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亀山「この事件なんですけどね、被害者のインセクター羽蛾くんは何でもカードゲームで有名だったらしくて」

右京「……カードゲームですか……」

亀山「今流行ってるらしいですよ」

右京「テレビで見たことがありますぇ……確か……」


右京「デュエルモンスターズ……でしたかねぇ」

亀山「なんでも命を駆けたゲームらしく、怨恨の線が濃厚だろうと」


右京「ゲームで殺人ですかぁ……物騒な世の中になりましたねぇ」


右京「とりあえず会ってみないことにはわかりませんねぇ」


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――――――――遊戯自宅前

右京「ここですか……」



城之内「じゃあな、遊戯！」

遊戯「ああ、またな城之内くん！」



右京「おや」

亀山「あの頭ツンツンの子が遊戯くんですかね？」

右京「こちらに向かってきます、おそらくそうでしょう」



右京「失礼ですが、武藤遊戯くんですか？」

遊戯「……そうだぜ、何かようかよ」

右京「私、警視庁特命係の杉下と申します」

亀山「同じく亀山です」


遊戯「……」

右京「インセクター羽蛾さんはご存知ですねぇ」

遊戯「……知ってるぜ、あの虫野郎だろ？」

右京「それが、昨夜殺されましてねえ」

遊戯「……！」

右京「そのことで少しばかりお聞きしたいことがありまして」

遊戯「ああ、いいぜ？」


右京「……おや、それが噂のデュエルモンスターズのカードですか！」

遊戯「や、やめろ！」

右京「おお、私としたことが失礼を……とても大切にされてるのですねぇ」

遊戯「カードはデュエリストの命だぜ？気安く触ってもらっちゃ困る」

右京「でもどうしても見てみたいですねぇ……」


右京「確か、このゲームははじめに上から５枚ほど持った状態で始めるんでしたよね」


右京「……それでは、その山札の上から５枚ほど……」

右京「見せていただけませんかねぇ？」


遊戯「……それくらいならいいぜ、ほらよ」ﾍﾟﾗﾍﾟﾗﾍﾟﾗ


右京「……ほう……」



封印されしエクゾディア
封印されし右腕
封印されし左腕
封印されし右足
封印されし左足


右京「……」

右京「亀山くん」

亀山「なんです？」

右京「このカードに書いてあることを読んでもらえますか？」

亀山「…このカードと「封印されし者の右足」「封印されし者の左足」
「封印されし者の右腕」「封印されし者の左腕」
が手札に全て揃った時、自分はデュエルに勝利する…」

右京「その手足というのはそのカード以外の４枚のことです」

亀山「つまり……？」

右京「私はデュエルに勝利したことになります」


亀山「ホントですか！！」

遊戯「どうだ？俺の仲間は」

右京「これは大変驚きましたねぇ」

遊戯「……？」

右京「私はデュエルに勝利したということになります」ﾍﾟﾗｯ


遊戯「……」


遊戯「いや違う、これは　ク　リ　ボ　ー　が　勝　手　に！！！」

右京「……カードはお返しします」

遊戯「……お、おう」

右京「では、今日はこのへんで失礼します」

亀山「え！もう帰るんですか！？」

右京「ええ、では」



遊戯（なんなんだ、あれは……）

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――――――車の中

右京「実におかしいですねぇ……」

亀山「なにがです？」

右京「彼は揃うはずのないカードを山札の一番上に揃えていました」

亀山「そういうこともあるんじゃないですか？」

右京「……とても偶然とは思えませんねぇ……」


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――――翌日　聞き込み

杏子「ああ、あの虫野郎のことね」

杏子「遊戯もみんな嫌っていたわ、最低の男だったから」

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城之内「羽蛾？ああ、あの虫野郎な」

城之内「遊戯に何度も嫌がらせしたからな、大層嫌われてるぜ」

城之内「一昨日の夜？遊戯とゲームセンターで遊んでたぜ？」

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右京「インセクター羽蛾くん、相当嫌われていたみたいですねぇ」

