1:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:15:08.440 :DaLO2FG/0.net
― コンビニ ―
男(この唐揚げ弁当うまそうだな。これにするか)
男「すみません、これください」
店員「それではまず、この弁当を購入する動機をお答え下さい」
男(やれやれ……)
― コンビニ ―
男(この唐揚げ弁当うまそうだな。これにするか)
男「すみません、これください」
店員「それではまず、この弁当を購入する動機をお答え下さい」
男(やれやれ……)
2:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:18:35.646 :DaLO2FG/0.net
男「私がこの弁当を欲する理由は、鶏肉が好きだからです」
店員「鶏肉が好きだから、ですか」
店員「しかし、それだけならば唐揚げ弁当でなくてもいいですよね?」
男「え?」
店員「親子丼やチキンライスでもいいじゃないですか」
男「いや、まあ……そうですけど……」
男「私がこの弁当を欲する理由は、鶏肉が好きだからです」
店員「鶏肉が好きだから、ですか」
店員「しかし、それだけならば唐揚げ弁当でなくてもいいですよね?」
男「え?」
店員「親子丼やチキンライスでもいいじゃないですか」
男「いや、まあ……そうですけど……」
5:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:22:18.428 :DaLO2FG/0.net
男「弁当というのは唐揚げの他にも、たくさん具がありますよね」
男「唐揚げと一緒に他の具も食べれば、栄養が偏らなくて済むからです」
店員「なるほど、バランスのある食事をしたいから弁当にしたと」
男「そうです」
店員「しかし、バランスのよい食事をするなら、コンビニ弁当はやめた方がいいのでは?」
店員「自炊や、あるいはレストランなどで食事をした方がよろしいと思いますが」
男「うっ……」
男「弁当というのは唐揚げの他にも、たくさん具がありますよね」
男「唐揚げと一緒に他の具も食べれば、栄養が偏らなくて済むからです」
店員「なるほど、バランスのある食事をしたいから弁当にしたと」
男「そうです」
店員「しかし、バランスのよい食事をするなら、コンビニ弁当はやめた方がいいのでは?」
店員「自炊や、あるいはレストランなどで食事をした方がよろしいと思いますが」
男「うっ……」
6:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:25:29.968 :DaLO2FG/0.net
男「コンビニで買った方が手軽じゃないですか」
男「なので、本日はこちらのコンビニで買わせていただくことにいたしました」
店員「手軽だからコンビニにした、と」
店員「なるほど、あなたは手軽な方、手軽な方、に流れる人間というわけですね?」
男「いえ、決してそういうわけでは……」
店員「では、どういうわけなんですか?」
男「あの、えぇと……すみません」
男「コンビニで買った方が手軽じゃないですか」
男「なので、本日はこちらのコンビニで買わせていただくことにいたしました」
店員「手軽だからコンビニにした、と」
店員「なるほど、あなたは手軽な方、手軽な方、に流れる人間というわけですね?」
男「いえ、決してそういうわけでは……」
店員「では、どういうわけなんですか?」
男「あの、えぇと……すみません」
7:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:29:34.049 :DaLO2FG/0.net
店員「まぁいいでしょう。続いて自己PRをお願いします」
男「は、はい」
男「私はなんにでも疑問を持つ人間です」
男「たとえば今の社会は本当にこれでいいのか、ということを常に考えております」
男「この長所を、学生生活や今の仕事に生かし、頑張っております」
店員「では、その長所を唐揚げ弁当を食べる時にどのように生かすおつもりですか?」
男(どう生かすつもりって……)
店員「まぁいいでしょう。続いて自己PRをお願いします」
男「は、はい」
男「私はなんにでも疑問を持つ人間です」
男「たとえば今の社会は本当にこれでいいのか、ということを常に考えております」
男「この長所を、学生生活や今の仕事に生かし、頑張っております」
店員「では、その長所を唐揚げ弁当を食べる時にどのように生かすおつもりですか?」
男(どう生かすつもりって……)
9:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:32:22.213 :DaLO2FG/0.net
男「たとえば、その……この鶏肉の産地はどこなんだろう、と考えることができます」
店員「産地によっては食べない、ということですか?」
男「いや、そういうわけではないですけど」
店員「じゃあなんのために産地はどこだろうと考えるんですか?」
男「えぇと……××県のニワトリだったら××県に思いを馳せることができます」
店員「なるほど」
男「たとえば、その……この鶏肉の産地はどこなんだろう、と考えることができます」
店員「産地によっては食べない、ということですか?」
男「いや、そういうわけではないですけど」
店員「じゃあなんのために産地はどこだろうと考えるんですか?」
男「えぇと……××県のニワトリだったら××県に思いを馳せることができます」
店員「なるほど」
11:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:35:48.799 :DaLO2FG/0.net
店員「しかし、矛盾していませんか?」
男「へ? なにがです?」
店員「だって今あなたがおっしゃった食べ方は、どう考えても手軽ではありません」
店員「手軽さを求めてコンビニで弁当を買ったはずなのに、矛盾していませんか?」
男「あ、えぇと……それはその……なんというか……」
店員「やれやれ、もう結構です」
店員「しかし、矛盾していませんか?」
男「へ? なにがです?」
店員「だって今あなたがおっしゃった食べ方は、どう考えても手軽ではありません」
店員「手軽さを求めてコンビニで弁当を買ったはずなのに、矛盾していませんか?」
男「あ、えぇと……それはその……なんというか……」
店員「やれやれ、もう結構です」
13:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:39:12.176 :DaLO2FG/0.net
店員「では選考結果を申し上げます」
男「……」ゴクッ
店員「残念ながら、今回はあなたへの弁当販売を見送らせていただきます」
店員「あなたの今後のご活躍とご健勝をお祈りしております」
男「ううう……」ガックリ
男(また祈られたか……対策が甘かった……)
店員「では選考結果を申し上げます」
男「……」ゴクッ
店員「残念ながら、今回はあなたへの弁当販売を見送らせていただきます」
店員「あなたの今後のご活躍とご健勝をお祈りしております」
男「ううう……」ガックリ
男(また祈られたか……対策が甘かった……)
14:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:40:36.556 :jodMrqgVp.net
売れよwww
16:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:44:24.568 :DaLO2FG/0.net
― 町 ―
男(あーあ、あのコンビニもダメだったか)
男(やべえな、これでもう三日もろくに食事できてないぞ)グゥゥ…
男(あそこにファミレスがある……次はあそこに入ってみるか!)
― 町 ―
男(あーあ、あのコンビニもダメだったか)
男(やべえな、これでもう三日もろくに食事できてないぞ)グゥゥ…
男(あそこにファミレスがある……次はあそこに入ってみるか!)
17:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:47:17.672 :DaLO2FG/0.net
― ファミレス ―
男「失礼いたします」
ウェイトレス「いらっしゃいませー!」
ウェイトレス「何名様ですか?」
男「一名です」
ウェイトレス「なぜ一名でわざわざファミレスに? 入店動機をお答え下さい」
男「は、はい」
― ファミレス ―
男「失礼いたします」
ウェイトレス「いらっしゃいませー!」
ウェイトレス「何名様ですか?」
男「一名です」
ウェイトレス「なぜ一名でわざわざファミレスに? 入店動機をお答え下さい」
男「は、はい」
18:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:50:26.823 :DaLO2FG/0.net
男「近くを通りがかったもので……」
ウェイトレス「近くを? あなたは近くを通りがかったら、どこにでも入るんですか?」
男「いえ、そんなわけではないですけど」
ウェイトレス「それに一人なら近くのコンビニや牛丼屋に入った方がいいのでは?」
男「コンビニはさっき入ったんですけど……面接で落ちてしまって」
ウェイトレス「つまり、うちの店に来たのは仕方なく、ということですか?」
男「いえ、そんなことは……」
男「近くを通りがかったもので……」
ウェイトレス「近くを? あなたは近くを通りがかったら、どこにでも入るんですか?」
男「いえ、そんなわけではないですけど」
ウェイトレス「それに一人なら近くのコンビニや牛丼屋に入った方がいいのでは?」
男「コンビニはさっき入ったんですけど……面接で落ちてしまって」
ウェイトレス「つまり、うちの店に来たのは仕方なく、ということですか?」
男「いえ、そんなことは……」
19:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:54:21.799 :DaLO2FG/0.net
ウェイトレス「どうしてもうちの店でなければダメ、という理由はないんですか?」
男「え、と……」
男(このファミレスは……たしかハンバーグがウリだったよな)
男「ハンバーグ! こちらのお店のハンバーグが私は大好きなのです!」
ウェイトレス「なるほど」
男「あのお肉の柔らかさ……とてもクセになります!」
ウェイトレス「……」ピクッ
ウェイトレス「どうしてもうちの店でなければダメ、という理由はないんですか?」
男「え、と……」
男(このファミレスは……たしかハンバーグがウリだったよな)
男「ハンバーグ! こちらのお店のハンバーグが私は大好きなのです!」
ウェイトレス「なるほど」
男「あのお肉の柔らかさ……とてもクセになります!」
ウェイトレス「……」ピクッ
21:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 21:59:18.227 :DaLO2FG/0.net
ウェイトレス「うちのお店のハンバーグは、固さと歯ごたえがウリなのですが」
男「え!?」
男(やべえ……墓穴掘った……! 余計なこというんじゃなかった……!)
