1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 00:28:41.20 :SWSGp5zI0
青白い火の灯った蝋燭で照らされた伽藍の奥で、魔王が玉座から立ち上がった。
魔王「くくく……。よくここまで来たな、勇者」
勇者「お前が魔王か。世界を腐食させ、平和を打ち崩さんとするその野望、許さん!」
戦士「ぶっ飛ばしてやるから覚悟してろよォーッ!」
魔法使い「ここまで来たんだもの。絶対負けないわよ!」
僧侶「ごめんなさい、貴方を、倒します」
勇者たちがそれぞれの武器をかまえる。
薄く笑いながら魔王が空中から闇色の長大な鎌を引きずり出した。
魔王「愚かな。たった四人で我を倒せると思うたか」
青白い火の灯った蝋燭で照らされた伽藍の奥で、魔王が玉座から立ち上がった。
魔王「くくく……。よくここまで来たな、勇者」
勇者「お前が魔王か。世界を腐食させ、平和を打ち崩さんとするその野望、許さん!」
戦士「ぶっ飛ばしてやるから覚悟してろよォーッ!」
魔法使い「ここまで来たんだもの。絶対負けないわよ!」
僧侶「ごめんなさい、貴方を、倒します」
勇者たちがそれぞれの武器をかまえる。
薄く笑いながら魔王が空中から闇色の長大な鎌を引きずり出した。
魔王「愚かな。たった四人で我を倒せると思うたか」
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 00:34:42.91 :SWSGp5zI0
勇者「行くぞ、みんな!」
「おお!」「ええ!」「はい……!」
魔王「よかろう。自らがどれだけ愚昧であるかをその脳髄に刻み込んで死ね!」
刀を提げて勇者が疾駆。
勇者「お前を倒す!」
魔王「やってみるがよい!」
振り抜かれた刀を魔王の鎌が受け止める。
僧侶「精霊様……その加護で我らを守り給え」
祈りに応えて四人が緑の光に包まれる。
勇者「行くぞ、みんな!」
「おお!」「ええ!」「はい……!」
魔王「よかろう。自らがどれだけ愚昧であるかをその脳髄に刻み込んで死ね!」
刀を提げて勇者が疾駆。
勇者「お前を倒す!」
魔王「やってみるがよい!」
振り抜かれた刀を魔王の鎌が受け止める。
僧侶「精霊様……その加護で我らを守り給え」
祈りに応えて四人が緑の光に包まれる。
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 00:40:07.75 :SWSGp5zI0
魔王「忌々しい精霊め……!」
勇者を振り払った魔王へと接近した戦士が剣を振りかぶった。
戦士「どォりゃああああァーッ!」
魔王「煩い蠅だ!」
ぱちんと魔王が指を鳴らした。
正面から切りかかった戦士の眼前で黒い爆発が起こる。
戦士「ぐおあッ!」
吹き飛ばされる戦士。
爆煙を吹き散らして真空の刃が魔王に襲い掛かる。
魔法使い「切り刻め!」
魔王「忌々しい精霊め……!」
勇者を振り払った魔王へと接近した戦士が剣を振りかぶった。
戦士「どォりゃああああァーッ!」
魔王「煩い蠅だ!」
ぱちんと魔王が指を鳴らした。
正面から切りかかった戦士の眼前で黒い爆発が起こる。
戦士「ぐおあッ!」
吹き飛ばされる戦士。
爆煙を吹き散らして真空の刃が魔王に襲い掛かる。
魔法使い「切り刻め!」
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 00:47:58.49 :SWSGp5zI0
魔王「ちっ、清浄な風か。まずは貴様からだ」
それをかわして魔王が魔法使いへと歩み寄る。
勇者「させるか!」
横薙ぎに振られた勇者の刀を魔王が見もせずに回避。
刀はひるがえり、二度、三度と走る。
魔王「雑魚がッ!」
勇者の刀を柄で受け流して、魔王の鎌が勇者の首を狙う。
戦士「おおっと、忘れてもらっちゃ困るぜェーッ!」
飛び込んだ戦士の剣が断頭を阻止。
魔王「ちっ、清浄な風か。まずは貴様からだ」
それをかわして魔王が魔法使いへと歩み寄る。
勇者「させるか!」
横薙ぎに振られた勇者の刀を魔王が見もせずに回避。
刀はひるがえり、二度、三度と走る。
