66: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:22:35.12 :52r2ltUzO
「て、提督……?」
赤城さんがおずおずといった様子で衝立の向こうから声をかけてくる。
衝立とは言っても工廠の廃棄物を適当に拾ってきて組み合わせただけの簡素なものなので高さが足りておらず、鎖骨の辺りまで丸見えなのだが。
「そ、その……本当にコレを着るのでしょうか……?」
「当たり前だよ」
今にも泣き出しそうな声で、あるいは懇願するかのような声で尋ねる赤城さんを、一言でバッサリと切り捨てる。
そして、猫がネズミを部屋の隅にゆっくりと追い詰めるように、言葉を続けた。
「そうしないと、罰にならないからね」
罰、という単語に、赤城さんの肩が小さく跳ねる。
そう、これは罰だ。
赤城さんは度々、ボーキサイトを盗み食いするという癖がある。
秘書艦の時の開発で数をごまかしたり。
帰投後の補給の際にちょろまかしたり。
お手製のお菓子で妖精を手懐けて(まずその菓子を食えと言いたい)取って来させたり。
その手口は様々である。
「て、提督……?」
赤城さんがおずおずといった様子で衝立の向こうから声をかけてくる。
衝立とは言っても工廠の廃棄物を適当に拾ってきて組み合わせただけの簡素なものなので高さが足りておらず、鎖骨の辺りまで丸見えなのだが。
「そ、その……本当にコレを着るのでしょうか……?」
「当たり前だよ」
今にも泣き出しそうな声で、あるいは懇願するかのような声で尋ねる赤城さんを、一言でバッサリと切り捨てる。
そして、猫がネズミを部屋の隅にゆっくりと追い詰めるように、言葉を続けた。
「そうしないと、罰にならないからね」
罰、という単語に、赤城さんの肩が小さく跳ねる。
そう、これは罰だ。
赤城さんは度々、ボーキサイトを盗み食いするという癖がある。
秘書艦の時の開発で数をごまかしたり。
帰投後の補給の際にちょろまかしたり。
お手製のお菓子で妖精を手懐けて(まずその菓子を食えと言いたい)取って来させたり。
その手口は様々である。
67: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:23:12.21 :52r2ltUzO
何度か注意もしたし、その都度対策もしたのだが無駄だった。
そして今夜、終業直前の工廠から妖精を使ってボーキを持ち出しているところを発見し、現行犯でこの提督私室まで連れてきたのだった。
「で、でもこれは……ぁうぅ……」
衝立の向こうに見える赤城さんの顔は首から耳まで真っ赤に染まっており、羞恥のほどが手に取るようにわかる。
しかし、そこには躊躇の色も混じっている。
躊躇している、つまり、迷っているということだ。
「今までの分が、それを着て少し我慢するだけで帳消しになるんだ。悪い話じゃない」
その迷いを取り除くように、そして背中を押すように、俺は言葉を紡ぐ。
赤城さんの喉が小さく鳴り、ちらり、と横目でこちらの顔を伺ってくる。
俺はそれに対し、目一杯の優しさを込めた表情を返してやる。
赤城さんは慌てたように目を逸らし、そして、覚悟を決めたように頷いた。
衝立の向こうで、赤城さんの身体がもぞもぞと動く。
衣擦れの音、硬い胸当てが床に落ちる音、髪が流れる音。
その様々な音を堪能しながら、俺は赤城さんが出てくるのを待った。
そして何分間経ったとき、遂にその瞬間は訪れた。
何度か注意もしたし、その都度対策もしたのだが無駄だった。
そして今夜、終業直前の工廠から妖精を使ってボーキを持ち出しているところを発見し、現行犯でこの提督私室まで連れてきたのだった。
「で、でもこれは……ぁうぅ……」
衝立の向こうに見える赤城さんの顔は首から耳まで真っ赤に染まっており、羞恥のほどが手に取るようにわかる。
しかし、そこには躊躇の色も混じっている。
躊躇している、つまり、迷っているということだ。
