女「ひな祭りだから遊ぼうぜ」

男「意味がわからない」

女「だってひな祭りって何をすればいいのかわからないじゃん」

男「あー確かに」

女「男の家、ひな人形とかないの」

男「ないよ、姉とか妹とかいないし」

女「つまんねー」

男「お前は持ってないの？」

女「家にあるよ。でも出してない」

男「なんで？」

女「だって出したり片づけたりめんどくさいじゃん」

男「行事ってそういうものじゃん」

男「たしかにひな祭りって少し地味な行事だよね」

女「節分とか七夕レベルの行事」

男「基準がわからない」

女「3月3日じゃん？」

男「そうだな」

女「耳の日でもあるね」

男「あぁ」

女「それだけ」

男「うん」

男「じゃあ女の誕生日は5月3日だから」

女「ゴミの日だね」

男「そーだね」

女「ひどいなぁ」

男「ごめん」

男「ひな祭りは男子には関係ないイベントだからなぁ」

女「ひな祭りの日も祝日ならいいのに」

男「江戸時代には祝日だったらしいよ」

女「あー、でも江戸で暮らすのは嫌だなぁ」

男「誰もそんなこと言ってねえよ」

女「あの四角い餅あるじゃん」

男「餅は大体四角だと思うが」

女「むー。西日本だと丸餅が主流だったりするよ」

男「え、そうなの？」

女「たしかね」

男「なんの話だったっけ」

男「……あー、菱餅のことね」

女「そうそれ！　三色のやつー」

男「赤と白となんだっけ」

女「…………紫？」

男「そんな毒々しくないと思う」

男「緑じゃないかな」

女「あー、そういえば三色団子もその色じゃない？」

男「確かに赤白緑なのが多いな。なんでだろ」

女「信号機もそうじゃない？」

男「あれは白じゃなくて黄色だろ。何言ってんだ」

女「そういえばそうだ」

女「菱餅食べたい。雛あられでもいい」

男「あー、あの金平糖みたいなやつ」

女「全然違うよ。わかってないなぁ」

男「そうかな」

女「私は今どうしても雛あられが食べたいの」

男「金平糖なら持ってるよ」

女「もらう。ちょーだい」

女「金平糖あまい」

男「砂糖だからな」

女「雛あられもあまいよ」

男「そうだっけ」

女「関西だと塩とか醤油の味が多いけど」

男「詳しいな」

女「えへへ」

女「あかりをつけましょぼんぼりにー」

男「懐かしい、そんな童謡あったな」

女「……」

男「どうした」

女「ぼんぼりってなに」

男「いや知らないけど」

男「昔の照明器具らしい」

女「ほー」

男「ぐぐった」

女「続き歌うからネット開きながら聞いてて」

男「変な光景だな」

女「お花をあげましょ桃の花ー」

男「うん」

女「ごーにんばやしの笛太鼓ー」

男「うん」

女「今日はたのしいひな祭りー」

男「結局わからない言葉他に出なかったね」

女「二番の歌詞ぐぐって！」

男「え」

女「はやく！」

男「はいはい」

女「おだいりさーまとおひなさまー」

男「うん」

女「二人ならんですましがおー」

男「うん」

女「すまし顔ってこんな感じ？」

男「ははは、変なかおー」

女「笑うな！」

女「お嫁にいらした姉さまにー」

男「うん」

女「よく似た官女の白いかおー」

男「うん」

女「白い顔ってこんな感じ？」

男「元から白いじゃん」

女「そっかそっか」

男「三番には赤い顔があるからな」

女「うぇー、どうしよ」

女「あ、官女ってなに？」

男「なんとなくわかるけど」

女「ぐぐって！　はやく！」

男「あー、はいはい」

女「なに？」

男「宮中に使える女の人だって」

女「えっ、エロいやつ？」

男「えっ」

女「えっ」

女「歌うの飽きた」

男「自由な奴だな」

女「ひな人形を見に店にに行こう」

男「自由な奴だな」

女「行こうよ」

男「はいはい、行くから」

店

男「色々売ってるな」

女「たかっ！　めっちゃたか！」

男「こんなもんだろう」

女「小遣いで買えない」

男「買おうとしてたのか」

女「うん」

男「お前、家にあるんじゃなかったの？」

女「あるんだけど出すのがめんどうなの」

男「あー、そういってたな」

女「だから買おうとしてた」

男「ん、え？」

女「覚えてる？　小さい時のこと」

男「うん？」

女「小さい時、ひな祭りの日に私の家でパーティーみたいなのした時」

男「あー、あれね」

女「お母さんに着物きせてもらって」

男「俺の隣に座って」

女「男と女はおだいり様とおひな様みたいだなって言われた」

男「そ、そうだっけ？」

女「……その時から思ってたんだよ」

男「な、なにを……？」

女「おだいり様ってなんだろうって」

男「そんなことかい」

女「うん。わからなかった」

男「ぐぐってあげるよ」

女「やった」

男「おだいり様とおひな様は天皇と皇后をあらわしているらしいぞ」

女「なんでおだいりって言うの？」

男「天皇の住居を内裏っていうかららしい」

女「男は天皇の住居に似てるの……？」

男「似てないよ」

女「謎が深まるなぁ」

女「じゃあさじゃあさー」

男「ん？」

女「おひな様と私、どっちが可愛いー？」

男「うぇー、どっちも可愛いよ」

女「二股はだめ」

男「じゃあ女」

女「むー、じゃあってなんだよー」

男「まぁ普通にお前は可愛いと思うよ」

女「やったー」

男「うん」

女「男は優しいなぁ」ﾎﾞｿｯ

男「ん？」

女「なんでもなーい」

男「なんだって？」

女「聞こえなかったの？　耳の日なのに！」

男「なんか関係あるのかそれ……」

女「いつか私のおだいり様になってね」

男「……うわっ、びっくりした」

女「ど、どしたの」

男「告白かと思った」

女「告白だよ」

男「えぇ」

女「その時は二人でならんですまし顔をしようね」

男「なんだそれ……」

女「えへへ……今日は楽しいひな祭り」

おわり

短いけど読んでくれた人ありがとう。

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過去作
男「あぁ、死にてえ……」 女「死にましょう！」
男「金を出せ！」 女「そんなことより誘拐してください！」
女「こんばんはー！」 男「夜の11時だぞ」
男「冥土の土産に教えてやろう」 女「いや、いいです！」
女「今日は節分だね」 男「痛い、痛いって！」
女「愛してます」 男「知ってる」
男「明日はバレンタインデーだね」 女「気づかなかった」

よければ見てくれ。