村吉（行きたいのは分かりましたが……もう少しいじって反応を見てみましょうか）

村吉「…はぁ」

野依「！？」ﾋﾞｸｯ

村吉「どっちなんですか？ 行くのか、行かないのか」

野依「～～……！」

村吉「行くんですか？」

野依「～～～……！！」

村吉「行かないんですか？」

野依「……い」



野依「いくない！」ﾌﾟﾝｽｺ

村吉（混ざった）

【野依理沙　：いつもぷんぷんしているプロ雀士。すこし口ベタ。】
【村吉みさき：いつも冷静なアナウンサー。すこし毒舌。】

村吉「行くんですね？」

野依「ん！」ｺｸｺｸ

村吉「分かりました。…しかし、その口ベタさはどうにかならないんですか？」

野依「むり！」

村吉「即答ですか…治す気ゼロじゃないですか」

野依「だ、だいじょうぶ！」

村吉「何が大丈夫なんですか」

野依「ロン・ツモ・ポンチーカンが言えればだいじょうぶな仕事だから……」

村吉（声のトーンが急に落ちた）

村吉「やっぱり気にしてるんじゃないですか、口ベタなこと」

野依「そんなことない！」ﾌﾙﾌﾙ

村吉「はぁ。大体、麻雀の試合だって終わった後に他の選手と会話する機会あるんじゃないですか？」

野依「それは……」

三尋木「あー、それは問題ないんだよねぃ」

小鍛治「おつかれさまー」

村吉「三尋木プロに小鍛治プロ。お疲れ様です……問題ない、って？」

三尋木「顔見れば何言いたいか大体分かるから」

村吉「あはは、そんな、読心術じゃないんですから……」

小鍛治「ねー。手役を読むのと同じ要領で……」

野依「は、はずかしい！」ﾃﾚﾃﾚ


　　　ｷｬｯｷｬ　　　ｳﾌﾌ


村吉（あっ、プロ特有の感覚だなこれ）

【小鍛治健夜：いつもすこやかじゃない（？）プロ雀士。すこし歳が気になる。】
【三尋木咏　：いつもひらひらしたプロ雀士。すこし針生アナが気になる。】

三尋木「それじゃ、そろそろ行こうか。良子が車出してくれるって」

小鍛治「良子ちゃんの車かー」

野依「はじめて！」ﾌﾟﾝｽｺ

小鍛治「うん、私も初めてだよ」

村吉「どんな車なんでしょうね？」

野依「スポーツカーとか！」

三尋木「いいねぇー。クールな子だし、そういうの似合いそうだねぃ」

小鍛治「ヨタハチとか？」

（（（チョイスがもうアラフォーどころの騒ぎじゃない……）））

小鍛治「？」


　※ヨタハチ：http://ja.wikipedia.org/wiki/トヨタ・スポーツ800

三尋木「…意外ともっと変化球で攻めてくるかも」

村吉「どういうことです？」

三尋木「ほら、良子ってイタコでソロモン王がどうとかって噂があるだろ？」

小鍛治「あるねー……ホントのことなのかな」

野依「ソロモン王に役満！ つよい！」ﾌﾟﾝｽｺ

三尋木「だからさ、車もそういういかにもなのだったりして」

村吉「まさかそんなことは……」



戒能「どーも、お疲れ様です」

野依「霊柩車！ すごい！」ﾌﾟﾝｽｺ

（（（まさか本当にあるなんて）））

【戒能良子：20歳の若手プロ。変幻自在なプレイが得意なルーキー。】

戒能「と見せかけて、実はこっちだったりします」

小鍛治「だ、だよね！ びっくりしたぁ……」

野依「ワンボックス！」

村吉「意外ですね。もっとカッコいい車に乗ってるイメージでした」

戒能「そうですか？」

三尋木「そーそー」

小鍛治「ヨタハチとか」

（（（引っ張る……！）））

戒能「……」


戒能「…そうですか、成程……」

（（（上手く流した！！）））

　　　ﾌﾞﾛﾛﾛﾛ......