「今までの分が、それを着て少し我慢するだけで帳消しになるんだ。悪い話じゃない」
その迷いを取り除くように、そして背中を押すように、俺は言葉を紡ぐ。
赤城さんの喉が小さく鳴り、ちらり、と横目でこちらの顔を伺ってくる。
俺はそれに対し、目一杯の優しさを込めた表情を返してやる。
赤城さんは慌てたように目を逸らし、そして、覚悟を決めたように頷いた。
衝立の向こうで、赤城さんの身体がもぞもぞと動く。
衣擦れの音、硬い胸当てが床に落ちる音、髪が流れる音。
その様々な音を堪能しながら、俺は赤城さんが出てくるのを待った。
そして何分間経ったとき、遂にその瞬間は訪れた。
68: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:24:03.92 :52r2ltUzO
「お、またせ……しました……」
覚束ない足取りで、衝立の向こうから赤城さんが出てくる。
色白の肌。
女性にしてはやや高めの身長。
長く、艶やかな黒髪。
大きく、柔らかそうな乳房。
だらしないが、決して太っているわけではない四肢。
真っ赤に染まった、美しくも可愛らしい相貌。
そんな容姿の赤城さんを彩るのは、いつものミニスカートや着物などではなく。
それは夏の海辺に相応しい、ビキニタイプの水着であった。
「おお……」
思わず、感嘆の声が漏れる。
美しい、とか、綺麗、とか、健康的、とか。
女性を賞賛する言葉はいくらでもある。
しかし、敢えてこう表現したい。
エロい。
今の赤城さんは、非常に、エロい。
「お、またせ……しました……」
覚束ない足取りで、衝立の向こうから赤城さんが出てくる。
色白の肌。
女性にしてはやや高めの身長。
長く、艶やかな黒髪。
大きく、柔らかそうな乳房。
だらしないが、決して太っているわけではない四肢。
真っ赤に染まった、美しくも可愛らしい相貌。
そんな容姿の赤城さんを彩るのは、いつものミニスカートや着物などではなく。
それは夏の海辺に相応しい、ビキニタイプの水着であった。
「おお……」
思わず、感嘆の声が漏れる。
美しい、とか、綺麗、とか、健康的、とか。
女性を賞賛する言葉はいくらでもある。
しかし、敢えてこう表現したい。
エロい。
今の赤城さんは、非常に、エロい。
69: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:24:37.90 :52r2ltUzO
「てっ、提督! そ、そんなにまじまじと見ないで……」
赤城さんの両腕は胸の下で重なるように組まれている。
別に、自らの豊満な胸を強調しようとしているわけではない(結果的にそうなってしまっているが)。
それはむしろ、赤城さんの自信の無さの表れ。
赤城さんの両腕には、腹部を隠すようにして、先程まで自分が身につけていた衣服が掛けられているのだから。
「…………」
敢えて、無言で見つめてみる。
そうすると、赤城さんは徐々に俯き始め、もじもじと身体を揺らし、だんだんとへっぴり腰になっていく。
余程自分の身体に自信がないのか。
着慣れない水着を着ることが恥ずかしいのか。
あるいは、そのどちらも。
そしてそれらは、出撃の際の真剣な表情とも、食事を口いっぱいに頬張って幸せそうにしているときの表情とも違う。
なんとも男心をくすぐる、可愛らしい表情だ。
「て……提督……?」
「ん?」
「てっ、提督! そ、そんなにまじまじと見ないで……」
赤城さんの両腕は胸の下で重なるように組まれている。
別に、自らの豊満な胸を強調しようとしているわけではない(結果的にそうなってしまっているが)。
それはむしろ、赤城さんの自信の無さの表れ。
赤城さんの両腕には、腹部を隠すようにして、先程まで自分が身につけていた衣服が掛けられているのだから。
「…………」
敢えて、無言で見つめてみる。
そうすると、赤城さんは徐々に俯き始め、もじもじと身体を揺らし、だんだんとへっぴり腰になっていく。
