1:以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 01:54:28 :UmIcJ0Uk
男「……寒いから早く戸閉めてくれない?」
雪女「せっかく来てあげたっていうのに何よその態度」
男「お前が来たことで俺の中で燃え盛る熱い思いが冷めたってのに、更に部屋まで冷やされちゃ敵わん。早く閉めろ」
雪女「もうっ、分かったわよ」
男「それと、そこにあるミカン取ってくれると嬉しい」
雪女「はぁ、私をそんな風に扱うの貴方だけよ。これでもこの辺りでは結構名の知れた雪女だって言うのに……よいしょっと」
男「その有名な雪女が炬燵なんかに入って大丈夫なのか? あとお前の足冷たいから伸ばすな」
雪女「うるさいわね、これくらい我慢してちょうだい」
男「……寒いから早く戸閉めてくれない?」
雪女「せっかく来てあげたっていうのに何よその態度」
男「お前が来たことで俺の中で燃え盛る熱い思いが冷めたってのに、更に部屋まで冷やされちゃ敵わん。早く閉めろ」
雪女「もうっ、分かったわよ」
男「それと、そこにあるミカン取ってくれると嬉しい」
雪女「はぁ、私をそんな風に扱うの貴方だけよ。これでもこの辺りでは結構名の知れた雪女だって言うのに……よいしょっと」
男「その有名な雪女が炬燵なんかに入って大丈夫なのか? あとお前の足冷たいから伸ばすな」
雪女「うるさいわね、これくらい我慢してちょうだい」
2:以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 01:56:02 :UmIcJ0Uk
男「俺は平気さ。心配なのは炬燵のなかで丸まってるタマのほう」
タマ「ニャー」
雪女「あら、出てきたわよ? それに元気そうじゃない」
男「寒くてたまらんだとよ」
雪女「へぇ、私の膝の上で頭を撫でられて気持ち良さそうにしているこの姿を見てもそう言える?」
男「タマは誰にでも懐っこいから、そこんところ勘違いしないでもらえる?」
雪女「意味の分からない事で張り合ってくるのやめてくれる?」
男「俺は平気さ。心配なのは炬燵のなかで丸まってるタマのほう」
タマ「ニャー」
雪女「あら、出てきたわよ? それに元気そうじゃない」
男「寒くてたまらんだとよ」
雪女「へぇ、私の膝の上で頭を撫でられて気持ち良さそうにしているこの姿を見てもそう言える?」
男「タマは誰にでも懐っこいから、そこんところ勘違いしないでもらえる?」
雪女「意味の分からない事で張り合ってくるのやめてくれる?」
3:以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 01:56:42 :UmIcJ0Uk
男「腹へったなぁ」
雪女「あっ、そうだ……はい、これ」
男「野菜とキノコか、いつも助かる」
雪女「趣味で作ってるだけし」
男「料理は下手くそなのにな」
雪女「う、うるさいわね……」
男「お前は何か食べたのか?」
雪女「分かってるでしょ?」
男「食べなくても死にはしない事か? 俺が聞きたいのはそういう事じゃないんだけど」
雪女「っ……こ、これで何か美味しいものを作ってください」
男「おう、了解」
男「腹へったなぁ」
雪女「あっ、そうだ……はい、これ」
男「野菜とキノコか、いつも助かる」
雪女「趣味で作ってるだけし」
男「料理は下手くそなのにな」
雪女「う、うるさいわね……」
男「お前は何か食べたのか?」
雪女「分かってるでしょ?」
男「食べなくても死にはしない事か? 俺が聞きたいのはそういう事じゃないんだけど」
雪女「っ……こ、これで何か美味しいものを作ってください」
男「おう、了解」
4:以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 01:57:36 :UmIcJ0Uk
男「さて、料理が壊滅的な雪女の為に何か作ってやるか」
雪女「な、何よ! 早く作りなさいよ!」
男「こわいこわい、これは炬燵でぬくぬくしてる場合じゃない」
雪女「は や く! 行きなさい!」
男「分かったから蹴るな蹴るな……よっと」
雪女「ふんっ」
男「何を作ろうか、タマも少し手伝ってくれ」
タマ「今日は鍋の気分にゃ」
雪女「わっ! 急に大きくなったらビックリするじゃない」
タマ「にゃあ」
男「さて、料理が壊滅的な雪女の為に何か作ってやるか」
雪女「な、何よ! 早く作りなさいよ!」
男「こわいこわい、これは炬燵でぬくぬくしてる場合じゃない」
雪女「は や く! 行きなさい!」
男「分かったから蹴るな蹴るな……よっと」
雪女「ふんっ」
男「何を作ろうか、タマも少し手伝ってくれ」
タマ「今日は鍋の気分にゃ」
雪女「わっ! 急に大きくなったらビックリするじゃない」
タマ「にゃあ」
5:以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 01:58:58 :UmIcJ0Uk
男「俺は魚を捌くからタマは野菜を切ってくれ」
タマ「分かったにゃ」
男「鍋、鍋はどこだ……」
タマ「その棚の奥にゃ」
男「助かる」
タマ「にゃぁ……水がちべたい、炬燵に戻りたくなってきたにゃ」
男「そんな事したら雪女と一緒に晩御飯作っちゃうぞ」
タマ「それはいかんにゃあ……」
雪女「ちょっと、聞こえてるんですけど」
タマ「にゃ……」
男「タマ、炬燵で食べる鍋を想像してみろ……どうだ、幸せじゃないか? 今の寒さも耐えられそうじゃないか?」
タマ「頑張るにゃ」
雪女「男、カセットコンロはどこかしら?」
男「いま出すから待っててくれ」
