1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:36:33.98 :ArxwcA/d0
小梅ちゃんとあの子の捏造ストーリー。
モチーフは同名のボカロ曲です、すまない。
小梅ちゃんとあの子の捏造ストーリー。
モチーフは同名のボカロ曲です、すまない。
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:37:47.54 :ArxwcA/d0
僕は、なにもかもが曖昧だった。
自分の名前すら思い出せない。目的も、帰る場所も。
ただあてもなく、ローカル線に乗ってさまよっている。
誰も僕を気にしないし、僕は誰も気にしない。
かんからと、こわれた風車のよう。
雪も雨も降らない、寒がりの中。
ふと電車を降りて、街に向かってみた。
雑踏にまぎれて、くらりくらり。
やっぱり誰も僕を気にしないし、僕は誰も気にしない。
僕は、なにもかもが曖昧だった。
自分の名前すら思い出せない。目的も、帰る場所も。
ただあてもなく、ローカル線に乗ってさまよっている。
誰も僕を気にしないし、僕は誰も気にしない。
かんからと、こわれた風車のよう。
雪も雨も降らない、寒がりの中。
ふと電車を降りて、街に向かってみた。
雑踏にまぎれて、くらりくらり。
やっぱり誰も僕を気にしないし、僕は誰も気にしない。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:38:21.65 :ArxwcA/d0
辿り着いたのは……遊園地。
人気はない、音楽もない。
サビついた観覧車、ズタボロの回転木馬。
まるで全体がホーンテッドハウス……潰れた遊園地。
意味もなく、溜息が出た。
辿り着いたのは……遊園地。
人気はない、音楽もない。
サビついた観覧車、ズタボロの回転木馬。
まるで全体がホーンテッドハウス……潰れた遊園地。
意味もなく、溜息が出た。
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:39:06.17 :ArxwcA/d0
ふと、視線を感じた。
視線の主は、女の子。
薄い金髪、薄い白肌。
なんだか……何もかもが薄い。
うっすらと隈で縁取られた目でこっちを見つめている。
おかしいな?
誰も僕を気にしてないし、僕は誰も気にしてないはずなのに。
女の子は、ふるふると唇をふるわせて、たどたどしく喋り始めた。
ふと、視線を感じた。
視線の主は、女の子。
薄い金髪、薄い白肌。
なんだか……何もかもが薄い。
うっすらと隈で縁取られた目でこっちを見つめている。
おかしいな?
誰も僕を気にしてないし、僕は誰も気にしてないはずなのに。
女の子は、ふるふると唇をふるわせて、たどたどしく喋り始めた。
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:39:37.52 :ArxwcA/d0
「あの……ここに……つ、憑いてる……わけじゃないみたいだね……」
――ああ、僕にむかって喋っていたのか。
「……ここには……留まらないほうがいい……」
――別に、ここに用があるってわけじゃ……。
「引き寄せられている……原因はわからない……けど、きっと良くない」
――……?
「ここ……良くないモノが集まってる……ここにいたら……貴方も……悪霊に」
――……悪霊?
「もしかして……気付いてない……? 貴方……」
――ああ、察しがついた。なるほど、僕は幽霊……もう死んだ身か。
「あの……ここに……つ、憑いてる……わけじゃないみたいだね……」
――ああ、僕にむかって喋っていたのか。
「……ここには……留まらないほうがいい……」
――別に、ここに用があるってわけじゃ……。
「引き寄せられている……原因はわからない……けど、きっと良くない」
――……?
「ここ……良くないモノが集まってる……ここにいたら……貴方も……悪霊に」
――……悪霊?