余程自分の身体に自信がないのか。
着慣れない水着を着ることが恥ずかしいのか。
あるいは、そのどちらも。
そしてそれらは、出撃の際の真剣な表情とも、食事を口いっぱいに頬張って幸せそうにしているときの表情とも違う。
なんとも男心をくすぐる、可愛らしい表情だ。
「て……提督……?」
「ん?」
70: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:25:08.32 :52r2ltUzO
おっと。
少々眺めすぎていたようだ。
赤城さんが、羞恥とはまた別の色を表情の中に見せる。
「その……何か言っていただけると……」
「見るなと言ったり、何か言えと言ったり、わがままだなあ」
「あぅ……」
ただでさえ赤い顔をますます赤くする。
赤城さんというより、もはや赤面さんだ。
「……しかし、何か言えと言われてもなぁ」
俺はデスクの椅子から立ち上がり、一歩、赤城さんに向かって踏み出す。
赤城さんはぎょっとして、しかしへっぴり腰のまま、じりじりと後退る。
「そんなふうに隠してたら、感想も何もあったもんじゃないだろう」
おっと。
少々眺めすぎていたようだ。
赤城さんが、羞恥とはまた別の色を表情の中に見せる。
「その……何か言っていただけると……」
「見るなと言ったり、何か言えと言ったり、わがままだなあ」
「あぅ……」
ただでさえ赤い顔をますます赤くする。
赤城さんというより、もはや赤面さんだ。
「……しかし、何か言えと言われてもなぁ」
俺はデスクの椅子から立ち上がり、一歩、赤城さんに向かって踏み出す。
赤城さんはぎょっとして、しかしへっぴり腰のまま、じりじりと後退る。
「そんなふうに隠してたら、感想も何もあったもんじゃないだろう」
71: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:25:37.69 :52r2ltUzO
デスクを迂回しながら、ゆっくりと近づいていく。
赤城さんは腹回りを見られるのが相当嫌らしく、俺の視界からギリギリ服で隠せるように移動していく。
こういうところはさすが空母、空間把握能力は優秀だ。
しかし、繰り返すが、これは罰なのだ。
赤城さんの都合の良いように振舞っていたのでは、全く意味が無い。
「ほれ」
「……?」
俺はあと3、4歩ぐらいの場所で足を止め、赤城さんに掌を差し出す。
当の本人はその意味を理解しかねているようで、その掌を見つめたまま、首を傾げている。
仕方がないので、教えてやるとしよう。
「服は預かっておいてやる。ほれ、こっちに渡して」
「え」
この展開は予期していなかったのだろうか。
赤城さんはその場で固まってしまった。
デスクを迂回しながら、ゆっくりと近づいていく。
赤城さんは腹回りを見られるのが相当嫌らしく、俺の視界からギリギリ服で隠せるように移動していく。
こういうところはさすが空母、空間把握能力は優秀だ。
しかし、繰り返すが、これは罰なのだ。
赤城さんの都合の良いように振舞っていたのでは、全く意味が無い。
「ほれ」
「……?」
俺はあと3、4歩ぐらいの場所で足を止め、赤城さんに掌を差し出す。
当の本人はその意味を理解しかねているようで、その掌を見つめたまま、首を傾げている。
仕方がないので、教えてやるとしよう。
「服は預かっておいてやる。ほれ、こっちに渡して」
「え」
この展開は予期していなかったのだろうか。
赤城さんはその場で固まってしまった。
72: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:26:08.55 :52r2ltUzO
羞恥と、困惑と、葛藤と、いろいろな色が浮かんでは消え、混ざり合って、なんとも言えない顔をしている。
そんな状態の彼女を追い詰めるのは容易いことで、少しだけ、踏み出してやれば良い。
「ほら」
わざと、大きめに靴音を鳴らして歩き出す。
赤城さんはその音に反応して、大きく身体を跳ねさせる。
