煌「どの高校も強そうですねー…うちは…」

煌「ありました！」

仁美「評価は…Bか」

美子「エースポジションに難あり…」

哩「…」

姫子「…」

煌「何皆さん黙りこくってしまってるんですか」

煌「私は私のすべきことを全力でやりきるまでです！」

煌「真のエースは部長と姫子だって、江崎先輩も安河内先輩も他の部員達も知ってますよ」

姫子「花田…」

煌「おや、それより見て見て…この兵庫のチーム」

煌「実にすばらな雰囲気がしますよ」

哩「んー？劔谷高校？」

美幸（梢ちゃんくじ引き緊張してたけど大丈夫かなもー）ﾃｸﾃｸ

煌「そう、この劔谷高校です！すばらです！」

美幸（！…うちの話をしてる…）

姫子「どんなとこがよー」

煌「見てくださいこの校舎、実に伝統的な造りじゃないですか」

煌「加えてこの高校は華道、茶道、香道の何れかを必修科目にしているそうで…」

哩「歴史あるお嬢様校って感じやね」

煌「とりわけ私が気になるのはこの副将の方ですねぇ」ｽﾊﾞﾗｧ

煌「他の選手に比べて若干ですが自信に満ちた表情をなさってます」

煌「しかもこのプロフィール欄を見ると海外留学をなさってたそうじゃないですか！すばら！」

煌「きっとこのチームは昔から培ってきた歴史や伝統と、帰国子女がもたらす新しく革新的な風を取り入れた新しいスタイルを開拓してくれるに違いありません！」

煌「いえ、きっと今回のIHでその新しい劔谷高校を試すつもりなのかもしれません！」ｽﾊﾞﾗｧｧｧ

姫子「花田はロマンチストやねー」

煌「ま、まあほとんど妄想なんだけどね」ﾃﾍﾍ

哩「ようそこまで想像力が働くもんやね」




美幸（…）ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

煌「ふ～ん、すばらですねぇ～」ﾍﾟﾗｯ

美子「また気になる高校見っけたと？」

煌「この埼玉の高校です！」

仁美「越谷高校？」ﾒｪｪ

美子「見せて見せて」

玉子（困ったのである、史織とはぐれてしまった）ﾃｸﾃｸ

美子「ほんでもこの越谷って高校はさっきん兵庫代表と違って結構皆チャラい恰好ばしよるね」

仁美「ほんでもここって、出てきては一回戦で負けていくとこやね」

玉子（！…余の高校の話をしておるのか？）

煌「その過去を打ち破るための今年なのですよ」ｽﾊﾞﾗｧ

煌「県大会では優勝する物の、全国では勝てない」

煌「きっと地元の方の風当たりは相当なものでしょう…」

煌「そんな彼女たちだからこそ、今年こそは悲願の初勝利を狙ってくると思うのです」

煌「優勝なんかしなくてもいい、とにかく一勝を挙げる」

煌「そんな意気込みがこの写真からすばすばと伝わってきますよぉぉ！」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ

煌「私たちは1回戦2回戦共に当たりはしませんが、彼女たちなら準決勝まで来る気がします！」

仁美「はっはっは、花田は見かけによらず熱い奴やね」

美子「漫画とかにありそうやねー」

煌「ま、まあ野球漫画の受け売りですけどね…」




玉子（…）ｺﾞｸﾘ

煌「ふ～ん、すばらですねぇ～」ﾍﾟﾗｯ

仁美「今度はどこの代表よ」

煌「この奈良県の高校です！」

姫子「阿知賀女子？」

仁美「おー、なんか季節感ない写真やね」

憧（あっれぇ～？こっちだったような気がするんだけど迷っちゃったかな？）ﾃｸﾃｸ

仁美「阿知賀女子言うたら10年くらい前に一回奈良代表で出たことあったなあ」

姫子「よう覚えてますね、あの年は現プロの小鍛治選手が活躍した年でしたっけ」

憧（！…うちの話してるじゃん）

煌「まさしくその事と関係しているわけですよ」

煌「その年、小鍛治プロがいた土浦女子高校に阿知賀女子は負けているのです」

煌「その時に阿知賀女子でエースポジションに居た選手が」

煌「今年から監督兼コーチを務めているのですよ！」

煌「そして10年ぶりのIH出場…これはきっと再び全国制覇を狙う10年前のリベンジなのです！」

煌「先鋒から大将まで5人で戦う全国大会ですが、このチームはきっと6人！」

煌「師がかつて超えられなかった全国の壁を、今度こそ師と共に超えようという執念を感じます！すばら！」

仁美「ほぉう、しかし10年前の事を私より覚えとるとは…やるな」ﾒｪｪ

姫子「思わず涙腺にくる話やとね」ｳﾙｳﾙ




憧（…）ﾌﾙﾌﾙ

煌「ふ～ん、すばらですねぇ～」ﾍﾟﾗｯ

哩「次は？」

煌「北大阪代表です！」

美子「全国ランク2位の」

哩「ここは強かよ」

怜（あかん…変なおっさんに財布スられた）ﾃｸﾃｸ

哩「千里山は関西最強との呼び声も高いけん注意せんと」

美子「30回以上全国出場しとーとよ」

怜（！…なんやあいつら）

煌「しかし見てください、今年から突然エースポジションに無名の選手を据えているのです」

煌「この方はどうも対局の中で徐々に体調不良に見舞われてる気がしますね」

煌「心なしかこの写真だと顔色も優れませんし」

煌「これはきっとあれですよ、持病のせいで一度は死にかけ、河を渡る直前にこの世に呼び戻されたとかそういう…」

煌「死に瀕した事で雀力が爆発的にあがるとかそういう…」

煌「このリーチパッツモ率からしても異常ですし、牌がすべて見えてるんじゃないですかね！」

哩「ドラゴンボールの読みすぎやね」

美子「もしくはヒロポン」






怜（…）ｶﾞｸｶﾞｸ

煌「ふ～ん、すばらですねぇ～」ﾍﾟﾗｯ

姫子「まだあっと？」

煌「うん、どうも大阪代表は南の方もすばらだよ」

美子「あー…大阪は南も激戦区やしね」

煌「見てくださいここ、今年から指導者が変わっているようなのです」

恭子（熱っつ…スパッツ蒸れるわ…）ﾃｸﾃｸ

煌「まあ正確には昨年から変わってるんですけどね…ですがどういうわけか赤坂監督「代行」と書いてるわけです」

煌「きっとこれは前監督が何かすばらくない事情により休職しているのではないでしょうか、病気とかで」

姫子「また病気ネター？」

煌「もしくは妊娠とかかなあ」

煌「きっと今年は一勝一勝をお休みしている前監督に捧げる為に、例年よりも燃えてるはずだよ！」

煌「この代行監督も抜け目がなさそうだし、手強そう！」

美子「花田の想像力の豊かさには感服すっと」




恭子（…）ｶﾀｶﾀ

煌「ふ～ん、すばらですねぇ～」ﾍﾟﾗｯ

仁美「花田よ、飽きてきた」

煌「まあそう言わず見てくださいこの岩手の高校」

哩「んん？初めて名前ば見よるな」

煌「今大会のダークホースですよ！」

白望（ダル…ダル…歩くのとか…ダル…）

哩「宮守…全員三年やね」

仁美「大将背高かね…2mぐらいはあっと」

白望（？…ダル…）

煌「そうなのです、今年から3年生が2名増えての出場なのです！」

煌「2人増えて全員で5人ということは、最初にいた3人は2年間全国に出られることもなくサンマを打っていたわけですよ」

