おれ「貿易は外国に財を輸出したり、外国から財を輸入したりすることで」

おれ「補足としては自国産業を守るために輸入割当とか関税をかけているとか」

おれ「そういうことしか知らなくてよくない？」

シャミ子「う～ん……、石油とか天然ガスとか日本では出ないものを輸入するのならわかるんですけど」

シャミ子「例えばお米とか日本で作れるものを輸入する意味がわからないです」

🍑「それは鬼畜米英という敵国からの圧迫だから誰も意味がわからないよ」

おれ「輸入米は加工用だから」

🍑「本当に？」

おれ「……鬼畜米英め😩」

🍑「😊」

🍊「アメリカを非難したいときにイギリスを巻き込む流れやめない？」

おれ「農作物の輸入に納得ができないか」

シャミ子「はい、自国で作ればいいと思います」

🍑「正しいよシャミ子、やっぱりメイドインジャパンだよね」

シャミ子「もんもはすぐウソをつくので🍊さんかおれさんが教えてください」

🍑「（私の評価がとんでもなく低いのはなんでだろう……）😟」もやぁ

おれ「まぁ輸入と一言にいってもいろいろあるからなぁ」

🍊「シャミ子が知りたいのは農作物なんだから、とりあえず農作物の説明をしたら？」

おれ「そうだね」

おれ「はっきり言うと、国には得意とする産業があるんだよ」

おれ「特化っていうんだけど」

シャミ子「得意なこと……、特化ですか？」

おれ「経済をなす要素は、土地、人、技術の三つ」

おれ「でも土地があればそれでいいのかというとそうじゃない」

おれ「例えばロシアが保有する広大な土地の多く永久凍土で、夏場は氷がとけて泥沼になるから作物なんて作れたもんじゃない」

おれ「逆にベトナムは気候がよく、二期作をやれるから同じ土地から二度米がとれる」

おれ「アフガニスタンやラオスのように内陸にある国は漁業が絶望的だし」

おれ「アメリカのようにでかく気候のよい土地を保有し、飛行機で種まきをしてバカでかいコンバインで効率よく大量生産を行える国もあるし」

おれ「オーストラリアのように同じくでかい土地で、極めて効率よく畜産農業をやってる国もある」

シャミ子「はわ、土地が大きいとお得ですね」

おれ「水資源をどう調達するかという問題もあるんだけどね」

シャミ子「農作物は農業が得意な国から輸入したほうが安いんですね」

おれ「そうだよ」

シャミ子「他の国もそうやって食料を集めているんですか？」

おれ「……価格弾力性の話になるな」

シャミ子「価格弾力性？」

🍊「今日はステージ高くない？」

🍊「いつもは鳥でもわかる内容だけど、今日はお猿さんレベルじゃない？」

シャミ子「もんも、価格弾力性って知ってますか？」

🍑「知ってるよ、私の脳みそは外についてるから」

シャミ子「外付け脳みそですか？」

おれ「……おれのことか？」

おれ「価格弾力性という基準があって、価格弾力性が高い財は値段があがると需要が減り」

おれ「低い財は値段があがっても需要が減りにくいとされているんだよ」

おれ「計算式はσ＝ΔQペラペラペラペラ」

シャミ子「いけません、それは小倉さんの仕事です」

シャミ子「おれさんはもっとふんわりしていてください」

おれ「（おれの評価も大概低いな……）」

おれ「まぁ、例えば石油などは価格弾力性が低いとされている」

おれ「田舎の日本人の移動手段は主に自動車で、電車やバスなどは間隔が遠く代替として使うことが難しい」

おれ「だからガソリン価格が高くなっても多くの日本人はそれに耐えるしかないとされている」

シャミ子「へー……」

おれ「逆に価格弾力性が高い財は、値段が高くなれば別の財を購入すればいい」

おれ「わかりやすくいうと、温暖化や中国の乱獲でサンマの漁獲量が減っているといわれているけど、だったらサバを食えばいいじゃんという話だ」

