1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:34:00.07 :a9H2BqDx0
真「はい」
P「……一応聞くが、どうしてだ」
真「もう、王子様扱いされるのはイヤなんです」
P「また随分と贅沢な悩みもあったもんだな」
真「マジメに聞いてください!」
P「別に、茶化してるわけじゃないさ。ただ、そこまで嫌がる理由が俺には分からん」
真「……プロデューサーにも話したと思いますけど、ボクは女の子らしくなりたくてアイドルになったんです」
真「なのに、もらえる仕事はどれも『真王子』ばかり求められて……」
P「全然女の子らしくなれない。それが不満、ってことか」
P「……なぁ、真。お前、自分が何言ってるか分かってんのか?」
真「小娘が生意気な口を利くな、って言いたいんですか」
P「そこまで言うつもりはないがな。まぁ、そんなところだ」
真「はい」
P「……一応聞くが、どうしてだ」
真「もう、王子様扱いされるのはイヤなんです」
P「また随分と贅沢な悩みもあったもんだな」
真「マジメに聞いてください!」
P「別に、茶化してるわけじゃないさ。ただ、そこまで嫌がる理由が俺には分からん」
真「……プロデューサーにも話したと思いますけど、ボクは女の子らしくなりたくてアイドルになったんです」
真「なのに、もらえる仕事はどれも『真王子』ばかり求められて……」
P「全然女の子らしくなれない。それが不満、ってことか」
P「……なぁ、真。お前、自分が何言ってるか分かってんのか?」
真「小娘が生意気な口を利くな、って言いたいんですか」
P「そこまで言うつもりはないがな。まぁ、そんなところだ」
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:36:25.05 :a9H2BqDx0
P「この前のライブ以降、確かに仕事は増えた。スケジュールの都合が合わなくて、断るものが出てくるくらいにな」
真「だったら、その中に真王子じゃない仕事もあるはずですよね」
P「まぁな。全部断ったが」
真「なっ……!」
P「なんだ、そんなに意外だったか?」
真「じゃあ……『真王子』はプロデューサーが意図的に作ったってことですか」
P「最初からってわけじゃないけどな。もちろん、今後の展開もしっかり考え――」
真「……もういいです。レッスン場、行ってきます」
P「そうかい。あー、真。明後日の仕事、行きませんは通らないからな」
真「……行ってきます」
P「この前のライブ以降、確かに仕事は増えた。スケジュールの都合が合わなくて、断るものが出てくるくらいにな」
真「だったら、その中に真王子じゃない仕事もあるはずですよね」
P「まぁな。全部断ったが」
真「なっ……!」
P「なんだ、そんなに意外だったか?」
真「じゃあ……『真王子』はプロデューサーが意図的に作ったってことですか」
P「最初からってわけじゃないけどな。もちろん、今後の展開もしっかり考え――」
真「……もういいです。レッスン場、行ってきます」
P「そうかい。あー、真。明後日の仕事、行きませんは通らないからな」
真「……行ってきます」
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:38:14.79 :a9H2BqDx0
P「ふー……」
律子「ワザとですか?」
P「なんのことだか」
律子「……まぁ、プロデューサー殿の方針に口出しする気はありませんけど」
律子「早めに終わらせてくださいね。周りの子にも影響ありますから」
P「ん……そうだな」
P「それじゃ、俺も出てくるわ」
律子「通りそうですか?」
P「五分五分ってとこだな。まぁ、先方は話の通じる人だし、やってみるさ」
P「ふー……」
律子「ワザとですか?」
P「なんのことだか」
律子「……まぁ、プロデューサー殿の方針に口出しする気はありませんけど」
律子「早めに終わらせてくださいね。周りの子にも影響ありますから」
P「ん……そうだな」
P「それじゃ、俺も出てくるわ」
律子「通りそうですか?」
P「五分五分ってとこだな。まぁ、先方は話の通じる人だし、やってみるさ」
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:40:15.84 :a9H2BqDx0
真(原因がプロデューサーにあったなんて)
真(使えるものは何でも使う、それがあの人の方針だと知ってはいたけど……)
真(――くそっ!)