男「えぇと、私は歯が丈夫なので柔らかく感じたのかな~……なんて」
ウェイトレス「あなた、今度新しく出たうちの新メニューをいえますか?」
男「え……和風ハンバーグ、とか?」
ウェイトレス「全然ちがいます。シェフの気まぐれビーフちらし寿司です」
男「!」ガーン
ウェイトレス「うちのお店のハンバーグは、固さと歯ごたえがウリなのですが」
男「え!?」
男(やべえ……墓穴掘った……! 余計なこというんじゃなかった……!)
男「えぇと、私は歯が丈夫なので柔らかく感じたのかな~……なんて」
ウェイトレス「あなた、今度新しく出たうちの新メニューをいえますか?」
男「え……和風ハンバーグ、とか?」
ウェイトレス「全然ちがいます。シェフの気まぐれビーフちらし寿司です」
男「!」ガーン
23:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:01:32.274 :DaLO2FG/0.net
ウェイトレス「選考結果を申し上げます」
男「……お願いします」
ウェイトレス「残念ながら、あなたへの食事提供は見送らせていただきます」
ウェイトレス「今後のご活躍をお祈り申し上げます」
男「あぐぅぅ……!」
ウェイトレス「選考結果を申し上げます」
男「……お願いします」
ウェイトレス「残念ながら、あなたへの食事提供は見送らせていただきます」
ウェイトレス「今後のご活躍をお祈り申し上げます」
男「あぐぅぅ……!」
24:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:02:39.453 :LhhR4Lax0.net
食ってみたいな
ビーフちらし寿司
ビーフちらし寿司
26:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:07:37.640 :DaLO2FG/0.net
― 町 ―
男(また祈られた……)
男(カネはあるのに、口下手でとっさに気の利いた答えを出せないから)
男(満足にメシを食うことすらできやしない)
男(昔は面接が必要な場面はせいぜい何かの試験や就職活動ぐらいだったらしいが……)
男(今やなにをするにも面接が必要な『超面接社会』になっちまった)
男(俺みたいな面接が苦手な人間にとっちゃ、本当に地獄だ……)
男(どうしてこんなことになっちまったのか……)
― 町 ―
男(また祈られた……)
男(カネはあるのに、口下手でとっさに気の利いた答えを出せないから)
男(満足にメシを食うことすらできやしない)
男(昔は面接が必要な場面はせいぜい何かの試験や就職活動ぐらいだったらしいが……)
男(今やなにをするにも面接が必要な『超面接社会』になっちまった)
男(俺みたいな面接が苦手な人間にとっちゃ、本当に地獄だ……)
男(どうしてこんなことになっちまったのか……)
29:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:10:38.846 :DaLO2FG/0.net
男(とにかく、なんでもいいから腹に入れないとな)
男(お、あそこに残飯がある! あれでも拾って食うか!)
