桃「急いでシャミ子からミカンを引き離さないと」

桃（急げ、一刻の猶予もない！）ﾀﾞﾀﾞﾀﾞ

桃「ミカン！」

ミカン「あらどうしたの」

桃「行くよ！」ｶﾞｼｯ

ミカン「え、ちょっ、何、急に～！！！」

桃「うおおおおおおおおおお！！！」ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ

ミカン「あれ～～～」



桃「はぁはぁ、とりあえずここまで来たら安心かな」

ミカン「も、もう桃！手を離して！」

桃「ああごめん」ﾊﾟｯ

ミカン「全くいつも強引なんだから///」ﾌﾟｲｯ

ミカン「それでいきなり多摩川まで連れてきて、なんのつもりかしら？」

桃「あ、ああそれは」

桃（シャミ子から引き離すためとは言えないな）

桃「なんか、なんとなくミカンと一緒に散歩したくなったんだ」

ミカン「もんも....///」

ミカン「でも散歩っていうか、私が桃に引きずられてただけじゃない！」ﾌﾟﾝﾌﾟﾝ

桃「ごめん、一刻も早く散歩したかったんだ」

桃（今日はシャミ子とミカンを会わせたくないな。もっと時間を稼ごう）

桃「久しぶりに二人で食事に行かない？」

ミカン「！　ええ、いいわよ！」

桃「ここいいお店でしょ」

ミカン「大人っぽい雰囲気で素敵ね」

ミカン（こんないいお店に連れて来てくれるなんて、桃ったら///）

ミカン「桃が選んだとは思えない、センスのいいお店よ」

桃「本当！？」ﾊﾟｧ

ミカン「ええ、本当よ」

桃（よし、事前にクチコミを拾ったり、ネットを活用して調査をした甲斐があった！この店ならシャミ子を連れてきても大丈夫かな！）

ミカン（急に笑顔になっちゃって....可愛いんだから）

ミカン「今日はありがとう桃」

桃「いいんだよ、貴重な意見ももらえた」

桃（....まあミカンにはいつも助けてもらってるし、これくらいはね）

ミカン「ふふ、また行きましょうね♪」

桃「うん」

桃（なんだかんだ私も楽しめたし、ミカンも楽しんでくれたみたいだし、シャミ子との接触も阻止したし。一件落着だね）

隠れているシャミ子「」ｼﾞ-



シャミ子（みかんを買いに行ったら、二人を見かけたので追いかけてみましたが....）

シャミ子（どうしてあんなお洒落なお店に！？）

シャミ子（二人ともすごく幸せそうでした....）

シャミ子（もしかして二人は....）ｽﾞｷﾝ

一週間後

シャミ子「桃、おはようございます」ｶﾞﾁｬﾘ

桃「おはよう～....」ﾑﾆｬﾑﾆｬ

シャミ子「起きてください、ご飯食べますよ～」ﾓｳﾌｶﾞﾊﾞ-

桃「ん～お米炊けてる....？」ﾓｿﾞﾓｿﾞ

シャミ子「私が炊飯器予約しておいたので完璧です」

桃「シャミ子すごーい」ﾑｸﾘ

シャミ子（はぁ、若干寝ぼけてますね）

シャミ子「あ、私の家から味噌汁持ってきますね！」

桃「お米だけでもいいよ」

シャミ子「だめです。栄養を考えてください！」ｽﾀﾀ

桃「シャミ子は元気だなぁ」



シャミ子「持ってきま──」ｺｹｯ

桃「シャミ子！」ｼｭﾊﾞ

ｶﾞｼｬﾝ!

シャミ子「あ、ありがとうございます///」

桃「いいんだよ。でも味噌汁が」

シャミ子「あわわ、ごめんなさい。溢してしまって、またお皿割っちゃって」

桃「大丈夫、いつもご飯作ってくれてありがとう。私が掃除するからシャミ子は他のことしてて」

シャミ子「は、はい」

桃（ここ一週間シャミ子の様子がおかしい）ﾌｷﾌｷ

桃（なんか上の空っていうか、ボーッとしてるし）

桃（七日連続で皿割ったりするし）

桃（何かあったのかな....）

桃「シャミ子、最近何かあった？」

シャミ子「！　何もありませんよ」

桃「そう....」

桃（何もないってことはないと思うんだけど、言いたくないのかな）

更に一週間後
高級料亭

ミカン「ありがとう桃、いつもいつも嬉しいわ///」

桃「気にしないで。私がしたくてしてるんだから」

ミカン（ここ最近毎日桃とデートしてるけど、もしかして桃って私のことを....）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