魔王「雑魚がッ!」
勇者の刀を柄で受け流して、魔王の鎌が勇者の首を狙う。
戦士「おおっと、忘れてもらっちゃ困るぜェーッ!」
飛び込んだ戦士の剣が断頭を阻止。
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 00:53:58.33 :SWSGp5zI0
魔王「む……この力は」
戦士の剣が魔王の鎌を押し返す。
勇者の刀を退がって避けながら魔王は僧侶を見遣った。
僧侶「膂力倍増の祈り……です!」
魔法使い「二人ともどいて!」
即座にその場を離れる勇者と戦士。
その向こうの魔法使いから燃え盛る火球が放たれた。
反応の遅れた魔王に火球が直撃。
魔法使い「やった!」
勇者「まだだ!」
魔王「む……この力は」
戦士の剣が魔王の鎌を押し返す。
勇者の刀を退がって避けながら魔王は僧侶を見遣った。
僧侶「膂力倍増の祈り……です!」
魔法使い「二人ともどいて!」
即座にその場を離れる勇者と戦士。
その向こうの魔法使いから燃え盛る火球が放たれた。
反応の遅れた魔王に火球が直撃。
魔法使い「やった!」
勇者「まだだ!」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 00:59:37.28 :SWSGp5zI0
魔王「……この程度か?」
火をものともせずに魔王が嗤う。
魔法使い「うそでしょ……上級火炎魔法よ!?」
魔王「火炎というのは、こういうのを言うのだ!」
魔王は青い火焔を吐いた。
「ぐうっ」「ぬぐ!」「きゃあっ」「うぅ……っ」
精霊の加護によって減衰されたとはいえ、魔王の炎によって四人は火傷を負った。
勇者「みんな、負けるな!」
刀を掴み直して勇者が仲間を鼓舞する。
魔王「……この程度か?」
火をものともせずに魔王が嗤う。
魔法使い「うそでしょ……上級火炎魔法よ!?」
魔王「火炎というのは、こういうのを言うのだ!」
魔王は青い火焔を吐いた。
「ぐうっ」「ぬぐ!」「きゃあっ」「うぅ……っ」
精霊の加護によって減衰されたとはいえ、魔王の炎によって四人は火傷を負った。
勇者「みんな、負けるな!」
刀を掴み直して勇者が仲間を鼓舞する。
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:06:08.51 :SWSGp5zI0
魔王「炎は精霊が通さんか。ならば」
黒い風になって魔王が勇者に肉薄。
下段から振り上げられた鎌が、
勇者「ぐあぁっ!」
青年の肉を切り裂いた。
飛び散る血。
戦士「てめええええっ!」
額に青筋を浮かべた戦士が背後から魔王に切りかかる。
魔王「呪われよ」
ぽつりとそう呟くと、戦士の剣がみるみるうちに錆びて崩れていく。
魔王「炎は精霊が通さんか。ならば」
黒い風になって魔王が勇者に肉薄。
下段から振り上げられた鎌が、
勇者「ぐあぁっ!」
青年の肉を切り裂いた。
飛び散る血。
戦士「てめええええっ!」
額に青筋を浮かべた戦士が背後から魔王に切りかかる。
魔王「呪われよ」
ぽつりとそう呟くと、戦士の剣がみるみるうちに錆びて崩れていく。
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:10:39.94 :SWSGp5zI0
戦士「なんだとォーッ!?」
驚愕する戦士に魔王が向き直る。
そのうしろで、僧侶が魔王を助け起こした。
勇者「すま……ない……」
僧侶「喋ってはいけません!」
祈りが捧げられ、勇者の傷がふさがっていく。
戦士「まだまだァーッ!」
背負っていたもう一本の剣を抜き放ち、戦士が踏み込む。
魔王が「くっく」と嗤った。
戦士「なんだとォーッ!?」
驚愕する戦士に魔王が向き直る。
そのうしろで、僧侶が魔王を助け起こした。
勇者「すま……ない……」
僧侶「喋ってはいけません!」
祈りが捧げられ、勇者の傷がふさがっていく。
戦士「まだまだァーッ!」
背負っていたもう一本の剣を抜き放ち、戦士が踏み込む。
魔王が「くっく」と嗤った。
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:11:43.13 :UpuQyZrj0