「て、ぃと、ちょ……きゃっ!?」
当然、へっぴり腰のまま固まっていた赤城さんがすぐさま動き出せるわけもなく、足を縺れさせて、その場に転倒した。
咄嗟に受身を取ったのは、流石一航戦。
しかし、受身を取るということは、腕を床につくということで、この状況では即ち、衣類を放り出すことに等しい。
「おいおい、大丈夫か?」
俺は差し出していた手を、そのまま下へ伸ばす。
赤城さんは転倒したことでまだ混乱しているのか、無防備にも、そのまま俺の手をつかもうと腕を伸ばす。
「あ、ありがとうござ」
羞恥と、困惑と、葛藤と、いろいろな色が浮かんでは消え、混ざり合って、なんとも言えない顔をしている。
そんな状態の彼女を追い詰めるのは容易いことで、少しだけ、踏み出してやれば良い。
「ほら」
わざと、大きめに靴音を鳴らして歩き出す。
赤城さんはその音に反応して、大きく身体を跳ねさせる。
「て、ぃと、ちょ……きゃっ!?」
当然、へっぴり腰のまま固まっていた赤城さんがすぐさま動き出せるわけもなく、足を縺れさせて、その場に転倒した。
咄嗟に受身を取ったのは、流石一航戦。
しかし、受身を取るということは、腕を床につくということで、この状況では即ち、衣類を放り出すことに等しい。
「おいおい、大丈夫か?」
俺は差し出していた手を、そのまま下へ伸ばす。
赤城さんは転倒したことでまだ混乱しているのか、無防備にも、そのまま俺の手をつかもうと腕を伸ばす。
「あ、ありがとうござ」
73: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:26:41.58 :52r2ltUzO
しかし、俺はその手を掴み返すことはしない。
「い…………ま、す?」
赤城さんの横に広がる、まだ赤城さんの体温が微かに残っているその衣服を回収する。
それらを丁寧に畳んでいく様を、赤城さんは茫然と見上げていた。
下着まできちんと畳み終わってからデスクまで戻ってそれらを上に置き、振り返る。
「ん? 起こしてほしいのか?」
「っ……!?」
我ながら、よくもまあこんな白々しい台詞が吐けたものだ。
腕を伸ばしたまま固まっていた赤城さんは、その言葉で漸く我に返ったらしかった。
「ぃ……いえ、大丈夫、です……」
そう言って、よろ、よろ、と起き上がる。
勘違いしてしまったことによる恥ずかしさなのか、それとも引き起こしてもらえなかった怒りなのか、哀しさなのか、その瞳はますます潤み、今にも涙が零れ落ちそうだった。
ぞくり、と、耳の後ろのあたりが震える。
しかし、俺はその手を掴み返すことはしない。
「い…………ま、す?」
赤城さんの横に広がる、まだ赤城さんの体温が微かに残っているその衣服を回収する。
それらを丁寧に畳んでいく様を、赤城さんは茫然と見上げていた。
下着まできちんと畳み終わってからデスクまで戻ってそれらを上に置き、振り返る。
「ん? 起こしてほしいのか?」
「っ……!?」
我ながら、よくもまあこんな白々しい台詞が吐けたものだ。
腕を伸ばしたまま固まっていた赤城さんは、その言葉で漸く我に返ったらしかった。
「ぃ……いえ、大丈夫、です……」
そう言って、よろ、よろ、と起き上がる。
勘違いしてしまったことによる恥ずかしさなのか、それとも引き起こしてもらえなかった怒りなのか、哀しさなのか、その瞳はますます潤み、今にも涙が零れ落ちそうだった。
ぞくり、と、耳の後ろのあたりが震える。
74: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:27:20.51 :52r2ltUzO
赤城さんは、ボーキの件さえ無ければ、本当に優秀な艦娘だ。
執務は完璧だし、駆逐艦の娘達を上手くあやしてくれる。
食事の量は、正規空母であることを考えれば許容内ではあるし、それに見合うだけの戦果は残してくれている。
そんな優秀な女性が、今、自分の目の前で、水着姿で、懸命に涙をこらえている。