春香「ちょ、ちょっと真!? 早いってば、待っ……うわぁ!」
真「! ご、ごめん。大丈夫、春香?」
春香「アイタタ……うん、なんとか」
真「そっか、ごめんね……」
春香「……ねぇ、真。何かあった?」
真(原因がプロデューサーにあったなんて)
真(使えるものは何でも使う、それがあの人の方針だと知ってはいたけど……)
真(――くそっ!)
春香「ちょ、ちょっと真!? 早いってば、待っ……うわぁ!」
真「! ご、ごめん。大丈夫、春香?」
春香「アイタタ……うん、なんとか」
真「そっか、ごめんね……」
春香「……ねぇ、真。何かあった?」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:42:18.59 :a9H2BqDx0
真「えっ? い、いや特にないけど。……どうして?」
春香「あ、うん。なんとなく、なんだけどね。何か考え事してるみたいだったから」
真「春香……」
春香「ああ、でも、言いたくないことだったら無理に言わなくても、うん」
真「……春香は優しいね」
真「よく気がつくし、すぐ気付けないくらい細やかな配慮もしてくれるし」
春香「そ、そんなこと///」
真「持ってきてくれるお菓子も美味しいし、料理も出来るし」
真「やっぱり、ボクなんかよりも春香みたいな子のほうが……」
真「えっ? い、いや特にないけど。……どうして?」
春香「あ、うん。なんとなく、なんだけどね。何か考え事してるみたいだったから」
真「春香……」
春香「ああ、でも、言いたくないことだったら無理に言わなくても、うん」
真「……春香は優しいね」
真「よく気がつくし、すぐ気付けないくらい細やかな配慮もしてくれるし」
春香「そ、そんなこと///」
真「持ってきてくれるお菓子も美味しいし、料理も出来るし」
真「やっぱり、ボクなんかよりも春香みたいな子のほうが……」
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:44:29.90 :a9H2BqDx0
春香「……真?」
真「春香。ボクのこと、どう思う?」
春香「えっ? どう、って言われても……」
真「……回りくどいのは苦手だから、ハッキリ言うね。ボクの売り出し方、真王子について、どう思う?」
春香「真王子? うーん、売り出し方とかよく分からないけど」
春香「私は、真らしいと思うよ」
真「ボク、らしい?」
春香「……真?」
真「春香。ボクのこと、どう思う?」
春香「えっ? どう、って言われても……」
真「……回りくどいのは苦手だから、ハッキリ言うね。ボクの売り出し方、真王子について、どう思う?」
春香「真王子? うーん、売り出し方とかよく分からないけど」
春香「私は、真らしいと思うよ」
真「ボク、らしい?」
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:46:20.51 :a9H2BqDx0
春香「うん。だって、うちの事務所で真以外に王子様として売り出せそうな人って、いないでしょ?」
真「……じゃあ、ボクは消去法で王子様にされたってこと?」
春香「えっ!? そ、そういうことじゃなくて、えっとね」
真「いや……ごめん春香。ボク、ちょっと疲れてるみたいだ。少し横になってくるね」
春香「あっ、真」
春香「……ずっと、気にしてたのかな」
春香「いつも、努力してるんだよね」
春香「この前、教えてもらった少女マンガは……ともかく」
春香「……よしっ」
春香「うん。だって、うちの事務所で真以外に王子様として売り出せそうな人って、いないでしょ?」
真「……じゃあ、ボクは消去法で王子様にされたってこと?」
春香「えっ!? そ、そういうことじゃなくて、えっとね」
真「いや……ごめん春香。ボク、ちょっと疲れてるみたいだ。少し横になってくるね」
春香「あっ、真」
春香「……ずっと、気にしてたのかな」
春香「いつも、努力してるんだよね」
春香「この前、教えてもらった少女マンガは……ともかく」
春香「……よしっ」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:48:08.22 :a9H2BqDx0
春香「戻りましたー」
律子「おかえり、春香。あら、真は?」
春香「体調が良くないみたいで、レッスン終わったらそのまま帰りました」
