穂乃果「今日観るのは…」

海未「『美女と野獣』…」

海未「某劇団のミュージカルです！」

穂乃果「美女と野獣かぁ～」

穂乃果「よく名前は聞くけど、内容はあんまり知らないんだよね」

海未「私はよく知っています」

穂乃果「海未ちゃん、お姫様とか好きだもんね～」

海未「なぁっ？」

海未「べ、別に、お姫様に憧れてるとか！そういうんじゃ…」ﾎﾞｿｯ

穂乃果「？」

海未「とにかく！早く会場まで行きましょう」

穂乃果「海未ちゃんはミュージカルとかよく観るの？」

海未「まあ、家が日舞の家元ですから…」

海未「舞台というものに強く関心がありますし…」

海未「昔はよく母に連れて来てもらいました」

海未「というか穂乃果も一度、一緒に来たことありますよ？」

穂乃果「え゛？」

海未「覚えてないですよね」

海未「あの時穂乃果は席についた瞬間から眠ってましたし…」

穂乃果「そ、そうだっけ…？あはは…」

海未「だから！」ｽｯ

海未「今日は眠っちゃ嫌ですよっ！」ﾑﾆﾑﾆ

穂乃果「わはっへふよ～」

穂乃果「今日は楽しみだったんだから！」

穂乃果「絶対寝たりしないもーん」

海未「ふふっ、そうですか」

海未「あっ、もう入れるみたいですよ」

海未「行きましょう」

穂乃果「うん！」

・・・・


穂乃果「何だかわくわくするねっ！」ﾜｸﾜｸ

海未「そうですねっ！」ﾄﾞｷﾄﾞｷ


ﾌﾞｰｰｰｰｰｰｰ

海未「あっ！始まります！」ﾋｿﾋｿ

海未「ここからは集中ですよ！」ﾋｿﾋｿ

穂乃果「わかったよ！」ﾋｿﾋｿ

上演後

穂乃果「うぅ～」

穂乃果「よかったよ～」

海未「ですねぇ」

穂乃果「ファンタジーの世界に引き込まれた…」

穂乃果「あと三回は連続で見れるよ！」

穂乃果「そのくらい楽しかった！」

海未「穂乃果がそこまで褒めるって珍しいですね」

穂乃果「そうかな？」

穂乃果「穂乃果、結構何でも良かった良かった言う方だよ？」

海未「穂乃果はつまらないと寝てしまいますからね」

海未「ずっと、起きてたってことは余程楽しかったでしょう」

穂乃果「ぶぅぅ」

穂乃果「だから、海未ちゃんが誘ってくれたから、絶対寝ないって言ったじゃん！」

海未「でも正直、つまらなかったら寝てたでしょう？」

穂乃果「うっ…それは…」

海未「ふふっ、ごめんなさい」

海未「もういいですよ」

海未「それより、この後どうしますか？」

穂乃果「そうだね～」

穂乃果「ミュージカルの話いっぱいしたいから、お茶でも」

海未「いいですね」


・・・・
喫茶店


穂乃果「ミュージカル良かったね～」

穂乃果「感動しちゃった」

穂乃果「やっぱり真実の愛っていいよね」

海未「そうですね」

海未「見た目や身分、その他諸々の要素を抜きにして愛し合える…」

海未「それって素晴らしいことだと思います」

穂乃果「はぁぁ、穂乃果感動しちゃったよ～」

海未「ふふっ、それ何度も聞きましたよ」

穂乃果「自然と口から出ちゃうの！」

海未「まあ、わかりますよ」

穂乃果「あっ、そういえばさ」

海未「はい？」

穂乃果「海未ちゃんってさ、昔から幼稚園の劇とかでもさ」

穂乃果「お姫様とか、ヒロインになりたいって言ってたじゃない？」

海未「そ、そうでしたっけ？」

穂乃果「言ってたよ！」

海未「うぅ…なかなか恥ずかしい事言ってたんですね…」

穂乃果「でもさ」

穂乃果「結局はいっつも王子様とかヒーローの役をやらされてたよね」

海未「そうなんですよね」

海未「いつも周りは私に王子様になれと言うんです」

海未「そんなに私ってお姫様に向いてないですかね？」

穂乃果「そんな事ないよ！」

