1: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 00:46:25.17 :bW/HsJCA0
プロデューサーさん。
初めて出会った日のことを、あなたは覚えていますか。
私は、なんだかプロデューサーさんが居る、ということが恥ずかしくて、ずっとおかしなテンションでした。
プロデューサーさん。
初めて出会った日のことを、あなたは覚えていますか。
私は、なんだかプロデューサーさんが居る、ということが恥ずかしくて、ずっとおかしなテンションでした。
2: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 00:48:03.15 :bW/HsJCA0
事務所に入って、珍しく給湯室に居る社長に社長室に入るように言われた。
中には、見知らぬ男の人がひとり。
私を見て立ち上がって、目の前にやってくる。
P「天海春香さん」
春香「は、はい……」
P「今日から、君のプロデューサーになる。――だ、よろしくな」
春香「はいっ! よ、よろしくお願いしますっ!」
P「あはは……そんなに緊張しなくてもいいんだぞ?」
春香「ご、ごめんなさいっ」
事務所に入って、珍しく給湯室に居る社長に社長室に入るように言われた。
中には、見知らぬ男の人がひとり。
私を見て立ち上がって、目の前にやってくる。
P「天海春香さん」
春香「は、はい……」
P「今日から、君のプロデューサーになる。――だ、よろしくな」
春香「はいっ! よ、よろしくお願いしますっ!」
P「あはは……そんなに緊張しなくてもいいんだぞ?」
春香「ご、ごめんなさいっ」
3: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 00:50:04.84 :bW/HsJCA0
オーディションに出たり、営業したり、いろいろ。
1ヶ月後ぐらいに、喜ぶあなたの姿。
P「春香、雑誌に載ってるぞっ」
春香「ほんとですかっ!?」
P「ほら、ここ」
あなたが指さしたのは、たった1ページの中、数行の文字と小さい写真のミニコラム。
春香「わぁっ、初めての記事です!」
それがたまらなく嬉しかった。アイドル候補生から、アイドルになれたんだ……って思いました。
P「やったなっ」
春香「はいっ!」
プロデューサーさんに頭を撫でてもらうことが、とっても好きで。
オーディションに出たり、営業したり、いろいろ。
1ヶ月後ぐらいに、喜ぶあなたの姿。
P「春香、雑誌に載ってるぞっ」
春香「ほんとですかっ!?」
P「ほら、ここ」
あなたが指さしたのは、たった1ページの中、数行の文字と小さい写真のミニコラム。
春香「わぁっ、初めての記事です!」
それがたまらなく嬉しかった。アイドル候補生から、アイドルになれたんだ……って思いました。
P「やったなっ」
春香「はいっ!」
プロデューサーさんに頭を撫でてもらうことが、とっても好きで。
4: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 00:54:14.65 :bW/HsJCA0
最初は小さいお仕事ばかりだったけど、やがて大きなお仕事が入ってきて。
あなたと会える時間も、少なくなって行きました。
朝の事務所では、
P「美希、響、準備しろー」
美希「りょーかいなの」
響「眠いぞ……」
P「ほら、目に水つけろ」
響「んー……」
P「よし……千早、次のレコーディングだけどな」
千早「はい」
P「場所は西池袋のスタジオで、時間は……」
千早「表現は――」
P「声を抑えて――」
大勢のアイドルを抱えるプロデューサーさんと、話す時間なんてありません。
最初は小さいお仕事ばかりだったけど、やがて大きなお仕事が入ってきて。
あなたと会える時間も、少なくなって行きました。
朝の事務所では、
P「美希、響、準備しろー」
美希「りょーかいなの」
響「眠いぞ……」
P「ほら、目に水つけろ」
響「んー……」
P「よし……千早、次のレコーディングだけどな」
千早「はい」
P「場所は西池袋のスタジオで、時間は……」
千早「表現は――」
P「声を抑えて――」
大勢のアイドルを抱えるプロデューサーさんと、話す時間なんてありません。
