1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:12:13.83 :odxKI4Y60
「真に、静かですね」
「うん」
本当に静かだ。
これが自分達の最期と思うと、余計に静かに感じちゃうな。
「貴音、痛まないか?」
貴音の目には、赤々しく染まった包帯がぐるぐると巻かれている。
けどその包帯ももう役目を果たしてなくて、貴音の頬には赤い雫の跡が何本も通っていた。
「ええ、大丈夫ですよ。それよりも、響の方は大丈夫なのですか?」
「真に、静かですね」
「うん」
本当に静かだ。
これが自分達の最期と思うと、余計に静かに感じちゃうな。
「貴音、痛まないか?」
貴音の目には、赤々しく染まった包帯がぐるぐると巻かれている。
けどその包帯ももう役目を果たしてなくて、貴音の頬には赤い雫の跡が何本も通っていた。
「ええ、大丈夫ですよ。それよりも、響の方は大丈夫なのですか?」
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:14:05.85 :odxKI4Y60
貴音は優しいな。
嘘をついてまで自分の心配をしてくれるんだ。
「へーきへーき。ちょっと擦り傷があるくらいだぞ」
「本当ですか?いくら見えないからといって、嘘をつくのは無しですよ?」
「本当だぞ。自分は何ともないから。顔、冷たいよ?」
ごめん、貴音。
自分、嘘ついてる。
濡れたガーゼで貴音のについた血を落とす。
その冷たさに驚いたのか、貴音の身体が少し強張るのが分かった。
貴音は優しいな。
嘘をついてまで自分の心配をしてくれるんだ。
「へーきへーき。ちょっと擦り傷があるくらいだぞ」
「本当ですか?いくら見えないからといって、嘘をつくのは無しですよ?」
「本当だぞ。自分は何ともないから。顔、冷たいよ?」
ごめん、貴音。
自分、嘘ついてる。
濡れたガーゼで貴音のについた血を落とす。
その冷たさに驚いたのか、貴音の身体が少し強張るのが分かった。
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:16:25.36 :odxKI4Y60
「……えいっ」
首筋にガーゼを当ててみると貴音は「ひゃあっ」と声を上げた。
そんな貴音が可愛くて、ついもう一度。
「や、やめるのです!!響、響っ!!」
「あははは、ごめんごめん」
昨日までは、これが日常だったのに。
どうして、こうなっちゃったんだろう。
「もう。仕方無いですね、響は。」
「貴音が可愛いのがいけないんだぞ」
やっぱり自分達、割れた薬ビンや罅だらけの部屋には似合わない。
くすんだ白い壁だって、何だか滑稽に見えてきちゃうな。
こんな状況でも、最後まで自分達は自分達なんだ。
そのおかげで、自分達はここまで誰も傷つける事無く来れたんだから。
「……えいっ」
首筋にガーゼを当ててみると貴音は「ひゃあっ」と声を上げた。
そんな貴音が可愛くて、ついもう一度。
「や、やめるのです!!響、響っ!!」
「あははは、ごめんごめん」
昨日までは、これが日常だったのに。
どうして、こうなっちゃったんだろう。
「もう。仕方無いですね、響は。」
「貴音が可愛いのがいけないんだぞ」
やっぱり自分達、割れた薬ビンや罅だらけの部屋には似合わない。
くすんだ白い壁だって、何だか滑稽に見えてきちゃうな。
こんな状況でも、最後まで自分達は自分達なんだ。
そのおかげで、自分達はここまで誰も傷つける事無く来れたんだから。
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:18:30.30 :odxKI4Y60
「響」
少しだけ向きのずれた貴音の手招き。
やっぱり少しだけ胸が痛んで、その手を取る両手が震えた。
「やはりわたくしのことを置いて、ここから去るのです」
貴音ははっきりと、そう言った。
「もう時間がありません!!急ぐのです、響!!」
貴音。
自分にはちゃんと分かるんだ。
今落ちた赤い雫は、血じゃなくて涙だって事。
「響」
少しだけ向きのずれた貴音の手招き。
やっぱり少しだけ胸が痛んで、その手を取る両手が震えた。
「やはりわたくしのことを置いて、ここから去るのです」
