男（こいつ胸でかいし、露出も多いからついつい……）

ギャル「あっしとアニキの仲っすからねえ」

ギャル「アニキさえよけりゃ、つつくもよし、揉むもよし、吸うもよしっすよ？」ﾎﾞｲﾝﾎﾞｲﾝ

男「バ、バカ！　だから見てねえって！」

ギャル「へへへ～」

男「あんまりからかうんならもう帰るぞ！」ｶﾞﾀｯ

ギャル「待って下せえよ、アニキ～」

ギャル「アニキ、すいやせんでした」

ギャル「妹分の分際でありながらアニキをからかうようなマネをして……以後気を付けやす」

男「……分かればいいんだ」

ギャル「しっかし、あっしがアニキと盃交わしてアニキと妹分の関係になってからはや半年」

ギャル「早いもんっすねえ」

男「そういや、もうそんなに経つのか」

高校にて――

ギャル「えぇと願いましては……」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ

生徒「おいお前、今時そろばんで計算してんのかよ？」

女生徒「ウケる～！　江戸時代？　最終学歴寺子屋ァ！？」

ギャル「う……」

男「やめろよ」ｷﾞﾛｯ

男「そろばんで計算なんてかっこいいじゃねえか。電卓に頼るよりよっぽどいい」

生徒「う……」

女生徒「ぐ……」

ギャル「……」

ギャル「あれであっしはアニキに惚れて、盃を交わさせて頂いたでござんす」

男「モンスターエナジーでな」

ギャル「そこは未成年っすから！」

警官「お、お前たち！　今日は二人でデートか？」

男「……なんですか」

ギャル「これは火盗改のダンナ！」

警官「誰が火盗改だ」

警官「中学時代は補導されまくってたお前も、ずいぶん大人になったじゃないか」

男「もう高校生ですからね。いつまでもバカやってらんないですよ」

ギャル「で、ダンナ、あっしらに何か御用で？」

警官「このところ、ここらでひったくりが多発している。何か情報が入ったら教えてくれ」

男「はいはい、分かりました」

ギャル「もし犯人（ホシ）を見っけたら、あっしの十手で成敗してやりやすよ！」ﾋﾞｼｯ

警官「……十手持ち歩いてることに関しては見なかったことにしとく」

ギャル「へへっ、ありがとござんす！」

ギャル「……」ｸﾞｩｩｩ

ギャル「おっと、そろそろ昼時だ。腹の虫が鳴いちまいやした」

ギャル「アニキ、昼はどうしやす？　何か食いてえもんでもありやすか？」

男「何でもいいよ」

ギャル「だったら蕎麦にしやしょう！　この先にうめえ蕎麦屋があるんでさぁ！」

男「別にいいけど」

ギャル「へへっ、いただきやす！」

男「いただきます」ｽﾞﾙﾙｯ

男「うん、うまい」

ギャル「でしょう？　じゃ、あっしも」ｽﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｿﾞｯ!

男「音立てすぎじゃないか？」

ギャル「何いってんでさぁ。音立てた方が粋ってもんでさぁ！」

男「俺は普通に食うわ」ｽﾞﾙﾙﾙｯ

店員「ざるそばお二つで1400円です」

ギャル「アニキ、ここはあっしにお任せを」

男「え？」

ギャル「100円玉で払わせてもらいやす」

ギャル「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11……今何時でえ？」

店員「お昼の12時ですね」

ギャル「13、14……へい、1400円！」

店員「1300円しかありませんが」

ギャル「！？」

男（通じるわけねえだろ……）

男「ワリカンでいいよな？　ほら700円」

ギャル「アニキ、すいやせん！！！」ｶﾞﾊﾞｯ

ギャル「あっしの時そばが至らないばっかりに、1300円にすることができず……」

男「いや、別にいいよ。ていうか、あんなことすんなって。犯罪だし」

ギャル「アニキィ……一生ついていきやす！」ｶﾞﾊﾞｯ

男「抱きつくな抱きつくな」

男（胸が当たるんだよ）

茶髪「よっしゃー、ぬいぐるみ取れた！」

JK「やったーっ！」

ｷｬｯｷｬｯ



男「ゲーセンか……」

ギャル「あっしらもそこらでゲームでもやりやせんか？」

男「いいけど」

ギャル「入りやす！」ﾊﾞﾊﾞｯ

男「……」

ギャル「さあ、丁か半か！？」

男「……丁」

ギャル「3と5！　――丁だっ！」

ギャル「さっすがアニキ！　お強い！」

男「たしかにゲームだけどさぁ……」

ﾄﾞﾃｯ

少年「うぇ～～～～～ん！」

ギャル「おっといけねえ！　子供がこけやがった！」

ギャル「ボウズ！」

少年「なに……おねえちゃん」

ギャル「このガマの油を塗りなせえ」ﾇﾘﾇﾘ

少年「あ、ありがとう……」

男「ガマの油持ち歩いてる女子高生なんてきっとお前ぐらいのもんだよ」

ギャル「へへっ、照れやすぜ！」

ﾀﾀﾀﾀｯ　ﾄﾞﾝｯ!