シャミ子「な、なるほど……」

シャミ子「つまり海がない国に住んでる人たちはお魚を食べなくてもお肉を食べればいいんですね」

おれ「そうだね、魚に多く含まれる栄養素とかもあるけど」

おれ「基本的には生存に必要な栄養素さえとっておけばそれでいいからね」

🍊「みかんを食べておけば生きていけるわよ！」

🍑「でも中国の乱獲は許すべきじゃないと思う」

おれ「今、その話はいい」

🍊「（私の扱いわる……）」

シャミ子「国産の牛肉は、安い外国産の牛肉が入ってくるとどうなりますか？」

おれ「駆逐される可能性がある」

シャミ子「そんな」

シャミ子「畜産農家の方々は……」

おれ「まぁ一概にそうとは言えないけどね」

おれ「……この話は、🍊の担当だろう」

🍊「オレンジの話よ、シャミ子ー！」

シャミ子「はわ？」

🍊「昔、農業の自由化で、オレンジを買えとアメリカにせまられたの！」

🍊「日本政府はアメリカに屈し、オレンジの輸入を決定したのよ！」

シャミ子「屈してしまいましたか……」

🍊「アメリカの大量生産の安いオレンジが入ってくれば、みかん農家はやられるってみんなが思ってたの！」

シャミ子「やられなかったんですか？」

🍊「逆に日本のみかんのブランド力があがって、みかん農家は得したのよ！」

シャミ子「そんなこともあるんですか、すごい！」

🍑「当然だよ、日本の農作物はおいしいから！」

シャミ子「じゃあ牛肉🐂も輸入しましょう！」

🍑「NO」

シャミ子「……」

おれ「思い出してほしい」

シャミ子「はわ？」

おれ「TPP加盟のときのことを」

シャミ子「TPP……」

おれ「安部前総理が、口酸っぱく「日本の米をブランド米にして価値をあげる」と言っていたことを」

シャミ子「言ってましたー！！！」

シャミ子「あ、そういう魂胆だったんですね！」

おれ「うむ、日本の米はジャポニカ米で、アメリカの米はインディカ米だ」

おれ「品種が違うんだ」

おれ「これゆえに日本の米は価格弾力性が低いとされており、米の輸入を逆手にとって米農家の利益の最大化を目論んでいたんだよ」

🍊「狡猾ね」

シャミ子「それで日本のお米の価値はあがりましたか！？」

おれ「トランプ前大統領がTPPからの脱退を表明して、日米で別途自由貿易協定を結ぶことになって」

おれ「アメリカの米は民主党の牙城であるカリフォルニアで多く生産されているから、共和党のトランプ前大統領は興味をなくして交渉の項目から外した」

シャミ子「ダメじゃないですか……」

🍑「でもやっぱりメイドインジャパンを増やすべきだと思うな」

おれ「思いませーん！」

🍑「ごめんねシャミ子、この外付け脳みそ、たまに反旗を翻すんだ！」

🍑「そういうときはこうやって叩けば直るから」バシバシ

おれ「思いませーん！」

🍑「ステッキとってくる」

シャミ子「桃、敵方の言い分を聞いてからにしましょう！」

🍊「（シャミ子にとってもおれくんは敵なのかしら？）」

おれ「貿易というのはやはり得意とする生産財の交換が根幹だよ」

おれ「ねぇ、🍊」

🍊「そうね、全くもって同意見よ」

シャミ子「はわ、リベラル派が結託した」

おれ「本来保守派である細田派、つまり安部前総理がTPPに反対するのならわかるが」

おれ「安部前総理がTPPを推進していたからね」

おれ「反対していた立憲民主党は保守党に、共産党はトーリー党に、党名を変更されてはいかがかな？」

シャミ子「ちょっと待ってください、いつもの野党批判はいいんですけど」

シャミ子「安部前総理がTPPに反対の立場じゃなければいけないってどういうことですか？」

おれ「まぁ、自民党はリベラル派の自由党と保守派の民主党がくっついてできたものだ」

