1:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:11:13 :Qj4/TtAF0.net
依頼人「事故に見せかけて始末する、というのはやれるのか?」
殺し屋「場所も時間も方法も、可能な限りご要望に応えます。ただし……」
殺し屋「殺しはセルフサービスとなっております」
依頼人「へ? セルフサービス? ……どういうことだ?」
殺し屋「つまりですね。私の手で殺しに必要な諸々の状況を整え、あとはトドメだけという状態にしますが」
殺し屋「そのトドメはお客様自身で、というシステムになっております」
依頼人「客自身で……!?」
依頼人「事故に見せかけて始末する、というのはやれるのか?」
殺し屋「場所も時間も方法も、可能な限りご要望に応えます。ただし……」
殺し屋「殺しはセルフサービスとなっております」
依頼人「へ? セルフサービス? ……どういうことだ?」
殺し屋「つまりですね。私の手で殺しに必要な諸々の状況を整え、あとはトドメだけという状態にしますが」
殺し屋「そのトドメはお客様自身で、というシステムになっております」
依頼人「客自身で……!?」
2:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:14:02 :swbdER5W0.net
わりと需要ありそつ
3:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:14:23.695 :Qj4/TtAF0.net
依頼人「なんでそんなことを?」
殺し屋「今やあちこちの業界でセルフサービス化の波が広がっています」
殺し屋「レストラン、ガソリンスタンドの給油、買い物のセルフレジ……」
殺し屋「そこで、いっそ殺しの世界でもセルフサービスを取り入れたらどうか、と思い立ちましてね」
依頼人「はあ……」
殺し屋「いかがいたしますか?」
依頼人「腕は確かだと聞いているし……分かった、セルフサービスで頼むよ」
殺し屋「では標的を伺いましょうか」
依頼人「なんでそんなことを?」
殺し屋「今やあちこちの業界でセルフサービス化の波が広がっています」
殺し屋「レストラン、ガソリンスタンドの給油、買い物のセルフレジ……」
殺し屋「そこで、いっそ殺しの世界でもセルフサービスを取り入れたらどうか、と思い立ちましてね」
依頼人「はあ……」
殺し屋「いかがいたしますか?」
依頼人「腕は確かだと聞いているし……分かった、セルフサービスで頼むよ」
殺し屋「では標的を伺いましょうか」
6:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:18:39.221 :Qj4/TtAF0.net
……
殺し屋「あとはこのロープを切れば、鉄骨が倒れて標的は下敷きとなります」
殺し屋「事故として処理され、あなたが疑われることは絶対ありません」
殺し屋「さ、どうぞ」
依頼人「あ、ああ」
プチッ
グラ…
「うわっ!」
ドガシャァァァン!!!
殺し屋「標的はバッチリ圧死しましたね。お疲れ様でした」
依頼人「うむ……報酬はきっちり振り込むよ」
……
殺し屋「あとはこのロープを切れば、鉄骨が倒れて標的は下敷きとなります」
殺し屋「事故として処理され、あなたが疑われることは絶対ありません」
殺し屋「さ、どうぞ」
依頼人「あ、ああ」
プチッ
グラ…
「うわっ!」
ドガシャァァァン!!!