自分自身、最低だと思う。
しかし、この背徳感とそれに伴う興奮は、堪らない。
だが、まだだ。
いや寧ろ、ここからが本番だ。
俺は、無意識に上がってしまいそうな口角を全力で抑えつつ、真面目な表情を作って赤城さんに向かい合う。
「赤城さん、これから貴女に、罰を与える。その理由は?」
「は、ぃ……ボーキサイトを、許可無く持ち出そうとしたからです……」
「うむ。キミのそれは常習的であり、再三の注意にも関わらず行為を繰り返していた。良くて謹慎、あるいは転属。最悪解体も免れない行いだ。理解できるか?」
「はい……申し訳ありません……」
「その言葉は何度も聞いた」
赤城さんは、ボーキの件さえ無ければ、本当に優秀な艦娘だ。
執務は完璧だし、駆逐艦の娘達を上手くあやしてくれる。
食事の量は、正規空母であることを考えれば許容内ではあるし、それに見合うだけの戦果は残してくれている。
そんな優秀な女性が、今、自分の目の前で、水着姿で、懸命に涙をこらえている。
自分自身、最低だと思う。
しかし、この背徳感とそれに伴う興奮は、堪らない。
だが、まだだ。
いや寧ろ、ここからが本番だ。
俺は、無意識に上がってしまいそうな口角を全力で抑えつつ、真面目な表情を作って赤城さんに向かい合う。
「赤城さん、これから貴女に、罰を与える。その理由は?」
「は、ぃ……ボーキサイトを、許可無く持ち出そうとしたからです……」
「うむ。キミのそれは常習的であり、再三の注意にも関わらず行為を繰り返していた。良くて謹慎、あるいは転属。最悪解体も免れない行いだ。理解できるか?」
「はい……申し訳ありません……」
「その言葉は何度も聞いた」
75: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:27:51.54 :52r2ltUzO
「…………はい」
「しかし、先ほども言った通りにキミは行為を繰り返していた。よって、ここに規定外の厳罰に処す。いいか?」
「……はい」
「よろしい。では……」
赤城さんは神妙な顔つきで沙汰が下されるのを待っている。
その格好が水着なのだから少し滑稽な絵面ではあるが、今回ばかりはこちらの本気を受け取ってもらえたようだ。
「そこのソファにうつ伏せになれ」
「…………はい?」
「聞こえなかったか? そこのソファにうつ伏せにして寝転べと言った」
「は、はあ……」
一体どんな想像をしていたのかはわからないが、赤城さんは拍子抜けした表情でソファに向かう。
だが、赤城さんはわかっていない。
「…………はい」
「しかし、先ほども言った通りにキミは行為を繰り返していた。よって、ここに規定外の厳罰に処す。いいか?」
「……はい」
「よろしい。では……」
赤城さんは神妙な顔つきで沙汰が下されるのを待っている。
その格好が水着なのだから少し滑稽な絵面ではあるが、今回ばかりはこちらの本気を受け取ってもらえたようだ。
「そこのソファにうつ伏せになれ」
「…………はい?」
「聞こえなかったか? そこのソファにうつ伏せにして寝転べと言った」
「は、はあ……」
一体どんな想像をしていたのかはわからないが、赤城さんは拍子抜けした表情でソファに向かう。
だが、赤城さんはわかっていない。
76: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:28:26.86 :52r2ltUzO
その格好でソファにうつ伏せになるのがどういうことなのか。
艦娘になってから俺以外の男性との触れ合いが無いためか、それとも素なのか、艦娘という連中は、男の想像力というものを見くびっている。
そして、行動力もだ。
俺は服の内側に隠し持っていたあるものを取り出すと、今からまさにソファの上に寝転ぼうとして片膝をソファについている、即ち、こちらに向かってそのだらしないデカ尻を突き出している赤城さんに向かって、スイッチを押しこんだ。
パシャッ!
