炭治郎「お館様大丈夫ですか？」

耀哉「問題ないよ炭治郎」

炭治郎「難しい話でしたね」

炭治郎「政府は俺達に何を要求しているのですか？」

耀哉「帯刀をやめろといっているのだろう」

炭治郎「そんな、刀がなければ戦えない！」

あまね「ただいまー！見てーヴィトンのバッグ買っちゃった！」

耀哉「……」

炭治郎「びとん？」

あまね「炭治郎、いたのね」

炭治郎「その洋物のバッグは？」

あまね「買ったのよ」

炭治郎「そのバッグからは金のにおいがする」

炭治郎「鬼殺隊では買えないような金銀財宝のにおいだ」

あまね「下品な子ね」

炭治郎「お館様、特権とは本当に帯刀だけですか？」

耀哉「そうだよ」

炭治郎「失礼！」ガサッ

あまね「何しているの？」

耀哉「人を呼べ」

炭治郎「なんだこれは！」

炭治郎「鬼殺隊は非課税と書いてあるぞ！」

耀哉「炭治郎、君は行政のことがよくわかっていない」

耀哉「非課税は正当な権利だ」

炭治郎「本当に鬼殺隊の特権は帯刀だけなんですか？」

槇寿郎「どうした？」

耀哉「炭治郎が秘密を知ってしまってね」

槇寿郎「紫外線で鬼を殺せる情報を知ったか」

槇寿郎「なら殺すしかないな」

炭治郎「鬼が殺せる？」

耀哉「喋りすぎだ」

炭治郎「鬼が殺せるとはどういうことですか！？」

耀哉「もう話すしかないね」

槇寿郎「こいつは確か義務教育も受けていないだろう」

槇寿郎「朝鮮部落出身か？」

炭治郎「何を言っているかわからない」

槇寿郎「こいつに話したところで理解できんぞ」

耀哉「鬼が日光に弱いのは知っているね」

炭治郎「はい」

耀哉「日光のエネルギーの中には紫外線という要素が入っているんだ」

炭治郎「線？線が入っているのですか？」

耀哉「君は紫外線を鬼を殺す力と理解してくれればいい」

炭治郎「……その紫外線がどうしたんですか？」

耀哉「このし紫外線は人工的に作り出せるんだ」

炭治郎「は？」

炭治郎「鬼を殺せる紫外線を作れる？」

耀哉「そうだよ」

耀哉「量の問題だ」

耀哉「紫外線は我々人間にとっても有害だが、大量に浴びなければ問題ない」

耀哉「だが鬼は紫外線に弱く人間より耐性が低い」

耀哉「だから夜に降り注ぐ紫外線の量なら問題ないが、日光に含まれる紫外線を浴びると死ぬのだ」

炭治郎「……」

炭治郎「じゃあ、紫外線を鬼に当てれば死ぬんですね」

耀哉「そうだ」

炭治郎「じゃあそれで鬼を倒しましょう！」

耀哉「ダメだ」

炭治郎「なぜですか！？」

槇寿郎「俺達に与えられている特権がなくなるだろうが」

炭治郎「特権ってなんですか！？」

槇寿郎「俺達は政府から補助金や非課税などの特権を受けているんだ」

炭治郎「金を貰っているのか！！？」

炭治郎「その金でそのバッグを買ったのか！？」

あまね「欲しかったのよ」

炭治郎「黙れ！！！」

炭治郎「バカなことを言うな！」

炭治郎「鬼を殺せるなら殺した方がいいに決まってる！」

槇寿郎「お前だって仕事を失うことになるんだぞ」

炭治郎「構わない！」

槇寿郎「構わない？何が構わないんだ！？」

炭治郎「別の仕事をすればいい！」

槇寿郎「クソガキが！！！」

耀哉「……炭治郎、世の中はそんなに簡単ではないんだよ」

耀哉「日本人が朝鮮に植民していることは知っているね？」

炭治郎「植民？」

槇寿郎「ダメだこいつは頭が悪すぎる」

耀哉「簡単に言うと、日本を耕すところがなくなったから外国を耕しに行っているんだよ」

炭治郎「耕すところならいくらでもある！」

炭治郎「野山を切り開けばいい！」

耀哉「そうなると林業はどうなるんだい？」

炭治郎「林業？」