殺し屋「標的はバッチリ圧死しましたね。お疲れ様でした」
依頼人「うむ……報酬はきっちり振り込むよ」
7:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:22:05 :Qj4/TtAF0.net
殺し屋(しかし、こういう形式で殺しをしていると、時にはこういうこともございます)
……
殺し屋「さ、あとはこの狙撃銃の引き金を引くだけです」
殺し屋「固定してあるので、弾丸は正確に標的の頭を射抜き、絶命させるでしょう。どうぞ」
青年「……」プルプル
殺し屋「どうしました?」
青年「う……撃てませぇん!」
殺し屋(しかし、こういう形式で殺しをしていると、時にはこういうこともございます)
……
殺し屋「さ、あとはこの狙撃銃の引き金を引くだけです」
殺し屋「固定してあるので、弾丸は正確に標的の頭を射抜き、絶命させるでしょう。どうぞ」
青年「……」プルプル
殺し屋「どうしました?」
青年「う……撃てませぇん!」
8:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:25:36 :Qj4/TtAF0.net
青年「スコープで奴を覗いてたら……」
青年「よくよく考えたら、殺すほど悪い奴じゃなかった、と思えてきて……」
青年「お願いします、キャンセルさせて下さい!」
殺し屋「本当によろしいのですか?」
青年「はいっ!」
殺し屋「分かりました。ただし、手間賃とキャンセル料はいただきますよ」
……
殺し屋(殺し屋に依頼するほどの事情があったはずなのに、まったく不思議なものです)
殺し屋(しかし、依頼人がそうおっしゃるのなら私はそれに従うまで)
殺し屋(依頼に関して余計な口出しはしない。それが私のプロとしてのポリシーですから)
青年「スコープで奴を覗いてたら……」
青年「よくよく考えたら、殺すほど悪い奴じゃなかった、と思えてきて……」
青年「お願いします、キャンセルさせて下さい!」
殺し屋「本当によろしいのですか?」
青年「はいっ!」
殺し屋「分かりました。ただし、手間賃とキャンセル料はいただきますよ」
……
殺し屋(殺し屋に依頼するほどの事情があったはずなのに、まったく不思議なものです)
殺し屋(しかし、依頼人がそうおっしゃるのなら私はそれに従うまで)
殺し屋(依頼に関して余計な口出しはしない。それが私のプロとしてのポリシーですから)
9:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:29:18 :Qj4/TtAF0.net
ある日――
殺し屋(待ち合わせ場所は……ここですね)
女「はぁい」
殺し屋「あなたが依頼人ですか?」
女「ええ、そうよ」
女「どんなゴツイのが来ると思ってたけど、案外普通そうな人ね」
殺し屋「よく言われますよ」
殺し屋(危険な香りがする……)
殺し屋(おそらく、裏社会を生きてきた人間でしょうね。私のように……)
ある日――
殺し屋(待ち合わせ場所は……ここですね)
女「はぁい」
殺し屋「あなたが依頼人ですか?」
女「ええ、そうよ」
女「どんなゴツイのが来ると思ってたけど、案外普通そうな人ね」
殺し屋「よく言われますよ」
殺し屋(危険な香りがする……)
殺し屋(おそらく、裏社会を生きてきた人間でしょうね。私のように……)
10:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:32:36.659 :Qj4/TtAF0.net
殺し屋「断っておきますが、私は――」
女「セルフサービスの殺し屋さんでしょ? 聞いてるわ」
殺し屋「ご存じなら話が早い」
殺し屋「さっそく標的を伺いましょうか」
女「標的は……こいつよ」
写真を見せる。
殺し屋「了解しました。なにか条件はございますか?」
女「場所の指定はしたいところね。私も準備があるから、明日ある駅で待ち合わせしましょう」
殺し屋「かしこまりました」
殺し屋「断っておきますが、私は――」
女「セルフサービスの殺し屋さんでしょ? 聞いてるわ」
殺し屋「ご存じなら話が早い」
殺し屋「さっそく標的を伺いましょうか」
女「標的は……こいつよ」
写真を見せる。
殺し屋「了解しました。なにか条件はございますか?」