桃（暇だからミカンを連れて、食事処や遊び場をリサーチしてるけど、これじゃストックが貯まるばかりだな）

桃（まあミカンが楽しそうだしいっか）ﾆｺｯ

桃（明日シャミ子とちゃんと話そう）


学校

桃「シャミ子」

シャミ子「桃....なんでしょうか」

桃「あー、いや、最近特訓とかできてないなって」

シャミ子「....そうですね」

桃「......」

シャミ子「......」

桃（どうしよう....）

桃「....今日の夕飯、一緒にどうかな？」

シャミ子「！」

桃「すごくいい感じのお店があるんだ」

桃「多分シャミ子も気にいると思う」

シャミ子「い、行きたいです！」

桃「うん、じゃあ行こう！夕方の六時ごろに家を出ようか」

シャミ子「はい！」

夕方
まぞく的雰囲気の高級レストラン

シャミ子「......」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

桃「シャミ子、美味しい？」

シャミ子「はい....」ﾅﾎﾟ ﾓﾆｭﾓﾆｭ

桃（おかしい....何故こんなにテンションが爆下がりしてるんだ！？）

桃（最初はワクワクしてたのに、店に着いた瞬間、一気に冷え冷えになったのはなんで！？）

桃「あの、シャミ子」ｵｿﾙｵｿﾙ

シャミ子「なんですか？」

桃「なんか元気ない？この店気に入らなかった？気に障ったならごめん」

シャミ子「....いえ、そういうわけじゃ」

桃「この店、シャミ子のためだけに探したんだ」

桃「できれば楽しんで欲しいかな....って」

シャミ子「私のため、だけですか」

桃「そうだよ」

シャミ子「嘘つかないでください」

桃「え！？」

シャミ子「この前ミカンさんとこのお店に来てたのはなんだったんですか」

桃「え....どうしてそれを」

桃（まさか事前のリサーチを見られて....）

シャミ子「そ、それは....」

シャミ子（気になって、毎日二人を尾けてたなんて言えない....）

桃「わ、私はシャミ子と来る前に事前に中を見ておきたかったんだ。なんの他意もないよ！」

シャミ子「....そんなの嘘です！」

シャミ子「ミカンさんと一緒にいる桃はとても楽しそうでした」

シャミ子「私といるときより笑顔で....」ｸﾞｽｯ

桃「ち、ちが」

シャミ子「もういいです！！」ﾊﾞﾝ

桃「ま、待ってシャミ子！」

その後、私はしばらくシャミ子と話すことはなかった。



昼休み

ミカン「シャミ子とまだ喧嘩してるの？」

桃「まあね....」

ミカン「ちゃんと仲直りしなきゃダメじゃない」

桃「ミカンはママみたいなこと言うね」

ミカン「ママはやめて！」



桃「もう放課後か....」

桃（あ、ミカン....とシャミ子？）

桃（......）ﾓﾔﾓﾔ

桃（なんかモヤモヤする....）

シャミ子「......」ﾁﾗｯ

桃「！」ﾊﾞﾊﾞｯ

桃（思わず隠れてしまったけど、今シャミ子と目が合った....？）

自宅

桃「」ﾎﾟｹ-

ミカン「見たことないアホヅラかしら....」ｶﾞﾁｬ

桃「ミカン！ノックしてよ！」

ミカン「ごめんなさい、でもどうしても言いたいことがあって」

桃「....何？」

ミカン「早くシャミ子と仲直りしなさいな」

桃「そう簡単にはいかないよ」

ミカン「そんなこと言って先延ばしにしてたら、二度と仲直りできないかもしれないわよ」

桃「むぅ....」

ミカン「桃はシャミ子のことが好きでしょう？」

桃「んな！？な、なんで！！？？」

ミカン「見てればわかるわよ。十年の付き合いがあるのよ？」

ミカン「それに私はあなたのことが好きだから」

桃「え？」ﾄﾞｷｯ

ミカン「随分驚いてるわね、気付かなかった？」

桃「だ、だってそんな素振り一度も」

ミカン「あなたが鈍感なだけかしら」ｷﾞｭｯ

桃「ミ、ミカン？」

ミカン「ごめんね。あなたがシャミ子のことを好きなのは知ってるけど、でも一度でいいから抱きしめさせて」

ミカン「桃、シャミ子のところに行ってあげて」

ミカン「そうじゃなきゃ、私はもう自分の気持ちを抑えられないわ」

ミカン「いつかあなたとシャミ子を素直に応援できなくなる」

桃「ミカン....」

ミカン「桃....」

桃「ありがとう」

ミカン「うん」

桃「」ﾀﾀﾀﾀ

ミカン「はぁ....ほっとけばよかったかしら」

ミカン「それが一番簡単だったのに....敵に塩を送って、私おバカね」

ミカン「二人には悪いけど、代わりの魔法少女を呼びましょう」

ミカン「私はこの街から出よう」

商店街

桃「シャミ子」

シャミ子「......なんですか。私は今買い物に出かけてるんです。話しかけないでください」

