総選挙が終わりました

今回はキュート部門の競争がかなり激しくて

全体１１位部門７位、と

やや順位を落としてしまいました

申し訳なさそうな顔をするプロデューサーさんに

…ていっ

軽く手刀を落とします

…えへへっ…

初めの頃の私が、あまり自信がなかったのもありますけど

プロデューサーさんはとても気をつかってくれて

…時々過剰で、不安になりました

だから、少しは違う私を見せなきゃ…と思い

プロデューサーさんが謝りそうなタイミングで

遮るように、思い切ってあの人にチョップしてみたんです

そうしたら、周りの物の一部が吹き飛んで

何だか凄い事になっちゃいました

アイドルって、なんなんでしょうね？

…なので、それ以降は…触れるだけのチョップにしています

…色々大変ですから

私が自信を持てたのは、プロデューサーさんのおかげです

あの人がいなければ…私は何も出来なかったでしょう

そのせいか…彼の近くにいる事が多くない？と

友達のアイドルの子に言われたりします

…離れたくないですし

…離されたくないので

まゆちゃん程は、積極的にはなれません

…担当が違って良かったです

普段はつかず離れず…あの人に、私は…ここにいます…と

極力視界に入る事で、言葉に出来ない思いを託す

だから、プロデューサーさんが必要以上に謝ってくれるのは…

貴重な…直接彼に触れられる時間だから

…今となっては好都合なんです

あくまでも…今はアイドルとプロデューサー

女として抱く思いを吐き出すのは

それの区切りがついてからでいい

そう、考えていました

…でも…

一部のプロデューサーの担当アイドルを変更する

そんな話が聞こえてきました

部門ごとのパワーバランスに対して

テコ入れをするためとか

既に安定しているアイドルは

プロデューサーが変わったくらいでは

さほど影響がない…と考えられているのでしょうか？

…そんなわけ、ないのに…！

自惚れてるわけではないですが、私は今のところ何とか結果は残せています

だけど、それは酷く脆い…ガラス細工

職人さんがいなければ…成り立ちません

久しぶりに、プロデューサーさんから四つ葉のクローバーを貰いました

少し…気分転換に、と

…普段通りにしていたつもりなんですが
彼に見られていた喜びと

これからの不安で

ちょっと…泣いてしまいました

泣いちゃいけない…のに

こんな時は…必ずといっていいほど

プロデューサーさんが撫でてくれます

いつもならそれで…私は満たされるのですが

愛しいはずの彼の温もりは

安堵ではなく…重圧へと変わる

迫ってくる息苦しさに

自分がわからなくなって

涙が…止まらない

…私は…そばにいたい…だけなのに…っ

彼の胸に顔を埋めて…

やり場のない心を抑えながら

軽く…本当に軽く、その体を叩く

プロデューサーさんは私の様子に違和感を抱いたのか

相談なら何でもしてくれ、と言いました

やっぱり…とても鋭くて、鈍い人…

…言えたら…どんなに…楽なことか…っ！

しばらくして…

噂の一部が現実になって来ました

選挙上位アイドルの担当プロデューサー…その一人が…異動した、と

友達との話の中で、貴女はどう思う？と聞かれて

無闇に変えるのはどうなのかな…って

…そう、それとなく答えました

彼女は…穏やかに笑っていた

隠しているつもりでも…

もしかしたら、見抜かれているのかもしれません

プロデューサーさんにもちょっと聞いてみたんですが

担当アイドルが増える可能性はある…と

まだはっきりしないようです

仮に…、そうなれば

私が近くにいられる時間は…

０にはならなくとも大幅に減る

担当が２人以上増えるかもしれない

外れる事はないから安心しろと言ってくれますが

…私は今、笑えているのかな？

…仕事に響くから、これ以上気にしてはいけない

だけど、頭にちらついてしまう

…答えは出ない

まゆちゃんとも話をするタイミングがあったので

…参考になるのかな？とは思いますが

やはり気になります

返ってきた答えは…

どんなに汚れてもかまいません

最後に、このまゆの横にいてくれればいいんです

圧倒的な自信…濁らぬ瞳の輝き

…羨ましい

全てを捧げる想いの強さが

…ふと気がつくと

まゆちゃんが私の顔に両手を添えていました

…智絵里ちゃんに、ちょっとしたおまじないをしました

後は…心次第ですよ？

…私、次第…か…

あまり期間を置かず

その日は、容赦なく来てしまった

担当アイドルが増える事を、プロデューサーさんから伝えられました

覚悟を…決め切れていない

彼が、私だけを見てくれなくなる…？

見捨て…られる？

抑えきれずに放ってしまった手を

彼はしっかりと…力強く

支えてくれました

…私…バカですよね…

こんなバカな子でも…見捨てないでくれますか？

……ほんの少しの勇気と

……体に入りきらない想いを

……言葉にして

私は…あなたが…

言葉にしてしまえば、とても楽でした

何で言わなかったのかな、私

…プロデューサーさんは約束してくれました

一生、見ていてくれる…と

無論、死ぬまで…

いえ…命燃え尽きたその先まで

一時的に一緒にいられる時間は減ってしまいましたが

もう、私の自信を揺さぶるものはありません

そして、またいつものように

じょいやー…っと

プロデューサーさんにチョップをして

触れる時間を増やすんです

おしまい
いやあ今回は健全でしたね
次は誰だ！