おれ「65年も一緒にやってきて混ぜこぜになってるから、もうこんな定義に意味もないのだが」

おれ「自国産業を守るのは本来保守派の仕事だ　だから細田派の領袖である細田さんはTPP反対なんだよ」

おれ「安部前総理自身、著書美しい国へにおいて自分は経済政策においては革新派（左翼）だと言い切ってるからね」

🍊「へー、じゃあ民主党の流れを汲むもう一つの保守派、二階派が正統派なのかしら？」

おれ「二階派は中国との経済連携協定であるRCEPに賛成だから」

シャミ子「自民党には経済政策においての保守派がいないんですね」

おれ「いるとは思うけど、表に出てこない、出てこられない、もしくは出てきても周知されないかだろう」

おれ「党で決まったことに従わなければいけない党議拘束があるからね」

シャミ子「得意とする生産財の交換をすると、どれくらいお得なんですか？」

おれ「わかりやすくするために、極端な話をするけど」

おれ「日本のような工業国は工業品の生産に適している」

おれ「設備があって、労働者の質が高いからだ」

おれ「逆に農業国は農業の生産に適している」

おれ「土地が農産物の生産に適しているからだ」

シャミ子「もうちょっとわかりやすく」

おれ「まぁ待てよ」

おれ「工業が得意なA国と、農業が得意なB国があったとする」

おれ「A国の人口は1000人、B国の人口は2000人とする」

おれ「A国もB国も貿易をしていない鎖国的な国家だったする」

おれ「両国は人口の半数ずつを工業品と農作物の生産に割り振ったとする」

おれ「工業が得意なA国は工業品を一つ生産するのに10人必要で、できた工業品の値段は50万円だとする」

おれ「工業品の生産に500人つぎ込むと50の工業品を作ることができ、2500万円の富を生み出すことができる」

シャミ子「……もんも、わかります？」

🍑「私がわかっていることを外付けの脳みそが喋ってるだけだからわかるよ」

シャミ子「じゃあこの次はなんの話が始まるんですか？」

🍑「ちょっとワイファイの電波が弱いね」

🍊「黙って聞きなさいよ」

おれ「A国は農作物を一つ生産するのに10人必要で、できた農作物の値段は10万円だとする」

🍊「補足だけど、この「一つ」はダンボール一つみたいにまとまった量と考えなさい」

シャミ子「はい」

おれ「農産物の生産に500人つぎ込むと50の農産物を作ることができ、500万円の富を生み出すことができる」

おれ「つまりA国は工業品と農作物を計3000万円生産できるというわけだね」

おれ「それを国民一人あたりで分配すれば、一人あたり3万円の富を生産していることになる」

シャミ子「🍊さん」

🍊「ちょっと待ちなさい」カリカリ✍　鉛筆で何かを書いている

人口1000人のA国の生産力

工業品を生産するのに必要なコスト10人、農作物を生産するのに必要なコスト10人

工業品の生産量＝500人÷10人＝50

農作物の生産量＝500人÷10人＝50

工業品の単価が50万円、農作物の単価が10万円の場合

工業品の生産力＝50×50万円＝2500万円

農作物の生産力＝50×10万円＝500万円

🍊「A国は工業品を2500万円、農作物を500万円、計3000万円生産できる能力があるってことよ」

🍊「1000人で3000万円生産しているから、一人が生産している額は3万円って話」

シャミ子「なるほど……」

おれ「B国は工業品を一つ生産するのに40人必要で、できた工業品の値段は50万円だとする」

おれ「B国はA国より人口が多いので工業品の生産に1000人つぎ込み、25の工業品を作ることができ、1250万円の富を生み出すことができる」

おれ「農業が得意なB国は農産物を一つ生産するのに2人必要で、できた農作物の値段は10万円だとする」

