安倍「ずいぶん流行ってるらしいね」

菅「なんの話ですか」

安倍「これだよこれ」

菅「…N国ですか」

安倍「それにこんなのも」

菅「出張エージェント、NHKの徴収を１００％追い返す…？」

安倍「眉唾だろうけどね」

菅「…本当だったら大変なことですね」

～老人ホーム～

訪問員「出てきなさい、テレビがあるのはわかってるんですよ！」ドンドン

介護士「ちくしょう…NHKのやつらめ」

ババア「すまないね…私たちがNHKを見たばっかりに」

介護士「いいんですよ。皆さんは悪くない」

訪問員「これ以上滞納すれば法的措置に移りますからね！」

立花「…君、NHKの人かい？」

訪問員「なんですか、あなたたちは」

穂高「僕たちは――」

立花「NHKを！ぶっ壊す！！」ドゴォッ！

訪問員「ぐへっ！？」

介護士「まさか…本当に来てくれるなんて」

立花「呼ばれればどこへでも駆け付ける。なぜなら私たちは――」

穂高「NHKから国民を守る党、だから！」

総務省「本日はお時間いただきありがとうございます、松井市長」

松井「なんや。またでっか。いくら言われても都構想を取り下げる気はないで」

総務省「いえ。本日は別件です。…N国はご存じですね？」

松井「ああ、最近話題の。それがどうかしたん」

総務省「実は最近、N国の立花議員と共に、この人の姿が目撃されているのです」

松井「これは…穂高くんやな」

総務省「はい。維新の党に所属していた」

松井「知らん知らん。あいつのことなんてもう知らん！……で、どうしたんや？」

総務省「彼にはNHK受信料の滞納容疑がかけられています」



穂高「いやー、NHKから国民を守る党、絶好調ですね」

立花「そうだね……ん？穂高くん、ちょっと隠れて」

穂高「はい？」

警察「警察です。開けなさい」ドンドン

立花「はい」警察「実は～」立花「～」警察「～では」

立花「もう出てきていいよ」

穂高「なんだったんですか？」

立花「どうやら私は逮捕されるらしい。NHKの訪問員を殴った罪でね」

穂高「そんな…！」

立花「それに受信料を納めていないのも本当はマズいらしい」

立花「明日令状を持ってくるそうだ。その前に君は維新の党へ戻りなさい」

穂高「…いいえ。一緒に逃げましょう、立花さん！」

ニュース「NHK受信料の滞納が500万件を突破し～……」

立花「世間はなんだか大変なことになっているようだ」

穂高「着きましたよ。池袋です。ここで乗り換えましょう」

女子高生「ねえねえ、あれN国の人じゃない？」

サラリーマン「あっちは確か戦争発言の…」

穂高「マズい、見つかった！」

立花「なあ、穂高くん。君は受信料を納めたほうがいいと思うかい？」

穂高「え、そりゃあ納めないよりは納めたほうが――」

立花「そうか。なら行きなさい」

穂高「えっ、立花さん！？」

警察「立花議員ですね。署へご同行願います」

穂高「立花さーん！！」



警察「取り調べは以上です。お疲れさまでした」

穂高「……あの、俺と一緒に捕まった議員は」

警察「立花孝志参議院議員。N国党所属。当選回数１回。彼は～」

穂高「待ってください！当選一回って……大ベテランのはずじゃ」

警察「元NHK職員。前職はユーチューバー。めちゃくちゃなキャリアですね」

穂高「なんだよ…俺のがベテラン（当選３回）じゃねえか…！」

穂高（俺は先輩なのに…全部立花さんに押し付けてた…）

穂高（もうあなたばかりには頼らない）

穂高（もう一度、あなたとN国がしたい！）

菅「待ちなさい」

穂高「あなたは…菅官房長官…」

菅「立花議員はこれからNHKに受信料を納めに行くことになっている。それですべて解決する」

穂高「そんな…それじゃあN国はどうなるんですか！？」

菅「諦めなさい。君も今ならまだやりなおせる。私から維新にとりなしてあげてもいい」

穂高「…うるさい」

菅「なんだって？」

穂高「ほっといてくれよ！俺たちは受信料を払いたくないだけなんだ！」

訪問員「見つけたぞ！丸山議員、あなたにも受信料を払ってもらう！すでに令状も取ってある」

穂高「クソ！万事休すか」

菅「…行きなさい」

穂高「え？」

訪問員「どういうことですか官房長官！」

菅「議員には不逮捕特権がある。現行犯以外では逮捕できない」

訪問員「しかし…」

菅「私もね――前からNHKは嫌いだったんだ」

HK幹部「では口座番号をこちらに」

立花「やはり…もう支払うしかないのか…」

警備員「ぐあああ」

幹部「なんだ！？」

穂高「立花さん、助けに来ました！」

立花「穂高くん…！」

穂高「さあ、逃げましょう」

立花「しかし…ここで逃げても結局は受信料が」

穂高「受信料なんて滞納したっていい！」

立花「！」

穂高「NHKなんて映らなくてもいい。俺は受信料を払いたくない！」

立花「穂高くん…やっとわかってくれたんだね」

穂高「行きましょう！」

立花「ああ！」

この直後僕たちは逮捕され、裁判で懲役と参政権停止を言い渡された
しかし反NHKのうねりは止まず、３年後、ついにNHKはスクランブル放送化された

菅「…で、今まで彼には会っていないわけか」

穂高「はい。刑務所にいたので」

菅「もしかして君は自分たちのせいでNHKがスクランブル放送化したと思っているのか？」

穂高「ええ、まあ」

菅「勘違いだよ。もともとこの国は狂っていたんだ。君たちの気にすることじゃない」

穂高「…？ありがとうございます」



穂高（この国はもともと狂っていた）

穂高（NHKがスクランブル放送化したのは自然なこと）

穂高（本当にそうだろうか）

穂高「…！」

　サアアアア（風の音）

立花「…NHKを――」

穂高「――ぶっ壊す！」

いいや、違う
僕たちはあのとき行動した
そして――この国の放送を、決定的に変えてしまったんだ

天気の子最高だった
見てない人はぜひ見に行ってほしい