「もしかして……気付いてない……? 貴方……」
――ああ、察しがついた。なるほど、僕は幽霊……もう死んだ身か。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:40:31.06 :ArxwcA/d0
今明かされる、衝撃の真実。僕は幽霊だった。
そりゃあ、誰も僕を気にしないわけだ。
「そ……そんなわけで……ここから離れることをおススメする……」
――でも、行くところもない。
「え……えっと……それじゃあ……」
わたわたとちょっと困ったような少女。
――じゃあ、君に憑いていこうかな。
「え……」
――いや、とりあえずの目標は必要かなと。
「えぅ……で、でも……」
今明かされる、衝撃の真実。僕は幽霊だった。
そりゃあ、誰も僕を気にしないわけだ。
「そ……そんなわけで……ここから離れることをおススメする……」
――でも、行くところもない。
「え……えっと……それじゃあ……」
わたわたとちょっと困ったような少女。
――じゃあ、君に憑いていこうかな。
「え……」
――いや、とりあえずの目標は必要かなと。
「えぅ……で、でも……」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:41:11.39 :ArxwcA/d0
――別に悪さをしようとは思ってない。
――なんにもできないお化けだよ。
「でも……無意味に留まるのは……」
――じゃあ、君の友達になるってのはどう?
「と、友達……?」
――そ。なに、騙して取り憑いて、君の名前を拝借……なんて考えてないよ。
「あ、私の名前……白坂小梅……です」
――あ、これはどうもご丁寧に……
――僕の名前は……あ、そうだ。忘れてたんだった……。
――ついでに年齢、性別すらわからなくなってるよ……。
――別に悪さをしようとは思ってない。
――なんにもできないお化けだよ。
「でも……無意味に留まるのは……」
――じゃあ、君の友達になるってのはどう?
「と、友達……?」
――そ。なに、騙して取り憑いて、君の名前を拝借……なんて考えてないよ。
「あ、私の名前……白坂小梅……です」
――あ、これはどうもご丁寧に……
――僕の名前は……あ、そうだ。忘れてたんだった……。
――ついでに年齢、性別すらわからなくなってるよ……。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:44:17.22 :ArxwcA/d0
小梅「え、えと……友達なら……いいかな」
――あれ、意外と前向きに考えてくれたんだ。
――いたずら心から言ってみただけなのに。
小梅「ん……わ、私、その……他に友達いないし……わ、悪い子じゃ……なさそうだし」
――なんだか、コメントに困ることを聞いちゃったよ。
小梅「……だ、だから……いい子……にするなら……いいよ、一緒にいこう」
――いい子にするって……もしかして、僕は小梅よりもちっちゃいのだろうか。
小梅「ん……たぶん……だけど……そ、そう見える、よ……?」
――なんだろう、世の中の不条理を感じた気がするよ。
小梅「ふふ……こ、小梅お姉ちゃんに、お、おまかせ……最初のお友達……!」
小梅「え、えと……友達なら……いいかな」
――あれ、意外と前向きに考えてくれたんだ。
――いたずら心から言ってみただけなのに。
小梅「ん……わ、私、その……他に友達いないし……わ、悪い子じゃ……なさそうだし」
――なんだか、コメントに困ることを聞いちゃったよ。
小梅「……だ、だから……いい子……にするなら……いいよ、一緒にいこう」
――いい子にするって……もしかして、僕は小梅よりもちっちゃいのだろうか。
小梅「ん……たぶん……だけど……そ、そう見える、よ……?」
――なんだろう、世の中の不条理を感じた気がするよ。
小梅「ふふ……こ、小梅お姉ちゃんに、お、おまかせ……最初のお友達……!」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:46:12.12 :ArxwcA/d0
そんなわけで、友達ができた。
誰も気にしないはずだった僕は、ちょっとお休みだ。
彼女の名前は白坂小梅。年齢13歳。
趣味はホラー・スプラッタ映画鑑賞。
それと、心霊スポット巡り……その途中で、僕と出会ったわけだ。
彼女はいわゆる霊感があるらしく……僕の他にも、イロイロ見えていた。
でも、彼女と親しくしてるのは……親を除けば僕くらいだ。
それは相手が生きてる、死んでるに関わらず。
そんなわけで、友達ができた。
誰も気にしないはずだった僕は、ちょっとお休みだ。
彼女の名前は白坂小梅。年齢13歳。
趣味はホラー・スプラッタ映画鑑賞。
それと、心霊スポット巡り……その途中で、僕と出会ったわけだ。
彼女はいわゆる霊感があるらしく……僕の他にも、イロイロ見えていた。
でも、彼女と親しくしてるのは……親を除けば僕くらいだ。
それは相手が生きてる、死んでるに関わらず。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:47:13.39 :ArxwcA/d0
彼女に寂しくないの? と聞いてみた事がある。
小梅「い、いいもん……ホラー映画観てたら、そ、それで満足……」
うるさい人、うるさい場所……というか、明るい感じの所は基本的に好まない。
「爆発すれば……いいのに……」って考えてたことを、僕は知っている。
彼女に寂しくないの? と聞いてみた事がある。
小梅「い、いいもん……ホラー映画観てたら、そ、それで満足……」
うるさい人、うるさい場所……というか、明るい感じの所は基本的に好まない。
「爆発すれば……いいのに……」って考えてたことを、僕は知っている。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 19:48:01.60 :ArxwcA/d0
そんな彼女の毎日が、一変することが起こった。
小梅「……ほ、ホラー映画を見ているときが、い、一番幸せです……けど」
いつものように、街に繰り出した彼女の目の前に現れた闖入者。
ちんまい彼女に熱心に語りかけたのは、スーツ姿の男性。
アイドル事務所の、プロデューサー。
小梅「ア、アイドルに……な、なれたら、もっと楽しい…です…か?