女「場所の指定はしたいところね。私も準備があるから、明日ある駅で待ち合わせしましょう」
殺し屋「かしこまりました」
12:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:35:34 :Qj4/TtAF0.net
とある駅で待ち合わせする二人。
女「はぁい」
女「ごめんなさいね。遅れちゃって」
殺し屋「いえ、私も今来たところですよ」
女「ここからは私とあなたの二人旅よ。電車に揺られながら、楽しく行きましょ」
殺し屋「ええ、よろしくお願いします」
とある駅で待ち合わせする二人。
女「はぁい」
女「ごめんなさいね。遅れちゃって」
殺し屋「いえ、私も今来たところですよ」
女「ここからは私とあなたの二人旅よ。電車に揺られながら、楽しく行きましょ」
殺し屋「ええ、よろしくお願いします」
14:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:39:37 :Qj4/TtAF0.net
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
女「目的地までは……電車で三時間ってところね」
女「長旅になっちゃうけど、許してね」
殺し屋「いえいえ、私のような商売をしていれば長旅には慣れるものです」
殺し屋「標的を始末に、海外まで飛んだこともありますから」
女「へぇ~、下手なサラリーマンよりよっぽど出張してるのかもね」
殺し屋「出張ついでに観光、とはいきませんがね」
ガタンゴトン… ガタンゴトン…
女「目的地までは……電車で三時間ってところね」
女「長旅になっちゃうけど、許してね」
殺し屋「いえいえ、私のような商売をしていれば長旅には慣れるものです」
殺し屋「標的を始末に、海外まで飛んだこともありますから」
女「へぇ~、下手なサラリーマンよりよっぽど出張してるのかもね」
殺し屋「出張ついでに観光、とはいきませんがね」
16:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:42:54 :Qj4/TtAF0.net
女「……」
女「せっかくだし、私の話をしてもいいかしら?」
殺し屋「どうぞ」
女「あんまり楽しい話じゃないけどね」
女「私が育ったのは……絵に描いたような田舎だったわ」
女「山があって、小川があって、田んぼがあって……都会の人が思い描く理想の田舎そのままって感じ」
女「おてんばだった私は、しょっちゅう山の中で遊んだものよ」
女「……」
女「せっかくだし、私の話をしてもいいかしら?」
殺し屋「どうぞ」
女「あんまり楽しい話じゃないけどね」
女「私が育ったのは……絵に描いたような田舎だったわ」
女「山があって、小川があって、田んぼがあって……都会の人が思い描く理想の田舎そのままって感じ」
女「おてんばだった私は、しょっちゅう山の中で遊んだものよ」
17:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:45:56 :Qj4/TtAF0.net
女「だけど、年頃になると、娯楽もない田舎で生きてくことに退屈しちゃって」
女「親の反対も押し切って、私は上京したわ。華やかな都会で花咲く自分を夢見てね」
女「だけど、そんな夢見る田舎娘は都会のわる~いオオカミにとってはいいカモだった」
女「男には弄ばれ、女には陥れられ、あっという間にドブの底」
女「ドブの中でもがくうち、気づいたら私もとんでもない悪女に変貌していた」
女「もし私のやってきたことに刑罰をつけるとしたら、死刑何回分になるか分かったもんじゃないわ」
女「ある二つの組織のトップを籠絡して、組織同士潰し合わせるなんてこともやったことあるしね」
女「直接手を下した数はともかく、間接的に殺した数ならあなたの遥か上をいく自信があるわ」
殺し屋「……」
女「だけど、年頃になると、娯楽もない田舎で生きてくことに退屈しちゃって」
女「親の反対も押し切って、私は上京したわ。華やかな都会で花咲く自分を夢見てね」
女「だけど、そんな夢見る田舎娘は都会のわる~いオオカミにとってはいいカモだった」
女「男には弄ばれ、女には陥れられ、あっという間にドブの底」
