まり「ねこの本…」

千鶴（本の方見てたのか…）

まり「おねーちゃん、ねこ好きなの？」

千鶴「えっと…うん、好きだよ」

まり「まりも、ねこ好きー」

千鶴「…一緒に見る？」

まり「見るー」

まり「まりはね、まりっていうんだけど」

まり「おねーちゃんはなんていうの？」

千鶴「…千鶴」

まり「ちづるおねーちゃん！」

千鶴「うん」

千鶴「……」ﾍﾟﾗｯ

まり「ねこー」

千鶴「……」ﾍﾟﾗｯ

まり「まだ読んでないのに…」

千鶴「…ごめん」

まり「あっ、まり、このねこ好きー」

千鶴「どれ？」

まり「これー」

千鶴「ロシアンブルー？」

まり「うんっ」

まり「なんかかっこいい」

千鶴「そうだね」

まり「おねーちゃんはどれが好き？」

千鶴「私は…」ﾍﾟﾗｯ

千鶴「…これかな」

まり「なんていうねこ？」

千鶴「ターキッシュアンゴラ」

まり「たー…」

まり「なんで好きなの？」

千鶴「ふわふわしてて…優しい感じがする」

まり「あー、わかる」

―

千鶴「……ふぅ」ﾊﾟﾀﾝ

まり「終わり？」

千鶴「ちょっと休憩」

まり「じゃあ、まりとあそぼー」

千鶴「遊ぶ…？ 何するの？」

まり「まり、おにごっこがしたい」

千鶴（鬼ごっこか…）

千鶴「いいよ」

まり「やった！ じゃあ、まりが逃げるからおねーちゃんは追いかけてね」

千鶴「わかった」

まり「逃げろー」ﾀｯ

千鶴（あ、本…）

千鶴（…置いておけばいいか）

千鶴「よし」ﾀｯ

―

まり「あははは！」ﾀｯﾀｯ

千鶴「……」ﾀｯ

まり「たのしー」ﾀｯﾀｯ

千鶴（楽しい…か）

千鶴（…たまにはこういうのも、悪くないかな）

ｶﾞｯ

まり「わっ！」ﾄﾞﾃｯ

千鶴「あっ…」

まり「……」

千鶴「だ、大丈夫…？」

まり「…ぐすっ…」

千鶴（どうしよう…泣いちゃう…）

まり「痛い…」

千鶴（こ、こうなったら…）

千鶴「…い、痛いの痛いの飛んでけー」

千鶴「……」

千鶴（……やってしまった…）

まり「今のって…」

千鶴「おまじない…かな」

まり「…まり、もう大丈夫」

まり「おねーちゃんのおかげで痛くない」

千鶴「そっか、良かった」

まり「えへへ」

京子「おっ、まりちゃんと…千鶴？」

千鶴「と…歳納！？」

まり「かまくらのおねーちゃんだ！」

京子「まりちゃん、京子お姉ちゃんだよん」

まり「わかった、かまくらのおねーちゃん」

京子「まりちゃーん！？」

千鶴（なんだ、面識あるのか…）

千鶴（…いや、そんなことより…！）

千鶴「…お前、さっきの…聞いてた？」

京子「何が？」

千鶴「聞いてなかったならいい」

京子「……おまじない」

千鶴「ぐっ…！」

京子「千鶴意外とかわいいとこあるじゃーん」

千鶴「な…か、かか…かわ…」

京子「痛いの痛いのとんでけー！」

千鶴「う、うるせぇ！ 早くどっかいけ！」

京子「ほーい、じゃあねー」ﾀｯ

まり「ばいばい、かまくらのおねーちゃん」

千鶴（よりにもよってあいつなんかに…）

まり「おねーちゃん、どうしたの？」

千鶴「…いや、なんでもない」

―

まり「これはなんていうの？」

千鶴「ソマリ」

まり「これはー？」

千鶴「サイベリアン」

まり「すげぇ」

千鶴「そうでもないよ」

まり「おねーちゃんはどれ飼ってるの？」

千鶴「私は…飼ってない」

まり「そうなんだ…」

千鶴「でも、いつか絶対飼うんだ」

まり「まりは、うにが飼いたい！」

千鶴「えっ…うに？」

まり「うにー」

千鶴「か、飼えるといいね」

まり「うんっ」

まり「…あ、もうこんな時間だ…」

まり「そろそろお家に帰らないと」

千鶴「そっか」

まり「おねーちゃん、また来る？」

千鶴「来るよ」

まり「じゃあまた遊んでね」

千鶴「うん、いいよ」

まり「約束だよっ」

千鶴「うん、約束」

まり「ばいばい、ちづるおねーちゃん！」

千鶴「またね、まりちゃん」

千鶴（…子どもの接し方、少しは慣れたかな…）

―
-数日後-

千歳「今日なー、また知らん子に声かけられてん」

千鶴（まさか…）


終わり

ありがとでした