凛「違う、これは違うの」

光「そうだ、違うんだぞ！　凛は悪の道に墮ちたわけじゃない！」

Ｐ・凛「そっち！？」

光「今度出ることになった映画の役作りなんだ！」

Ｐ「ああ、あれか。端役とはいえ、初めての映画出演だからな」

光「とても嬉しいよ！　なんといってもヒーローになれるんだから！」

Ｐ「それで、役作りを凛に手伝ってもらってたのか」

凛「そういうこと」

Ｐ「でも、光はともかく凛もノリノリだったじゃないか」

凛「そ、そんなことはないって」

Ｐ「衣装だって露出度が高めだし」

凛「とりあえずこの事務所にあるもので、それっぽいのを適当に選んだだけ」

Ｐ「台詞もなかなか雰囲気があったように思うぞ」

凛「あの部分は蘭子ちゃんに考えてもらったから」

Ｐ「蘭子も協力してるのか」

光「凛のリンリンと同じように悪の女幹部ランランになってもらう予定だったんだけど、

　　急に仕事が入ったから」

Ｐ「ランランとリンリンってパンダか、はたまた香港出身の偉大な先輩じゃないんだから」

――――――――

【どこかの女子寮の片隅】

ｆｆｄｙ「呼ばれた気がしたヨー！」ｶﾞﾀｯ

――――――――

凛「そうだ！　プロデューサーも手伝ってよ！」

Ｐ「えー、確かに今日はもう特に仕事は無いけどさ」

光「決まりだね！　じゃあ着替えて怪人になってきてよ！」

Ｐ「といってもな、俺が着られる衣装はあまり無いな。

　黒色の全身タイツか。怪人というより芸人だけどまあいいか。

　こいつにグラサンを合わせれば少しはマシかな」

…………

Ｐ「準備できたぞー」

凛・光「うわあ……」

光「まるで下っぱの戦闘員だな！」

凛「あるいはコ○ンの犯人ね」

Ｐ「しかたないだろ。衣装が無いんだから」

光「大丈夫だよ……多分。とにかく始めよう！　プロデューサーはリンリンの部下ということで！」

Ｐ「分かった」

…………

光「くっ、卑劣なっ！　リンリンめ！」

凛「この状況では何を言っても負け犬の遠吠え。

　　さようなら、ルークス、いや、南条光。さあ、漆黒の闇に沈むがよい！

　　ピー・ノワールよ、とどめを刺しておしまい！」

Ｐ「ピー！」

光「なにをっ、負けるもんか！　必殺技だ！　ヴィラーゴー・パルヴァ！！」ﾄﾞｺﾞｫ

Ｐ「ピ、ピーッ！　うわっ」ﾂﾙｯ

光「えっ」

Ｐ「あっ、やばっ。バランスが」

早苗「うーん、お花見は楽しかったけど、一張羅の評判が悪かったのは残念だったなー」

ｶﾞﾁｬｯ

早苗「おっはよー……」


光「わ、わっ！」

Ｐ「す、すまんっ！」


早苗「」

早苗（あわわ、社長じゃない黒ずくめの不審者が光ちゃんに抱きついてる。シメなきゃ）ｽｯ


――――――――

後に光は語った

光「やっぱり本物の正義の味方だった人にはかなわないな！」

――――――――

Ｐ「うう、ひどい目に遭った」

光「プロデューサーが突然倒れてきたからびっくりしたよ！」

凛「半ば自業自得ね」

早苗「ごめんね。お姉さん久しぶりに本気出しちゃったから。でもよく内臓破裂しなかったね」

Ｐ「なんか怖いこと言ってる……忘れよう」

早苗「小粋なジョークだからね。本気にしないの」ｼﾞﾄｰ

…………

光「うーん、早苗さんはヒーロー向きなんだが、今回はアタシがヒーローだから

　悪いけど、リンリンとプロデューサーに襲われている一般人の役をやってくれないか？」

早苗「いいわよ。お姉さん頑張っちゃうんだから！」

光「よし、始めっ！」

凛「フフフ、ルークス・ナンジョーよ、この人質を見ても強がれるかな？」

Ｐ「ピーッ！！」

早苗「きぃゃぁ～、たぁすぅけぇてぇ～！　怖いよぉ～！」ｸﾈｸﾈｷｬﾋﾟｰﾝ

光「……」

凛「……」

Ｐ「……」

光「……早苗さん、いい年した人には下らないお遊びに見えるかもしれないけど

　アタシたちは純粋に真剣にやってるんだ！　頼むからふざけないでくれっ！」

早苗「」

光「テイク２！」