女「ドブの中でもがくうち、気づいたら私もとんでもない悪女に変貌していた」
女「もし私のやってきたことに刑罰をつけるとしたら、死刑何回分になるか分かったもんじゃないわ」
女「ある二つの組織のトップを籠絡して、組織同士潰し合わせるなんてこともやったことあるしね」
女「直接手を下した数はともかく、間接的に殺した数ならあなたの遥か上をいく自信があるわ」
殺し屋「……」
18:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:48:32 :Qj4/TtAF0.net
女「こんな女だから、当然星の数ほど恨みを買ってる」
女「普段は寄らば大樹の陰をして狙われないよう工夫してるけど」
殺し屋「あなたに入れ込んでる男も星の数ほど、というわけですか」
女「ゲスばかりだけどね。だから今回の殺しも任せたくなかった」
女「もし私が今みたいに無防備に電車に乗ってるなんて知られたら、一体どうなることやら……」
女「私がさっき待ち合わせに遅れたのも、そういう刺客を警戒してたからよ」
女「ま、電車乗っちゃえば、もう一安心でしょうけど」
殺し屋「どうやらそうでもなさそうですよ」
女「え?」
女「こんな女だから、当然星の数ほど恨みを買ってる」
女「普段は寄らば大樹の陰をして狙われないよう工夫してるけど」
殺し屋「あなたに入れ込んでる男も星の数ほど、というわけですか」
女「ゲスばかりだけどね。だから今回の殺しも任せたくなかった」
女「もし私が今みたいに無防備に電車に乗ってるなんて知られたら、一体どうなることやら……」
女「私がさっき待ち合わせに遅れたのも、そういう刺客を警戒してたからよ」
女「ま、電車乗っちゃえば、もう一安心でしょうけど」
殺し屋「どうやらそうでもなさそうですよ」
女「え?」
19:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:52:28.563 :Qj4/TtAF0.net
二人の近くに、ナイフを持った男が立っていた。
金髪「……」
女(いつの間に……!)
金髪「死ね……」シュッ
ガシィッ!
金髪「!」
殺し屋「いけませんね。電車の中でそんなものを振り回しては」
掴んだ腕を捻じり上げる。
金髪「ぐ……!」ミシミシ…
二人の近くに、ナイフを持った男が立っていた。
金髪「……」
女(いつの間に……!)
金髪「死ね……」シュッ
ガシィッ!
金髪「!」
殺し屋「いけませんね。電車の中でそんなものを振り回しては」
掴んだ腕を捻じり上げる。
金髪「ぐ……!」ミシミシ…
20:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:55:25.279 :Qj4/TtAF0.net
金髪「このっ!」ブオンッ
殺し屋「おっと」
ガシッ!
振りほどこうとする金髪の首を絞めると、
ボキィッ!
一瞬でヘシ折る。
殺し屋「旅を邪魔する無粋な輩は、窓から捨ててしまいましょう」バッ
女「流れるような動作だったわ……。さすがね」
金髪「このっ!」ブオンッ
殺し屋「おっと」
ガシッ!
振りほどこうとする金髪の首を絞めると、
ボキィッ!
一瞬でヘシ折る。
殺し屋「旅を邪魔する無粋な輩は、窓から捨ててしまいましょう」バッ
女「流れるような動作だったわ……。さすがね」
22:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 18:58:52 :Qj4/TtAF0.net
女「殺しはセルフサービスといっても、やっぱりあなた自身で殺るのもお上手なのね」
殺し屋「私とて、最初からセルフサービスをやってたわけではありませんからね」
女「じゃあどうして、セルフサービスなんか始めたの?」
女「はっきりいって、あなた自身がやった方が手っ取り早いことも多いでしょ」
女「なにかよっぽどの事情があるんじゃない?」
殺し屋「そんな大層な理由はありませんよ」
女「殺しはセルフサービスといっても、やっぱりあなた自身で殺るのもお上手なのね」
殺し屋「私とて、最初からセルフサービスをやってたわけではありませんからね」
女「じゃあどうして、セルフサービスなんか始めたの?」
女「はっきりいって、あなた自身がやった方が手っ取り早いことも多いでしょ」