彼は熱意を持って、彼女に語りかける。それはアイドルへのスカウト。
たぶん、彼は彼女がちょっと苦手とするタイプ……と思っていたのだが。
小梅「プ、プロデューサーさん……が、お、教えて……くれるんですか? なら……ア、ア、アイドル…」
まるで啖呵を切る様に、説得を続け……真摯さのおまじないに、彼女の警戒は散っていった。
晴れてここに……アイドル、白坂小梅が誕生した。
そんな彼女の毎日が、一変することが起こった。
小梅「……ほ、ホラー映画を見ているときが、い、一番幸せです……けど」
いつものように、街に繰り出した彼女の目の前に現れた闖入者。
ちんまい彼女に熱心に語りかけたのは、スーツ姿の男性。
アイドル事務所の、プロデューサー。
小梅「ア、アイドルに……な、なれたら、もっと楽しい…です…か?
彼は熱意を持って、彼女に語りかける。それはアイドルへのスカウト。
たぶん、彼は彼女がちょっと苦手とするタイプ……と思っていたのだが。
小梅「プ、プロデューサーさん……が、お、教えて……くれるんですか? なら……ア、ア、アイドル…」
まるで啖呵を切る様に、説得を続け……真摯さのおまじないに、彼女の警戒は散っていった。
晴れてここに……アイドル、白坂小梅が誕生した。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:03:30.84 :ArxwcA/d0
そうして彼女はめくるめく、明るい世界へ……とはならず。
熱心なプロデューサーと一緒に地味な活動から始めたが、伸び悩む。
同期のアイドルからは、あいもかわらずなホラー趣味で敬遠される。
輝く舞台は未だ遠い……みたいだった。
……そのことに、ちょっと安心しちゃったのは、小梅に内緒。
僕はまだ、君と遊んでいたかったから。
そうして彼女はめくるめく、明るい世界へ……とはならず。
熱心なプロデューサーと一緒に地味な活動から始めたが、伸び悩む。
同期のアイドルからは、あいもかわらずなホラー趣味で敬遠される。
輝く舞台は未だ遠い……みたいだった。
……そのことに、ちょっと安心しちゃったのは、小梅に内緒。
僕はまだ、君と遊んでいたかったから。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:04:09.17 :ArxwcA/d0
だけど。
涼「へえ……アタシもホラー映画は好きな方だよ」
小梅「じゃ……い、一緒にみ、観ませんか……?」
涼「はは、年こそ上だけど、ほとんど同期なんだ……敬語はいいよ!」
小梅「は、はい! 涼さん! じゃ、じゃあ……一緒に……いこう……」
涼「……小梅、なんで何にもないとこ見ながら喋ってんの? フレーゲンシュターミング現象 ?」
だけど。
涼「へえ……アタシもホラー映画は好きな方だよ」
小梅「じゃ……い、一緒にみ、観ませんか……?」
涼「はは、年こそ上だけど、ほとんど同期なんだ……敬語はいいよ!」
小梅「は、はい! 涼さん! じゃ、じゃあ……一緒に……いこう……」
涼「……小梅、なんで何にもないとこ見ながら喋ってんの? フレーゲンシュターミング現象 ?」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:15:50.81 :ArxwcA/d0
