1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:10:50.03 :t1Czfzh+0
~ リング ~
ドカッ!
格闘家「おぶっ……!」ドサッ
レフェリー「…………」
レフェリー「ストップ!」バッ
カンカンカンカンカーン……!
ワァー……! ワァー……! ブゥー……! ブゥー……!
格闘家(ちくしょう……また負けた……)
格闘家(これでデビュー以来、9連敗……)
~ リング ~
ドカッ!
格闘家「おぶっ……!」ドサッ
レフェリー「…………」
レフェリー「ストップ!」バッ
カンカンカンカンカーン……!
ワァー……! ワァー……! ブゥー……! ブゥー……!
格闘家(ちくしょう……また負けた……)
格闘家(これでデビュー以来、9連敗……)
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:14:35.34 :t1Czfzh+0
~ 控え室 ~
格闘家「すみません、コーチ……」
格闘家「次は必ず──」
コーチ「…………」ハァ…
コーチ「お前さぁ……」
コーチ「努力を買って、デビューまでさせといてなんだけどさ」
コーチ「格闘家向いてねぇよ」
コーチ「悪いこたぁいわねえ。引退しな」
格闘家「!」
~ 控え室 ~
格闘家「すみません、コーチ……」
格闘家「次は必ず──」
コーチ「…………」ハァ…
コーチ「お前さぁ……」
コーチ「努力を買って、デビューまでさせといてなんだけどさ」
コーチ「格闘家向いてねぇよ」
コーチ「悪いこたぁいわねえ。引退しな」
格闘家「!」
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:17:23.42 :t1Czfzh+0
格闘家「たしかに……そうかもしれません」
格闘家「でも、せめて……一勝、一勝するまでは……!」
コーチ「一勝? 今の格闘界に、お前が勝てる相手なんているか?」
格闘家「!」
コーチ「たった一発のパンチすら当てられない奴が、いったいどうやって勝つんだ?」
コーチ「とうとう客からブーイングが出る始末だ」
コーチ「なんならサンドバッグを選手だってことにして、リングに上げるか?」
格闘家「そ、それは──」
コーチ「それにさ」
コーチ「お前があまりに不甲斐ないと、コーチである俺の評判まで下がるんだよ」
コーチ「これ、意味分かるよな?」
格闘家「は、はい……」
格闘家「たしかに……そうかもしれません」
格闘家「でも、せめて……一勝、一勝するまでは……!」
コーチ「一勝? 今の格闘界に、お前が勝てる相手なんているか?」
格闘家「!」
コーチ「たった一発のパンチすら当てられない奴が、いったいどうやって勝つんだ?」
コーチ「とうとう客からブーイングが出る始末だ」
コーチ「なんならサンドバッグを選手だってことにして、リングに上げるか?」
格闘家「そ、それは──」
コーチ「それにさ」
コーチ「お前があまりに不甲斐ないと、コーチである俺の評判まで下がるんだよ」
コーチ「これ、意味分かるよな?」
格闘家「は、はい……」
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:20:16.46 :t1Czfzh+0
コーチ「次がラストチャンスだ」
コーチ「次の試合で勝てなきゃ、もう引退しろ」
コーチ「俺もこれ以上、見込みのない奴を面倒みきれん」
格闘家「コーチ……!」
コーチ「なぁに、お前もまだ若いんだ。他に色んな道があるだろ」
コーチ「俺もプロじゃなく、ただの練習生としてのお前になら付き合ってやるよ」
コーチ「じゃあな」バタンッ
格闘家「…………」
コーチ「次がラストチャンスだ」
コーチ「次の試合で勝てなきゃ、もう引退しろ」
コーチ「俺もこれ以上、見込みのない奴を面倒みきれん」
格闘家「コーチ……!」
コーチ「なぁに、お前もまだ若いんだ。他に色んな道があるだろ」
コーチ「俺もプロじゃなく、ただの練習生としてのお前になら付き合ってやるよ」
コーチ「じゃあな」バタンッ
格闘家「…………」
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:23:42.76 :t1Czfzh+0
格闘家(コーチのいうとおりだ……)
格闘家(強くなりたい一心で、プロを目指して必死に練習して)
格闘家(コーチも半ばお情けで、俺をプロデビューさせてくれたというのに)
格闘家(まともにパンチを当てることすらできず)
格闘家(あれよあれよと9連敗……)
格闘家(素人だってもうちょっとやれるだろう)
格闘家(こんなもん、恩を仇で返すってレベルじゃない)
格闘家(むしろ9戦もやらせてくれたことに感謝すべきだ)
格闘家「…………」
格闘家(試合があった日は必ず行くって決めてたし、今日も報告に行くか……)
格闘家(コーチのいうとおりだ……)
格闘家(強くなりたい一心で、プロを目指して必死に練習して)
格闘家(コーチも半ばお情けで、俺をプロデビューさせてくれたというのに)
格闘家(まともにパンチを当てることすらできず)
格闘家(あれよあれよと9連敗……)
格闘家(素人だってもうちょっとやれるだろう)
格闘家(こんなもん、恩を仇で返すってレベルじゃない)
格闘家(むしろ9戦もやらせてくれたことに感謝すべきだ)
格闘家「…………」
格闘家(試合があった日は必ず行くって決めてたし、今日も報告に行くか……)
17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:26:49.45 :t1Czfzh+0
~ 墓地 ~
格闘家(父さん……)
格闘家(母さん……)
格闘家(姉さん……)
格闘家(ゴメン……今日も負けちゃったよ)
格闘家(パンチをかわされて、カウンター喰らって、KO負け……)
格闘家(ホント情けないよな、俺)
格闘家(だけど、もう心配しなくていいよ)
格闘家(多分……次が最後の試合になるから……)
~ 墓地 ~
格闘家(父さん……)
格闘家(母さん……)
格闘家(姉さん……)
格闘家(ゴメン……今日も負けちゃったよ)
格闘家(パンチをかわされて、カウンター喰らって、KO負け……)
格闘家(ホント情けないよな、俺)
格闘家(だけど、もう心配しなくていいよ)
格闘家(多分……次が最後の試合になるから……)
22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:29:23.99 :t1Czfzh+0
~ 河原 ~
格闘家「シッ、シッ、シュッ!」シュッシュッシュッ
格闘家「シイッ!」ブオンッ
格闘家「ハァ……ハァ……ハァ……」
格闘家(俺はこれだけ練習してる! パンチだってキックだって……!)