6: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 00:58:44.72 :bW/HsJCA0
私はプロデューサーさんとみんなの声をBGMに、
雑誌のコラムを小鳥さんの横で書きます。
最初に担当した私は、セルフプロデュース。
俺がいなくても大丈夫だ、って。
春香「……大丈夫じゃ、ありませんよ」
小鳥「え? 何か言った?」
春香「へっ? あ、いや……なんでも、ありません」
プロデューサーさんを見る。
とっても真っ直ぐな瞳。
P「――――高音を――」
千早「――続けて――――」
春香「……」
どうしても、意識してしまって。
私はプロデューサーさんとみんなの声をBGMに、
雑誌のコラムを小鳥さんの横で書きます。
最初に担当した私は、セルフプロデュース。
俺がいなくても大丈夫だ、って。
春香「……大丈夫じゃ、ありませんよ」
小鳥「え? 何か言った?」
春香「へっ? あ、いや……なんでも、ありません」
プロデューサーさんを見る。
とっても真っ直ぐな瞳。
P「――――高音を――」
千早「――続けて――――」
春香「……」
どうしても、意識してしまって。
7: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:03:57.64 :bW/HsJCA0
あなたと話ができるのは、週に1度の簡単なミーティング。
私、そのためにお仕事、頑張ってるんだと思います。
もちろん、歌うことも、踊ることも大好きです。
でも……褒めて欲しい。なででほしい。何かをするごとに、プロデューサーさんを求める自分がいて。
P「おっす、春香」
春香「こんにちは、プロデューサーさん」
テレビ局のロビー。
いつも会う場所を決めて、そこからお店に移動します。
P「行こうか」
春香「はい」
プロデューサーさんが何気なく差し出す手を、ぎゅっ……と。
出来るのなら、もう永遠に離したくない。それぐらい、強く、強く。
あなたと話ができるのは、週に1度の簡単なミーティング。
私、そのためにお仕事、頑張ってるんだと思います。
もちろん、歌うことも、踊ることも大好きです。
でも……褒めて欲しい。なででほしい。何かをするごとに、プロデューサーさんを求める自分がいて。
P「おっす、春香」
春香「こんにちは、プロデューサーさん」
テレビ局のロビー。
いつも会う場所を決めて、そこからお店に移動します。
P「行こうか」
春香「はい」
プロデューサーさんが何気なく差し出す手を、ぎゅっ……と。
出来るのなら、もう永遠に離したくない。それぐらい、強く、強く。
8: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:08:48.01 :bW/HsJCA0
静かな雰囲気の喫茶店。
裏道にあるこのお店では、変装用のメガネと帽子を、外すことが出来ました。
P「……どうだ、調子は」
アイスコーヒーを注文したあなたは、必ず私にそう聞くんです。
春香「……まあ、ぼちぼちですかね」
私も、アイスミルクティーを注文して、こう答えます。
P「春香」
春香「……はい」
P「今、春香はセルフプロデュースをしてるだろ」
春香「はい」
といっても、律子さんがよく助けてくれる。
言うほど大変なことでもなかった。
静かな雰囲気の喫茶店。
裏道にあるこのお店では、変装用のメガネと帽子を、外すことが出来ました。
P「……どうだ、調子は」
アイスコーヒーを注文したあなたは、必ず私にそう聞くんです。
春香「……まあ、ぼちぼちですかね」
私も、アイスミルクティーを注文して、こう答えます。
P「春香」
春香「……はい」
P「今、春香はセルフプロデュースをしてるだろ」
春香「はい」
といっても、律子さんがよく助けてくれる。
言うほど大変なことでもなかった。
9: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:15:35.05 :bW/HsJCA0
P「俺さ、もうすぐ春香の担当に戻れそうなんだよ」
春香「……え?」
P「みんなもある程度仕事をもらえてきたからさ、春香についても大丈夫だな、って」
プロデューサーさんは照れ笑いをする。