女「なにかよっぽどの事情があるんじゃない?」
殺し屋「そんな大層な理由はありませんよ」
24:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:02:18 :Qj4/TtAF0.net
殺し屋「殺し屋というのは、人の命を奪ってお金を稼ぐ、皆が最もやりたくない作業を進んでこなす、最底辺の職業です」
殺し屋「美味しい実の部分はみんな食べられ、残ったスイカの皮だけを手渡されるような、そんな仕事です」
殺し屋「腕を上げれば上げるほど、私の仕事は増えていき……」
殺し屋「皆が私にスイカの皮をポイポイ押しつけてくるようになった」
殺し屋「嫌気が差すこともありました。しかし、今さら他の生き方などできるわけがない」
殺し屋「そこで、ふと思ったんです。だったら、トドメの部分だけでもやってもらうようにしよう、と」
殺し屋「なんてことはない。底辺の下らない意地、というやつですよ」
女「だけど、セルフサービスなんて反発もあったんじゃないの?」
殺し屋「もちろんです。しかし……実力で黙らせましたが」
女「ふふ、お互い敵が多いわね」
殺し屋「殺し屋というのは、人の命を奪ってお金を稼ぐ、皆が最もやりたくない作業を進んでこなす、最底辺の職業です」
殺し屋「美味しい実の部分はみんな食べられ、残ったスイカの皮だけを手渡されるような、そんな仕事です」
殺し屋「腕を上げれば上げるほど、私の仕事は増えていき……」
殺し屋「皆が私にスイカの皮をポイポイ押しつけてくるようになった」
殺し屋「嫌気が差すこともありました。しかし、今さら他の生き方などできるわけがない」
殺し屋「そこで、ふと思ったんです。だったら、トドメの部分だけでもやってもらうようにしよう、と」
殺し屋「なんてことはない。底辺の下らない意地、というやつですよ」
女「だけど、セルフサービスなんて反発もあったんじゃないの?」
殺し屋「もちろんです。しかし……実力で黙らせましたが」
女「ふふ、お互い敵が多いわね」
25:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:05:09.526 :Qj4/TtAF0.net
アナウンス『○○駅に到着でーす』
プシュー…
会社員「……」ザッザッ
女「○○か。もうそろそろ、目的の駅に着くわね」
殺し屋「よかった、そろそろお尻が痛くなってきましたよ」
女「痔持ちの殺し屋なんてカッコつかないものね」クスッ
アナウンス『○○駅に到着でーす』
プシュー…
会社員「……」ザッザッ
女「○○か。もうそろそろ、目的の駅に着くわね」
殺し屋「よかった、そろそろお尻が痛くなってきましたよ」
女「痔持ちの殺し屋なんてカッコつかないものね」クスッ
28:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:08:18.434 :Qj4/TtAF0.net
会社員「……」バサッ
女「見てよ、窓の外。ビルも少なくなって、だいぶ景色ものどかになってきたわ」
女「田舎を思い出すなぁ……」
殺し屋(さっき乗車してきたあのサラリーマン、新聞を広げた……)
殺し屋「伏せてっ!」バッ
女「えっ!?」
パンッ! パパンッ!
車内に銃声が響く。
会社員「……」バサッ
女「見てよ、窓の外。ビルも少なくなって、だいぶ景色ものどかになってきたわ」
女「田舎を思い出すなぁ……」
殺し屋(さっき乗車してきたあのサラリーマン、新聞を広げた……)
殺し屋「伏せてっ!」バッ
女「えっ!?」
パンッ! パパンッ!
車内に銃声が響く。
31:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:12:38 :Qj4/TtAF0.net
会社員「ちっ!」チャキッ
新聞を捨て、銃を向ける。
女「あいつも……私を狙う殺し屋!?」
殺し屋「そのようですね」
シュッ
グサッ!
会社員の喉に、ナイフが突き刺さった。
会社員「がっ……!」グラッ…
ドサッ…
女「新聞紙越しに私たちを狙うなんて……」
殺し屋「さてと、この方も窓から捨てときましょう」
会社員「ちっ!」チャキッ
新聞を捨て、銃を向ける。
女「あいつも……私を狙う殺し屋!?」
殺し屋「そのようですね」
シュッ
グサッ!