「えっ」
赤城さんは、その音に反応して振り向いた。
その目には驚きと、困惑。
そして、俺が構えるカメラが映っていた。
「て、提督!?」
「これは罰だ、赤城さん」
話しが違う、とばかりに声を上げる赤城さんに、ピシャリと言い放つ。
それだけで赤城さんは言葉に詰まり、黙ってしまった。
通常ならば、こんなものが罰などあり得ない。
しかし、俺は宣言している。
その格好でソファにうつ伏せになるのがどういうことなのか。
艦娘になってから俺以外の男性との触れ合いが無いためか、それとも素なのか、艦娘という連中は、男の想像力というものを見くびっている。
そして、行動力もだ。
俺は服の内側に隠し持っていたあるものを取り出すと、今からまさにソファの上に寝転ぼうとして片膝をソファについている、即ち、こちらに向かってそのだらしないデカ尻を突き出している赤城さんに向かって、スイッチを押しこんだ。
パシャッ!
「えっ」
赤城さんは、その音に反応して振り向いた。
その目には驚きと、困惑。
そして、俺が構えるカメラが映っていた。
「て、提督!?」
「これは罰だ、赤城さん」
話しが違う、とばかりに声を上げる赤城さんに、ピシャリと言い放つ。
それだけで赤城さんは言葉に詰まり、黙ってしまった。
通常ならば、こんなものが罰などあり得ない。
しかし、俺は宣言している。
77: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:28:57.18 :52r2ltUzO
「規定外の厳罰に処す」、と。
赤城さんも、数分前の会話を忘れるほど馬鹿ではない。
だからこそ、抗議の口を噤まざるを得なかったのだ。
「どうした? 早くしなさい」
「っ……はい……」
赤城さんが完全にうつ伏せになった時点で、もう一度シャッターを切る。
赤城さんはそのシャッターの音に耐えるように、ギュッと目をつぶっている。
日本人が初めてカメラを目にしたとき、それに映ることによって魂が吸い取られる、という迷信が広まったそうだ。
しかし、それはある意味迷信ではない。
人間の、そして凡ゆる生物は常に成長を繰り返しており、厳密に言えば、完璧に同じ瞬間は存在し得ない。
そして、写真はその瞬間を切り取るもの。
つまり、唯一無二の瞬間を切り取って保存する、そういう装置なのだ。
更に言うなら、写真はそこにある風景を切り取るだけではない。
その瞬間の心情や、思い出も同時に保存できるのだ。
「赤城さん、俺はこの罰を執行する間、キミには一切触れることはない。これだけはかならず誓う」
「規定外の厳罰に処す」、と。
赤城さんも、数分前の会話を忘れるほど馬鹿ではない。
だからこそ、抗議の口を噤まざるを得なかったのだ。
「どうした? 早くしなさい」
「っ……はい……」
赤城さんが完全にうつ伏せになった時点で、もう一度シャッターを切る。
赤城さんはそのシャッターの音に耐えるように、ギュッと目をつぶっている。
日本人が初めてカメラを目にしたとき、それに映ることによって魂が吸い取られる、という迷信が広まったそうだ。
しかし、それはある意味迷信ではない。
人間の、そして凡ゆる生物は常に成長を繰り返しており、厳密に言えば、完璧に同じ瞬間は存在し得ない。
そして、写真はその瞬間を切り取るもの。
つまり、唯一無二の瞬間を切り取って保存する、そういう装置なのだ。
更に言うなら、写真はそこにある風景を切り取るだけではない。
その瞬間の心情や、思い出も同時に保存できるのだ。
「赤城さん、俺はこの罰を執行する間、キミには一切触れることはない。これだけはかならず誓う」
78: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:29:24.31 :52r2ltUzO
再びシャッターを切る。
「だが、こうして写真を撮ることで、キミの肢体を目に焼き付け、脳内でどうしようが、それは俺の勝手というものだ。違うか?」
再びシャッターを切る。
「そ、れは……」
シャッターを切る度に、赤城さんの身体が震える。
「勘違いするなよ。こうして罰を与えている景色を保存することで、キミが常に今の反省を思い出せるようにという、俺の配慮でもあるんだから」