男「いっただき……」
ホームレス「おい、兄ちゃん」
男「?」
ホームレス「この残飯を拾うんなら、まずは自己PRをしてもらおうかい」
男(マジかよ……)
男(とにかく、なんでもいいから腹に入れないとな)
男(お、あそこに残飯がある! あれでも拾って食うか!)
男「いっただき……」
ホームレス「おい、兄ちゃん」
男「?」
ホームレス「この残飯を拾うんなら、まずは自己PRをしてもらおうかい」
男(マジかよ……)
35:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:13:47.184 :DaLO2FG/0.net
男「ううう……」グギュルルル…
男(どうにかホームレスによる面接は突破できたが……)
男(やっぱ残飯なんか食うんじゃなかった……! 猛烈に腹がいてえ……!)
男(ヤバイ、早くトイレ行かないと漏れちまう!)キョロキョロ
男「ううう……」グギュルルル…
男(どうにかホームレスによる面接は突破できたが……)
男(やっぱ残飯なんか食うんじゃなかった……! 猛烈に腹がいてえ……!)
男(ヤバイ、早くトイレ行かないと漏れちまう!)キョロキョロ
37:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:16:34.850 :DaLO2FG/0.net
男「あ、あった! 公衆トイレ!」タッタッタ…
男「よかった、大便器の個室も空いてる!」
男「さっそく――」
管理人「ちょっとあんた」
男「え」
管理人「まさか、面接を通過してないのに、トイレを使おうってんじゃないだろうな」
男「えええええ……!?」
男「あ、あった! 公衆トイレ!」タッタッタ…
男「よかった、大便器の個室も空いてる!」
男「さっそく――」
管理人「ちょっとあんた」
男「え」
管理人「まさか、面接を通過してないのに、トイレを使おうってんじゃないだろうな」
男「えええええ……!?」
38:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:20:01.913 :DaLO2FG/0.net
管理人「まず、トイレを使いたい動機を答えてもらおう」
男「腹が痛いからです!」
管理人「腹が痛いんなら、病院に行った方がいいんじゃないのか?」
男「いや、もう出ちゃうんです! マジで! だから使わせて下さい!」
管理人「もう出ちゃうから、で済むなら面接はいらないよね」
男「うぐぅぅぅ……!」ギュルルル…
管理人「まず、トイレを使いたい動機を答えてもらおう」
男「腹が痛いからです!」
管理人「腹が痛いんなら、病院に行った方がいいんじゃないのか?」
男「いや、もう出ちゃうんです! マジで! だから使わせて下さい!」
管理人「もう出ちゃうから、で済むなら面接はいらないよね」
男「うぐぅぅぅ……!」ギュルルル…
40:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:24:06.158 :DaLO2FG/0.net
男「腹減って残飯食ったら腹壊しちゃったんです!」
男「だからトイレを使わせて下さい! お願いしますぅ!」
管理人「なるほど、分かりやすい動機だ。では次は趣味と特技を――」
男「ぐ……!」ギュルルル…
男「んなまどろっこしいことやってられっか! 早く使わせろ!」
管理人「ダメだ! 使っていいのは面接に受かってからだ!」バッ
男「お腹がぁっ……お腹がぁぁ……っ!」
管理人「こ、こいつ! 面接しないでトイレを使う気か! おまわりさん、来て下さい!」
男「腹減って残飯食ったら腹壊しちゃったんです!」
男「だからトイレを使わせて下さい! お願いしますぅ!」
管理人「なるほど、分かりやすい動機だ。では次は趣味と特技を――」
男「ぐ……!」ギュルルル…
男「んなまどろっこしいことやってられっか! 早く使わせろ!」
管理人「ダメだ! 使っていいのは面接に受かってからだ!」バッ
男「お腹がぁっ……お腹がぁぁ……っ!」
管理人「こ、こいつ! 面接しないでトイレを使う気か! おまわりさん、来て下さい!」
42:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:27:07.586 :DaLO2FG/0.net
警官A「コラ! 面接を無視するのは重罪だぞ!」ガシッ
警官B「トイレから出なさい!」ガシッ
管理人「まったく……信じられん奴だ!」
男(あ……もう出ちゃう……)グギュルルル…
男「あああああああああああっ……!」
警官A「コラ! 面接を無視するのは重罪だぞ!」ガシッ
警官B「トイレから出なさい!」ガシッ
管理人「まったく……信じられん奴だ!」
男(あ……もう出ちゃう……)グギュルルル…
男「あああああああああああっ……!」
43:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:28:35.339 :HSzLPqSQr.net
ブリュリュリュリュリュリュ
44:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:31:37.932 :DaLO2FG/0.net
― 警察署 ―
警官A「いいか、次こんなことをしたら説教ではすまさんぞ! 実刑ものだぞ!」
警官B「まったく、いい年をして漏らすなんて……」
男「すみませんでした……」
男(くそっ、誰のせいだと思ってんだ!)