耀哉「炭治郎、冷静になって話をよく聞くんだ」

耀哉「日本は6000万人の人口を維持するだけで精一杯なんだ」

耀哉「この数が多くなると食い扶持減らしに朝鮮だけではなく、アメリカやブラジルに移民せざるを得なくなる」

炭治郎「なぜですか？」

槇寿郎「経済学上そうなってんだから仕方ねーだろ」

槇寿郎「これでも工業化が進んで江戸時代より人口は倍増えてんだ」

炭治郎「ならその工業化をもっと進めればいい！」

槇寿郎「政府はそれをやっているが需要がないところに供給を増やしてもデフレが進み赤字が増えるだけだ」

炭治郎「さっきから何を言っているのかさっぱりわからない」

炭治郎「人が増えるのが悪いことなら、子供を産まなければいい　一人っ子政策だ！」

耀哉「現在の医療では早世の確立も高く」

耀哉「世継ぎを残すためにはどうしても子だくさんでなければならないんだ」

炭治郎「じゃあ移民すればいい！」

槇寿郎「ならお前がブラジルに行け」

炭治郎「行かない！俺は日本人だ！日本で生きる！」

槇寿郎「他人には行けというのに自分は行かないのか？」

炭治郎「……」

耀哉「鬼殺隊という組織を維持することで」

耀哉「国からお金をもらうことで日本にいられる人々を増やしているんだよ」

耀哉「他にも帯刀を認めさせることで鍛冶屋の利権も守っているんだ」

炭治郎「詭弁だ！」

炭治郎「鬼を全部殺してしまえば鬼殺隊はいらない！」

炭治郎「そうなれば人々から巻き上げた金を奪わなくてよくなる！」

耀哉「困るのは下級の隊士だ」

耀哉「私たちは旅籠などを経営していて、上の方の利権は守られている」

耀哉「しかし政府からの補助金がなくなれば、職を失うのは下級の隊士たちだけなんだ」

耀哉「我々は非営利だ」

炭治郎「びとんのバッグを買っているのにか！？」

あまね「安いのよこれ」

炭治郎「嘘をつくな！」

炭治郎「このことは鬼殺隊のみんなに話す！」

耀哉「炭治郎、落ち着け、我々は鬼の数の管理をしているんだ」

耀哉「鬼が増えすぎた場合は政府と協力して、紫外線を使って鬼を倒すとの密約がある」

炭治郎「密約ではなく今すぐ紫外線を使えばいい！」

炭治郎「では！」

槇寿郎「禰豆子はどうするんだ？」

炭治郎「禰豆子は関係ない！」

加藤「どうだった鬼殺隊は？」

片岡「行政改革を受け入れるつもりはないようです」

加藤「そうか」

片岡「それと、やつらの隠が共産主義者と接触したとの情報も入ってきています」

加藤「ぐぬぬ！」

加藤「やつらめこちらが行政改革をしようとすれば共産主義者に刀等の武器を流し」

加藤「内乱を誘致するということか！」

片岡「あれだけの武装勢力が蜂起すれば被害は甚大ですからな」

加藤「関東大震災さえなければ今頃は解体できていたものを！」

片岡「予算が整うのを待ちましょう」

しかしこの予算が確保できることはなかった
世界恐慌と十五年戦争が待っていたからである
鬼殺隊の利権が解体されるのは戦後を待つこととなる

炭治郎「聞いてくれ善逸！伊之助！」

善逸「どうしたんだよ炭治郎」

炭治郎「鬼殺隊は」

鎹鴉「炭治郎ト禰豆子ガ裏切リ！」

善逸「え？」

炭治郎「何を言っているんだ！？俺は裏切ってない！」

鎹鴉「禰豆子ガ隊士ヲ殺シ！炭治郎ガ逃走ヲ幇助！」

鎹鴉「至急確保サレタシ！」

善逸「炭治郎」

炭治郎「ウソだ！禰豆子はそんなことしない！」

伊之助「確保しねぇとな」

炭治郎「騙されるな伊之助！」

炭治郎「違う、鬼を殺す方法があって！」

炭治郎「お館様はそれを隠しているんだ！」

善逸「鬼を殺す方法？」

炭治郎「紫外線だ！」

善逸「紫外線ってなんだよ頭おかしいんじゃねーの？」