おれ「農作物の生産に1000人つぎ込むと500の農産物を作ることができ、5000万円の富を生み出すことができる」

おれ「つまりB国は工業品と農作物を計6250万円生産でき、国民一人あたり31250円の富を生産している」

🍊「……」カリカリ✍

人口2000人のB国の生産力

工業品を生産するのに必要なコスト40人、農作物を生産するのに必要なコスト2人

工業品の生産量＝1000人÷40人＝25

農作物の生産量＝1000人÷2人＝500

工業品の単価が50万円、農作物の単価が10万円の場合

工業品の生産力＝25×50万円＝1250万円

農作物の生産力＝500×10万円＝5000万円

🍊「B国は工業品を1250万円、農作物を5000万円、計6250万円生産できる能力があるってことよ」

🍊「2000人で6250万円生産しているから、一人が生産している額は31250円って話」

シャミ子「はわ……」

おれ「これを完全分業にすると」

シャミ子「分業……？」

おれ「工業品の生産が得意なA国は工業品の生産に国民を全員をぶち込み、5000万円の富を生み出し」

おれ「農作物の生産が得意なB国は農作物の生産に国民を全員をぶち込み、1億円の富を生み出し」

おれ「A国B国は計1億5000万円の富を生み出したことになり、総人口3000人で割ると一人当たり5万円の富を生み出したことになります」

シャミ子「……」

シャミ子「は？」

シャミ子「そんなバカな……」

シャミ子「何をいっているんですか？」

シャミ子「人のことバカにして」

シャミ子「何をいっているんですか！！！」

🍑「シャミ子、騙されちゃダメだよ！」

🍑「おれくんのウソだから！」

シャミ子「はい、これは完全に詐欺です！」

🍊＆おれ「……」

シャミ子「騙そうったってそうはいきませんよ」

シャミ子「どうせ自分に都合のいい計算をしたんでしょう」

🍊「むしろ逆よ」

🍊「この計算は財を生産できない国を配慮していないのよ」

🍊「農作物を生産したくてもできない国もあるのよ」

シャミ子「そんな国ありませんよ」

🍊「日本でコーヒー豆が作れる？コショウが作れる？緯度によって作れる農産物が変わるのよ」

シャミ子「はわ……」

おれ「作れないとは言わないが、日本で生産する場合ビニルハウスなどの設備投資や高い人件費や物価によって他国より高く、そして品質が悪いものを生産することになってしまう」

おれ「シャミ子の言うとおり自分に都合のいい計算をしていることは認めるが、不都合も織り込まれている」

おれ「例えば、10人で生産したものと40人で生産したものが同じ値段になるわけがない、なぜなら人件費が高くなるからだ」

おれ「その結果、高い財が供給されれば額面に起こした富の生産という観点からは同じになるかもしれないが、高い財が市場に出回っても買えないというジレンマが発生する」

シャミ子「ふ、複雑ですね……」

🍑「でも、それって工業国は発展途上国が発展して、工業品の生産能力を手に入れれば必要なくなるってことじゃない？」

おれ「……理屈の上ではそうだ」

おれ「先にも言ったが、経済とは人、土地、技術の三つだから」

おれ「技術で先行し、工業国として栄えた小国が、一時的に世界のトップランナーになることはあるが」

おれ「国土がでかく、人口が多い、中国やインド、ブラジルが発展すればステゴロでやられる」

おれ「だから富にものを言わせなければならない」

おれ「AIやロボット技術、脱炭素社会への取り組みによる次世代エネルギーの開発、電気自動車など、新たな技術により需要が発生するものや、生産性があげられるものについては貪欲に取り入れなければいけない」

