男「コロナを侮るな！」

男「感染力の高さから都市は封鎖、世界経済は終わり大恐慌がくる」

テドロス「そんなわけアリマセーン。いまは2020年デスよ？」

男「それ以外にも」

テドロス「この男をつまみだしナサイ！」

男「クソっ」

-男の時代
男「やはりテドロスルートは無理か…」　　

男「ならばまたトランプで試すか」

男「時間座標2020年2月　場所をホワイトハウスに設定」

男「行くぞ…ぐあっ……」


トランプ「な、何だお前は！」

男「トランプ大統領…世界のリーダーシップを担うもっとも発言力のある男…」

男「頼む、聞いてほしい話がある」

トランプ「なに！？」

トランプ「このウイルスのせいで我がアメリカ合衆国が破滅するだと？」

トランプ「ニューヨークで感染爆発？」

トランプ「……バカにするな」

トランプ「アメリカの医学力をなめないでほしい」

トランプ「……さぁ射殺されたくなければ早く立ち去れ自称未来人」

男「くそっ、やはり説得ではだめか」

男「ならば、もうこの手しかない。人類にはもうチャンスがないんだ」

男「テドロス、トランプ、習近平、安倍ここに立て」

トランプ「何をする気だ」
安倍「我々を拉致して一同に集めるなど、何者ですかあなたは」
習近平「粛清するぞクソガキ」
テドロス「……ふむ」

男「未来の世界をみせてやる」
男「お前たちの選んだ行動の先にある世界をな」

トランプ「こ、ここは！なんだこの廃墟の街は！どこまでも続いているぞ」

安倍「まるで特撮映画の世界みたいですねぇ」

習近平「おい、こ、ここは北京だ！　ガキ！ここは北京じゃないのか！？」

男「あぁ。2045年の北京の姿だ」

習近平「な！？」

安倍「なにがあったのです！」

テドロス「コロナはただのウイルスだ！」

男「コロナで世界経済は死に絶え大恐慌がおそった、そして10年以上の時がたちようやくコロナウイルスが終息しかけたとき」

男「世界戦争がはじまった」

男「はじめにアメリカが中国への制裁に出た」

習近平「貴様トランプ！」

トランプ「まて！俺はしらん！」

安倍「まってください未来の話ですよね？　私達はもう任期をとうに終えて」

男「いやお前たちは再選している」

男「コロナで倒れかけた国家に対する責任をとるだとかなんとかいって金をばらまいてな」

トランプ「俺が北京を攻撃した？」

男「最初はアメリカと中国とWHOは責任転嫁ばかりをしていた」

男「しかしやがて2国間での全面戦争に発展」

男「日本やイタリア、フランス、スペインはアメリカについた」

トランプ「EUが俺たちの味方！HAHAHA」

男「いや、EUはその前に解体している」

男「その際に起きた軋轢と経済ショックも世界戦争の種火のひとつだ」

男「2国間戦争から次々と両国の陣営に世界が参戦」

男「全世界50カ国を巻き込む大戦争になった」

男「そして幕引きとなったのはアメリカの核攻撃」

トランプ「！」

男「中国から報復の核攻撃」

男「ワシントンDC、ニューヨーク、北京、上海、ロンドン、パリ、ローマ、ニューデリー、ソウル、そして東京」

男「首都や大都市が次々に核攻撃によって消滅し、世界は機能をうしなった」

安倍「そんな馬鹿なことが…」

トランプ「ええい！はったりだ！」

トランプ「たかが風邪ごときで」

習近平「や、やはり…ただの風邪ではない」

習近平「私は知っていた……あれが凶悪なウイルスだということを」

トランプ「なに…？まさか貴様あの噂は」

安倍「どういうことです。私にもわかるように教えてください」

習近平「……」

習近平「武漢にはウイルス研究施設がある」

習近平「あくまで人類が疫病を克服し繁栄するために必要な研究だ」

習近平「しかし昨年の秋頃にあるトラブルがあった」

男「というと、コロナウイルス感染者が確認される前ですね？」

習近平「あぁ…何者かが忍び込み、研究資料を持ち出した」

習近平「それがCOVID19と呼ばれるコロナウイルスの原型となるものだ」

安倍「まさか…」

トランプ「……産業スパイか？」

習近平「ああ！貴様の国のなトランプ！」

トランプ「なに！？俺はしらんぞ」

男「トランプ大統領。アメリカでは2020年初頭、例をみないほどにインフルエンザによる肺炎死者が多かった」

男「いまとなっては確認しようもないが、アレはCOVID19の原型によるものではないのか」

トランプ「……っ、た、確かに。我が国はコロナウイルスなど歯牙にもかけぬほどインフルエンザの猛威にさらされている」

習近平「研究者によるともともとCOVID19は弱性ウイルスだ」

習近平「症状はかるく、致死率もひくい」

習近平「しかしそれが意図的に何者かによって変化されてたとしたら」

男「その何者かは、まずヨーロッパでテストした」

男「結果はすぐに出てパンデミックから数日で数千人の死者。あっという間に都市はロックダウンし、経済に大打撃を与えた」

トランプ「……」

安倍「トランプ大統領…」

男「そしてその次に本命であるアメリカに完成型COVID19、我々の歴史ではCOVID20と呼んでいるが、それを放ち、蔓延させた」

トランプ「！！」

男「みなさん、これはウイルスを用いた世界的テロです」

