勇者が不慮の事故で死んでから数ヶ月後、俺は酒場で別の勇者のパーティに拾われた。
百戦錬磨で攻撃も回復もオールマイティにこなす勇者
仲間が攻撃を受ける前にノータイムリーで敵を叩き潰す武闘家
全てを焼き払う攻撃魔法と仲間に傷一つ向けない補助魔法を使いこなす魔法使い
所属してから僧侶の俺の出る幕は一切なかったので暇を持て余した俺は杖でフルスイングして魔物を撲殺していた。

魔物が住み着く古城の掃討依頼を受けるまでは

古城最上階 王の間にて

勇者「くそっ……！！もう次の攻撃を受けたら全滅だ……！」

武闘家「コイツ、身体の制御を奪いやがる……！体さえ動けばこんな奴……！」

魔法使い「玉座の奥にある4つの玉から大きな魔力を感じる……、おそらくあれが制御装置だ……、あれさえ壊せれば……！メラゾーマ！」

ボス「ふん！小賢しい！マホカンタ」

魔法使い「ぐああぁ！！」

勇者「魔法使い！もうよせ動くな！チャンスがまだ何処かにあるはず……！」

俺（こいつら制御だのなんだのなんの話してんだ？普通に体動くよな）ﾌﾞﾝｯ！！ﾌﾞﾝｯ！！

ボスの手下A「ぐぇ！」

ボスの手下B「ぎぇぴ！」

勇者「どうすれば……、どうすれば……」

武闘家「くっ……」

魔法使い「げほっ……げほっ……」

勇者「俺くん！無事か！生きてるか！」

俺「うん」

勇者「全体回復を頼む！俺たちが不甲斐ないばかりに新参の君まで危険な目に合わせて済まない！もしも俺たちがダメそうなら君だけでも絶対に逃がす！！この命に変えても！」

武闘家「あれ、お前なんで普通に動けて……」

俺「おいす、ベホマラー」

勇者「おぎゃあああああああああああ」ﾁｭﾄﾞ-ﾝ

武闘家「おぎゃあああああああああ」ﾁｭﾄﾞ-ﾝ

魔法使い「おぎゃあああああああああ」ﾁｭﾄﾞ-ﾝ

ボス「ばかな！！今のは仲間内への範囲回復なはず、なぜこっちまでエネルギーが、ぐっ、やば……おぎゃあああああああああ」ﾁｭﾄﾞ-ﾝ

勇者の死後、後々わかったことだが古城に巣食うボスは魔物達の大総統だったらしい
魔物達の活動は沈着し、その後世界に平和が訪れた
俺は勇者が戦死した激戦を生き延びた英雄としてして国中から英祀り上げられた
世界平和の大義名分で旅が出来なくなると生活に行き詰る心配があったが、国王お抱えの聖職者として晴れて公務員となった
魔物も人目に出ることも無くなり軽微な怪我は街の教会が対応していたので、俺は特にやることもなく城の裏で杖の素振りをしていた

そんなある日、城下町の子供が森で魔物を見たと報告をしてきた
暇だった俺は兵士にこの件は挙げず1人で対応することにした
話にあった森まで報告してきた子供に案内させた

子供「俺さん、あそこだよ（小声）」

たしかに魔物が1匹いた、村人が襲われたら一溜りも無いだろう。この子が無事で良かった。

子供「でも俺さんは僧侶でしょ？戦えるの？」

俺「うーん、ずっと回復ばかりしてきたからなぁ」

子供「あ、でもニフラムとかバギ系は使えるんでしょ？街の神父様が使えたもの！」

俺「そうだな、ここでバギを使うと森を破壊してしまうから、ニフラムを使ってみようか、実はまだ使ったことがないんだ」

子供「俺さんはやっぱり英雄だね……、魔物を前にして森のことまで考えられるなんて」

俺「回復しかしてこなかったから、魔物に攻撃したことがなかっただけだよ」

俺「さてと、やってみるか、ニフラム」

世界「」

Fin