同級生A「おい、今の聞いたぜ。お前、先生のことお母さんっていったろー！」

同級生B「間違えた間違えた！　お母さんって言っちゃった！」

少年「うう……」

先生「コラッ、笑わないの！　静かにしなさい！」

少年「先生、ごめんなさい」

先生「いいのよ」ﾆｺｯ

ｶﾞﾁｬｯ

少年「ただいまー」



『今日帰り遅くなるからこれで適当に食べて』

￥500



少年「……」

少年（今日のご飯、アンパンとカレーパンとジュース……）

ﾓｸﾞﾓｸﾞ　ｺﾞｸｺﾞｸ

少年「遅いな、お母さん……」

ﾁｯﾁｯﾁｯ…

少年「仕事だからしょうがないけど……」

23:00

少年「すぅ、すぅ、すぅ……」

先生「じゃあ今日はみんな、お母さんの絵を描きましょー！」

ハーイッ！

同級生A「へへへ、こんなんでいいや」ﾇﾘﾇﾘ

同級生B「赤鬼じゃん！」

同級生A「だっていつもうるせんだもん！」

少年「……」ﾇﾘﾇﾘ

先生「あら、お上手。きっとお母さんも喜ぶわよ」

少年「はい！」

少年「お母さーん！」

母「なに？」

少年「これ学校で描いたの。お母さんの絵」

母「ふーん」

少年「どう？」

母「じゃ、出かけてくるわね」

少年「ちゃんと見てよ！」

母「お母さんは忙しいのよ！　ああ、今日は家戻れないから、戸締まりちゃんとしといてよ」

ﾊﾞﾀﾝｯ

少年「……」

先生「どうだった？」

少年「先生……」

先生「あの絵、お母さんに喜んでもらえた？」

少年「ううん……」

先生「……！」

少年「先生……うわ～～～～～～ん！！！」

先生「そうだったの……」

少年「うん……全然見てくれなかった」

少年「今日はもう帰ってこないし……多分明日の夜まで」

先生「だったら今日……うちに来る？」

少年「先生のおうちに！？　いいの！？」

先生「いいのよ」ﾆｺｯ

先生「ここが私のおうちよ」

少年「わっ、綺麗なお部屋ー！　うちとは大違いだ！」

先生「好きなようにくつろいでいいからね」

少年「はーい！」

少年「こんなでっかいソファはじめて見た！」ﾎﾞﾌｯ

少年「キティちゃんのぬいぐるみだ！　かーわいい！」

先生「ふふっ」

先生「そろそろお腹すいたでしょ？」

少年「うん……」

先生「いつも家ではどんな食事してるの？」

少年「お金が置いてあって、それで……」

先生「そう……。じゃあ今日は先生がカレーライス作ってあげよっか？」

少年「いいの！？」

先生「いいのよ、カレーライスは先生の得意料理だもの。まっかせて！」

先生「はーい、できたわよ～！」

少年「いただきます！」ﾓｸﾞｯ

ﾓｸﾞﾓｸﾞ…

先生「どうかしら？」

少年「おいしい！　レストランのよりおいしいや！」

先生「よかった……。おかわりしてもいいからね」

少年「おかわり！」

先生「もう食べたの！？」

少年「だっておいしかったんだもん！」

TV『なんでやねん！　もうええわ！　ありがとうございましたー！』

少年「アハハハ……」

先生「ねえ……先生と一緒にお風呂入る？」

少年「！」ﾄﾞｷｯ

少年「は、入るっ！」

先生「じゃ、浴室に行きましょ」

少年「うんっ！」

ｻﾞｰ…

先生「背中流してあげるわね」ｺﾞｼｺﾞｼ

少年「ありがとう、先生！」

少年「じゃあ今度はぼくが……」

先生「コラ、どこ触ってるの！」

少年「ごめんなさーい！」

先生「もうっ」

先生「そろそろ寝ましょうか」

少年「うん」

少年「先生、今日は一緒の布団で寝ていい？」

先生「いいわよ」

少年「あと……先生のことお母さんって呼んでいい？」

先生「……いいわよ」

少年「お母さん、おやすみなさい」

先生「おやすみ、坊や」

先生「ねんねーんころーりーよー、おこーろーりーよー」

少年「おかあ……さん……」

ｷﾞｭｯ

ｽｩ…　ｽｩ…

少年「おはよー、先生！」

先生「あら、おはよう」

少年「アハハ、先生ー！　ヒゲがボーボーに生えてるー！」

先生「おっといけねぇ」ｼﾞｮﾘｯ







―完―