魔王助けちゃだめやろ
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:12:37.29 :SWSGp5zI0
ほんまやね
そのうしろで、僧侶が勇者を助け起こした。
ですね
ほんまやね
そのうしろで、僧侶が勇者を助け起こした。
ですね
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:19:33.41 :SWSGp5zI0
上段からの一撃を横へするりと避けた魔王の鎌が水平に振られる。
身をかがめた戦士がばねが弾けるように魔王へと突っ込む。
その目の前へと柄が振り抜かれ、戦士の顔面を強打した。
戦士「いでェッ!」
魔王「醜いな」
鼻血を垂らす戦士の首へと鎌を落とそうとする魔王。
その腕を一条の雷が打った。
魔法使い「貸しひとつよ! バカ!」
魔王は鎌を取り落とした。
戦士「助かったぜェーッ!」
雄たけびをあげながら戦士が剣を振るう。
上段からの一撃を横へするりと避けた魔王の鎌が水平に振られる。
身をかがめた戦士がばねが弾けるように魔王へと突っ込む。
その目の前へと柄が振り抜かれ、戦士の顔面を強打した。
戦士「いでェッ!」
魔王「醜いな」
鼻血を垂らす戦士の首へと鎌を落とそうとする魔王。
その腕を一条の雷が打った。
魔法使い「貸しひとつよ! バカ!」
魔王は鎌を取り落とした。
戦士「助かったぜェーッ!」
雄たけびをあげながら戦士が剣を振るう。
19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:27:05.48 :SWSGp5zI0
魔王「ふん」
すいすいと戦士の剣をかわす魔王。
戦士「だらァッ!」
剣をいなして毒の爪で戦士の顔を引っ掻く。
戦士「こんなの屁でもねェーッ!」
勇者「まだ余裕か、魔王ッ!」
二人の剣と刀の乱舞に魔王は舌打ちした。
魔王のマントが切り捨てられる。
魔王「鬱陶しいな」
魔王「ふん」
すいすいと戦士の剣をかわす魔王。
戦士「だらァッ!」
剣をいなして毒の爪で戦士の顔を引っ掻く。
戦士「こんなの屁でもねェーッ!」
勇者「まだ余裕か、魔王ッ!」
二人の剣と刀の乱舞に魔王は舌打ちした。
魔王のマントが切り捨てられる。
魔王「鬱陶しいな」
21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:33:22.32 :SWSGp5zI0
とどめとばかりに攻め込んできた刃をくぐりぬけて、魔王が戦士の胸倉を掴んだ。
魔王「軽いな。身も、つるぎも」
戦士「てめェ――っ」
戦士の視界がぐるりと回転する。
魔王が彼を投げ飛ばしたのだ。
勇者「むぐぁっ」
しかも勇者の上へと。
二人は折り重なって倒れた。
魔王「しばしそこで待つがいい」
剣と刀を奪って、魔王はそれぞれの足にそれを突き刺し、床へと縫いとめた。
とどめとばかりに攻め込んできた刃をくぐりぬけて、魔王が戦士の胸倉を掴んだ。
魔王「軽いな。身も、つるぎも」
戦士「てめェ――っ」
戦士の視界がぐるりと回転する。
魔王が彼を投げ飛ばしたのだ。
勇者「むぐぁっ」
しかも勇者の上へと。
二人は折り重なって倒れた。
魔王「しばしそこで待つがいい」
剣と刀を奪って、魔王はそれぞれの足にそれを突き刺し、床へと縫いとめた。
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:39:05.07 :SWSGp5zI0
勇者「うああああああああッ!」
戦士「ぐおおおおォーッ!」
僧侶「ひぃっ」
魔法使い「これでも喰らいなさいよ!」
叫んだ魔法使いが幾多のツララを作り出し、それを魔王へと飛ばした。
だが、そのひとつを軽々と魔王は掴み取り、
魔王「脆いな」
粉々に砕いた。
ほかのツララも魔王に当たっても傷一つつけることすらできない。
魔王「人間の魔法など児戯に等しい」
魔王の手が魔法使いの顔面を掴んだ。
勇者「うああああああああッ!」
戦士「ぐおおおおォーッ!」
僧侶「ひぃっ」
