チノ（そもそも、いつの間にクラスの人達はここまで仲良くなったんですか？）

チノ（まだ２週間しか経ってないのに仲良くなり過ぎでは？）

チノ（それに、最初に私に話しかけてきた人たちも今じゃ話しかけてこなくなりましたし……）ﾌｩ

チノ（あらためてマヤさんメグさんの存在の大きさを思い知りました……）

チノ（早く帰りたいですね……）

～放課後～

チノ（ふぅ、疲れました……）

クラスの人A「じゃあ駅前の西口集合ね！」

クラスの人B「楽しみー！」

クラスの人C「じゃあまた後でー！」

チノ（…………………クラスの人達は帰りました）

チノ（私も帰りますか）

チノ（ふぅ、なんか新しい学校楽しくないです……高校ってもっとキラキラしたイメージだったのですが）

高校生らしきの集団「ガヤガヤガヤガヤ」

チノ（ん……クラスの人達ですか）ｻｯ

チノ（…………隠れる必要ないのについ反射的に隠れてしまいました……）

チノ（しかも違う学校の人達の制服でしたね……おや？あれは……）

マヤ「ん？あれは……おーーい！チノーーー！」

メグ「あっ！チノちゃん」

チノ「マヤさん、メグさん……！」

チノ（マヤさんメグさんはふたりとも同じ学校に進学したんですよね……）

チノ（私も本当はその予定だったのですが、受験に失敗したばかりにあんな高校へ……）

マヤ「いやー！久しぶりだねーチノ！会いたかったー！」

メグ「あはは、マヤちゃんったら１ヶ月前にもあってるのにー」

メグ「でも、私も会いたかったよ、チノちゃん」

チノ「マヤさん、メグさん……」ｳﾙｯ

チノ（うぅ、やっぱりこの二人は最高のともだちです……）

知らない人「えっ？なになにー？ｗマヤちゃんメグちゃんの知り合いー？ｗ」

チノ「は……はい……」

マヤ「あぁそうそう、同じ中学校出身のチノだよ！私達３人、中学だとずっといっしょだったんだ！」

知らない人「へぇ～！」

マヤ「あはは、そうそう、私達これから親睦会で街に遊びに行く予定だったんだよね～チノの学校もない？そういうの？」

チノ「え゛っ……あ、あぁー、そ、そういえば先週にありましたねー……」

マヤ「へぇー！入学して数日で親睦会なんて、チノのクラスも仲がいいんだね！」

マヤ「チノって自分からグイグイ行くタイプじゃないから、もしかしたら学校に馴染めてないかも、なんて心配したぞー！？なんてね！」

メグ「もぉー、マヤちゃーん？」

チノ「ははは………」

チノ（まさにそのとおり馴染めていません……なんて今更言えません……）

マヤ「じゃ、そういうことだから！まったねー！」

メグ「今度休みの日にでもまた集まろうね」

知らない人「じゃあね、チノちゃーん！ｗ」

マヤ「コラー！ｗ知り合って間もないのに馴れ馴れしいぞー！ｗ」

チノ「は、はい……ではまた……」

チノ（マヤさんメグさん、問題なくクラスに馴染めているようですね……）

チノ（確かにマヤさんは知らない人にでも怖気づかずに接することができますし、メグさんもマヤさんと一緒なら馴染みやすいでしょう）

チノ（しかし……なんというか、マヤさんもメグさんも非常にキラキラしていました……いかにも青春というか、いかにも高校生というか……）

チノ（私みたいな灰色の高校生活とは大違いですね……）

チノ（ううぅ……100回くらいは後悔しましたが……それでも……）

チノ（それでもやっぱりあっちの高校行きたかったです…‥）ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

