うまる「間違いない！シルフィンさんだ。あのひとこんなのに興味あったんだ。」

シルフィン「反対反対反対ですわ！憲法九条を守りなさい！」

うまる「意外だなあ。でもうまるほどじゃないけど、頭いいもんね。」

うまる「でもＳＥＡＬＤｓって学者さんにあっさり論破されてたひとじゃなかったっけ？」

うまる「まあいいや、あした本人に聞いてこよう。」

学校

うまる「みんな、おはよう！」

海老名「あ、うまるちゃん。おはよう！」

切絵「あ・・・うまるさん。おおおおおはようございます！」

うまる「シルフィンさんはどこにいるの？」

海老名「あそこだよ。」

シルフィン「あら、わたくしになにか用ですの？」

うまる「シルフィンさん、昨日、国会前でデモに参加してた？」

シルフィン「ええ。安倍政権は日本を間違った方向へ導いています。正さなければなりませんわ。」

海老名「デモって安保反対のやつ？」

シルフィン「もちろんですわ。」

シルフィン「さて、みなさんは今回の安保法制についてどうお考えですか？」

海老名「う～ん、わたしはよくわかんないな。」

切絵「わ、わたしは賛成です。」

シルフィン「！」

うまる（いまさっき、シルフィンさんの顔がすごい形相になった・・・）

シルフィン「本場さん、あなたは戦争を望んでおられるのですか！？」

切絵「そ、その今回の安保法制は戦争の抑止力のための法案であって、戦争するものではありません。」

切絵「自衛隊と米軍の同盟関係を強化すれば、中国は易々と日本に戦争を仕掛けられないはずです。そのための集団的自衛権なんです。」

海老名「それってどういうこと？」

切絵「つまり自衛隊と米軍の連携をもって中国の軍事力に負けないようにするんです。だれも強い敵とは戦いたくないでしょう？」

切絵「だから日本の軍事力を強化することによって中国が戦争に踏み切れないようにするんです。」

海老名「なるほど。」

シルフィン「そんなものは詭弁ですわ。そもそもどうして戦争を回避するために軍事力を強化するのです？」

シルフィン「軍事力があるから戦争するのです。世界を平和にするには武器を捨てるほかありませんわ。」

海老名「こっちの言うことも正しいような・・・」

切絵「中国が現に尖閣諸島を狙っていることを知らないんですか？日本だけじゃありません。東南アジアにも中国は矛先を向けてるんですよ！」

シルフィン「それは偏見ですわ！中国人にもいいひとはいますわ。わかりあえるはずです。」

切絵「でも実際わかりあえないからこうなってるんです。」

シルフィン「だからこその話し合いでしょう？先に武器を取れば話しあいなんてできませんわ。」

切絵「話しあいなんて通じません。」

シルフィン「それは日本の態度に誠意がないからでしょう？日本に友好の気持ちがあれば中国もわかってもらえます。」

海老名「あわわ・・・どっちも喧嘩腰になっちゃったよ。うまるちゃんはどう思う？」

うまる「え？」

うまる「え～と・・・」

うまる「そうだね。中国人にもいいひとはいるだろうし、話合えばわかりあえると思うな。」

シルフィン「さすがうまるさん。話がわかりますわね。どっかのだれかさんと違って。」

切絵「う・・・」

うまる「でも実際理想論だけじゃ平和は守れないんじゃないかな？」

うまる「話しあいっていうけど、いままでいっぽい日本と中国も話しあいしたはずだし、そのうえで中国が攻撃をしかけてくる可能性があるなら、集団的自衛権も考えるべきだと思う。」