魔法使い「これでも喰らいなさいよ!」
叫んだ魔法使いが幾多のツララを作り出し、それを魔王へと飛ばした。
だが、そのひとつを軽々と魔王は掴み取り、
魔王「脆いな」
粉々に砕いた。
ほかのツララも魔王に当たっても傷一つつけることすらできない。
魔王「人間の魔法など児戯に等しい」
魔王の手が魔法使いの顔面を掴んだ。
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:44:54.41 :SWSGp5zI0
魔法使い「いやっやめて! 放しなさいよ!」
みしみしと音を立てて握られた魔法使いを、魔王はそのまま持ち上げた。
彼女の足が宙に浮く。
魔法使い「いやぁぁぁぁっ! 痛いッ! やめ、やめてッ!」
ぺたりと、僧侶が腰を抜かした。
魔法使いの絶叫が伽藍に響き渡る。
魔王「喧しい。死ね」
魔法使い「ひぃっイヤっ死にたくない! ごめ、ごめんなさいッ! ごめ――」
ばちゅんと魔法使いの頭が潰れた。
首から上をなくした体が床に落ちる。噴き出した血が床を汚していく。
魔法使い「いやっやめて! 放しなさいよ!」
みしみしと音を立てて握られた魔法使いを、魔王はそのまま持ち上げた。
彼女の足が宙に浮く。
魔法使い「いやぁぁぁぁっ! 痛いッ! やめ、やめてッ!」
ぺたりと、僧侶が腰を抜かした。
魔法使いの絶叫が伽藍に響き渡る。
魔王「喧しい。死ね」
魔法使い「ひぃっイヤっ死にたくない! ごめ、ごめんなさいッ! ごめ――」
ばちゅんと魔法使いの頭が潰れた。
首から上をなくした体が床に落ちる。噴き出した血が床を汚していく。
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:50:36.23 :SWSGp5zI0
僧侶「ぇ……」
仲間の血に濡れた手を見て、僧侶は呆然とした。
ゆっくりと魔法使いだったものを見る。
もう動かない。
僧侶「うぷっ! おえぇっ……!」
胃の内容物を戻しながら、しかし僧侶は視線を外すことができない。
魔王「汚らしいな。貴様もすぐに殺してやろう」
そういいながら魔王は鎌を掴んで構えた。
僧侶は涙を流しながら、それを見上げた。
勇者「そこだッ!」
魔王の胸から、勇者の刀が突き出した。
僧侶「ぇ……」
仲間の血に濡れた手を見て、僧侶は呆然とした。
ゆっくりと魔法使いだったものを見る。
もう動かない。
僧侶「うぷっ! おえぇっ……!」
胃の内容物を戻しながら、しかし僧侶は視線を外すことができない。
魔王「汚らしいな。貴様もすぐに殺してやろう」
そういいながら魔王は鎌を掴んで構えた。
僧侶は涙を流しながら、それを見上げた。
勇者「そこだッ!」
魔王の胸から、勇者の刀が突き出した。
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 01:55:32.65 :SWSGp5zI0
魔王「ぐ……。貴様、動けたのか……」
勇者「お前を倒すためだ……ッ! 伏してなどいられるか!」
刀を抜く。
魔王は膝から崩れ、血を吐いた。
魔王「我が――人間に倒されるか……」
勇者「そうだ! お前の負けだ、魔王!」
戦士が足を引きずりながら、なんとか僧侶を助け起こす。
魔王「ぐ……。貴様、動けたのか……」
勇者「お前を倒すためだ……ッ! 伏してなどいられるか!」
刀を抜く。
魔王は膝から崩れ、血を吐いた。
魔王「我が――人間に倒されるか……」
勇者「そうだ! お前の負けだ、魔王!」
戦士が足を引きずりながら、なんとか僧侶を助け起こす。
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 02:00:29.29 :SWSGp5zI0
魔王「くくく……。呪われよ、人間どもめ……」
嗤う魔王の体がぼろぼろと崩れていく。
勇者は油断なくそれを見つめる。
魔王「すべての呪いを、貴様らに……」
そうして、魔王の体は塵になって吹き消えた。
戦士「だいじょうぶか。早く帰ろう」
僧侶「うっ、うぅっ、死ん、死んでしまいました……」
勇者「ごめん。間に合わなかった」
僧侶「――お前も死ね」
