『誕生日プレゼント、何をあげる？』


簡単なテロップと共に映像が始まりました。
なるほど。誕生日プレゼント一つとしても、商品名OKの場合やNGの場合もありますからね。キチンとチェックしないと！


『渋谷凛の場合』


凛ちゃんですか。凛ちゃんは、何をあげるんでしょうか……。


『誕生日プレゼント？　……やっぱり、誕生花かな？』


やっぱり、想像通りの答えでしたね。


『イヤリングやネックレスもいいかもしれないけど、気に入るかわからないし……』


『えっと、あげるとしたら……。確か、サンダーソニアだったはず。花言葉は、祈り、愛嬌。このあたりかな？』


むむ……。誕生花がよくわかりませんが、なんだかかっこいい名前ですね……。
凛ちゃんらしいと言えば、凛ちゃんらしいです。

VTRチェックした時、もし事務所NGの箇所があった場合は、再生時間の開始と終了、発言をメモしてチェックします。
のちに編集作業を行ってもらって、該当箇所を編集します。おかしくならないように、前後を切り取ってもらったりも作業の一つです。

今回は……いらないかな？


「あ、凛ちゃんのインタビュー終わりですか」


誕生花の説明をした後は、誕生日おめでとうと言って終わりました。
……なんで誕生日プレゼントの質問なのに、お礼を言っているんでしょうか？

『涼宮星花の場合』


あら、星花ちゃんも答えてくれたんですね♪


『そうですわね……。わたくしは、バイオリンの演奏を行いますわね』


『わたくしの奏でる音色を聞いてもらいたいです』


星花ちゃんの演奏……。いい誕生日プレゼントになると思います♪

でも、気になることが一つ。
脇に抱えているのは、バイオリン？ ですかね。……なんで？


『ではここで、わたくしの演奏を聴いてくださいませ』


『～♪』


あーなるほど。演奏するために持ってたんですね！


「なんでそんな運よくバイオリン持ってるんですか！」


しかも、これ尺に収まらないですよね……。
ある程度、使っていい尺というのは決まっています。

プロデューサーに貰った資料によると、1人2分くらいを目途に行ってくださいとの指示です。
演奏はうれしいんですけど、さすがに尺に入らないですよね……。


『～♪ 時間も少ないので、わたくしからは以上ですわ。ありがとうございました』


お、ちょうどいいくらいの時間！
……撮影していた人がタイミングを計ったんでしょうかね？


星花ちゃんもNGなしです。演奏はとってもよかったです！

『ライラの場合』


ライラちゃんですか。今までNGなしだったから、今回もなしだといいですね……。


『…………』


？


『…………』


あ、あれ？
ライラちゃーん。話してくださーい。


『あ、カメラマンさん。もう始まっているのでございますか？』
『ﾊｼﾞﾏｯﾃﾏｽ』


……これはカットですね。
ライラちゃんっぽくてかわいらしいですけど、これは、んー。
少し放送事故ですからね。


『ライラさんの誕生日プレゼントは、アイスですよー』


ライラちゃんらしいですねー。


『とっても美味しいアイスのお店を見つけたのでございますですよ』


文法が危ないでございますねー。


『あと、誕生日といえば、美味しいものを食べれると聞きました』


『から揚げ食べてもよいでございますかー？』


パーティーにあったら食べてよいでございますよー。
なんだか、ライラちゃんの話を聞いてると、口調がうつっちゃいますね。


『以上でございます。プロデューサー殿、これでいいでございますかー？』


あ、ここもカットですね。
TVで使うらしいですし。


「えっと、最初と最後の挨拶っと」

メモもしましたし、次のチェックもいきますか。

『多田李衣菜の場合』


李衣菜ちゃんの誕生日プレゼントといったら……楽器とかでしょうか？


『えーと、プレゼントですか？ ……そうですね、やっぱりこのヘッドホンです！』


楽器じゃないんですね。


『最近見つけたこのヘッドホン、音がまろやかになって、甘く聞こえたりします！』


……この表現はカットしたほうがいいんですかね。


『しかも、とってもおしゃれなんです！ 絶対に似合いますよ！』


『あとは、かな子ちゃんに習った、クッキーをあげますね』


そういえば、李衣菜ちゃん料理できるんでしたね。
かな子ちゃんと一緒に作ったクッキー……。いいですね～。

『プロデューサーの場合』


……？


『えーどうも。プロデューサーのモバPです』


…………？


『チェック部屋でチェックしてると思いますが、そのまま戻ってきてください』


…………？？？？








とりあえず、戻りましょうか。


プロデューサーさんに、問い詰めないといけませんね♪
きちんと話を聞きに行きましょうか♪




「で、なんですかプロデューサーさん」


「あった瞬間顔面に一発入れるのはどうかと」


失礼な。
軽くほっぺ触っただけですよ？

「で、なんですかあの動画は！」


「えっと……後ろ振り向いてください」


はぁ……。プロデューサーさんの常套手段ですね。よくやっていますから、今回は騙されませんよ。


「……怒りをそらそうとしても、無駄ですよ？」


「ち、違いますって！」


「……？」


えらく切羽詰ってますね。なんででしょうか？


「どうしたんですか？ そんなに切羽詰って……」


「う、後ろですって後ろ！」


「だから、何があるって！」
「も、もういい！　凛、星花、ライラ、李衣菜！　祝え！」


……は？


「「「「ちひろさん、誕生日おめでとうございます！！(ですよー)」」」」

「えっと、なんですか、本当に……」


「ほら、今日ちひろさんの誕生日じゃないですか。だから、空いている人集めて……。急な呼びかけだったから、少なかったですけど……」


？
……あ！


「11月28日、ちひろさんの誕生日だよ？」


「ちひろ殿の誕生日とプロデューサー殿から聞きましたですよー」


「ちひろさん、わたくしの誕生日は祝ってくださったのに、ご自分の誕生日を祝われていないと聞きまして……」


「ちひろさんの誕生日祝わないのは、ロックじゃないなー」


みんな、わかってたんですね。
ちょっぴり、恥ずかしい……。


「で、今回ドッキリという形式で、誕生日プレゼント何がいいかってインタビューを……」


「私からは、サンダーソニアを」


サンダーソニアって、私の誕生花だったんですね……。

「ではわたくしから、バイオリンのプレゼントを。……さっきの動画とは、違う曲ですわよ？」


「そうなんですか！　うれしいです♪」


曲は、誕生日の定番ソング。星花ちゃんが演奏するだけで、これだけ変わるんですね……。


「ライラさんはアイスのプレゼントですよー」


「まぁ♪ ありがとうございます」


「私からは、このヘッドホンと、クッキーを！」


VTRで言っていた内容のプレゼントを貰っちゃいました……。
こういう誕生日もいいですね……。


「ちひろさん、どうですか？ 楽しんでいただけましたか？」



「ありがとうございます。本当に楽しかったです♪」


「事務所も5周年となりましたが、これからもよろしくお願いしますね？」



「もちろん！ これからもプロデュース頑張りますよ！」


「なぁみんな！」


「「「「はい！(うん)」」」」


「じゃあ、もう一回言っておこうか」


「ちひろさん」


「「「「「お誕生日、おめでとうございます！」」」」」


終わり