会社員の喉に、ナイフが突き刺さった。
会社員「がっ……!」グラッ…
ドサッ…
女「新聞紙越しに私たちを狙うなんて……」
殺し屋「さてと、この方も窓から捨てときましょう」
32:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:16:19 :Qj4/TtAF0.net
目的の駅にたどり着いた二人。
殺し屋「んー……のどかでいい場所ですね」
女「でしょ?」
女「さっそく標的を始末しに行きましょうか。案内するわ」
殺し屋「お願いします」
駅員「おやおや、恋人同士、もしかしてデートですか?」
殺し屋「恋人同士だなんて……」
女「ま、そんなところかもねー」
駅員「そうですか」
目的の駅にたどり着いた二人。
殺し屋「んー……のどかでいい場所ですね」
女「でしょ?」
女「さっそく標的を始末しに行きましょうか。案内するわ」
殺し屋「お願いします」
駅員「おやおや、恋人同士、もしかしてデートですか?」
殺し屋「恋人同士だなんて……」
女「ま、そんなところかもねー」
駅員「そうですか」
33:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:18:47 :Qj4/TtAF0.net
駅員「では二人まとめて送ってやろう」
ブオンッ!
殺し屋「下がって!」
ドゴォッ!
殺し屋「斧……!」
女「この駅員も……!?」
駅員「いい反応だ」
駅員「では二人まとめて送ってやろう」
ブオンッ!
殺し屋「下がって!」
ドゴォッ!
殺し屋「斧……!」
女「この駅員も……!?」
駅員「いい反応だ」
35:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:22:15 :Qj4/TtAF0.net
駅員(まずは女を――)
ブオンッ!
ギィンッ!
殺し屋「ぐっ!」
手持ちのナイフで受けるが、受け止めきれるものではない。
殺し屋「ぐあっ!」ドサッ…
駅員「もらったァ!」
斧を振り被る。
駅員(まずは女を――)
ブオンッ!
ギィンッ!
殺し屋「ぐっ!」
手持ちのナイフで受けるが、受け止めきれるものではない。
殺し屋「ぐあっ!」ドサッ…
駅員「もらったァ!」
斧を振り被る。
37:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:25:22 :Qj4/TtAF0.net
ドカッ!
倒れた体勢から、駅員の手首を蹴り上げる。
駅員「ぐっ!」
すかさず近づき、
シュバッ!
頸動脈を切り裂く。
駅員「が、は……っ」ブシュゥゥゥゥゥゥ…
ドチャッ…
殺し屋「ふぅ……久しぶりに肝を冷やしましたね」
女「まさか、駅員になりすましてただなんて……」
殺し屋「斧の扱いも巧みでしたし、殺すには惜しい使い手、といったところでした」
ドカッ!
倒れた体勢から、駅員の手首を蹴り上げる。
駅員「ぐっ!」
すかさず近づき、
シュバッ!