アイドルとしての活動は。
小梅「メ、メイド服……はず、恥ずかしい……」
フレデリカ「大ジョーブ! 小梅ちゃんのメイド服、とっても似合ってるよ!」
小梅「そ、そっかな……」
フレデリカ「そうそう♪ だから、そのカワイイ小梅ちゃんのセンスで、デコレーションもいってみよ~~!」
小梅「な、なら……ここに……目玉を……」
フレデリカ「ウワーオ♪ いいよいいよ、かっわいいよ~~~!!」
小梅「ふふ……み、みんなと一緒……う、うれしい……」
志保「ちょ、ちょっと~~~! いくらなんでも個性出し過ぎよ~~!!」
小梅「あ、あの子も……お腹空かせてる……?」
アイドルとしての活動は。
小梅「メ、メイド服……はず、恥ずかしい……」
フレデリカ「大ジョーブ! 小梅ちゃんのメイド服、とっても似合ってるよ!」
小梅「そ、そっかな……」
フレデリカ「そうそう♪ だから、そのカワイイ小梅ちゃんのセンスで、デコレーションもいってみよ~~!」
小梅「な、なら……ここに……目玉を……」
フレデリカ「ウワーオ♪ いいよいいよ、かっわいいよ~~~!!」
小梅「ふふ……み、みんなと一緒……う、うれしい……」
志保「ちょ、ちょっと~~~! いくらなんでも個性出し過ぎよ~~!!」
小梅「あ、あの子も……お腹空かせてる……?」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:21:46.48 :ArxwcA/d0
着実に、着実に。
小梅「こ、コテージでの……お仕事……」
P「……結構、雰囲気あるなぁ……」
小梅「……わっ……」ギュ
P「ヒッ!」ビクッ
小梅「……びっくりさせるの……おもしろい……」
P「小梅、心臓に悪いから、そういうの控えて、お願いします」
着実に、着実に。
小梅「こ、コテージでの……お仕事……」
P「……結構、雰囲気あるなぁ……」
小梅「……わっ……」ギュ
P「ヒッ!」ビクッ
小梅「……びっくりさせるの……おもしろい……」
P「小梅、心臓に悪いから、そういうの控えて、お願いします」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:22:57.03 :ArxwcA/d0
確実に、確実に。
幸子「142’sって……なんだか単純ですね。頭に“カワイイボクと”を付けましょう!」
P「お前なぁ……」
幸子「どんなユニットだろうと、ボクが可愛いのは変わらないですがね!」フフン!
輝子「フヒ!? さっちゃん……レモンティーが……!!」
幸子「え……フギャー!! 不自然な軌道でレモンティーがブッカかったァアアーー!!」
P「なんで少しジョ○ョ風なんだよ……」
小梅「め! ……だ、だめだよ……イタズラしちゃ……」
幸子「……小梅さん、もしかして“あの子”の仕業……!?」
確実に、確実に。
幸子「142’sって……なんだか単純ですね。頭に“カワイイボクと”を付けましょう!」
P「お前なぁ……」
幸子「どんなユニットだろうと、ボクが可愛いのは変わらないですがね!」フフン!