桃「待って！」

シャミ子「桃はミカンさんと遊んでればいいじゃないですか」ｽﾀｽﾀ

桃「私はシャミ子が好きなんだ！」

シャミ子「！」ﾋﾟﾀｯ



桃「嘘じゃない、本当だよ」

桃「シャミ子は....私のことどう思ってる？」

シャミ子「私もです」ｸﾙｯ

シャミ子「私も桃が好きです！」

桃「シャミ子....！」ﾊﾟｧ

シャミ子「でも桃は違います」

桃「え？何を言って」

シャミ子「桃は私のことを好きかもしれません。でもそれは違うんです」ｳﾙｳﾙ

シャミ子「私が欲しい桃の好きは、違う人に向いてるんです」ｸﾞｽｯ

桃「いや、そんなことない。私はシャミ子のことが大好きで、シャミ子がミカンと居た時もモヤモヤして」

シャミ子「本当にそれは私に対してですか？」

桃「......」

シャミ子「私がミカンさんと居たからじゃなくて、ミカンさんが私と居たからじゃないんですか？」

桃「シャミ子、でも私」

シャミ子「気をつかわないでください！」ﾄﾞﾝ!

桃「わっ」

シャミ子「これ以上を私をみじめな気持ちにさせないで」

シャミ子「行ってください」

桃「シャミ子....ごめん」

桃「ありがとう....気付かせてくれて」ﾀﾞｯ



シャミ子「......」

シャミ子「う、うう....」ｸﾞｽｯ

シャミ子「私、桃のことが本当に好きだったんです」

ご先祖像「シャミ子....」

シャミ子「うわあああああああああん」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ご先祖像「おぬしはよく頑張った、今日はもう帰ろう」

桃（ミカンとは十年の付き合いだ）

桃（親友で家族愛みたいな気持ちが大きかった）

桃（ミカンに恋なんて馬鹿らしいと思ってたけど、私は勘違いしてた）

桃（十年分の家族愛に隠れてただけで、私はずっとミカンが好きだったんだ）

桃「ミカン！待って！」

ミカン「！？　桃....」

桃「そんな大荷物持ってどこに行く気？」

ミカン「あ、こ、これは、旅行に行くのよ！」

桃「明日も学校なのに？」

ミカン「むぐっ....」

ミカン「そんなことよりシャミ子はどうしたのかしら？」

桃「シャミ子とはちゃんと話してきたよ」

ミカン「どうだったの？」

桃「どうもしてないよ。仲直りしただけ」

ミカン「ま、まあ仲直りはできたのね。よかったわ」

桃「ねぇミカン」

ミカン「何かしら....？」

桃「ミカンは私を好きって言ってくれたよね」



桃「私もミカンが好きなんだ」

ミカン「へ？あ、あなた何冗談を言って」

桃「冗談なんかじゃない」

桃「ずっとミカンが好きだったけど、それは家族みたいなものだとおもってたんだ」

桃「でもシャミ子が気付かせてくれた」

桃「私は親友として家族として、ミカンのことが好きだけど」

桃「女の子としてもミカンのことが大好きなんだ」

ミカン「桃....」ｳﾙｳﾙ

桃「だからお願いミカン」ｷﾞｭｯ

桃「どこにも行かないで。どこにも消えないで。これからもずっと私と一緒にいてほしい」

ミカン「うん....うん....っ」ｷﾞｭｯ

桃「好きだよミカン」

ミカン「私も....あなたが好き....っ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

翌日

シャミ子「桃！」

桃「シャミ子....昨日はありがとう」

シャミ子「いえ、いいんです。ミカンさんとはどうなりましたか？」

桃「実は....付き合うことになったんだ」

シャミ子「そうなんですね！」

桃「ミカン、こっちに来て」

ミカン「......うん」



ミカン「あのシャミ子....私....」

シャミ子「何も言わないでください」

ミカン「......」

シャミ子「私達はこれからも友達ですよね？」

ミカン「......！」

シャミ子「これからもよろしくお願いしますね」ﾀﾞｷｯ

ミカン「ええ！」ﾀﾞｷｯ

桃（よかったよかった）

シャミ子「桃のこと....お願いします」ﾎﾞｿｯ

ミカン「....精一杯がんばるわ」

桃「......？」

放課後

シャミ子「ミカンさん」

ミカン「シャミ子....？」



ミカン「どうしたの？」

シャミ子「私、桃が好きです！」

ミカン「....うん、知ってるわ」

シャミ子「まだ桃のこと諦めてませんから！」

シャミ子「正々堂々と勝負です！！」

シャミ子「ククク、精々桃を盗られないように自分を磨くんだな」

ミカン「ええ、望むところよ！」



頑張れシャミ子！
恋はまぞくを強くする！
いつかきっと好きな人をメロメロにできるまぞくになるんだ！