男(それにしても、面接しなきゃトイレにすら行けない世の中なんて……)
男(ホント……もう嫌だ……)ガクッ
男(誰か、俺と同じ考えの人はいないのかよ! 絶対いるはずだ!)
― 警察署 ―
警官A「いいか、次こんなことをしたら説教ではすまさんぞ! 実刑ものだぞ!」
警官B「まったく、いい年をして漏らすなんて……」
男「すみませんでした……」
男(くそっ、誰のせいだと思ってんだ!)
男(それにしても、面接しなきゃトイレにすら行けない世の中なんて……)
男(ホント……もう嫌だ……)ガクッ
男(誰か、俺と同じ考えの人はいないのかよ! 絶対いるはずだ!)
47:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:34:57.928 :DaLO2FG/0.net
― 町 ―
男「なぁ、そこのあんた!」
通行人「?」
男「何をやるにしても、面接を受けなきゃならない世の中なんて、おかしいと思わないか!?」
男「どう思う!?」
通行人「私と議論したいのですか? ならば、動機を――」
男「ああああああっ! ――もうっ!」
― 町 ―
男「なぁ、そこのあんた!」
通行人「?」
男「何をやるにしても、面接を受けなきゃならない世の中なんて、おかしいと思わないか!?」
男「どう思う!?」
通行人「私と議論したいのですか? ならば、動機を――」
男「ああああああっ! ――もうっ!」
49:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:38:17.475 :DaLO2FG/0.net
男(ダメだ……どいつもこいつも『超面接社会』に浸りきっちゃってる……)
男(みんな狂ってる……いや、俺だけ狂ってるのか? もうわけ分からん……)
紳士「あなたのお気持ち、分かりますよ」
男「……ん? 誰ですか、あなたは?」
紳士「おっと失礼、私こういう者です」スッ
男(名刺……)
男「『超面接社会を打倒する会』の代表……!?」
紳士「……」ニコッ
男(ダメだ……どいつもこいつも『超面接社会』に浸りきっちゃってる……)
男(みんな狂ってる……いや、俺だけ狂ってるのか? もうわけ分からん……)
紳士「あなたのお気持ち、分かりますよ」
男「……ん? 誰ですか、あなたは?」
紳士「おっと失礼、私こういう者です」スッ
男(名刺……)
男「『超面接社会を打倒する会』の代表……!?」
紳士「……」ニコッ
51:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:42:46.449 :nTrQGgWW0.net
入会には……
53:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:43:37.675 :DaLO2FG/0.net
紳士「かつて、この国はコンピュータに依存しすぎていました」
紳士「面と面を向き合い話し合う面接を軽視し、全てをコンピュータに任せていたのです」
紳士「だが、それゆえ表面上の経歴は優れているが、問題を抱える者を重用してしまったり」
紳士「隠れた才能を持つ者を見逃す、という事態が相次ぎ、国力は低下してしまいました」
紳士「その反動で、今の何をするにしても面接を行う『超面接社会』が生まれてしまったのです」
男「そうだったんですか……」
紳士「ですが、過ぎたるは及ばざるが如し、今の社会はどう考えてもやりすぎです」
紳士「なんとしても是正せねばなりません」
男「やっぱりそうですよね!」
紳士「かつて、この国はコンピュータに依存しすぎていました」
紳士「面と面を向き合い話し合う面接を軽視し、全てをコンピュータに任せていたのです」
紳士「だが、それゆえ表面上の経歴は優れているが、問題を抱える者を重用してしまったり」
紳士「隠れた才能を持つ者を見逃す、という事態が相次ぎ、国力は低下してしまいました」
紳士「その反動で、今の何をするにしても面接を行う『超面接社会』が生まれてしまったのです」
男「そうだったんですか……」
紳士「ですが、過ぎたるは及ばざるが如し、今の社会はどう考えてもやりすぎです」
紳士「なんとしても是正せねばなりません」
男「やっぱりそうですよね!」
54:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:47:08.473 :DaLO2FG/0.net