貴音ははっきりと、そう言った。
「もう時間がありません!!急ぐのです、響!!」
貴音。
自分にはちゃんと分かるんだ。
今落ちた赤い雫は、血じゃなくて涙だって事。
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:21:53.82 :odxKI4Y60
「行かないぞ、貴音。自分は最期まで一緒だぞ」
「いけません!!響!!」
「貴音。自分もう、足動かないんだぞ。あぁ、痛い痛い」
「響!!」
やっぱり頑固だなあ。
その包帯の下には、あの鋭い眼差しがきっとあるんだよね。
自分、ちょっと怖いぞ。
でもね、貴音。
「貴音」
そんなに震えながら言われても、全然説得力無いんだぞ。
「行かないぞ、貴音。自分は最期まで一緒だぞ」
「いけません!!響!!」
「貴音。自分もう、足動かないんだぞ。あぁ、痛い痛い」
「響!!」
やっぱり頑固だなあ。
その包帯の下には、あの鋭い眼差しがきっとあるんだよね。
自分、ちょっと怖いぞ。
でもね、貴音。
「貴音」
そんなに震えながら言われても、全然説得力無いんだぞ。
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:22:50.01 :odxKI4Y60
「大丈夫だぞ。自分と一緒なら、怖くないからな」
ゆっくりと貴音を抱きしめる。
貴音の身体は、自分よりも小さくて、弱々しくて。
貴音の匂いが鼻をくすぐる。
こんなに汚れているのに、いつもの、貴音の匂い。
「ひ、びき」
「なんくるないさー、だぞ。貴音」
貴音もまた、ゆっくりと、そして身体を震わせながら、抱きしめてきた。
「響、響」
「いるぞ、自分は貴音の腕の中だぞ」
「響。響、響。」
折角拭いた貴音の顔は、すでに真っ赤に染まっていた。
もう自分の赤い手で触っちゃっても、誰もわかんないよね。
「大丈夫だぞ。自分と一緒なら、怖くないからな」
ゆっくりと貴音を抱きしめる。
貴音の身体は、自分よりも小さくて、弱々しくて。
貴音の匂いが鼻をくすぐる。
こんなに汚れているのに、いつもの、貴音の匂い。
「ひ、びき」
「なんくるないさー、だぞ。貴音」
貴音もまた、ゆっくりと、そして身体を震わせながら、抱きしめてきた。
「響、響」
「いるぞ、自分は貴音の腕の中だぞ」
「響。響、響。」
折角拭いた貴音の顔は、すでに真っ赤に染まっていた。
もう自分の赤い手で触っちゃっても、誰もわかんないよね。
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:24:17.41 :odxKI4Y60
「よしよし、貴音は泣き虫さんだなぁ」
知ってたぞ。
貴音は結構泣き虫さんって事。
怖がりで、誰よりも寂しがり屋で。
なのに、皆の前では強くいようとしちゃうんだもんな。
お姉さんだからっていう、責任感もあったのかな。
「今だけは自分の方がねぇねさー」
自分もなかなか隅に置けないじゃないか。
なんたって自分、完璧だからな。
「よしよし、貴音は泣き虫さんだなぁ」
知ってたぞ。
貴音は結構泣き虫さんって事。
怖がりで、誰よりも寂しがり屋で。
なのに、皆の前では強くいようとしちゃうんだもんな。
お姉さんだからっていう、責任感もあったのかな。
「今だけは自分の方がねぇねさー」
自分もなかなか隅に置けないじゃないか。
なんたって自分、完璧だからな。
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:26:33.97 :odxKI4Y60
ぴっ。
あーあ、鳴っちゃった。
いよいよかぁ。
「貴音、顔をあげて」
ぴっ。
「ほら、もうすぐだぞ」
本当はもう少し、貴音とこうしていたかったな。
貴音をもっと、感じていたかったさー。
ぴっ。
「響も、怖いのですね」
ぴっ。
あーあ、鳴っちゃった。
いよいよかぁ。
「貴音、顔をあげて」
ぴっ。
「ほら、もうすぐだぞ」
本当はもう少し、貴音とこうしていたかったな。
貴音をもっと、感じていたかったさー。
ぴっ。
「響も、怖いのですね」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:28:07.36 :odxKI4Y60
あれ?
