幼馴染「学校の制服着たままゲーセンなんて行っちゃダメに決まってるでしょ。遊びに行くなら一度帰ってからにしなさいよ」

俺「えぇー…」

幼馴染「まったく、私は独り暮らしの俺くんの親代わりなんだから世話焼くのは当然よ」

俺「俺は頼んでねぇよ！」

男友達「おっ、二人とも今日もお熱いねぇ～。ヒューヒュー！」ﾆﾔﾆﾔ

幼馴染「バッ……そ、そんなんじゃないわよっ//」ｶｧ…

俺「そ、そうだ！　誰がこんな怒りっぽい女と！」

幼馴染「何よそれ！　俺くんがだらしないのがいけないんでしょ！？」

俺「何～～～～～っ！？」

幼馴染「何よ！」

「「ぐぬぬぬぬぬ」」ﾊﾞﾁﾊﾞﾁﾊﾞﾁ

男友達「ま、まあまあ。とりあえず学校出ようぜ？」

男友達（まったく、二人とももっと素直になればいいのにねぇ）ﾔﾚﾔﾚ

＊

～帰路～

ﾃｸﾃｸ…

幼馴染「あ、そうだ。俺くん今日夜ご飯どうするの？」

俺「んー……。まあ、いつも通り適当に済まそうかな」ﾎﾞｰ

幼馴染「じゃ、じゃあうちで食べない？　今日は私がご飯作ることになってるの……//」

俺「いいのか？　じゃあ幼馴染の家で食べることにするよ」

幼馴染「ほんと？」ﾊﾟｧｧ

俺「ああ、ありがとな。でもいいのか？」

幼馴染「あ、当たり前でしょっ。っていうか俺くんってば、ほっとくとカップ麺ばっかり食べるんだもん」

俺「だって上手いし楽だし安いし……」

幼馴染「身体に悪いからダメよ。ちゃーんと私が栄養バランスの良いメニューを作ってあげる」

男友達「ほーんと仲いいよねお前ら」

俺「男友達！　いたのかよ」ﾋﾞｸｯ

男友達「いたよ！」

ｳｩｩｩｩｩ―――――ｳｩｩｩｩ――――



俺「！？」

幼馴染「何？　サイレンの音？」

ﾄﾞｯｺﾞｵｵｵｵｵｵｵﾝｯｯ



男友達「今度は爆発音！？」

俺「避難訓練って感じではなさそうだな……」ｷｯ

ﾜｰﾜｰ　ｷｬｰ

ﾀｽｹﾃｸﾚｰ

中年「うわあああっ逃げろ―――ッ」ﾄﾞﾀﾄﾞﾀ

幼馴染「どうしたんですか？」

中年「奴らが……奴らが攻めてきたんだ！！」ｶﾞｸｶﾞｸｶﾞｸ

中年「死にたくないぃぃっ」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

俺「奴ら……？　まさか……！」

ﾄﾞｶﾞｱｱｱｱﾝｯｯ!