格闘家(俺は弱くない! ──なのに、なんで試合じゃ攻撃が当たらないんだ!)
格闘家(なんで勝てないんだ!)
幼女「おじちゃん、よわーい!」
格闘家「なんだと!?」
~ 河原 ~
格闘家「シッ、シッ、シュッ!」シュッシュッシュッ
格闘家「シイッ!」ブオンッ
格闘家「ハァ……ハァ……ハァ……」
格闘家(俺はこれだけ練習してる! パンチだってキックだって……!)
格闘家(俺は弱くない! ──なのに、なんで試合じゃ攻撃が当たらないんだ!)
格闘家(なんで勝てないんだ!)
幼女「おじちゃん、よわーい!」
格闘家「なんだと!?」
23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:29:57.54 :cC4QWv530
幼女だー!
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:31:13.38 :hsjeacorO
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:33:27.18 :t1Czfzh+0
格闘家(──って、子供!?)
格闘家(子供相手にムキになるなんて……アホか、俺は)
格闘家「ハハハ、ごめんね。怒鳴ったりして、悪かったね」
幼女「おじちゃん、よわすぎ!」
幼女「よわい、よわい、よわい、よわい、よわい!」
幼女「なんでそんなによわいの?」
幼女「よわいのぉ? よわすぎぃ!」
格闘家「…………」イラッ
格闘家(──って、子供!?)
格闘家(子供相手にムキになるなんて……アホか、俺は)
格闘家「ハハハ、ごめんね。怒鳴ったりして、悪かったね」
幼女「おじちゃん、よわすぎ!」
幼女「よわい、よわい、よわい、よわい、よわい!」
幼女「なんでそんなによわいの?」
幼女「よわいのぉ? よわすぎぃ!」
格闘家「…………」イラッ
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:36:20.15 :t1Czfzh+0
格闘家「俺は……弱くなんかない!」
格闘家「ただちょっと──本番に弱いだけなんだ!」
幼女「それ、よわいってことじゃない」
格闘家「うぐっ……」ギクッ
幼女「いっとくけど、おじちゃんってほんとよわいよ」
幼女「あたしより、よわいよ」
幼女「たぶん、ケンカしたら、あたしがかつね」
格闘家「な、なんだと……」
格闘家「俺は……弱くなんかない!」
格闘家「ただちょっと──本番に弱いだけなんだ!」
幼女「それ、よわいってことじゃない」
格闘家「うぐっ……」ギクッ
幼女「いっとくけど、おじちゃんってほんとよわいよ」
幼女「あたしより、よわいよ」
幼女「たぶん、ケンカしたら、あたしがかつね」
格闘家「な、なんだと……」
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:39:22.75 :t1Czfzh+0
格闘家「いくら俺だって、一般人には負けないよ。これでもプロ格闘家なんだ」
格闘家「ましてや、君みたいな女の子に──」
幼女「まけるよ」
幼女「だっておじちゃん、よわいんだもん。よわすぎなんだもん」
幼女「なんなら、ケンカする?」
格闘家「いいだろう……」
格闘家(周囲にだれもいないよな……)キョロキョロ
格闘家(一発小突いて、交番に迷子ですって突き出すか)
格闘家「いくら俺だって、一般人には負けないよ。これでもプロ格闘家なんだ」
格闘家「ましてや、君みたいな女の子に──」
幼女「まけるよ」
幼女「だっておじちゃん、よわいんだもん。よわすぎなんだもん」
幼女「なんなら、ケンカする?」
格闘家「いいだろう……」
格闘家(周囲にだれもいないよな……)キョロキョロ
格闘家(一発小突いて、交番に迷子ですって突き出すか)
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:42:18.58 :t1Czfzh+0
格闘家「そらっ!」ヒュッ
格闘家「えいっ!」ヒュッ
格闘家(あ、あれ? 当たらない。そんなバカな!)