律子「そう……。まぁ、今日は直帰でも大丈夫だったから良いんだけど。心配ね」
春香「あの、律子さん。プロデューサーさんは?」
律子「プロデューサーなら外で打ち合わせ中よ。そろそろ戻ってくる頃じゃないかしら」
P「戻ったぞー」
律子「噂をすれば、ね」
P「ん、何の話だ?」
春香「あの、プロデューサーさん。お話したいことがあるんですけど、いいですか?」
P「話? ……分かった、荷物置いてくるから、会議室で待っててくれ」
春香「戻りましたー」
律子「おかえり、春香。あら、真は?」
春香「体調が良くないみたいで、レッスン終わったらそのまま帰りました」
律子「そう……。まぁ、今日は直帰でも大丈夫だったから良いんだけど。心配ね」
春香「あの、律子さん。プロデューサーさんは?」
律子「プロデューサーなら外で打ち合わせ中よ。そろそろ戻ってくる頃じゃないかしら」
P「戻ったぞー」
律子「噂をすれば、ね」
P「ん、何の話だ?」
春香「あの、プロデューサーさん。お話したいことがあるんですけど、いいですか?」
P「話? ……分かった、荷物置いてくるから、会議室で待っててくれ」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:50:15.71 :a9H2BqDx0
P「それで、話って?」
春香「真のことです」
P「まぁ、そうだろうな」
春香「今日は2人でダンスレッスンだったんですけど、ずっと考え込んでたみたいで」
春香「……何か、あったんですか?」
P「朝にちょっとな。だが、春香が気にするようなことじゃない」
春香「気になりますよ! ……真に聞かれたんです、真王子についてどう思う、って」
春香「私、あまり深く考えずに答えちゃって。それが真を傷つけたみたいで」
春香「真……辛そうでした」
P「それで、話って?」
春香「真のことです」
P「まぁ、そうだろうな」
春香「今日は2人でダンスレッスンだったんですけど、ずっと考え込んでたみたいで」
春香「……何か、あったんですか?」
P「朝にちょっとな。だが、春香が気にするようなことじゃない」
春香「気になりますよ! ……真に聞かれたんです、真王子についてどう思う、って」
春香「私、あまり深く考えずに答えちゃって。それが真を傷つけたみたいで」
春香「真……辛そうでした」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:52:20.01 :a9H2BqDx0
P「……なんて答えたんだ?」
春香「真らしいって、真以外に出来る人はいないって……」
P「ふむ、まぁ間違ってはいないな」
春香「でも、真が女の子らしくなりたいってこと、知ってたのに。私……」
P「……なぁ、春香。お前も真もアイドルだよな?」
春香「えっ? そ、そうですけど、プロデューサーさん、一体なにを」
P「じゃあ、そんな春香に一つ問題」
P「アイドルを形作っているものって、何だと思う?」
P「……なんて答えたんだ?」
春香「真らしいって、真以外に出来る人はいないって……」
P「ふむ、まぁ間違ってはいないな」
春香「でも、真が女の子らしくなりたいってこと、知ってたのに。私……」
P「……なぁ、春香。お前も真もアイドルだよな?」
春香「えっ? そ、そうですけど、プロデューサーさん、一体なにを」
P「じゃあ、そんな春香に一つ問題」
P「アイドルを形作っているものって、何だと思う?」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:54:27.53 :a9H2BqDx0
真(なんだろう、体が動かないわけじゃないのに)
真(……明日、ちゃんと春香に謝らないと)
真(イラついて、他人に当たるなんて。はぁ……)
PiPiPi
真「ん、メール?」
真「あ、春香からだ。えっと……」
真「……!」
真「そっか……そうだよね」
真「ありがとう、春香」
真(なんだろう、体が動かないわけじゃないのに)
真(……明日、ちゃんと春香に謝らないと)
真(イラついて、他人に当たるなんて。はぁ……)
PiPiPi
真「ん、メール?」
真「あ、春香からだ。えっと……」
真「……!」
真「そっか……そうだよね」
