兄「美味いかー？」

妹「うんっ、ありがとうお兄ちゃん！」

兄「どういたしまして」

妹「お礼にアイス一口どうぞー！」

兄「えっ、いいのか？サンキュ」

ﾊﾟｸｯ

兄「うん、ホントだ美味いな」

妹「でへへへ……お兄ちゃんと間接キッスしちゃった」

兄「なにいってんだか……」

兄「さて、俺は部屋にいって勉強でもしてくるかな」

妹「がんばって！お兄ちゃん」

兄「おう」

ｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀ

妹「……ふぅ」

妹「お兄ちゃんを好きなフリをするのは相変わらずキツイよ」

妹「まったくわたしみたいな優しい妹じだから」

妹「お兄ちゃんの幻想を守ってあげている、ということを説明してあげたいですね、まったく」

ｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀ

妹「さて、引き続きお兄ちゃんの幻想を守るために演技を続けますかね」

妹「というわけで、勉強中のお兄ちゃんにお菓子でも持っていってあげますか」

ｺﾝｺﾝｯｶﾞﾁｬ

妹「お兄ちゃーん！」

兄「わっ！バカいきなり開けんじゃねぇよ！」

兄「ごめん……また後でかけ直すね、うん……」

ﾋﾟｯ

妹「電話してたの？」

兄「うん」

妹「勉強は？」

兄「今からするところだよ！早く部屋から出てけよ」

妹「……ぶぅ」

ﾊﾞﾀﾝｯ……

妹「あぁ？」

妹「なんですか、あの態度」

妹「さすがに優しい妹であるわたしでもイラッときましたね」

兄『ごめんごめん、妹がいきなり部屋に入ってきてさ』

妹「また、電話してる……」

妹「誰と電話してるんでしょうねぇ……でへへ」

兄『明日、休日だろ？どっか行かない？』

妹「ふむふむ」

兄『うん……じゃあ明日、駅前に午後一時ね』

妹「友達との電話か……まったく、明日わたしをほったらかすつもりかね」

兄『あぁ……わかった、それじゃあね……』

兄『愛してるよ』

妹「アイヤァ！？」

ｶﾞﾁｬｯ

兄「変な声が聞こえたと思ったら……おまえ、立ち聞きしてたのか…？」

妹「ア、アイヤァ……ちゃうよぉ？聞いてないよぉ…？」

兄「……ならいいけど」

ﾊﾞﾀﾝｯ

妹「お兄ちゃんが愛してるよ、って……」

妹「あれ？いまさっきの電話はわたしとしてたわけじゃないですよね？」

妹「あれ！ということはわたし以外に、お兄ちゃんが愛している人がいると！？」

妹「……明日の駅前、午後一時か」

翌日駅前にて

ｺｿｺｿ

妹「やってまいりました！ザ！駅前！」

妹「昨日一晩中考えた結果」

妹「お兄ちゃんはわたしと妄想電話をしていた、という結果に至りましたので」

妹「お兄ちゃんの幻想を守ってあげるために、妄想どおりにデートしてあげることにしましたよ」

妹「まったく、貴重な休日が潰れちゃいましたよ！……でへへ」

妹「へ……へっくちっ！寒い……」

妹「早くこないかな……」

妹「うぅ……お兄ちゃんと一緒に出てくればよかったかなぁ」

妹「でもそれじゃデートって感じじゃないし」

妹「なによりサプライズにならないですよね！早く驚かせたいなぁ……へっくち！」

ﾀﾀﾀﾀﾀｯ

兄「はぁはぁ……待ったか？」

妹「あ、お兄ちゃん！でへへ……いまきたとこだよ！」

女「ううん、いまきたとこよ」

妹「……あれれぇ？」

兄「えっ、おまえなんでここにいるんだ…？」

妹「えっ、いや、あれ？お兄ちゃんとデートですが？」

兄「はぁ…？」

女「この子、あなたの妹さん？」

兄「……あぁ、そうだよ」

女「あらじゃあちょうどいいじゃない、ね？今日は三人で遊ばない？」

兄「え、ええぇぇ……」

妹「えっ、お姉さんがわたしたちのデートについてくるんですか？」