春香「嬉しいです……また、よろしくお願いします」
礼をした。
P「よろしくな、春香」
春香「あの、いつからなんですか?」
P「……そうだな、俺は来週ぐらいから戻りたいと思ってるんだけど……」
春香「忙しいんじゃ……」
P「多分、3週間後ぐらいになるかな……」
春香「そ、そうですよね……」
P「俺さ、もうすぐ春香の担当に戻れそうなんだよ」
春香「……え?」
P「みんなもある程度仕事をもらえてきたからさ、春香についても大丈夫だな、って」
プロデューサーさんは照れ笑いをする。
春香「嬉しいです……また、よろしくお願いします」
礼をした。
P「よろしくな、春香」
春香「あの、いつからなんですか?」
P「……そうだな、俺は来週ぐらいから戻りたいと思ってるんだけど……」
春香「忙しいんじゃ……」
P「多分、3週間後ぐらいになるかな……」
春香「そ、そうですよね……」
10: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:17:31.46 :bW/HsJCA0
それでも、プロデューサーさんが私の担当に戻ってくれる。
すごく、嬉しかったんです。
春香「よろしくお願いします、プロデューサーさん」
P「おう、よろしくな!」
その後、2人でコーヒーとアイスティーを交換して飲んだり、
最近あった面白いことを話したり。
また頑張ろう、って思えました。
だからこそ、私……。
頑張りすぎたんだって言われました。
それでも、プロデューサーさんが私の担当に戻ってくれる。
すごく、嬉しかったんです。
春香「よろしくお願いします、プロデューサーさん」
P「おう、よろしくな!」
その後、2人でコーヒーとアイスティーを交換して飲んだり、
最近あった面白いことを話したり。
また頑張ろう、って思えました。
だからこそ、私……。
頑張りすぎたんだって言われました。
11: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:21:52.58 :bW/HsJCA0
その丁度1週間後の土曜日のお昼、テレビの収録が終わって。
楽屋で荷物整理をしている途中、急に目の前が真っ暗になったんです。
体調が万全になるまで活動休止。大事を取って、3日入院。
律子さんと小鳥さんに、そう言われちゃいました。
千早「春香は、頑張りすぎだと思うわ」
美希「そうだよ、もっと余裕を持たないと今度は命も危ないの」
春香「あはは……」
千早ちゃんと美希がお見舞いに来て、心配をしてくれました。
他のみんなも、いろいろな見舞い品を持ってきてくれて。
千早「それにしても……すぐに退院するというのに、見舞い品が多いわね」
美希「このお茶っ葉は雪歩だよね? それで、ラーメンの……ストラップ?」
春香「貴音さんだよ」
美希「予想はついたの」
その丁度1週間後の土曜日のお昼、テレビの収録が終わって。
楽屋で荷物整理をしている途中、急に目の前が真っ暗になったんです。
体調が万全になるまで活動休止。大事を取って、3日入院。
律子さんと小鳥さんに、そう言われちゃいました。
千早「春香は、頑張りすぎだと思うわ」
美希「そうだよ、もっと余裕を持たないと今度は命も危ないの」
春香「あはは……」
千早ちゃんと美希がお見舞いに来て、心配をしてくれました。
他のみんなも、いろいろな見舞い品を持ってきてくれて。
千早「それにしても……すぐに退院するというのに、見舞い品が多いわね」
美希「このお茶っ葉は雪歩だよね? それで、ラーメンの……ストラップ?」
春香「貴音さんだよ」
美希「予想はついたの」
12: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:25:02.80 :bW/HsJCA0
退院の日の朝。
迎えに来てくれたのは、プロデューサーさんでした。
P「よう」
春香「プロデューサーさん……おはよう、ございます」
P「おはよう、もう昼になるけどな」
お母さんは家で待ってるから、早く会いに行こう、と笑っていました。
春香「あの、プロデューサーさん」
P「ん?」
春香「歩きたい場所があるんです。……付き合ってくれませんか?」
P「ああ……いいぞ」
プロデューサーさんの顔を見て、ずっと貯めこんできた感情が爆発しそうになって。
