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P「こんな感じでやれば、大丈夫そうだな」

朋花「はい。それではプロデューサーさんも、しっかり気を入れてくださいね～？」

P「あ、遅くなってごめん。ケータリング残ってるかな……」

朋花「そういえば夕食がまだでしたね」

P「朋花も明日が本番だからしっかり食べないと、おっ、残ってる……まぁ、種類は少ないが」

朋花「お皿を頂いても？」

P「好きなだけ取ってくれ」
　

　
朋花「……はい。私はこれくらいで、残りはプロデューサーさんが食べて下さいね」

P「そんな少しで足りるのか？　俺に遠慮しないでもっと食べて良いんだぞ」

朋花「いえ、私はこれで～」

P「遠慮してない？」

朋花「女性の食事の量に言及するなんて、配慮が足りてないんじゃないですか～？」

P「うっ……」
　

　
P「で、でも初めての野外公演だし、体力付けないと」

朋花「私が必要な食事量を管理出来ていないとでも～？」

P「いや、普段食べてる量から見ても明らかに少ないし」

朋花「それは……」

P「普段の朋花に合わせた衣装にしてもらってるんだから、普段通りで大丈夫だよ」

朋花「プロデューサーさん？　私たちが最も優先すべきことは何か、お分かりですよね～？」

P「あぁ、分かってるよ」
　

　
朋花「そうですよ～。子豚ちゃんたちに最高のパフォーマンスを」

P「朋花が最後まで元気で、笑顔でいることだよな」
　
　
P「そうだよな、朋花。」

朋花「それは、子豚ちゃんたちのために、そうですが」

P「よし、分かってるなら大丈夫だ！　今日は沢山食べて沢山寝よう！」

P「リハーサルでも沢山歌って踊って、お腹空いたよな？」

朋花「そんなことは」ｷｭｳ
　

　
　
P「聞いたな？」

美奈子「聞きました！」

朋花「美奈子さん！？」
　
　
　
P「オーダー！　朋花が元気になる料理！」ｶﾗﾝｺﾛﾝ

朋花「なんですかこのベルは」

美奈子「承りました！　こちら前菜の青椒肉絲です！」ｽｯ
　

　
朋花「あの、頼んでいないのですが」

美奈子「食べやすいように餡掛け炒飯も添えておくね」ｽｯ

朋花「あの、ケータリングの方がまだ残って」

スタッフ「後で美味しく頂きます」

朋花「どこに隠れていたんですか～？」
　

　
P「さぁ朋花！　好きなだけ食べてくれ！」

朋花「ですが、こんなに沢山……」

P「お～～っと！　ここでスペシャル応援メッセージだぁぁ～～！！！」

朋花「聞いて下さい」

P「映像を頂いています。こちら」

美咲『青羽美咲です。朋花ちゃん、その、何とか収めてみせるから、大丈夫だよ、はい……』

朋花「言わせてません？」

P「言わせてません！」
　

　
P「というわけで、節度を守って沢山食べてね。美奈子も、ちゃんと明日がライブであることを考えてちゃんと動ける量に留めておくこと！」

美奈子「わっほ～い！　任せて下さい！　小籠包です！」ｽｯ

朋花「……」

朋花「まったく、しょうがない人たちですね～」

美奈子「じゃあ朋花ちゃん、何か食べたいものがあったら言ってね」

朋花「はい、分かりました。美奈子さんも早く休んでくださいね」

美奈子「うん、ありがとう朋花ちゃん」

P「後片付けは俺とスタッフでやるから」
　

　
美奈子「じゃあプロデューサーさん、行きましょう」

P「よく噛んで食べるんだぞ朋花」

朋花「プロデューサーさん？　私を何だと思っているんですか？」

P「ごめんごめん。それじゃ」

朋花「……」

朋花「……頂きます」
　

亜利沙「おおおぉ～～っと！！　朋花ちゃんが手を合わせました！　第三千五回『もぐもぐ聖母』のコーナー、スタートです！！！」

P「本日も亜利沙のカメラ映像から聖母の様子をお届けしております。解説は松田亜利沙、実況は俺、サポートは佐竹美奈子でお送りいたします」

美奈子「わっほ～い！　今日も背筋がピンと伸びていて素晴らしい食前の挨拶ですね！」

亜利沙「本日はライブ前日の特別回です！　きっと朋花ちゃんもリハーサルでクタクタのはず、いつもより良い食べっぷりが見られると良いですね！」

美奈子「そうですね。料理を目の前に置いた時の反応も、いつもより空腹のときの反応でした」