詭弁だ。
嘘っぱちだ。
口八丁、というやつだ。
「……は、ぃ……」
しかし、赤城さんは拒絶しない。
写真を撮られることを。
自分の罪に対する罰を。
俺自身を。
そしてまた、シャッターを切る。
「ふむ、うつ伏せはこんなところか。それじゃあ次は――――」
夜は長い。
荒い赤城さんの呼吸とシャッターの音が、部屋に谺する……。
再びシャッターを切る。
「だが、こうして写真を撮ることで、キミの肢体を目に焼き付け、脳内でどうしようが、それは俺の勝手というものだ。違うか?」
再びシャッターを切る。
「そ、れは……」
シャッターを切る度に、赤城さんの身体が震える。
「勘違いするなよ。こうして罰を与えている景色を保存することで、キミが常に今の反省を思い出せるようにという、俺の配慮でもあるんだから」
詭弁だ。
嘘っぱちだ。
口八丁、というやつだ。
「……は、ぃ……」
しかし、赤城さんは拒絶しない。
写真を撮られることを。
自分の罪に対する罰を。
俺自身を。
そしてまた、シャッターを切る。
「ふむ、うつ伏せはこんなところか。それじゃあ次は――――」
夜は長い。
荒い赤城さんの呼吸とシャッターの音が、部屋に谺する……。
79: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:32:03.11 :52r2ltUzO
~~
加賀「…………」
提督「…………」
加賀「……ご丁寧に原稿用紙にこんなレポートまで書いて……どこかに提出でもするつもり?」
提督「いや、ほら、記憶が新鮮なうちに書き綴っておこうかと……」
加賀「…………」
提督「…………ダメ?」
加賀「…………」
提督「」 ダッ
加賀「」 ダッ
~~
加賀「…………」
提督「…………」
加賀「……ご丁寧に原稿用紙にこんなレポートまで書いて……どこかに提出でもするつもり?」
提督「いや、ほら、記憶が新鮮なうちに書き綴っておこうかと……」
加賀「…………」
提督「…………ダメ?」
加賀「…………」
提督「」 ダッ
加賀「」 ダッ
80: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 10:34:16.97 :52r2ltUzO
というわけでこれで本当にマジで終わりです。
赤城さんは目当てで来てくれた人の気晴らしになれば幸いです。
加賀「土下座してないじゃない」
提督「加賀さんをいぢめたら赤城さんもいぢめたくなった。それが礼儀だ」
というわけです。
ちなみに提督が持っているカメラは青葉から没収したものです。
それではおやすみなさい。
おつきあいありがとうございました。
というわけでこれで本当にマジで終わりです。
赤城さんは目当てで来てくれた人の気晴らしになれば幸いです。
加賀「土下座してないじゃない」
提督「加賀さんをいぢめたら赤城さんもいぢめたくなった。それが礼儀だ」
というわけです。
ちなみに提督が持っているカメラは青葉から没収したものです。
それではおやすみなさい。
おつきあいありがとうございました。
81:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/30(金) 10:45:00.45 :AQL1JZcfo
おつおつ
82:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2015/10/30(金) 11:32:02.43 :c/YphHMSO
乙です
赤城さんのビキニの色は名前にちなんで赤だったりしてww
赤城さんのビキニの色は名前にちなんで赤だったりしてww
86: ◆kquYBfBssLZl:2015/10/30(金) 15:36:26.03 :4f71bic3O
>>82
写真に撮るんだから白ビキニに決まってんだろ!
うっかりお水こぼしても大丈夫な白ビキニに決まってんだろ!
>>82
写真に撮るんだから白ビキニに決まってんだろ!
うっかりお水こぼしても大丈夫な白ビキニに決まってんだろ!
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