格闘家「だっ!」ビュッ
格闘家「だりゃっ!」ビュッ
格闘家(な、なんで!?)
格闘家(もちろん力加減はしてるけど、本気で狙ってるってのに!)
幼女「だっらしない」
幼女「ほんとにおじちゃん、かくとーかなの?」
格闘家「…………」ムカッ
格闘家「そらっ!」ヒュッ
格闘家「えいっ!」ヒュッ
格闘家(あ、あれ? 当たらない。そんなバカな!)
格闘家「だっ!」ビュッ
格闘家「だりゃっ!」ビュッ
格闘家(な、なんで!?)
格闘家(もちろん力加減はしてるけど、本気で狙ってるってのに!)
幼女「だっらしない」
幼女「ほんとにおじちゃん、かくとーかなの?」
格闘家「…………」ムカッ
36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:45:45.30 :t1Czfzh+0
格闘家(こんな女の子にさえ──)ビュバッ
格闘家(なんで──)ブオンッ
格闘家(パンチやキックを──)シュバッ
格闘家(当てられないんだ!?)
格闘家「うおっ!?」ズルッ
ドサッ!
格闘家「あだだっ……!」
幼女「きゃはは、おじちゃんださぁ~い!」
格闘家(こんな女の子にさえ──)ビュバッ
格闘家(なんで──)ブオンッ
格闘家(パンチやキックを──)シュバッ
格闘家(当てられないんだ!?)
格闘家「うおっ!?」ズルッ
ドサッ!
格闘家「あだだっ……!」
幼女「きゃはは、おじちゃんださぁ~い!」
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:47:57.79 :t1Czfzh+0
幼女「あだだ、だって。だらしな~い」
幼女「あっ、そろそろかえらなきゃ」
幼女「じゃね~!」タタタッ
格闘家(本当にだらしない……)
格闘家(女の子相手に本気になり、攻撃を当てられず、ずっこける……)
格闘家(こんな格闘家、世界のどこを探したっているわけない)
格闘家(やっぱり引退すべきなのかなぁ……)
幼女「あだだ、だって。だらしな~い」
幼女「あっ、そろそろかえらなきゃ」
幼女「じゃね~!」タタタッ
格闘家(本当にだらしない……)
格闘家(女の子相手に本気になり、攻撃を当てられず、ずっこける……)
格闘家(こんな格闘家、世界のどこを探したっているわけない)
格闘家(やっぱり引退すべきなのかなぁ……)
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:51:34.69 :t1Czfzh+0
~ ジム ~
友人「よう、なに落ち込んでんだ?」
格闘家(女の子に負けた、なんていえるわけがないよな……)
格闘家(勝った負けた以前に、幼い女の子とケンカしたって事実がすでにヤバイ)
友人「いつまでもクヨクヨすんなって!」
友人「次勝てばいいだけのハナシだろ?」
友人「俺も今度試合あるからさ、気晴らしにスパーでもやろうぜスパー」
格闘家「……ああ」
~ ジム ~
友人「よう、なに落ち込んでんだ?」
格闘家(女の子に負けた、なんていえるわけがないよな……)
格闘家(勝った負けた以前に、幼い女の子とケンカしたって事実がすでにヤバイ)
友人「いつまでもクヨクヨすんなって!」
友人「次勝てばいいだけのハナシだろ?」
友人「俺も今度試合あるからさ、気晴らしにスパーでもやろうぜスパー」
格闘家「……ああ」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:54:15.81 :t1Czfzh+0
バスッ! ドカッ! ドッ!
友人「ぐっ……やるな!」
格闘家(そう……)
格闘家(もちろんスパーだから、お互い本気じゃないとはいえ)
格闘家(友人だってかなり強いのに、俺もまずまず戦えてる……)
格闘家(なのに、なんで試合じゃ全然攻撃を当てられないんだ?)
格闘家(やっぱり俺、本番に弱いのか……?)
友人「フゥ……フゥ……」
格闘家「ハァ……ハァ……」
コーチ「そこまで!」
バスッ! ドカッ! ドッ!
友人「ぐっ……やるな!」
格闘家(そう……)
格闘家(もちろんスパーだから、お互い本気じゃないとはいえ)
格闘家(友人だってかなり強いのに、俺もまずまず戦えてる……)
格闘家(なのに、なんで試合じゃ全然攻撃を当てられないんだ?)
格闘家(やっぱり俺、本番に弱いのか……?)
