友姉「僕君ノリ悪いなー！こんな美人のお姉さんがデートに誘ってんだからもうちょっと元気だそうよ！」


僕「いつから荷物持ちがデートになったんすか？」


友姉「細かいことは気にしなーい！じゃあ行くよ！｣ﾑｷﾞｭｯ


僕「当たってます当たってます…｣ﾊｱｯ


みたいな

友姉「ねーねー僕君！この服どうかなー？」


僕「はぁ…良いんじゃないっすかね」


友姉「じゃあこっちはどう？」


僕「良いと思いますよ」


友姉「もうちょっと真剣に見てよｰ｣ﾑｰｯ


僕「そもそも俺彼女いたことないし女の服とかわかりませんよ…」


友姉「顔は良いのに自虐的な性格が全てをダメにしてんだよねｰ｣ﾊｱｯ…


僕「人を不愉快にしてる訳じゃないし別に構わないでしょう」

友姉「私が不愉快なんだけどー？」


僕「じゃあ俺帰り…「決めた！」


友姉「買い物は中止！今日は僕君を徹底的に教育しちゃうぞ！」


僕「はぁ？」


友姉「だーかーらー僕君に女の子との付き合い方をお姉さんが教えてあげるって言ってんの！」


僕「いや、結構ですよ」


友姉「拒否権はないよ！」


僕「迷惑極まりないんですが…」


友姉「いーからいーから！さあ行くよ！」


僕｢ﾊｱｯ…」

友姉「まずはどこから行こっかー？」


僕「いや、それを俺に聞くのっておかしいですよね？」


友姉「どーして？」


僕「俺を教育するんでしょ？俺がきめるのはおかしな話ですよ」


友姉「それもそーだね｣ｹﾗｹﾗ


僕「！｣ﾄﾞｷｯ‼︎


僕(この人ただでさえ可愛いのに笑うと余計に可愛いんだよなぁ)


友姉「僕君が行きたい所とか無いの？」


僕「行きたい所って訳じゃないですけどペットショップに犬の餌買いに…」


友姉「じゃあまずはそこに行こっか！」

僕(どうしてこうなった…)


友姉「僕君！この犬可愛いよ！チョー尻尾振ってる！あーっ！あっちの猫も可愛い！」


僕(可愛いのはどー見ても友姉の方なんですが…)


友姉「ちょっと僕君聞いてるの！」


僕「あぁ…すいません…聞いてますよ」


友姉「ならいいや！ちょっと向こうに爬虫類コーナーがあるよ！行こう！｣ｸﾞｲｯ


僕「だから近いです当たってますって！」


友姉「細かいことは気にしなーい！」

友姉「イグアナがいるよ！イグアナ！」


僕「俺にはよく何がイグアナで何がカメレオンか区別付かないんですが…」


友姉「そーだよねー。興味無い人にはわかんないよねｰ｣ｹﾗｹﾗ


僕(なんでこの人こんなにテンション高いんだよ…)


友姉「イグアナって僕君と似てるよねー」


僕「はい？俺の顔は爬虫類顔ですか？」


友姉「違うよ。爬虫類って他の動物と違って群れないじゃん。そーいうとこ」


僕「なんで友姉さんがそんなこと知ってるんですか？」


友姉「弟から聞いた話なんだけどね。僕君は話しかけやすい雰囲気を持ってるのに一定のラインを越えようとしてくる人を頑なに拒絶することがあるって」

僕(友の野郎…)


僕「誰にでも踏み越えて欲しくないラインはあるでしょう」


友姉「そうだね…でも弟が言うには僕君は他の人よりあまりにも線引きが早いって」


僕「それが悪い事とは思いませんがね」


友姉「ごめん！なんか湿っぽくなっちゃったね！次行こっか！」


僕「てっす…」

友姉「次行きたいとこってある？」


僕「いや、特にはないです」


友姉「この流れだとゲーセン行ってプリクラが王道なんだけどねー」


僕「俺ゲーセン嫌いなんですが…」


友姉「なんか嫌な思い出でもあるの？」


僕「ゲーセン行くとかなりの高確率でカツアゲに合うんですよ…」


友姉「うわぁ…それは嫌だねー」

僕「ゲーセン行って怖い人と目が合うと無意識にジャンプしてしまうレベルなんですよ」


友姉「その情報は聞きたくなかったなー」


僕「だからゲーセンはパスです」


僕(この人の前でカツアゲされようものなら軽く死ねるわ)


