そう、これこそが正真正銘、最後の勝負だ。

残るは天空橋朋花ただ一人、その総軍は数百万を超える狂信者の群れ。

「子豚ちゃん……？」

騎士団ですって？

そんなにずっとライブがしたければ、永遠に続けていればいい。

「私がそれを創ってあげる」

瞬間、ステージへと続く階段を、私は超疾走で駆け上がっていた。

　そうよ、来て。私はここよ。ここにいる。　

待ちきれない待ちきれない待ちきれない待ちきれないわ―――

共に全力、共に全霊、ならば出し惜しみなどするべきではない。そうでしょう？

廻れ、私の騎士たちよ。私の総軍を流れ出させて。
朋花「Dies irae, dies illa, solvet saeclum in favilla.怒りの日 終末の時 天地万物は灰燼と化し
　　　Teste David cum Sybilla.ダビデとシビラの予言のごとくに砕け散る」

せいぜい健気な抵抗を試みるといいわ、杏奈ちゃん。

もう遅い、間に合わない。遍く総て、この会場を私の色で染め尽くす。

ロコ「朋花のアイテムである事、それがロコのエブリシングです！朋花とフージョンするその日こそ、私のカーテンコール……！」

奈緒「ふざけんなボケェ！　わたしに勝てるんは朋花だけやァ！」

桃子「おねがい。だきしめて……お兄ちゃん」

　ああ、ああ、ロコちゃん、奈緒ちゃん、桃子ちゃん。

　あなたたちの思い、確かに受け取りました。

　あなたたちのようなアイドルこそ、このライブの演者にふさわしい。

いいえ違うわ。まだ始まってもいない。

可奈は宝石。広がるのはその欠片。

彼女の世界はあなたの色になんか染まりはしない。

だって、私は知っているんだ。

志保「Es schaeumt das Meer in breiten Fluessen海は幅広く 無限に広がって流れ出すもの
Am tiefen Grund der Felsen auf,海底の輝きこそが永久不変」

朋花「Quantus tremor est futurus, Quando judex est venturus,たとえどれほどの戦慄が待ち受けようとも 審判者が来たり
Cuncta stricte discussurus.厳しく糾され 一つ余さず燃え去り消える」

　魅了したことがない人を見つけるまで。

　森羅万象、三千大千世界の悉くを。

志保「Und Fels und Meer wird fortgeris永劫たる星の速さと共に sen In ewig schnellem Sphaerenlauf.今こそ疾走して駆け抜けよう」

駆け抜けるんだ、何処までも――

私と一緒に走った仲間を、今この時だって感じているから――

杏奈「志保、勝って……」

うん、だから杏奈も。

百合子「絶対、お願い。負けないで」

言われるまでもないでしょう、百合子さん。

未来「ここで待ってるから、帰ってきてよ」

帰るわよ、未来が待ってる所に。

琴葉「……ふふっ。大変だね、志保も」

だから手伝ってくれますよね。琴葉さん。

まつり「ほ？　なぜ眼を逸らしたのです？　本当に立ち向かわないといけないものは何なのか、分かりやす過ぎるほど簡単なのに……ね」

いえ、今からでも遅くはありませんよ。まつりさん。

莉緒「私はあの子達の力になってあげたい。手のひら返しと言われるかもしれないけど、これが今の私の本音なの」

人は変わるものです。手のひら返しでもいいじゃないですか。今はあなたがそばにいることが何よりも心強いです、莉緒さん。

翼「わたしは死人でできたステージなんか照らしたくない！」

そうだよね。どうせ立つなら、応援してくれる人の前に立ちたいよね。翼

昴「……あいつを頼む」

せっかくだし、付き合ってくださいよ。一緒に戦いましょう、昴さん。

星梨花「……さようなら。今度は、私が先に行ってます」

うん。絶対、絶対に。新世界で会いましょう。星梨花

静香「あなたを私のことを友達と思うなら、名前を呼んで欲しい。それで、私も本当の自分を思い出せるから。あなたが私をこの蠱毒から開放してくれると信じているから」
　　　　　　・・　
もちろんよ。静香。あなたも私の大事な親友だもの。

恵美「志保！　あんたは勝てるよ。いってらっしゃい。あたしらの分まで、よろしくたのむね！」


うん。勝つよ。絶対勝つよ。恵美さん。

今、私たちの思いは一つだ。

志保
「Doch deine Boten,どうか聞き届けてほしい
Herr, verehren Das sanfte Wandeln deines Tags.世界は穏やかに安らげる日々を願っている」

朋花
「Tuba, mirum spargens sonum Per sepulcra regionum,我が総軍に響き渡れ 妙なる調べ 開戦の号砲よ
Coget omnes ante thronum.皆すべからく 玉座の下に集うべし」

集え、集え、集え、私の三千世界。・

朋花
「(Lacrimosa dies illa, Qua resurget ex favilla彼の日 涙と罪の裁きを 卿ら 灰より蘇らん
Judicandus homo reus Huic ergo parce, Deus.されば天主よ その時彼らを許したまえ」

可奈「ねえ志保ちゃん、わたしあなたに逢えてよかった」

私もあなたに出逢わなければただの子供で、それはそれで幸せだったのでしょうけど――

こんなにも、強く思える気持ちなんて知らなかったと断言できる。

だから――

志保
「Auf freiem Grund mit freiem Volke stehn.自由な民と自由な世界で
Zum Augenblicke duerft ich sagenどうかこの瞬間に言わせてほしい」

可奈「大好きだよ。離れたくない」

そうだ、私は彼女を愛している。

志保「Verweile doch du bist so sch・n時よ止まれ 君は誰よりも美しいから――」

今度こそ、皆で天空橋を打倒しよう。

志保「Das Ewig-Weibliche Zieht uns hinan.永遠の君に願う 俺を高みへと導いてくれ」

朋花「Pie Jesu Domine, dona eis requiem. Amen.慈悲深き者よ 今永遠の死を与える エィメン」

おまたせいたしました、これより本日のライブシアターが開幕です。

「Atziluth流出――」

「Du-sollst混沌より溢れよ――」

キャストは37人。シアターメンバーオールキャストでお送りします。

「Res novae新世界へ――」

Ladies and Gentleman！　Here comes MILLIONSTARS！

「Dies irae怒りの日」

「Also sprach Zarathustra語れ超越の物語」

ついに駆け上がったその場所で、火蓋は切って落とされた。

志保｢というのはどうでしょう｣

P｢却下｣

終わりだよ〜(●・▽・●)
かなしほがいちゃつく話を書いてたらいつの間にかこうなってた