真「ありがとう、春香」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:56:13.03 :a9H2BqDx0
PiPiPi
真「今度は着信、って……」
真「……」
Pi
真「……もしもし」
P『真、今大丈夫か?』
真「大丈夫ですけど。……釘でも刺す気ですか?」
P『お前はそこまで聞き分けも頭も悪くないだろ。それより、明日のことだ』
PiPiPi
真「今度は着信、って……」
真「……」
Pi
真「……もしもし」
P『真、今大丈夫か?』
真「大丈夫ですけど。……釘でも刺す気ですか?」
P『お前はそこまで聞き分けも頭も悪くないだろ。それより、明日のことだ』
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 20:58:10.53 :a9H2BqDx0
真「明日って、映画の吹き替えオーディションのことですか」
P『そうだ。当初の予定では、ヒロインを支える若い騎士役だったんだが』
真「もしかして、配役の変更とか」
P『いや、騎士役は変わらない。ただ、もう一つ役を選べるようになった』
真「もう一つ?」
P『姫役、つまりヒロインだ』
真「!」
真「明日って、映画の吹き替えオーディションのことですか」
P『そうだ。当初の予定では、ヒロインを支える若い騎士役だったんだが』
真「もしかして、配役の変更とか」
P『いや、騎士役は変わらない。ただ、もう一つ役を選べるようになった』
真「もう一つ?」
P『姫役、つまりヒロインだ』
真「!」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:00:17.09 :a9H2BqDx0
P『ただし、選べるのはどちらか一つだけ。さらに言うと、騎士役は先方の希望でもあったから、ほぼ内定状態だ』
P『それに対して、ヒロインは完全に実力勝負。ハッキリ言って、お前が勝ち取る確立は低い』
真「……」
P『ヒロインがやりたければ、それでも構わない。だが、ヒロインがダメだったら騎士役に、なんてことは出来ないからな』
真「分かってます。……少し、考えさせてください」
P『……まぁ、オーディションの時に先方に伝えてくれれば、それで構わない』
P『そういうわけだから、よく考えてくれ。それじゃ』
Pi
真「……ボクが、お姫様」
P『ただし、選べるのはどちらか一つだけ。さらに言うと、騎士役は先方の希望でもあったから、ほぼ内定状態だ』
P『それに対して、ヒロインは完全に実力勝負。ハッキリ言って、お前が勝ち取る確立は低い』
真「……」
P『ヒロインがやりたければ、それでも構わない。だが、ヒロインがダメだったら騎士役に、なんてことは出来ないからな』
真「分かってます。……少し、考えさせてください」
P『……まぁ、オーディションの時に先方に伝えてくれれば、それで構わない』
P『そういうわけだから、よく考えてくれ。それじゃ』
Pi
真「……ボクが、お姫様」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:02:08.77 :a9H2BqDx0
律子「勝ち取る可能性が低い、なんて本当は思っていませんよね」
P「盗み聞きなんて、あまり良い趣味とはいえないな」
律子「プロデューサー殿の声が大きいんですよ。それより、良いんですか?」
P「なに――」
律子「この期に及んで、「何が」は通じませんから」
P「……問題はないだろう。俺としてはトコトン煮詰めたいんだけどな」
律子「勝ち取る可能性が低い、なんて本当は思っていませんよね」
P「盗み聞きなんて、あまり良い趣味とはいえないな」
律子「プロデューサー殿の声が大きいんですよ。それより、良いんですか?」
P「なに――」
律子「この期に及んで、「何が」は通じませんから」
P「……問題はないだろう。俺としてはトコトン煮詰めたいんだけどな」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:04:17.66 :a9H2BqDx0
律子「焦げ付くくらいなら、火を止めて盛り付ける、ですか」
P「……まぁ、な」
律子「……それがプロデューサー殿の判断なら、私が口出しすることはありませんね」
P「これでも学習してるんでな」
律子「そうですね……さって、それじゃ行ってきます。今日はもう事務所に戻らないので、鍵お願いしますね」
