1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 10:59:24.62 :5LqGOS1Z0
場所は例の茶屋だった。
奉太郎「……突然呼びだしていったい今度は何を企んでるんですか?」
入須「ふふっ。私は君にそんな風に思われているのか。まだあのときのことを根に持っているのか?」
奉太郎「……そういうわけでは」
入須「折木君。これは君にしか頼めない」
奉太郎「それで、一体俺にどんな頼みが?」
入須「折木君」
入須「私と結婚を前提に付き合って欲しい」
場所は例の茶屋だった。
奉太郎「……突然呼びだしていったい今度は何を企んでるんですか?」
入須「ふふっ。私は君にそんな風に思われているのか。まだあのときのことを根に持っているのか?」
奉太郎「……そういうわけでは」
入須「折木君。これは君にしか頼めない」
奉太郎「それで、一体俺にどんな頼みが?」
入須「折木君」
入須「私と結婚を前提に付き合って欲しい」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 11:04:45.66 :5LqGOS1Z0
奉太郎「えっ?」
入須「正確にはそのふりをして欲しい、だがな」
奉太郎「……一体、どういうことですか?」
入須「私はこのままでは名家の息子の許嫁にならないといけなくなる」
奉太郎「それで」
入須「君を私の結婚を前提とした付き合いをしている者として、私の両親に紹介する」
奉太郎「でも」
入須「君に手間はとらせない。ただ私の両親に挨拶をしてくれるだけでいい」
奉太郎「……」
入須「……沈黙は肯定として受け取ってもいいのかな?」
奉太郎「えっ?」
入須「正確にはそのふりをして欲しい、だがな」
奉太郎「……一体、どういうことですか?」
入須「私はこのままでは名家の息子の許嫁にならないといけなくなる」
奉太郎「それで」
入須「君を私の結婚を前提とした付き合いをしている者として、私の両親に紹介する」
奉太郎「でも」
入須「君に手間はとらせない。ただ私の両親に挨拶をしてくれるだけでいい」
奉太郎「……」
入須「……沈黙は肯定として受け取ってもいいのかな?」
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 11:10:41.75 :5LqGOS1Z0
奉太郎「待って下さい」
入須「なんだ?」
奉太郎「それはどうして俺でなくてはいけないんですか? 同級生の方が説得力も増すんじゃないんですか?」
入須「言ったろう? 君には色々な意味で期待していると」
奉太郎「でもそれは嘘だと」
入須「確かに本心からの言葉ではない……。語弊があるな。
確かに君にはじめて会って言った言葉は本心からの言葉ではなかっ”た”。
だが、折木君。君は見事に映画を完成へと導いた。
実はその時点で私の期待は、私の本心になっていた。
そうだとしたらどうだろう?」
奉太郎「……いったい何を考えているんですか?」
奉太郎「待って下さい」
入須「なんだ?」
奉太郎「それはどうして俺でなくてはいけないんですか? 同級生の方が説得力も増すんじゃないんですか?」
入須「言ったろう? 君には色々な意味で期待していると」
奉太郎「でもそれは嘘だと」
入須「確かに本心からの言葉ではない……。語弊があるな。
確かに君にはじめて会って言った言葉は本心からの言葉ではなかっ”た”。
だが、折木君。君は見事に映画を完成へと導いた。
実はその時点で私の期待は、私の本心になっていた。
そうだとしたらどうだろう?」
奉太郎「……いったい何を考えているんですか?」
11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 11:14:55.14 :5LqGOS1Z0
入須「何も考えてなどない。本当だ」
奉太郎「……」
入須「今ここで結論を出せとは言わない」
入須が立ちあがり、机を回って、俺の方に近づいてくる。
入須「だが折木君」
入須がしゃがんで俺と入須の身体が密着する。
入須「いい返事を期待している」
入須が耳元でささやいた。
入須「何も考えてなどない。本当だ」
奉太郎「……」
入須「今ここで結論を出せとは言わない」
入須が立ちあがり、机を回って、俺の方に近づいてくる。
入須「だが折木君」
入須がしゃがんで俺と入須の身体が密着する。
入須「いい返事を期待している」
入須が耳元でささやいた。
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 11:22:45.41 :5LqGOS1Z0
奉太郎「ただいま」
供恵「おかえり~」
供恵「ってあんたどうしたの奉太郎? 顔赤いわよ。熱でもあるんじゃない?」
奉太郎「あ、いや、大丈夫」
供恵「ご飯は?」
奉太郎「い、いらない」
供恵「ふっふーん。恋煩い?」
奉太郎「そ、そんなんじゃねーよ」
供恵「どうかしたらね~」
奉太郎「ただいま」
供恵「おかえり~」
供恵「ってあんたどうしたの奉太郎? 顔赤いわよ。熱でもあるんじゃない?」
奉太郎「あ、いや、大丈夫」
供恵「ご飯は?」
奉太郎「い、いらない」
供恵「ふっふーん。恋煩い?」
奉太郎「そ、そんなんじゃねーよ」
供恵「どうかしたらね~」
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 11:30:12.96 :5LqGOS1Z0
奉太郎「ふぁーあ」
結局、入須の件のことばかり考えてしまって昨晩はほとんど眠れなかった。
える「おはようございます。折木さん」
奉太郎「千反田か。おはよう。ふぁーあ」