頸動脈を切り裂く。
駅員「が、は……っ」ブシュゥゥゥゥゥゥ…
ドチャッ…
殺し屋「ふぅ……久しぶりに肝を冷やしましたね」
女「まさか、駅員になりすましてただなんて……」
殺し屋「斧の扱いも巧みでしたし、殺すには惜しい使い手、といったところでした」
38:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:29:46 :Qj4/TtAF0.net
殺し屋「ちょっとプライベートな旅行をするだけでこれとは……あなたも大変ですね」
女「でしょ? モテる女は辛いわ」
殺し屋「ですが、おそらく今日はもうあなたを狙う刺客は来ないでしょう」
女「どうして言い切れるの?」
殺し屋「殺し屋としての経験と勘、というやつです」
殺し屋「あの三人の雇い主が同じかバラバラかは分かりませんが、四人目が来る可能性は低いと見ます」
殺し屋「もちろん油断はできませんがね」
女「ふうん、まあいいけど」
殺し屋「あとは指定の場所で標的を始末するだけですが、いかがいたしますか?」
女「じゃあ……あなたの経験と勘を信用しちゃおうかな」
女「せっかく電車に揺られてこんな田舎まで来たんだし、二人で遊ばない?」
殺し屋「かまいませんよ」
殺し屋「ちょっとプライベートな旅行をするだけでこれとは……あなたも大変ですね」
女「でしょ? モテる女は辛いわ」
殺し屋「ですが、おそらく今日はもうあなたを狙う刺客は来ないでしょう」
女「どうして言い切れるの?」
殺し屋「殺し屋としての経験と勘、というやつです」
殺し屋「あの三人の雇い主が同じかバラバラかは分かりませんが、四人目が来る可能性は低いと見ます」
殺し屋「もちろん油断はできませんがね」
女「ふうん、まあいいけど」
殺し屋「あとは指定の場所で標的を始末するだけですが、いかがいたしますか?」
女「じゃあ……あなたの経験と勘を信用しちゃおうかな」
女「せっかく電車に揺られてこんな田舎まで来たんだし、二人で遊ばない?」
殺し屋「かまいませんよ」
39:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:33:19 :Qj4/TtAF0.net
女「見て見て、この川でよく遊んだのよ!」
女「あっ、メダカがいる!」
女「入っちゃおっと!」チャプ…
殺し屋「滑って転んだりしないで下さいよ」
女「大丈夫よ」ヌルッ
女「きゃっ!」バシャーンッ
殺し屋「ほら、いわんこっちゃない」
女「あーあ、びしょ濡れ!」
女「見て見て、この川でよく遊んだのよ!」
女「あっ、メダカがいる!」
女「入っちゃおっと!」チャプ…
殺し屋「滑って転んだりしないで下さいよ」
女「大丈夫よ」ヌルッ
女「きゃっ!」バシャーンッ
殺し屋「ほら、いわんこっちゃない」
女「あーあ、びしょ濡れ!」
41:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:35:08 :Qj4/TtAF0.net
女「えいっ!」バシャッ
殺し屋「ぶっ!」
女「えいっ、えいっ!」バシャバシャッ
殺し屋「よくもやってくれましたね」
殺し屋「そらっ!」バシャッ
女「キャーッ! アハハハッ!」
バシャバシャ…
女「えいっ!」バシャッ
殺し屋「ぶっ!」
女「えいっ、えいっ!」バシャバシャッ
殺し屋「よくもやってくれましたね」
殺し屋「そらっ!」バシャッ
女「キャーッ! アハハハッ!」
バシャバシャ…
42:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:39:00 :Qj4/TtAF0.net
女「この神社、子供の頃よく来たなぁ」
女「夏休みにはいつもここで縁日が開かれてね」
女「たこ焼き食べたり、金魚すくいしたり、楽しかった……」
殺し屋「お参りしていきますか?」
女「ううん、やめとく。もう神様にお願いごとできるような身分じゃないから」
女「じゃあ、そろそろ標的を始末しに行きましょうか」
殺し屋「そうですね」
女「この神社、子供の頃よく来たなぁ」
女「夏休みにはいつもここで縁日が開かれてね」
女「たこ焼き食べたり、金魚すくいしたり、楽しかった……」
殺し屋「お参りしていきますか?」
女「ううん、やめとく。もう神様にお願いごとできるような身分じゃないから」
女「じゃあ、そろそろ標的を始末しに行きましょうか」
殺し屋「そうですね」
44:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:42:14.497 :Qj4/TtAF0.net