どうして?
ぴっ。
いつから、自分も震えていたんだろう?
「こんなはずじゃなかったんだけど」
ぴっ。
「ごめん、貴音。やっぱり、怖いんだ」
「怖い、怖いよ。嫌だ、終わっちゃう。貴音、終わっちゃう」
ぴっ。
いつの間にか、自分の方が貴音に包まれちゃってる。
「私も分かっていましたよ。響が泣き虫さんだという事を」
あれ?
どうして?
ぴっ。
いつから、自分も震えていたんだろう?
「こんなはずじゃなかったんだけど」
ぴっ。
「ごめん、貴音。やっぱり、怖いんだ」
「怖い、怖いよ。嫌だ、終わっちゃう。貴音、終わっちゃう」
ぴっ。
いつの間にか、自分の方が貴音に包まれちゃってる。
「私も分かっていましたよ。響が泣き虫さんだという事を」
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:30:45.55 :odxKI4Y60
ぴっ。ぴっ。
あれ、ばれてたのか?
自分、頑張って隠してたのになぁ。
「ああ、貴音。どうしよう。貴音」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「……ふふっ」
「っ!?」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「く、くすぐったいぞ!!貴音!!」
「ここですか?それともここですか?」
ぴっ。ぴっ。
あれ、ばれてたのか?
自分、頑張って隠してたのになぁ。
「ああ、貴音。どうしよう。貴音」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「……ふふっ」
「っ!?」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「く、くすぐったいぞ!!貴音!!」
「ここですか?それともここですか?」
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:31:57.33 :odxKI4Y60
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「やめてぇ!!脇は弱いんだって!!」
「先程のお返しですよ?ちなみに脇は誰だって弱いと思います」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「あはははは、せ、せっかく、シリアスだったのに、ひいぃ」
「響には笑顔が一番です、良い顔ですよ」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「見えないくせに!!見えないくせにぃ!!それなら、あはは、こっちだって!!」
「な、何を!!くくくっ、や、やめ」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「やめなさい!!ふふふふ、やめ、ふふっ!!」
「あはははは、く、苦しい、助けてぇ!!」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「やめてぇ!!脇は弱いんだって!!」
「先程のお返しですよ?ちなみに脇は誰だって弱いと思います」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「あはははは、せ、せっかく、シリアスだったのに、ひいぃ」
「響には笑顔が一番です、良い顔ですよ」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「見えないくせに!!見えないくせにぃ!!それなら、あはは、こっちだって!!」
「な、何を!!くくくっ、や、やめ」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「やめなさい!!ふふふふ、やめ、ふふっ!!」
「あはははは、く、苦しい、助けてぇ!!」
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:34:44.45 :odxKI4Y60
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「はぁ、はぁ、た、貴音ぇ」
「な、何でしょう、響」
「ありがとう、貴音」
「こちらこそ、感謝いたしますよ、響」
ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。ぴっ。
「はぁ、はぁ、た、貴音ぇ」
「な、何でしょう、響」
「ありがとう、貴音」
「こちらこそ、感謝いたしますよ、響」
18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:37:23.11 :odxKI4Y60
【我那覇響 死亡】
【四条貴音 死亡】
【残り 0人】
終
【我那覇響 死亡】
【四条貴音 死亡】
【残り 0人】
終
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:38:56.76 :+tlH4ky70
⁉