える「寝不足ですか?」
奉太郎「まあな。少し考え事を」
える「!」
奉太郎「ふぁーあ」
結局、入須の件のことばかり考えてしまって昨晩はほとんど眠れなかった。
える「おはようございます。折木さん」
奉太郎「千反田か。おはよう。ふぁーあ」
える「寝不足ですか?」
奉太郎「まあな。少し考え事を」
える「!」
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 11:35:16.63 :5LqGOS1Z0
える「考え事ってあの折木さんが睡眠時間を削ってまでですか!?」
奉太郎「(しまった)」
える「一体何を考えていたんですか!?」
奉太郎「……入須先輩のことだ」
える「入須さん? どうして折木さんが入須さんのなにを一晩中考えていたのか私、気になります!」
奉太郎「……」
える「考え事ってあの折木さんが睡眠時間を削ってまでですか!?」
奉太郎「(しまった)」
える「一体何を考えていたんですか!?」
奉太郎「……入須先輩のことだ」
える「入須さん? どうして折木さんが入須さんのなにを一晩中考えていたのか私、気になります!」
奉太郎「……」
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 11:38:13.72 :3PdADtqf0
えるたそ~
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 11:44:14.38 :5LqGOS1Z0
里志「あれ? 奉太郎に千反田さん?」
奉太郎「(里志! いいところに)」
里志「聞いたよ! 奉太郎! もう学校中の噂になってるよ!」
奉太郎「なんのことだ?」
里志「なんのことって、決まってるじゃないか!
まさかあの奉太郎と女帝が結婚を前提に付き合ってたなんて、神山高校に入学して以来、今までに類を見ないビッグニュースだよ!」
里志「あれ? 奉太郎に千反田さん?」
奉太郎「(里志! いいところに)」
里志「聞いたよ! 奉太郎! もう学校中の噂になってるよ!」
奉太郎「なんのことだ?」
里志「なんのことって、決まってるじゃないか!
まさかあの奉太郎と女帝が結婚を前提に付き合ってたなんて、神山高校に入学して以来、今までに類を見ないビッグニュースだよ!」
27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 11:52:26.82 :5LqGOS1Z0
奉太郎「里志! お前、それをいつ聞いた!?」
里志「いつって……昨日だけど?」
奉太郎「意味が分からん!」
える「……」
里志「あれ? 千反田さん、どうしたの?」
える「そうだったんですか……。それで入須さんのことを一晩ずっと……」
里志「えっ!? なになに!? 一晩って奉太郎が!?」
奉太郎「やめろ里志。全くの根も葉もない噂だ」
里志「しらっばくれても駄目だよ奉太郎。なにせあの女帝の口から出た言葉なんだからね」
奉太郎「里志! お前、それをいつ聞いた!?」
里志「いつって……昨日だけど?」
奉太郎「意味が分からん!」
える「……」
里志「あれ? 千反田さん、どうしたの?」
える「そうだったんですか……。それで入須さんのことを一晩ずっと……」
里志「えっ!? なになに!? 一晩って奉太郎が!?」
奉太郎「やめろ里志。全くの根も葉もない噂だ」
里志「しらっばくれても駄目だよ奉太郎。なにせあの女帝の口から出た言葉なんだからね」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 12:00:10.45 :5LqGOS1Z0
放課後。
俺は校門で入須を待ち伏せていた。
入須「やあ、折木君」
奉太郎「先輩、これは一体どういうことですか!?」
入須「……敵を騙すにはまず味方から、だというだろう?」
奉太郎「意味が分かりません! 大体、俺はまだ昨日の件を承諾してはいませんでした」
入須「それは些細なことだ」
奉太郎「些細? こんな大事になってどこが……」
入須「本当は、昨日のあのとき、あの場所で、君の心は決まっていただろう?」
放課後。
俺は校門で入須を待ち伏せていた。
入須「やあ、折木君」
奉太郎「先輩、これは一体どういうことですか!?」
入須「……敵を騙すにはまず味方から、だというだろう?」
奉太郎「意味が分かりません! 大体、俺はまだ昨日の件を承諾してはいませんでした」
入須「それは些細なことだ」
奉太郎「些細? こんな大事になってどこが……」
入須「本当は、昨日のあのとき、あの場所で、君の心は決まっていただろう?」
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 12:06:24.48 :5LqGOS1Z0
奉太郎「……」
入須「なら順番が入れ替わっただけだ」
奉太郎「昨日の出来事がもう全校に知れ渡っているのは?」
入須「私が独自の情報ルートを使った。どんなことも三時間もあれば全校中が知るところとなる」
奉太郎「もし仮に……入須先輩の見当違いで、俺が入須先輩の頼みを絶対に引き受けない気ならどうしていたんですか!?」
入須「その仮に、は成立しない」
奉太郎「どうして!?」
入須「私の頼みを君が断るわけないからだ」
奉太郎「……」
入須「なら順番が入れ替わっただけだ」
奉太郎「昨日の出来事がもう全校に知れ渡っているのは?」
入須「私が独自の情報ルートを使った。どんなことも三時間もあれば全校中が知るところとなる」
奉太郎「もし仮に……入須先輩の見当違いで、俺が入須先輩の頼みを絶対に引き受けない気ならどうしていたんですか!?」