友人「フゥ……フゥ……」
格闘家「ハァ……ハァ……」
コーチ「そこまで!」
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:57:41.77 :t1Czfzh+0
~ 河原 ~
幼女「こんにちは~おじちゃん」
格闘家「また君か」
格闘家「もうケンカはしないよ。いくら罵られてもね」
幼女「あっそ」
幼女「おじちゃん、よわい、よわい、よわすぎ!」
幼女「なんでそんなよわいの? どうしたらそんなによわくなれるの?」
幼女「よわよわよわよわよわよわぁ~~~~~い」
格闘家「…………」ピクピクッ
格闘家「い、いい加減にしろ!」
~ 河原 ~
幼女「こんにちは~おじちゃん」
格闘家「また君か」
格闘家「もうケンカはしないよ。いくら罵られてもね」
幼女「あっそ」
幼女「おじちゃん、よわい、よわい、よわすぎ!」
幼女「なんでそんなよわいの? どうしたらそんなによわくなれるの?」
幼女「よわよわよわよわよわよわぁ~~~~~い」
格闘家「…………」ピクピクッ
格闘家「い、いい加減にしろ!」
49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:59:55.46 :t1Czfzh+0
幼女「だったらさ」
幼女「あたしのこと、いっぱつぐらいひっぱたいてみなさいよ」
格闘家(なんてイヤな女の子なんだろうか……!)
格闘家(なんで俺はたかが女の子に、大人気なくイラついてるんだろうか……!)
格闘家「今度こそ、やってやる!」
幼女「むだだってば!」
格闘家「どりゃっ」シュッ
幼女「だったらさ」
幼女「あたしのこと、いっぱつぐらいひっぱたいてみなさいよ」
格闘家(なんてイヤな女の子なんだろうか……!)
格闘家(なんで俺はたかが女の子に、大人気なくイラついてるんだろうか……!)
格闘家「今度こそ、やってやる!」
幼女「むだだってば!」
格闘家「どりゃっ」シュッ
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:05:20.58 :t1Czfzh+0
シュッ! ヒュッ! シュッ!
格闘家「ハァ……ハァ……くそっ!」
幼女「あたらないね~、よわいよわい」
格闘家(──しまった、夢中になりすぎた)チラッ
格闘家(あそこに通行人がいるじゃんか! ヤバイ!)
格闘家(ってあれ? 俺たちをチラッと見ただけで、どっかに行っちまったぞ)
格闘家(通報しにいくって雰囲気でもない)
格闘家(ああ……そうか)
格闘家(俺は大人気なく、この女の子を本気でひっぱたこうとしてるのに)
格闘家(通行人からすると──)
格闘家(俺とこの女の子がじゃれ合ってるようにしか見えないってことか……)
格闘家(助かったけど、ますます情けねえ……)
シュッ! ヒュッ! シュッ!
格闘家「ハァ……ハァ……くそっ!」
幼女「あたらないね~、よわいよわい」
格闘家(──しまった、夢中になりすぎた)チラッ
格闘家(あそこに通行人がいるじゃんか! ヤバイ!)
格闘家(ってあれ? 俺たちをチラッと見ただけで、どっかに行っちまったぞ)
格闘家(通報しにいくって雰囲気でもない)
格闘家(ああ……そうか)
格闘家(俺は大人気なく、この女の子を本気でひっぱたこうとしてるのに)
格闘家(通行人からすると──)
格闘家(俺とこの女の子がじゃれ合ってるようにしか見えないってことか……)
格闘家(助かったけど、ますます情けねえ……)
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:08:21.14 :t1Czfzh+0
~ ジム ~
コーチ「次の試合が決まった」
コーチ「一ヶ月後、相手は──金髪だ」
コーチ「金髪はバリバリのハードパンチャーだ。俺もオーナーも断ったんだが──」
コーチ「向こうのジムの方が圧倒的にデカイし、断りきれなかった……」
コーチ「戦績は9勝0敗7KO……お前と正反対だな」
格闘家「…………」
コーチ「本当はもう少し弱い相手とやらせたかったってのが本音だが」
コーチ「この試合に負けたら……分かってんな」
格闘家「はい、分かってます」
~ ジム ~
コーチ「次の試合が決まった」
コーチ「一ヶ月後、相手は──金髪だ」
コーチ「金髪はバリバリのハードパンチャーだ。俺もオーナーも断ったんだが──」
コーチ「向こうのジムの方が圧倒的にデカイし、断りきれなかった……」
コーチ「戦績は9勝0敗7KO……お前と正反対だな」
格闘家「…………」
コーチ「本当はもう少し弱い相手とやらせたかったってのが本音だが」
コーチ「この試合に負けたら……分かってんな」
格闘家「はい、分かってます」
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:11:29.96 :t1Czfzh+0
~ 河原 ~
幼女「ふうん、しあい?」
格闘家「ああ、十中八九最後の試合になる」
格闘家「この試合で負けたら、俺は引退だ」
格闘家「でも、いいんだ。一応夢だったプロデビューはお情けでだけど叶ったし」
格闘家「これ以上、家族を心配させたくないしね」
幼女「かぞく?」
格闘家「ああ、天国にいる家族さ」
~ 河原 ~
幼女「ふうん、しあい?」
格闘家「ああ、十中八九最後の試合になる」
格闘家「この試合で負けたら、俺は引退だ」
格闘家「でも、いいんだ。一応夢だったプロデビューはお情けでだけど叶ったし」
格闘家「これ以上、家族を心配させたくないしね」
幼女「かぞく?」
格闘家「ああ、天国にいる家族さ」
58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:14:17.94 :t1Czfzh+0
格闘家「俺には家族がいたんだ。四人家族になるはずだった」
格闘家「三人とも交通事故で亡くなっちゃったけどね」
格闘家「そして、母さんの腹の中にいた、産まれる寸前だった俺だけが生き延びた……」