紳士「よって私は今、有志を集め、『超面接社会』の打倒を目指しているのです」
紳士「今の社会を変えるには、あなたのような人材が必要なのです!」
男「は、はいっ!」
男(やっと……やっと俺と同じ考えの人に出会えた……)
男「ぜひ協力させて下さい!」
紳士「では我々のアジトまで案内します。どうぞこちらへ」
紳士「よって私は今、有志を集め、『超面接社会』の打倒を目指しているのです」
紳士「今の社会を変えるには、あなたのような人材が必要なのです!」
男「は、はいっ!」
男(やっと……やっと俺と同じ考えの人に出会えた……)
男「ぜひ協力させて下さい!」
紳士「では我々のアジトまで案内します。どうぞこちらへ」
55:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:50:22.061 :DaLO2FG/0.net
― アジト ―
男(ここが『超面接社会を打倒する会』の本拠地か……)
男(やっぱり今の社会がおかしいと思ってるのは俺だけじゃなかった!)
男(よーし、この団体に入って、今の面接だらけの世の中を変えてやる!)
紳士「じゃあ、あちらの部屋へどうぞ。会員が待っていますから」
男「はい!」
― アジト ―
男(ここが『超面接社会を打倒する会』の本拠地か……)
男(やっぱり今の社会がおかしいと思ってるのは俺だけじゃなかった!)
男(よーし、この団体に入って、今の面接だらけの世の中を変えてやる!)
紳士「じゃあ、あちらの部屋へどうぞ。会員が待っていますから」
男「はい!」
56:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:53:39.974 :DaLO2FG/0.net
男「失礼します!」
会員A「席にお座り下さい」
男「はいっ!」ストンッ
会員B「それではこれより、『超面接社会を打倒する会』の採用面接を始めます」
会員A「まずは志望動機をお話し下さい」
男「は……?」
男「失礼します!」
会員A「席にお座り下さい」
男「はいっ!」ストンッ
会員B「それではこれより、『超面接社会を打倒する会』の採用面接を始めます」
会員A「まずは志望動機をお話し下さい」
男「は……?」
57:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 22:57:06.469 :DaLO2FG/0.net
男「ちょ、ちょっと待って下さい!」
会員A「なにか?」
男「なんで面接なんかやるんです!?」
会員A「当然だろう。面接ぐらいしないと、君に適性があるのか分からない」
会員B「我々だって、来る者拒まず、というわけにはいかないからね」
男「そりゃそうですけど……」
会員A「だろう?」
男「ちょ、ちょっと待って下さい!」
会員A「なにか?」
男「なんで面接なんかやるんです!?」
会員A「当然だろう。面接ぐらいしないと、君に適性があるのか分からない」
会員B「我々だって、来る者拒まず、というわけにはいかないからね」
男「そりゃそうですけど……」
会員A「だろう?」
58:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 23:00:29.139 :DaLO2FG/0.net
男「この面接に合格しさえすれば、『超面接社会を打倒する会』に入れるんですよね?」
会員A「いや、これはまだ一次面接だ」
男「一次……?」
会員A「一次面接が終われば二次面接、二次面接が終われば三次面接がある」
会員B「三次、四次、五次面接をクリアしたら、ようやく最終面接だ。頑張って――」
男「……」プルプル…
男「ふざけんな!!!」
男「この面接に合格しさえすれば、『超面接社会を打倒する会』に入れるんですよね?」
会員A「いや、これはまだ一次面接だ」
男「一次……?」
会員A「一次面接が終われば二次面接、二次面接が終われば三次面接がある」
会員B「三次、四次、五次面接をクリアしたら、ようやく最終面接だ。頑張って――」
男「……」プルプル…
男「ふざけんな!!!」
59:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 23:03:43.389 :DaLO2FG/0.net
男「失礼します!」スタスタ
会員A「あっ、コラ!」
会員B「まだ面接の途中――」
バタンッ!