入須「その仮に、は成立しない」
奉太郎「どうして!?」
入須「私の頼みを君が断るわけないからだ」
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 12:14:18.70 :yuvOQ1pp0
いりすたそ~
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 12:15:22.10 :5LqGOS1Z0
入須「そもそも私の見当が外れたことはこれまでに一度もないがな」
奉太郎「……」
入須「次の日よう日。私の両親に挨拶してもらう」
奉太郎「……ちょっと待って下さい。それが終わったら……」
入須「終わった後のことは終わったときに考えればいい」
奉太郎「……」
入須「そもそも私の見当が外れたことはこれまでに一度もないがな」
奉太郎「……」
入須「次の日よう日。私の両親に挨拶してもらう」
奉太郎「……ちょっと待って下さい。それが終わったら……」
入須「終わった後のことは終わったときに考えればいい」
奉太郎「……」
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 12:28:02.38 :5LqGOS1Z0
日曜日はあっという間に来てしまった。
入須「この部屋を開けたら私の父がいる。打ち合わせ通りに頼む」
奉太郎「……はい」
入須の父親は意外にも温厚そうな人だった。
交渉は順調に進み、いとも簡単に入須を許嫁にすることを防ぐことができた。
奉太郎「では、僕はこれで」
入須父「ちょっと待ちなさい」
奉太郎「?」
示された紙には誓約書とかかれていた。
入須父「冬実の許嫁の話をなかったことにするということは、その家との関係をなかったことにするということだからね。
きちんと署名して冬実と将来的には、結婚することを示してもらわないと困る」
打ち合わせにこんな事態は想定されていなかった。
入須を見た。
先輩は目を逸らした。
日曜日はあっという間に来てしまった。
入須「この部屋を開けたら私の父がいる。打ち合わせ通りに頼む」
奉太郎「……はい」
入須の父親は意外にも温厚そうな人だった。
交渉は順調に進み、いとも簡単に入須を許嫁にすることを防ぐことができた。
奉太郎「では、僕はこれで」
入須父「ちょっと待ちなさい」
奉太郎「?」
示された紙には誓約書とかかれていた。
入須父「冬実の許嫁の話をなかったことにするということは、その家との関係をなかったことにするということだからね。
きちんと署名して冬実と将来的には、結婚することを示してもらわないと困る」
打ち合わせにこんな事態は想定されていなかった。
入須を見た。
先輩は目を逸らした。
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 12:30:10.45 :vRxmhMTH0
ほうたる~
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 12:35:50.96 :5LqGOS1Z0
署名して部屋を出た。
入須もついてきた。
二人きり。
奉太郎「入須先輩、はじめからこれが狙いだったんですね」
入須「……」
奉太郎「やっぱり食えない人だ」
入須「では私はどうしたら良かったんだ?」
奉太郎「……」
入須「君は私がどんなに君にアプローチをしても私を見てはくれなかった。君の目にはえるしか映ってなかった」
入須の頬に一筋の涙が伝った。
署名して部屋を出た。
入須もついてきた。
二人きり。
奉太郎「入須先輩、はじめからこれが狙いだったんですね」
入須「……」
奉太郎「やっぱり食えない人だ」
入須「では私はどうしたら良かったんだ?」
奉太郎「……」
入須「君は私がどんなに君にアプローチをしても私を見てはくれなかった。君の目にはえるしか映ってなかった」
入須の頬に一筋の涙が伝った。
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 12:47:02.02 :5LqGOS1Z0
奉太郎「見当違い」
入須「?」
奉太郎「入須先輩」
入須「……なんだ?」
奉太郎「入須先輩の見当違いがないっていうのの記録、もう途絶えてます」
入須「……」
奉太郎「俺はずっと入須先輩のことを見てきました」
入須「!」
奉太郎「大好きですよ入須先輩」
入須「……だが、しかし私は君の了承を得ずに勝手に婚約を……」
奉太郎「……入須先輩の言葉をかりましょう。
そんなの些細なことだ。順番が入れ替わっただけなんだから」
Fin~
奉太郎「見当違い」
入須「?」
奉太郎「入須先輩」
入須「……なんだ?」
奉太郎「入須先輩の見当違いがないっていうのの記録、もう途絶えてます」
入須「……」
奉太郎「俺はずっと入須先輩のことを見てきました」
入須「!」
奉太郎「大好きですよ入須先輩」
入須「……だが、しかし私は君の了承を得ずに勝手に婚約を……」
奉太郎「……入須先輩の言葉をかりましょう。
そんなの些細なことだ。順番が入れ替わっただけなんだから」
Fin~
44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 12:48:17.66 :Gqzhsr/kP
なんだこれ
53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/02/16(土) 13:14:51.83 :cR+g4j8u0
大層乙であった
コメント
かてーこと言うなよ、ふひっ
えるたそとか言う池沼はポイーで