「なんてことがあってさ」


「その時は、普通に答えたよ 『ふたりとも、似合ってるよ』って」

「……うん、ちょっと羨ましいなって思った」


「だってふたりとも、好きな人にお嫁さんに選んでもらったわけだし」

「例え仕事でも、だよ ウエディングドレスっていうのは女の子の憧れなんだから」


「……もう、私の小さいころの夢の話はいいから！」


「まったく…… そういうの、よく覚えてるよね 感心する」

「えっと…… どこまで話したっけ？ ああ、私が羨んでたって話ね」


「それ、もういいんだ」

「ブライダルの仕事は結局来なかったけど、こうしてウエディングドレスを着れたんだから」


「好きな人がお仕事のお嫁さんじゃなくて、本当のお嫁さんにしてくれたんだから」


「本番までわざわざとっておいてくれたのかな……なんて、考えすぎ？」

「ねぇプロデューサー、このドレス似合ってる？」

「あ、ごめん」

「もうプロデューサーじゃ、なかったね」

「似合ってる？ ありがと そっちのタキシードも似合ってるよ」



「ふふっ、Pさん」

「私、今すごく幸せだよ」

以上で終わりです。
ありがとうございました。