チノ（……あっ、涙が……いけません、ココアさんに心配をかけてしまいます）ｸﾞｽｯ

～次の週～

クラスの人A「いやー！先週のカラオケ楽しかったねー！」

クラスの人B「楽しかったー！Cちゃんが歌上手くてびっくりしたー」

クラスの人C「え？い、いやー、あてぃしは結構カラオケ好きだしー」

クラスの人D「私も楽しかったー！また行こうねー！」

クラスの人E「うん」

チノ（結局あのあと無事にカラオケ行ったんですね……）

チノ（クラスの人Aさん（名前知らない）、最初は話しかけてくれたのにもうはなしかけてくれなくなりましたね……）

～回想・入学初日～

クラスの人A「私の名前はA！〇〇中学出身なんだー！よろしくねー！」

チノ「は、はぁ……私は××中学出身の香風チノです……」

クラスの人A「ハハハー、敬語じゃなくていいよ！同級生なんだしさ！ｗ」

チノ「は、はぁ……ですがこれは職業病みたいなもので……中学の時から親しい人にも敬語を使っており……」

クラスの人A「えっ！チノちゃん、中学からずっと同級生にも敬語なの！？ウケる～ｗｗｗ」

クラスの人A「あっB！ねぇねぇ、聞いてよ、チノちゃんがさｗ」

クラスの人B「えーなにそれｗウケるｗｗｗ」

チノ（べ、別にウケを狙ったわけじゃないですが……敬語を使っていたらウケました……）

チノ（高校生からは普通にため口でしゃべるのもありかと思いましたが……やっぱり敬語でいきましょうかね……？）

チノ（こっちのほうが口に馴染みますし）

～回想終わり～

チノ（入学初日はAさんとあんなに喋っていたのに……）

チノ（気づいたら誰も話しかけてくれなくなりました……初日はあんなにフレンドリーだったのに……）

チノ（気づけば、入学式から数週間にも関わらずもう私をおいてグループが形成されてきています……）

チノ（それに伴って私が一人でいる苦痛も増してきましたね……）

チノ（とりあえず寝たふりをしてやり過ごしますか……）

～次の週・体育の授業～

体育教師「よーし、今日はサッカーだ！２人で組んでパスの練習をするぞ！」

チノ（え゛っ……クラスに馴染めていない私に追い打ちをかけるような仕打ちですね……）

チノ（もしかしたら先生は、こういうイベントで私達の親睦を深めようと思っているのかもしれませんが）

チノ（だとしたらもう遅いです）

チノ（かと言ってやらないわけにはいけません……えーと……入学初日に声をかけてくれた……名前を忘れました……）

チノ「あ、あの……もしよろしければ私とやりませんか……」ﾂﾝﾂﾝ

クラスメートA「えっ！？私！？あー……いや、ごめんねー！私、Bとやるからー…」

チノ「そ、そうですか……わかりました……」ｼｮﾎﾞﾝ

チノ（うぅ、唯一のつてだったAさんに断られてしまいました……）

チノ（これではだれとやればいいんでしょう……）

体育教師「おっ！香風やる人いないのかー！？なら、先生とやるか！」

チノ（そ、そこまで大きな声で言わなくても……）

クラスの人「ｸｽｸｽ……ｸｽｸｽ……」

～５月中旬、週末～

チノ（うぅ……結局あのまま馴染めないまま……どんどん状況が悪化していませんか……？）

クラスの人A「またカラオケ行かない？」

クラスの人B「いいねー前も楽しかったし！」

クラスの人D「私も行きたい！」

チノ（またカラオケですか……この人達どれだけカラオケ好きなんですか……）ﾔﾚﾔﾚ

チノ（しかし！出遅れた私が馴染むチャンスでもあります！）ｷｭﾋﾟｰﾝ

チノ「あ、あの、よろしければ私も一緒に……」

クラスの人A、B、D「え゛っ」

チノ「え……？」

クラスの人A「あーいやー、なんていうかもうだんだんメンツ決まってきちゃってるしさーｗｗｗ」

クラスの人A「チノちゃん私達とそこまで喋ってないしさ」

チノ（えっ……初日にあんなに親しく喋ったじゃないですか）

クラスの人A「それにチノちゃんってずっと敬語だしさ、私達とぶっちゃけ仲良くする気そこまでないっしょ！？」

クラスの人B、D「ハハハーｗｗｗｗ」

チノ「そ……そんなつもりは……」

チノ（わ、私がそんなふうに思われていたなんて……）

～放課後～

クラスの人A「じゃあまた駅前集合でいいかなー？」

クラスの人B「了解ー！時間とかカラオケ店も前と一緒でいいよねー！」

クラスの人D「楽しみー！」

チノ（…………結局私は混ざれませんでしたか……）

チノ（誤解も混ざっていましたが、あそこまで言われて混ざるほどの積極性は私にはありません……）

チノ（…………………………………………………………）ｸﾞｽｯ

チノ（…………………………………帰りましょう）

チノ（………………………………………）ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

チノ（どこで間違ってしまったのでしょう……）

チノ（おそらく、馴染むチャンスはいくらでもあったはずです……）ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

チノ（入学してして初めて皆さんがカラオケに行ったときも、あのときならまだ混ざれたはず……）

チノ（初日のあの会話をもっと盛り上げれば、あるいはもっと色んな人に話しかければ状況は違っていたでしょうか……）ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

チノ（あるいは、マヤさんメグさんと同じ学校に行っていれば……？）

チノ（………………………………………）ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

チノ（あるいは、産まれてきたところから……）

チノ（………………………………………）ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

トラック「ﾌﾞｰｰｰｰｰｰﾝｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

チノ（トラックが国道を走っています……）

チノ（あの前に飛び出せば、この苦しみから逃れられるのでしょうか……？）

チノ（……あるいは、人生をやり直せるのでしょうか……？）

チノ（……なんでもいいです、この苦しみから開放されるならば……）

チノ（さようなら、ココアさん……）

トラック運転手「！！！！！！！！！？？？？？？？？？？」プップｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗプーｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗププププパパパパパパｗｗｗｗｗｗｗ

トラック「キキーーーーーーーーーッ」

トラック運転手「……ッハァッ！ハァッ！ハァッ！」

トラック運転手「アブネーだろクソジャリがぁ！道路にいきなり飛び出してきて何考えてんだクソジャリがぁ！」

トラック運転手「死にてーなら一人で死にやがれァホンダラがぁ！」

トラック運転手「死ねチノ！！！」

～完～