かがみ「大体それをいうならあんただって左利きでしょ」

こなた「まあ私は両利きだけどね。どっちかというと左が強い感じ」

かがみ「あんたが右手使ってるとこそんなに見ないけど」

こなた「マウスとか右じゃないと逆に変な感じするね」

かがみ「あーそれは確かに」

つかさ「こなちゃん、お姉ちゃん。何の話してるの？」

かがみ「あ、つかさ。ちょっと利き手の話をね」

つかさ「利き手の？」

こなた「そういえば、つかさも左利きだね」

つかさ「うん、左だよー。お姉ちゃんと一緒」

こなた「やっぱ双子だと同じになりやすいのかな」

かがみ「どうだろ」

みゆき「双子の利き手というと『ミラーツインズ』という例もありますね」

こなた「あ、みゆきさん」

つかさ「ミラーツインズ？」

かがみ「聞いたことある。確か、双子で正反対になるってやつ？」

みゆき「はい。１つの受精卵が分裂する一卵性双生児で偶にあるらしいのですが」

みゆき「受精からしばらく経って、受精卵の右側と左側が決定され始めた頃に分裂を開始した場合」

みゆき「生まれた双子は一方が右利きで、もう一方が左利き――ちょうど左右逆の鏡のようになるそうです」

つかさ「へぇー」

こなた「ふたりって一卵性だっけ？　二卵性だっけ？」

かがみ「うちは二卵性……ってことはミラーツインズにはならないってこと？」

こなた「ああ、だから逆に二人とも左利きってわけか」

つかさ「なるほどー（？）」

かがみ「つかさ、あんた分かってないでしょ」

みゆき「勿論、二卵性でも利き手が別になる場合もありますけど」

つかさ「んー……ちょっとよくわかんないけど。そういえば、ゆきちゃんも左利きだよね」

みゆき「はい、皆さんと同じですね」

こなた「みゆきさんが加われば左利き頭良い説がさらに有力説にっ」

みゆき「いえ、そんなことは」

つかさ「左利きって頭良いよねって言われても、かえってプレッシャーになるかも。私、勉強苦手だし」

こなた「そうかな。あーまあ私も得意じゃないけど」

かがみ「左だろうが右だろうが、ちゃんと普段からやっていれば誰だって勉強はできるようになるわよ」

みゆき「そうですね。継続は力なりです」

かがみ「だからちゃんと宿題やりなさいよー」

つかさ「はーい」

こなた「そんなことより左利きの有名なアニメキャラと言えば誰？　はい、かがみん！」

かがみ「あんたに言ってるのよっ」

ｶｷｶｷ

つかさ「あ……」

みゆき「どうしました、つかささん」

つかさ「いつも思ってたんだけどね、ノート取ってると手ー黒くなるよね」

こなた「あーあるある。書いた後の文字とかが霞んだりするんだよね。これって左利きだけなのかな」

かがみ「手汚れるのが普通だから、左だからどうとか考えたことなかったけど」

みゆき「横書きのノートを使う科目が多いので、左利きの場合、書いた文字が手に当たってしまうことが多いんです」

かがみ「なるほど確かに。横書きだと書いた文字が左手の陰に隠れちゃうわね」

つかさ「逆に縦書きのノートを使うのは……あ、国語」

こなた「左利きは文系向きってことだね。芸術家肌ってよく言うし」

かがみ「ああ、右脳使うからってやつね。右利きは理論家だっけ」

みゆき「実際には、利き手と脳の働きとの間にあまり関連性はないらしいですけどね」

つかさ「え、そうなんだー」

こなた「左手だと小学校の習字とか超やりにくかったよね」

みゆき「私の学校では習字は右手で書くものだと注意を受けました」

つかさ「駅の改札で定期入れるとき、つい左手で差し出しちゃうよねー」

かがみ「はさみを忘れて友達に借りたら右利き用で使いづらかったのよねー」

こなた「……」

みゆき「……」

つかさ「……」

かがみ「……」

こなた「何か左利きって不便なこと多すぎじゃない？」

つかさ「うーん、そうだね。でも、いいこともいっぱいあるはずだよ」

こなた「例えば？」

つかさ「えーと……。左利きは珍しいから、初対面の人と話すときに話題になる、とか？」

こなた「『あ、左利きなんですか～？　すご～い器用ですね～』ってもう耳にタコだよね」

かがみ「ああ……」

みゆき「スポーツでは、左利きの方が有利になる場合も多いと聞きます」

かがみ「確かに。野球とか左有利よね」

つかさ「あ、サウスポー？」

こなた「野球嫌いー。中継が延長したら深夜アニメ遅れるし」

かがみ「ああ……」

みゆき「他に左利きの利点は……」

つかさ「何かあるかな……」

かがみ「ゲームのコントローラー！　移動の左スティックやり易くない？」

こなた「それだ！」

つかさ「そうかな？　私はあんまり上手くできないけど」

かがみ「つかさは利き手がどうというより機械操作が苦手な感じでしょう」

みゆき「私も家庭用ゲーム機を使ったことがないので、左利きが有利かどうかは分かりませんね」

こなた「よし、じゃあ確かめるために４人でゲームしよう！　何やる？　スマ〇ラ？」

かがみ「宿題せんかいっ」

こなた「いやー、面白かったね」

つかさ「またねー、こなちゃん」

みゆき「どうもお邪魔しました」

かがみ「そのゲームにかける情熱をちょっとは勉強についやせば、あんたも才能花開くかもよ」

こなた「まあそう言うけどさ、ぶっちゃけ勉強っていつでもできるでしょ」

こなた「でも、こうやって４人でダベってゲームしたりするのは、今しかできないかもしれないよ」


こなた「だったら、今一番やりたいことしたいよね」

かがみ「こなた……」

こなた「かがみんの好感度が３上がった↑」

かがみ「別に上がってないわよっ」

つかさ「お姉ちゃん照れてる？」

かがみ「照れるか！」

みゆき「泉さんの言葉、胸に響きました」

こなた「それじゃ、みなさんお気をつけて～」

つかさ「バイバーイ」

みゆき「ごきげんよう」

かがみ「また明日ね」




こんなありふれた日常が　ずっと続けばいいのにね




（おしまい）