つい、変な提案をしてしまいました。
退院の日の朝。
迎えに来てくれたのは、プロデューサーさんでした。
P「よう」
春香「プロデューサーさん……おはよう、ございます」
P「おはよう、もう昼になるけどな」
お母さんは家で待ってるから、早く会いに行こう、と笑っていました。
春香「あの、プロデューサーさん」
P「ん?」
春香「歩きたい場所があるんです。……付き合ってくれませんか?」
P「ああ……いいぞ」
プロデューサーさんの顔を見て、ずっと貯めこんできた感情が爆発しそうになって。
つい、変な提案をしてしまいました。
13: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:28:13.80 :bW/HsJCA0
まだ肌寒い空気が、街を覆っています。
並木道を、ゆっくりと歩いて……手を繋ぎました。
P「なあ、春香」
春香「はい」
プロデューサーさんは右手で頬をかきながら、
P「本当にここでいいのか?」
春香「はい、ずっとここに来たかったんです」
P「そっか」
2人で空を見上げると、木の枝の間から見える、雲ひとつない青い空。
春香「あの、プロデューサーさん」
P「どうした?」
プロデューサーさんの方を向いて、口をゆっくりと動かしました。
春香「初めて出会った日のことを、覚えてますか?」
まだ肌寒い空気が、街を覆っています。
並木道を、ゆっくりと歩いて……手を繋ぎました。
P「なあ、春香」
春香「はい」
プロデューサーさんは右手で頬をかきながら、
P「本当にここでいいのか?」
春香「はい、ずっとここに来たかったんです」
P「そっか」
2人で空を見上げると、木の枝の間から見える、雲ひとつない青い空。
春香「あの、プロデューサーさん」
P「どうした?」
プロデューサーさんの方を向いて、口をゆっくりと動かしました。
春香「初めて出会った日のことを、覚えてますか?」
14: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:31:16.08 :bW/HsJCA0
P「忘れないよ、大切な日だから」
春香「私、すごく緊張してて」
P「緊張のあまり、ずっと変な笑顔だったよ」
春香「そ、そうでしたか?」
プロデューサーさんは笑う。
P「その時から、俺はこの女の子をトップアイドルにするんだ……ってずっと思ってきたよ」
春香「トップアイドル……」
P「自然な笑顔をファンに贈ることの出来る、トップアイドルに」
散った桜の花びらが、地面に敷き詰められている。
P「忘れないよ、大切な日だから」
春香「私、すごく緊張してて」
P「緊張のあまり、ずっと変な笑顔だったよ」
春香「そ、そうでしたか?」
プロデューサーさんは笑う。
P「その時から、俺はこの女の子をトップアイドルにするんだ……ってずっと思ってきたよ」
春香「トップアイドル……」
P「自然な笑顔をファンに贈ることの出来る、トップアイドルに」
散った桜の花びらが、地面に敷き詰められている。
15: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:34:14.53 :bW/HsJCA0
P「どうしてそんなことを聞いたんだ?」
春香「いえ……なんでも、ないです」
P「え?」
春香「あの、プロデューサーさん」
P「……」
なにか言いたげにしていたあなたの言葉を遮って、私は。
春香「私、アイドルとしてお仕事を始めてから、ずっと頭から離れないことがあるんです」
P「……ああ」
春香「一言、言ってしまえばそれで私は満足なんです。でも、言えば今までの関係が、崩れるかもしれなくて」
伝えたい言葉ほど、後回しにしちゃって。
P「どうしてそんなことを聞いたんだ?」
春香「いえ……なんでも、ないです」
P「え?」
春香「あの、プロデューサーさん」
P「……」
なにか言いたげにしていたあなたの言葉を遮って、私は。
春香「私、アイドルとしてお仕事を始めてから、ずっと頭から離れないことがあるんです」
P「……ああ」
春香「一言、言ってしまえばそれで私は満足なんです。でも、言えば今までの関係が、崩れるかもしれなくて」
伝えたい言葉ほど、後回しにしちゃって。