男「あ~~~~~~~~~いやだ! も~~~~~~~~~~いやだ!!!」
男「失礼します!」スタスタ
会員A「あっ、コラ!」
会員B「まだ面接の途中――」
バタンッ!
男「あ~~~~~~~~~いやだ! も~~~~~~~~~~いやだ!!!」
60:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 23:08:07.171 :DaLO2FG/0.net
男「なにが面接だ! 志望動機だ! 自己PRだ! 趣味特技だ! 長所短所だ!」
男「もううんざりなんだよ!」
男「なにやるにしても面接、面接、面接、面接、面接、面接、面接!」
男「気が利いた答えを返せなきゃ、買い物もできない! 面接を無視すれば、罰せられる!」
男「挙げ句、面接社会を正そうって奴らまで結局面接に頼ってやがる!」
男「もうこんな下らない社会には愛想が尽きた! こっちから出ていってやる!」
男「死んでやる!」
男「なにが面接だ! 志望動機だ! 自己PRだ! 趣味特技だ! 長所短所だ!」
男「もううんざりなんだよ!」
男「なにやるにしても面接、面接、面接、面接、面接、面接、面接!」
男「気が利いた答えを返せなきゃ、買い物もできない! 面接を無視すれば、罰せられる!」
男「挙げ句、面接社会を正そうって奴らまで結局面接に頼ってやがる!」
男「もうこんな下らない社会には愛想が尽きた! こっちから出ていってやる!」
男「死んでやる!」
63:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 23:12:27.568 :DaLO2FG/0.net
― 崖 ―
ヒュゥゥゥゥ……
男(この崖は自殺の名所……)
男(まるでサスペンスドラマのクライマックスに出てきそうな崖だ)
男(ここから飛び降りて死んでやる!)
男(どうせこのままじゃ、生きていけないんだ!)グッ…
男「とりゃあっ!」ピョーンッ
?「お待ちなさい」ガシッ
男「うわあっ!」ドサッ
― 崖 ―
ヒュゥゥゥゥ……
男(この崖は自殺の名所……)
男(まるでサスペンスドラマのクライマックスに出てきそうな崖だ)
男(ここから飛び降りて死んでやる!)
男(どうせこのままじゃ、生きていけないんだ!)グッ…
男「とりゃあっ!」ピョーンッ
?「お待ちなさい」ガシッ
男「うわあっ!」ドサッ
64:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 23:15:19.350 :DaLO2FG/0.net
?「こんにちは……」ボワァ…
男「な、なんだ……!? 誰だお前!?」
幽霊「私は幽霊です……」
男「ゆ、幽霊!?」
幽霊「地縛霊というやつです……」
男「もしかして、あんたもここで自殺したのか」
幽霊「はい……」
?「こんにちは……」ボワァ…
男「な、なんだ……!? 誰だお前!?」
幽霊「私は幽霊です……」
男「ゆ、幽霊!?」
幽霊「地縛霊というやつです……」
男「もしかして、あんたもここで自殺したのか」
幽霊「はい……」
65:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 23:18:29.870 :DaLO2FG/0.net
男「なんで俺を助けてくれたんだ?」
幽霊「助けたわけではありません……」
幽霊「私はここの番人のようなものですからね……」
幽霊「自殺志願者が現れたら、きちんと手順を踏んでもらわねばなりません……」
男「手順?」
幽霊「まずは、なぜこの崖で死のうとしたのか、死亡動機をお答え下さい」
おわり
男「なんで俺を助けてくれたんだ?」
幽霊「助けたわけではありません……」
幽霊「私はここの番人のようなものですからね……」
幽霊「自殺志願者が現れたら、きちんと手順を踏んでもらわねばなりません……」
男「手順?」
幽霊「まずは、なぜこの崖で死のうとしたのか、死亡動機をお答え下さい」
おわり
72:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします:2016/11/02(水) 23:49:10.821 :E39YuoyHa.net
乙
面白かった
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