おれ「はっきりいうがおれは別に外国の酒がうまいから飲んでるってわけじゃないぞ」

おれ「微妙にアルコールに強い体質のため日本酒では金がかかりすぎるから」

おれ「仕方なくアルコール度数の高い酒を選んで、酔いを求めているだけだぞ」

シャミ子「はわ……そうなんですか……」

おれ「ビーフィーターとかクソまずいぞ、シャミ子のおかーさんが飲んでるでかいペットボトルの焼酎をちょっと甘くしたような味だぞ」

シャミ子「おかーさんが飲んでるやつおいしくないんですか……」

おれ「かといってシャミ子のおかーさんのように常飲したいってほどじゃないから」

おれ「コスパがいいでかい酒を買わず、ウイスキーとかジンとかの安い酒を飲んでるだけだよ」

シャミ子「なるほど……」

おれ「年末年始は八海山を飲んでるぞ」

シャミ子「八海山？」

おれ「日本酒だよ」

シャミ子「おいしいんですか？」

おれ「おいしいとか人による、おれに一番合うのが八海山だったってだけだよ」

シャミ子「高いんですか？」

おれ「八海山と一口に言ってもいろいろあるからな」

おれ「俺が年末年始に飲んでるのは4000円くらいのだよ　たくさん用意するかな」

シャミ子「はわ、いっぱい用意するならいろいろ買った方が楽しいのでは？」

おれ「それ、飽きたわ」

シャミ子「はわ……」

シャミ子「もんもが、日本酒以外のお酒も飲んでもいいけど」

シャミ子「せめて国産のお酒にしてほしいって言ってますよ」

おれ「……」

おれ「本場のがやっぱうまくて安いかなー！」

シャミ子「さっき味はどうでもいいって言ったくせにこだわりが強い！！！」

🍊「……」

おれ「例えばウォッカならやはりロシアに作らせるのがいい」

おれ「ウォッカは余計なものがなくクセが少ないのが売りで、基本的にロシア圏で作られてるものだからロシアに作らせておけばいいし！」

おれ「ジンならやっぱりギルビーとかビーフィーターみたいに100年も200年も愛されてるのが手堅いと思うなぁ！」

おれ「日本でワイン作ってもダメだよ！だって日本で作られてるぶどうの品種が違うんだから！」

おれ「日本でワインを作るなら南米の新世界ワインみたいにぶどうの品種から考えないとダメだよ！」

おれ「大麦にせよ、トウモロコシにせよ、ぶどうにせよ」

おれ「その国の風土にあったものじゃないと良いお酒はつくれないよ！」

🍊「自由主義と保守主義が合体するとこうなるのね……」

シャミ子「結局伝統的なものが一番良いという束縛から抜け出せていないんですね……」

🍑「つまり、日本人は米文化があるから日本酒を飲もう」

おれ「……」

シャミ子「こういわれても仕方ありませんよ」

🍊「でもおれくんの気持ちもわかるわ」

シャミ子「はわ……」

🍊「だって日本酒ってオシャレじゃないし」

🍑「国賊！」

おれ「おれは日本酒がオシャレじゃないなんて一言も言っていない」

🍊「やっぱりオシャレな女はワインよ」

おれ「（バブル時代の女かな？）」

🍑「ワインっていうけど、どこのワインがいいの？」

🍊「……ヨーロッパよ」

🍑「どこの国？」

🍊「……フランス？」

🍑「おれくんマウント取って！」

おれ「ワインは確実にイスパニア（スペイン）よ」

おれ「ヨーロッパのワインと言えば当たり外れが多いが」

おれ「スペインといえばカベルネ・ソーヴィニヨンだ」

おれ「リオハのワインを選んでおけば間違いないから」

🍊「マウント取ってくるのやめて！」

シャミ子「みんなキャラ作り感がすごいですね……」

小倉「日本酒がオシャレじゃないっていうなら、オシャレな飲み方を見せつけてやればいいんだよ！」

シャミ子「小倉さん、いたんですか！」

小倉「いるよー、シャミ子ちゃんのいるところにはいつもいるー」

シャミ子「……」

