ヴィーネ「…そういえば、この前テレビで売春について取り上げられていたわね」

ヴィーネ「お金を貰って、男の人とこう…す、すごいことをするっていう…」

ヴィーネ「………」

ヴィーネ「な、何を怖気付いているのよ！決めたんでしょ！立派な悪魔になるって！」

ヴィーネ「やってやる！やってやるわよぉ！」

ヴィーネ(…といっても、売春ってどうすればいいのかしら)

ヴィーネ(確かテレビでやってたのは、男の人に話しかけて、お金を貰って、デートして…)

ヴィーネ(…まずは、適当な男の人に話しかければいいのね？)

ヴィーネ(……ううっ、いくわよ！)


ヴィーネ「あのっ、すいません！」

>>14「ん？」
(男の特徴)

オッサン「なにかな？お嬢ちゃん」

ヴィーネ「うっ…」

ヴィーネ(何この人…なんか臭いし、嫌な感じ…)

ヴィーネ(ってそんなこと思っちゃダメダメ！)

ヴィーネ「…あっ、あのっ！えっと、お金を」

オッサン「？」

ヴィーネ(違う違う何テンパってんの私！)

ヴィーネ「じゃなくて、ええと」

ヴィーネ「おかねくれませんか！？」

オッサン「は？」

ヴィーネ「」

ヴィーネ「…え、えっと、そうじゃなくて」

オッサン「なんだこのガキ。喧嘩売ってんのか？」

ヴィーネ「ち、違うんです違うんです！えっと、そうだ！」

ヴィーネ「お金をあげるので、デートして下さい！」

ヴィーネ(あっれえええ！？)

オッサン「……」

オッサン「>>26」

ーーーーーー

オッサン「いやー、今日は楽しかったよ」

オッサン「生きてると、いいことあるとんだねぇ。こんな若い子にデートに誘ってもらえるなんてさ」

ヴィーネ「…は、はい。こちらこそ、ありがとうございました」

ヴィーネ「これ、約束のお金です…」

オッサン「ん？ああいいよいいよそんなの。むしろこっちが払いたいくらいさ」

オッサン「ま、払っちまったら犯罪になっちまうけどな！」

ヴィーネ「………」

オッサン「じゃ、今日のとこはこれで。さよなら」

ヴィーネ「…あ、はい。さようなら…」

ヴィーネ(仕送りめっちゃ減ってる…)

ヴィーネ「なんでこうなったのかしら」

ヴィーネ「このままじゃいけないわ」

ヴィーネ「次は>>33するわよ」

ヴィーネ「悪事といえばギャンブルよね！」

ヴィーネ「ここら辺に、賭博場とかないかしら…」

ヴィーネ「ラフィに聞けばわかるかもね」



ラフィ「賭博場ですか？」

ヴィーネ「うん。ラフィなら知ってそうだと思って…」

ラフィ「う～ん…一応、一つ知っていることには知っていますが、後悔はしませんか？」

ヴィーネ(う…)

ヴィーネ「そんなこと言ってる場合じゃないのよ。だから、教えて？」

ラフィ「わかりました。そこまで言うならお教えしましょう」

【賭博場】

サターニャ「よく来たわね、ヴィネット
！！」

ヴィーネ「……」

ラフィ「うふふ」

ガヴ「…これはどういうことだラフィ」

サターニャ「くくく、聞いて驚きなさい…ここは我が胡桃沢家が投資して作り上げた、サタナキアカジノよ！！」

ヴィーネ「町外れの倉庫じゃない…」

ラフィ「まぁまぁ、仕送りが大変なのはわかりますけど、サターニャさんをいじ…サターニャさんと遊んでいれば、そんな些細なことはどうでも良くなりますって」

ガヴ「そういう話なら私ネトゲしてたいんだけど…」

ヴィーネ「…しょうがないわね、付き合ってあげるわよ」

サターニャ「当然よ！じゃ、最初のゲーム、『限定じゃんけん』始めるわよー！」

ヴィーネ(…すごく時間を無駄にした気がする…)

ヴィーネ(一刻も早く悪事を働かないといけないのに…！)

ヴィーネ「今度こそ悪いことするわよ！」

ヴィーネ「>>44をするわ！」

ヴィーネ(……これまでは、人に頼っていたからダメだったのよ)

ヴィーネ(人に頼らず、自分だけの力で悪いことをしてみせるわ)

ヴィーネ(…自分の力だけでできる悪行というと…)

ヴィーネ(公然わいせつ…とか？)

ヴィーネ(で、でもそれはさすがに…)

ヴィーネ(う、うぅっ…でも、そんなふうに可能性を潰してちゃ、いつまで経っても悪魔になんてなれない…)

ヴィーネ(…や、やるわ！やるわよ！)

ヴィーネ(………まぁ、でも)

ヴィーネ(警察に捕まっちゃったらいくら悪魔的でも意味が無いし…)

ヴィーネ(…とりあえずは、『わいせつ動画の撮影＆アップロード』ということにするわ…)

ヴィーネ(たくさんの人に恥ずかしいところ見られちゃうってのは間違ってないと思うし…)

ヴィーネ(これだって十分悪魔的行為よね？)

ヴィーネ(はぁ、はぁ…ここまで来たら、もう引き返せないわよ…)

ヴィーネ(トイレに、カメラを設置して)

ヴィーネ(録画オン…そして放送スタート…)