P「ああ、分かった」
P「……」
律子「焦げ付くくらいなら、火を止めて盛り付ける、ですか」
P「……まぁ、な」
律子「……それがプロデューサー殿の判断なら、私が口出しすることはありませんね」
P「これでも学習してるんでな」
律子「そうですね……さって、それじゃ行ってきます。今日はもう事務所に戻らないので、鍵お願いしますね」
P「ああ、分かった」
P「……」
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:06:29.63 :a9H2BqDx0
真(日課のジョギングもしたし、朝ごはんもちゃんと食べた)
真(台本もしっかり読み込んできたし、体調は万全)
審査員「えーと、菊地さんはヒロインと騎士のどちらか、ということでしたが」
真「はい、ボクは……」
真(春香、律子、それとプロデューサー)
真(ボクは、ボクの夢は……)
真「――で、お願いします」
審査員「分かりました。それではp.21、宰相の追手から逃れるシーンを、お願いします」
真「はい!」
真(日課のジョギングもしたし、朝ごはんもちゃんと食べた)
真(台本もしっかり読み込んできたし、体調は万全)
審査員「えーと、菊地さんはヒロインと騎士のどちらか、ということでしたが」
真「はい、ボクは……」
真(春香、律子、それとプロデューサー)
真(ボクは、ボクの夢は……)
真「――で、お願いします」
審査員「分かりました。それではp.21、宰相の追手から逃れるシーンを、お願いします」
真「はい!」
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:08:38.27 :a9H2BqDx0
律子「それで、どうなったんですか?」
P「まだ聞いてない」
律子「えっ?」
P「いや、聞いたんだけどな、「記者会見までのお楽しみ」とか言って、教えてくれなかった」
律子「……一応、役は貰えてるみたいですね」
P「そうだと思うが……お、そろそろ始まるな」
律子「それにしても、担当プロデューサーがテレビの前に居るって、どうなんですか」
P「仲直りする条件らしい。代わりに、小鳥さんに行ってもらってるし、なんとかなるだろ」
律子「色々とおかしい気もしますけどね……あ、始まった」
律子「それで、どうなったんですか?」
P「まだ聞いてない」
律子「えっ?」
P「いや、聞いたんだけどな、「記者会見までのお楽しみ」とか言って、教えてくれなかった」
律子「……一応、役は貰えてるみたいですね」
P「そうだと思うが……お、そろそろ始まるな」
律子「それにしても、担当プロデューサーがテレビの前に居るって、どうなんですか」
P「仲直りする条件らしい。代わりに、小鳥さんに行ってもらってるし、なんとかなるだろ」
律子「色々とおかしい気もしますけどね……あ、始まった」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:10:09.66 :a9H2BqDx0
P「おっ、さて真は、と……!?」
律子「あら、これは……」
司会『続きまして、ヒロインに仕える若き騎士の吹き替えを担当する、菊地真さんです』
真『吹き替えは初めての経験なので緊張しますが、期待に応えられるよう頑張ります!』
司会『はい、ありがとうございます。さて、続きまして……』
P「これは……」
律子「どうやら、火をつけちゃったみたいですね」
P「……そうみたいだな」
P「おっ、さて真は、と……!?」
律子「あら、これは……」
司会『続きまして、ヒロインに仕える若き騎士の吹き替えを担当する、菊地真さんです』
真『吹き替えは初めての経験なので緊張しますが、期待に応えられるよう頑張ります!』
司会『はい、ありがとうございます。さて、続きまして……』
P「これは……」
律子「どうやら、火をつけちゃったみたいですね」
P「……そうみたいだな」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:12:26.04 :a9H2BqDx0
真「ただいま戻りましたー」
律子「おかえり、真。プロデューサー、待ってるわよ」
真「ん、分かった」
春香「真!」
真「春香……この前は、ごめんね」
春香「いいんだよ、そんなこと。……それより、決めたんだね」