幼馴染「きゃあああああっ」

男友達「また爆発！？　しかもすぐ近くだ！」

ｻﾞｯ　ｻﾞｯ

？？「我が部隊はこの地域一帯に散開、制圧しろ」

？？「この国は我々北朝鮮軍が支配するのだ！」

俺「北朝鮮……だと……！？」

？？＝北朝鮮軍部隊長

部隊長「かかれ」

北朝鮮軍「「「はっ」」」

ﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟｯ

「ぎゃあああああっ」

「逃げろ―――」

「殺さないでくれぇぇ！」

部隊長「逃がすな。女・子供は生け捕りにし、それ以外は射殺しろ！」

ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

「ぐぎゃああああああっ」

男友達「なんだよこれは……。」

幼馴染「わ、私たちも逃げないと！」ﾀﾀｯ

俺「……………」

ｷﾞｬｰ

ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

ｼﾆﾀｸﾅｲｰ

ｷﾞｬｰ

ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

ｼﾆﾀｸﾅｲｰ

俺（なんだっていうんだ。ここは日本……平和な国じゃないのか？）

俺（こんないとも簡単に人々の自由と平和が奪われていいのか？）

北朝鮮兵1「ハハハハッ！　死ねぇ死ねぇ！！」ﾊﾞﾊﾞﾊﾞｯ

北朝鮮兵2「弱小国ごとき我ら北朝鮮の前に跪け！！」ﾊﾞﾝﾊﾞﾝ

幼馴染「何してるの？　俺くんも逃げよ！」ｸﾞｲｯ

俺「あ、ああ」ﾀｯ

ｶﾞｼｯ

幼女「きゃ、きゃああああっっ」

俺「！」

兵3「へへっ。大人しくしな、お嬢ちゃん」ﾆﾀﾆﾀ

兵3「安心してよ。女の子は殺さないから。本国に連れて行ってたっぷり可愛がってあげるからねぇ」ｼﾞｭﾙﾘ

幼女「いやあああっっ」

俺「………………いいわけがねえ」ﾎﾞｿ

幼馴染「俺くん？」

俺「こんなこと許されていいはずがねえ。いや……俺が許さねえ！！」ﾄﾞﾝ

男友達「お前何考えてんだ！？」

俺「みんなを………守る！」

ﾀﾞｯ

幼馴染「俺くん！」

ﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯﾀｯ

俺「やめろぉおおおッッ」ﾀﾞｯ

ﾄﾞｶﾞｯ

兵3「うぐっ」ｽﾞｻﾞ

兵4「何者だ！？」

俺「俺は……俺。これ以上お前らの好きにはさせねえ！」

兵3「何だとぉ？　弱小国家のクソガキが！」ｼﾞｬｷｯ

俺（拳銃！）

男友達「ヤベェ！」

幼馴染「いやああっ、逃げて俺くん――っ！！」

兵3「死ねぇ！」

ﾊﾞｧﾝｯ

俺「うおおおおおおっっ」ﾋﾟｷﾝｯ

ｺﾞｺﾞｵｵｵｵｵｯ

兵3「！？」

兵4「今、北朝鮮兵3の撃った弾丸がクソガキに届く前に弾き飛ばされた……？」

兵2「テメェらガキ相手に何やってる！」

兵3「2！」

兵2「テメェらがやらねぇならオレが殺ってやるぜ」ｼﾞｬｷｷｯ

男友達「今度はマシンガン！？」

兵2「オラオラオラァァッ」ﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞﾊﾞｧｯ

俺「はあああっ」ｶｯ

ｺﾞｺﾞｵｵｵｵｵｵｯ

兵2「何だと！？」ｶﾞｸﾝ

兵3「アイツ、今度はマシンガンの弾丸をすべて払いのけやがった！！」ｿﾞｸｩ

幼馴染「俺くん……、一体何をしたの！？」

俺「それは………これだ」ｽ

ﾌﾞｫｵｵﾝ

男友達「何だありゃあ？　俺のヤツの右腕の周りに黒い霧みたいなものが現れたぞ」