亀山「何をしたらあれほど嫌われるんでしょうね？」

右京「しかし……殺す動機は十分にありそうですねぇ……」

亀山「でも城之内という少年によると、アリバイはありそうですが……」

右京「……困りましたねぇ」


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――――翌日　遊戯宅前


遊戯「～♪」

右京「ちょっと失礼」

遊戯「……ぼ、僕？」

右京「……？」

遊戯「あ、昨日の刑事さんだ！」

右京「……武藤遊戯くんですよね？」


亀山「ずいぶん雰囲気が違う気がしますね」

右京「ええ……」

右京「先程事情聴取に言ったんですがね、一昨日の夜、城之内という少年と遊んでいましたね？」

遊戯「……そうですけど……」

右京「そうですか！わかりました」


右京「……こんなこと聞くの、大変恐縮なんですけど」

遊戯「？」

右京「もしや……人格が２つある、なんてことあったりしませんか？」

亀山「に、二重人格ですか！？」


遊戯「……じつは、心のなかにもう一人の僕がいるんだ」


右京・亀山「……！」

遊戯「このパズルを組み立ててからずっと一緒だよ」


右京「……そんなことがあるんですかぁ……いやー実に興味深い」

遊戯「……もう帰っていいですか？」

右京「お時間を頂き、ありがとうございました」




右京「ああ！」



右京「一つだけよろしいでしょうか？」

遊戯「……なんですか？」


右京「そのカードというのは、どのように遊ぶんですか？」

遊戯「モンスターを召喚したり……魔法を発動したり……」

右京「モンスターというのは……？」

遊戯「デュエルディスクとか使うと実体化するんだよ

右京「ほー！、それは大変おもしろいですねぇ……」



右京「そうですか……ありがとうございます」


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―――――車の中


亀山「それで、さっきの質問で何かわかったんですか？」

右京「えー、そうですねぇ。全くもって自信はありませんが」

亀山「やっぱり遊戯って少年が関わってるんですかね？」

右京「それはまだわかりませんねぇ」


亀山「案外初対面の時の荒い性格の彼がやってたりして！」

右京「でもアリバイはありますからねぇ」

亀山「そうですよねぇ」

右京「これは一筋縄では行きそうにありませんね」紅茶ｽｰ

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――――――次の日、遊戯宅前


遊戯「……またか？」

右京「何度も何度もすみません」

遊戯「もう話すことは全部話したと思うんだが？」


右京（今日ははじめの人格ですねぇ）


右京「貴方のこと、調べさせてもらいましたよ」ドン！


遊戯「それは……遊戯王１～３１巻！？」

右京「いやー、先が気になりますねぇ……」

右京「遊戯くんのもう一人の人格は一体何て言う名前なんでしょう」

右京「それに、デュエルモンスターズというのは面白いものですねぇ」


亀山「この量を一日で読んだんですか！？」

右京「ハマるとそこがない性格なのはご存知でしょう？」

亀山「そうっすけど」



右京「遊戯くん、君はいずれ名も無き王の世界へと戻る」

遊戯「ああ、そのために今千年アイテムを集めてるんだ」

右京「……ということは、今のうちにこの世での未練をなくし、後悔したくないですよねぇ……」


亀山「それって……」

遊戯「ち、違う！俺はやってない！俺は城之内くんと一緒にいたんだ！」

右京「ええ、それは知っています」



右京「しかし、自らの手を汚すこと無く殺すこともできてしまう……」



遊戯「……俺に共犯がいるってのかよ？」


右京「ええ、しかし、共犯と呼べるのでしょうか？」


亀山「……どういうことっすか？」

右京「聴きこみをしている時、インセクター羽蛾くんのことをいろいろな人に聞きました」


亀山「相当いろいんなところから恨み買ってましたね」

右京「その中から共犯者となりうる人物はいくらでも探せそうですねぇ」


遊戯「じゃあ、俺が主犯格ってことかよ……」


右京「……いえ、実はそうではないんです」

亀山・遊戯「！？」


右京「この事件は、もしかしたら誰にも解決できない事件かもれしれません……」

右京「初めて会った時、君の山札の上にはエクゾディアが揃っていましたねぇ？」

遊戯「俺はチートなんてしてないぜ？」

右京「ええ、そんなことをせずとも、キングオブデュエリストの遊戯くんなら負けることはないでしょう」


右京「そこで思ったのです」


右京「これは一種の主張なのではないかと！」

右京「漫画を読んで気づきました」