戒能「ですが、そんなにイメージ強いですか？ スポーツカーの」

小鍛治「うん。だからワンボックス乗ってるのはホントに意外だよ」

戒能「スポーツカーって乗れる人数少ないじゃないですか。それがちょっと……」

三尋木「確かにそうだけど」

戒能「結婚して子供生まれたらすぐに乗れなくなっちゃいそうで」

三尋木「お？ 結婚願望アリかい？」

戒能「……すこしは」

小鍛治（照れてる）

三尋木「ふーん。ちなみに子供は何人希望？」

戒能「……3人」ﾎﾞｿ

小鍛治（すごく照れてる）

戒能「ところで、さっきからお二人は後ろで何してるんです？」

野依「しりとり！」

村吉「り、り……」

小鍛治「しりとりしてるみたい」

三尋木「しりとりって……」

村吉「り……リール！ どうですか、『る』で……」

野依「ルミノール！」

村吉「『る』返し！？」

小鍛治「理沙ちゃんすごいね……さっきから上手く返してるよね」

野依「得意！」ﾌﾝｽｯ

三尋木（その語彙力を何で会話に活かせないのかねぃ）

　　ｷｷｨｯ


戒能「オーケイ。着きましたよ」

三尋木「ありがとうねー」ｶﾞﾁｬ

小鍛治「運転お疲れさま」ｶﾞﾁｬ

村吉「ありがとうございました。……野依プロ？」

野依「……！！」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

村吉「……」ﾊｧ

村吉「野依プロ？ いくら口ベタでもお礼くらいは言わなきゃ……」

三尋木「あー、いや……それは……」

野依「…！」ﾀﾞﾀﾞｯ


　　ｵﾛﾛﾛﾛﾛ……


村吉（車酔いか……）

村吉「ここが小鍛治プロ行きつけの店ですか」

小鍛治「うん。すごく素敵なところなんだー」

小鍛治「シックな内装に美味しい料理、美味しいお酒……」

小鍛治「大人なお店だから楽しみにしておいてね」

三尋木「ほーん。そんじゃま、期待させてもらおうかな」

野依「おじゃまします！」ｶﾞﾗｶﾞﾗｯ




瑞原「はぁい、いらっしゃいませ☆ メイド居酒屋『HAYARI』へようこそー☆」ｷｬﾙﾝ

福与「いらっしゃいませー！」ｷｬﾙﾙﾝ

小鍛治「　　」

野依「やらしい大人のお店！」ﾌﾟﾝｽｺ

【福与恒子　：ふくよかじゃない自称スーパーアナウンサー。】
【瑞原はやり：プロ雀士しながら牌のおねえさんやってます。歳は聞いちゃダメだぞ☆】

小鍛治「こーこちゃん！ それに瑞原プロまで……！ 何やってるの！」

瑞原「ここで打ち上げするって聞いたから……ね☆」

福与「先回りとついでにドッキリ！ みたいな！」

三尋木「壁が一面ピンク……相当改装されてそうだねぃ」

戒能「テリブル……落ち着きません」

村吉「確かにこれは……　あれ、野依プロは？」


野依「ちゅうもん！」ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝ

戒能「適応してらっしゃる……！」

小鍛治「じゃあ、とりあえずビールを……ビール飲む人いる？」

村吉「あ、じゃあ私も」

小鍛治「ビール、ジョッキ2つ」

三尋木「私は焼酎もらおうかな……適当に見繕ってくれる？」

野依「あまいの！」

村吉「はいはい、カシスオレンジでいいですか」

野依「のみやすくて好き！」ﾌﾟﾝｽｺ

小鍛治「良子ちゃんはお手洗い行ってるし…とりあえずそれだけで」

福与「ふむふむ」

小鍛治「……ちゃんと覚えた？」

福与「むっ、さては私をあなどってるね！ 私の記憶力をもってすればこんなオーダーちょちょいのちょいだよ！」ﾀﾀﾀｯ



福与「……ゴメン、なんだったっけ？」ﾄﾃﾄﾃ

小鍛治「そうなるだろうと思ったよ」

福与「お待たせしましたー！」ﾄﾝｯ

小鍛治「それじゃ、今日一日お疲れさまでした」


「「「「かんぱーい！！」」」」


野依「……」ｺｸｯ ｺｸｯ...

