1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/01/15(月) 06:04:11.24 :t/tvbHsVO
アナスタシア「はぁ……」
アナスタシア「とても寒いですね、プロデューサー」
P「そうだね。アナスタシア」
P(真冬の夜。とてもよく晴れた、雲ひとつない夜)
P(彼女、アナスタシアと共に星を観ようと、山の上の天体観測ができる場所に来ていた)
アナスタシア「はぁ……」
アナスタシア「とても寒いですね、プロデューサー」
P「そうだね。アナスタシア」
P(真冬の夜。とてもよく晴れた、雲ひとつない夜)
P(彼女、アナスタシアと共に星を観ようと、山の上の天体観測ができる場所に来ていた)
2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/01/15(月) 06:12:45.54 :t/tvbHsVO
アナスタシア「晴れているので、天体観測をするには良いのですが……」
アナスタシア「どうしても冷えますね」
アナスタシア「ええと、こういうのは、日本語で何と言うのでしたっけ、プロデューサー?」
P「『放射冷却』だよ」
P「地表の熱が雲にさえぎられずに宇宙まで流れていく夜は、地上はとても寒くなるんだ」
アナスタシア「ほうしゃれいきゃく……」
P(はぁ、と吐いた彼女の凍えた真白いため息が、宙まで飛んでいってしまいそうな夜だった)
アナスタシア「晴れているので、天体観測をするには良いのですが……」
アナスタシア「どうしても冷えますね」
アナスタシア「ええと、こういうのは、日本語で何と言うのでしたっけ、プロデューサー?」
P「『放射冷却』だよ」
P「地表の熱が雲にさえぎられずに宇宙まで流れていく夜は、地上はとても寒くなるんだ」
アナスタシア「ほうしゃれいきゃく……」
P(はぁ、と吐いた彼女の凍えた真白いため息が、宙まで飛んでいってしまいそうな夜だった)
3:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/01/15(月) 06:30:04.00 :t/tvbHsVO
アナスタシア「では、プロデューサー。風邪を引いてしまわないうちに始めましょう」
P「了解」
P(かついできた望遠鏡を手早くセッティングする)
P(季節ごとに星を眺めに行きたがる彼女に同行してきたため、天体望遠鏡の扱いには馴れたものだ)
アナスタシア「プロデューサー、向こうの方角です」
P(うながされるように屈んだ私に寄りそうように近づき、彼女の腕が私の目線から伸びるように指を差す)
アナスタシア「あそこです。あれがシリウス、プロキオン、ペテルギウス」
アナスタシア「『冬の大三角』」
アナスタシア「では、プロデューサー。風邪を引いてしまわないうちに始めましょう」
P「了解」
P(かついできた望遠鏡を手早くセッティングする)
P(季節ごとに星を眺めに行きたがる彼女に同行してきたため、天体望遠鏡の扱いには馴れたものだ)
アナスタシア「プロデューサー、向こうの方角です」
P(うながされるように屈んだ私に寄りそうように近づき、彼女の腕が私の目線から伸びるように指を差す)
アナスタシア「あそこです。あれがシリウス、プロキオン、ペテルギウス」
アナスタシア「『冬の大三角』」
4:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/01/15(月) 06:46:40.41 :VWxiKvSZO
P「へぇ……あれが有名な……」
アナスタシア「はい。一番下が、おおいぬ座のシリウス。そのそばにいるのがこいぬ座のプロキオンです」
アナスタシア「そして、右……西です、ね。あれがオリオン座のペテルギウス」
アナスタシア「ハラショー、すごいです。今夜はオリオンのベルトまでハッキリ観える……」
P(彼女は嬉しそうに指先で星を結ぶ)
P(今夜は晴れて良かった)
アナスタシア「はぁ……今夜は絶好の天体観測日和、ですね?」
P「そうだね。アーニャ」
