1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 10:50:03.531 :cYI0o2aB0.net
というのをちょっとだけ書いてみた
というのをちょっとだけ書いてみた
2:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 10:50:37.676 :igTw4RXJ0.net
いいじゃん
3:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 11:01:12.554 :cYI0o2aB0.net
「なんでこんなことになってるんだよ・・・」
一人の部屋で、ベッドに寝転がり、無駄に豪華な天蓋を眺めながら俺は何度目かのため息をついた。
vipのスレで「異世界転生w黙れドンッ!w」とか昨日まで騒いでいたニートの俺が事故って目が覚めたら異世界にいた。
本当に異世界転生なんてあるというのはびっくりしたがそこはまあ問題無い。
それから神様が謝罪云々でチート的能力がもらえた。
そこもまあ不満はない。
だが、異世界転生した俺に「勇者様!私達のために世界を救ってください!」みたいな展開になると思ったのに・・・
転生してすぐに城に呼ばれたと思ったら
「勇者様に特に用はありません。屋敷でしばらくゆっくりしていてください」だよふざけんなよあの大臣!
もちろん、もし世界が平和だというのならまだわかる。
しかし話を聞くと魔王軍が今まさに人間と戦っているって話。
なのに「もう優勢で我々だけで勝てるから余計なことはしてくれるな」ってんだぜ!
しかも、戦争の様子もろくに教えてもらえない。
確かにあてがわれた城の中の屋敷では、寝ていても三食飯は出てくるし、必要なものは使用人が持ってきてくれる。ニートにはありがたい待遇だ。
しかし異世界まできて、力を手に入れたのに無視に近い扱いというのは納得しない。
このままじゃ結局ニートじゃないか。
いっそもう逃げちまおうか。そうも思った。
でも、チート能力があるとはいえ、この国を敵に回して勝てるとも思わない。
というかニートの俺が一人で生活できるのか?できない気がする。
転生してから数週間。ここ数日はずっとそんなことを考えていた。
ただその日は特にイライラしていた。だから、魔が差したのかもしれない。
『退屈そうだな・・・?』
突然頭の上から聞こえた声に俺がはね起きるとそこには『怪物』がいた。
怪物、といっても見た目は大体12、3歳前後の少女だ。
しかし頭の左右から突き出た真っ黒な角と背中の大きな蝙蝠様の翼、そして禍々しいオーラー――としか言いようがない、見えないけどなぜか見えるのだ――がこいつがただの少女ではなく怪物であることを告げていた。
あ、あと局部と胸しか隠していない頭のおかしい格好もタダモノとは思えない・・・けどまあ、これはどうなんだろう、この世界の基準がわからないしなぁ・・・
『格好は大きなお世話だ』
俺の考えを読んだかのように怪物が答える。
『読めるかのように、ではなくて読んでおるのだ』
何だよ、勝手に読むんじゃねえよ。
「なんでこんなことになってるんだよ・・・」
一人の部屋で、ベッドに寝転がり、無駄に豪華な天蓋を眺めながら俺は何度目かのため息をついた。
vipのスレで「異世界転生w黙れドンッ!w」とか昨日まで騒いでいたニートの俺が事故って目が覚めたら異世界にいた。
本当に異世界転生なんてあるというのはびっくりしたがそこはまあ問題無い。
それから神様が謝罪云々でチート的能力がもらえた。
そこもまあ不満はない。
だが、異世界転生した俺に「勇者様!私達のために世界を救ってください!」みたいな展開になると思ったのに・・・
転生してすぐに城に呼ばれたと思ったら
「勇者様に特に用はありません。屋敷でしばらくゆっくりしていてください」だよふざけんなよあの大臣!
もちろん、もし世界が平和だというのならまだわかる。
しかし話を聞くと魔王軍が今まさに人間と戦っているって話。
なのに「もう優勢で我々だけで勝てるから余計なことはしてくれるな」ってんだぜ!
