ギンコ「こいつはまた、えらくのどかな場所だな」てくてく


「牛がーー！牛が、仔牛が、死んで……！」

ざわざわ ざわざわ


ギンコ「ん？」

ギンコ「なんの騒ぎだ？」

住民「おい、死んでいるぞ」

住民「仔牛がいったいどうして」

住民「なぜあんな死に方を…」


農家「う、うぅ…牛ぃ……」

獣医「これは…！！」



ギンコ(こいつは、何かあったな)

ギンコ「ちょいと、ごめんください」

住民「あん？誰だいアンタ？」

ギンコ「旅の者です。何かあったのかい？」

住民「ん、ああ。仔牛が一頭死んだんだよ」

住民「それも、見たことがないような死に方をして！」

ギンコ「見たこともないような…？」

ギンコ「見たこともないって言うと、そいつはいったいどのような…？」

住民「胃の腑によ…」

住民「穴が、空いていたらしい…」

ギンコ「胃に穴が…？」

住民「ああ。はらわたに穴だなんて聞いたこともねぇ」

住民「おっかねえなぁ」


ギンコ(こいつは…もしかすると)

農家「あぁ…牛がぁ…」がくっ

ギンコ「あんたが牛の主かい？」

農家「お前さん、誰だい？」

ギンコ「旅の蟲師をやっている、ギンコと申します」

農家「……蟲師が何の用だい」

ギンコ「なんでも、牛が奇怪な死に方をしたとか」

農家「ああ。そうだ。うちの牛の胃に穴が空いてよ…まだ産まれて一ヶ月だったってのに…」

ギンコ「・・・。」

ギンコ「少しばかり、その牛を調べさせてもらえませんか？」

農家「そいつは構わねぇが、蟲師に何かわかるのかい？」

ギンコ「もしかすると、あるいは」

仔牛『・・・』

ギンコ(こいつが死んだ仔牛か)

ぐいっ

ギンコ(確かに。胃に潰瘍が出来ている…)

ギンコ「やはりこれは…」


農家「あぁ、ギンコさん。なんかわかったのかい？」


ギンコ「ええ。こいつは……」



ギンコ「『オスプレイ』の仕業です」

農家「オスプレイ？」

ギンコ「はい。最近飛び回っているでしょう？」

農家「あの米軍の飛行機か！」

ギンコ「ええ。そいつの騒音のせいで、この仔牛の胃に潰瘍が出来たものと思われます」

農家「なんてことだ！オスプレイのせいで！！」

農家「あ！まさか最近私の体調が悪いのも！？」

ギンコ「オスプレイの仕業でしょう」

農家「オスプレイめ！！」

ギンコ「すぐにオスプレイの反対デモをしてください。でないと、他にも様々な影響があるかもしれない」

農家「オスプレイめ！オスプレイめ！オスプレイめ！」


住民「おい、あのオスプレイって奴のせいでこうなったらしいぞ！」

住民「おのれオスプレイめ！！」

住民「あれもこれもオスプレイのせいだったんだ！！」

ギンコ「ところで、この仔牛の胃。少し頂いてもいいでしょうか？」

農家「ん？ああ、好きにしてくれ。俺たちはこれから反対デモに行かないといけないから」

ギンコ「ありがとうございます」


ギンコ(あとで化野に高値で売り付けよう)


第一話『超音波兵器オスプレイ』終

第二話


ﾐｬｱﾐｬｱﾐｬｱ！


漁師「今朝はひどく海鳥が鳴いているな」

漁師「おい、アレ見てみろ！浜に何か打ち上がっているぞ！」

漁師「う、うわぁ！なんだありゃあ！？」

ギンコ「浜辺の方に人が集まっているな…」

ざわざわ ざわざわ

ギンコ「ちょいと、通してくれ」グイグイ

住民「おわっ！」

住民「なんだなんだ！？」

ギンコ「悪いね。なんかあったのかい？」

住民「ああ！それが、浜に巨大な金属管が打ち上がったんだよ！！」

ギンコ「金属？」

住民「そうなんだ！もう住民の間ではオスプレイと関係あるんじゃないかって持ちきりさ！」

ギンコ「ああ、そいつならきっと……」


ギンコ「オスプレイの仕業だな」

住民「やっぱりか！やっぱりオスプレイか！！」

住民「うおおおおおおい！！みんなぁあああああ！！やっぱりオスプレイだってよおおおおおお！！」

漁師「うわああああああやっぱりオスプレイだあああああああ！！！」

住民「あれもこれも全部オスプレイのせいだったんだあああああああ！！！」

住民「うわあああああオスプレイだあああああああああ！！！」

住民「ぎゃああああああオスプレイが飛んでるぞおおおおおおおおお！！！」

住民「うわあああああ！！！オスプレイだオスプレイだオスプレイだあああああああああ！！！」


第二話『なんでもオスプレイ』終

俺にこのSSを書かせたのもオスプレイの仕業だな

終わります