輝子「フヒ!? さっちゃん……レモンティーが……!!」
幸子「え……フギャー!! 不自然な軌道でレモンティーがブッカかったァアアーー!!」
P「なんで少しジョ○ョ風なんだよ……」
小梅「め! ……だ、だめだよ……イタズラしちゃ……」
幸子「……小梅さん、もしかして“あの子”の仕業……!?」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:28:44.64 :ArxwcA/d0
小梅の世界を広げていった。
P「ふう……流石に、あっついなあ……小梅、大丈夫か?」
小梅「う、うん……でも……」
P「ん?」
小梅「あ、あのね……プロデューサーさんのおかげで……そ、外に出るのも……あんまり嫌じゃなくなったかも……えへへ」
P「……そうか……」
小梅「うん……えへへ……でも……、や、やっぱり……つ、次のフェスは……緊張しちゃう……かな……」
P「……大丈夫、小梅ならこのユニットでのフェスも、絶対成功できる」
小梅「う、うん……が、頑張る……! ……あ、あの子……」
P「? どうした、小梅」
小梅「な、なんでもない……?」
小梅の世界を広げていった。
P「ふう……流石に、あっついなあ……小梅、大丈夫か?」
小梅「う、うん……でも……」
P「ん?」
小梅「あ、あのね……プロデューサーさんのおかげで……そ、外に出るのも……あんまり嫌じゃなくなったかも……えへへ」
P「……そうか……」
小梅「うん……えへへ……でも……、や、やっぱり……つ、次のフェスは……緊張しちゃう……かな……」
P「……大丈夫、小梅ならこのユニットでのフェスも、絶対成功できる」
小梅「う、うん……が、頑張る……! ……あ、あの子……」
P「? どうした、小梅」
小梅「な、なんでもない……?」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:29:28.49 :ArxwcA/d0
この時になって、やっと気付いたんだ。
誰も僕の姿は見えていなかった。
だけど、小梅は……最初の友達である僕を無視しなかった。
ずっと一人で、何もない方向いて一人で笑ってた。
周りからすれば君は「可笑しな子」だった……他でもない、僕のせいで。
ああ、ごめん。許してね。
だから僕は……小梅の前から、離れることにした。
この時になって、やっと気付いたんだ。
誰も僕の姿は見えていなかった。
だけど、小梅は……最初の友達である僕を無視しなかった。
ずっと一人で、何もない方向いて一人で笑ってた。
周りからすれば君は「可笑しな子」だった……他でもない、僕のせいで。
ああ、ごめん。許してね。
だから僕は……小梅の前から、離れることにした。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:32:36.42 :ArxwcA/d0
夕立の中を、彷徨い歩く。
おかえり、誰も気にしない僕。
少し前は、こんなの当たり前だった。
僕自身が伽藍堂なのは、当たり前だった。
遠くで、雷が鳴る。
僕には、何も響かない。
夕立の中を、彷徨い歩く。
おかえり、誰も気にしない僕。
少し前は、こんなの当たり前だった。
僕自身が伽藍堂なのは、当たり前だった。
遠くで、雷が鳴る。
僕には、何も響かない。
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:36:21.60 :ArxwcA/d0
空っぽのまま、彷徨っていたとき。
ふと、熱気を感じた。
視線のずっと先に、巨大な人の集まり。
ああ……小梅の言っていたフェスとやらか。
だけど……もう、僕には関係ない話だ。
空っぽのまま、彷徨っていたとき。
ふと、熱気を感じた。
視線のずっと先に、巨大な人の集まり。
ああ……小梅の言っていたフェスとやらか。
だけど……もう、僕には関係ない話だ。
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:40:05.74 :ArxwcA/d0
だけど、その時。
小梅に呼ばれたような気がした。
……僕はいるだけで、彼女は奇異の目に曝されるのに?
それなのに、彼女が僕をよんでいるだって?
僕の都合のいい思い込みじゃないんだろうか。でも……。
ああ、なんという豆腐メンタル。
いっそコイントスで決めようか。
そんな風に迷いながらも……彼女のことが気にかかり……
小梅の元に向かっていた。
だけど、その時。
小梅に呼ばれたような気がした。
……僕はいるだけで、彼女は奇異の目に曝されるのに?
それなのに、彼女が僕をよんでいるだって?