しかも、戦争の様子もろくに教えてもらえない。
確かにあてがわれた城の中の屋敷では、寝ていても三食飯は出てくるし、必要なものは使用人が持ってきてくれる。ニートにはありがたい待遇だ。
しかし異世界まできて、力を手に入れたのに無視に近い扱いというのは納得しない。
このままじゃ結局ニートじゃないか。
いっそもう逃げちまおうか。そうも思った。
でも、チート能力があるとはいえ、この国を敵に回して勝てるとも思わない。
というかニートの俺が一人で生活できるのか?できない気がする。
転生してから数週間。ここ数日はずっとそんなことを考えていた。
ただその日は特にイライラしていた。だから、魔が差したのかもしれない。
『退屈そうだな・・・?』
突然頭の上から聞こえた声に俺がはね起きるとそこには『怪物』がいた。
怪物、といっても見た目は大体12、3歳前後の少女だ。
しかし頭の左右から突き出た真っ黒な角と背中の大きな蝙蝠様の翼、そして禍々しいオーラー――としか言いようがない、見えないけどなぜか見えるのだ――がこいつがただの少女ではなく怪物であることを告げていた。
あ、あと局部と胸しか隠していない頭のおかしい格好もタダモノとは思えない・・・けどまあ、これはどうなんだろう、この世界の基準がわからないしなぁ・・・
『格好は大きなお世話だ』
俺の考えを読んだかのように怪物が答える。
『読めるかのように、ではなくて読んでおるのだ』
何だよ、勝手に読むんじゃねえよ。
5:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 11:02:07.454 :cYI0o2aB0.net
『そして、お前が退屈しておるのも知っておるぞ。・・・端的に言おう。我の仲間になり共に戦え』
は?ていうか誰だよお前?
『我こそが魔王である』
ほんとかよ!
『知っているかもしれぬが、人間との戦いでは現在魔軍は劣勢』
どうもそうらしいな。おっさんも言ってたし。
『しかし、お主の勇者の力があれば、まだ魔王軍は戦える。異世界からきたお主は、この世界の人間に肩入れする義理もあるまい』
「ま、まあ、そういわれば、そうなんだけどさ、でも」
と反論しようとするやいなや、魔王はニヤリと笑った
『もちろんわかっておるぞ?見返りが欲しいのであろう。味方になるのであれば、我が国での金でも地位でも好きにしてやろう。
かわいい女の子もたくさんおるぞ?人間達を従えた暁には人間の王にしてやっても良い』
「ど、そんな甘い話を言ってどうせ・・・・」
『ならばこのまま無為な日々を過ごすか?おそらく飽き飽きしていたのであろう、転生する前から?』
魔王が遮って言った。
そうだった。
俺がニートとして過ごしてきた無為な日々。周囲から見下されて誰にも顧みられない・・・そんな日々を繰り返したくなかった。
それにせっかく転生した命だ。
俺をないがしろにした人間に一泡かせてやるのも悪くないな。
というか、かわいい女の子いいなあ。きっといい。
そんなことを思ってしまった。それで俺は頷いた。
『答えは出たようだな。では血の盟約を結ぼうぞ。手を出せ』
魔王が言うと虚空に読めない文字で書かれた闇色の契約書が現れた。俺は右手を前に出す。
『汝勇者はその力を我魔王のために使う。我魔王は汝勇者に富と地位と女を与うる限り与えん。違約には互いの命を以って償いとする』
「イテッ」
差し出していた右手の人差し指の先に鋭い痛みが走り、血が吹き出た。
その血は、同じように魔王の手から出た紫色の血と一緒に契約書に向かって吸い込まれていき、契約書の上で魔王の血と俺の血の印となった。
『これにて盟約は結ばれた』
魔王が宣言し、にやりと笑った。
それを見て、今更不安になった。
もしかしたら俺はとんでもないことをしてしまったのでは?悪魔と契約して人間と戦うとか大丈夫なのか?
でも、もう引き返せないのだろう。
俺も負けじと、できる限り邪悪(のつもり)な笑みを返して言った。
「じゃ、じゃあさっそくだけど、お、お金と女の子を・・・」
言いかけた俺を魔王が遮った。
『その前に、我の為に働いてもらおうかの』
『そして、お前が退屈しておるのも知っておるぞ。・・・端的に言おう。我の仲間になり共に戦え』
は?ていうか誰だよお前?
『我こそが魔王である』
ほんとかよ!