16: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:37:18.34 :bW/HsJCA0
立ち止まる。
プロデューサーさんも、歩くのを止めた。
春香「いけない、っていうのは分かってるんです」
P「…………」
春香「でも、私……うまく言えないけれど、伝えなきゃいけないと、思うんです」
P「……」
春香「プロデューサーさん」
P「……はい」
見上げる。随分と身長差があって。
春香「好きです」
うまく言えないけど、溢れてくる。
ずっと秘めていた思いが。
立ち止まる。
プロデューサーさんも、歩くのを止めた。
春香「いけない、っていうのは分かってるんです」
P「…………」
春香「でも、私……うまく言えないけれど、伝えなきゃいけないと、思うんです」
P「……」
春香「プロデューサーさん」
P「……はい」
見上げる。随分と身長差があって。
春香「好きです」
うまく言えないけど、溢れてくる。
ずっと秘めていた思いが。
17: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:43:12.53 :bW/HsJCA0
P「……」
春香「私がお仕事でうまく行った時、撫でてくれるあなたが」
よくやったな、って笑顔で。
春香「担当を外れても、私を気にかけてくれるあなたが」
ミーティングなんて、仕事のうちじゃないのに。
春香「私を、信じてくれるあなたが」
春香なら、絶対に大丈夫だ。
春香「大好き、なんです」
涙が頬をつたう。声も、震えている。
プロデューサーさんに触れる手が、小刻みに揺れて。
P「……」
春香「私がお仕事でうまく行った時、撫でてくれるあなたが」
よくやったな、って笑顔で。
春香「担当を外れても、私を気にかけてくれるあなたが」
ミーティングなんて、仕事のうちじゃないのに。
春香「私を、信じてくれるあなたが」
春香なら、絶対に大丈夫だ。
春香「大好き、なんです」
涙が頬をつたう。声も、震えている。
プロデューサーさんに触れる手が、小刻みに揺れて。
18: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:48:59.45 :bW/HsJCA0
P「春香……」
春香「……忘れて下さい」
こんなこと、本当は言ってはいけないんだ。
アイドルと、プロデューサーなんだから。
P「春香」
春香「…………はい……」
左手で涙を拭って、プロデューサーさんの顔を見ます。
P「俺もさ、うまく言えないんだけど……伝えたいことがある」
春香「…………え?」
P「笑わないで聞いて欲しい」
そう言うと、プロデューサーさんは私の手を離して、
思い切り私を抱きしめました。
P「春香……」
春香「……忘れて下さい」
こんなこと、本当は言ってはいけないんだ。
アイドルと、プロデューサーなんだから。
P「春香」
春香「…………はい……」
左手で涙を拭って、プロデューサーさんの顔を見ます。
P「俺もさ、うまく言えないんだけど……伝えたいことがある」
春香「…………え?」
P「笑わないで聞いて欲しい」
そう言うと、プロデューサーさんは私の手を離して、
思い切り私を抱きしめました。
19: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:51:47.47 :bW/HsJCA0
P「俺も、好きだ」
春香「…………」
P「こんなことしか言えないけど……俺を、許してくれるか」
春香「……うそ」
P「意識しちゃいけない、って思ってた。でも、無理だった」
春香「…………」
P「春香の担当を外れろ、って社長が言った時は……すごく悲しくて」
春香「……自分で提案したんじゃ、ないんですか?」
P「……千早達の仕事が増えるように、って」
プロデューサーさんが、力を強めました。
P「俺も、好きだ」
春香「…………」
P「こんなことしか言えないけど……俺を、許してくれるか」
春香「……うそ」
P「意識しちゃいけない、って思ってた。でも、無理だった」
春香「…………」
P「春香の担当を外れろ、って社長が言った時は……すごく悲しくて」
春香「……自分で提案したんじゃ、ないんですか?」
P「……千早達の仕事が増えるように、って」