格闘家「三人が必死に母さんの腹を守ってたおかげらしい」
格闘家「だから俺、死んだ三人のためにも強くなりたくて──」
格闘家「格闘家を目指したんだけど……このザマさ」
幼女「ふぅ~ん」
格闘家「俺には家族がいたんだ。四人家族になるはずだった」
格闘家「三人とも交通事故で亡くなっちゃったけどね」
格闘家「そして、母さんの腹の中にいた、産まれる寸前だった俺だけが生き延びた……」
格闘家「三人が必死に母さんの腹を守ってたおかげらしい」
格闘家「だから俺、死んだ三人のためにも強くなりたくて──」
格闘家「格闘家を目指したんだけど……このザマさ」
幼女「ふぅ~ん」
60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:16:29.60 :t1Czfzh+0
幼女「だったら、なおさらよわくちゃだめじゃん!」
幼女「せめて、あたしをなぐれるようにならなきゃ!」
幼女「ほらほら、よわいよわぁ~い」
格闘家「よぉーし、今日こそひっぱたいてみせる!」
格闘家「いくぞ!」
幼女「ぜったい、むりむり~! おじちゃん、よわいんだもぉ~ん!」トテテッ
幼女「だったら、なおさらよわくちゃだめじゃん!」
幼女「せめて、あたしをなぐれるようにならなきゃ!」
幼女「ほらほら、よわいよわぁ~い」
格闘家「よぉーし、今日こそひっぱたいてみせる!」
格闘家「いくぞ!」
幼女「ぜったい、むりむり~! おじちゃん、よわいんだもぉ~ん!」トテテッ
63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:19:57.18 :t1Czfzh+0
~ ジム ~
格闘家「うおおおおっ!」
バスッ! バスッ! バスッ! バスッ!
友人「気合入ってんな。サンドバッグに同情するぜ」
格闘家「最後の試合になるかもしれないし、悔いは残したくないからな……」
友人「金髪ってたしか、すげーチャラチャラしてる、いけ好かない奴だろ?」
友人「絶対ブチのめせよ!」
格闘家「ああ、分かってる!」
格闘家(せめて一発くらい……パンチを当ててみせる)
~ ジム ~
格闘家「うおおおおっ!」
バスッ! バスッ! バスッ! バスッ!
友人「気合入ってんな。サンドバッグに同情するぜ」
格闘家「最後の試合になるかもしれないし、悔いは残したくないからな……」
友人「金髪ってたしか、すげーチャラチャラしてる、いけ好かない奴だろ?」
友人「絶対ブチのめせよ!」
格闘家「ああ、分かってる!」
格闘家(せめて一発くらい……パンチを当ててみせる)
65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:22:43.03 :t1Czfzh+0
~ 河原 ~
幼女「よわい、よわい、よわぁ~い!」トテテッ
格闘家「待てっ!」タタタッ
格闘家(10歳にも満たないだろう女の子を追い回す、20代プロ格闘家……)
格闘家(こんなに犯罪的なシチュエーションも、なかなかないよな)
格闘家(でも、この子と遊んでると、なぁ~んか)
格闘家(張りつめた気持ちがいい感じに、ほぐれるんだよな……)
格闘家(もしかして俺って、隠れロリコンだったのかな……)
~ 河原 ~
幼女「よわい、よわい、よわぁ~い!」トテテッ
格闘家「待てっ!」タタタッ
格闘家(10歳にも満たないだろう女の子を追い回す、20代プロ格闘家……)
格闘家(こんなに犯罪的なシチュエーションも、なかなかないよな)
格闘家(でも、この子と遊んでると、なぁ~んか)
格闘家(張りつめた気持ちがいい感じに、ほぐれるんだよな……)
格闘家(もしかして俺って、隠れロリコンだったのかな……)
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:26:30.55 :t1Czfzh+0
~ 自宅 ~
格闘家(いよいよ明日は試合か……)
格闘家(意外と気分は落ちついてるけど、体を動かしたい気分だ……)ウズウズ…
格闘家「シッ! シュシュッ!」シュシュシュッ
グラグラ……
パサッ……
格闘家「──ん?」
格闘家(これは……アルバムだ)
~ 自宅 ~
格闘家(いよいよ明日は試合か……)
格闘家(意外と気分は落ちついてるけど、体を動かしたい気分だ……)ウズウズ…
格闘家「シッ! シュシュッ!」シュシュシュッ
グラグラ……
パサッ……
格闘家「──ん?」
格闘家(これは……アルバムだ)
72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:29:23.91 :t1Czfzh+0
格闘家(そういや俺、死んだ家族の写真って、ほとんど見たことないんだよな……)
格闘家(なんか辛くなっちゃいそうで……避けてた)
格闘家(今まで避けてた家族の写真を見ることが、少しは自信につながるかもしれない)
格闘家(……見てみるか)ペラッ…
格闘家(これが父さんか。俺をちょっとヒョロくしたって感じだな)
格闘家(母さんは……優しそうな顔してるな。俺を産んでくれて、ありがとう)
格闘家(このちっこいのが、姉さん──)
格闘家「!?」
格闘家(そういや俺、死んだ家族の写真って、ほとんど見たことないんだよな……)
格闘家(なんか辛くなっちゃいそうで……避けてた)
格闘家(今まで避けてた家族の写真を見ることが、少しは自信につながるかもしれない)
格闘家(……見てみるか)ペラッ…
格闘家(これが父さんか。俺をちょっとヒョロくしたって感じだな)
格闘家(母さんは……優しそうな顔してるな。俺を産んでくれて、ありがとう)
格闘家(このちっこいのが、姉さん──)
格闘家「!?」
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:33:27.24 :9/lEG8N90
そらパンチあたりませんわ
82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:33:27.50 :t1Czfzh+0