右京「羽蛾くんはカードに対しても手荒い扱いをしていますねぇ」


右京「遊戯くんのもう一人の人格と見せかけたカードを破ったり……」



右京「さらには、もっと過酷な扱いを受けたカードがいますよね？」



右京「エクゾディアです」

右京「千年アイテムや神のカードが揃いつつある今、遊戯くんの前で恨みを晴らすことができるのは今だけ！」

右京「……そう思ってるんじゃありませんか？エクゾディアくん？」



亀山「……右京さん、誰に話しかけてるんですか？」

右京「シー！静かに」




エクゾディア「……」

右京「貴方は親愛なる遊戯くんのため犠牲になりました」

右京「そして！いま！恨みを晴らそうとしたのです！」


亀山「右京さん！そんな無茶な！」


右京「いえ！我々一般人が考えうることを超越するのが、この、デュエルの世界なのです！！」

右京「貴方もどこかで私達を見てるんでしょう、ゴキボールくん！」


ゴキボール「……」



右京「これはあくまで私の推論、完全に……妄想ということも出来るでしょう」


右京「心のどこかにしまわれている遊戯くんの恨み」

右京「それがゴキボールやエクゾディアを具現化させるエネルギーになった」


右京「具現化したゴキボールは、遊戯くんたちが遊んでいる間にこっそりとエクゾディアを抜き」


右京「インセクター羽蛾くんの元へと行ったのです」

右京「何も知らない羽蛾くんは大層驚いたことでしょう、いきなりエクゾディアが現れるのですから」


右京「……羽蛾くんの死因は全身の強打と軽い火傷……」

右京「この火傷というところが妙に引っかかっていたのですが……ようやくわかりました」



右京「エクゾディアの攻撃、魔神(エグゾード)火焔砲(ブレイズ)」


右京「これが言うならば凶器だったのです」

亀山「そ、そんな！信じられません！！」


右京「ええ、私も未だ、信じることができません、しかし！！！」


右京「これ以外に考えられないのです」


右京「君も遊戯王の漫画を読めばわかるはずです！！」



右京「そんな、単純かつ、一般人には絶対に不可能なトリック」


右京「それが、大デュエリストである遊戯くん、貴方の元でなら可能にしてしまった」



右京「……これは犯人を捕まえることはできそうにありませんねぇ……」

右京「遊戯くん、君は多分罪には問われないでしょう」

遊戯「……俺のモンスターたちが勝手に……」


右京「しかし、モンスターを攻めることはできません」


右京「貴方が今できることは、モンスターを信じ、貴方も思いに応えることです」


遊戯「……ああ、わかったぜ」


右京「それでは、我々は帰るとしましょう」

亀山「え！事件はどうするんですか！」

右京「これは犯罪史上類を見ない殺人です」


右京「我々の力が及ぶところでしゃない」

亀山「でも右京さん……」


右京「それに、羽蛾くんの嫌われ具合」

右京「いずれは……こうなる運命だったかもしれませんよ？」

右京「……そうだ、最後にもう一つ」

遊戯「……ゑ？」


右京「貴方の本当の名前がわかったら教えてくださいね」




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亀山「これで本当に良かったんですかね？」

右京「この事件は我々の力の及ぶところではありません」

亀山「それはそうですけど……」


右京「―――カードを粗末にすると、恐ろしいことが起きるものなのですねぇ―――」



右京「今はただ、同じような被害者がでないことを願うだけです」紅茶ｽｰ

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～同時刻～

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―――――――海馬コーポレーション　社長室


海馬「……おい！誰かいるのか

海馬「……誰かいるなら返事をしろ！」


……


海馬「……な、なんだ！……お前は……ブルーアイズ！」

海馬「何をする！やめろ！」


海馬「うわああああああ」


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右京「やはりものは大切にしろということですねぇ……」


ﾋﾟﾛﾘﾝﾋﾟﾛﾘﾝ


右京「……おや！ニュース速報ですか」


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～～今夜海馬コーポレーションの社長、海馬瀬人が～～～～～
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おわり