女「え？」

女「うふふふ！面白いわねこの子」

兄「えっ、あ、そう？」

女「うん！さ、行きましょ！」

兄「あぁ、うんそうだな」

妹「……わたし帰りますね」

女「え？そんな、一緒に遊ぼうよ」

兄「（グッジョブ！）」

妹「いえ、ほんと大丈夫なんで、はい……」

ｽﾀｽﾀｽﾀ

兄「さ、妹も、そういってるし俺達は遊ぼうよ」

女「うん……」

ｺｿｺｿｺｿ

妹「さて、これぐらいでノックアウトされるわたしじゃありませんよ」

妹「このままお兄ちゃん観察に作戦移行しますよ、えぇ」

ｺｿｺｿｺｿ

妹「まったく、きっと妄想電話をし終わったあとに、お姉さんと遊びの約束をしたんでしょうね」

妹「だから、お兄ちゃんはお姉さんに愛している、と言ったわけではなく、あくまでわたしに言ったんですよね！」

ｺｿｺｿｺｿｺｿ

兄「…………」

女「…………」

ｺｿｺｿｺｿ

妹「ぶぅ……楽しそうですね、あの二人」

妹「なんて話してるんだろ……」

女「…………」

兄「…………」

妹「えっ、なに、えっ、なんで二人距離が縮まってるん！？」

妹「ま、まさかキスする……気じゃ」

妹「……ア」

妹「アイヤァァァァァァァァッ！！」

ﾀﾀﾀﾀﾀﾀﾀｯ!

兄「え、なんの声……」

妹「アイヤァ！？」

ﾄﾞｶﾞｧｯ!

兄「ぐふっ！！」

妹「はぁ…はぁ…」

妹「なんでっ！？」

兄「こっちが聞きたいわ！」

女「うふふ……」

妹「おかしいでしょ！？妹が大好きなお兄ちゃんはいずこ！？」

兄「人に飛びヒザ蹴りしといて、なにわけわからないこと言ってんだよ！」

女「やっぱりこの子面白いなぁ……」

妹「だって……お兄ちゃん、むかしわたしに好きだって言ってくれたでしょ！？」

妹「それから、わたしは別に好きじゃなかったお兄ちゃんを変に意識しはじめて……それで」

妹「その、好きになったのに！なんなんですか！？いまのは！くそったれ！」

妹「お兄ちゃんはずっとわたしが好きだっていう設定を守っていればよかったのに！」

兄「（……そんなことあったっけ…？）」

兄「あ、あのな？そのでもおれ彼女いるしさ」

女「（あ、わかったわ私の役割が……それは…！」

女「（かっこよく彼氏から身を引いて妹ちゃんの長年の想いを叶えさせるカッコイイウーマンの役だ……）」

女「別れましょう、あなた」

兄「えっ？」

女「ほんとうは気づいているんでしょ？自分の気持ちに」

兄「え、えぇ…？」

女「あなたは妹さんと幸せに生きるべきなのよ！」

女「……好きだったわ、さよなら」

ﾀﾀﾀﾀﾀﾀｯ!

兄「お、おい！待てよ！好きなら別れなくていいじゃないかよぉ！」

妹「お兄ちゃん！」

兄「なんだよ！」

妹「いまはわたしを見てよっ！」

兄「もういやぁ……」

兄「（……あれ、なんかわかったぞ！自分の役割が）」

兄「（おれは妹とのトゥルーラブに目覚める主人公の役だ！）」

兄「まったく……お前のせいで妻とも別れちまうし」

妹「うっ…うぅ…」

兄「まったく今日は最悪の日だよ！」

妹「ご…ごめんなさ…」

兄「だから責任もって……最悪の日を最高の日に変えさせてくれよ」

ﾁｭｯ

妹「ふぇ…ふぇぇぇえイヤァァァアッ！？」

兄「お前のくちびるは……甘いな」ﾄﾞﾔｧ

妹「お、お兄ちゃん！」

ｷﾞｭｩｯ

妹「でへ……でへへっ…！大好き！」

兄「あぁ、俺も大好きだよ」

兄「（あぁ……いまこのシーンでエンダァァアの曲が流れるんだろうなぁ……）」

ｴﾝﾀﾞｧｧｧｧｧｧｧｧ!!!ｲﾔｧｧｧｧｧｧｱ!!!ｵﾙｳｨｲｽﾞｲｩｲｩｩｩｳ!ｲﾔｧｧｧｧｧｧｯ!!

女「ぐすっ……泣かせてくれるじゃない」




おしまい

明日も妹ちゃんを書きますおやすみなさい

みんなに妹ちゃんの御加護があらんことを！