穂乃果「きっと海未ちゃんがカッコ良すぎるから、皆王子様を期待しちゃうだけで…」

穂乃果「海未ちゃんがお姫様に向いてないとかそういうんじゃ！絶対ないから！」ｸﾞｲｯ

海未「そ、そうですか…」

海未「そういえば…」

海未「小学校五年生くらいの時ですかね…」

穂乃果「ん？」

海未「劇でまた、私が王子様をやるように勧められたとき…」


回想＿＿＿＿＿＿


穂乃果「海未ちゃん、本当に王子様でいいの？」

海未「えっ…うっ…」

同級生「園田さん、今年もカッコいい王子様期待してるよ～」

海未「うぅ…」

海未「王子様でいい…です…」

穂乃果「本当に？」

穂乃果「でも海未ちゃんお姫様したいって言ってたじゃん」

海未「それは…でも…皆が…」

穂乃果「海未ちゃん、穂乃果に任せて！」

海未「えっ…」

穂乃果「みんなー！今年は海未ちゃんをお姫様にしたいんだけど！」

穂乃果「いいよねー？」

同級生「えー？何で？園田さんはいつも王子様じゃん！」

穂乃果「いつも同じじゃ海未ちゃんも、お客さんもつまんないよ！」

穂乃果「ねね？海未ちゃん、こんなに可愛いんだよ？」

穂乃果「お姫様大丈夫でしょ！？」

穂乃果「いいよね！いいよね！けってーい！」

海未「わわわ…穂乃果！まって…」

穂乃果「もう、決定しちゃったもーん！」

＿＿＿＿＿＿＿＿

海未「あの時は滅茶苦茶でした…」

海未「穂乃果が勝手に決めて…皆も唖然としてましたよ？」

穂乃果「でも劇は大成功だったよ？」

海未「それはそうですけど…」

穂乃果「それに、あの時の海未ちゃんとっても綺麗だったよ」

海未「もう…そんなこと…」ｶｧｧ

穂乃果「おっ？赤くなってる？」

海未「なってません！」

海未「それより穂乃果は馬鹿みたいな役でしたね」

穂乃果「ええー？いいじゃん、可愛いじゃん、お城の番犬…」

海未「穂乃果は脚本無視して、私を乗せて悪い王様を倒しに行きましたよね」

海未「あれ王子様役の人、すっごく怒ってましたよ」

穂乃果「ええっ！？そうなの…？」

穂乃果「だから…給食のパン取られたのか…」

海未「まったく…滅茶苦茶すぎました」

海未「でも、最後にお姫様になれて嬉しかったです」

海未(王子様が穂乃果じゃなくて少し残念でしたけど…)

穂乃果「最後？」

海未「もう劇なんてする機会ありませんからね…」

海未「今でも…とても嬉しいです」

穂乃果「……」

穂乃果「大丈夫だよ」

穂乃果「海未ちゃんはお姫様だよ？」

海未「えっ？何言ってるんですか？」

穂乃果「海未ちゃんは穂乃果だけのお姫様」

海未「はぁ…？///」ﾄﾞｷｯ

穂乃果「海未ちゃんがどんなに王子様が似合うって言われても…」

穂乃果「海未ちゃんは穂乃果のお姫様！」

海未「はぁ…」

穂乃果「わかった？」

穂乃果「だから、安心して？」

海未「ふふっ、ありがとう穂乃果」

海未「そうですか…私は穂乃果だけのお姫様ですか…」

海未「嬉しいです」ﾆｺｯ

穂乃果「えへへ」

海未「ところで穂乃果」

穂乃果「ん？」

海未「穂乃果はお姫様に何をしてくれるんですか？ふふっ」

穂乃果「えっ」

穂乃果「そ、そうだね～」

ｸﾞｲｯ

海未「えっ…ちょっ！」

穂乃果「このまま、海未ちゃんを抱えて色んな所に連れてっちゃおうかな！」

穂乃果「店員さーん！すいませーん！お代ここにおいときますねー！」

穂乃果「いくよ、海未ちゃん」

海未「ええっ…きゃっ！」

穂乃果「ちゃんと掴まっててね」

海未「…はい」

おわり

短いけど終わり

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