『知っているかもしれぬが、人間との戦いでは現在魔軍は劣勢』
どうもそうらしいな。おっさんも言ってたし。
『しかし、お主の勇者の力があれば、まだ魔王軍は戦える。異世界からきたお主は、この世界の人間に肩入れする義理もあるまい』
「ま、まあ、そういわれば、そうなんだけどさ、でも」
と反論しようとするやいなや、魔王はニヤリと笑った
『もちろんわかっておるぞ?見返りが欲しいのであろう。味方になるのであれば、我が国での金でも地位でも好きにしてやろう。
かわいい女の子もたくさんおるぞ?人間達を従えた暁には人間の王にしてやっても良い』
「ど、そんな甘い話を言ってどうせ・・・・」
『ならばこのまま無為な日々を過ごすか?おそらく飽き飽きしていたのであろう、転生する前から?』
魔王が遮って言った。
そうだった。
俺がニートとして過ごしてきた無為な日々。周囲から見下されて誰にも顧みられない・・・そんな日々を繰り返したくなかった。
それにせっかく転生した命だ。
俺をないがしろにした人間に一泡かせてやるのも悪くないな。
というか、かわいい女の子いいなあ。きっといい。
そんなことを思ってしまった。それで俺は頷いた。
『答えは出たようだな。では血の盟約を結ぼうぞ。手を出せ』
魔王が言うと虚空に読めない文字で書かれた闇色の契約書が現れた。俺は右手を前に出す。
『汝勇者はその力を我魔王のために使う。我魔王は汝勇者に富と地位と女を与うる限り与えん。違約には互いの命を以って償いとする』
「イテッ」
差し出していた右手の人差し指の先に鋭い痛みが走り、血が吹き出た。
その血は、同じように魔王の手から出た紫色の血と一緒に契約書に向かって吸い込まれていき、契約書の上で魔王の血と俺の血の印となった。
『これにて盟約は結ばれた』
魔王が宣言し、にやりと笑った。
それを見て、今更不安になった。
もしかしたら俺はとんでもないことをしてしまったのでは?悪魔と契約して人間と戦うとか大丈夫なのか?
でも、もう引き返せないのだろう。
俺も負けじと、できる限り邪悪(のつもり)な笑みを返して言った。
「じゃ、じゃあさっそくだけど、お、お金と女の子を・・・」
言いかけた俺を魔王が遮った。
『その前に、我の為に働いてもらおうかの』
6:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 11:03:36.400 :cYI0o2aB0.net
「いきなりかよ。なんだよ?人間軍の配置の情報でも聞き出せってことか?」
俺が言うと、魔王はなぜか急に、うつむきながら言った。
『その、だな、我を助けてほしい』
「いや、だからお前と契約したからこれから助けるんだろ」
『そうではなくて・・・』
「?」
『いま、お前に見えている姿は、精神体でな?本体は・・・この城の牢屋に捕まっていて・・・動けないのだ』
「は?なんで?お前魔王だろ?総大将だろ?なんで捕まってるんだよ」
『魔王城での戦いでな…捕まったのだ。…だから劣勢、と言ったであろう!』
「劣勢どころじゃねえよ!もう負けじゃねえか!」
『まだ、魔王城は落ちておらん!親衛隊が抵抗している!・・・たぶん』
消えそうな語尾で魔王が言う。あーこれもう無理なやつだ。
「なんだよ!そんなんでどうやってお金とか女の子とか用意するんだよ」
『だから!国に帰ればいくらでもある!』
「その国がなくなりそうじゃねえか!こんな詐欺やってられるか!」
声を荒げた俺に対して、突然魔王が声を低くして言った。
『しかし、盟約は盟約じゃ。我に力を貸さなければ、お前死ぬぞ?』
え?