俺「これは闇の波動。これまで俺の中で眠っていたチカラがたったいま発現したんだ」

ﾌﾞｵｵｵｵｵｵﾝ

男友達「！？」

幼馴染「闇の波動……！！」ｺﾞｸﾘ

兵3「ハッ！　何が闇だ。そんな子供騙しが我ら北朝鮮に通用するとでも―――」

俺「黙れ」ｻｯ

兵3「！？」

ﾌﾞｵｫｵﾝ

兵4（このガキ、何てスピードだ！　一瞬で3に接近しやがった！）

男友達（更にさっきの闇の波動を右腕に纏っている！）

俺「俺の闇に飲まれて果てろ」

ﾌﾞﾝｯ

ﾄﾞｯｶﾞｱｱｱｱｱｱｱｯ

兵3「ぐああああああああああああああっっ」ｽﾞｻﾞｻﾞｻﾞ

兵2「3――――っ！」

男友達「すげえ、朝鮮のヤツを一瞬で……っ！」ｸﾞｯ

ｽﾀｯ

俺「次だ。かかってこい」ｷﾞﾛ

兵4「て、てめぇ――ッ」ﾀﾞｯ

兵1「4！やる気か！？」

兵4「お前みたいなクソガキなんざ蜂の巣にしてやるよ！！」ｼﾞｬｷｷｯ

男友達「マシンガンを二丁も……！」

兵4「うらぁっ！」ﾊﾟﾊﾟﾊﾟﾊﾟｯ

兵2「へへっ、これであのガキもひとたまりもないだろうよ」ﾆﾔ

俺「――誰がひとたまりもないって？」

兵4「なっ！？」

兵4（バカな！　ヤツは確かに俺のマシンガンの乱射を受けて蜂の巣になったはず！！）

兵1「よく見ろ、ガキがどこにもいねえぞ！」

兵2「き、消えた……？」

幼馴染「俺くん……一体どこに？」ｷｮﾛｷｮﾛ

兵4「ク、クソォ……ッ」ｷﾞﾘｯ

男友達「う、上だ！」

幼馴染「！！」

幼馴染（すごい……。あんな高いところに……）ﾎﾞｰｾﾞﾝ

兵2「野郎！　弾が当たる直前に跳び上がったのか！」

兵1「にしてもあの高さは何なんだ」

男友達（これも波動の力なのか！？）

グレープくん
どうか安らかに

俺「気付くのが遅かったな」ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｵｵｵｵ

幼馴染（俺くんの周囲に物凄い量の波動が出現している！　決める気なの？）

俺（まとめて片づけてやる）ｺﾞｺﾞ…

兵4「何だこの威圧感（プレッシャー）は……？」ｿﾞｸ

俺「必殺……」ﾌﾞﾝｯ

ｶｯ



俺「〝極黒滅撃〟<ｱﾙﾃｨﾒｯﾄﾃﾞｽﾌﾞﾚｲｸ>」

ドッッゴオオオオオオアアアアアッッ

兵1「ぐああああああああああっ！」

兵2「ぎゃあああああああっっ」

兵4「うわあああああっあああああ！！」

兵1（そんな馬鹿なぁ……！　俺たち3人を……まとめて……！）

ﾄﾞｶﾞｱｱｱｱｱﾝｯ

男友達「す、すげえ！　あの北朝鮮のヤツらを全員まとめて倒しちまいやがった！」ﾌﾞﾙｯ

俺「っと」ｽﾀｯ

幼馴染「俺くん！」ﾀﾀｯ

俺「幼馴染、怪我してないか？」

幼馴染「ううん、私は大丈夫。俺くんこそ」

俺「俺は問題ないよ」ﾆｯ

男友達「オイ、俺ェ！」ｶﾞｼｯ

俺「な、なんだよっ」

男友達「お前ほんとにすっげえな。何なんだあの波動って。どうやっ――」

部隊長「そこまでだ」ｻﾞｯ

男友達「！！」ｿﾞｸｩ

部隊長「私の部下を倒したのは貴様だな。このまま生きて帰れると思うなよ」ｷﾞﾛﾘ

男友達（何だコイツ……。さっきまでの兵隊たちと全然雰囲気が違う！）ｶﾞｸｶﾞｸ

俺「お前が親玉か？」

部隊長「いかにも。私が軍を率いてここまで進軍した隊長だ」

俺「ホォ……。じゃあお前を倒せば解決ってワケだ」ｷﾞﾝ…

ｺﾞｺﾞｫ

部隊長（こんな弱小国家にも波動使いがいたか。しかし、この闇の波動……今までに見た事がない）

男友達「コイツ、俺のヤツの波動を見てもまったく動じないぜ」

幼馴染「うん……。まさか………！」ｿﾞﾜｯ

部隊長「波動を使える人間が貴様だけだと思うな」ｽｯ

ｷﾞﾝｯ!