おれ「今ある富で技術を革新し、生産性を高めて安い工業製品を輸出し続けなければいけないんだ」

おれ「そのために利潤を最大化する自由貿易を推進していかなければいけない」

シャミ子「……」

シャミ子「実際に安いお肉が入ってくるとどれくらいお得なんですか？」

おれ「そうだね、少し説明しようか」

シャミ子「はい」

おれ「どんなものにも市場がある」

おれ「取引はその市場に応じた動きをしている」

シャミ子「はわ？」

おれ「例えばガソリンの市場は、車で通勤をしている人にとっては代替が難しいから、価格が上がっても必要な量はたいして変わらないってさっき言ったよね？」

おれ「価格弾力性の話だよ」

シャミ子「はい、そうですね、必要な量を大きく減らすことが難しいと思います」

おれ「逆にサンマの市場は、値段が高くなればサバなどを食べるようになって、価格が上がることで売れる量が減る」

おれ「これらは単一でカテゴライズできるものではなく、サンマの場合大きく見ると生鮮食品という市場の中にある」

おれ「だからサンマという食品は売れなくなっているけど、サバが売れるようになり、生鮮食品という市場のなかで代替されているわけだね」

シャミ子「市場……」

おれ「ときに市場原理を破壊するものが出てきたりする」

シャミ子「例えば？」

おれ「鬼滅の刃とか」

シャミ子「わかりやすいです、完全に破壊しています！」

🍊「あれは大きくカテゴライズすると娯楽という市場で代替されているんじゃないかしら？」

おれ「かもしれない、でも今年はコロナの影響で市場にかなりの変化があるからね」

🍑「😊」

シャミ子「なんでにこにこしているんですか、もんも？」

🍑「中の人がね」

おれ「幸福の科学だもんね」

🍑「殴るよ😡」

おれ「国産の牛肉が100グラム600円、外国産の牛肉が100グラム300円だとするね」

シャミ子「はい」

おれ「国産の牛肉の消費量が市場の40％、外国産は60％だとすると」

おれ「国産の牛肉が40トン売れている国なら、国産牛肉だけで2億4000万円の金が流れてることになるね」

おれ「この場合外国産の牛肉は60トン売れているから、外国産の牛肉に1億8000万円の金が流れてることになるね」

おれ「つまり足した4億2000万円が牛肉の市場ということになる」

シャミ子「はい」

おれ「しかし外国産の牛肉には50％の関税がかかっていて、これを撤廃すると外国産の牛肉が100グラム200円になる」

シャミ子「買います、関税を撤廃しましょう！」

🍑「ダメだよシャミ子！」

🍊「重要なのはそこじゃないのよ」

おれ「また極端な話になるけど、関税を撤廃したときの外国産の牛肉への支出に変化がないとすると」

🍊「（おれくんってテクニカルな例え話をするとき高校物理みたいな説明になるのよね　空気抵抗は考えないものとするみたいな）」

おれ「200円の牛肉に1億8000万円がつぎ込まれると、消費される牛肉は90トンになる」

シャミ子「はわ？」

おれ「この国の牛肉の消費量は100トンだから、外国産の牛肉が90トン消費されると、国産の牛肉は10トンしか売れなくなる」

シャミ子「え、いや、そんな……」

おれ「国産の牛肉は死にました😧」

🍑「自国産業を守ろう！」

シャミ子「いけませんよぉ、これはいかんやつですよぉ……」

🍊「オレンジの輸入の話を思い出すのよ！」

🍊「国産の牛肉への2億4000万円の支出も変わらないなら、国産の牛肉のお値段は100グラム2400円になるのよ！」

シャミ子「た、高い……」

おれ「まぁ、極端な話だと言ったけど」

おれ「さっきのまま国産の牛肉のシェアが100グラム600円で40％、外国産の牛肉のシェアが100グラム300円で60％の場合」

おれ「4億2000万円÷100トンだから、平均すると牛肉の価格は100グラム420円になる」

シャミ子「はい」

おれ「国産の牛肉のシェアが100グラム800円で30％（2億4000万円）、外国産の牛肉のシェアが100グラム200円で70％（1億4000万円）の場合」

おれ「トータルで動く金は3億8000万円だから、平均すると100グラムあたりの牛肉の価格は380円になる」

シャミ子「あ、安くなってます！」

おれ「そう、安い牛肉が入ってくると国民の平均での食費が減るんだよ」

おれ「全てのものがそうさ、生産性が高い国の財が入ってくれば、家庭の支出を減らすことができる」