真「うん。春香のおかげだよ」
真「ただいま戻りましたー」
律子「おかえり、真。プロデューサー、待ってるわよ」
真「ん、分かった」
春香「真!」
真「春香……この前は、ごめんね」
春香「いいんだよ、そんなこと。……それより、決めたんだね」
真「うん。春香のおかげだよ」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:14:13.69 :a9H2BqDx0
春香「えへへ。でも、それは私じゃなくて――」
律子「ほーら真、急いだ急いだ」
真「えっ、あっ、そうだね。ごめん春香、また後でね!」
春香「あ、うん」
春香「……律子さん?」
律子「今はそういうことにしときなさい、ね?」
春香「……はいっ」
春香「えへへ。でも、それは私じゃなくて――」
律子「ほーら真、急いだ急いだ」
真「えっ、あっ、そうだね。ごめん春香、また後でね!」
春香「あ、うん」
春香「……律子さん?」
律子「今はそういうことにしときなさい、ね?」
春香「……はいっ」
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:16:07.20 :a9H2BqDx0
真「失礼します」
P「おう、まぁ座れ」
P「……さて、それで?」
真「なんですか?」
P「……聞きたいことは幾つかある、まぁ一つずつ片付けていくか」
P「まず、何で俺に選んだ役を伝えなかった?」
真「プロデューサーを驚かせたかったので」
真「失礼します」
P「おう、まぁ座れ」
P「……さて、それで?」
真「なんですか?」
P「……聞きたいことは幾つかある、まぁ一つずつ片付けていくか」
P「まず、何で俺に選んだ役を伝えなかった?」
真「プロデューサーを驚かせたかったので」
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:18:19.37 :a9H2BqDx0
P「だから会見にも付いてこさせなかったってことか」
P「次に行く前に……俺を驚かせるって言ったな」
真「言いましたね」
P「何で真が騎士の役を選んだら、俺が驚くんだ?」
真「プロデューサーは、ボクを焚きつけてヒロイン役を取らせようとしていたんですよね?」
真「だから、騎士の役を選んだと知ったら驚くと思ったんですけど」
P「……なるほどな」
P「だから会見にも付いてこさせなかったってことか」
P「次に行く前に……俺を驚かせるって言ったな」
真「言いましたね」
P「何で真が騎士の役を選んだら、俺が驚くんだ?」
真「プロデューサーは、ボクを焚きつけてヒロイン役を取らせようとしていたんですよね?」
真「だから、騎士の役を選んだと知ったら驚くと思ったんですけど」
P「……なるほどな」
24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:20:25.85 :a9H2BqDx0
P「じゃあ、最後の質問だ。何で、騎士役を選んだ」
真「だから、言ったじゃないですか、プロデューサーの」
P「俺の思惑に乗りたくない、それだけでは理由として不十分だ」
真「……」
P「ヒロインを勝ち取ったら、お前の望む女の子らしい仕事は確実に増える」
P「流れが出来ちまえば後は簡単、その流れを作る絶好の機会だったんだぞ」
真「……そうかもしれません。でも、それは今じゃない、ですよね?」
P「……律子か」
P「じゃあ、最後の質問だ。何で、騎士役を選んだ」
真「だから、言ったじゃないですか、プロデューサーの」
P「俺の思惑に乗りたくない、それだけでは理由として不十分だ」
真「……」
P「ヒロインを勝ち取ったら、お前の望む女の子らしい仕事は確実に増える」
P「流れが出来ちまえば後は簡単、その流れを作る絶好の機会だったんだぞ」
真「……そうかもしれません。でも、それは今じゃない、ですよね?」
P「……律子か」
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:22:17.51 :a9H2BqDx0
真「それに、春香にも言われたんです」
真「ボクたち、アイドルってどういう存在なのか」
真「だから、ボクはまだ王子様のままでいい」
P「本当に、それでいいんだな」
真「はい。お姫様には自分の力でなります」