P(とはいえ、彼女の指は爪が真っ赤になっていて、声は震えていた)
P「へぇ……あれが有名な……」
アナスタシア「はい。一番下が、おおいぬ座のシリウス。そのそばにいるのがこいぬ座のプロキオンです」
アナスタシア「そして、右……西です、ね。あれがオリオン座のペテルギウス」
アナスタシア「ハラショー、すごいです。今夜はオリオンのベルトまでハッキリ観える……」
P(彼女は嬉しそうに指先で星を結ぶ)
P(今夜は晴れて良かった)
アナスタシア「はぁ……今夜は絶好の天体観測日和、ですね?」
P「そうだね。アーニャ」
P(とはいえ、彼女の指は爪が真っ赤になっていて、声は震えていた)
5:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/01/15(月) 06:57:10.89 :VWxiKvSZO
P「でも、やっぱり寒いね」
アナスタシア「そうですね、プロデューサー」
P(ふたりとも暖かい服装で来たが、それでも寒いものは寒かった)
P(せっかくの好天だが、早目に切り上げよう)
P「アーニャ」
アナスタシア「ああ、待ってくださいプロデューサー」
アナスタシア「『すばる』を、もう少しだけ……」
P「ははっ。もう少しだけだよ?」
アナスタシア「はい。もう、ほんのちょっとだけにしておきます」
P「でも、やっぱり寒いね」
アナスタシア「そうですね、プロデューサー」
P(ふたりとも暖かい服装で来たが、それでも寒いものは寒かった)
P(せっかくの好天だが、早目に切り上げよう)
P「アーニャ」
アナスタシア「ああ、待ってくださいプロデューサー」
アナスタシア「『すばる』を、もう少しだけ……」
P「ははっ。もう少しだけだよ?」
アナスタシア「はい。もう、ほんのちょっとだけにしておきます」
6:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/01/15(月) 07:03:09.93 :VWxiKvSZO
アナスタシア「ふーー……」
P(彼女がようやく望遠鏡から目を離す)
P「満足したかい?」
アナスタシア「はい!主だった星は、十分観えました……っ!」
P「それは良かった」
アナスタシア「それに、プロデューサーにも観せてあげられました」
P「うん。すごく良いものを観せてもらったよ」
P「ありがとうアーニャ」
アナスタシア「こちらこそ。スパシーバ、プロデューサー」
アナスタシア「ふーー……」
P(彼女がようやく望遠鏡から目を離す)
P「満足したかい?」
アナスタシア「はい!主だった星は、十分観えました……っ!」
P「それは良かった」
アナスタシア「それに、プロデューサーにも観せてあげられました」
P「うん。すごく良いものを観せてもらったよ」
P「ありがとうアーニャ」
アナスタシア「こちらこそ。スパシーバ、プロデューサー」
7:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2018/01/15(月) 07:09:28.07 :VWxiKvSZO
P「それじゃあ帰ろうか?」
アナスタシア「はい。プロデューサー」
アナスタシア「ところで、プロデューサー」
P「なんだい?」
アナスタシア「私は、すっかり手が冷たくなってしまいましたよ?」
P(少しいたずらっぽく、彼女が私に手を差し出す)
P「ああ、こんなに寒い夜だものね」
アナスタシア「はいっ」
P(彼女の手を握り、もう片方の肩に望遠鏡を担いで駐車場まで山を下りた)
P(凍えるほど寒い、真冬のよく晴れた放射冷却の夜の話だった)
終
P「それじゃあ帰ろうか?」
アナスタシア「はい。プロデューサー」
アナスタシア「ところで、プロデューサー」
P「なんだい?」
アナスタシア「私は、すっかり手が冷たくなってしまいましたよ?」
P(少しいたずらっぽく、彼女が私に手を差し出す)
P「ああ、こんなに寒い夜だものね」
アナスタシア「はいっ」
P(彼女の手を握り、もう片方の肩に望遠鏡を担いで駐車場まで山を下りた)
P(凍えるほど寒い、真冬のよく晴れた放射冷却の夜の話だった)
終
コメント