おれ「さらに「平均すると」というところがみそで、普段から安い外国産の牛肉を食べてる人間はもっと安く牛肉が食べられるようになり」

おれ「逆に牛肉は国産ですわ、といってるTPPに反対していた立憲民主党や共産党などのお金持ちの支持者には高い金を払って国産牛肉を食べていただくことになる」

シャミ子「はわ……、TPP反対ってお金持ち目線なんですね……」

🍑「……」

🍊「世の中そんなに単純でもないということは言っておくわ」

🍊「この話は考え方としての一つの目安だと思いなさい」

シャミ子「じゃあ、生産性が高い国の財を購入することが富を得る最善の手段なんですか？」

おれ「そうだよ」

🍊「そのかわり日本も自国の生産性をあげて特化した製品を輸出していくことが重要よ！」

シャミ子「なるほど」

おれ「我が国の食糧自給率が低いからといって、テキトーの農業に参入されても困る」

🍑「……」

おれ「特に米など需要と供給のバランスが取れているか、供給過多で採算性が低い農業に新規参入して食糧自給率をあげると意気込まれても」

おれ「例えばそういう人間が増え、米の生産力が増えれば、米の価格は下落する」

おれ「ただでさえ少子化で国内消費の先細りが懸念され、品種のせいで外国での市場が開拓しにくい農産物だ」

おれ「そんなことをされれば多くの米農家に壊滅的なダメージを受け、国のために農業をやるといって国家を滅ぼすことになる」

🍑「ぐぬぬ……」

おれ「他にも採算が取れない農作物を育てられでもしたら厄介だ」

おれ「下手に国産が出回り自国産業になって、輸入製品に関税をかけて国内産業を守れということになれば、一般家庭の食費が増加するだけだ」

おれ「あまつさえ、自分が勝手に始めたくせに国に補助金を求めるのなら最低だ」

おれ「起業とはリスクを孕むものだ」

おれ「採算性のない事業を始めて、赤字だから国に支援を求めるのは通らない　普通に倒産しろ」

おれ「効率よく国家を滅ぼす方法ばかりを考えてないで欲しい」

🍑「💢」ぶちっ

　 　 _, ,_ 　ﾊﾟｰﾝ
　（　‘д‘）
　　⊂彡☆))Д´）


おれ「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！」

シャミ子「おれさあああああああああん！！！」

🍑「なんでそんなこというの！！？」

おれ「おれは間違ったことは言ってない！」

🍊「……そ、そうよ、口は悪いけど間違ったことは言ってないわ！」

🍑「みんなそんなつもりで農業をはじめてるわけじゃないじゃん！！！」

おれ「……」

🍑「食糧自給率が低いって言うから」

🍑「農作物の輸出を拡大するって国が言うから」

🍑「なにかしようってはじめたんじゃん！！！」

おれ「……」

🍑「二人とも効率のことばっかじゃん！！！」

🍑「国内産業を守ることなんて当たり前じゃん！！！」

🍑「それでご飯を食べている人の生活を守ることなんて当たり前じゃん！！！」

🍑「それが国家の責任じゃん！！！」

シャミ子「もんも……」

🍑「今のままじゃいけないならどうすればいいか考えてよ！」

おれ「……もうやってるかもしれないが、共産主義者じゃないがある程度の計画経済を考えるべきだ」

おれ「沖縄のサトウキビ農家のように」

🍊「……そうね」

🍊「我が国の農業の融通のきかなさは戦後の農地改革の弊害よ」

シャミ子「はわ……」

🍊「地主の持つ土地を小作人に平等に分配する、それはとても綺麗なことよ」

🍊「でも世の中は、綺麗ごとだけではまわらないの」

🍊「広い土地を持つ地主がいれば田んぼを畑に変えることもできる」

🍊「でも小さな土地しか持たない個人は、今やってることを継続することで精一杯」

🍊「採算が取れるかもわからない転換を、リスクを冒してまでやろうとは思わないわ」

🍊「米農家で採算が取れなくなっていった人たちは兼業農家になり最終的には農業をやめて、土地は休耕地となる」

🍊「個人が所有している休耕地は散らばっていて、土地を買いあさって農業をはじめても生産性は高くならない」

🍊「移動などの無駄なコストがかかるだけ」

🍊「我が国の農業が衰退していった一因よ」

🍊「国土の狭さ、耕地に適した土地の少なさもあるけど、それ以上に土地を分配した結果よ」

🍑「……」

🍊「もし農業を効率よく振興したいなら国か地方公共団体が主導して計画を立て、生産する農作物を指定し、そこに国庫から補助金を出して5年も10年もかけてやらなきゃいけないことよ」