凛「ククク、ルークス・ナンジョーよ、この人質を見ても強がれるかな？」

早苗「えぐっ、えぐっ……」

Ｐ「ピピーッ！！（早苗さんマジ泣きしてないか？　……演技ではなくて）」

光「くっ、卑劣なっ！　リンリンめ！」

凛「この状況では何を言っても負け犬の遠吠え。

　　さようなら、ルークス、いや、南条光。さあ、漆黒の闇に沈むがよい！

　　ピー・ノワールよ、とどめを刺しておしまい！」

Ｐ「ピーッ！」

光（くっ。だが奴らは油断しているはずだ。そこを一気に突く！）

光「……見えたっ！　くらえヴィラーゴー・パルヴァ！」ﾄﾞｺﾞｫ

Ｐ「ピ、ピーッ！　うわっ」ｶﾞｯ

光「えっ」

Ｐ「あっ、やばっ。バランスが。なんでこんなとこに七輪とスルメが」

真奈美「今日のレッスンは非常にためになったな。この感覚を忘れないようにしたいものだ」

ｶﾞﾁｬｯ

真奈美「レッスンから戻った」


光「わ、わっ！」

Ｐ「す、すまんっ！」

早苗「ひぐっ、ひぐっ、ふがっ」


真奈美「」

真奈美（社長じゃない黒ずくめの暴漢があの早苗を泣かし、光を押し倒している。始末せねば）ｽｯ


――――――――

後に光は語った

光「この事務所にはヒーローが何人いるんだ！？」

――――――――


おしまい

☆おまけ

幸子「プロデューサーさん、どうせ今度のオフは独り寂しく過ごすんでしょう。

　　ボクはカワイイから、そんな哀れなプロデューサーさんでも一緒に映画に行ってあげますよ」

Ｐ「素直に誘ってくれれば、もっとカワイイんだけどな。で、何の映画だ？」

幸子「これです。貰い物の券があるので」

Ｐ「おっ、これは光の出たやつだな。まだ観てなかったし、ちょうどいいから一緒に行くか」

幸子「えっ、南条さんが出た映画ってこれなんですか！？

　　……でも、これ、恋愛映画ですよ？」

【後日 / 映画館】

Ｐ「……」

幸子「……」

男『大学に入れたのに、俺はいつも寂しく部屋でぼっち。勉学にも身が入らねえし

　こうしてテレビをだらだら観るかフィギュアを眺めるだけの学生生活か……』

Ｐ（ほら、今、光が出た！）ﾋｿﾋｿ

幸子（えっ、どこですか？　全く分かりませんでしたよ）ﾋｿﾋｿ

Ｐ（男が観てるテレビに一瞬映ってただろ？）ﾋｿﾋｿ

幸子（分かるわけないじゃないですか）ﾋｿﾋｿ

――――――――

後に光は語った

光「一瞬でも一秒でも熱く輝くのがヒーローだ！」

――――――――

…………

男『だが、留学生のあの娘と出会ってから俺の人生は大きく変わった』

菲菲『ほらほら、デートはまだ始まったばかりヨー！』

…………

男『うるせぇっ、愛に国籍も民族も無いっ！』

菲菲『ゴメン、ワタシ、実は……』

…………

男『それでも、お前がっ、一番なんだっ！」

菲菲『男さん、大馬鹿者ヨ！　そんな男さん愛したワタシもっと大馬鹿者ヨ！！」ｴｸﾞｯｴｸﾞｯ

幸子「いい映画でしたね」

Ｐ「ちょっとベタすぎるけどな。だからこそ素晴らしいとも言えるが」

幸子「いつかボクも……ﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰｻﾝﾄ……」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ

Ｐ「ん、なんだ？　……ああ、ごめんな。俺の実力が足りないせいで、映画の主役にしてやれなくて」

幸子「もう！　そうじゃなくて……。でもＣＤデビューが決まって本当に嬉しいんですよ。

　　それこそプロデューサーさんのおかげです！」

Ｐ「ありがとう！　やっぱり幸子はカワイイな！」


幸子カワイイＥＮＤ

☆蛇足

光「ルークス（lux）はラテン語で光、ヴィラーゴー・パルヴァ(virago parva)はラテン語で

　（女性の）小さな英雄という意味だぜ！　千夏に教わったんだ！」

読んでくれてありがとうございます

しぶりんが可愛いＳＳを書こうとしたらなぜかこうなりました