煌「そこに現れた待望の新入部員」

煌「これはもうなんとしても全国へ行くしかない」

煌「最初で最後のIH、5人で掴む宮守女子麻雀部の最初の目標こそが全国優勝なのです！」

煌「私はぁ…麻雀がしてぇんだよ！…とか言って」

仁美「ほんでGReeeNかかってくるんか」

哩「最近ROOKIES読んだやろ」

煌「てへへ、どうもこういう熱血モノに弱くて」




白望（…）ﾀﾞﾙﾀﾞﾙ

煌「ふ～ん、すばらですねぇ～」ﾍﾟﾗｯ

哩「逆に楽しみんなってきたと」

煌「そういうってくれるとすばらです！次はご近所さんですよ」

姫子「こん巫女服は」

煌「そうです！鹿児島の巫女軍団です！」

春（黒砂糖…至福…迷子だけど）ｺﾘｺﾘ

哩「永水とは練習試合とか地区大会で何度か戦っとるけん」

姫子「先鋒から大将まで隙ん無かチームやね」

春（？…あれは新道寺…）

煌「お互い手の内を知ってるからこそ聞いてほしいのです」

煌「去年もそうでしたが、このチームは負けた際に悔しさを出さないのですよ」

煌「それは対局室を出て、楽屋へ帰るまでも感じさせません」

煌「しかも全員制服着用をせず巫女服での出場ですし」

煌「このチーム…実は高校やIHにそこまで思い入れがないのでは…」

哩「また大それたことを…」

煌「どちらかというと麻雀を使って神道の道を極めていこうとする」

煌「修行の一環として打っているような気がするわけですよ、全力で戦ってくれるところはすばらですがね」

姫子「ま、まあ高校を背負ってるんやったら普通は制服着るし…」

煌「ですので、なんか魔除けグッズとかを持参してはいかがでしょう」







春（…）ｺﾘｺﾘ

煌「ふ～ん、すばらですねぇ～」ﾍﾟﾗｯ

仁美「まだ何かあっとか」ﾒｪｪ

煌「いえ、今ちらっと見て思ったのですが」

美子「そのページ、チャンピオンやなかか」

煌「ええ、この宮永さんなんですけど」

久（そろそろ抽選会始まるし行くかな～緊張してきちゃった）ﾃｸﾃｸ
菫（うちはシードだが組み合わせ発表だけ見に行くか）ﾄｺﾄｺ

煌「このチャンピオン宮永さんと…」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗﾍﾟﾗ

煌「この清澄高校の宮永さん…」ﾍﾟﾗｯ

久（おっ…うちの話だ）
菫（照…？）

煌「似てませんか？」

仁美「メェ？たしかに言われてみれば」

美子「わかるようなわからんような」

煌「きっと姉妹か何かですよ！生き別れた！」

哩「ほんでも雑誌のインタビューで兄弟姉妹はおらん言うとったし」

煌「こうやんごとなき理由で喧嘩したとか！」

姫子「やんごとなき理由？」

煌「そうですね…例えば、幼いころから姉妹と中のよかった第三者の少女の病気と怪我、入院中の死亡事故とかそれに纏わる誤解が生んだ軋轢等々！」

哩「花田昨日寝る前にテレビば見とったな」

煌「すばら！火サスです！」

姫子「もー、すぐ影響されるんやから」

煌「えへへ」ｽﾊﾞﾗｧ







久（…）
菫（…）

哩「！」

哩「いかん、抽選会忘れとった…行ってくると」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

姫子「お願いします！」

煌「さて」ﾊﾟﾀﾝ

仁美「私らも見に行くか」

美子「やね」

姫子「今年はどげんところと対戦するんやろ」

煌「どんなところでも負けないよ！」

仁美「お、頼もしいな」ﾒｪ

美子「私らも負けてられんね」ｸｽｸｽ

煌「モチロンです！今年は新道寺女子が優勝しますよぉー！」

ｵｫｰ！



福岡代表の新道寺女子は全国に凄腕のスパイを雇い、各校の情報を集めている

そんな噂が飛び交う中始まる全国大会

新道寺と当たった高校は皆手の内が読まれているのではと疑心暗鬼になり

本来の力を発揮できず自滅

新道寺は順調に決勝戦への道のりを駆け抜けていくのであった

おわり

短いうえに天丼でしたわイェイ
仁美ちゃん可愛い　おやすみ