シャミ子「はわ……」

🍊「まだ時期じゃないと思うけど」

シャミ子「（こ、このままではもんもが……）」

シャミ子「最後に自国産業を守る方法を教えて欲しいんですけど」

シャミ子「さっき言ってた割当とか、関税とかですか？」

おれ「さっきの説明通り財の価格は、貿易をしている国の場合」

おれ「自国の生産財の値段と、他国の生産財の値段で均衡をとる」

おれ「安い製品が大量になだれ込むと、自国産業が破壊される可能性があるから他国の製品に関税をかけて」

おれ「他国の生産財の価格をつり上げ自国産業のダメージを軽減するという仕組み」

おれ「そして輸入割当、一定量他国の生産財を輸入するけど、輸入量を有限にして自国産業を守るという仕組みだね」

シャミ子「なるほど、日本はやっぱり保護率が高いんですか？」

シャミ子「TPPとかを推進してるイメージですけど」

おれ「いや、我が国は保護率が低い」

シャミ子「はわ？」

🍑「😟」

おれ「我が国はいかれたレベルの自由貿易推進国だ」

おれ「聖域となっている農業などの食品に関する項目以外は自国産業大破壊主義だ」

🍑「自国産業を守ろう！」

シャミ子「あ、あれ、守ったほうがいいんですか自国産業？」

おれ「古いデータだが輸出に関しても機械製品が7割を超えている　工業超特化国と言っていい」

シャミ子「はわ……」

おれ「もはや引き返せぬ、踏むしかないアクセルを！」

おれ「ふかすぜアベノミクス！」

シャミ子「だ、大丈夫なんですか……」

おれ「いけるとこまで行ってみよう！」

おれ「目指せ完全特化！」

シャミ子「完全特化ってなんですか？」

🍊「特化している工業品の生産を100％にしてあとはもう全部輸入に頼ろうと言っているのよ」

🍊「おれくん、それ共産主義よ」

おれ「はがっ！（気づき）」

おれ「自国産業を守ろう！」

🍑「自国産業を守ろう！」

シャミ子「はわ、🍊さん」

みかん「何事にも限度があるのよ、限度が」

おれ「あと高校生が覚えておいた方がいいことはアンチダンピングとセーフガードくらいか」

シャミ子「なんですか、それ？」

おれ「例えば他国の産業を破壊したいと思ったらどうする？」

シャミ子「思いません、他国の産業を破壊しようと思う心理がわかりません」

おれ「おれは破壊したいと思ってる」

シャミ子「悪じゃないですか……」

🍊「意外と正義なのよ　おれくんの　だって平和のためだもの」

シャミ子「他国の利益を破壊するなんて、正義でも平和でもないですよ」

🍊「おれくんは経済協力が世界から戦争をなくす方法だと思ってるから」

🍊「古い人間よ　まるで20世紀の残党だわ」

🍑「……」

🍊「おれくんは相互理解とか、調和とか、思いやりとか、他者の尊重とか、愛とか、信頼とか、そういった非合理的なものを一切信じていないの」

シャミ子「ダメじゃないですか」

🍊「代わりに自由、これだけを信じているのよ」

シャミ子「はわ、自由……」

🍊「第二次世界大戦終戦後の構想を連合国が語り合ったとき、経済協力が戦争を根絶するという思想が生まれたの」

🍊「月並みに、人という字は人と人が支えあっている」

🍊「これを世界規模に拡張していく、それ以外の平和へのアプローチを知らないのよ」

シャミ子「はわ……」

おれ「なんのことはねぇ、他国がいなければ自国が成り立たないほどに世界がずるずるに癒着してしまえば」

おれ「戦争によって他国の領土を侵すことが国益を損なうことになる」

おれ「おれはこれ以外の戦争根絶方法を知らない」

シャミ子「世界を平和にする方法は信頼ですよ」

おれ「幻想だよ」

🍊「古い人間ねぇ」

おれ「という風に」

シャミ子「はわ」

おれ「逆にいえば、経済協力によって他国の生産力を破壊することができる」

おれ「例えば製鉄を100％他国に依存している国は、自国で製鉄業をやる必要がない」

おれ「すると自国の製鉄業はなくなってしまうわけだ」

シャミ子「は、はぁ？」

おれ「すると製鉄を輸入しなければ戦闘機も戦車も作ることができなくなる」

おれ「すると」

シャミ子「は、はわ……」

おれ「初手をとって既存の戦力を叩き、輸送ルートを封じてしまえば追加の戦力を補充できずジリ貧になるというわけだ」