~ 河原 ~
幼女「やっほ~! よわいおじちゃん、きたきた! いよいよしあいだね!」
格闘家「…………」
幼女「どしたの? そんなこわいかおしてさ」
格闘家「あのさ──」
格闘家「俺、君の正体が分かっちゃったかもしれない」
幼女「!」
格闘家「君は──俺の姉さん……なんだろう?」
~ 河原 ~
幼女「やっほ~! よわいおじちゃん、きたきた! いよいよしあいだね!」
格闘家「…………」
幼女「どしたの? そんなこわいかおしてさ」
格闘家「あのさ──」
格闘家「俺、君の正体が分かっちゃったかもしれない」
幼女「!」
格闘家「君は──俺の姉さん……なんだろう?」
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:37:32.70 :t1Czfzh+0
幼女「……あ~あ、ばれちゃったか」
幼女「あたしがここにいられるのは、ちょうどきょうまでだし」
幼女「はずかしいから、このままだまったままかえろうっておもったのに」
格闘家(今日まで……)
格闘家「姉さん。君……いやアンタは弱い俺が心配になって来てくれたんだろう?」
格闘家「アンタみたいな女の子を本気で追い回して、俺が通報すらされないのは」
格闘家「多分……アンタは俺にしか見えないからだ」
格闘家「俺がアンタみたいな女の子に、本気で腹を立てることができたのは──」
格闘家「本能的に……俺はアンタが姉さんだって気づいてたからだろう」
幼女「う~ん、なかなかだけど、70てんってとこかな」
幼女「……あ~あ、ばれちゃったか」
幼女「あたしがここにいられるのは、ちょうどきょうまでだし」
幼女「はずかしいから、このままだまったままかえろうっておもったのに」
格闘家(今日まで……)
格闘家「姉さん。君……いやアンタは弱い俺が心配になって来てくれたんだろう?」
格闘家「アンタみたいな女の子を本気で追い回して、俺が通報すらされないのは」
格闘家「多分……アンタは俺にしか見えないからだ」
格闘家「俺がアンタみたいな女の子に、本気で腹を立てることができたのは──」
格闘家「本能的に……俺はアンタが姉さんだって気づいてたからだろう」
幼女「う~ん、なかなかだけど、70てんってとこかな」
90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:40:21.34 :t1Czfzh+0
幼女「まずね、あたしがここにきたのはね」
幼女「あんたと、きょーだいゲンカってのを、ちょっとやってみたかっただけ」
幼女「パパとママはあんたをうんで、じょーぶつしちゃったけど」
幼女「あたしだけは、みれんがあったのよね」
幼女「べつに、あんたのしんぱいなんかしてないわ」
格闘家「…………」
幼女「それとね、もうひとつ」
幼女「あんたは、よわくなんかないよ」
格闘家「!」
幼女「まずね、あたしがここにきたのはね」
幼女「あんたと、きょーだいゲンカってのを、ちょっとやってみたかっただけ」
幼女「パパとママはあんたをうんで、じょーぶつしちゃったけど」
幼女「あたしだけは、みれんがあったのよね」
幼女「べつに、あんたのしんぱいなんかしてないわ」
格闘家「…………」
幼女「それとね、もうひとつ」
幼女「あんたは、よわくなんかないよ」
格闘家「!」
93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:43:25.45 :t1Czfzh+0
幼女「あんたがあたしをなぐれなかったのはね」
幼女「あたしがよけてたってより、むしろあんたがよけてたのよ」
格闘家「俺が……避けてた!?」
幼女「そ」
幼女「あんた、どうもほんきになると、ひとをなぐれないみたいね」
格闘家(そうか……そういうことだったのか)
格闘家(俺は本気を出すって場面になると、相手を殴れない……)
格闘家(俺のパンチの方から、無意識に相手を避けちまう……)
格闘家(友人相手なら、友人は強いし、あくまで本気じゃないスパーリングだから)
格闘家(普通に戦うことができたんだ……)
幼女「あんたがあたしをなぐれなかったのはね」
幼女「あたしがよけてたってより、むしろあんたがよけてたのよ」
格闘家「俺が……避けてた!?」
幼女「そ」
幼女「あんた、どうもほんきになると、ひとをなぐれないみたいね」
格闘家(そうか……そういうことだったのか)
格闘家(俺は本気を出すって場面になると、相手を殴れない……)
格闘家(俺のパンチの方から、無意識に相手を避けちまう……)
格闘家(友人相手なら、友人は強いし、あくまで本気じゃないスパーリングだから)
格闘家(普通に戦うことができたんだ……)
96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:46:23.10 :t1Czfzh+0
幼女「だからさ」
幼女「さいごに、あたしをおもいっきりブンなぐってごらん!」
格闘家「ブン殴れっていわれても……」
幼女「だいじょーぶ! あたし、もうしんでるしさ」
幼女「おんなのこ、しかもねーさんをなぐれるようになれば」
幼女「だれだって、なぐれるようになるはずよ!」
格闘家「…………」ゴクッ…
格闘家「わ、分かった!」ザッ
幼女「だからさ」
幼女「さいごに、あたしをおもいっきりブンなぐってごらん!」
格闘家「ブン殴れっていわれても……」
幼女「だいじょーぶ! あたし、もうしんでるしさ」
幼女「おんなのこ、しかもねーさんをなぐれるようになれば」
幼女「だれだって、なぐれるようになるはずよ!」
格闘家「…………」ゴクッ…
格闘家「わ、分かった!」ザッ
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:49:26.53 :t1Czfzh+0
格闘家「いくぞ……姉さん!」
幼女「どんときなさい!」
格闘家(本気で女の子を、しかも実の姉を、格闘家である俺が、ブン殴るッ!)
