『ああ、私本当にお父さんの事が好きなんだ』って」
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:49:54.23 :Mk1ia1iS0
父「……」
娘「私、まだ小学生だけど、あと5年ぐらいしたらきっと、きっと美人になるから」
娘「だから、もうちょっとだけ待っててね」ギュ
父「……」
父「じゃあ俺は幻滅されないよう頑張らないとな」
娘「大丈夫。私はお父さんが一番だもん」
父(…………旦那さん、奥さん、ごめんなさい。あなた達の娘はファザコンに育てしまいました)
おしまい
父「……」
娘「私、まだ小学生だけど、あと5年ぐらいしたらきっと、きっと美人になるから」
娘「だから、もうちょっとだけ待っててね」ギュ
父「……」
父「じゃあ俺は幻滅されないよう頑張らないとな」
娘「大丈夫。私はお父さんが一番だもん」
父(…………旦那さん、奥さん、ごめんなさい。あなた達の娘はファザコンに育てしまいました)
おしまい
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:50:01.28 :wuRzAuDk0
キュンとした
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/01/07(月) 02:57:49.93 :9ZwPkIf1O
良い話じゃ
コメント
一瞬「床下辺りに隠している夫婦の遺体か遺骨」に話しかけてる光景が頭に浮かんでハラハラした。