シャミ子「ミャンマーのクーデターはどういう経緯でおこったんですか？」

おれ「それはどうでもいい」

シャミ子「はわ……」

おれ「ざっくり言うと、去年11月に行われた選挙でアウン・サン・スー・チー国家顧問が率いる政党が勝利し」

おれ「ミャンマー国軍が不正があったと主張し、クーデターを起こして国家の全権を掌握した」

おれ「それだけだ」

シャミ子「はわ……」

シャミ子「大事では？」

🍑「ロヒンギャ問題のブームをしっかり見守っておくべきだったね」

おれ「興味ねーよ、他国の差別問題なんて」

おれ「そういうキャラ作りで生きてる人間じゃねーんだよ」

シャミ子「はわ……」

シャミ子「ロヒンギャってあれですよね？」

シャミ子「仏教国ミャンマーに住んでるイスラム教徒で」

シャミ子「第二次世界大戦で日本が仏教徒を兵士にして、イギリスがイスラム教徒を兵士にして戦わせて」

シャミ子「どうしようもない対立に発展して、それが現代に残ってて」

シャミ子「少数派であるイスラム教徒、ロヒンギャが差別されてるって話でしたよね？」

おれ「どうでもいいよ」

シャミ子「どうでもよくありませんよ」

シャミ子「ミャンマーのクーデターに対する国連安保理の声明が、中国からの圧力で文言に変更があったって言ってましたよ」

シャミ子「クーデターという表現を使わなかったとか」

おれ「……中国だけじゃなくロシアもだな」

シャミ子「はわ、中露の圧力……」

🍑「……」

シャミ子「軍事のことはもんもの得意分野だと思いますけど」

🍑「……石油のパイプラインだね」

シャミ子「はわ？」

🍑「中国のタンカーが中東から原油を輸送する際に、ミャンマー経由のパイプラインがあるんだ」

🍑「タンカーからミャンマーの港に、そして陸路をパイプラインで横断して雲南省へ運ぶんだ」

シャミ子「はわ……」

🍑「中国としては、これを破壊されたらたまったもんじゃないからね」

シャミ子「軍事のことだと輝く人……」

🍑「経済的にはどうかな？」

おれ「経済もあるが、それ以上に中国にとってミャンマーは重要なパートナーだ」

おれ「地理的なことだ」

おれ「スー・チー国家顧問率いる政党が政権を取る以前から関係を重視している」

おれ「軍政時代、欧米諸国はミャンマー経済制裁を科していた」

おれ「そんな中、中国はミャンマーに経済支援をしていたんだ」

おれ「2001年に江沢民国家主席がミャンマーに行ってるしな」

おれ「スー・チー国家顧問が国を治めるようになってから、欧米はミャンマーへの経済支援を開始した」

おれ「いや時期は相前後しているか……」

おれ「しかし」

シャミ子「はわ？」

おれ「ロヒンギャ問題が起きた」

🍑「やられたね」

おれ「ロヒンギャ問題など放置して富をつぎ込むべきだったんだ」

おれ「美しい人権意識だね」

おれ「その美しさが自分の首を絞めるんだ」

おれ「2017年からロヒンギャ問題が重く受け止められるようになり、欧米はミャンマーへの投資を停滞させる」

おれ「そこに中国がつけ込んだ」

シャミ子「はわ……」

おれ「ミャンマーは中国の一帯一路構想を支持し、その見返りとして鉄道整備や資源開発などの33項目に及ぶ合意をかわしている」

シャミ子「あ……、それは……」

おれ「さらに昨年一月、習近平国家主席19年ぶりにミャンマーを訪問している」

おれ「昨年の習主席の外遊国はミャンマーだけだ」

おれ「コロナ対策についても先月、中国がミャンマーにワクチンを無償供与すると発表した」

🍑「ずるずるじゃん」

おれ「ミャンマー国民が中国を嫌っているといっても」

おれ「自分たちが忌み嫌うロヒンギャのために手を差し伸べてくれない欧米と」

おれ「自分たちの気持ちに理解を示し手を差し伸べてくれる中国、どっちがいいかって話だよ」

🍑「心で中国を否定するんだよ」

おれ「そういう人間もいるかもしれないが、そうじゃない人間も多くいるだろう」

シャミ子「獲られましたね、これは」

おれ「しかしこの軍事クーデター、これはいい」

シャミ子「軍事クーデターを中国が支援した可能性は？」

おれ「まずないだろう」

おれ「中国はスー・チー国家顧問率いるミャンマーと良好な関係を築いていた」

おれ「欧米がミャンマーを支援するにはロヒンギャ問題の解決が必要だが、解決の目処はないだろう」

🍑「バイデン大統領になって、アメリカがミャンマーとの関係を重要視する可能性は？」

おれ「ウイグルの差別問題を指摘する大統領がロヒンギャ問題を無視できるとは思わんがな」

おれ「政治家ってのはキャラ作りがある」

おれ「綺麗なことをやる政治家は、綺麗なことをやり続けないと怒られるからな」

おれ「中国としては、これは損失以外のなにものでもないんだ」

おれ「スー・チー政権が続こうが、軍政権ができようが」

おれ「欧米と離間させておき、チャイナマネー漬けにしておくのがベストの状態だ」

おれ「アジア最後のフロンティアと呼ばれていたミャンマーの政治家なら、外資獲得が最高の外交成果だからな」