野依「おいしい！」ﾌﾟﾝｽｺ

村吉「ふふ。良かったですね」

三尋木「お酒なんて久しぶりに飲むなぁ……あ、つまみも欲しいねぃ」

戒能「アイシー。軟骨唐揚げとかどうでしょう」

小鍛治「あとたこわさねー」

野依「……！」ﾓｼﾞﾓｼﾞ

村吉「？ 野依プロも何か？」

野依「……た……」


野依「たません！」ﾌﾟﾝｽｺ

村吉（たません……？）

瑞原「はぁい、たませんお待たせしました☆」

小鍛治「なつかしー。久しぶりにみたよ」

村吉「なんですか？ たませんって」

小鍛治「目玉焼きをえびせんべいで挟んで作るんだよ。私も昔は近所の駄菓子屋さんで作ってもらったな…」ｼﾐｼﾞﾐ

瑞原「すこやん、そんなトークしちゃ歳がバレるよ☆」

小鍛治「まだアラサーだよ！」

瑞原「それじゃ、仕上げにはやりがソースを……☆」ｶｷｶｷ

村吉「へぇ、ソースで絵を描くんですか」

野依「これがすき！」

三尋木「意外と絵上手いねぃ、はやりん」

瑞原「…出来上がり☆ 最後に……」

村吉「？ まだ何かあるんですか？」



瑞原「はやりんのらぶらぶ☆パワーでおいしくなーぁれっ☆」ｷｬﾙﾝｯ

（（（うわぁ……）））

野依「～！　～！」ｻｸｻｸﾌﾟﾝｽｺ

村吉「美味しそうに食べますね……」

瑞原「おっ☆ みさきちゃんもたません食べる？☆」

村吉「そうですね。せっかくだしいただきましょうか」

瑞原「おっけー☆ 待っててね、ソースをかけて……」

村吉「ラブラブなんとかは無しで」

瑞原「……」

瑞原「うん☆　わかったよ☆」


三尋木「待って何今の間」

野依「こわい！」

小鍛治「けど、よくこんな改装できたよね……」

福与「私の行動力あってこそだよ！」ﾌﾝｽｯ

戒能「店主の許可は取れてるんですか？」

瑞原「大丈夫☆　ばっちりだよ☆」

小鍛治「店主って……え、本当に？」ｼﾞﾄｯ

福与「意外とノリノリだったよね！」

瑞原「『好きにやってくれ』って☆」

小鍛治「…えぇー……」

三尋木「店主ってすこやんの知り合いか誰か？」

小鍛治「大沼プロだよ……」

三尋木「…えぇー……」

【大沼秋一郎：72歳のダンディなプロ雀士。解説の仕事をよくしている。】

三尋木「あの大沼プロが？ 本当に？」

瑞原「む。疑り深いなぁ……☆」

福与「じゃあ本人に直接聞いてみればいいじゃないですか！ 大沼プロー！」ﾀﾀﾀｯ

小鍛治「……呼びに行っちゃった」


村吉「よく出来てますね、このメイド服。フリルの刺繍がお見事です」

瑞原「おっ、分かるんだ☆ なにせはやりんの手作りだからね☆」

野依「手作り！ すごい！」

瑞原「けど作るの大変なんだよ☆」

村吉「でしょうね……手間かかってそうですし」

瑞原「それを3着も作ったんだから☆」ｴｯﾍﾝ

村吉「3着も！ それは大変で……」


村吉（……3着…！？）

>>41
×：瑞原「おっ、分かるんだ☆ なにせはやりんの手作りだからね☆」
○：瑞原「おっ、分かるんだ☆ なにせはやりの手作りだからね☆」

村吉「あの、3着って……」

瑞原「ん？☆ はやりの分でしょー☆ こーこちゃんの分でしょー☆ それに……」

福与「大沼プロ連れて来たよー！」

小鍛治「大沼プロ！ 本当にこんなの許可したんで……す……」



大沼「あー……」


「「「・　・　・　・　・　・」」」


戒能「……ジーザス」

三尋木「あーっはっはっはっは！！！」ｹﾞﾗｹﾞﾗｹﾞﾗ

小鍛治「ちょっ、咏ちゃん失礼だよ！」

三尋木「いや、でもこれは……」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

三尋木「……ぶっ！ だーっはっはっは！！」ﾊﾞﾝｯﾊﾞﾝｯ

村吉「なんでメイド服着せちゃうんですか！」