俺「！！」ﾋﾟｸﾝ

俺「まさか……お前も……！」

部隊長「波動の真の力を見せてやろう」ｺﾞｺﾞｵｵｵｵ…

幼馴染（俺くんと同じ波動……！）

幼馴染（でも俺くんとは違う。この人のは普通の白っぽく濁った波動だ）

俺「面白ぇ！　俺とお前、どっちの波動が強いか勝負してやる」ｺﾞｺﾞｵｵｵｯ

部隊長「私の波動で貴様たち全員葬り去ってやる」ｺﾞｵ

幼馴染「俺くん、気をつけてね……」

俺「心配するな、幼馴染。お前のことは俺が守る」ﾄﾞﾝ

幼馴染「俺くん……っ//」ﾎﾟ

俺（絶対に……勝つ）ｽｩ―

ﾀﾞｯ

俺「うおおおおおッ！」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

男友達「俺のヤツが北朝鮮の部隊長に向かって行った！」

男友達（なんつースピードだよ！　これじゃあ部隊長はひとたまりもないだろうぜ）ﾆｯ

俺「くらえっ！」ｷﾞｭﾝｯ

ﾄﾞｶﾞｱｱｱｯ

部隊長「フン、いい攻撃だ。しかし残念だったな」

俺「何っ、防がれた！？」

部隊長「私の前面に波動障壁を二重に張り、更に波動膜で全身をコーティングしている」

部隊長「波動の使い方は様々……。このように防御に使うのも基本中の基本だ」

部隊長「といっても高等技術である波動障壁を使いつつ、そのうえ波動膜まで発動できる者は、波動使いの中でもそういないだろう」

部隊長「私と戦えたことを光栄に思えよ、小僧」ﾆﾀﾘ

俺「チィッ、何をベラベラとくっちゃべってやがる！」ｸﾞﾝｯ

幼馴染「俺くん！」

幼馴染（あの部隊長って人の障壁を正面から破る気なんだ）

俺「らあああっ」ｶｯ

ﾄﾞｯｺﾞｵｵｵｯ　ﾊﾞｺﾞｯ　ﾄﾞｶﾞｯ

ﾊﾞﾘｲｨｨｨﾝ

部隊長（私の波動障壁を早くも突破したか）

部隊長「面白い」ｻｯ

男友達（部隊長も動いた！　俺のヤツが障壁を壊した瞬間の隙を狙ってきたのか）

部隊長「我が波動、とくと味わえ」ｽｯ

ｶﾞｷﾞｲｲｲｯ

俺「うっ、ぐううああっっ」ｽﾞｻｻｯ

俺（波動のパンチ……！　それも波動を纏ったパンチではない。波動を手の形に具現変質化させ、パンチを放ってきた）

俺（なんて威力だ……）ｸﾞﾗｯ

幼馴染「俺くん！　しっかり！」

俺「はぁっ……はぁっ……。心配すんなよ」ﾆｯ

幼馴染（俺くん……）ｷｭｳﾝ

部隊長（私の攻撃を真正面から受けてもまだ立ち続けるか……。意外とやるな）

部隊長（しかし、何だ……？　さっき私はほぼ最大威力で攻撃を放ったはず）

部隊長（だが、本来の8割程度の波動しか発現させられなかった。何らかの要因により、意図せず波動を抑制された……？）

部隊長（まさか……この小僧が………？）ｷﾞｮﾛ

俺「次はこっちの番だぜ」

ﾌﾞｵｵｵﾝ　ｺｵｵｵｵ――

幼馴染（俺くんが両足に波動を纏った！）

俺「はあああっ」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

男友達「おおっ、さっきよりも速い！！」

部隊長「何！？　ここへきて能力が高まったのか？」

部隊長（どういうことだ？）

部隊長（だが次も防いでやるさ）ｻｯ

ｺﾞｺﾞｺﾞ

男友達「出た。波動障壁だ！」

俺「おらあああああっ」ﾌﾞﾝｯ

ﾄﾞｶﾞｱｱｱｯ

ﾊﾞﾘｨｨｨｨｨﾝ

幼馴染「すごい。今度は一撃であの障壁を壊しちゃった！」ｷｬｯｷｬｯ

部隊長「何だと！？」

俺「次はお前だ」ｻﾞｯ

ｺｵｵｵ――

部隊長「貴様、調子に乗るなよ」ｶｯ

男友達「部隊長のほうも仕掛けてくるぞ！」

部隊長「オオオォォォオオオオッッ!！」ｺﾞｵｵｵ

幼馴染「俺くんと部隊長の波動の攻撃が―――」