『さっき言ったじゃろう?「違約にはお互いの命を以って償いとする」って』
「マジかよ…ハメやがったな!ふざけんな詐欺師!外道!人でなし!」
あらん限りの暴言をぶつける俺を無視して魔王が言った。
『人聞きの悪いことを言うな。盟約に基づいたものだ。我が捕らえられている所は城の東の塔の地下じゃ。
この姿を維持するのも魔力を使うからそろそろ消えるぞ?近くまで来たら連絡してやる。ではまたな。』
そして、言いたいことだけ言って消えてしまった。
「いきなりかよ。なんだよ?人間軍の配置の情報でも聞き出せってことか?」
俺が言うと、魔王はなぜか急に、うつむきながら言った。
『その、だな、我を助けてほしい』
「いや、だからお前と契約したからこれから助けるんだろ」
『そうではなくて・・・』
「?」
『いま、お前に見えている姿は、精神体でな?本体は・・・この城の牢屋に捕まっていて・・・動けないのだ』
「は?なんで?お前魔王だろ?総大将だろ?なんで捕まってるんだよ」
『魔王城での戦いでな…捕まったのだ。…だから劣勢、と言ったであろう!』
「劣勢どころじゃねえよ!もう負けじゃねえか!」
『まだ、魔王城は落ちておらん!親衛隊が抵抗している!・・・たぶん』
消えそうな語尾で魔王が言う。あーこれもう無理なやつだ。
「なんだよ!そんなんでどうやってお金とか女の子とか用意するんだよ」
『だから!国に帰ればいくらでもある!』
「その国がなくなりそうじゃねえか!こんな詐欺やってられるか!」
声を荒げた俺に対して、突然魔王が声を低くして言った。
『しかし、盟約は盟約じゃ。我に力を貸さなければ、お前死ぬぞ?』
え?
『さっき言ったじゃろう?「違約にはお互いの命を以って償いとする」って』
「マジかよ…ハメやがったな!ふざけんな詐欺師!外道!人でなし!」
あらん限りの暴言をぶつける俺を無視して魔王が言った。
『人聞きの悪いことを言うな。盟約に基づいたものだ。我が捕らえられている所は城の東の塔の地下じゃ。
この姿を維持するのも魔力を使うからそろそろ消えるぞ?近くまで来たら連絡してやる。ではまたな。』
そして、言いたいことだけ言って消えてしまった。
9:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 11:08:34.897 :dtzRk8mY0.net
タイトルっていうのは本来イントロダクションなんだよね導入部
君はタイトルを話のオチにしてしまっている 根本的に間違っているんだよね
君はタイトルを話のオチにしてしまっている 根本的に間違っているんだよね
10:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 11:17:07.830 :cYI0o2aB0.net
魔王が消えてしまった後、俺はしばらくベットの上で考えていた。
なんかむしゃくしゃしてて、言われるままに契約までしてしまったが、魔王の言っていることが本当なら、俺は協力しないと死ぬのか?
もしそうだとすれば、協力するしかない。
ないんだけど。
でもハッタリかもしれないし。
部屋はとても静かで誰もいない。さっきまで魔王が見えていた空間にも何もない。
というかあれは夢だったのかもしれない。そう考えると眠くなってきた。俺はそのまま眠りに――
ドクン!
「うっ!」
締め付けられるような強烈な痛みに、俺は胸を抑えて跳ね起きた。
痛みは自体は一瞬で収まった。しかし、体から冷や汗が吹き出し、動悸もとまらない。
俺は本能的にわかった。これは命に関わるものだと。
慌てて自分の胸元を覗き込むと、左胸の心臓のあたりが紫色に小さく光って消えた。
さっき見た魔王の血の色と同じだ。
やはりさっきのは現実なのか。アホじゃないか俺は。お金や女の子なんてどうでもいいじゃないか。
安穏に暮らせればいい、そうやって生きてきたニートだというのに、なんで馬鹿なことを考えてしまったんだろうと後悔した。
仕方がない。俺は行動を起こすことにした。
外に出てくると使用人に告げて屋敷を出た。もう日は高く上がっている。屋敷は城の城壁の中にあって、魔王と戦っているというものの全く平穏だ。
「どうした勇者殿。今日は早いな」
声を聞いて振り向くと、頭から足まで全身を金属鎧で固めた人物が立っていた。身長は俺と同じくらい。身の丈ほどもあるような大剣を背中に背負い、肩には青い獅子をあしらった騎士の紋章をつけている。
「こんにちは」
俺が挨拶を返すと、人物は駆け寄ってきた。そして、兜を外す。すると兜の中から長い金髪がこぼれ、青い強気そうな目が現れた。