戦士の首が切り裂かれた。
魔王「くくく……。呪われよ、人間どもめ……」
嗤う魔王の体がぼろぼろと崩れていく。
勇者は油断なくそれを見つめる。
魔王「すべての呪いを、貴様らに……」
そうして、魔王の体は塵になって吹き消えた。
戦士「だいじょうぶか。早く帰ろう」
僧侶「うっ、うぅっ、死ん、死んでしまいました……」
勇者「ごめん。間に合わなかった」
僧侶「――お前も死ね」
戦士の首が切り裂かれた。
34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 02:05:37.73 :SWSGp5zI0
戦士「が……?」
なにかを理解する前に戦士がくずおれる。
傷口から噴水のように血が迸った。
勇者「なにを!?」
僧侶「呪われよ。呪われよ。すべての呪いを、人間どもに!」
立ち上がった僧侶は黒塗りの刀を掴んでいた。
勇者は後ずさった。
勇者「まさか、これが魔王の最期の呪い!?」
僧侶「死ね」
突風のように、僧侶が動いた。
戦士「が……?」
なにかを理解する前に戦士がくずおれる。
傷口から噴水のように血が迸った。
勇者「なにを!?」
僧侶「呪われよ。呪われよ。すべての呪いを、人間どもに!」
立ち上がった僧侶は黒塗りの刀を掴んでいた。
勇者は後ずさった。
勇者「まさか、これが魔王の最期の呪い!?」
僧侶「死ね」
突風のように、僧侶が動いた。
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 02:13:45.56 :SWSGp5zI0
風を切って黒刀が勇者に迫る。
勇者「やめろ! 正気に戻れ!」
袈裟懸けから刃を返して首を狙う刀をなんとか受け止める勇者。
目の光を失った僧侶が憎悪をこめて勇者の腹を蹴飛ばす。
勇者「ごほっ!」
僧侶「死ね」
回転した刀をとっさにかわす勇者に、さらに僧侶の左足刀が激突。
勇者はごろごろと転がった。
風を切って黒刀が勇者に迫る。
勇者「やめろ! 正気に戻れ!」
袈裟懸けから刃を返して首を狙う刀をなんとか受け止める勇者。
目の光を失った僧侶が憎悪をこめて勇者の腹を蹴飛ばす。
勇者「ごほっ!」
僧侶「死ね」
回転した刀をとっさにかわす勇者に、さらに僧侶の左足刀が激突。
勇者はごろごろと転がった。
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 02:19:43.37 :SWSGp5zI0
僧侶「呪いを受けよ。苦しめ」
倒れた勇者の右手を僧侶が踏み砕いた。
勇者「あぐぁぁっ!」
さらに僧侶は勇者のみぞおちに足を置いた。
僧侶「怖れよ」
勇者「元に……戻ってくれ……」
僧侶が高く上げた足を一気に踏みおろした。
勇者「かは……ッ!」
何度も踏み潰す。
僧侶「呪いを受けよ。苦しめ」
倒れた勇者の右手を僧侶が踏み砕いた。
勇者「あぐぁぁっ!」
さらに僧侶は勇者のみぞおちに足を置いた。
僧侶「怖れよ」
勇者「元に……戻ってくれ……」
僧侶が高く上げた足を一気に踏みおろした。
勇者「かは……ッ!」
何度も踏み潰す。
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 02:24:18.46 :SWSGp5zI0
勇者「うああああッ!」
血を吐いて苦しむ勇者に、僧侶は薄く笑った。
勇者「くそ……」
僧侶「何?」
勇者「ごめん!」
一閃。
勇者の刀が僧侶の片足を斬り捨てる。
僧侶がどさりと後ろに倒れ、勇者は急いで立ち上がった。
僧侶「くくく……」
血の出ない断面からみちりみちりと真っ黒な足が生えた。
勇者「うああああッ!」
血を吐いて苦しむ勇者に、僧侶は薄く笑った。
勇者「くそ……」
僧侶「何?」
勇者「ごめん!」
一閃。
勇者の刀が僧侶の片足を斬り捨てる。
僧侶がどさりと後ろに倒れ、勇者は急いで立ち上がった。
僧侶「くくく……」
血の出ない断面からみちりみちりと真っ黒な足が生えた。
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 02:32:38.87 :SWSGp5zI0