真「吠え面をかかせてあげますから、覚悟してくださいね、プロデューサー?」
P「……それはいいが、そのセリフ、外では絶対に使うなよ」
真「それに、春香にも言われたんです」
真「ボクたち、アイドルってどういう存在なのか」
真「だから、ボクはまだ王子様のままでいい」
P「本当に、それでいいんだな」
真「はい。お姫様には自分の力でなります」
真「吠え面をかかせてあげますから、覚悟してくださいね、プロデューサー?」
P「……それはいいが、そのセリフ、外では絶対に使うなよ」
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:24:24.50 :a9H2BqDx0
――P「アイドルを形作っているものって、何だと思う?」
――春香「形作っているもの、ですか?」
――春香「うーん、プロデューサーさん、とか」
――P「一因ではあるが、それが全てではないな」
――春香「それじゃあ、テレビ局の人とか、出版社の人とか……あと、レッスンコーチとか」
――春香「あっ、それにファンの人たちも!」
――P「そうだな。まぁ、ファンという答えが一番近いかもな」
――P「アイドルを形作っているものって、何だと思う?」
――春香「形作っているもの、ですか?」
――春香「うーん、プロデューサーさん、とか」
――P「一因ではあるが、それが全てではないな」
――春香「それじゃあ、テレビ局の人とか、出版社の人とか……あと、レッスンコーチとか」
――春香「あっ、それにファンの人たちも!」
――P「そうだな。まぁ、ファンという答えが一番近いかもな」
27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:26:08.51 :a9H2BqDx0
――P「アイドルは、ファンがいて初めて成り立つ」
――P「つまり、受け手側の認識によるところが大きいんだ」
――P「看板娘っているだろ? 彼女達はアイドルじゃない一般の人だ。だが、その店に通う客にとって、看板娘はアイドルそのものなんだ」
――P「逆に、いくらアイドルだと主張しても、『世間』がそれを認めなければアイドルとしてやっていけない」
――春香「確かに……」
――P「真がどうしたいのか、俺だって分かっているつもりだよ」
――春香「……そう、ですよね。時間とらせちゃってすみません。私、今日はもう帰りますね」
――P「そうか。気をつけてな」
――春香「はい」
――P「アイドルは、ファンがいて初めて成り立つ」
――P「つまり、受け手側の認識によるところが大きいんだ」
――P「看板娘っているだろ? 彼女達はアイドルじゃない一般の人だ。だが、その店に通う客にとって、看板娘はアイドルそのものなんだ」
――P「逆に、いくらアイドルだと主張しても、『世間』がそれを認めなければアイドルとしてやっていけない」
――春香「確かに……」
――P「真がどうしたいのか、俺だって分かっているつもりだよ」
――春香「……そう、ですよね。時間とらせちゃってすみません。私、今日はもう帰りますね」
――P「そうか。気をつけてな」
――春香「はい」
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:28:11.93 :a9H2BqDx0
P「ふぅ……」
律子「お疲れ様です」
P「……楽しそうだな」
律子「そうですか?」
P「春香が動くのは分かってたが、律子は想定外だった」
律子「真にも選択権がないと、不公平ですから」
P「……悪かったよ」
律子「もういいです、それは何度も聞きましたから」
P「ふぅ……」
律子「お疲れ様です」
P「……楽しそうだな」
律子「そうですか?」
P「春香が動くのは分かってたが、律子は想定外だった」
律子「真にも選択権がないと、不公平ですから」
P「……悪かったよ」
律子「もういいです、それは何度も聞きましたから」
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:30:07.93 :a9H2BqDx0
律子「それよりも、これからの真のこと、ちゃんと考えてあげてくださいね」
P「ああ、そうだな。それにしても、吠え面かかせる、ねぇ」
律子「出来ないと思ってます?」