「やあ、いま丁度見回りが終わったところなんだ」
彼女はナナ(本当は長ったらしい名前があるらしい)と言い、この国の騎士だ。城の中の警護を任せられているということで、いつもこの辺りを巡回している。この世界に来てからの俺の数少ない話し相手だ。
ナナは目を輝かせながら言った。
「それで、もし今時間があるなら・・・また、前の世界のことを聞かせてくれないか。
・・・『ニート』の話を」
いや、言いたいことはわかる。説明させてほしい。
女性に免疫がない童貞の俺は、異世界転生して城に案内されるや、『勇者殿』として色々案内や世話をしてくれて、話しかけてくれて、しかも結構かわいいナナに、俺のクソみたいなニート生活のことを話すのが辛かった。
それで、俺のいた世界のことを聞かれたときに、適当にあることないこと(主に俺のゲームやネトゲの体験だ)を言ってしまった。
そしてナナはそれを信じてしまったのだ。
その結果、ナナの中では、俺はもとの世界でもすごい能力者で、世界を救うような活躍をいくつもしていて、しかも「ニート」という非常に珍しい称号を持っているということになっていている。
それで俺のことを本当の勇者として尊敬してくれているのだ。
本当に情けない話だと思う。俺なんて尊敬に値する人間ではないのに。
しかも、だ。
いまや尊敬に値しないどころか、俺は魔王と契約してしまったと知ったら彼女はどう思うだろうか?
魔王が消えてしまった後、俺はしばらくベットの上で考えていた。
なんかむしゃくしゃしてて、言われるままに契約までしてしまったが、魔王の言っていることが本当なら、俺は協力しないと死ぬのか?
もしそうだとすれば、協力するしかない。
ないんだけど。
でもハッタリかもしれないし。
部屋はとても静かで誰もいない。さっきまで魔王が見えていた空間にも何もない。
というかあれは夢だったのかもしれない。そう考えると眠くなってきた。俺はそのまま眠りに――
ドクン!
「うっ!」
締め付けられるような強烈な痛みに、俺は胸を抑えて跳ね起きた。
痛みは自体は一瞬で収まった。しかし、体から冷や汗が吹き出し、動悸もとまらない。
俺は本能的にわかった。これは命に関わるものだと。
慌てて自分の胸元を覗き込むと、左胸の心臓のあたりが紫色に小さく光って消えた。
さっき見た魔王の血の色と同じだ。
やはりさっきのは現実なのか。アホじゃないか俺は。お金や女の子なんてどうでもいいじゃないか。
安穏に暮らせればいい、そうやって生きてきたニートだというのに、なんで馬鹿なことを考えてしまったんだろうと後悔した。
仕方がない。俺は行動を起こすことにした。
外に出てくると使用人に告げて屋敷を出た。もう日は高く上がっている。屋敷は城の城壁の中にあって、魔王と戦っているというものの全く平穏だ。
「どうした勇者殿。今日は早いな」
声を聞いて振り向くと、頭から足まで全身を金属鎧で固めた人物が立っていた。身長は俺と同じくらい。身の丈ほどもあるような大剣を背中に背負い、肩には青い獅子をあしらった騎士の紋章をつけている。
「こんにちは」
俺が挨拶を返すと、人物は駆け寄ってきた。そして、兜を外す。すると兜の中から長い金髪がこぼれ、青い強気そうな目が現れた。
「やあ、いま丁度見回りが終わったところなんだ」
彼女はナナ(本当は長ったらしい名前があるらしい)と言い、この国の騎士だ。城の中の警護を任せられているということで、いつもこの辺りを巡回している。この世界に来てからの俺の数少ない話し相手だ。
ナナは目を輝かせながら言った。
「それで、もし今時間があるなら・・・また、前の世界のことを聞かせてくれないか。
・・・『ニート』の話を」
いや、言いたいことはわかる。説明させてほしい。
女性に免疫がない童貞の俺は、異世界転生して城に案内されるや、『勇者殿』として色々案内や世話をしてくれて、話しかけてくれて、しかも結構かわいいナナに、俺のクソみたいなニート生活のことを話すのが辛かった。
それで、俺のいた世界のことを聞かれたときに、適当にあることないこと(主に俺のゲームやネトゲの体験だ)を言ってしまった。
そしてナナはそれを信じてしまったのだ。
その結果、ナナの中では、俺はもとの世界でもすごい能力者で、世界を救うような活躍をいくつもしていて、しかも「ニート」という非常に珍しい称号を持っているということになっていている。
それで俺のことを本当の勇者として尊敬してくれているのだ。
本当に情けない話だと思う。俺なんて尊敬に値する人間ではないのに。
しかも、だ。
いまや尊敬に値しないどころか、俺は魔王と契約してしまったと知ったら彼女はどう思うだろうか?
11:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 11:25:49.821 :cYI0o2aB0.net
そんなことを思っていたので、暗い気持ちが顔に出ていたのだろう。ナナが言った。
「すまない。前の世界のことは話したくないこともあるだろうにな」
そしてフッと自嘲的に笑って続ける。
「いつもそうなのだ。私は自分のことばかり考えているから、父上に信頼して頂けず、私は王族でありながら魔王との戦いの場ではなくこのような場所にいる」
そう、ナナは騎士であるとともに、この国の第7王女でもある。要するに「姫騎士」というやつだ。肩書は騎士団長ということになるらしい。
ただ騎士団長と言っても、軍を率いているわけではなく、部下もいない。しかも、彼女の兄弟たちが皆、国王とともに軍を率いて魔王との戦いに赴いている中、王族で彼女だけが城に残されている。
さらに、城の守備には親衛隊の一部が当たっているから、要するに彼女は何もしなくてもいい。
というか、端的に言えば何もしないでくれ。
――というのが、彼女から聞かされている彼女の今の境遇である。
それが事実なら、冷遇されているというのは確かにそうかもしれない。
しかし、彼女が自分中心というのは違うと思う。
大した仕事ではないとはいえ、腐った様子もなく騎士団長として毎日見回りをしている。しかも、全身鎧で固めて大剣まで背負って、だ。
兵士たちからも姫だからというだけでなく慕われているようだ。それに、勇者の俺を利用したりする雰囲気もない。
『だから、大丈夫、君の仕事ぶりをきっと父上もわかってくれるさ』ーーまあ、そんな気の利いたことを童貞の俺が言えるわけもなかった。
ともかく、さっきから気まずい沈黙が続いてしまっている。何か話さないと。
そういえば、東の塔の牢ってどこだろう。ナナは魔王がいる牢について何か知っているだろうか?たぶん知らなそうだよな。でも聞いてみるか・・・
「ところで、ナナは城の東の塔の地下の牢屋について何か知っているか?」
「塔の地下・・・?」
ナナは首をかしげる。
「罪人を閉じ込めるための監獄は城の西にある。しかし、東の塔の地下に牢、というか施設があるということは聞いたことがないな」
やっぱり聞いたことがなかったか。ついでに魔王のことも聞いておくか。
「そうか、話は変わるんだけど、魔王って今どうなっているか聞いてないか?」
「魔王軍とは今本拠地の魔王城で対峙していると聞いている。当然魔王はそこで指揮を執っているだろう。もっとも魔王は神出鬼没だという。突然この城に襲ってこないともかぎらないが」
うーん、これも俺が大臣から聞いていたのとほとんど変わらないな。魔王のことは知らされていないらしい。
と、ナナが目を輝かせながら近づいてきて俺の肩をガッとつかむ。
「何かあるのか?もしかして勇者殿の「ニートスキル」という奴で何か見つけたのか?」
やばい、さすがに露骨すぎたか。
「いや、そういうことではないんだけど、あの・・・その」
俺がしどろもどろになっていると、ナナが悲しそうな顔になった。
「すまない、私なんかが口を出すようなことではないな。きっと勇者殿の考えがあってのことだろう。迷惑だったな」
これが、皮肉ならまだいいんだが、ううう、ナナの場合たぶん本心から言っているんだよな。
「いや、そうではなくて・・・なんというか、ナナの迷惑になってしまうから」
「それは大丈夫だ!迷惑なんてことはないぞ!もう見回りも終えてきたし、それに勇者様に城の案内をするのは私の仕事だからな!じゃあ、東の塔を案内するぞ」
ナナが返事も聞かずに俺の手を握って歩き出す。
「う、うん・・・」
あああ、面倒なことになってしまった。
そんなことを思っていたので、暗い気持ちが顔に出ていたのだろう。ナナが言った。
「すまない。前の世界のことは話したくないこともあるだろうにな」
そしてフッと自嘲的に笑って続ける。