男友達「―――ぶつかる！！」



ガアアアアアアンッッ

部隊長「ぐああああああああッッ」ﾄﾞｻｯ

俺「っとと」ｽﾀｯ

部隊長「馬鹿な。馬鹿な馬鹿な馬鹿なぁぁっ！！」ｶﾞｸｶﾞｸ

部隊長「この私が……こんな目覚めたばかりの波動使いに敗れるだと………！？」

部隊長「一体何だというのだ。今の私の攻撃の際、波動出力がさらに低下していた」

部隊長「それにひきかえ、貴様の波動は増幅している。一体なぜ―――ハッ」

部隊長（ひきかえ……！）

俺「ようやく気付いたか」

男友達「何だ？　どういうことなんだよ！」

俺「俺の闇の波動は『波動を喰らう』性質を持つ」

男友達「！！」

幼馴染「じゃ、じゃあ最初に比べて俺くんの波動の力が強くなっていったのは……」

俺「ああ。彼奴の波動を食ったからさ」

幼馴染（きゃつ？）

俺「おかげで波動を食われたお前はみるみる弱くなっていったってワケだよ」

部隊長「ぐっ……」ｷﾞﾘﾘｯ

俺「最初に言っただろ？　『くらえ』ってな」ﾋﾞｼｯ

部隊長「おのれえええ！」ｶﾞﾊﾞｯ

部隊長（ありえん。この私がこんな小僧に負けるなど！）

部隊長（絶対にここで殺してやるぅぅううう！！）ｷﾞﾘｷﾞﾘｯ

ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

幼馴染「俺くん、また部隊長が向かってくるよ」

俺「わかってる。だがもう奴には俺に傷をつけるほどの力もないだろう」

俺「ここで決めてやる」ｽｩｩ――

ｺｫｫｫ……

男友達（またあの技で決めるのか）

俺「じゃあな、部隊長。いい戦いだったぜ」

俺「〝極黒滅撃〟<ｱﾙﾃｨﾒｯﾄﾃﾞｽﾌﾞﾚｲｸ>」



ドッゴゴゴオオオオンッッ

部隊長「ぐあああああああああああっっ」ｺﾞﾛｺﾞﾛｺﾞﾛｽﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ

ﾊﾞﾀｯ

俺「…………」

幼馴染「…………」

男友達「…………」

俺「……倒した。俺の勝ちだ」ｸﾞｯ

幼馴染「あ、危ない！」ｻｯ

ｷﾞｭｩｯ

俺「お、幼馴染！？」

幼馴染「急にふらつかないでよ。まったくもう……」ﾆｺｯ

俺「ありがとな」

幼馴染「本当よ。心配したんだからね」ﾑｯ

俺「言ったろ？　幼馴染のことは俺が守るって」ﾆｯ

幼馴染「本当にもう……っ！　俺くんったら……//」ｷｭｯ

俺「幼馴染……」ｷﾞｭ

「「……………」」



男友達（お熱いねぇ。ここはオレっちは空気を読んで退散すっかな）ｽﾀｽﾀ

男友達（男友達はクールに去るぜ）ﾃｸﾃｸﾃｸ

―――――
―――
―

～夜～

幼馴染「………ねえ、俺くん」

俺「ん？」

幼馴染「これからどうするの？」

俺「そうだな……。たぶんこれからも戦いは続くと思う」

俺「今日俺が倒したのは、ほんの一部隊の隊長だ。他にも敵はたくさんいるだろう」

俺（おそらく、波動使いもまだ……）

幼馴染「そっか」

俺「だから俺は戦い続けるよ。また平和な日々が戻ってくるまで」

俺「これからもずっと幼馴染のことは俺が守る」

幼馴染「うん……！」ｷｭｯ

俺「もし、もしさ」

幼馴染「なに？」

俺「もしいつか戦いが終わって平和になったらさ、俺と……」

幼馴染「えっ……！」

俺「俺と―――」

俺「――――………」

俺（いや、今はまだいい。戦いが終わるときにまた……）

幼馴染「………？」

俺「なんだもない！　とにかく、これからもよろしくな」

幼馴染「………うん！」



俺（俺はこれからも戦う。戦い続ける。そして必ず生き残って、そのときこそ伝えるんだ……！！）ｸﾞﾝｯ

　
　
　

　
Fin.