僕の都合のいい思い込みじゃないんだろうか。でも……。
ああ、なんという豆腐メンタル。
いっそコイントスで決めようか。
そんな風に迷いながらも……彼女のことが気にかかり……
小梅の元に向かっていた。
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:43:32.05 :ArxwcA/d0
ああ、僕はなんて支離滅裂な行動を取ってるんだ。
勝手に彼女に憑いて……離れて。
だけど、彼女は……覚えてる限り、僕の友達なんだ。
だから……彼女のためになりたい、助け出したい。
この気持ちだけは残っていた……僕は、まだ伽藍堂じゃなかった。
ああ、僕はなんて支離滅裂な行動を取ってるんだ。
勝手に彼女に憑いて……離れて。
だけど、彼女は……覚えてる限り、僕の友達なんだ。
だから……彼女のためになりたい、助け出したい。
この気持ちだけは残っていた……僕は、まだ伽藍堂じゃなかった。
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:48:09.93 :ArxwcA/d0
輝子「こ、小梅ちゃん……大丈夫……?」
幸子「弱りましたね……こんな時に、ストレス性の胃痛だなんて……」
P「(……昨日までは、緊張しながらも、そこまで体調は崩れてなかった筈だ……なにか……見落としたか……?)」
小梅「うう……お腹……いたい……」
小梅「(……どうしよう……これから本番なのに……このままじゃ……みんなに……迷惑が……)」
小梅「(……あの子……どこいっちゃったんだろう……と、友達なのに……)」
小梅「(うう……どうしよう……どうしよう……!)」
輝子「こ、小梅ちゃん……大丈夫……?」
幸子「弱りましたね……こんな時に、ストレス性の胃痛だなんて……」
P「(……昨日までは、緊張しながらも、そこまで体調は崩れてなかった筈だ……なにか……見落としたか……?)」
小梅「うう……お腹……いたい……」
小梅「(……どうしよう……これから本番なのに……このままじゃ……みんなに……迷惑が……)」
小梅「(……あの子……どこいっちゃったんだろう……と、友達なのに……)」
小梅「(うう……どうしよう……どうしよう……!)」
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:51:54.84 :ArxwcA/d0
――小梅!
小梅「! ……あ……!」
――小梅、大丈夫か!
小梅「……! どこ……いってたの……し、心配……したよ……!?」
――もしかして、体調が良くないの、僕のせい?
小梅「わかんないけど……緊張と……寂しさが……」
――でも、小梅はもういっぱい友達がいるし、信頼できるプロデューサーさんも……
小梅「友達が……ひとりでもいなくなったら……心配するよ!」
――!!
――小梅!
小梅「! ……あ……!」
――小梅、大丈夫か!
小梅「……! どこ……いってたの……し、心配……したよ……!?」
――もしかして、体調が良くないの、僕のせい?
小梅「わかんないけど……緊張と……寂しさが……」
――でも、小梅はもういっぱい友達がいるし、信頼できるプロデューサーさんも……
小梅「友達が……ひとりでもいなくなったら……心配するよ!」
――!!
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 20:58:00.38 :ArxwcA/d0
――ごめん、ごめんね、小梅、そんな簡単なこと、僕は忘れていた。
小梅「うん……うん……わかってくれたなら……いいよ……」
――小梅、僕は君に憑くよ。守護霊の役割を果たす。
小梅「……え?」
――確証はない……霊が憑いていい影響があるかどうか……僕自身にもわからない。
小梅「……」
――だけど、アイドル白坂小梅に傷を付けるなんて、僕は我慢ならない。
――だから……君を助けさせて欲しい。
――ほかならぬ……僕の頼みだ。
小梅「……うん、わかった……」
――……やっぱり君は、前向きに考えてくれるんだね、小梅。
小梅「うん……ほかならぬ、友達の、言うことだから!」
――ごめん、ごめんね、小梅、そんな簡単なこと、僕は忘れていた。
小梅「うん……うん……わかってくれたなら……いいよ……」
――小梅、僕は君に憑くよ。守護霊の役割を果たす。
小梅「……え?」
――確証はない……霊が憑いていい影響があるかどうか……僕自身にもわからない。
小梅「……」
――だけど、アイドル白坂小梅に傷を付けるなんて、僕は我慢ならない。
――だから……君を助けさせて欲しい。
――ほかならぬ……僕の頼みだ。
小梅「……うん、わかった……」
――……やっぱり君は、前向きに考えてくれるんだね、小梅。
小梅「うん……ほかならぬ、友達の、言うことだから!」
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 21:03:28.57 :ArxwcA/d0
小梅「も、戻りました!」
P&輝子&幸子「小梅、大丈夫(か?orなんですか?)」