「いつもそうなのだ。私は自分のことばかり考えているから、父上に信頼して頂けず、私は王族でありながら魔王との戦いの場ではなくこのような場所にいる」
そう、ナナは騎士であるとともに、この国の第7王女でもある。要するに「姫騎士」というやつだ。肩書は騎士団長ということになるらしい。
ただ騎士団長と言っても、軍を率いているわけではなく、部下もいない。しかも、彼女の兄弟たちが皆、国王とともに軍を率いて魔王との戦いに赴いている中、王族で彼女だけが城に残されている。
さらに、城の守備には親衛隊の一部が当たっているから、要するに彼女は何もしなくてもいい。
というか、端的に言えば何もしないでくれ。
――というのが、彼女から聞かされている彼女の今の境遇である。
それが事実なら、冷遇されているというのは確かにそうかもしれない。
しかし、彼女が自分中心というのは違うと思う。
大した仕事ではないとはいえ、腐った様子もなく騎士団長として毎日見回りをしている。しかも、全身鎧で固めて大剣まで背負って、だ。
兵士たちからも姫だからというだけでなく慕われているようだ。それに、勇者の俺を利用したりする雰囲気もない。
『だから、大丈夫、君の仕事ぶりをきっと父上もわかってくれるさ』ーーまあ、そんな気の利いたことを童貞の俺が言えるわけもなかった。
ともかく、さっきから気まずい沈黙が続いてしまっている。何か話さないと。
そういえば、東の塔の牢ってどこだろう。ナナは魔王がいる牢について何か知っているだろうか?たぶん知らなそうだよな。でも聞いてみるか・・・
「ところで、ナナは城の東の塔の地下の牢屋について何か知っているか?」
「塔の地下・・・?」
ナナは首をかしげる。
「罪人を閉じ込めるための監獄は城の西にある。しかし、東の塔の地下に牢、というか施設があるということは聞いたことがないな」
やっぱり聞いたことがなかったか。ついでに魔王のことも聞いておくか。
「そうか、話は変わるんだけど、魔王って今どうなっているか聞いてないか?」
「魔王軍とは今本拠地の魔王城で対峙していると聞いている。当然魔王はそこで指揮を執っているだろう。もっとも魔王は神出鬼没だという。突然この城に襲ってこないともかぎらないが」
うーん、これも俺が大臣から聞いていたのとほとんど変わらないな。魔王のことは知らされていないらしい。
と、ナナが目を輝かせながら近づいてきて俺の肩をガッとつかむ。
「何かあるのか?もしかして勇者殿の「ニートスキル」という奴で何か見つけたのか?」
やばい、さすがに露骨すぎたか。
「いや、そういうことではないんだけど、あの・・・その」
俺がしどろもどろになっていると、ナナが悲しそうな顔になった。
「すまない、私なんかが口を出すようなことではないな。きっと勇者殿の考えがあってのことだろう。迷惑だったな」
これが、皮肉ならまだいいんだが、ううう、ナナの場合たぶん本心から言っているんだよな。
「いや、そうではなくて・・・なんというか、ナナの迷惑になってしまうから」
「それは大丈夫だ!迷惑なんてことはないぞ!もう見回りも終えてきたし、それに勇者様に城の案内をするのは私の仕事だからな!じゃあ、東の塔を案内するぞ」
ナナが返事も聞かずに俺の手を握って歩き出す。
「う、うん・・・」
あああ、面倒なことになってしまった。
12:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 11:27:48.851 :NXMstGBsd.net
なかなか面白いやんけ
13:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2019/05/19(日) 11:33:54.403 :cYI0o2aB0.net
話が展開するところまでは書けてないのだった
話が展開するところまでは書けてないのだった






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