格闘家「うわぁぁぁっ!」
ブオンッ!
格闘家(すり抜けた……)
幼女「いいパンチだったよ」
幼女「やっぱ、あんたつよいよ!」
格闘家「俺が、強い……?」
格闘家「……ありがとう、姉さん」
格闘家「いくぞ……姉さん!」
幼女「どんときなさい!」
格闘家(本気で女の子を、しかも実の姉を、格闘家である俺が、ブン殴るッ!)
格闘家「うわぁぁぁっ!」
ブオンッ!
格闘家(すり抜けた……)
幼女「いいパンチだったよ」
幼女「やっぱ、あんたつよいよ!」
格闘家「俺が、強い……?」
格闘家「……ありがとう、姉さん」
103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:52:40.37 :t1Czfzh+0
幼女「それじゃ……きょーだいゲンカってのもやれたし」
幼女「そろそろあたしはいくよ」
幼女「もともと、きょうまでしかいられなかったしね」
格闘家「あっ……」
格闘家「ま、待ってくれ! 行かないでくれ! ──姉ちゃん!」
格闘家「もっと俺と遊ぼう、姉ちゃん!」
幼女「だいじょーぶ、あんたはつよいんだから」
幼女「あたしの、じまんのおとうとだよ」ニコッ
格闘家「姉ちゃん! 待ってくれ! せめて俺の試合を──」タッ
幼女「じゃあね……バイバイ」
スゥ……
格闘家「姉ちゃん……!」
格闘家「うっ……ぐぅぅ……っ! くっ……! ねえ、ちゃん……」
幼女「それじゃ……きょーだいゲンカってのもやれたし」
幼女「そろそろあたしはいくよ」
幼女「もともと、きょうまでしかいられなかったしね」
格闘家「あっ……」
格闘家「ま、待ってくれ! 行かないでくれ! ──姉ちゃん!」
格闘家「もっと俺と遊ぼう、姉ちゃん!」
幼女「だいじょーぶ、あんたはつよいんだから」
幼女「あたしの、じまんのおとうとだよ」ニコッ
格闘家「姉ちゃん! 待ってくれ! せめて俺の試合を──」タッ
幼女「じゃあね……バイバイ」
スゥ……
格闘家「姉ちゃん……!」
格闘家「うっ……ぐぅぅ……っ! くっ……! ねえ、ちゃん……」
107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:56:33.74 :t1Czfzh+0
~ 控え室 ~
コーチ「さて、準備いいか?」
格闘家「……バッチリです」バスッ
友人「今日は俺もセコンドにつくぜ。なにか役に立てるかもしれねえし」
格闘家「ありがとう」
コーチ「よし、そろそろ入場すんぞ」
格闘家「……コーチ」
コーチ「ん?」
格闘家「これまで本当にありがとうございました」
格闘家「本来プロの域に達してない俺を、こうしてプロのリングに上げてくれて──」
格闘家「本当に感謝しています」
~ 控え室 ~
コーチ「さて、準備いいか?」
格闘家「……バッチリです」バスッ
友人「今日は俺もセコンドにつくぜ。なにか役に立てるかもしれねえし」
格闘家「ありがとう」
コーチ「よし、そろそろ入場すんぞ」
格闘家「……コーチ」
コーチ「ん?」
格闘家「これまで本当にありがとうございました」
格闘家「本来プロの域に達してない俺を、こうしてプロのリングに上げてくれて──」
格闘家「本当に感謝しています」
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:59:18.82 :t1Czfzh+0
コーチ「お前、あまり俺を見くびるなよ」
コーチ「俺はお情けやら親心やらで」
コーチ「プロのレベルに達してない奴をデビューさせるほど、落ちちゃいねえよ」
コーチ「俺がお前をプロデビューさせたのは」
コーチ「お前はそのレベルに達してると判断したってだけだ」
格闘家「コーチ……」
コーチ「だから、今日負けたら引退させるってのも、脅しじゃなくマジだ」
格闘家「……分かってます」
友人「全部ぶつけてこい!」パシッ
格闘家「ああ!」
コーチ「お前、あまり俺を見くびるなよ」
コーチ「俺はお情けやら親心やらで」
コーチ「プロのレベルに達してない奴をデビューさせるほど、落ちちゃいねえよ」
コーチ「俺がお前をプロデビューさせたのは」
コーチ「お前はそのレベルに達してると判断したってだけだ」
格闘家「コーチ……」
コーチ「だから、今日負けたら引退させるってのも、脅しじゃなくマジだ」
格闘家「……分かってます」
友人「全部ぶつけてこい!」パシッ
格闘家「ああ!」
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:02:36.61 :t1Czfzh+0
~ リング ~
ワァー……! ワァー……!