シャミ子「やはり悪ですよ、あなたは　考え方が悪そのものです」

おれ「まぁ突拍子もなく戦争で例えたけど」

おれ「輸出によって他国の生命線を抑えてしまえば、外交カードになる」

おれ「中国がよくレアメタル禁輸すんぞって脅してるよね」

シャミ子「してます」

おれ「逆に日本がロシアに天然ガス買わないぞといえば脅しになるよ」

シャミ子「はわ……、資源とお金によって優劣があるというわけですね」

🍊「ただロシアに天然ガスを買わないというと軍事力で脅されるわよ」

シャミ子「悪の帝国ですね……」

🍑「軍事力という外交カードは実はかなり重要なんだ」

🍑「特に中国ロシア北朝鮮というパワーゲーム（軍事力を使った外交）を得意とする国に囲まれてる我が国はね」

シャミ子「兵器を廃絶しましょう！相互理解！協調！愛！平和！」

🍑「軍事力を保有しよう」

シャミ子「はわ……」

🍑「かくへもごぉ」

おれ「おっと言わせねぇよ！」

🍊「それはダメなやつよ、絶対に言わせないわよ！」

おれ「このように他国の産業を破壊するために不当に低い価格で財を市場に供給することをダンピングという」

シャミ子「アンチの意味は知ってます！」

シャミ子「ダンピングをさせない、それがアンチダンピング！」

おれ「シャミ子は賢いなぁ」

シャミ子「😊」

シャミ子「アンチダンピングって何ができるんですか？」

おれ「まぁ関税だね、不当な価格に対し不当な関税を課することができる」

シャミ子「へー……、セーフガードは？」

おれ「セーフガードは不規則に輸入量が増加したときに発動できる措置で、輸入量に制限をかけたりすることができるよ」

シャミ子「不規則に輸入量が増える？」

おれ「ん～、実用例から考えると、不当ではないけど、競争した場合自国産業が負けてしまう安すぎる外国の財への対策だね」

おれ「アンチダンピングは輸出国側が不当な価格で輸出してくるときに発動できるもので」

おれ「セーフガードは輸入国側の都合で、輸入を免除してもらうって感じだね」

シャミ子「なるほど」

シャミ子「でもそれって誰が判断するんですか？」

シャミ子「トランプ前大統領が中国の輸出品に高い関税をかけて顰蹙（ひんしゅく）をかってたイメージがありますけど」

おれ「WTOだね」

シャミ子「はわ、あ、習いました、小学校か中学校のころに」

おれ「国際協調路線では、こういう国際機関を尊重しなければいけないからね」

🍑「国連もWHOもWTOもIOCもIMFも中国の犬だよ」

おれ「そこ！」

🍊「……」

おれ「他にも例えば必要ない財でも輸入しなければいけない義務とか」

シャミ子「そ、そんな義務あるんですか……」必要のないものはいりません

おれ「ミニマム・アクセスだね」

シャミ子「専門用語まで……」

おれ「遺伝子組み換え食品など、特殊な理由があって輸入したくない財をどうするかとか」

おれ「さっきまでずっと必要な財と財の交換だけの産業間貿易を述べてたけど」

おれ「部品を輸入して組み立てる垂直的産業内貿易とか」

おれ「トヨタとベンツの車を交換して、消費者に好きなブランドを選べるようにして満足感を与える水平的産業内貿易とか」

シャミ子「専門用語禁止です、難しすぎます」

シャミ子「おれさんはふんわりしててください」

おれ「う、うん……」

シャミ子「専門用語は小倉さんの管轄です」

小倉「呼んだー！？😊」

シャミ子「小倉さん！」

小倉「シャミ子ちゃんはなんで水平的産業内貿易が必要だと思う！？」

シャミ子「え……それは、違うのが使ってみたいから？」

小倉「そうだよ！」

小倉「コモディティ化って言うんだ！」

シャミ子「こも……」

小倉「製品って最低限の性能さえあればいいでしょ！」

小倉「だからコスパや消費者の要求にこだわっていくと均一な製品が増えるんだ！」

小倉「そうなると価格を抑えられる大きな会社が独占状態になってペラペラペラペラ」

シャミ子「は、はわ……」

小倉「完全競争がペラペラ価格形成に対する企業の支配力生産資源配分QペラペラQ-Q'とO-O'の均衡ペラペラこれに割当を適応すると価格がx軸をスライドしてペラペラ」

シャミ子「もんもぉ……」

シャミ子「あ、もう帰ってる……」

おわり