小梅「は、はい……あの子のおk……いやなんでも……と、とにかく、フェスの最後までは……いけます!!」
幸子「で、でも……無理しない方が……」
P「……いけるのか、小梅」
小梅「……はい」
P「……わかった。いざという時のための準備は、こっちでしておく」
幸子「い、いいんですか、プロデューサーさん!?」
P「小梅と……その友達が、頑張るといってるようだからな、信じてみるさ」
小梅「P……さん!?」
P「よし、そろそろ時間だ、準備はいいな、皆!」
皆「「「「はい!!」」」」
小梅「も、戻りました!」
P&輝子&幸子「小梅、大丈夫(か?orなんですか?)」
小梅「は、はい……あの子のおk……いやなんでも……と、とにかく、フェスの最後までは……いけます!!」
幸子「で、でも……無理しない方が……」
P「……いけるのか、小梅」
小梅「……はい」
P「……わかった。いざという時のための準備は、こっちでしておく」
幸子「い、いいんですか、プロデューサーさん!?」
P「小梅と……その友達が、頑張るといってるようだからな、信じてみるさ」
小梅「P……さん!?」
P「よし、そろそろ時間だ、準備はいいな、皆!」
皆「「「「はい!!」」」」
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 21:07:32.97 :ArxwcA/d0
フェスは大盛況だった。
広がる声、躍動するダンス。
昨日の夕立は嘘のような、深い青空のもとで。
天地を返すような、歌が響き渡る。
これが……小梅が、いや小梅たちが手を伸ばして、確かに手入れた世界。
ああ……やっぱり、僕は小梅たちから離れたくないや。
僕はまだ、君と遊んでいたい。
フェスは大盛況だった。
広がる声、躍動するダンス。
昨日の夕立は嘘のような、深い青空のもとで。
天地を返すような、歌が響き渡る。
これが……小梅が、いや小梅たちが手を伸ばして、確かに手入れた世界。
ああ……やっぱり、僕は小梅たちから離れたくないや。
僕はまだ、君と遊んでいたい。
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 21:13:06.05 :ArxwcA/d0
小梅「浴衣……なんだか、変な感じ……」
P「おお、似合ってるぞ、小梅。……体調の方は、もう本当に大丈夫か?」
小梅「うん……も、問題なし……です……」
P「そうか……よかった。輝子と幸子の着替えも、じきに終わるだろう」
小梅「うん……そしたら……みんなで……いこうね……お祭り……!」
小梅「浴衣……なんだか、変な感じ……」
P「おお、似合ってるぞ、小梅。……体調の方は、もう本当に大丈夫か?」
小梅「うん……も、問題なし……です……」
P「そうか……よかった。輝子と幸子の着替えも、じきに終わるだろう」
小梅「うん……そしたら……みんなで……いこうね……お祭り……!」
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 21:17:19.67 :ArxwcA/d0
小梅「プ、プロデューサーさんが、連れ出してくれたからね……この、太陽の下に」
P「……でも、ここまでやれたのは、小梅自身と、仲間のおかげさ」
小梅「う、うん……わたし……プ、プロデューサーさんも……事務所の皆も、だ、大好き……大好きです……へへ……」
小梅「あの、夜は肝試し、連れていってあげる…… あの子も早く、って言ってるから……!!」
P「!? え……なんか……それ……大丈夫……なのか……!?」
小梅「だいじょうぶ! 今日も助けてくれたし……あの子は……友達だから!!」
小梅「プ、プロデューサーさんが、連れ出してくれたからね……この、太陽の下に」
P「……でも、ここまでやれたのは、小梅自身と、仲間のおかげさ」
小梅「う、うん……わたし……プ、プロデューサーさんも……事務所の皆も、だ、大好き……大好きです……へへ……」
小梅「あの、夜は肝試し、連れていってあげる…… あの子も早く、って言ってるから……!!」
P「!? え……なんか……それ……大丈夫……なのか……!?」
小梅「だいじょうぶ! 今日も助けてくれたし……あの子は……友達だから!!」
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 21:18:42.49 :ArxwcA/d0
くぅ(略
というわけで、終わりです。
ちなみに、モチーフにした曲はこれです↓
くぅ(略
というわけで、終わりです。
ちなみに、モチーフにした曲はこれです↓
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/07/19(金) 22:42:55.84 :N8BsiTVTo
おつおつ
コメント
小梅ちゃんカワユス
ますます深まる「あの子」の謎
みくにゃんだろ普通
失望しました。みくにゃんのファンやめます。
アイデンティティーがクライシスしないみくにゃんに失望しました、みくにゃんのファンやめます