金髪「すんまちぇんね~、生け贄になってもらって」
格闘家「…………」
レフェリー「コラ、私語は──」
金髪「ウチの会長、ホープである俺に確実に記念すべき10連勝目を上げさせるために」
金髪「無理やりアンタみたいな9連敗中のカスと、試合組んでくれたんスわ」
金髪「ま、アンタみたいなゴミ、食ってもなんの足しにもならんけど」
金髪「1ラウンドとまではいわんけど、せめて1分くらいは頑張って下さいよ」
格闘家「…………」
~ リング ~
ワァー……! ワァー……!
金髪「すんまちぇんね~、生け贄になってもらって」
格闘家「…………」
レフェリー「コラ、私語は──」
金髪「ウチの会長、ホープである俺に確実に記念すべき10連勝目を上げさせるために」
金髪「無理やりアンタみたいな9連敗中のカスと、試合組んでくれたんスわ」
金髪「ま、アンタみたいなゴミ、食ってもなんの足しにもならんけど」
金髪「1ラウンドとまではいわんけど、せめて1分くらいは頑張って下さいよ」
格闘家「…………」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:06:27.89 :t1Czfzh+0
レフェリー「ファイッ!」バッ
カーンッ!
金髪(さぁ~て、こんなゴミさっさとカタしちまうか)ザッ…
金髪(インタビューでなにいうか、考える時間もねーな)
金髪「そらっ!」
ドスッ! ボスッ! ドズッ! ドボッ! ガッ!
格闘家「ぐ……っ!」
コーチ「手ぇ出せ!」
友人「動け、動け! 止まっちゃダメだ!」
格闘家(姉ちゃん……)
レフェリー「ファイッ!」バッ
カーンッ!
金髪(さぁ~て、こんなゴミさっさとカタしちまうか)ザッ…
金髪(インタビューでなにいうか、考える時間もねーな)
金髪「そらっ!」
ドスッ! ボスッ! ドズッ! ドボッ! ガッ!
格闘家「ぐ……っ!」
コーチ「手ぇ出せ!」
友人「動け、動け! 止まっちゃダメだ!」
格闘家(姉ちゃん……)
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:07:20.94 :0p48Ubq30
ここまで読んでようやく全ての謎が解けた
幼女は格闘家の姉だな?
幼女は格闘家の姉だな?
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:09:15.36 :Z27loeq20
>>123
おせぇよwww
おせぇよwww
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:09:25.22 :t1Czfzh+0
格闘家(俺、はじめて──他人を本気で殴るよ)
格闘家(だって俺、姉ちゃんだって本気で殴れたんだから)
格闘家(もう多分……だれだって殴れる!)キッ
金髪「あ?」
ボゴォッ!!!
格闘家(俺、はじめて──他人を本気で殴るよ)
格闘家(だって俺、姉ちゃんだって本気で殴れたんだから)
格闘家(もう多分……だれだって殴れる!)キッ
金髪「あ?」
ボゴォッ!!!
133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:13:27.33 :t1Czfzh+0
カンカンカンカンカーン……!
『1ラウンド、59秒! ノックアウト! 勝者、格闘家ーっ!』
ワァー……! ワァー……! ワァー……! ワァー……!
友人「ハハッ、やりやがった……一発KOだぜぇ!」
コーチ「フン……ようやく開花しやがったか」ニッ
格闘家(姉ちゃん……ありがとう!)
<おわり>
カンカンカンカンカーン……!
『1ラウンド、59秒! ノックアウト! 勝者、格闘家ーっ!』
ワァー……! ワァー……! ワァー……! ワァー……!
友人「ハハッ、やりやがった……一発KOだぜぇ!」
コーチ「フン……ようやく開花しやがったか」ニッ
格闘家(姉ちゃん……ありがとう!)
<おわり>
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:13:53.89 :xPVtAAZd0
あっさりやな
141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:26:38.10 :zYrOiHBd0
乙
王道で面白かった
王道で面白かった
コメント
シリアスムードが切れちゃったよ
いい話だったのに>>123のせいでシリアスぶち壊しだよ!!