福与「私たちだけメイド服着てひとりだけ、ってのはひどいと思って……」

村吉「こんなの着せる方がよっぽどひどいです！ ほら、大沼プロも何とか言ってください！」

大沼「……あー」


大沼「悪い気はしない…な……」

村吉（意外とノリノリでいらっしゃる！）

小鍛治「はぁ……年長者にこんなことさせて……」

福与「けどすこやん、メイド服着せたのは私たちの独断じゃないんだよ？」

小鍛治「へ？ 他に一体誰が関わってるの？」

福与「んー…人っていうか……。はやりん、言っちゃってもいいと思う？」

瑞原「口止めはされてないし☆ いいんじゃないかな☆」

福与「それもそっか。実はガルビーからの依頼でさ」

小鍛治「ガルビー……あ、まさか」

福与「プロ麻雀せんべいのレアカードの写真用に」

小鍛治「うわぁ……」

三尋木「…ふぅ。だいぶ酔いが回って来たかな」

野依「うー……みさき！」

村吉「突然の名前呼びですか！？」

野依「おやすみー……」ｺﾞﾛﾝｯ

村吉「…まったく、もう……」

小鍛治「と悪態つきつつちゃんと膝枕してあげるんだね」

村吉「いや……まぁ」

三尋木「アツいねぇ～。ひゅーひゅー」

村吉「そんなのじゃありませんから！」

三尋木「そう言いながら顔は赤くなってんぜ？」

村吉「！？ そ、そんなことないです！ ほらっ、起きてください！」ﾊﾞｼﾝｯ　ﾊﾞｼﾝｯ

野依「！？ い、いたい！？」

村吉「そういえば。ごめんなさい、戒能プロ」

戒能「？ ワッツアップ？」

村吉「私たちだけお酒飲んじゃって。戒能プロはドライバーだから飲めないのに……」

村吉「……」


村吉「すごい勢いで飲みまくってるじゃないですか！ なんですかその空き瓶の山！」

戒能「小鍛治プロの言ってた通りでしたね。普段見ないようなお酒ばかりでしたよ」

村吉「帰りどうするんですか！ 誰も運転できませんよ！」

戒能「ドンウォーリー。酔いを誰かに移せば大丈夫ですから」

三尋木「便利だよねぃ、それ」

小鍛治「えー、もしかしてまた私に移すの……？」


村吉（何を言ってるのか理解できない……）

村吉「どういう意味ですか、酔いを移すって」

戒能「そのままですよ。体内のアルコール分を他人に移すんです」

村吉「いやいや、そんなこと出来るわけ……」

戒能「なんでしたら実際にやってみましょうか」

小鍛治「……で、どうして私の方を見るのかな？」

三尋木「だいじょぶだいじょぶ、すこやんアルコール強いし」

小鍛治「ムリムリムリ！ 良子ちゃんの飲むお酒アルコール度数ひどいんだもん！ ウォッカ並だよ！？」

戒能「……ハァッ！！」ｶｯ

小鍛治「やめてやめてやめ―――」



小鍛治「―――と、といれ……！！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ


　　ｵﾛﾛﾛﾛﾛ……


村吉（…本当に何者ですか、戒能プロ……）

小鍛治「うう……まだ気持ち悪い」

三尋木「だいぶ顔色良くなったよ。さすがだねぃ」

野依「……！」

小鍛治「…あ、うん。大丈夫だよ。気遣ってくれてありがとね」

野依「！ うん！」

村吉「……本当に意思疎通できるんですね」

野依「えっへん！」

村吉「でもその口ベタは本当に直さなきゃですよ」

野依「！？」ｶﾞﾝｯ

三尋木「でも今のところ困ることはないし、問題ないんじゃないかねぃ」

村吉「…野依プロ、ひとりで買い物できます？」

野依「それくらいできる！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝｯ

小鍛治「……うーん」ｼﾞｰ

野依「ひどい！？」ｶﾞｶﾞﾝｯ

三尋木「んー……じゃ、試してみよっか」

戒能「試す、というと？」