プロデューサーさんが、力を強めました。
20: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:55:37.72 :bW/HsJCA0
P「春香は、優しい女の子だ」
春香「……」
P「笑顔が素敵で」
恥ずかしい。
耳が赤くなる音がしました。
P「好きになっちゃいけない、って思うほど、好きになって」
春香「……」
P「なあ、春香」
春香「……は、はい」
P「俺は……」
プロデューサーさんが私から離れて、私を見つめました。
P「春香は、優しい女の子だ」
春香「……」
P「笑顔が素敵で」
恥ずかしい。
耳が赤くなる音がしました。
P「好きになっちゃいけない、って思うほど、好きになって」
春香「……」
P「なあ、春香」
春香「……は、はい」
P「俺は……」
プロデューサーさんが私から離れて、私を見つめました。
21: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 01:58:19.80 :bW/HsJCA0
P「春香を、愛してる」
春香「…………はい」
私もプロデューサーさんも、不器用です。
伝えたい言葉は山ほどあるのに。
言いたい台詞は絶えないのに。
今は、ただそれだけしか言えないんですから。
春香「プロデューサーさん」
P「……」
春香「恋人に、なってくれますか」
P「…………ああ」
でも、不器用ながら私たちは。
1つ進んだ関係に、なることが出来ました。
P「春香を、愛してる」
春香「…………はい」
私もプロデューサーさんも、不器用です。
伝えたい言葉は山ほどあるのに。
言いたい台詞は絶えないのに。
今は、ただそれだけしか言えないんですから。
春香「プロデューサーさん」
P「……」
春香「恋人に、なってくれますか」
P「…………ああ」
でも、不器用ながら私たちは。
1つ進んだ関係に、なることが出来ました。
22: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 02:05:41.64 :bW/HsJCA0
並木道を進んでいきます。
強く、強く手を繋いで。
春香「……」
P「……」
プロデューサーさんに恋心を持ってしまった私は、アイドル失格でしょうか。
春香「プロデューサー、さん」
それでもいいと思います。
P「ん?」
並木道を進んでいきます。
強く、強く手を繋いで。
春香「……」
P「……」
プロデューサーさんに恋心を持ってしまった私は、アイドル失格でしょうか。
春香「プロデューサー、さん」
それでもいいと思います。
P「ん?」
23: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 02:09:56.39 :bW/HsJCA0
春香「私、これからもうまく言えないこと、あると思うんです」
P「……」
春香「だから、その時は……」
P「…………」
春香「隣にいて、笑ってください」
P「……ああ、わかった」
ずっと、あなたのそばに居たい。
そう思いながら、手を握り直しました。
春香「私、これからもうまく言えないこと、あると思うんです」
P「……」
春香「だから、その時は……」
P「…………」
春香「隣にいて、笑ってください」
P「……ああ、わかった」
ずっと、あなたのそばに居たい。
そう思いながら、手を握り直しました。
24: ◆K8xLCj98/Y:2013/04/14(日) 02:11:02.61 :bW/HsJCA0
原曲はゆずの「うまく言えない」。男性視点の曲なので、かなり変わってしまいました。
お読みいただき、ありがとうございました。お疲れ様でした。
原曲はゆずの「うまく言えない」。男性視点の曲なので、かなり変わってしまいました。
お読みいただき、ありがとうございました。お疲れ様でした。
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/04/14(日) 05:13:51.87 :2MWvVhtm0
乙ですよ!乙っ!
コメント
ただ、気掛かりなのはPが迎えに来た時の春香の反応がおぼつかないのは気になります。
ただの貧血などなら良いのですが。