おれ「スー・チー政権で欧米との離間が達成されているのなら、わざわざ政情を不安定にする必要がない」

おれ「しかし中国は、ミャンマーに軍政権ができるのであれば、軍政権との関係を重視しなければならない」

おれ「パイプラインという人質があるのだからなｗ」

おれ「軍政権との関係重視はミャンマー国軍に不快感を示すミャンマー国民を敵に回すことと同義だ」

おれ「中国お得意のソフトパワーがうまくいかんなｗ」

おれ「人の心はそうそう簡単なものではないんだよｗ」

おれ「スー・チー派とミャンマー国軍の顔色をうかがう中国、笑えるなｗ」

シャミ子「はわ……」

🍑「ミャンマー国軍は中露と友好関係にあるけど」

🍑「この状況だと中国がクーデターを支援したという見方は難しいかな？」

🍑「……」

🍑「でもやっぱりバイデン大統領が誕生したことが関係してるんじゃないかな？」

🍑「ロヒンギャ問題を解決させて、ミャンマーを取り込みにくる可能性を潰したいんじゃないかな？」

おれ「……中国に打撃を与えたいのであれば、ミャンマー国軍を裏で支援してパイプラインでも破壊してやればいいからな」

おれ「大義は中国と与し国に背任する国賊でいいか」

🍑「そうだよ、バイデン大統領は政治のプロなんだから」

🍑「トランプ元大統領のように戦争を始めなかったなんて甘っちょろいこというタイプじゃないよ」

シャミ子「あなたたちにとってバイデン大統領ってなんなんですか……」

🍑「敵国に獲られるくらいなら破壊工作を仕掛けたほうがお得だからね」

🍑「一番お金がかからない方法だよ、ロヒンギャに金払うよりね」

シャミ子「悪ですね……」

おれ「なんだかんだでロヒンギャ問題が起こったのは2017年」

おれ「素人がアメリカ大統領をやり始めた時期か」

シャミ子「はわ……」

おれ「……」

おれ「しかし、もし中国がミャンマーを欧米に取り込まれる可能性を嫌ってこれを起こしたとしても」

おれ「アメリカが裏で支援するのがミャンマー国軍になるか」

おれ「スー・チー派になるかの誤差の範囲だろう」

🍑「中国側としたら使われるなら素人集団の方が楽だと思うけど」

おれ「なるほど」

シャミ子「はわ……」

シャミ子「中国はどうすればいいんですか？」

おれ「お利口なあの国は全ての答えをもう発表している」

おれ「ミャンマーの国家主権と政治的独立、領土保全、統一への強いコミットメントを再確認する」

シャミ子「つまりミャンマーのことはミャンマーでやれ」

シャミ子「他国が内政干渉するなということですね」

おれ「中国がこのクーデターを引き起こしていようが、追い込まれての苦肉の策だ」

おれ「警戒する必要なし、だ」

シャミ子「今後、アメリカはミャンマーに不干渉なんですか？」

🍑「……」

おれ「中国が一番効率よくミャンマーの利権をむさぼるためには」

おれ「ミャンマーを植民地支配せざるを得ないような気がしてきたぞ」

🍑「クウェート戦争を知ってる中国がそんな愚かな行動を取るとは思わないな」

シャミ子「はわ……」

おれ「少々ふざけたが」

おれ「現状の見方として正しいのは」

おれ「中国はスー・チー率いるミャンマーと良好な関係を築いていて」

おれ「政変を望んでいなかったという見方だな」

おれ「そして、ミャンマーに国連が立ち入り、クーデターとロヒンギャ問題を一緒くたに解決され、再び欧米との関係が強化されるのを避けたいということだろう」

シャミ子「はわ、国連が介入するのも嫌なんですね」

おれ「そりゃあね」

おれ「スー・チー派、ひいてはミャンマー国民は恩を売られることになるんだからね」

おれ「中国としては今までのミャンマーへの支援が台無しだ」

🍑「……！」ガッツポーズ

シャミ子「これからどうなりますか？」

おれ「さっき悪ふざけでミャンマーに欧米の工作員が入り込むという話をしたが」

おれ「正直、その可能性は低いだろう」

おれ「バイデン大統領は、副大統領としてオバマ元大統領の外交をフォローしていたんだ」

おれ「ならオバマ政権の外交がまた始まると見た方が、的中率が高いだろう」

おれ「オバマ政権の外交といえば？」

🍑「戦略的忍耐😩」クソで固め息

シャミ子「はわ……、じゃあやっぱりミャンマーは放置なんですね……」

おれ「中露が賛成しなければ国連は足並みが揃わず、アメリカ単独での介入も難しいと思うが」

おれ「バイデン大統領がどう動くか、まぁ試金石と言ったところだな」

おれ「人殺しと戦争と差別を主食とするマスコミが推した大統領だ」

おれ「さてさてどう動くか」

シャミ子「日本としてはどうするんですか！？」

おれ「差別は許さない、内政不干渉、しかし民主主義的なプロセスで政治が行われるのを望む」

おれ「ミャンマーの現状に強い懸念を持っている、各国と連携しどう対処していくかを決めたい」

おれ「国連が介入するのであればPKO参加五原則に従い参加できるなら参加し汗を流し、ミャンマー国民の幸福を支援する」

シャミ子「美しい言葉を使おうと思えば使えるんじゃないですかあああ」最初から美しいキャラ作りしろおおおおお

おわり