三尋木「すぐそこにコンビニあったよね？ そこで私たちが指定したものを買ってきてもらおう」

福与「おおっ、面白そう！」

瑞原「私も混ざっていいかな☆」

三尋木「よーし、どんと来い！」



三尋木「オーケー、それじゃこの紙に書いてあるの買ってきてね」

福与「頑張ってくださいね！」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝｯ

野依「いってきます！」ﾄﾃﾄﾃ

「「「……」」」


福与「監視カメラセット完了しました！」ｸﾞｯ

三尋木「よくやったこーこちゃん！」ｸﾞｯ

福与「映像入りまーす！」ｶﾀｶﾀｯ

村吉「きょろきょろしてますね……あ、コンビニ見つけたみたい」

戒能「ちなみにこれもネットに？」

福与「もちろん！ ばっちり生放送中だよ！」

瑞原「割とはっきりした映像だね☆ さすがこーこちゃん☆」

福与「伊達にすこやん盗撮してませんからねー」ﾌﾌﾝｯ

瑞原「だよねー☆」ｹﾗｹﾗ

小鍛治「コンビニの中入っていくみたいだね……」



小鍛治「待って、さっき聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど！」

福与「まず最初は……ガムですね」

戒能「私の指示ですね。何も迷うことなく取れたあたり、本当に買い物したことはあるようですね」

福与「次はのど飴取りましたね」

瑞原「あ、私の☆ ほら、アイドルは喉が命だから☆」

福与「酒やけしちゃったりしたら大変ですからねー」

瑞原「うんうん☆ 大変だよ、ホントに……☆」

村吉（アイドルはそもそも酒やけするほどお酒飲まないんじゃ）

瑞原「そんなことないよ☆ アイドルだってたまにはお酒も飲むよ☆」ﾆｯｺﾘ

村吉「そうなんですか……」

村吉「……」


村吉（心を読まれた！？）

福与「お茶ですね……これは誰の？」

大沼「……俺、だな」

村吉（参加してたんですか）

福与「これで残すところは私と村吉アナの指示だけですね」

小鍛治「こーこちゃんは何を頼んだの？」

福与「ふっふっふ……知りたい？」

瑞原「なになに？☆ もしかして大人の……きゃー☆」

戒能「ノーウェイノーウェイ……そんなのネットに流せませんよ」

福与「ふふふ……私が頼んだのは！」


福与「……乾電池！」

小鍛治（地味に見つけづらい物を……！）

福与「HEHE……案の定見つけられないみたいですね」

戒能「あ。視界に店員さんが入りましたね」

福与「さー、果たして野依プロは乾電池の場所を聞くことが出来るのか！？」


野依『……！！』ﾓｼﾞﾓｼﾞ

　　『…？ お客様、どうなさいましたか？』

野依『…で……』

　　『で……？』



野依『でん゛っ』

野依『……！！』ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ


（（（舌噛んだ……！）））

　　『お、お客様……？』

野依『……で、でんひ……』ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

　　『あ、電池ですか。それでしたらこちらになります』


三尋木「おー。なんとか言えたねぃ」

戒能「グレイト、根性見せましたね」

福与「さー、これで残るは村吉アナの指示のみ……あれ？」


　　『単三型と単二型、単一型がありますが』

野依『！？ ……ぜんぶ！』

　　『メーカーは？ バナゾニックにゾニーに……』

野依『ぜ、ぜんぶ！』ｱﾜｱﾜ


大沼「…成程。電池としか書いていなかったのか」

三尋木「ちゃんとお金はあとで払わなきゃだぜ、こーこちゃん？」

福与「……」ﾀﾗｰ

福与「残すは村吉アナのものだけ！」