ヴィーネ(はぁ、はぁっ//！いくわ！私は悪魔になるの！)

ヴィーネ「」


ヴィーネ「……はぁ」


ヴィーネ「…………あれ？これって」


ヴィーネ「被害を被ってるの、私じゃない？」


ヴィーネ「…だ、大丈夫よね」

ヴィーネ「だって、これだけ再生回数を稼いだんだもの！」

ヴィーネ「これだけたくさんの人に、不快感を与えられたなら…！」

ヴィーネ「う、うぅっ…なんか、急に申し訳なく…」

ヴィーネ「き、気にすることない！だって私は悪魔なんだもの！」

『JK脱糞ｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!』
『うはｗｗ顔出しとかマジで勇気ありすぎｗｗｗ』
『保存しますた』
『これは酷いｗｗｗｗｗｗ』
『声がエロいね』
『114514回抜いた』




ヴィーネ「なんで仕送りこんな減ってんのよ！？」

ヴィーネ「あ、あんなに恥ずかしい思いしたのに…なんでダメなの…？」

ヴィーネ「……挫けてる場合じゃないわ」

ヴィーネ「こうなったら…>>72するわ」

ヴィーネ「……もう、いいわ」

ヴィーネ「ここまで来たなら、徹底的にやるしかない…！」

ヴィーネ「バレても構わない！校舎の窓を片っ端から破壊するわよ！」



ヴィーネ「…夜の校舎って不気味ね」

ヴィーネ「さて、窓を割るわ…！」

ｸﾞｸﾞｯ

ヴィーネ「割るわよ…！」

ｸﾞｸﾞｯ

ヴィーネ「………」

ヴィーネ「えーーーいっ！！！」

ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ!!!!

「！？」

「何事だ！」


ヴィーネ「やばっ、そうだ！夜の校舎って無人って訳じゃないんだ…！」


「こっちの方から聞こえたぞ！」

「了解、すぐ行く！」


ヴィーネ「あぁああぁあああどうしよう！？でも、窓一枚割った程度じゃ、大して仕送り増えないだろうし…！」

ヴィーネ「こうなったらヤケよ！」

ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ

ヴィーネ「ひいぃいいいごめんなさいごめんなさいごめんなさい！！」

ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ

ヴィーネ「全額弁償します何をしてでも完済しますだから許してください！」

ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ ｶﾞｼｬｰｰｰﾝ


「」ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀ


ヴィーネ「…！」

ヴィーネ「あっちから誰か来る…！」

ヴィーネ「きっと警備員さんだ！このままじゃ、捕まる…！」

ヴィーネ「くうっ！えいやっ！」ﾌﾞｵﾝ

？？「がぁっ！？」ﾒｷｯ

ﾄﾞｻｯ

ヴィーネ「あ、あぁあ、ああぁああ…」

ヴィーネ「……あれ？」

「」

ヴィーネ「この人、警備員さんじゃない…？」


警備員A「何事ですか！」

警備員B「あっ、人が倒れてるぞ！」

ヴィーネ「あっあっあっあっ」

ヴィーネ(マズイ…！)

警備員A「あれ？君は…」

ヴィーネ「わ、忘れ物取りに来てまして！」

警備員A「こんな夜遅くにかい？」

ヴィーネ「は、はいっ……」

ヴィーネ(…ここまでか)

警備員B「…おい、こいつ、警備員じゃないぞ」

警備員A「…え？」


ｺﾞｿｺﾞｿ


警備員A「…泥棒か」

ヴィーネ「え？」

警備員B「なるほど、所々割れてる窓も、こいつがやったんだな」

ヴィーネ「えっ」

警備員A「君は、こいつを捕まえてくれたんだね。ありがとう。助かったよ」

ヴィーネ「……えっと」

ヴィーネ(悪魔としては、ここで嘘をついてしまわなきゃいけない)

ヴィーネ(ここまで酷いことをやったんだ。最後までやり通さなきゃ、これまでやってきた事の意味がない)

ヴィーネ(…けれど、けれど)



ヴィーネ「……いえ」

ヴィーネ「窓は、私が割りました」

ヴィーネ「ごめんなさい」

ヴィーネ(あの後、私は停学にされた)

ヴィーネ(退学にならなかったのは、泥棒を捕まえた功績と、正直に話した私の道徳性を認めてのものだった)

ヴィーネ(増えた仕送りは、全額窓の弁償代に充てられた)

ヴィーネ(…)

ヴィーネ(私は、何をしているんだろう…)

ヴィーネ(下界にまで来て、私は何を得たんだろう…)

ヴィーネ(…悪魔らしいことは何一つできていないし)

ヴィーネ(預金通帳の中身も……)

ヴィーネ(……あれ？)

ヴィーネ(なんでこんなにお金あるの？)



ヴィーネ(もしかして…)ｶﾀｶﾀｶﾀｶﾀ

ヴィーネ「…やっぱり。この動画、すごい再生回数行ってる…」

ヴィーネ「この分の広告代が、私の通帳に入ってきたんだ…」

ヴィーネ「…………」

ヴィーネ「……………」

ヴィーネ「……こんなことで、お金なんて稼げちゃうんだ」

ヴィーネ「……仕送りは減っちゃうかもだけど…」

ヴィーネ「…………」




ｶﾁｯ

終



あのさ、お前ら俺のヴィーネちゃんに何か恨みでもあるの？