殺し屋「これはこれは……立派な山ですね」
女「うん、私の思い出が詰まった山よ」
女「本当はここを汚したくなかったんだけど、ここ以外思い浮かばなかったから」
女「ありがとう……あなたがいなきゃ、きっとここにはたどり着けなかった」
女「それじゃ、標的を始末するわ。自分自身(セルフサービス)でね」
女は懐から毒薬を取り出した。
殺し屋「……」
殺し屋「これはこれは……立派な山ですね」
女「うん、私の思い出が詰まった山よ」
女「本当はここを汚したくなかったんだけど、ここ以外思い浮かばなかったから」
女「ありがとう……あなたがいなきゃ、きっとここにはたどり着けなかった」
女「それじゃ、標的を始末するわ。自分自身(セルフサービス)でね」
女は懐から毒薬を取り出した。
殺し屋「……」
45:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:45:14 :Qj4/TtAF0.net
女「ごめんなさいね。あなたを利用して、ボディガードみたいな真似させちゃって」
殺し屋「いえいえ、私は仕事をしただけです」
殺し屋「標的は“あなた自身”。自分の故郷である“この山で殺したい”、ということでしたので」
殺し屋「私はその状況になるようお膳立てしたまでのこと」
殺し屋「セルフサービスは成り立ってます。謝ることなどありません」
女「優しいのね、あなた」
女「ごめんなさいね。あなたを利用して、ボディガードみたいな真似させちゃって」
殺し屋「いえいえ、私は仕事をしただけです」
殺し屋「標的は“あなた自身”。自分の故郷である“この山で殺したい”、ということでしたので」
殺し屋「私はその状況になるようお膳立てしたまでのこと」
殺し屋「セルフサービスは成り立ってます。謝ることなどありません」
女「優しいのね、あなた」
46:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:48:18 :Qj4/TtAF0.net
女「医者から……余命を宣告されたわ。きっとバチが当たったのね」
女「もう長くは生きられないって分かった時、私は……故郷で死にたいと思ってしまった」
女「子供の頃たくさん遊んだ、私を育んでくれた、この山で……」
女「散々悪さしたくせに最期は故郷で静かに死にたいだなんて、ホント私って最低の悪女だわ」
女「もし、あなたが後で地獄に落ちたら、私に会いに来てよね」
殺し屋「ええ、もちろん」
女「医者から……余命を宣告されたわ。きっとバチが当たったのね」
女「もう長くは生きられないって分かった時、私は……故郷で死にたいと思ってしまった」
女「子供の頃たくさん遊んだ、私を育んでくれた、この山で……」
女「散々悪さしたくせに最期は故郷で静かに死にたいだなんて、ホント私って最低の悪女だわ」
女「もし、あなたが後で地獄に落ちたら、私に会いに来てよね」
殺し屋「ええ、もちろん」
48:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:51:08 :Qj4/TtAF0.net
女「今日一日楽しかったわ」
女「ありがとう、殺し屋さん」ゴクッ
女は毒薬を飲み干し――
まるで眠るように、穏やかな表情で、山に横たわった。
殺し屋「……」
女「今日一日楽しかったわ」
女「ありがとう、殺し屋さん」ゴクッ
女は毒薬を飲み干し――
まるで眠るように、穏やかな表情で、山に横たわった。
殺し屋「……」
49:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 19:54:15 :Qj4/TtAF0.net
殺し屋「仕事完了、と」
殺し屋(しかしながら、私もまだまだプロとして未熟ですね)
殺し屋(なぜなら彼女に――)
殺し屋(依頼はキャンセルして、残りの人生を私と過ごさないか、と言いそうになってしまいましたから)
~END~
殺し屋「仕事完了、と」
殺し屋(しかしながら、私もまだまだプロとして未熟ですね)
殺し屋(なぜなら彼女に――)
殺し屋(依頼はキャンセルして、残りの人生を私と過ごさないか、と言いそうになってしまいましたから)
~END~
52:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします:2020/01/31(金) 20:06:18.646 :QlVd/MUld.net
乙
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