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:41:08.71 :ELSrFBIV0
説明よろしく
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:46:27.63 :odxKI4Y60
短く、わかりづらくてごめんなさい
765プロの面々がバトルロワイヤルに無理やり参加させられた
という設定です
短く、わかりづらくてごめんなさい
765プロの面々がバトルロワイヤルに無理やり参加させられた
という設定です
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 08:52:32.73 :odxKI4Y60
バトロワの参加者は全員、首に首輪型の爆弾を付けさせられます
一定時間毎に指定される禁止エリア内にいると、自動的に爆発する仕掛けであり
さらに、24時間一人も死者が出なかった場合
生存者全員の首輪が起爆される、と言うルールがあるのです
バトロワの参加者は全員、首に首輪型の爆弾を付けさせられます
一定時間毎に指定される禁止エリア内にいると、自動的に爆発する仕掛けであり
さらに、24時間一人も死者が出なかった場合
生存者全員の首輪が起爆される、と言うルールがあるのです
26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 09:00:15.52 :odxKI4Y60
バトロワは最終的に生き残った一人だけが生還できる
というルールなので
どうにか二人で逃げ続け、生き残っていた響と貴音はどちらかが死ななければ
ゲームが終わらなかったのです
しかし二人はどちらかが生き残るのではなく
運命を共にすることを選びました
そうして二人は最期までの時間を
バトロワ会場にある、古びた診療所で迎えた……
という感じです
バトロワは最終的に生き残った一人だけが生還できる
というルールなので
どうにか二人で逃げ続け、生き残っていた響と貴音はどちらかが死ななければ
ゲームが終わらなかったのです
しかし二人はどちらかが生き残るのではなく
運命を共にすることを選びました
そうして二人は最期までの時間を
バトロワ会場にある、古びた診療所で迎えた……
という感じです
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 09:08:03.72 :hnuT3fA10
そういやバトロワってもう知らんやつも増えたのかな
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 09:09:03.50 :odxKI4Y60
>>31
結構メジャーだと思ってたんですが……orz
>>31
結構メジャーだと思ってたんですが……orz
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 09:28:38.95 :KNE5zIOu0
かなり良かった
他に書いた奴教えてくれると嬉しい
他に書いた奴教えてくれると嬉しい
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 09:38:57.20 :odxKI4Y60
>>33
響「あれだぞ、あれ」
響「やよ・ぐりるす?」
貴音「それ以上近づくのであれば、響からあいを奪います!!」グッ
だけです
わかりづらくてすいませんでした
>>33
響「あれだぞ、あれ」
響「やよ・ぐりるす?」
貴音「それ以上近づくのであれば、響からあいを奪います!!」グッ
だけです
わかりづらくてすいませんでした
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 09:50:56.77 :FV7z2m7R0
バトロワだと示唆する言葉を少しだけでもいれて欲しかった
38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 09:57:14.69 :puz1aLP5O
血まみれ
↓
ぴ ぴ ぴ
↓
死亡
これだけで十分バトロワだと思う要素だと思うけどなー
↓
ぴ ぴ ぴ
↓
死亡
これだけで十分バトロワだと思う要素だと思うけどなー
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 10:17:21.46 :+EEiNXGf0
>>38
最後の
我那覇 死亡とか残り 0人で十分わかるよ
最後の
我那覇 死亡とか残り 0人で十分わかるよ
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/03/17(日) 10:55:11.27 :6UtTb7Hg0
古すぎて思い出せなかった






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コメント
バトロワも懐かしいなぁ…
あの「これから皆さんに殺し合いをしてもらいます」っていうセリフは中々にインパクトが強かった
2の方は正直蛇足としか思えなかったけど
ひびたか好きだなぁ。
それを察して楽しめる作品だったと思うし。