シャミ子「ありがとうございます！」

おれ「嫌がれ」

🍑「オシャレな飲み方か……」

🍑「おれくん、台所借りるよ！」

おれ「シャミ子、どうしよう」

シャミ子「完全に日本酒が光る液体になるオチですね」

🍑「💢」

🍑「はい、おれくんお燗（かん）」

シャミ子「なんか陶磁器の小さいコップとやかんみたいなのに持ってきた」

小倉「徳利（とっくり）じゃないんだ」

シャミ子「お燗ってなんですか？」

小倉「温めた日本酒のことだよ！」

シャミ子「温めたらアルコールが飛ぶんじゃ」

小倉「アルコールが蒸発する温度より低い温度だから大丈夫だよ！」

🍑「じゃあおれくん飲んで、お酌するから」

おれ「……」ぐいっ

シャミ子「和ですね……和……！」

おれ「（こんなんじゃ酔えない……）」

🍑「どうかな？オシャレだよね」

🍊「時代劇みたい」

🍑「(-_-💢)」

おれ「机にガスコンロ置いて温めればいいじゃない？」

シャミ子「風情が……」

おれ「いや、いいんだよ、こんなのテキトーで」

おれ「もんもも飲んだら？」

🍑「うん」

おれ「手酌はいけないからおれがお酌するよ」

🍑「ありがとう」

おれ「シャミ子、冷蔵庫に白菜あるから出して、おつまみ」

シャミ子「なんか本当に時代劇みたいになってきましたね」

おれ「別にオシャレさとか求めてないし」

🍑「私は今すごくオシャレだと思うな」

🍊「（あれ、年末年始みたいになってる……、普通の日本の家庭みたいになってる……）」

🍊「次は私の番よー！」👗

シャミ子「ドレス着てきた！」

🍊「さぁおれくん、注いでちょうだい！」

おれ「はいはい、マドモアゼル」

シャミ子「瓶の底持ってワインを注ぐ人！」

シャミ子「ドラマで見るやつ！」

🍊「雰囲気でないからウェイターの制服着てくれる？」

おれ「……」着替え着替え

おれ「着替えたよ、マドモアゼル……」

🍊「どうかしらシャミ子、私って今最高にクールじゃない！？」

シャミ子「……私、日本酒の方がいいです」

🍊「えっ！？😲」

シャミ子「ワインの方は、おウチで飲むというより外食な感じがします……」

🍊「あら！？」

おれ「そもそもヨーロッパのワインなんて、一般人は空瓶を持って店にいって量り売りしてるの買うみたいな感じなとこもあるらしいぞ」

🍊「エコね……」

おれ「物は言いようだな」

おれ「ワインがなんかお高いイメージなのは、ハイソ（上級国民）が飲んでるイメージとくっついてるだけだろ……」

おれ「はいはい、最高にクールなお酒の飲み方ごっこ終わり終わり」

おれ「酒なんて好きなの飲めばいいんだよ」

おれ「宅飲みなら缶ビール飲んでりゃいいんだよ」

小倉「ちょっと待って！」

シャミ子「小倉さん？」

小倉「まだおれくんの最高にクールなお酒の飲み方を見せてもらってないよ！」

小倉「見せてー！😊」

おれ「……仕方ないなぁー！😆」ノリノリ

シャミ子「ちょっと嬉しそうですね」

おれ「😟」不機嫌

シャミ子「銀色の平な水筒を持っている！」

シャミ子「古い映画でたまに見るやつ！」

小倉「スキットルだよ！日本ではアル中のアイテムと名高い、ポケットに酒を常備してる人だよ！」

小倉「クールだよ、おれくん！🤭」

🍑「……」

小倉「ちなみにスキットルの中になに入れてるのー？」

おれ「アルコール度数60度のスピリッツ」

小倉「少量だから度数にこだわるやつぅー！🤣」

小倉「一口で決まるやつだよ！」

シャミ子「これはオシャレではありません！病気です！」

おれ「……」

シャミ子「どうしました？」

おれ「銃弾がおれを避けるんだ」達観

シャミ子「死ぬやつ！」

シャミ子「自分は幸運だと主張したそのあと血まみれになるやつ！」

🍊「あなた本当にダメ人間が板につくわね……」

シャミ子「……」