小鍛治「…あれ？ そのままレジ向かってくね」


　　『いらっしゃいませー！』

野依『……！』

　　『…が一点、…が一点。以上で4235円になります！』

野依『……』ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

野依『…』ｽｯ

　　『はい、5000円お預かりします！ おつりが……』

野依『……！！』ﾀﾞﾀﾞｯ


福与「は！？ えっ、ちょっ、野依プロ！？」

戒能「あ、戻ってきましたね」

野依「……！！」ﾊｧｰｯ ﾊｧｰｯ

小鍛治「お疲れ様、理沙ちゃん」

野依「…ひ、ひどい！！」ﾋﾞｼｯ

村吉「ひどいって…普通の指示だったじゃないですか」

野依「あんなのずるい！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝｯ

三尋木「みさきちゃん、一体何を……？」

村吉「唐揚げです」

三尋木「あー、ホットスナック……」

村吉「ね？ やっぱりその口ベタ、治さなきゃですよ」

野依「むむ……」

村吉「野依プロの意思を読み取ってくれるのだって一部の人だけじゃないですか」

三尋木「それは確かにあるねぃ。付き合い浅いプロだとこうはいかないみたいだし」

村吉「ですよね。海外遠征とかあったらもうどうしようもないじゃないですか」

小鍛治「あれ？ でも理沙ちゃん、この前カリフォルニアまで遠征行ってなかったっけ？」

村吉「…え？ 本当ですか？」

瑞原「あったねー☆ 西アメリカのフリースタイルコンテスト☆」

村吉「その時はどうしてたんですか……」


野依「良子がついてきてくれた！」ﾌﾟﾝｽｺ

戒能「お恥ずかしながら……」

村吉「わざわざアメリカまで！？」

村吉「どれだけ人に迷惑かけてるんですか、あなたは……」

野依「……迷惑？」

戒能「そんなことは……」

瑞原「野依プロに付いていくために若葉戦の出場捨ててるもんね☆」

戒能「あ、黙っててくださいって言ったのに……！」

村吉「そうなんですか！？」

戒能「…野依プロが異国で困ってるのを想像したら放っておけず……」

野依「ごめんなさい」ｼｭﾝ

村吉「ね。ちょっとずつでいいですから、私と治していきませんか？」

野依「……」


野依「…やだ！」

村吉「そこはイエスじゃないんですか！？」ｶﾞﾝｯ

野依「みさきこわい！ きびしそう！ からあげ女！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝｯ

村吉「からあげ女って……」

野依「……！」ﾌﾟﾝｯ

恒子「あーあ。村吉アナがいじわるするからすねちゃったじゃないですか」

村吉「私のせいですか！？」

小鍛治「どうするの？ あれじゃ理沙ちゃん、こっちの話聞いてくれないよ？」

村吉「なんとか野依プロをその気にさせられれば良いのですが……」

瑞原「……よし☆ それじゃ、おねえさんが一肌脱いじゃおっかな☆」


三尋木「え、はやりん脱ぐの……？」

戒能「ジーザス……無理はしない方が……」

瑞原「うん、その脱ぐじゃないからね☆ あと無理はしない方がってどういう意味かな？☆」

恒子「どうやって説得するんでしょうね」

三尋木「そりゃムダに長く生きてて人生経験豊富なはやりんだからねぃ。きっと上手く丸め込んで……」

瑞原「誰が人生経験豊富だって？☆」ﾆｺ

三尋木「あ、いや冗談冗談……」

瑞原「まったく……」


瑞原「みさきちゃんと口ベタ治すの頑張るなら毎日たません作ってあげるよ☆」

野依「！ がんばる！！」ﾌﾟﾝｽｺ

村吉「あっさり懐柔！？」



【村吉さんといっしょにがんばっていこうね、野依さん☆】

おしまいです
のよりんのかわいさはもっと万人に知れ渡るべきだと思います