男「しかし初動の対応によっては被害を最小限にし、最悪のシナリオには発展しなかったはず」

男「ここにいるあなた達は食い止めることができなかった」

安倍「なんということでしょうか…」

安倍「国民にマスクを配ろうと議会している場合じゃない！」

トランプ「おい……どうすれば未然に防げる」

習近平「我々にできることは…」

男「経済を止めずに死者をへらす最大の方法があります」

トランプ「なんだ教えてくれ！」

男「それは」

男「最も無能であり人類の戦犯であるこの男を、ここで殺し過去に返さない事です」

男「テドロス」

テドロス「オウ、それは辛辣デース」

テドロス「納得イキマセーン」

トランプ「まて、この男はWHOの長官だぞ。失うの世界にとっての損失だ」

男「だからですよトランプ大統領」

男「それだけにこの男の発言は重く、人々を油断させ混乱に貶めた罪はおもい」

安倍「たしかに、感染力がよわいからと聞いていたので、後手にまわってしまいましたねぇ」

男「テドロス。なぜ俺がお前をこの未来に呼んだかわかるか」

テドロス「？？　それは私がWHOのえらーい人で」

男「ちがう、お前にはもはやあの過去の世界でできることない」

男「お前の発言はデタラメだったとして世間の求心力を失う」

男「あの世界をこれから率いていくのは国のトップであるこの三人だ」

男「……なのになぜ、俺がこの場にお前を呼んだのか、お前にはわかるだろう？？」

テドロス「……」

トランプ「どういうことだ」

習近平「まさか…貴様ァ」

男「そうだ。こいつが元凶だ」

男「とある未来では、テドロスは歴史に汚名を刻んだ」

男「コロナウイルスをとめることができなかった無能としてな」

男「しかしその未来でのコロナショックは、あくまで歴史の教科書の数行に刻まれる程度の小さな出来事だった」

男「だからこいつは、子孫を使い過去を改変して惨事にし、自分の尊厳と未来を守った」

男「そうだな、テドロス」

テドロス「……」

男「武漢の研究所からウイルスを持ち出したのも、ウイルスを凶悪化させたのも、都市に放ったのも」

男「すべてお前の差し金だ」

男「そしてその凶悪なウイルスを大したことないとし、世界に発信して水際対策を大きく遅らせて致命的な蔓延につなげた」

テドロス「……」

男「核戦争になれば個人の名など歴史の闇に消える」

男「いやあるいはコロナをとめようとした英雄的組織の長として……」

テドロス「そこまでわかっていたか」

トランプ「テドロス貴様！」

テドロス「おかしいな。この未来には私の資料など残ってないはずだが」

男「これでもお前とは初対面であって初対面ではないからな」

男「何度も会って、あらゆる質問をした。ここにいる全員にだ、そして黒幕を探っていた」

男「世界をこんなふうにした犯人が必ずいるはずだと」

男「なぜなら、何者かの悪意がない限り、人間はここまで愚かな選択などしないからだ！」

男「俺たちの未来はこいつによって破滅した！」

男「トランプ！習近平！安倍！お前たちの世界もこうなる」

トランプ「許さんぞテドロス！」

習近平「殺してやる」

テドロス「ここまでか。そうだ」

テドロス「すべて私の命令によるものだ」

テドロス「まさかウイルスひとつでここまでの事態になるとは思わなかったがな」

テドロス「さぁ、煮るなり焼くなり好きにしろ」

トランプ「ならば遠慮なく引き金をひかせてもらう。我が国を混乱に陥れた罪を償え」

習近平「その前に俺が拷問にかけていいか？」

安倍「みなさん、元の2020年に戻ったらなにします？」

トランプ「至急戒厳令だ」

トランプ「ほんのしばらくの間経済はとまるだろうが、そんなもの補償すればいい」

トランプ「一時的な経済不況など、この世界のようになるよりはマシだ」

安倍「そうですね。法整備をすすめて東京もロックダウンしなくては」

習近平「中国はマンパワーを使ってマスクや医療品、医療機器を増産する」

習近平「余れば貴様らの国にも届けてやる、クハハ」

男「三人とも、戻るぞ」

男「ぐあ……」

男(ここに来て……頭痛が…)

男(まさか、もう、飛べないのか俺は……？)

男(だめだ、幾千のループを経て、ようやくここまでたどり着いた)

男(あと一回でいい……頼む)

安倍「大丈夫ですか？まさかコロナ！？」

トランプ「おい、早く帰らせろ」

男「飛ぶぞ……」ﾋﾞｭﾝｯ


-2021年　東京

安倍「えーこの度は東京オリンピック2020にお集まりいただき誠にありがとうございます」

安倍「昨年、世界が手を取り合い、あの困難な苦境に立ち向かってから早一年」

安倍「ようやく我々はこの晴れやかなステージに立つことができました」

安倍「皆様の尽力とご協力、重ねて感謝いたします」

安倍「さて開会前にもうひとつだけ」

安倍「コロナショックに置きましては、多大な犠牲者が出てしまい」

安倍「誠に残念であり、哀悼の意をここに表します」

安倍「しかし絶望の日々のなかにも確かな希望はありました」

安倍「その希望は、いまここにある未来へと繋がっています、そしてさらに先の未来へとも……」

安倍「これはすでに亡くなったとある青年の話なのですが一一一


end