小倉「アンコールアンコール！」

シャミ子「はわ……、次はどんなダメ人間なんですか……」

おれ「～♪」陽気

シャミ子「うってかわってご機嫌！」

シャミ子「で、その手に持ってる瓶と中に入ってる茶色の液体はなんですか！？」

小倉「あれは、コニャックだよ！」

シャミ子「コニャックとは？」

小倉「ということは」

おれ「いいかシャミ子、酒って言うのはまぁそうだな
酔うために飲んでるというが、おれたちにとって酒とは水みたいなもんだ　水なんだよ生きるために必要なもんだ
それをあの坊主どもはワインは血とかぬかしやがる気取ってると思うだろうやつらは気取ってるんだ
ああまぁだがおれだって神を信じる人間と世間じゃ思われているみたいだが
悪酔いしなければ飲んでいいと聖書に書いてあるっていうのにムスリムときたら
なんの話だったかな？そうだそうだ酒の飲み方についてだったな、酒の飲み方についてだったな」

シャミ子「急に饒舌で、内容がちぐはぐ！」

小倉「完全にドストエフスキーが書くアル中だよ！」

小倉「謎の長文と同じことの繰り返しと、副詞乱発！」

小倉「ロシア貴族！」

🍊「なんて絵に描いたようなダメ人間……」

小倉「アンコール！アンコール！」

おれ「手伝え！」

🍑＆🍊＆小倉＆おれ「……」

シャミ子「今度はなんかたむろしている！」

シャミ子「設定を明確にしてください！」

小倉「ロシアの工場作業員だよ！」

おれ「Камень, ножницы, бумага」

シャミ子「ジャンケンしてるなら日本語でジャンケンしてください！急にロシア語使わないでください！」

🍊「げぇ、私の負けか……」

🍑「走って行ってきてよ」

小倉「ダッシュダッシュ！」

おれ「Поторопиться」

シャミ子「日本語を使え！なぜ執拗にロシア語を使う！？」

🍊「買ってきたわよ」

シャミ子「はわ……、それお酒ですか？」

シャミ子「仕事後みんなでお酒を飲んでいるんですか？」

小倉「今、勤務時間中だから」

シャミ子「じゃあ飲んじゃダメじゃないですか！」

おれ「Камень, ножницы, бумага」

🍊「もうジャンケンはしないわよ！」

🍊「私が買ってきたんだから私が一番に飲むわ」ぐいっ

シャミ子「ちょ！それアルコール度数高いやつじゃ！！」

🍊「きくぅー！！！」

🍑「おい、回せよ！寒いんだよ！」

シャミ子「なんか荒廃している！！」

小倉「シャミ子ちゃんはどうにもならないと思ったらペレストロイカって叫んでね！」

シャミ子「ペレストロイカ？」

🍑「くぅー！！！」ぐびぐび

おれ「おい、おれのがなくなるだろ！」

小倉「ダメダメ私の番だよ」ぐびぐび

おれ「おれの番だな」ぐびぐび

おれ「働いてられっかよ！！！」

シャミ子「働けー！！！」

小倉「上の人間はノルマノルマノルマ」

🍊「仕事まじめにやれば次の日のノルマが増えるだけ！」

🍑「ポカポカしてきた」

小倉「千代田さんはすぐ酔うよね」

おれ「それよりさー、ヤクーツクでさー」

シャミ子「……」

10時間後

小倉「そろそろノルマやっとく？」

おれ「そうだな」

シャミ子「働いてください」

シャミ子「働いて」

シャミ子「ペレストロイカー！！！」

おれ「働いても働かなくても配給量（賃金）が変わらず」

おれ「どんどん貧困になっていく国でおこった」

おれ「アル中になっていくダメな労働者たちでした」

シャミ子「はわ……、ロシアの悪口が多め……」

おれ「つまり」

おれ「社会保障を拡充すればいいとは言うが」

おれ「クズと頑張ったもので差をつけないと、こうなるという話だよ」

おれ「頑張っても無意味だと気づくと人は頑張らなくなり」

おれ「うまくサボるようになるから」

シャミ子「お酒の話だったのに、突然共産主義の悪口に！！！」

おわり