炭治郎「信じてくれ善逸！善逸ならわかるはずだ！」

善逸「わからないよ」

伊之助「とにかく確保だ」

伊之助「ウソかどうかはそのあとわかることだ」

善逸「そうだな、抵抗しないでくれ炭治郎」

善逸「禰豆子ちゃんはどうなるかわからないけど、お前のことは命だけは助かるように頼んでやるから」

善逸「抵抗しないでくれよ炭治郎」

炭治郎「洗脳されているのか！？」

伊之助「がー！！」

炭治郎「クソッ！」

バッカーン！

禰豆子「うっ！」

炭治郎「禰豆子！」

伊之助「お前がよけるから禰豆子が出てきたじゃねーか！」

炭治郎「やめてくれ伊之助！鬼殺隊は血税だって奪っているんだ！」

伊之助「だからそれはお館様に言え！」

隠「うーい！」

炭治郎「隠か！？」

隠「準備！」

炭治郎「なんだあのカラクリは……」

炭治郎「紫外線か！？」

炭治郎「禰豆子逃げろ殺される！」

禰豆子「？」

隠「照射！」

炭治郎「禰豆子射線に入るな！動け！動いてくれ！日光がくる！」

善逸「日光って、全然光ってねーじゃん」

禰豆子「ぎゃあああああああああああああああああああああ」

炭治郎「禰豆子！！！」

善逸「え？」

伊之助「おい、禰豆子が死んだぞ」

炭治郎「禰豆子！」

炭治郎「禰豆子どこ行ったんだ！」

炭治郎「禰豆子！」

善逸「今のって鬼を殺す装置？」

隠「禰豆子を殺す装置だ、鬼を殺す装置じゃない」

隠「禰豆子の血や髪は手に入っていたから、万が一のときのために開発していたんだ」

善逸「なんだ禰豆子ちゃんを殺す装置か」

善逸「ビックリしたよ、もしかして鬼を殺す装置かなって思っちゃった」

隠「それは炭治郎のウソだ」

炭治郎「ウソをついているのはお前らだ！！！」

善逸「（ごめんな炭治郎）」

善逸「（実は俺、お前がウソをついてないってわかってんだ）」

善逸「（でも鬼殺隊には、汚濁したような悪意のようなものがあって）」

善逸「（逆らったらどうなるか？怖いもん、俺）」

善逸「（現に今、逆らった人間が殺されたの見たしね）」

善逸「（どんなに辛くても悲しくても生きるしかないって言ったのは炭治郎じゃん）」

善逸「（俺、死にたくないから逆らえないよ）」

伊之助「炭治郎、禰豆子は隊士を殺したんだ」

炭治郎「殺してない！」

伊之助「お前ももう抵抗すんな」

炭治郎「禰豆子、禰豆子」

善逸「罪を償うんだ炭治郎」

無惨「そこまでだ」

隠「無惨！」

善逸「え？」

炭治郎「無惨」

隠「殺すか？」

隠「殺すな、こいつがいなければ鬼が絶滅する恐れがある、撤退だ」

善逸「（丸聞こえだから）」

隠「撤収！撤収！」

隠「柱を呼べ！」

伊之助「炭治郎、生き恥は晒すなよ！」

炭治郎「……」

無惨「炭治郎」

無惨「鬼になれ炭治郎」

無惨「完全な生物になるんだ」

無惨「そして禰豆子の仇をとれ」

炭治郎「……」

無惨「そして禰豆子の仇をとれ」

炭治郎「……」

炭治郎「鬼にはならない」

無惨「永遠の命が欲しくないのか？」

炭治郎「そんなものちっともほしくない」

炭治郎「俺はもう死にたい」

無惨「死んでもお前の魂は輪廻するのだ」

無惨「また生まれて、また失う」

無惨「それを愛別離苦というのだ！」

無惨「生まれてくる以上苦しみからは逃れられないのだ！」

無惨「なら鬼になって永遠に生きろ！」

炭治郎「俺は、畜生になりたい！」

炭治郎「茶々丸みたいに、また生まれてくる禰豆子の飼い猫になって」

炭治郎「何も考えずに禰豆子と一緒に幸せに生きたいんだ」

無惨「……」

炭治郎「頼む殺してくれ無惨」

炭治郎「この世界でもう生きたくないんだ」

無惨「なら死ね」

終わり