亜利沙「そうですね。挨拶をしてから箸を持つまでが平均3.5秒のところ今日は3.3秒、逸る気持ちが抑えられない朋花ちゃん、とっても可愛いですね」

P「まずは青椒肉絲から手を付けるようです。肉を掴んでいることからも如何に空腹だったかが伺い知れますね」

　
朋花『……んっ』

朋花『……』ﾓｸﾞﾓｸﾞ

P「あぁ～美味しそう～！」

美奈子「はい！　プロデューサーさんにも同じものを用意してますよ！」

P「ありがてぇ～！」ﾑｼｬﾑｼｬ

亜利沙「噛んでます！　朋花ちゃんがよく噛んでいます！」

P「良いですねぇ～。早く食べたい気持ちとちゃんと消化したい気持ちが相まって、いつもより咀嚼スピードが早いようです」

美奈子「よく噛んで偉いですね～」
　

　
朋花『……』ｺﾞｸﾝ

朋花『……』

亜利沙「ん、これは……？」

美奈子「ハッ！」

ﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

美奈子「朋花ちゃん、はいお水、はいお茶」

朋花「あっ……ありがとうございます～」

美奈子「ううん、おかわりが欲しくなったらすぐ言ってね！」
　

　
P「流石佐竹選手！　早い！」

亜利沙「考えるよりも先に御世話してしまうみたいですね」

美奈子「ただいま戻りました～！　ちゃんとお水も飲んで偉いですね～♪」

P「ベタ褒め」

美奈子「朋花ちゃんはしっかり食べてくれるから私も嬉しいんですよ～」

美奈子「……ですが」

P「はい、ここで過去の映像」

亜利沙「ラジャーです」
　

　
美奈子「朋花ちゃん、出されたものはきちんと全部食べてくれるから、無理させないようにギリギリのラインを見極めるのが難しくて……」

（様々な料理を食べる朋花の映像）

美奈子「過去の愚かな私は、誤って朋花ちゃんを苦しめてしまったこともありました……」

（大量の料理に囲まれて絶望する朋花の映像）

美奈子「ですが！　今の私には朋花ちゃんのお腹の空き具合を完璧に把握できます！　それも今日のリハーサルの運動量から計算して、明日最高のパフォーマンスが出来るように！」

（美味しそうに料理を食べる朋花の映像）

P「うぅ……感動だァ……」

亜利沙「あああありさ、涙で前が見えません～～～」
　

　
朋花「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

亜利沙「今日は一段と良い食べっぷりですね」

美奈子「そうだね、そろそろ……」

P「お、出ましたね美奈子さん」
　
ﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

美奈子「朋花ちゃん、デザートは何が良い？　ゴマ団子に杏仁豆腐、あんまんに白玉団子もあるよ！」

朋花「……じゃあ、あんまんを頂きます」

美奈子「畏まりました～！　あっ、残りは全部奈緒ちゃんが食べるから気にしないでね～」

朋花「はい、ありがとうございます」
　

　
美奈子「はい、あんまんだよ！」

朋花「ありがとうございます～。はむっ」

美奈子「朋花ちゃん、やっぱりお腹空いてたんだね」

朋花「……お恥ずかしながら～」

美奈子「えへへ、いっぱい食べて明日も頑張ろうね♪」

朋花「はい、ありがとうございます～」
　

ﾊﾞﾀﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

P「おっ帰ってきた」

美奈子「はふぅ……朋花ちゃん可愛い……」

Ｐ「すげぇ満たされてる」

亜利沙「ありさも辛抱たまらんです」

Ｐ「今日の『もぐもぐ聖母』は満足感が高いな……」


朋花『ふぅ、御馳走様でした～』

亜利沙「あっ、食べ終わりましたね」

美奈子「お皿下げてきますね！」

Ｐ「俺も俺も」
　

　
朋花「あ、美奈子さん。ご馳走様でした。美味しかったです」

美奈子「えへへ、お粗末様です♪」

Ｐ「お腹いっぱいになったか？」

朋花「はい……あっ、プロデューサーさん？　そういうのを女性に聞くのは～」

Ｐ「良かった良かった」

スタッフ「後片付けはお任せ！」

亜利沙「それじゃあありさは動画の編集を……」

Ｐ「それはライブ後にしなさい」
　

　
Ｐ「よし、じゃあ朋花もしっかり休んで」

朋花「はい～。お陰様で子豚ちゃんたちを満足させられそうです～」

Ｐ「明日も頑張ろうな！」

朋花「はい、お任せください♪」


おわり