P「さぁな。まぁ、アカデミー主演女優賞でも取ったらな」
律子「取ったら、なんです?」
P「……律子、何か企んでないか?」
律子「それよりも、これからの真のこと、ちゃんと考えてあげてくださいね」
P「ああ、そうだな。それにしても、吠え面かかせる、ねぇ」
律子「出来ないと思ってます?」
P「さぁな。まぁ、アカデミー主演女優賞でも取ったらな」
律子「取ったら、なんです?」
P「……律子、何か企んでないか?」
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:32:13.43 :a9H2BqDx0
律子「そんなことより、真がアカデミー主演女優賞取ったら、何をしてあげるんですか」
P「そうだな、夜景の見える超高級レストランでのディナーをご馳走してやるよ」
律子「……ちょっと安くないですか?」
P「お前な……おっと、もう時間だ。行ってくる」
律子「はーい……ふふ、随分余裕みたいだけど、どうなるかしらね」
律子「とりあえず、真に教えておきましょうか」
おわり
律子「そんなことより、真がアカデミー主演女優賞取ったら、何をしてあげるんですか」
P「そうだな、夜景の見える超高級レストランでのディナーをご馳走してやるよ」
律子「……ちょっと安くないですか?」
P「お前な……おっと、もう時間だ。行ってくる」
律子「はーい……ふふ、随分余裕みたいだけど、どうなるかしらね」
律子「とりあえず、真に教えておきましょうか」
おわり
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:35:37.52 :a9H2BqDx0
おまけ
「アカデミー主演女優賞受賞、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「それでは、お話を伺っていこうと思います。まず、この喜びを誰に伝えたいですか?」
「そうですね、やはり私を育ててくれた両親に。それと、昔の仲間にも直接会って話をしたいですね」
「なるほど。アカデミー主演女優賞にはこだわりがあるとお聞きしたのですが、なにか理由があるのですか?」
「ええ、ある人との約束……いえ、賭けみたいなものでしょうか」
おまけ
「アカデミー主演女優賞受賞、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「それでは、お話を伺っていこうと思います。まず、この喜びを誰に伝えたいですか?」
「そうですね、やはり私を育ててくれた両親に。それと、昔の仲間にも直接会って話をしたいですね」
「なるほど。アカデミー主演女優賞にはこだわりがあるとお聞きしたのですが、なにか理由があるのですか?」
「ええ、ある人との約束……いえ、賭けみたいなものでしょうか」
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:37:02.42 :a9H2BqDx0
「賭け、ですか」
「そうです。そして、見事私が勝ちを収めました。ふふ、あの人の吠え面が目に浮かぶよう」
「えっ……と」
「あら、失礼しました。さっきのところはカットでお願いします」
「は、はい。では次に……」
(ふふ、私は受賞できましたよ、だから……)
(ボクとの約束、ちゃんと守ってくださいね、プロデューサー)
今度こそ終わり
「賭け、ですか」
「そうです。そして、見事私が勝ちを収めました。ふふ、あの人の吠え面が目に浮かぶよう」
「えっ……と」
「あら、失礼しました。さっきのところはカットでお願いします」
「は、はい。では次に……」
(ふふ、私は受賞できましたよ、だから……)
(ボクとの約束、ちゃんと守ってくださいね、プロデューサー)
今度こそ終わり
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2013/08/31(土) 21:40:46.80 :a9H2BqDx0
以上です
そういえば、真の誕生日もあったね
乗り遅れた感がすごいけど見逃してやってくだせい
真おめでとう!
以上です
そういえば、真の誕生日もあったね
乗り遅れた感がすごいけど見逃してやってくだせい
真おめでとう!
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