婦人「きゃーっ！　ひったくりーっ！」



男「！」

ギャル「！」

男「あれがさっき警官のおっさんが言ってた奴か！」

ギャル「こうしちゃいられねえ！　御用だ、御用だ！」ﾀﾞｯ

男「おい、無茶すんな！」

ギャル「御用でぇい！」

ひったくり「なんだ、てめえ！」

ギャル「あっしの十手でお縄につきねえ！」ﾌﾞﾝｯ

ひったくり「うわっ！」

ギャル「てやんでえ！」ﾊﾞｼｯ!

ひったくり「あだっ！」

ひったくり「……このアマ！　やりやがったな！」ﾊﾟﾁﾝｯ

ギャル（折りたたみナイフ！？）

ひったくり「邪魔すんじゃねえよ！」ﾋﾞｭｵｯ

ギャル「くっ！」

ひったくり「オラァ！」ﾌﾞﾝｯ

ｶﾞｷﾝｯ!

ギャル（しまっ……あっしの十手が！）

ひったくり「クソギャルがぁ！」ｸﾞｵｯ

ギャル「くうっ……！」

ガシィッ！

ひったくり「な……！」ｸﾞｸﾞｯ…

男「俺の妹分に……手ぇ出してんじゃねーよ！」

バキィッ！

ひったくり「ぐぼはぁっ！」

男「大丈夫か？　ったく無茶しやがって……」

ギャル「アニキの手をわずらわせちまってすいやせん……」

ギャル「だけどアニキ、かっこよかったっす！」ｶﾞﾊﾞｯ

男「抱きつくなって！」

男（胸が当たる！）

警官「よくやった！　感謝状モノだぞ！」

男「そういうのいらないんで……辞退します」

ギャル「さっすがアニキ！　幕府の将軍様よりかっけぇや！」



ギャル「……あ、そうだ。これからあっしの家に来やせんか？」

男「いいのか？」

ギャル「ええ、今日親がいないんでさぁ」

男「ふーん、だったらお邪魔するよ」

ギャル「今日は結構暑かったから、風呂でも入りやせんか？」

男「そうだな。ひったくりの件もあったし汗かいちゃった」

ギャル「だったらアニキ、お先にどうぞ」

男「いや、ここはお前の家だしそっちが先でいいよ」

ギャル「ありがとござんす！　一番風呂いただきやす！」

ギャル「ふぅー、さっぱりしやした！」ｺﾞｼｺﾞｼ

男「……！」ﾄﾞｷｯ

男（風呂上がりだからってなんつーラフな格好してきやがる……）

男（しかもブラもつけてねえだろ、これ……）

ギャル「どうしやした？」

男「あ、いや……次は俺が入るよ」

ｻﾞﾌﾞ…

男「あ゛っち゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛！！！」



ﾄﾞﾀﾄﾞﾀﾄﾞﾀｯ

男「なんだあれ！？　風呂、なんつー熱さだよ！？」

ギャル「あっしの家じゃあんくらいの温度がフツーっすよ？」

男「銭湯の頑固爺さんか！」

ギャル「サッパリしたっすねえ！」

男「ああ、いい湯だったよ」

ギャル「ところでサッパリしたところでお願いがありやす」

男「なんだ？」

ギャル「あっしは今日改めてアニキとご一緒させてもらって……気づきやした！」

ギャル「あっしは……あっしは……アニキに惚れちまいやした！」

男「いや、んなこと知ってるし――」

ギャル「妹分としてじゃなく、女として！」

男「！」

ギャル「アニキ……絶縁を覚悟で申し上げやす」

ギャル「どうかあっしと男女の付き合いをしていただけねえでしょうか？　お願いでござんす！」

男「……」

男「いいよ」

ギャル「ホントっすか！？」

男「ああ」

ギャル「デートしてくれるんすか！？」

男「もちろん」

ギャル「エ、エッチなことも！？」

男「まあ……いずれな」

ギャル「ありがとうございやぁぁぁぁぁす！！！」ｶﾞﾊﾞｧｯ

男「むぎゅ！？」

ギャル「あっしは……あっしはぁぁぁ……」ｷﾞｭｩｩｩｩｩ…

男「……！」

ギャル「アニキを一生離しやせん……！」ｷﾞｭｩｩｩｩｩｩ…

男「……！」

ギャル「……アニキ？」

男「っぷはぁっ！」

ギャル「す、すいやせん！　アニキのお顔をあっしの胸に押しつけちまって……」

男（あやうく圧死するとこだった……）





おわり