勇者「侵蝕、されてしまったのか」
僧侶「あはは……良い……気持ち良い」
悦楽に顔をゆがめる僧侶の腕がぞりぞりと黒く染まっていく。
勇者は荒い息を吐きながら片手で刀を構えた。
勇者「やるしかないのか……」
その言葉が終わるか否かというときには、すでに勇者のふところに僧侶が飛び込んでいた。
噴きあがるような斬撃を脊髄でかわして、勇者が反撃する。
すっぱりと左腕を切り裂かれて骨を露出させた僧侶が、
僧侶「あはっ! 最高に気持ちイイ!」
まったくゆらがずにさらに刀を振るう。
勇者「侵蝕、されてしまったのか」
僧侶「あはは……良い……気持ち良い」
悦楽に顔をゆがめる僧侶の腕がぞりぞりと黒く染まっていく。
勇者は荒い息を吐きながら片手で刀を構えた。
勇者「やるしかないのか……」
その言葉が終わるか否かというときには、すでに勇者のふところに僧侶が飛び込んでいた。
噴きあがるような斬撃を脊髄でかわして、勇者が反撃する。
すっぱりと左腕を切り裂かれて骨を露出させた僧侶が、
僧侶「あはっ! 最高に気持ちイイ!」
まったくゆらがずにさらに刀を振るう。
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 02:39:25.44 :SWSGp5zI0
勇者「くっ」
頬を切り裂かれて後退する勇者。
獣のように低い姿勢で僧侶が追撃する。
僧侶「貴様にも、この快楽をやろう!」
防御しようとした勇者の刀を片手で僧侶が握った。
勇者「なにっ」
強制的に身を開けさせられた勇者が、黒い刀で逆袈裟に斬りつけられた。
勇者「ぐあああっ!」
僧侶「あははははッ!」
勇者「くっ」
頬を切り裂かれて後退する勇者。
獣のように低い姿勢で僧侶が追撃する。
僧侶「貴様にも、この快楽をやろう!」
防御しようとした勇者の刀を片手で僧侶が握った。
勇者「なにっ」
強制的に身を開けさせられた勇者が、黒い刀で逆袈裟に斬りつけられた。
勇者「ぐあああっ!」
僧侶「あははははッ!」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 02:44:25.84 :SWSGp5zI0
ばしゃばしゃと血をこぼしながら、しかし勇者は踏みとどまった。
勇者「世界を守ると、決めたんだ!」
僧侶「あはは! 可笑しい!」
勇者「りゃあああああああっ!」
僧侶「死ね」
二人が同時に片手だけで刀を振りかぶり、そして同時に振りぬいた。
僧侶の、骨の見えている腕がぼとりと床に落ちた。
そして、勇者が静かに倒れた。
ばしゃばしゃと血をこぼしながら、しかし勇者は踏みとどまった。
勇者「世界を守ると、決めたんだ!」
僧侶「あはは! 可笑しい!」
勇者「りゃあああああああっ!」
僧侶「死ね」
二人が同時に片手だけで刀を振りかぶり、そして同時に振りぬいた。
僧侶の、骨の見えている腕がぼとりと床に落ちた。
そして、勇者が静かに倒れた。
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/05/26(日) 02:49:47.10 :SWSGp5zI0
僧侶「・・・……あれ? 私は何を……」
我に返った僧侶が辺りを見回す。
頭を潰された魔法使い。
首を切られた戦士。
そして目の前で死んでいる勇者。
僧侶「どう、いう……」
彼女は自分が握っている刀に気付いた。
同時に、その傷口から血が噴き出す。べたりと倒れた。
僧侶「う、あ、うわああああああああああああああっ!」
片手片足を失って、僧侶は絶叫した。
終わり
僧侶「・・・……あれ? 私は何を……」
我に返った僧侶が辺りを見回す。
頭を潰された魔法使い。
首を切られた戦士。
そして目の前で死んでいる勇者。
僧侶「どう、いう……」
彼女は自分が握っている刀に気付いた。
同時に、その傷口から血が噴き出す。べたりと倒れた。
僧侶「う、あ、うわああああああああああああああっ!」
片手片足を失って、僧侶は絶叫した。
終わり
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