切絵「ですよね？ですよね？」

うまる「シルフィンさん、ごめん。わたしも安保賛成かな。もちろん中国と戦争するべきじゃないよ？」

うまる「もちろん話しあいも大事。両方やってくことが大事だと思うな。」

シルフィン「・・・」

シルフィン「徴兵制・・・」

うまる「え？」

シルフィン「もし、徴兵制が復活したらどうするんです？ご家族が戦場に行ってもいいんですか？」

うまる「え・・・どういうこと？」

シルフィン「日本が軍事力を強化すれば徴兵制が復活するかもしれないんですよ！？」

うまる「徴兵制って・・・どんなひとが対象になるの？」

シルフィン「若い男性・・・だいたい二十代、三十代の男性が対象になるでしょうね。」

うまる（お兄ちゃん！？）

切絵（うちの兄もとっとと戦場へ行けばいいのに。）

夜

タイヘイ「すっかり遅くなったな。」

タイヘイ「もう日にちが変わってるじゃないか。うまるはもう寝てるんだろうな。」

タイヘイ「ただいまー」

うまる「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんんんんんんんんんんんんんんんんんんん！！！」

ドゴオ！

タイヘイ「うまる抱きつくな！」

うまる「お兄ちゃんんんんんんんんんんんんん！！！どこにも行かないでぇぇぇぇぇ！！！」

うまる「ずっとうまるのそばにいてぇぇぇぇぇぇぇ！１！」

タイヘイ「一体どうしたんだ。」

うまる「うう・・・おにいちゃん、あのね。」

タイヘイ「う～む。そういうことか。」

うまる「お友達がね、学校でそう言ってたの。お兄ちゃんは戦争に行かないよね？」

タイヘイ「あのな、うまる。現代日本で徴兵制なんてありえないの。」

タイヘイ「なぜならな、現代の戦争というのは高度に専門化されてて素人じゃとても戦力になんてならないんだ。」

タイヘイ「素人がミサイルを撃てるか？戦車を操縦できるか？」

タイヘイ「そもそもお兄ちゃんのヒョロヒョロしたような体形で戦争なんてできるわけないだろ。」

うまる「そういえばそうだね・・・」

タイヘイ「わかったら、もう寝ろ。」

うまる「うん。おやすみい。」

タイヘイ「はい、おやすみ。」

翌日会社

タイヘイ「はあ、うまるにもとんでもない友達がいたもんだ。」

本場「おい、参議院で安保法制が可決されたってよ。」

タイヘイ「そうなのか？」

本場「これで在日どもを日本から追い出せるぜ。」

タイヘイ「おいおい安保法案ってそんな法律じゃないだろ？」

本場「そうなのか？」

タイヘイ「そんなことも知らないのか。うちの妹以下だぞ。」

本場「妹？ああ、たぬきちか。で、どんな法律だ？」

タイヘイ「集団的自衛権といってな、自衛隊と米軍が共同で外国の脅威から日本を守ろうっていう法律だ。」

本場「その外国っていうのが韓国と中国なんだろ？」

タイヘイ「いや韓国は違うな。でもまあ、中国から守ることを想定しているだろうな。」

本場「なら似たようなもんじゃねえか。」

タイヘイ「違うだろ。」

本場「俺な、最近安保法制について調べてんだよ。」

タイヘイ「調べててその程度の知識かよ。」

本場「妹ともよく安保法制について話とかしてんだぜ？」

本場「妹も最近安保法制に賛成の考えになったんだ。」

本場「妹が言うにはさ、『兄さんも早く戦場へ行け』ってさ。」

本場「いやあ。頼れる男はつらいよなｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

タイヘイ（いや絶対べつに意味も含んでるだろ、それ。）

タイヘイ「おまえな、どんな考えを持とうが勝手だが、発言には注意しろよ。どんな人間が聞いてるかわからないんだからな。」

本場「はいはい。」

タイヘイ（それにしてもボンバの妹さんは政治に興味があったんだな。）

タイヘイ（うまるもそれくらい政治や社会に目を向けてくれればいいんだが・・・）

タイヘイ（うまるの友達で政治に興味をもってそうな子はいないのか？）

タイヘイ（切絵ちゃん？あの子はだめだな。うまると一緒にぐうたらしているだけだ。）

タイヘイ（かといってべつの友達にそそのかされて徴兵制とか騒がれても困るしな。）

タイヘイ（これでいいのかも。）

放課後

ＵＭＲ「急にシルフィンさんから呼び出しがあったけど・・・」

ＴＳＦ「ＵＭＲさん。ここですわ。デモをいたしますわよ！」

ＵＭＲ「あれ？でも安保法制って通ったんじゃ・・・」

ＴＳＦ「今回のデモは安保法制を撤回させるデモですわ。ほら、プラカード持って。」

ＵＭＲ「もう嫌ああああああああああああああああああああ！！！」


終わり