男「俺は魚を捌くからタマは野菜を切ってくれ」
タマ「分かったにゃ」
男「鍋、鍋はどこだ……」
タマ「その棚の奥にゃ」
男「助かる」
タマ「にゃぁ……水がちべたい、炬燵に戻りたくなってきたにゃ」
男「そんな事したら雪女と一緒に晩御飯作っちゃうぞ」
タマ「それはいかんにゃあ……」
雪女「ちょっと、聞こえてるんですけど」
タマ「にゃ……」
男「タマ、炬燵で食べる鍋を想像してみろ……どうだ、幸せじゃないか? 今の寒さも耐えられそうじゃないか?」
タマ「頑張るにゃ」
雪女「男、カセットコンロはどこかしら?」
男「いま出すから待っててくれ」
6:以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 02:00:57 :UmIcJ0Uk
「「「ごちそうさまでした」」」
男「あぁー、食った食った」
雪女「食べて直ぐ横になると牛になるわよ?」
男「迷信だし、それにここから炬燵で眠るまでが最高の流れなんだ」
雪女「ふーん、じゃああなたも"アイツ"と同じ道を辿っていくのね……」
男「あいつ? 同じ道ってなんだよ」
雪女「気にしなくていいわ」
男「お前、まさか牛になった奴を見たことがあるのか? え、これって迷信だろ?」
雪女「……そうね」
男「そういう反応をするのはやめてくれ、怖くなってきた」
雪女「本当に気にしなくていいわ。えぇ、本当に……あら、急に起き上がってどうしたの?」
男「ミカンを食べようと思ってな」
タマ「ニャー」
男「うるさいぞタマ」
「「「ごちそうさまでした」」」
男「あぁー、食った食った」
雪女「食べて直ぐ横になると牛になるわよ?」
男「迷信だし、それにここから炬燵で眠るまでが最高の流れなんだ」
雪女「ふーん、じゃああなたも"アイツ"と同じ道を辿っていくのね……」
男「あいつ? 同じ道ってなんだよ」
雪女「気にしなくていいわ」
男「お前、まさか牛になった奴を見たことがあるのか? え、これって迷信だろ?」
雪女「……そうね」
男「そういう反応をするのはやめてくれ、怖くなってきた」
雪女「本当に気にしなくていいわ。えぇ、本当に……あら、急に起き上がってどうしたの?」
男「ミカンを食べようと思ってな」
タマ「ニャー」
男「うるさいぞタマ」
7:以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 02:02:47 :UmIcJ0Uk
男「あ、あのさ」
雪女「なに?」
男「さっき言ってた"アイツ"って……どんな奴だったんだ?」
雪女「どんな奴って?」
男「お前と、その……どういう関係だったのか気になって」
雪女「あー……」
男「言えないとかだったら流していいからな。お前は長生きしてて、俺の知らないような事だって何回も経験しているだろうし」
雪女「別にいいわよ? だって嘘だし」
男「嘘? 何が?」
雪女「アイツ云々、あれは寝転がっているあなたを起こすためについた嘘」
男「……」
雪女「あら、また寝ちゃうの? ふふっ、牛になってもいいのかしら」
男「もう、いっそ俺のことを牛にしてくれ」
男「あ、あのさ」
雪女「なに?」
男「さっき言ってた"アイツ"って……どんな奴だったんだ?」
雪女「どんな奴って?」
男「お前と、その……どういう関係だったのか気になって」
雪女「あー……」
男「言えないとかだったら流していいからな。お前は長生きしてて、俺の知らないような事だって何回も経験しているだろうし」
雪女「別にいいわよ? だって嘘だし」
男「嘘? 何が?」
雪女「アイツ云々、あれは寝転がっているあなたを起こすためについた嘘」
男「……」
雪女「あら、また寝ちゃうの? ふふっ、牛になってもいいのかしら」
男「もう、いっそ俺のことを牛にしてくれ」
8:以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 02:04:14 :UmIcJ0Uk
雪女「そろそろ帰るわね」
男「泊まってもいいんだぞ?」
雪女「あなたに襲われるなんて御免よ」
男「雪女なんか襲わねぇよ。それに俺は純粋な気持ちでお前を心配してるんだけど」
雪女「私は妖怪、何かに出会い襲われたとしても相手の方が勝手に怯えて逃げ出すわ。それに……」
男「それに?」
雪女「いいえ、何でもない」
男「……そうかい、気を付けて帰れよ」
雪女「えぇ、また」
雪女「そろそろ帰るわね」
男「泊まってもいいんだぞ?」
雪女「あなたに襲われるなんて御免よ」
男「雪女なんか襲わねぇよ。それに俺は純粋な気持ちでお前を心配してるんだけど」
雪女「私は妖怪、何かに出会い襲われたとしても相手の方が勝手に怯えて逃げ出すわ。それに……」
男「それに?」
雪女「いいえ、何でもない」
男「……そうかい、気を付けて帰れよ」
雪女「えぇ、また」
9:以下、名無しが深夜にお送りします:2020/03/02(月) 02:05:44 :UmIcJ0Uk
雪女「はぁ……」
雪女「人と妖怪。そして、私は雪女」
雪女「彼の温かさと私の冷たさは互いの体を蝕んでいくかもしれない。なのに、それなのに……どうして私は、彼を好きになってしまったのかしら」
雪女「はぁ……ヒトが羨ましい」
「自分が恨めしい」
雪女「はぁ……」
雪女「人と妖怪。そして、私は雪女」
雪女「彼の温かさと私の冷たさは互いの体を蝕んでいくかもしれない。なのに、それなのに……どうして私は、彼を好きになってしまったのかしら」
雪女「はぁ……ヒトが羨ましい」
「自分が恨めしい」
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