友姉「じゃあカラオケとか？」


僕「ジャ⚪︎アンリサイタルになっても構わないならいいですよ」


友姉「またまたご冗談を！現実にそんな人いないでしょ！」


僕「友姉さんがいいなら俺はいいですよ」


友姉「じゃあ決まりだね！」

カラオケにて…


ボエ～～～～～～～～


友姉「」


ﾋﾟｼｯ！


ｶﾞﾀｶﾞﾀ


友姉｢ｳｿ…」


友姉｢ｳｯ…」

僕「だから言ったでしょう？」


友姉｢ｱﾊﾊ…」


僕「すいません…」


友姉「出よっか…」


僕「てっす…」


友姉「じゃあ次はどうする？」


僕「いや、もういいっすよ…」

友姉「でも帰るにはまだ早いよ？」


僕「これ以上友姉さんといたら俺が辛いっす」


友姉「…」


僕「ゲーセン行くと絡まれる。カラオケ行くと公害扱い。かといって人に誇れる物は何もない。」


僕「返事にしても本当はうっすと言いたいのに他人にはてっすと聞こえてしまう」


僕「どっかのアニメみたいに自分を犠牲にしてまで他人を助けるなんてまっぴらごめんだし、自分を理解しようとしてくれる同級生もいなけりゃ心配してくれる先生もいない」


僕「いくら顔がよくてもそれだけなんです」


僕「他人が俺という人間を知れば知るほど他人は距離を置き始める」


友姉「そうかなぁ～」

友姉「僕君の顔の良さとその他のギャップは正直びっくりしたけどさぁ」


僕「でしょう？」


友姉「でもそんな上辺の事だけじゃ人を測ることなんてできないよ」


僕「でもその上辺で個性を判断するのが今の人間関係ですよね」


友姉「それは否定できないなー。確かにこの人良いことばかり言ってるけどツイッターやLINEなんかで自分の悪口呟いてんじゃないかなーって思うことあるよね」


僕「…」

友姉「僕君は自分が嫌いかな？」


僕「こんな自分を好きになれるはずがありません…」


友姉「私は僕君のこと好きだよ？」


僕「何を…」


友姉「確かに最初は弟の友達でカッコイイ子がいるなーって程度だったけどさ」


友姉「今日たった数時間だったけど付き合ってみて私の無茶振りに正直に答えてくれたじゃない」


僕「…」


友姉「歌が下手なのもゲーセン行くとカツアゲされてしまうのもうっすをてっすと言ってしまうのも一つの個性なんじゃないかな？」


僕「カツアゲはさすがに個性とは違う気が…」


友姉「ヘタレも立派な個性だよ！」

僕「ヘタレって…」


友姉「僕君が言うように現実とアニメは違うよ。アニメにしろドラマにしろ視聴者が望むエンドに進む為のご都合主義なんだから」


僕「そんなのわかってますよ」


友姉「だったら現実とアニメを比較しちゃダメだよ」


僕「…」


友姉「歌が下手なのもゲーセンでカツアゲされるのも呂律が回ってないのもあなたの個性なんだよ！」


僕「またそれを言いますか…」


友姉「その個性を認めてくれない世界はその世界が間違っているんじゃないかな？」

僕「世界が間違ってるなら俺は死ぬしか選択肢が無いんですが？」


友姉「そりゃこれから先も独りで生きてくなら死ぬしかないかもね」


でもね…



僕君は独りじゃないよ…



心配してくれる弟もいるし…



僕君のこともっと知りたい私がいる…



間違っている世界は辛いことが多いけど…



僕君に共感してくれる人は必ずどこかにいる…

急がなくてもいい…


慌てなくてもいい…


自分のペースでいい…


まず自分を受け入れてその次は他人を受け入れてみよう…



独りで生きていくにはこの世界は辛すぎるよ…






僕「いや…でも…」

ﾁｭｯ


僕「！！！！！」


友姉「まだ何か言うかな？」



僕｢ﾅﾝﾃﾞﾓﾅｲﾃﾞｽ…」



友姉「じゃあ今日は帰ろっか！」


僕｢ﾊｲ…」




終われ

書いてて死にたくなったから寝る


おやすみなさい